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特開2022-149079自動ドア装置用の駆動システム、及び自動ドア装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149079
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】自動ドア装置用の駆動システム、及び自動ドア装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/643 20150101AFI20220929BHJP
【FI】
E05F15/643
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021051045
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】森藤 広喜
(72)【発明者】
【氏名】對比地 英樹
【テーマコード(参考)】
2E052
【Fターム(参考)】
2E052AA01
2E052CA06
2E052DA04
2E052DB04
2E052EA16
2E052EB01
2E052EC01
2E052KA15
2E052KA16
(57)【要約】
【課題】駆動システムの設置コストを抑制しながら、駆動システムのメンテナンス性を確保すると共に、開口部の通行性を確保することが可能になる、自動ドア装置用の駆動システム、及び自動ドア装置を提供すること。
【解決手段】駆動システム40は、第1プーリ部50a及び第2プーリ部50bと、第1プーリ部50aを回転させるための駆動部60と、開閉体30に接続された第1接続部70a及び第2接続部70bと、第1プーリ部50a及び第2プーリ部50bの回転に伴って開閉体30をけん引するけん引部80であって、けん引部80の一方の端部が第1接続部70aと接続され、且つけん引部80の他方の端部が第2接続部70bと接続されたけん引部80とを備え、開閉体30の移動ストロークMSの長さが第1の間隔D1の長さよりも長くなるように、第1プーリ部50a、第2プーリ部50b、第1接続部70a、及び第2接続部70bを配置した。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の開口部に設けられる自動ドア装置を構成する開閉体であり、前記開口部の開閉を行う開閉体を開閉方向に略沿ってスライド移動させるための駆動システムであって、
第1プーリ手段と、
前記第1プーリ手段と開閉方向に略沿って第1の間隔を隔てて設けられた第2プーリ手段と、
前記第1プーリ手段を回転させるための駆動手段と、
前記開閉体に接続された第1接続手段及び第2接続手段であって、前記開閉方向に略沿って相互に第2の間隔を隔てて設けられた第1接続手段及び第2接続手段と、
前記第1プーリ手段及び前記第2プーリ手段の回転に伴って前記開閉体を前記開閉方向に略沿ってけん引するけん引手段であって、当該けん引手段の一方の端部が前記第1接続手段と接続され、且つ当該けん引手段の他方の端部が前記第2接続手段と接続されたけん引手段と、を備え、
前記けん引手段によってけん引される前記開閉体の移動ストロークの長さが前記第1の間隔の長さよりも長くなるように、前記第1プーリ手段、前記第2プーリ手段、前記第1接続手段、及び前記第2接続手段を配置した、
自動ドア装置用の駆動システム。
【請求項2】
前記開閉体によって前記開口部を全閉した全閉状態において、前記第1接続手段又は前記第2接続手段のいずれか一方が前記第1プーリ手段及び前記第2プーリ手段よりも前記開口部の閉鎖方向側に位置し、又は/及び、前記開閉体によって前記開口部を全開した全開状態において、前記第1接続手段又は前記第2接続手段のいずれか他方が前記第1プーリ手段及び前記第2プーリ手段よりも前記開口部の開放方向側に位置するように、前記第1プーリ手段、前記第2プーリ手段、前記第1接続手段、及び前記第2接続手段を配置した、
請求項1に記載の自動ドア装置用の駆動システム。
【請求項3】
前記けん引手段が、前記第1接続手段、前記第1プーリ手段、前記第2プーリ手段、及び前記第2接続手段を順に経由しながら、前記第1プーリ手段及び前記第2プーリ手段を巻回するように、当該けん引手段を配置した、
請求項1又は2に記載の自動ドア装置用の駆動システム。
【請求項4】
前記第2の間隔の長さを、前記第1の間隔の長さよりも長くした、
請求項1から3のいずれか一項に記載の自動ドア装置用の駆動システム。
【請求項5】
前記第1プーリ手段及び前記第2プーリ手段の各々の回転軸の軸方向が相互に略同一であり、且つ前記第1プーリ手段及び前記第2プーリ手段が当該軸方向において相互に異なる位置となるように、前記第1プーリ手段及び前記第2プーリ手段を配置した、
請求項1から4のいずれか一項に記載の自動ドア装置用の駆動システム。
【請求項6】
前記第1プーリ手段及び前記第2プーリ手段を、前記開閉体によって前記開口部を全閉した全閉状態において前記開閉体と対応する位置に配置した、
請求項1から5のいずれか一項に記載の自動ドア装置用の駆動システム。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の自動ドア装置用の駆動システムを備えた自動ドア装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動ドア装置用の駆動システム、及び自動ドア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の壁の開口部に設けられる自動ドア装置の開閉体を開閉移動させるためのシステムが提案されている。このようなシステムにおいては、例えば、無目の内部において開閉体の開閉方向に沿って相互に間隔を隔てて設けられた主動プーリ及び従動プーリと、主動プーリ及び従動プーリに巻き掛けられた環状の歯付ベルトと、歯付ベルトと開閉体とを連結する連結具と、主動プーリを回転させることにより、歯付ベルトの回転に伴って開閉体を開閉移動させるためのモータと、を備えている(例えば、特許文献1参照)。また、主動プーリと従動プーリとの相互間の距離が、開閉体が開閉移動することが可能な移動ストロークよりも長く設定されており、無目に形成された点検口の幅は、主動プーリ及び従動プーリが収納される無目の幅と略同一の長さに設定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-234567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、開口部の周辺状況によっては、点検口の幅について、無目の幅よりも短い長さ(例えば、開口部の有効開口幅と同程度等)にしか設定することができない場合が想定される。しかしながら、上記従来のシステムにおいては、上述したように、主動プーリと従動プーリとの相互間の距離が、上記移動ストロークよりも長く設定されているので、例えば、主動プーリと従動プーリとの相互間の距離を維持しながら、点検口の幅を短くした場合には、点検口を介して上記従来のシステムを点検することが難しくなるので、上記従来のシステムのメンテナンス性を確保することが困難になるおそれがあった。
【0005】
また、主動プーリと従動プーリとの相互間の距離を短くし、且つ点検口の幅を短くした場合には、開閉体によって開口部を全閉した状態において、閉鎖方向側に位置する主動プーリと連結具とが接触することを回避するために、上記全閉した状態において当該連結具が主動プーリよりも開放方向側に位置するように開閉体に取り付けられることになる。これにより、開閉体によって開口部を全開した状態において、開閉体における戸先側端部から上記閉鎖方向側に位置する連結具に至る部分が開口部内に位置することになるため(すなわち、引き残されることになるため)、開口部の引き残し寸法が比較的大きく設定されて、開口部の有効開口幅が短くなることから、開口部の通行性を確保することが困難になるおそれがあった。
【0006】
一方で、上述した問題を回避するために、上記従来のシステムに代えて、リニアエンジンを用いて、リニアエンジンのスライダによって連結された開閉体を開閉移動させることも考えられる。しかしながら、リニアエンジンは非常に高価であるので、システムの設置コストが過大になるおそれがあった。
