(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022014908
(43)【公開日】2022-01-20
(54)【発明の名称】拡張Cバンド可変レーザのためのサイドモード抑制
(51)【国際特許分類】
H01S 5/14 20060101AFI20220113BHJP
H01S 5/343 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
H01S5/14
H01S5/343
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021111862
(22)【出願日】2021-07-06
(31)【優先権主張番号】16/922,622
(32)【優先日】2020-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517018433
【氏名又は名称】インファイ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INPHI CORPORATION
【住所又は居所原語表記】2953 BUNKER HILL LANE, SUITE 300 SANTA CLARA, CALIFORNIA 95054
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】シャオグアン ヘ
(72)【発明者】
【氏名】ラダクリシュナン エル. ナガラジャン
【テーマコード(参考)】
5F173
【Fターム(参考)】
5F173AA05
5F173AB33
5F173AB44
5F173AB47
5F173AB50
5F173AH07
5F173AL04
5F173AR06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ワイドバンド波長可変レーザを改善する方法。
【解決手段】第1ファセットと第2ファセットとの間のゲイン領域を、P型クラッド層とN型クラッド層との間の活性層を有するPN接合に対して横断方向に構成することを含む。方法は更に、活性層において励起され、第2ファセットから部分的に反射された光を結合し、ジョイント自由スペクトル範囲(JFSR)によって分離された多重モードを有するジョイント干渉スペクトルを生成するよう構成される波長調整器へ第1ファセットを通じて通過させる段階を含む。追加的に、方法は、波長を増加させるために低減した反射率を有するように第2ファセットを構成する段階を含む。更に、方法は、活性層の近くの吸収層を有するゲインチップを再構成して、短波長サイドモードに関連する最長波長より短い波長についてゲイン損失を誘導する段階を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイドバンド波長可変レーザを改善するための方法であって、
第1ファセットと第2ファセットとの間のゲイン領域に対して長手方向であり、P型クラッド層とN型クラッド層との間の活性層を有するPN接合に対して横断方向であるゲインチップを構成する段階と、
前記活性層において励起され、前記第2ファセットから少なくとも部分的に反射された光を結合して、ジョイント自由スペクトル範囲(JFSR)によって分離された、隔離されたスペクトルピークにおける多重モードを有するジョイント干渉スペクトルを生成するよう構成された波長調整器へ前記第1ファセットを介して通過させる段階と、
基本モードJFSRピークから長波長サイドモードJFSRピークに増加する波長についての低減した光反射率を有するよう前記第2ファセットを構成する段階と、
短波長サイドモードJFSRピークに関連する最長波長より短い波長についてゲイン損失を誘導するために、前記活性層の近くの前記N型クラッド層に配設された吸収層を有する前記ゲインチップを再構成する段階と、
前記ゲインチップにおいて前記基本モードJFSRピークにおける光を増幅する段階と
を備える方法。
【請求項2】
ゲインチップを構成する段階は、前記ゲイン領域に基づいて反射型半導体光学増幅器を形成する段階と、前記第1ファセットを99.99%より高い透過率の反射防止ファセットにして前記ゲイン領域から前記波長調整器へ光を通過させる段階と、約1526nmから約1568nmの拡張Cバンドにおける波長の光に対して、前記第2ファセットを10%未満の反射率および部分的に透過性であるようにして、前記波長調整器によって調整される前記拡張Cバンドにおける波長のレーザを出力するための出射口として機能させる段階とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記光を結合する段階は、前記ゲインチップから前記光を受信するために、シリコンフォトニクス基板において形成される前記波長調整器を、エッジカプラを介して前記第1ファセットに接続する段階を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記光を結合する段階は更に、前記ゲインチップから受信された前記光と干渉する前記光を反射するために、前記シリコンフォトニクス基板における前記波長調整器を、導波路を介して反射器に接続する段階を含み、それにより、前記ジョイント干渉スペクトルを生成する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記反射器に加えて前記波長調整器は、前記基本モードと最近傍サイドモードとの間で約85nmに等しい前記JFSRを有するよう設計され、前記拡張Cバンドにおいて前記基本モードを調整するよう構成され、約1611nmにおける前記長波長サイドモード、および、約1483nmにおける前記短波長サイドモードを生じさせる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第2ファセットを構成する段階は、約1526nmにおける前記基本モードJFSRピークにおける反射率と比較して約3倍のサイドモード抑制率(SMSR)で、約1611nmにおける前記長波長サイドモードJFSRピークを抑制するために、波長の増加に伴って反射率が単調に減少する、約1526nmから約1568nmの拡張Cバンドについて10%未満の光反射率を特徴とする低反射率コーティングを形成する段階を含み、請求項2から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記低反射率コーティングは、Al2O3、Ta2O5、Si、SiO2、または、それらの材料の組み