【0007】
以上のことから、システムのメンテナンス性及び設置コスト、並びに開口部の通行性の観点からは、改善の余地があった。
【0008】
本発明は、上記従来技術における課題を解決するためのものであって、駆動システムの設置コストを抑制しながら、駆動システムのメンテナンス性を確保すると共に、開口部の通行性を確保することが可能になる、自動ドア装置用の駆動システム、及び自動ドア装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の自動ドア装置用の駆動システムは、建物の開口部に設けられる自動ドア装置を構成する開閉体であり、前記開口部の開閉を行う開閉体を開閉方向に略沿ってスライド移動させるための駆動システムであって、第1プーリ手段と、前記第1プーリ手段と開閉方向に略沿って第1の間隔を隔てて設けられた第2プーリ手段と、前記第1プーリ手段を回転させるための駆動手段と、前記開閉体に接続された第1接続手段及び第2接続手段であって、前記開閉方向に略沿って相互に第2の間隔を隔てて設けられた第1接続手段及び第2接続手段と、前記第1プーリ手段及び前記第2プーリ手段の回転に伴って前記開閉体を前記開閉方向に略沿ってけん引するけん引手段であって、当該けん引手段の一方の端部が前記第1接続手段と接続され、且つ当該けん引手段の他方の端部が前記第2接続手段と接続されたけん引手段と、を備え、前記けん引手段によってけん引される前記開閉体の移動ストロークの長さが前記第1の間隔の長さよりも長くなるように、前記第1プーリ手段、前記第2プーリ手段、前記第1接続手段、及び前記第2接続手段を配置した。
【0010】
請求項2に記載の自動ドア装置用の駆動システムは、請求項1に記載の自動ドア装置用の駆動システムにおいて、前記開閉体によって前記開口部を全閉した全閉状態において、前記第1接続手段又は前記第2接続手段のいずれか一方が前記第1プーリ手段及び前記第2プーリ手段よりも前記開口部の閉鎖方向側に位置し、又は/及び、前記開閉体によって前記開口部を全開した全開状態において、前記第1接続手段又は前記第2接続手段のいずれか他方が前記第1プーリ手段及び前記第2プーリ手段よりも前記開口部の開放方向側に位置するように、前記第1プーリ手段、前記第2プーリ手段、前記第1接続手段、及び前記第2接続手段を配置した。
【0011】
請求項3に記載の自動ドア装置用の駆動システムは、請求項1又は2に記載の自動ドア装置用の駆動システムにおいて、前記けん引手段が、前記第1接続手段、前記第1プーリ手段、前記第2プーリ手段、及び前記第2接続手段を順に経由しながら、前記第1プーリ手段及び前記第2プーリ手段を巻回するように、当該けん引手段を配置した。
【0012】
請求項4に記載の自動ドア装置用の駆動システムは、請求項1から3のいずれか一項に記載の自動ドア装置用の駆動システムにおいて、前記第2の間隔の長さを、前記第1の間隔の長さよりも長くした。
【0013】
請求項5に記載の自動ドア装置用の駆動システムは、請求項1から4のいずれか一項に記載の自動ドア装置用の駆動システムにおいて、前記第1プーリ手段及び前記第2プーリ手段の各々の回転軸の軸方向が相互に略同一であり、且つ前記第1プーリ手段及び前記第2プーリ手段が当該軸方向において相互に異なる位置となるように、前記第1プーリ手段及び前記第2プーリ手段を配置した。
【0014】
請求項6に記載の自動ドア装置用の駆動システムは、請求項1から5のいずれか一項に記載の自動ドア装置用の駆動システムにおいて、前記第1プーリ手段及び前記第2プーリ手段を、前記開閉体によって前記開口部を全閉した全閉状態において前記開閉体と対応する位置に配置した。
【0015】
請求項7に記載の自動ドア装置は、請求項1から6のいずれか一項に記載の自動ドア装置用の駆動システムを備えた。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の自動ドア装置用の駆動システム、及び請求項7に記載の自動ドア装置によれば、第1プーリ手段と開閉方向に略沿って第1の間隔を隔てて設けられた第2プーリ手段と、第1プーリ手段を回転させるための駆動手段と、開閉体に接続された第1接続手段及び第2接続手段であって、開閉方向に略沿って相互に第2の間隔を隔てて設けられた第1接続手段及び第2接続手段と、第1プーリ手段及び第2プーリ手段の回転に伴って開閉体を開閉方向に略沿ってけん引するけん引手段であって、当該けん引手段の一方の端部が第1接続手段と接続され、且つ当該けん引手段の他方の端部が第2接続手段と接続されたけん引手段と、を備え、けん引手段によってけん引される開閉体の移動ストロークの長さが第1の間隔の長さよりも長くなるように、第1プーリ手段、第2プーリ手段、第1接続手段、及び第2接続手段を配置したので、従来技術(主動プーリ及び従動プーリに巻き掛けられた環状の歯付ベルトの回転に伴って開閉体を開閉移動させる技術)に比べて、第1の間隔の長さを短くできる。よって、駆動システムを従来の部材(具体的には、第1プーリ手段、第2プーリ手段、及び駆動手段)を用いて構成した場合でも、上記部材を点検するための点検口の大きさを小さくでき、駆動システムの設置コストを抑制しながら、駆動システムのメンテナンス性を確保できる。また、開口部の引き残し寸法が大きくなることを回避でき、開口部の通行性を確保しやすくなる。
【0017】
請求項2に記載の自動ドア装置用の駆動システムによれば、全閉状態において、第1接続手段又は第2接続手段のいずれか一方が第1プーリ手段及び第2プーリ手段よりも開口部の閉鎖方向側に位置し、又は/及び、全開状態において、第1接続手段又は第2接続手段のいずれか他方が第1プーリ手段及び第2プーリ手段よりも開口部の開放方向側に位置するように、第1プーリ手段、第2プーリ手段、第1接続手段、及び第2接続手段を配置したので、第1の間隔の長さを確実に短くでき、点検口の大きさを確実に小さくできる。
【0018】
請求項3に記載の自動ドア装置用の駆動システムによれば、けん引手段が、第1接続手段、第1プーリ手段、第2プーリ手段、及び第2接続手段を順に経由しながら、第1プーリ手段及び第2プーリ手段を巻回するように、当該けん引手段を配置したので、第1の間隔の長さを確実に短くでき、点検口の大きさを確実に小さくできる。
【0019】
請求項4に記載の自動ドア装置用の駆動システムによれば、第2の間隔の長さを、第1の間隔の長さよりも長くしたので、第2の間隔の長さを第1の間隔の長さよりも短くした場合に比べて、開閉体の移動ストロークの長さを長くでき、点検口の大きさを小さくしやすくなる。
【0020】
請求項5に記載の自動ドア装置用の駆動システムによれば、第1プーリ手段及び第2プーリ手段の各々の回転軸の軸方向が相互に略同一であり、且つ第1プーリ手段及び第2プーリ手段が当該軸方向において相互に異なる位置となるように、第1プーリ手段及び第2プーリ手段を配置したので、開閉体の開閉移動中に第1プーリ手段及び第2プーリ手段が第1接続手段又は第2接続手段と接触することを回避しやすくなり、開閉体の移動ストロークの長さを確保できる。
【0021】
請求項6に記載の自動ドア装置用の駆動システムによれば、第1プーリ手段及び第2プーリ手段を、全閉状態において開閉体と対応する位置に配置したので、例えば自動ドア装置が戸袋ボード収まりタイプである場合に、開閉体の開閉状態に関わらず、第1プーリ手段及び第2プーリ手段をメンテンナンス可能な位置に設けることができ、駆動システムのメンテナンス性を確保しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施の形態に係る自動ドア装置を示す図であり、(a)は正面図、(b)はA-A矢視断面図である(一部図示省略)。
図2図1の背面図である。
図3】駆動システムを示す図(一部図示省略)であり、(a)は点検カバーを無目から取り外した状態であり、且つ全閉状態を示す正面図、(b)はB-B矢視断面図である。
図4】駆動システムを示す図(一部図示省略)であり、(a)は点検カバーを無目から取り外した状態であり、且つ全開状態を示す正面図、(b)はC-C矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る自動ドア装置用の駆動システム、及び自動ドア装置の実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕実施の形態の基本的概念を説明した後、〔II〕実施の形態の具体的内容について説明し、最後に、〔III〕実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0024】
〔I〕実施の形態の基本的概念
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、建物の開口部に設けられる自動ドア装置を構成する開閉体であり、開口部の開閉を行う開閉体を開閉方向に略沿ってスライド移動させるための自動ドア装置用の駆動システム、及び自動ドア装置に関するものである。
【0025】
ここで、「建物」とは、その具体的な構造や種類は任意であるが、例えば、商業施設、オフィスビル、公共施設、アパートやマンションの如き集合住宅等を含む概念であるが、実施の形態では、商業施設として説明する。
【0026】
また、「建物の開口部」とは、建物の躯体の一部分(例えば、壁、天井、又は床等)において窓や入り口を設置するために形成された開口部である。
【0027】
また、「開閉体」は、建物の開口部の出入りを抑制又は制限するための構造体を意味し、例えば、自動ドア装置用の開閉体等を含む概念である。
【0028】
また、開閉体の開閉構造は任意であり、例えば、片引式の戸等として構成することができる。また、開閉体の開閉方向は任意であり、例えば水平方向、上下方向等を含む概念である。
【0029】
また、「開閉体の開閉状態」とは、実施の形態では、全閉状態、全開状態、及び半開状態を含む概念である。
【0030】
このうち、「全閉状態」とは、開閉体によって開口部を全閉した状態であり、この全閉状態における開閉体の位置を「全閉位置」と称する。また、「全開状態」とは、開閉体によって開口部を全開した状態であり、この全開状態における開閉体の位置を「全開位置」と称する。また、「半開状態」とは、開閉体が全閉位置と全開位置との間に位置している状態であり、この半開状態における開閉体の位置を「半開位置」と称する。
【0031】
以下、実施の形態では、自動ドア装置の開閉体が、商業施設の如き建物の通路に面する位置に設けられる片引式の戸である場合について説明する。
【0032】
〔II〕実施の形態の具体的内容
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
【0033】
(構成)
最初に、実施の形態に係る駆動システムが適用される自動ドア装置の構成について説明する。
【0034】
以下の説明では、図1のX方向を自動ドア装置の左右方向又は幅方向(-X方向を自動ドア装置の左方向、+X方向を自動ドア装置の右方向)、図1のY方向を自動ドア装置の前後方向(+Y方向を自動ドア装置の前方向(部屋の室内側の方向)、-Y方向を自動ドア装置の後方向(部屋の室外側の方向))、及び図1のZ方向を自動ドア装置の上下方向(+Z方向を自動ドア装置の上方向、-Z方向を自動ドア装置の下方向)と称する。
【0035】
自動ドア装置1は、建物の開口部2(具体的には、部屋の壁に形成された開口部2)を開閉するための装置であり、図1から図4に示すように、枠体10、レール部20、開閉体30、駆動システム40、及び開閉制御装置90を備えている。
【0036】
また、この自動ドア装置1を構成する各構成要素の接続形態については、以下に示す通りに設定している。すなわち、後述する開閉制御装置90の制御ユニット92は、後述する駆動システム40の駆動部60、後述する開閉制御装置90の検知部91、及び位置検知部の各々と配線(図示省略)を介して電気的に接続されている。これにより、後述する制御ユニット92と、後述する駆動部60、後述する検知部91、及び後述する位置検知部の各々との相互間で通信又は電力供給を直接的又は間接的に行うことができる。
【0037】
なお、自動ドア装置1を構成する各種部材同士の取付方法(又は接続方法)については任意であるが、例えば、取付側の部材又は取付相手側の部材に形成された取付孔(例えば、リベット孔、ネジ孔、ビス孔等)を介して、取付側の部材を取付相手側の部材に対して固定具(例えば、リベット、取付ネジ、ビス等)、溶接、接着剤、両面テープ等によって取り付ける(又は接続する)方法が採用されている。
【0038】
(構成-枠体)
図1に戻り、枠体10は、開口部2の周縁に設けられるものであり、図1図2に示すように、戸先縦枠材11、戸尻縦枠材12、無目13、室内側方立14、室外側方立15、室内側戸袋ボード体16、及び室外側戸袋ボード体17を備えている。
【0039】
(構成-枠体-戸先縦枠材)
図1に戻り、戸先縦枠材11は、枠体10を構成する枠材のうち、戸先側に設けられる枠材である。この戸先縦枠材11は、例えば公知の引戸用の枠材(一例として、鋼製の長尺な枠材)を用いて構成されており、図1に示すように、戸先縦枠材11の長手方向が上下方向に沿って配置され、建物の躯体3(例えば壁又は柱等)に対して固定具等によって固定されている。
【0040】
(構成-枠体-戸尻縦枠材)
戸尻縦枠材12は、枠体10を構成する枠材のうち、戸尻側に設けられる枠材である。この戸尻縦枠材12は、例えば公知の引戸用の枠材(一例として、鋼製の長尺な枠材)を用いて構成されており、図1に示すように、戸尻縦枠材12の長手方向が上下方向に沿って配置され、建物の躯体3に対して固定具等によって固定されている。
【0041】
(構成-枠体-無目)
無目13は、枠体10を構成する枠材のうち、上側に設けられる枠材であると共に、自動ドア装置1の各部を収納するための枠材である。この無目13は、左右方向に略沿った長尺な中空体(一例として、鋼製の長尺な中空体)であり、具体的には、レール部20、駆動システム40、及び後述する開閉制御装置90の位置検知部及び制御ユニット92が収納可能に構成されている。また、この無目13は、図1に示すように、当該無目13の長手方向が左右方向に沿って配置されていると共に、開口部2の左右方向の全長にわたって配置されており、建物の躯体3に対して固定具等によって固定されている。
【0042】
また、図1(a)に示すように、無目13には、点検口13a及び点検カバー13bが設けられている。
【0043】
(構成-枠体-無目-点検口)
点検口13aは、駆動システム40を点検するための開口であり、無目13における部屋の室内側の面部に形成されている。
【0044】
また、点検口13aの具体的な構成については任意であるが、実施の形態では以下の通りに構成されている。
【0045】
すなわち、点検口13aの形状については略矩形状に設定されているが、これに限らず、例えば、略楕円形状に設定されてもよい。
【0046】
また、点検口13aの左右方向の長さCLは、無目13の左右方向の長さよりも短く設定されており、具体的には、無目13の戸先側の端部から室内側方立14に至る長さと略同一に設定されている。また、点検口13aの上下方向の長さは、無目13の上下方向の長さと略同一に設定されている。
【0047】
また、点検口13aの設置方法については、無目13における部屋の室内側の面部のうち、無目13の戸先側の端部から室内側方立14に至る部分に設置されている。
【0048】
(構成-枠体-無目-点検カバー)
点検カバー13bは、点検口13aを覆うためのものである。この点検カバー13bは、例えば、公知のカバー材を用いて構成されており、図1に示すように、無目13における部屋の室内側の面部において点検口13aを覆うように設けられ、無目13に対して開閉自在に取り付けられている。
【0049】
(構成-枠体-室内側方立)
室内側方立14は、枠体10を構成する枠材のうち、戸先縦枠材11と戸尻縦枠材12との間に設けられる枠材である。この室内側方立14は、例えば公知の引戸用の枠材(一例として、鋼製の長尺な枠材)を用いて構成され、図1に示すように、全閉状態における開閉体30の戸尻側端部よりも部屋の室内側に位置するように配置され、且つ無目13と床面4との相互間において当該室内側方立14の長手方向が上下方向に沿うように配置されており、無目13及び床面4の各々に対して固定具等によって固定されている。
【0050】
(構成-枠体-室外側方立)