合わせから選択されたものからできた一層または三層構造を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記活性層は、4μm範囲内に制限されたエネルギー分布を有する前記光を励起するよう構成される、InGaAsまたはInGaAsPまたはAlGaInAsからできている歪層量子井戸構造を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ゲインチップを再構成する段階は、前記N型クラッド層において2μm範囲内で前記活性層の近くに前記吸収層を形成する段階を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記吸収層は、前記活性層の前記歪層量子井戸構造の20~30%の閉じ込め係数で形成される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記吸収層は、約1490nmにおける前記短波長サイドモードJFSRピークに関連する最長波長より小さいバンドギャップを有するGaInAsPまたはAlGaInAs半導体材料を含む、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
ゲインチップを構成する段階は、前記ゲイン領域に基づいて反射型半導体光学増幅器を形成する段階と、前記第2ファセットを、約1526nmから約1568nmの拡張Cバンドにおける波長について90%より高い反射率を有する一方で、前記長波長サイドモードJFSRピークの周囲の波長の近くの反射率低下を有する高反射率ファセットにする段階と、光を前記ゲイン領域から前記波長調整器に、更に、前記波長調整器によって調整された前記拡張Cバンドにおける波長を有するレーザを出力するための出射口に通過させるために、前記第1ファセットを99.99%より高い透過率を有する反射防止ファセットにする段階とを含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
ワイドバンド波長可変レーザのための反射型半導体光学増幅器のゲインチップであって、
第1ファセットと第2ファセットとの間の直線リッジ導波路として長手方向に、P型クラッド層およびN型クラッド層のPN接合として横断方向に構成されるゲイン領域と、
前記P型クラッド層と前記N型クラッド層との間に形成され、光を励起するよう構成される活性層と、
予め定められた値より短い波長について前記光のゲインプロファイルにおける過剰損失を生じさせるために、重なったエネルギー分布を有する、前記活性層の近くのN型クラッド層における吸収層と、
前記第1ファセットにおいて構成された反射防止光学特性と、
前記第2ファセットにおいて構成された部分反射光学特性と
を備え、前記活性層において励起された前記光は、前記第2ファセットにおいて部分的に反射され、前記第1ファセットを通じて、ジョイント自由スペクトル範囲(JFSR)によって分離された、隔離されたスペクトルピークにおける多重モードを有するジョイント干渉スペクトルを生成する波長調整器内に通過され、前記多重モードの基本モードJFSRピークは、前記波長調整器によってワイドバンドの波長において調整され、レーザ光として出射する前に前記ゲイン領域において増幅され、一方、長波長サイドモードJFSRピークおよび短波長JFSRピークは抑制される、ゲインチップ。
【請求項14】
前記活性層は、4μm範囲内に空間的に制限されたエネルギー分布を有する前記光を励起するよう構成される、InGaAsまたはInGaAsPまたはAlGaInAsからできている歪層量子井戸構造を含む、請求項13に記載のゲインチップ。
【請求項15】
前記吸収層は、前記歪層量子井戸構造の20~30%の閉じ込め係数を有する、重なった前記活性層の近くの前記N型クラッド層における位置を含む、請求項14に記載のゲインチップ。
【請求項16】
前記第1ファセットにおける前記反射防止光学特性は、99.99%より高い光透過率を有する反射防止コーティングを含み、前記活性層において励起された前記光が前記波長調整器内に通過することを可能にする、請求項13から15のいずれか一項に記載のゲインチップ。
【請求項17】
前記第2ファセットにおける前記部分反射光学特性は、前記第2ファセットをレーザ出射口として構成するために、約1526nmから約1568nmの拡張Cバンドにおける波長を有する光に対して、10%より低い光反射率および部分的透過性を有する低反射率コーティングを含む、請求項13から16のいずれか一項に記載のゲインチップ。
【請求項18】
前記第2ファセットにおける前記部分反射光学特性は、それだけで別のレーザ出射口に結合された、または、別の半導体光学増幅器と関連する前記波長調整器を通じて光を反射させるための反射器として前記第2ファセットを構成するために、約1526nmから約1568nmの拡張Cバンドにおける波長を有する光に対して、90%より大きい光反射率を有する高反射率コーティングを含む、請求項13から16のいずれか一項に記載のゲインチップ。
【請求項19】
前記波長調整器は、約85nmの大きさの前記JFSRを有する約1526nmから約1568nmの拡張Cバンド全体にわたって前記基本モードJFSRピークを調整可能にするよう設計され、前記ジョイント干渉スペクトルは、前記拡張Cバンドのローエンドにおける前記基本モードJFSRピークに対応する約1611nmにおける最近傍長波長サイドモードJFSRピーク、および、前記拡張Cバンドのハイエンドにおける前記基本モードJFSRピークに対応する約1483nmにおける最近傍短波長サイドモードJFSRピークを含む、請求項13から18のいずれか一項に記載のゲインチップ。
【請求項20】
前記吸収層は、約1483nmにおける前記最近傍短波長サイドモードJFSRピークを抑制するために、予め定められた値(=1490nm)より小さいバンドギャップを有するGaInAsPまたはAlGaInAs半導体材料を含む、請求項19に記載のゲインチップ。
【請求項21】
前記第2ファセットにおける前記部分反射光学特性は、約1611nmにおける前記最近傍長波長サイドモードJFSRピークを抑制するために、波長の増加に伴って単調に減少する光反射率を提供するよう構成される、Al2O3、Ta2O5、Si、SiO2、またはそれらの材料の組み合わせから選択されたものからできている一層または三層構造のコーティングを含む、請求項19または20に記載のゲインチップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信技法に関する。より具体的には、本発明は、拡張Cバンドを有する反射型半導体光学増幅器、サイドモード抑制を有する拡張Cバンドを介した可変レーザの反射型半導体光学増幅器のゲインチップ、および、それを有する波長可変レーザに基づく波長可変レーザのためのサイドモードを抑制する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