室外側方立15は、枠体10を構成する枠材のうち、戸先縦枠材11と戸尻縦枠材12との間に設けられる枠材である。この室外側方立15は、例えば公知の引戸用の枠材(一例として、鋼製の長尺な枠材)を用いて構成され、図2に示すように、全閉状態における開閉体30の戸尻側端部よりも部屋の室外側に位置するように配置され、且つ無目13と床面4との相互間において当該室外側方立15の長手方向が上下方向に沿うように配置されており、無目13及び床面4の各々に対して固定具等によって固定されている。
【0051】
(構成-枠体-室内側戸袋ボード体)
図1に戻り、室内側戸袋ボード体16は、戸袋18を構成するボードのうち、部屋の室内側に設けられるボードである。この室内側戸袋ボード体16は、例えば公知の戸袋用のボード体を用いて構成されており、例えば、相互に間隔を隔てて上下に方向に略沿って複数並設された補強材16aと、補強材16a間に設けられ、且つ補強材16aに対して固定具又は接着剤等によって取り付けられた下地ボード16bと、補強材16a及び下地ボード16bの外表面を覆うように補強材16aに対して固定具等によって取り付けられ、且つ周辺の壁材と一体形成された(又は別体に形成された)仕上げボード16cとを有して構成されている。そして、室内側戸袋ボード体16は、図1に示すように、戸尻縦枠材12及び室内側方立14によって囲繞される領域に配置され、戸尻縦枠材12、及び室内側方立14に対して図示しない下地材を介して固定具等によって固定されている。
【0052】
また、室内側戸袋ボード体16の具体的な構成については任意であるが、実施の形態では、図3(a)に示すように、室内側戸袋ボード体16の仕上げボード16cによって、室内側戸袋ボード体16の補強材16a及び下地ボード16bに加えて、無目13の室内側の面部における戸尻側の端部から室内側方立14に至る部分も覆われるように、当該仕上げボード16cが構成されている。
【0053】
(構成-枠体-室外側戸袋ボード体)
室外側戸袋ボード体17は、戸袋18を構成するボードのうち、部屋の室外側に設けられるボードである。この室外側戸袋ボード体17は、例えば室内側戸袋ボード体16と略同様に構成され、図2に示すように、戸尻縦枠材12及び室外側方立15によって囲繞される領域に配置され、戸尻縦枠材12及び室外側方立15に対して図示しない下地材を介して固定具等によって固定されている。
【0054】
また、室外側戸袋ボード体17の具体的な構成については任意であるが、実施の形態では、図4(a)に示すように、室外側戸袋ボード体17の仕上げボード16cによって、室外側戸袋ボード体17の補強材16a及び下地ボード16bに加えて、無目13の室外側の面部の略全体(ただし、検知部91に対応する部分は除く)が覆われるように、当該仕上げボード16cが構成されている。
【0055】
このように構成された枠体10の各部のうち、戸尻縦枠材12、無目13、床面4、室内側方立14、室外側方立15、室内側戸袋ボード体16、及び室外側戸袋ボード体17によって囲繞される空間部として図1(b)の戸袋18が構成されている。この戸袋18により、戸袋18の内部に開閉体30を出し入れ自在に収容することができるので、例えば戸袋18の内部に開閉体30を略完全に収容した状態では、全開状態にすることができる。
【0056】
(構成-レール部)
レール部20は、開閉体30を開口部2の開閉方向(実施の形態では、左右方向)に沿って移動するように案内するものである。このレール部20は、左右方向に直交する断面の形状が略L状(又は略U字状)となるように形成された長尺体であり、図3に示すように、無目13の内部において、当該レール部20の長手方向が左右方向に略沿うように配置され、無目13に対して固定具等によって固定されている。
【0057】
(構成-開閉体)
図1に戻り、開閉体30は、開口部2の開閉を行うためのものであり、図1から図4に示すように、開閉体本体31、被ガイド部32、戸先側戸当たり部(図示省略)、及び戸尻側戸当たり部34を備えている。
【0058】
(構成-開閉体-開閉体本体)
開閉体本体31は、開閉体30の基本構造体である。この開閉体本体31は、例えば公知の自動ドア装置用の開閉体(一例として、片引式の自動ドア装置用の開閉パネル)を用いて構成されている。具体的には、図1に示すように、鋼製(例えばスチール製、ステンレス製等)の開閉体フレーム(図示省略)と、開閉体フレームの見付面の表裏全体を覆うように取り付けられた表面材31a(例えば、鋼製の化粧板等)とを備えている。
【0059】
(構成-開閉体-被ガイド部)
被ガイド部32は、レール部20において開閉体30をスライド移動させるためのものである。この被ガイド部32は、例えば公知の被ガイド部材(一例として、ガイドローラ32aと、ガイドローラ32aと開閉体30とを接続する被ガイド側接続部材32bとを含む被ガイド部材等)を用いて構成され、図3に示すように、レール部20に対して摺動可能となるように複数取り付けられていると共に、開閉体30に対して固定具等によって接続されている。
【0060】
(構成-開閉体-戸先側戸当たり部)
戸先側戸当たり部は、開閉体本体31の戸先側の端部と戸先縦枠材11との間に通行対象が挟まれた時の衝撃を緩和するためのものである。この戸先側戸当たり部は、例えば公知の緩衝材(一例として、緩衝ゴム等)を用いて構成され(なお、戸尻側戸当たり部34の構成についても同様とする)、開閉体本体31の戸先側の端部の略全体にわたって設けられており、開閉体本体31に対して固定具又は接着剤等によって固定されている。
【0061】
(構成-開閉体-戸尻側戸当たり部)
戸尻側戸当たり部34は、開閉体本体31の戸尻側の端部と戸尻縦枠材12との接触時の衝撃を緩和するためのものである。この戸尻側戸当たり部34は、図1(b)に示すように、開閉体本体31の戸尻側の端部において、相互に間隔を隔てて上下方向に略沿って複数並設されており、開閉体本体31に対して固定具又は接着剤等によってそれぞれ固定されている。
【0062】
(構成-駆動システム)
駆動システム40は、開閉体30を開閉方向に略沿ってスライド移動させるためのシステムである。この駆動システム40は、図3図4に示すように、無目13の内部に設けられており、第1プーリ部50a、第2プーリ部50b、駆動部60、第1接続部70a、第2接続部70b、及びけん引部80を備えている。
【0063】
(構成-駆動システム-第1プーリ部、第2プーリ部)
図3に戻り、第1プーリ部50aは、けん引部80によって開閉体30をけん引可能にする第1プーリ手段であり、第2プーリ部50bは、第1プーリ部50aとは異なるものであって、けん引部80によって開閉体30をけん引可能にする第2プーリ手段である。これら第1プーリ部50a及び第2プーリ部50bは、例えば公知の自動ドア装置用のプーリ部材(一例として、プーリ本体51と、プーリ本体51を回転させるための回転軸52とを備えるプーリ部材)を用いてそれぞれ構成されており、図3に示すように、無目13の内部において点検口13aに対応する部分に設けられている。
【0064】
具体的には、第1プーリ部50a及び第2プーリ部50bは、レール部20よりも上方において、開閉方向(図3では、左右方向)に略沿って間隔D1(以下、「第1の間隔D1」と称する)を隔てて配置されている。また、第1プーリ部50aの回転軸52は、回転可能となるように駆動部60に対して接続されていると共に、第2プーリ部50bの回転軸52は、無目13に対して固定具等によって直接又は間接に固定されている。
【0065】
(構成-駆動システム-駆動部)
駆動部60は、第1プーリ部50aを回転させるための駆動手段である。この駆動部60は、例えば公知の自動ドア装置用の駆動モータ等を用いて構成され、図3に示すように、無目13の内部において第1プーリ部50aの近傍に設けられている。
【0066】
具体的には、無目13に対して固定具等によって直接又は間接に固定されている。
【0067】
(構成-駆動システム-第1接続部、第2接続部)
第1接続部70aは、開閉体30とけん引部80とを接続する第1接続手段であり、第2接続部70bは、第1接続部70aとは異なるものであって、開閉体30とけん引部80とを接続する第2接続手段である。これら第1接続部70a及び第2接続部70bは、例えば公知の接続部材(一例として、ベルトホルダ)を用いてそれぞれ構成されており、図3に示すように、無目13の内部に設けられている。
【0068】