過去数年間で、通信ネットワークの使用が普及した。インターネットの黎明期には、主要な用途は、電子メール、掲示板、および、概ね情報のためのテキストベースのウェブページサーフィンに限定され、転送されるデータ量は通常、比較的小さかった。現代、インターネットおよびモバイルアプリケーションは、写真、映像、音楽および他のマルチメディアファイルを転送するために大量のバンド幅を必要とする。例えば、ファイスブックなどのソーシャルネットワークは、毎日500TBより多くのデータを処理する。データおよびデータ転送に対するそのような高い需要により、既存のデータ通信システムは、これらの必要性に対処するために改善される必要がある。
【0003】
既存のシングルモードファイバに代わる、40Gbit/sおよび100Gbit/sデータレートワイドバンドDWDM(高密度波長分割多重方式)光伝送が、次世代の光ファイバ通信ネットワークの目標である。チップスケールワイドバンド波長可変レーザは、ワイドバンドDWDM通信および波長ステアリング光検出・測距(LIDAR)検知などの多くの用途に有益であった。より近年において、マイクロ電子チップと共存する大規模光集積回路を製造するために、シリコン(Si)基板上でフォトニクスコンポーネントが集積されている。フィルタ、マルチプレクサ(デマルチプレクサ)、スプリッタ、モジュレータ、および光検出器のすべてを含むフォトニクスコンポーネントは、概ねシリコン・オン・インシュレータ(SOI)プラットフォームにおいて実証されてきた。SOIプラットフォームは特に、1300nmおよび1550nmの標準WDM通信バンドに好適である。なぜなら、シリコン(n=3.48)およびその酸化物SiO2(n=1.44)は両方とも透明であり、高集積度シリコンフォトニクス集積回路(SPIC)の媒体に理想的に好適な、高屈折率コントラスト、高閉じ込め導波路を形成するからである。
【0004】
シリコンフォトニクスプラットフォームにおける波長可変半導体レーザは、スペクトル効率が増加したワイドバンド光学ファイバ通信の多くの用途のための主要な要素として実装されてきた。より複雑な光学位相ロックループを利用しない、位相偏移変調(PSK)および直角位相振幅変調(QAM)など様々なスペクトル効率変調形式。しかしながら、反射型半導体光学増幅器に基づく拡張ワイドバンド波長可変レーザにおける十分なサイドモード抑制率を有する自由スペクトル範囲を拡大するためのシリコンフォトニクスプラットフォームの下で、小サイズの可変フィルタのバーニアリングを作成するなど、技術的な課題が存在する。従って、改善された技法および方法が所望される。
【発明の概要】
【0005】
本発明は光通信技法に関する。より具体的には、本発明は、拡張Cバンドにおける波長可変レーザの干渉スペクトルのサイドモードを抑制するための方法と、長波長サイドモードを抑制するための、減少した反射率、および、短波長サイドモードを抑制するための過剰損失を有する修正されたゲイン曲線を有する高反射率(HR)ファセットからレーザ光を当てるよう構成された反射型半導体光学増幅器のゲインチップと、拡張Cバンドにおける光波長を有する同一のゲインチップから出射されるレーザを調整するためのバーニアリング反射器調整器を有する波長可変レーザとを提供するが、他の適用も可能である。
【0006】
実施形態において、本発明は、ワイドバンド波長可変レーザを改善する方法を提供する。方法は、第1ファセットと第2ファセットとの間のゲイン領域の長手方向に、および、P型クラッド層とN型クラッド層との間の活性層を有するPN接合に対して横断方向にゲインチップを構成する段階を備える。方法は更に、活性層において励起され、第2ファセットから少なくとも部分的に反射された光を結合し、ジョイント自由スペクトル範囲(JFSR)によって分離された、隔離されたスペクトルピークにおける多重モードを有するジョイント干渉スペクトルを生成するよう構成される波長調整器へ第1ファセットを通じて通過させる段階を含む。追加的に、方法は、基本モードJFSRピークから長波長サイドモードJFSRピークに波長を増加させる、低減された光反射率を有するように第2ファセットを構成する段階を含む。更に、方法は、活性層の近くの、N型クラッド層に配設された吸収層を有するゲインチップを再構成して、短波長サイドモードJFSRピークに関連する最長波長より短い波長についてゲイン損失を誘導する段階を含む。更に、方法は、ゲインチップにおける基本モードJFSRピークにおいて光を増幅させる段階を含む。
【0007】
代替的実施形態において、本発明は、ワイドバンド波長可変レーザについての反射型半導体光学増幅器のゲインチップを提供する。ゲインチップは、第1ファセットと第2ファセットとの間に直線リッジ導波路として長手方向に、P型クラッド層およびN型クラッド層のPN接合として横断方向に構成されるゲイン領域を含む。ゲインチップは更に、P型クラッド層とN型クラッド層との間に形成された、光を励起するよう構成される活性層を含む。追加的に、ゲインチップは、予め定められた値より短い波長についての光のゲインプロファイルにおいて過剰損失を生じさせるために、重なったエネルギー分布を有する活性層の近くのN型クラッド層において吸収層を含む。ゲインチップは更に、第1ファセットにおいて構成された反射防止光学特性を含む。更に、ゲインチップは、第2ファセットにおいて構成された部分反射光学特性を含む。更に、活性層において励起された光は、第2ファセットにおいて部分的に反射され、ジョイント自由スペクトル範囲(JFSR)によって分離された隔離されたスペクトルピークにおける多重モードを有するジョイント干渉スペクトルを生成する波長調整器内に第1ファセットを通して通過される。多重モードの基本モードJFSRピークは、波長調整器によって、ワイドバンドの波長において調整され、レーザ光として出射する前にゲイン領域において増幅され、一方で長波長サイドモードJFSRピークおよび短波長JFSRピークが抑制される。
【0008】