具体的には、第1接続部70a及び第2接続部70bは、開閉方向(図3では、左右方向)に略沿って相互に間隔D2(以下、「第2の間隔D2」と称する)を隔てて配置されており、開閉体本体31に設けられた被ガイド部32(具体的には、被ガイド側接続部材32b)及びけん引部80の各々と固定具等によってそれぞれ接続されている。
【0069】
(構成-駆動システム-けん引部)
けん引部80は、第1プーリ部50a及び第2プーリ部50bの回転に伴って開閉体30を開閉方向に略沿ってけん引するけん引手段である。このけん引部80は、例えば公知のけん引部材(一例として、長尺な有端ベルト)を用いて構成されており、図3に示すように、無目13の内部において点検口13aに対応する部分に設けられている。
【0070】
具体的には、けん引部80の一方の端部(図3では、けん引部80の戸先側の端部)が第1接続部70aと接続され、且つ当該けん引部80の他方の端部(図3では、けん引部80の戸尻側の端部)が第2接続部70bと接続されている。なお、駆動システム40の構成の詳細については、後述する。
【0071】
(構成-開閉制御装置)
図1に戻り、開閉制御装置90は、開閉体30の開閉移動を制御するための装置であり、図1に示すように、検知部91、位置検知部(図示省略)、及び制御ユニット92を備えている。
【0072】
(構成-開閉制御装置-検知部)
検知部91は、図示しない検知領域に通行対象(例えば、人、動物、物等)が進入したか否かを検知する検知手段である。
【0073】
ここで、「検知領域」とは、開口部2の見込方向(前後方向)の近傍に位置する領域である。また、「近傍」とは、開口部2から離れた位置の範囲であって、当該位置の範囲に通行対象が存在した場合には、通行対象が開口部2を通過する確率が高くなると推定される位置の範囲であり、例えば、開口部2から見込方向(前後方向)に向けて所定距離(例えば、1m等)離れた位置までの範囲等が該当する。
【0074】
また、この検知部91は、例えば公知の検知センサ(一例として、量子型の赤外線センサ等)を用いて構成されており、図1図2に示すように、点検カバー13b及び無目13における部屋の室外側の面部の各々に設けられている。
【0075】
(構成-開閉制御装置-位置検知部)
位置検知部は、開閉体30の位置を検知する位置検知手段である。この位置検知部は、例えば公知の検知センサ(一例として、ロータリーエンコーダー等)を用いて構成されており、無目13の内部において駆動部60の近傍位置に設けられており、駆動部60に対して固定具等によって固定されている。
【0076】
(構成-開閉制御装置-制御ユニット)
制御ユニット92は、開閉制御装置90を制御するためのユニットである。この制御ユニット92は、例えば自動ドア装置用の制御ユニットを用いて構成され、無目13の内部において駆動部60の近傍位置に設けられており、通信部、電源部、制御部、及び記憶部を備えている。
【0077】
このうち、通信部は、駆動部60、検知部91、及び位置検知部の各々との間で配線を介して通信を行うための通信手段である。
【0078】
また、電源部は、外部電源から供給された電力を、配線を介して制御ユニット92の各部に供給すると共に、配線を介して駆動部60、検知部91、及び位置検知部にも供給する電源手段である。
【0079】
また、制御部は、制御ユニット92の各部を制御する制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである。
【0080】
また、記憶部は、制御ユニット92の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記憶する記憶手段であり、書き換え可能な記録媒体を用いて構成され、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性記録媒体を用いて構成されている。
【0081】
(構成-駆動システムの構成の詳細)
次に、駆動システム40の構成の詳細について説明する。ただし、駆動システム40は、特記する場合を除いて、任意の形状、方法、及び材質で製造することができる。
【0082】
駆動システム40の特徴については、実施の形態では、以下に示す通りとなる。
【0083】
(構成-駆動システムの構成の詳細-第1の特徴)
最初に、駆動システム40の第1の特徴については、けん引部80によってけん引される開閉体30の移動ストロークMSの長さが第1の間隔D1の長さよりも長くなるように、第1プーリ部50a、第2プーリ部50b、第1接続部70a、及び第2接続部70bは配置されている。
【0084】
ここで、「開閉体30の移動ストロークMS」とは、開閉体30が開閉移動することが可能なストローク(移動距離)を意味し、実施の形態では、図3に示すように、点検口13aの左右方向の長さCLよりも短い距離であって、開口部2の閉鎖方向側の端部から室内側方立14(又は室外側方立15)よりも若干閉鎖方向側の位置に至る距離として説明する。
【0085】
また、「開口部2の引き残し寸法LD」は、全開状態において開閉体30の部分のうち戸袋18に収納されていない部分の左右方向の長さを意味し、実施の形態では、図3に示すように、上記室内側方立14(又は室外側方立15)よりも若干閉鎖方向側の位置から室内側方立14(又は室外側方立15)に至る距離として説明する。
【0086】
具体的には、まず、全閉状態において、第1接続部70a又は第2接続部70bのいずれか一方が第1プーリ部50a及び第2プーリ部50bよりも開口部2の閉鎖方向側に位置し、又は/及び、全開状態において、第1接続部70a又は第2接続部70bのいずれか他方が第1プーリ部50a及び第2プーリ部50bよりも開口部2の開放方向側に位置するように、第1プーリ部50a、第2プーリ部50b、第1接続部70a、及び第2接続部70bは配置されている。
【0087】
より具体的には、図3に示すように、第1プーリ部50aは、室内側方立14(又は室外側方立15)の近傍位置(図3では、室内側方立14よりも閉鎖方向側の位置)に配置されており、第2プーリ部50bは、開口部2の閉鎖側端部と室内側方立14(又は室外側方立15)との間の位置(図3では、点検口13aの左右方向の略中央部よりも閉鎖方向側の位置)に配置されている。
【0088】
また、全閉状態において、第1接続部70aが第1プーリ部50a及び第2プーリ部50bよりも開口部2の閉鎖方向側(図3では、開口部2の左側)に位置し、及び、全開状態において、第2接続部70bが第1プーリ部50a及び第2プーリ部50bよりも開口部2の開放方向側(図4では、開口部2の右側)に位置するように、第1接続部70a及び第2接続部70bは配置されている。特に、図3図4では、第1接続部70aは、開閉体30の戸先側端部の近傍に配置されていると共に、第2接続部70bは、開閉体30の戸尻側端部の近傍に配置されている。
【0089】
このような配置により、第1の間隔D1の長さを確実に短くでき、点検口13aの大きさを確実に小さくできる。
【0090】
また、けん引部80が、第1接続部70a、第1プーリ部50a、第2プーリ部50b、及び第2接続部70bを順に経由しながら、第1プーリ部50a及び第2プーリ部50bを巻回するように、けん引部80は配置されている。ここで、「巻回する」とは、実施の形態では、第1プーリ部50a及び第2プーリ部50bの回転に伴ってけん引部80によって開閉体30がけん引されるように巻きめぐらせることを意味する。
【0091】
より具体的には、図3に示すように、けん引部80の戸先側の端部が第1接続部70aと接続され、且つけん引部80の戸尻側の端部が第2接続部70bと接続された状態で、けん引部80と第1プーリ部50a及び第2プーリ部50bの各々のプーリ本体51の外縁と当接するように、けん引部80は配置されている。
【0092】
このような配置により、第1の間隔D1の長さを確実に短くでき、点検口13aの大きさ(具体的には、点検口13aの左右方向の長さCL)を確実に小さくできる。
【0093】
また、第2の間隔D2の長さは、第1の間隔D1の長さよりも長く設定されている。
【0094】
より具体的には、図3に示すように、第1の間隔D1の長さ及び第2の間隔D2の長さは、それぞれ点検口13aの左右方向の長さCLよりも短く設定されている。また、第1の間隔D1の長さは、点検口13aの左右方向の長さCLの半分程度に設定されている。また、全開状態において第1接続部70aが第1プーリ部50aよりも開口部2の閉鎖方向側(図4では、左側)に位置するように、第2の間隔D2の長さは、第1の間隔D1の長さよりも長く、且つ、開閉体30の移動ストロークMSよりも長く設定されている。
【0095】
このような設定により、第2の間隔D2の長さを第1の間隔D1の長さよりも短くした場合に比べて、開閉体30の移動ストロークMSの長さを長くでき、点検口13aの大きさを小さくしやすくなる。
【0096】
以上のような第1の特徴により、従来技術(主動プーリ及び従動プーリに巻き掛けられた環状の歯付ベルトの回転に伴って開閉体30を開閉移動させる技術)に比べて、第1の間隔D1の長さを短くできる。よって、駆動システム40を従来の部材(具体的には、第1プーリ部50a、第2プーリ部50b、及び駆動部60)を用いて構成した場合でも、上記部材を点検するための点検口13aの大きさを小さくでき、駆動システム40の設置コストを抑制しながら、駆動システム40のメンテナンス性を確保できる。また、従来技術において主動プーリと従動プーリとの相互間の距離を短くし、且つ点検口の幅を短くする場合に比べて、第1プーリ部50a及び第2プーリ部50bの配置位置に関わらず、第1接続部70aを開閉体30の戸先側端部の近傍に配置しやすくなるため、開口部2の引き残し寸法LDが大きくなることを回避でき、開口部2の通行性を確保しやすくなる。
【0097】
(構成-駆動システムの構成の詳細-第2の特徴)
また、駆動システム40の第2の特徴については、第1プーリ部50a及び第2プーリ部50bの各々の回転軸52の軸方向が相互に略同一であり、且つ第1プーリ部50a及び第2プーリ部50bが当該軸方向において相互に異なる位置となるように、第1プーリ部50a及び第2プーリ部50bは配置されている。
【0098】
具体的には、図3に示すように、第1プーリ部50a及び第2プーリ部50bの各々の回転軸52の軸方向が上下方向に略沿うように、第1プーリ部50a及び第2プーリ部50bは配置されている。また、第1プーリ部50a及び第2プーリ部50bが上下方向において相互に異なる位置となるように、第1プーリ部50a及び第2プーリ部50bは配置されている。より具体的には、第1プーリ部50aが第2プーリ部50bよりも上方に位置すると共に、第1プーリ部50aが第2接続部70bよりも上方に位置するように配置されている。
【0099】
この場合において、けん引部80の部分のうち、第1プーリ部50aから第2プーリ部50bに至る部分が左右方向に対して傾斜するように、けん引部80は配置されている。
【0100】
また、開閉体30の開閉状態に関わらず、第1接続部70aが第2プーリ部50bと接触しないように、第1接続部70aは第2プーリ部50bが構成されている。具体的には、第1接続部70aは、側面形状が略コ字状である板状体にて形成されていると共に、開閉体30の開閉状態が全閉状態から全開状態に切り替えられる際に、平面方向から見て第1接続部70aと第2プーリ部50bとが重複しても、第1接続部70aのコ字状部分の開放端を介して第2プーリ部50bが第1接続部70aの上側片と下側片との間に位置するように、第1接続部70a及び第2プーリ部50bが配置されている。これにより、第1接続部70aと第2プーリ部50bとの接触を回避しながら、開閉体30の開閉移動をスムーズに行うことができる。
【0101】
このような第2の特徴により、開閉体30の開閉移動中に第1プーリ部50a及び第2プーリ部50bが第1接続部70a又は第2接続部70bと接触することを回避しやすくなり、開閉体30の移動ストロークMSの長さを確保できる。
【0102】
ただし、これに限らず、例えば、第1プーリ部50a及び第2プーリ部50bの各々の回転軸52の軸方向が前後方向に略沿うように、第1プーリ部50a及び第2プーリ部50bは配置されると共に、第1プーリ部50a及び第2プーリ部50bが前後方向において相互に異なる位置となるように、第1プーリ部50a及び第2プーリ部50bは配置されてもよい。
【0103】
(構成-駆動システムの構成の詳細-第3の特徴)
また、駆動システム40の第3の特徴については、第1プーリ部50a及び第2プーリ部50bは、全閉状態において開閉体30と対応する位置に配置されている。
【0104】
具体的には、図3に示すように、第1プーリ部50a及び第2プーリ部50bは、全閉状態において開閉体30の直上に位置するように配置されている。より具体的には、無目13の内部のうち、開口部2の直上に位置する部分であり、且つ点検口13aと対応する部分に配置されている。特に、図3では、第1プーリ部50a及び第2プーリ部50bは、無目13の内部のうち、全閉状態の開閉体30の戸先側端部よりも開口部3の開放方向側の位置であり、且つ当該開閉体30の戸尻側端部よりも開口部3の閉鎖方向側の位置に配置されていると共に、第1プーリ部50aは、第2プーリ部50bよりも開口部3の閉鎖方向側の位置に配置されている。
【0105】
このような第3の特徴により、例えば自動ドア装置1が戸袋ボード収まりタイプである場合に、開閉体30の開閉状態に関わらず、第1プーリ部50a及び第2プーリ部50bをメンテンナンス可能な位置に設けることができ、駆動システム40のメンテナンス性を確保しやすくなる。
【0106】
(引戸の作用)
次に、上述したように構成された自動ドア装置1の作用について説明する。
【0107】
すなわち、例えば、開閉制御装置90の制御部によって駆動部60が駆動されると、第1プーリ部50a(具体的には、プーリ本体51)の回転力によって第1プーリ部50a及び第2プーリ部50bを介してけん引部80が開閉方向に向けて送り出され、当該送り出されるけん引部80によって開閉体30が開閉方向に略沿ってけん引される。このような一連の動作により、開閉体30の開閉状態が図3の全閉状態、図4の全開状態、又は半開状態になるように、開閉体30を開閉方向に移動させることができる。
【0108】
また、図3に示すように、開閉体30の開閉状態が全閉状態である場合において、上述したように、開閉体30の移動ストロークMSの長さが第1の間隔D1の長さよりも長くなるように、第1プーリ部50a、第2プーリ部50b、第1接続部70a、及び第2接続部70bが配置されているので、点検カバー13bを無目13から取り外した状態(以下、「取外状態」と称する)では、左右方向の長さCLが無目13の左右方向の長さよりも短い点検口13aを介して第1プーリ部50a、第2プーリ部50b、駆動部60、第1接続部70a、第2接続部70b、及びけん引部80(すなわち、駆動システム40全体)が外部に露出される。これにより、上記点検口13aを介して駆動システム40全体の点検作業を効率的に行うことが可能となる。
【0109】
また、図4に示すように、開閉体30の開閉状態が全開状態(又は半開状態)である場合に、取外状態では、上記点検口13aを介して第1プーリ部50a、第2プーリ部50b、駆動部60、第1接続部70a、及びけん引部80の一部が外部に露出される。これにより、上記点検口13aを介して駆動システム40の一部の構成部材の点検作業を効率的に行うことが可能となる。
【0110】
(実施の形態の効果)
このように実施の形態によれば、第1プーリ部50aと開閉方向に略沿って第1の間隔D1を隔てて設けられた第2プーリ部50bと、第1プーリ部50aを回転させるための駆動部60と、開閉体30に接続された第1接続部70a及び第2接続部70bであって、開閉方向に略沿って相互に第2の間隔D2を隔てて設けられた第1接続部70a及び第2接続部70bと、第1プーリ部50a及び第2プーリ部50bの回転に伴って開閉体30を開閉方向に略沿ってけん引するけん引部80であって、当該けん引部80の一方の端部が第1接続部70aと接続され、且つ当該けん引部80の他方の端部が第2接続部70bと接続されたけん引部80と、を備え、けん引部80によってけん引される開閉体30の移動ストロークMSの長さが第1の間隔D1の長さよりも長くなるように、第1プーリ部50a、第2プーリ部50b、第1接続部70a、及び第2接続部70bを配置したので、従来技術(主動プーリ及び従動プーリに巻き掛けられた環状の歯付ベルトの回転に伴って開閉体30を開閉移動させる技術)に比べて、第1の間隔D1の長さを短くできる。よって、駆動システム40を従来の部材(具体的には、第1プーリ部50a、第2プーリ部50b、及び駆動部60)を用いて構成した場合でも、上記部材を点検するための点検口13aの大きさを小さくでき、駆動システム40の設置コストを抑制しながら、駆動システム40のメンテナンス性を確保できる。また、開口部2の引き残し寸法LDが大きくなることを回避でき、開口部2の通行性を確保しやすくなる。