更に別の代替的実施形態において、本発明は波長可変半導体レーザを提供する。波長可変半導体レーザは、より長波長について光反射率を減少させる反射防止特性を有する第1ファセットと低反射率特性を有する第2ファセットとの間の直線導波路として長手方向に構成され、P型クラッド層とN型クラッド層との間の光を励起させるための活性層を含むPN接合として横断方向に構成されるゲイン領域を含むゲインチップを含む。波長可変半導体レーザは更に、ゲイン領域において光のゲインプロファイルにおける過剰損失を生じさせるために、N型クラッド層における活性層の近くに形成される吸収層を含む。追加的に、波長可変半導体レーザは、シリコンフォトニクス基板に形成され、第2ファセットから部分的に反射された光を受信するために第1ファセットに結合される波長調整器を含む。更に、波長可変半導体レーザは、光を拡張キャビティにおけるゲイン領域に反射して、ジョイント自由スペクトル範囲(JFSR)によって分離される多重モードを有するジョイント干渉スペクトルを生成するために波長調整器に結合された反射器を含む。更に、JFSRピークの多重モードにおける光は、拡張Cバンドにおける波長調整器によって約1526nmから約1568nmに調整可能な、第2ファセットを介してレーザ光を当てる前に拡張キャビティにおいて増幅される基本モードを含み、一方、高波長サイドモードは、第2ファセットで提供された、より長波長について減少した反射率を有する低反射率特性によって抑制され、短波長サイドモードは、吸収層によって生じるゲインプロファイルにおける過剰損失によって抑制される。
【0009】
更に別の代替的実施形態において、本発明は波長可変半導体レーザを提供する。波長可変半導体レーザは、反射防止特性を有する第1ファセットと、高反射率特性を有するが、拡張Cバンドのハイエンドより長い特定波長についての光反射率が低下した第2ファセットとの間に直線導波路として長手方向に構成され、かつ、P型クラッド層とN型クラッド層との間の光を励起するための活性層を含むPN接合として横断方向に構成される第1ゲイン領域を含む第1ゲインチップを備える。波長可変半導体レーザは更に、第1ゲイン領域において光のゲインプロファイルにおける過剰損失を生じさせるために、N型クラッド層における活性層の近くに形成される吸収層を含む。追加的に、波長可変半導体レーザは、シリコンフォトニクス基板において形成され、かつ、第2ファセットから反射された光を受信するために第1ファセットに結合された波長調整器を含み、第1ゲイン領域において第2ファセットで拡張キャビティを形成し、ジョイント自由スペクトル範囲(JFSR)によって分離された多重モードを有するジョイント干渉スペクトルを生成する。波長調整器は、第2ファセットで提供されるより長波長について減少した反射率を有する低反射率特性によって高波長サイドモードが抑制され、吸収層によって生じるゲインプロファイルにおける過剰損失によって短波長サイドモードが抑制ながら、JFSRピークの多重モードにおける基本モードの波長を調整するよう構成される。更に、波長可変半導体レーザは、約1526nmから約1568nmの拡張Cバンドにおける波長調整器によって調整された基本モードの波長を有する光を受信し、かつ、波長を細かく調整してロックするために波長調整器に結合された波長ロッカを含む。更に、波長可変半導体レーザは、当該波長を有する光をレーザ照射するために、第1ゲインチップからより遠位にある波長ロッカに結合されたレーザ光出口を含む。任意選択で、レーザ光出口は、波長ロッカに結合された半導体光学増幅器の第2ゲインチップのファセットに結合される。
【0010】
本発明は、波長調整器を有し、かつ、任意選択で反射器、波長ロッカ、および半導体光学増幅器を含む波長可変レーザの既知の技術のコンテキストにおいてこれらの利益および他のものを実現する。しかしながら、本発明の性質および特長の更なる理解は、明細書および添付図面の後者の部分を参照することによって実現され得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
以下の図は単に例であり、本明細書の特許請求の範囲を不当に制限するべきでない。当業者であれば、多くの他の変形形態、修正形態、代替形態を認識するであろう。また、本明細書に説明される例および実施形態は、説明のみを目的とし、それらに基づく様々な修正または変更が当業者に示唆され、付属の特許請求の範囲のこのプロセスおよび範囲の思想および権限に含まれるものとすることを理解すべきである。
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態による、波長調整器+反射器に結合された反射型半導体光学増幅器に基づく可変レーザの概略図である。
【0013】
【
図2】本発明の一実施形態による、反射器に結合された2つのバーニアリングに基づく波長調整器からの個別およびジョイント反射スペクトルの図を示す。
【0014】
【
図3】本発明の一実施形態による、Cバンドにおける可変波長を有するレーザスペクトルの例示的プロットである。
【0015】
【
図4】本発明の一実施形態による、(A)高反射率(HR)ファセットおよび反射防止(AR)ファセットを有するゲイン領域の上面図、ならびに、(B)活性層および吸収層を有するゲイン領域の断面図の簡略図である。
【0016】
【
図5】本発明の一実施形態による、(A)
図4のゲイン領域の活性層の周囲のエネルギー密度の空間分布の断面図、および、(B)ゲイン領域の活性層を跨ぐY方向に沿ったエネルギー密度の鉛直分布のプロットである。
【0017】
【
図6】本発明の特定の実施形態による、1)Cバンドのローエンド(約1526nm)における、JFSR=85nm、基本モードの調整器透過率、2)RSOA+のゲイン領域におけるレーザのゲインプロファイル、および3)HRファセットコーティングによって生成された反射率曲線の例示的プロットを示す。
【0018】
【
図7】本発明の別の特定の実施形態による、1)Cバンドのハイエンド(約1568nm)における、JFSR=-85nm、基本モードの調整器透過率、2)1490nm未満の光波長の吸収がある/ないRSOA+のゲイン領域におけるレーザのゲインプロファイル、および、3)HRファセットコーティングによって生成された反射率曲線の例示的プロットを示す。
【0019】
【
図8】本発明の別の実施形態による、波長調整器、任意選択で半導体光学増幅器を有する反射型半導体光学増幅器に基づく可変レーザの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は光通信技法に関する。より具体的には、本発明は、拡張Cバンドにおける波長可変レーザの干渉スペクトルのサイドモードを抑制するための方法と、長波長サイドモードを抑制するための、減少した反射率、および、短波長サイドモードを抑制するための過剰損失を有する修正されたゲイン曲線を有する高反射率(HR)ファセットからレーザ光を当てるよう構成された反射型半導体光学増幅器のゲインチップと、拡張Cバンドにおける光波長を有する同一のゲインチップから出射されるレーザを調整するためのバーニアリング反射器調整器を有する波長可変レーザとを提供するが、他の適用も可能である。