【0111】
また、全閉状態において、第1接続部70a又は第2接続部70bのいずれか一方が第1プーリ部50a及び第2プーリ部50bよりも開口部2の閉鎖方向側に位置し、及び、全開状態において、第1接続部70a又は第2接続部70bのいずれか他方が第1プーリ部50a及び第2プーリ部50bよりも開口部2の開放方向側に位置するように、第1プーリ部50a、第2プーリ部50b、第1接続部70a、及び第2接続部70bを配置したので、第1の間隔D1の長さを確実に短くでき、点検口13aの大きさを確実に小さくできる。
【0112】
また、けん引部80が、第1接続部70a、第1プーリ部50a、第2プーリ部50b、及び第2接続部70bを順に経由しながら、第1プーリ部50a及び第2プーリ部50bを巻回するように、当該けん引部80を配置したので、第1の間隔D1の長さを確実に短くでき、点検口13aの大きさを確実に小さくできる。
【0113】
また、第2の間隔D2の長さを、第1の間隔D1の長さよりも長くしたので、第2の間隔D2の長さを第1の間隔D1の長さよりも短くした場合に比べて、開閉体30の移動ストロークMSの長さを長くでき、点検口13aの大きさを小さくしやすくなる。
【0114】
また、第1プーリ部50a及び第2プーリ部50bの各々の回転軸52の軸方向が相互に略同一であり、且つ第1プーリ部50a及び第2プーリ部50bが当該軸方向において相互に異なる位置となるように、第1プーリ部50a及び第2プーリ部50bを配置したので、開閉体30の開閉移動中に第1プーリ部50a及び第2プーリ部50bが第1接続部70a又は第2接続部70bと接触することを回避しやすくなり、開閉体30の移動ストロークMSの長さを確保できる。
【0115】
また、第1プーリ部50a及び第2プーリ部50bを、全閉状態において開閉体30と対応する位置に配置したので、例えば自動ドア装置1が戸袋ボード収まりタイプである場合に、開閉体30の開閉状態に関わらず、第1プーリ部50a及び第2プーリ部50bをメンテンナンス可能な位置に設けることができ、駆動システム40のメンテナンス性を確保しやすくなる。
【0116】
〔III〕実施の形態に対する変形例
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0117】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0118】
(形状、数値、構造、時系列について)
実施の形態や図面において例示した構成要素に関して、形状、数値、又は複数の構成要素の構造若しくは時系列の相互関係については、本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。
【0119】
(自動ドア装置について)
上記実施の形態では、自動ドア装置1が、戸袋18を備えていると説明したが、これに限らず、例えば、戸袋18を省略してもよい。この場合には、点検口13aが、無目13における部屋の室内側の面部のうち、無目13の戸先側の部分、無目13の左右方向の中央部分、又は無目13の戸尻側の部分に配置されてもよい。そして、駆動システム40は、無目13の内部において点検口13aと対応する位置に配置されてもよい。
【0120】
(開閉体について)
上記実施の形態では、開閉体30が、被ガイド部32、戸先側戸当たり部、及び戸尻側戸当たり部34を備えていると説明したが、これに限らず、例えば、被ガイド部32、戸先側戸当たり部、又は戸尻側戸当たり部34の少なくともいずれか1つを省略してもよい。
【0121】
(点検口について)
上記実施の形態では、点検口13aが、無目13における部屋の室内側の面部に設けられていると説明したが、これに限らず、例えば、無目13における部屋の室外側の面部に設けられてもよい。
【0122】
(駆動システムについて)
上記実施の形態では、全閉状態において、第1接続部70a又は第2接続部70bのいずれか一方が第1プーリ部50a及び第2プーリ部50bよりも開口部2の閉鎖方向側に位置し、及び、全開状態において、第1接続部70a又は第2接続部70bのいずれか他方が第1プーリ部50a及び第2プーリ部50bよりも開口部2の開放方向側に位置するように、第1プーリ部50a、第2プーリ部50b、第1接続部70a、及び第2接続部70bが配置されていると説明したが、これに限らない。例えば、全閉状態において、第1接続部70a又は第2接続部70bのいずれか一方が第1プーリ部50a及び第2プーリ部50bよりも開口部2の閉鎖方向側に位置するが、全開状態において、第1接続部70a及び第2接続部70bが第1プーリ部50a及び第2プーリ部50bよりも開口部2の開放方向側に位置しないように、配置されてもよい。あるいは、全閉状態において、第1接続部70a及び第2接続部70bが第1プーリ部50a及び第2プーリ部50bよりも開口部2の閉鎖方向側に位置しないが、全開状態において、第1接続部70a又は第2接続部70bのいずれか他方が第1プーリ部50a及び第2プーリ部50bよりも開口部2の開放方向側に位置するように、配置されてもよい。
【0123】
(第1プーリ部、第2プーリ部について)
上記実施の形態では、第1プーリ部50aが、第2プーリ部50bよりも上方に配置されていると説明した、これに限らない。例えば、第1接続部70a及び第2接続部70bが第1プーリ部50a及び第2プーリ部50bと接触しないように、第1接続部70aは第2プーリ部50bよりも前方(又は後方)に配置されている場合には、第1プーリ部50aは、第2プーリ部50bよりも下方に配置されてもよい。
【0124】
また、上記実施の形態では、第1プーリ部50a及び第2プーリ部50bが、全閉状態において開閉体30と対応する位置に配置されていると説明したが、これに限らない。例えば、自動ドア装置1が戸袋ボード収まりタイプでない場合には、第1プーリ部50a及び第2プーリ部50bの少なくとも一部は、全閉状態において開閉体30と対応しない位置に配置されてもよい。一例として、第1プーリ部50a及び第2プーリ部50bが、全閉状態において開閉体30の直上に位置しないように配置されてもよい。
【0125】
また、上記実施の形態では、プーリ手段の設置数が2つであると説明したが、これに限らず、例えば、3つ以上であってもよい。この場合において、例えば、プーリ手段として第1プーリ部50a、第2プーリ部50b、及び第3プーリ部が設けられている場合には、けん引部80が、第1接続部70a、第1プーリ部50a、第2プーリ部50b、第3プーリ部、及び第2接続部70bを順に経由しながら、第1プーリ部50a、第2プーリ部50b、及び第3プーリ部を巻回するように、当該けん引部80は配置されてもよい。
【0126】
また、上記実施の形態では、第1プーリ部50aが、室内側方立14(又は室外側方立15)の近傍位置に配置され、第2プーリ部50bが、開口部2の閉鎖側端部と室内側方立14(又は室外側方立15)との間の位置に配置されていると説明したが、これに限らない。例えば、第1プーリ部50aが、開口部2の閉鎖側端部と室内側方立14(又は室外側方立15)との間の位置に配置され、第2プーリ部50bが、室内側方立14(又は室外側方立15)の近傍位置に配置されてもよい。この場合には、第1接続部70a、第2プーリ部50b、第1プーリ部50a、及び第2接続部70bを順に経由しながら、第1プーリ部50a及び第2プーリ部50bを巻回するように、けん引部80は配置されてもよい。
【0127】
(けん引部について)
上記実施の形態では、けん引部80が、有端ベルトであると説明したが、これに限らず、例えば、有端ワイヤ又は有端チェーンであってもよい。
【0128】
(第1の間隔、第2の間隔について)