【0021】
以下の説明は、当業者が本発明を作成および使用して、特定の用途のコンテキストに組み込むことができるようにするために提示される。様々な修正形態、および、異なる用途における様々な使用が、当業者にとって容易に明らかであり、本明細書に規定される一般原理は、広範囲の実施形態に適用される。従って、本発明は、提示される実施形態に限定されるものではなく、本明細書に開示される原理および新規の機構と一貫した、もっとも広い範囲に一致する。
【0022】
本発明のより完全に理解を提供するべく、以下の詳細な説明において、多くの具体的な詳細が説明される。しかしながら、本発明は必ずしもこれら特定の詳細に限定されることなく実施されることは当業者にとって明らかである。他の例において、本発明を不明瞭化することを回避するべく、既知の構造およびデバイスは、詳細に記載されるのではなく、ブロック図の形式で示されている。
【0023】
読者の注意は、本明細書と同時に提出された、本明細書と共に公衆の調査に晒されるすべての紙面および文書に向けられ、すべてのそのような紙面および文書の内容は、参照によって本明細書に組み込まれる。本明細書(任意の添付の特許請求の範囲、要約書、図面を含む)に開示されるすべての機構は、別段の明示的な定めがない限り、同一、同等、または同様の目的を果たす代替的な機構に置き換えられ得る。従って、明示的な別段の定めがない限り、開示された各機構は、一般的な一連の同等または同様の機構の一例に過ぎない。
【0024】
更に、指定された機能を実行するための「手段」または特定の機能を実行するための「ステップ」を明示的に記載しない特許請求の範囲における任意の要素は、米国特許法112条第6項に記載される「手段」または「ステップ」の条項として解釈されるべきでない。特に、本明細書の特許請求の範囲における「ステップ」または「動作」の使用は、米国特許法112条第6項の規定を援用する意図はない。
【0025】
内側、外側、左、右、前、後、上、下、最後、順方向、逆方向、右回り、左周りなどのラベルは、使用される場合、便宜上の目的のみに使用され、任意の特定の固定的な方向を示唆することを意図するものではないことに留意されたい。むしろそれらは、物体の様々な部分の間の相対的な位置および/または方向を反映するために使用される。
【0026】
ある態様において、本開示は、様々な通信用途のために、拡張されたワイドバンドにわたる波長可変レーザ性能を改善する方法を提供する。
図1に示される実施形態において、可変レーザ10には、波長調整器400だけでなく、反射器410+波長ロッカ300に結合されたレーザフリップチップ100が提供される。レーザフリップチップ100は、反射型半導体光学増幅器(RSOA)として構成された長手方向の直線導波路における横断方向のPN接合ダイオードを有するゲイン領域112を有するゲインチップ111を含むシリコンフォトニクス基板に結合される。特に、RSOAのゲイン領域112は、反射防止(AR)ファセット102と高反射率(HR)ファセット101との間の直線導波路に沿ったレーザ光キャビティを含む。PN接合における活性層から光が励起され得る。実施形態において、活性層において励起された光は、ARファセット102から出射する前に、HRファセット101における高反射率のレーザ光キャビティにおいて増幅され得る。RSOA構成における通常のゲインチップを有する可変レーザについては、ARファセット102から出た光は、波長調整器400+波長ロッカ300に入る。調整された波長を有するレーザは最終的に、HRファセット101に対してより遠位にある出射口から出射する。
図1に示される代替的実施形態において、反射器として主に使用されるRSOA構成における通常のゲインチップと異なり、RSOA+構成におけるゲインチップ111は、部分的に反射し、部分的に透過性であるように、および、ARファセット102に結合された波長調整器400によって光が調整された後に、レーザ出射口として機能するようHRファセット101を構成するために設計される。HRファセットは、RSOAの高反射率ファセットについての従来の用語から名付けられた。一方、RSOA+構成におけるゲインチップ111についてのHRファセット101は、比較的低い(30%未満)値に設定され得る。
【0027】
RSOA+100のフリップチップに基づく可変レーザ10の特定の実施形態において、HRファセット101は、約1526nmから1568nmの拡張Cバンドにおいて、平均約5%のみの反射率で構成されるが、レーザ光を出力するための出射口として機能するために、比較的高い透過率で構成される。ARファセット102はまた、99.99%の高い光透過率を可能にし、その結果、活性領域112において励起される光は、カプラ202を介して、シリコンフォトニクス基板に形成される波長調整器400への導波路120へ容易に結合され得る。特定の実施形態において、波長調整器400は、少なくとも2つのリング状導波路、例えば、シリコンフォトニクス基板において形成される、リング共振器R1およびリング共振器R2を含むバーニアリング調整器として提供される。反射器410に関連する拡張キャビティにおける各リング共振器R1またはR2は、反射器410とゲインチップ111のHRファセット101との間の拡張キャビティにおいて、1520nm~1620nmの広波長範囲における複数の共鳴ピーク(
図2の上部分に示される)を有する反射スペクトルを提供する。任意選択で、反射器410は、ワイドバンドの光に95%より高い反射率が提供される反射導波路ミラーである。複数の共鳴ピーク間の波長間隔は、それぞれのリング直径、および、リング状導波路を形状するために使用された媒体材料の光学インデックスに依存する。波長調整器400および反射器410の組み合わせに関連する拡張キャビティにおいて、2つの反射スペクトルは、
図2の下部分に示されるものと同一の波長範囲においてジョイント干渉スペクトル(R1*R2と称される)を生成する。ジョイント干渉スペクトルは、複数の共鳴ピーク、または、2つの隣接する主要な干渉ジョイント自由スペクトル範囲(JFSR)ピークの間の波長間隔としての、JFSRを有するいわゆるモードを特徴とする。JFSRの値は、2つのリング状導波路のリング直径に依存する。