上記実施の形態では、第1の間隔D1の長さが、点検口13aの左右方向の長さCLの半分程度に設定されていると説明したが、これに限らず、例えば、点検口13aの左右方向の長さCLの半分よりも短く(又は長く)設定されてもよい。この場合には、第2の間隔D2の長さが、上記実施の形態に係る第2の間隔D2の長さよりも短く設定されると共に、点検口13aの左右方向の長さCLが、上記実施の形態に係る点検口13aの左右方向の長さCLよりも短く設定されてもよい。
【0129】
また、上記実施の形態では、第2の間隔D2の長さが、第1の間隔D1の長さよりも長く設定されていると説明したが、これに限らず、例えば、第1の間隔D1の長さ以下に設定されてもよい。
【0130】
(付記)
付記1の自動ドア装置用の駆動システムは、建物の開口部に設けられる自動ドア装置を構成する開閉体であり、前記開口部の開閉を行う開閉体を開閉方向に略沿ってスライド移動させるための駆動システムであって、第1プーリ手段と、前記第1プーリ手段と開閉方向に略沿って第1の間隔を隔てて設けられた第2プーリ手段と、前記第1プーリ手段を回転させるための駆動手段と、前記開閉体に接続された第1接続手段及び第2接続手段であって、前記開閉方向に略沿って相互に第2の間隔を隔てて設けられた第1接続手段及び第2接続手段と、前記第1プーリ手段及び前記第2プーリ手段の回転に伴って前記開閉体を前記開閉方向に略沿ってけん引するけん引手段であって、当該けん引手段の一方の端部が前記第1接続手段と接続され、且つ当該けん引手段の他方の端部が前記第2接続手段と接続されたけん引手段と、を備え、前記けん引手段によってけん引される前記開閉体の移動ストロークの長さが前記第1の間隔の長さよりも長くなるように、前記第1プーリ手段、前記第2プーリ手段、前記第1接続手段、及び前記第2接続手段を配置した。
【0131】
付記2の自動ドア装置用の駆動システムは、付記1に記載の自動ドア装置用の駆動システムにおいて、前記開閉体によって前記開口部を全閉した全閉状態において、前記第1接続手段又は前記第2接続手段のいずれか一方が前記第1プーリ手段及び前記第2プーリ手段よりも前記開口部の閉鎖方向側に位置し、又は/及び、前記開閉体によって前記開口部を全開した全開状態において、前記第1接続手段又は前記第2接続手段のいずれか他方が前記第1プーリ手段及び前記第2プーリ手段よりも前記開口部の開放方向側に位置するように、前記第1プーリ手段、前記第2プーリ手段、前記第1接続手段、及び前記第2接続手段を配置した。
【0132】
付記3の自動ドア装置用の駆動システムは、付記1又は2に記載の自動ドア装置用の駆動システムにおいて、前記けん引手段が、前記第1接続手段、前記第1プーリ手段、前記第2プーリ手段、及び前記第2接続手段を順に経由しながら、前記第1プーリ手段及び前記第2プーリ手段を巻回するように、当該けん引手段を配置した。
【0133】
付記4の自動ドア装置用の駆動システムは、付記1から3のいずれか一項に記載の自動ドア装置用の駆動システムにおいて、前記第2の間隔の長さを、前記第1の間隔の長さよりも長くした。
【0134】
付記5の自動ドア装置用の駆動システムは、付記1から4のいずれか一項に記載の自動ドア装置用の駆動システムにおいて、前記第1プーリ手段及び前記第2プーリ手段の各々の回転軸の軸方向が相互に略同一であり、且つ前記第1プーリ手段及び前記第2プーリ手段が当該軸方向において相互に異なる位置となるように、前記第1プーリ手段及び前記第2プーリ手段を配置した。
【0135】
付記6の自動ドア装置用の駆動システムは、付記1から5のいずれか一項に記載の自動ドア装置用の駆動システムにおいて、前記第1プーリ手段及び前記第2プーリ手段を、前記開閉体によって前記開口部を全閉した全閉状態において前記開閉体と対応する位置に配置した。
【0136】
付記7の自動ドア装置は、付記1から6のいずれか一項に記載の自動ドア装置用の駆動システムを備えた。
【0137】
(付記の効果)
付記1に記載の自動ドア装置用の駆動システム、及び付記7に記載の自動ドア装置によれば、第1プーリ手段と開閉方向に略沿って第1の間隔を隔てて設けられた第2プーリ手段と、第1プーリ手段を回転させるための駆動手段と、開閉体に接続された第1接続手段及び第2接続手段であって、開閉方向に略沿って相互に第2の間隔を隔てて設けられた第1接続手段及び第2接続手段と、第1プーリ手段及び第2プーリ手段の回転に伴って開閉体を開閉方向に略沿ってけん引するけん引手段であって、当該けん引手段の一方の端部が第1接続手段と接続され、且つ当該けん引手段の他方の端部が第2接続手段と接続されたけん引手段と、を備え、けん引手段によってけん引される開閉体の移動ストロークの長さが第1の間隔の長さよりも長くなるように、第1プーリ手段、第2プーリ手段、第1接続手段、及び第2接続手段を配置したので、従来技術(主動プーリ及び従動プーリに巻き掛けられた環状の歯付ベルトの回転に伴って開閉体を開閉移動させる技術)に比べて、第1の間隔の長さを短くできる。よって、駆動システムを従来の部材(具体的には、第1プーリ手段、第2プーリ手段、及び駆動手段)を用いて構成した場合でも、上記部材を点検するための点検口の大きさを小さくでき、駆動システムの設置コストを抑制しながら、駆動システムのメンテナンス性を確保できる。また、開口部の引き残し寸法が大きくなることを回避でき、開口部の通行性を確保しやすくなる。
【0138】
付記2に記載の自動ドア装置用の駆動システムによれば、全閉状態において、第1接続手段又は第2接続手段のいずれか一方が第1プーリ手段及び第2プーリ手段よりも開口部の閉鎖方向側に位置し、又は/及び、全開状態において、第1接続手段又は第2接続手段のいずれか他方が第1プーリ手段及び第2プーリ手段よりも開口部の開放方向側に位置するように、第1プーリ手段、第2プーリ手段、第1接続手段、及び第2接続手段を配置したので、第1の間隔の長さを確実に短くでき、点検口の大きさを確実に小さくできる。
【0139】
付記3に記載の自動ドア装置用の駆動システムによれば、けん引手段が、第1接続手段、第1プーリ手段、第2プーリ手段、及び第2接続手段を順に経由しながら、第1プーリ手段及び第2プーリ手段を巻回するように、当該けん引手段を配置したので、第1の間隔の長さを確実に短くでき、点検口の大きさを確実に小さくできる。
【0140】
付記4に記載の自動ドア装置用の駆動システムによれば、第2の間隔の長さを、第1の間隔の長さよりも長くしたので、第2の間隔の長さを第1の間隔の長さよりも短くした場合に比べて、開閉体の移動ストロークの長さを長くでき、点検口の大きさを小さくしやすくなる。
【0141】
付記5に記載の自動ドア装置用の駆動システムによれば、第1プーリ手段及び第2プーリ手段の各々の回転軸の軸方向が相互に略同一であり、且つ第1プーリ手段及び第2プーリ手段が当該軸方向において相互に異なる位置となるように、第1プーリ手段及び第2プーリ手段を配置したので、開閉体の開閉移動中に第1プーリ手段及び第2プーリ手段が第1接続手段又は第2接続手段と接触することを回避しやすくなり、開閉体の移動ストロークの長さを確保できる。
【0142】
付記6に記載の自動ドア装置用の駆動システムによれば、第1プーリ手段及び第2プーリ手段を、全閉状態において開閉体と対応する位置に配置したので、例えば自動ドア装置が戸袋ボード収まりタイプである場合に、開閉体の開閉状態に関わらず、第1プーリ手段及び第2プーリ手段をメンテンナンス可能な位置に設けることができ、駆動システムのメンテナンス性を確保しやすくなる。
【符号の説明】
【0143】
1 自動ドア装置
2 開口部
3 躯体
4 床面
10 枠体
11 戸先縦枠材
12 戸尻縦枠材
13 無目
13a 点検口
13b 点検カバー
14 室内側方立
15 室外側方立
16 室内側戸袋ボード体
16a 補強材
16b 下地ボード
16c 仕上げボード
17 室外側戸袋ボード体
18 戸袋
20 レール部
30 開閉体
31 開閉体本体
31a 表面材
32 被ガイド部
32a ガイドローラ
32b 被ガイド側接続部材
34 戸尻側戸当たり部
40 駆動システム
50a 第1プーリ部
50b 第2プーリ部
51 プーリ本体
52 回転軸
60 駆動部
70a 第1接続部
70b 第2接続部
80 けん引部
90 開閉制御装置
91 検知部
92 制御ユニット
CL 点検口の左右方向の長さ
D1 第1の間隔
D2 第2の間隔
LD 引き残し寸法
MS 移動ストローク
図1
図2
図3
図4