【0028】
実施形態において、ワイドバンド可変レーザのための波長調整器400は、基本モードJFSRピークを通過させる一方で最近傍サイドモードJFSRピークを抑制することを可能にするために、好ましくは、所望される可変範囲よりJFSRを遥かに大きくするよう設計される。例において、JFSRは、1526nm~1568nmの拡張Cバンドにおける提案された波長調整のために、85nmもの大きさにされる。JFSRが85nmに設定されていると、約1526nmの第1波長における基本モードJFSRピークについては、対応する最近傍長波長サイドモードJFSRピークが、約1611nmの第2波長で見られる。約1568nmの第1波長における基本モードJFSRピークについては、対応する最近傍短波長サイドモードJFSRピークが、約1483nmの第2波長に見られ得る。長波長サイドモードおよび短波長サイドモードの両方は、好ましくは、ワイドバンド可変レーザ10の性能を改善するために実質的に抑制される。任意選択で、波長調整器400は、基本モードJFSRピークのみを通過させ、ゲインチップに反射させるために反射器を使用するデュアルエタロンフィルタとして提供され得る。
【0029】
原理的に、波長調整器+反射器の構成は、ジョイント干渉スペクトルを有する、ゲインチップ111への戻り方向の調整器透過性を導入するために、波長選択フィルタまたは波長調整器として動作する。ベースモードJFSRピークおよびすべてのサイドモードJFSRピークを含む、戻り方向の調整器透過性は、すべてのサイドモードを除去する、または少なくとも抑制するために、ゲインチップ111において変形され得る。実施形態において、拡張Cバンドの波長可変レーザは、レーザがHRファセットから出射する、RSOA+構成においてゲインチップ111を実装することによって構成される。基本モードJFSRピークは、ローエンド波長、C_low=1526nmから、ハイエンド波長、C_high=1568nmに調整され得る。ベースモードがC_lowに調整されるとき、出射するレーザに含まれることを回避するべく、約1611nmにおけるJFSRピークの長波長サイドモードは概ね、戻り方向の透過の際に抑制されるべきである。ベースモードがC_highに調整される間、可変レーザの性能を改善するべく、JFSRピークの短波長サイドモードは概ね抑制されるべきである。サイドモードレーザ光が適切に抑制される場合、基本モードJFSRピークは、ゲインプロファイルの中心または最適位置を変形し、単一の波長を有する形状ピークのレーザ発光を決定する。一方、基本モードJFSRピークに対応する波長は、温度を変更することによって各導波路の光学インデックスを変更することによって、波長調整器+反射器構成の設計に基づいて調整可能であり得る。例えば、基本モードJFSRピークは最初、2つの共鳴器R1およびR2に関連する抵抗ヒータに供給される事前較正済み電圧を使用して最適温度を設定することによって特定波長に設定される。
図1に示すように、事前較正済み電圧VR1およびVR2は、シリコンフォトニクスベースの可変レーザデバイスを起動するたびに読み込まれ得るメモリのルックアップテーブルに格納され得る。2つのリング共振器R1およびR2の周囲の温度を変更して、最適なゲインプロファイル位置の周辺の拡張された調整可能範囲における波長を調整することによって、粗い波長調整が達成され得る。温度変更は、印加電圧VR1およびVR2によって駆動される電気ヒータ(図示せず)を使用して制御される。追加的に、波長ロッカ300の周囲の温度を変更することによって、細かい波長調整が行われ得る。
【0030】
図3は、本発明の一実施形態による、レーザ波長が調整された可変レーザによって出力されるレーザスペクトルの例示的な図である。示されるように、レーザ発光波長は、基本モードJFSRピークをレーザ発光のゲインプロファイルに重ねることによって変形されるスペクトルのピーク位置によって与えられる。例において、レーザ発光波長は、1555nmから1535nmに調整される。ワイドバンド波長調整については、より良いモード選択性を実現し、サイドモードでの干渉を最小化しながら基本モードにおける強力な単一波長発光を有するために、可能な限り広い可変レーザについて設計されたJFSRを有することが好ましい。しかし、バーニアリングにおける広いJFSRを実現するには、リング共振器の非常に小さい直径、および、モード選択/抑制および安定性を実現するためにシリコンフォトニクス基板において形成される、より複雑な導波路構造が必要である。非常に小さい直径を有するリング共振器を設計および構築する、または、シリコンフォトニクス基板上の、モード選択を改善するための追加要素を追加することは、技術的に困難であり、経済的にもいくつかの面で好ましくない。
【0031】
ある態様において、本発明は、短波長および長波長サイドモードJFSRピーク両方を抑制することによって、波長調整器+反射器に結合されたRSOAのゲインチップからの拡張Cバンドからの調整可能なレーザ発光の基本モード波長選択を改善するための方法を提供する。方法は、HRファセットにおける光反射率を修正し、光吸収を修正することによる、ゲインチップの再構成に基づく。
図4は、本発明の一実施形態による、(A)HRファセットおよびARファセットを有するゲイン領域の上面図、ならびに、(B)活性層および吸収層を有するゲイン領域の断面図の簡略図である。この図は例に過ぎず、特許請求の範囲を不当に制限するべきでない。当業者であれば、多くの変形形態、代替形態、および修正形態を認識するであろう。
図4のパート(A)を参照し、また、
図1を参照すると、RSOA+100のゲインチップ111のゲイン領域112は、HRファセット101およびARファセット102を有する直線導波路の長手方向(Z方向)に構成される。すなわち、ARファセット102は、広波長範囲の光の通過に関して光透過率が99.99%以上に設定された反射防止光学特性を有する。特に、ゲイン領域において励起される光は、ゲインチップ111の端におけるARファセットおよびカプラ202を通ってシリコンフォトニクス基板における導波路120へ容易に通過する(
図1を参照)。更に、導波路における光は、同一のシリコンフォトニクス基板に形成された波長調整器+反射器の構成に通じる。ある実施形態において、HRファセット101には、部分反射光学特性が提供される。一方、部分反射光学特性は任意選択で、RSOA+構成におけるARファセットに向かって、ゲインチップにおいて励起された光を反射させるために、低い反射率(30%未満)を提供する。任意選択で、RSOA+のゲインチップは、Cバンドにおける調整可能な波長を有する可変レーザが適用されるので、低反射率は10%未満に設定される。他方、部分反射光学特性は、波長が波長ロッカによってロックされた波長調整器および反射器に関連するRSOA+の拡張キャビティにおいて生成されたレーザを出射するための高い透過レートを提供する。
【0032】
追加的に、部分反射光学特性は、光反射率の波長依存の機構を含む。好ましい実施形態において、光反射率は、波長の増加に伴って単調に減少するよう構成される。例において、光反射率は、約1483nmにおける約10%から、約1568nmにおける4%未満に単調に減少する。任意選択で、HRファセットに適用される傾いたARコーティングは、この機構を実現し得る。任意選択で、Al2O3、Ta2O5、Si、SiO2、またはこれらの材料の組み合わせから選択されたものから一層または三層構造のコーティングが作られる。波長調整器および反射器に関連するRSOA+の拡張キャビティにおいてジョイント干渉スペクトルが生成されるにつれて、より長波長の光のHRファセットにおけるより低い反射率は、ゲインチップに戻るジョイント干渉スペクトルにおける長波長サイドモードJFSRピークの自然な抑制を提供する。長波長サイドモードJFSR抑制は、波長可変レーザが基本モードを拡張Cバンドのローエンドに調整するのに特に有益である。
【0033】
任意選択で、HRファセットは、Cバンドにおける波長の光に対する高反射率、および、長波長サイドモードJFSRピーク周囲の波長の反射率低下(50%未満)の部分反射光学特性を提供するよう構成される。RSOAのゲインチップのこのHRファセット構成は、RSOAのゲインチップのHRファセットに対してより遠位である、波長調整器の他方の端におけるレーザ出射口を有する波長可変レーザにおいて実装され得る。任意選択で、出射口は、別の半導体光学増幅器(SOA)の1ファセットにある。更なる詳細は、
図8、および、下の関連する説明に記載され得る。
【0034】
図4のパート(B)を参照すると、それは、活性層1120がP型半導体材料とN型半導体材料との間に挟まれる、XY平面におけるPN接合ダイオードに対して横断方向に構成されたゲイン領域112の断面図の概略図である。任意選択で、P型半導体材料およびN型半導体材料の両方は、異なる電気的ドーパントを有するリン化インジウム(InP)材料である。PN接合の断面は、より広いベース上のリッジ構造として提供される。P型半導体材料は、鉛直のY方向に沿ったリッジ構造におけるN型クラッド層としてのN型半導体材料の上部にP型クラッド層を形成する。N型クラッド層は、水平のX方向におけるリッジ部分より広いベース部分を有する。任意選択で、活性層1120は、InGaAsまたはInGaAsPまたはAlGaInAsからできた歪層量子井戸構造である。一般に、活性層1120は、PN接合の限られた空間内における発光を引き起こして、特定波長に対応するゲイン値を有するゲイン領域112のレーザ光キャビティにおいて増幅された光エネルギーを有するレーザを誘導することを担う。拡張Cバンドを跨いで調整される光波長を有する可変レーザについては、通常のゲインプロファイルは、レーザ波長の関数としてゲイン値をプロットすることによって取得される。
【0035】
実施形態において、ゲインチップは、吸収層1121を活性層1120の近くに配置して、通常のゲインプロファイルの少なくとも一部に、指定の過剰損失を提供することによって再構成される。特に、吸収層1121は、短波長サイドモードJFSRピークを抑制して基本モードJFSRピークにおけるレーザ光を強化するべく、短波長についてのゲインプロファイルに損失を導入することが意図されている。特に、基本モード波長が波長調整器によって拡張Cバンドのハイエンドに調整されるとき、最近傍短波長サイドモードJFSRピークは、拡張Cバンドのローエンドに相当に近く、適切に抑制されるべきである。任意選択で、吸収層1121は、活性層1120の近くのN型クラッド層に配設される。なぜなら、PN接合のN型側は、より低い自由キャリア吸収損失を有するからである。任意選択で、吸収層1121は、短波長サイドモードJFSRピークに関連する最長波長であり得る予め定められた値(例えば、1490nm、または、より短い)より短い波長の光を吸収するよう構成される。任意選択で、吸収層1121は、短波長サイドモードJFSRピークの波長(約1483nm)より低いバンドギャップを有するGaInAsPまたはAlGaInAs半導体材料の層からできており、ジョイント干渉スペクトルにおける、短波長サイドモードJFSRピークおよびより短い波長をフィルタリングすることによって、それを抑制することを目的とする。
【0036】
任意選択で、指定された短波長のために過剰のゲイン損失を導入するための吸収層を提供するためのゲインチップ再構成は、HRファセットにおけるレーザ光の出射を有する波長可変レーザのために、RSOA+構成におけるゲインチップに適用可能である。任意選択で、上のゲインチップ再構成はまた、RSOAのゲインチップより遠位である、波長調整器の他方の端におけるレーザ光出口を有する波長可変レーザについてのRSOA構成におけるゲインチップに適用可能である。任意選択で、レーザ光出口は、波長調整器および波長ロッカ(
図8を参照)の他方の端に追加される半導体光学増幅器(SOA)構成における別のゲインチップに関連する。
【0037】
図5は、本発明の一実施形態による、(A)
図4のゲイン領域の活性層の周囲のエネルギー密度の空間分布の断面図、および、(B)活性層を跨ぐY方向に沿ったエネルギー密度の鉛直分布のプロットである。この図は単に、再構成されたゲインチップの例示的設計のエネルギー分布のプロットに過ぎない。
図5のパート(A)に示されるように、分布の中心平面は、ゲイン領域の活性層1120に沿っている。活性層1120の屈折率は常に、InP材料における周囲のクラッド層より遥かに高く、光学焦点効果により、活性層から出射された光の基礎モードが、高エネルギー密度のものに限られる。
図5のパート(A)に示されるように、高エネルギー密度は主に、X方向に沿って活性層1120の中心平面の周囲に分布し、Y方向において活性層1120の上または下に、約±2μmの狭い範囲で延在する。
図5のパート(A)を参照すると、実施形態において、吸収層1121は、活性層1120の近くに配設され、上記のようなエネルギー分布に効果的に修正を生じさせる。特定の実施形態において、吸収層1121は、Y方向において2μm範囲内で活性層1120の近くのN型クラッド層に配設される。吸収層1121は、ゲインプロファイルを修正する役割を効果的に担うために、活性層1120の基礎モードと著しく重なる必要がある。任意選択で、吸収層1121は、活性層1120に関連する量子井戸の約20~30%の範囲の閉じ込め係数の好ましいモード重複となるよう設計される。結果として、ゲイン領域におけるエネルギー密度の空間分布は、活性層の周辺の中心平面と比べて対称性が低くなるように変更される。
【0038】
更に、
図5のパート(B)に示されるように、エネルギー密度の鉛直分布における鋭く大きいピークは、上または下のクラッド層の低い屈折率と比べて、活性層の高い屈折率によって生じる光学的焦点効果に起因して、ゲイン領域における活性層からの発光の基礎モードが主にX方向に沿った中心平面の周囲に主に限られていることを示す。しかし、近くのInP材料のクラッド層と比較して、比較的高い屈折率でもある吸収層はまた、大きいピークのテール部分内で重なる小さいピークを生成する。従って、活性層とエネルギー分布が著しく重なるように配設される吸収層1121は、活性層からの発光に十分に晒され、その結果、十分な量の光が、吸収層による吸収を受け得る。追加的に、光吸収の性質は、吸収層について設計されたバンドギャップに依存する。実施形態において、吸収層のバンドギャップは、予め定められた波長より低く設定され、その結果、予め定められた波長値(例えば1490nm)より短い波長の任意の光は概ね、吸収層によって吸収され得、対応する波長範囲におけるRSOA+のゲインチップのゲインプロファイルを修正する。
【0039】
図6は、本発明の特定の実施形態による、1)Cバンドのローエンド(約1526nm)における、JFSR=85nm、基本モードの調整器透過率、2)RSOA+のレーザ発光のゲインプロファイル、および3)HRファセットコーティングによって生成された反射率曲線の例示的プロットを示す。この図は例に過ぎず、特許請求の範囲を不当に制限するべきでない。当業者であれば、多くの変形形態、代替形態、および修正形態を認識するであろう。例において、85nmで提供されるジョイント干渉スペクトルのジョイント自由スペクトル範囲(JFSR)を有する特定の波長調整器設計下で、ジョイント干渉スペクトルは、拡張Cバンドおよび知覚の複数のサイドモードJFSRピークにおいて調整可能な基本モードJFSRピークを含み得る。基本モードJFSRピークが、拡張Cバンドのローエンド(C_low)の周囲において、1526nmに調整されるので、
図6を参照すると、長波長サイドモードJFSRピークが約1611nmに見られる。例示的なゲインチップ設計についての同一波長範囲におけるゲインプロファイル(点線で表される)は、拡張Cバンドにわたって相当にフラットで広いゲイン範囲を有し、1540nm周辺のピーク、ならびに、約1526nmにおける基本モードJFSRピーク、および、約1611nmにおける長波長サイドモードJFSRピークの方向の比較的低減された(しかしなおピーク値の50%より大きい)ゲイン値を有する。このことは、ゲインチップが潜在的に、好ましい基本モードJFSRピーク(約1526nm)、および、望ましくない長波長サイドモードJFSRピーク(約1611nm)の両方においてレーザ光を当て得ることを意味する。この場合、JFSRピークの長波長サイドモードの波長における望ましくないレーザ光を抑制するための機構を有するRSOA+の再構成されたゲインチップが望ましい。
【0040】
図4(A)に示されるRSOA+のゲインチップの実施形態において、本発明におけるゲインチップは、波長が増加するにつれて光反射率が単調に減少する光学特性が提供されるHRファセットを有するよう構成される。
図6を参照すると、光反射率は少なくとも、基本モードJFSRピーク位置の波長から、長波長サイドモードJFSRピーク位置の波長まで単調に減少する。
図6に示される例において、反射率曲線(一点長鎖線で表される)は、基本モード位置約1526nmにおける光反射率R=6.2%が、長波長サイドモード位置における2.1%に低減されることを示す。このことは、約3倍のサイドモード抑制率(SMSR)をもたらし、長波長サイドモードJFSRピークの十分な抑制を可能にし、RSOA+のゲインチップから望ましくないレーザ光を除去する。単なる反射器として構成される高反射率ファセットを有するRSOAのゲインチップについては、高反射率ファセットは、Cバンドにおける光に高反射率を与えるが、約1611nmにおける長波長サイドモードJFSRピークの周囲の波長を有する光については反射率を低下させ、望ましくないサイドモードレーザ光を抑制するよう構成され得る。
【0041】
図7は、本発明の別の特定の実施形態による、1)Cバンドのハイエンド(約1568nm)における、JFSR=-85nm、基本モードの調整器透過率、2)1490nm未満の光波長の吸収がある/ないRSOA+のレーザ発光のゲインプロファイル、および、3)HRファセットコーティングによって生成された反射率曲線の例示的プロットを示す。この図は例に過ぎず、特許請求の範囲を不当に制限するべきでない。当業者であれば、多くの変形形態、代替形態、および修正形態を認識するであろう。例において、85nmでJFSRが与えられた同一の波長調整器設計下で、波長調整器およびゲインチップに関連する拡張キャビティにおいて生成されるジョイント干渉スペクトルは、拡張Cバンド(C_high)のハイエンドにおいて最大約1568nmまで調整可能な基本モードJFSRピークを含む。
図7を参照すると、基本モードJFSRピークが約1568nmに設定されるとき、拡張Cバンドと比べてサイドモードにもっとも近い短波長サイドモードJFSRピークは、約1483nmである。また、
図7に示されるように、同一の波長範囲にわたるゲインプロファイル(点線で表される)は、相当にフラットであり、約1530nmのピーク、ならびに、約1568nmにおける基本モードJFSRピーク、および、約1483nmにおける短波長サイドモードJFSRピークの方向の比較的低いゲイン値(しかしなおピーク値の60%より大きい)を有する。ゲインチップは潜在的に、好ましい基本モードJFSRピーク(約1568nm)、および、望ましくない短波長サイドモードJFSRピーク(約1483nm)の両方においてレーザ光を当て得る。この場合において、RSOA+のゲインチップは、サイドモードレーザ光を除去するための機構を提供するよう再構成される、または、具体的には、JFSRピークの短波長サイドモードを抑制することが望ましい。ここでは、HRファセットにおける低反射率コーティングからの反射率曲線(一点長鎖線で表される)がプロットされるが、短波長サイドモードを抑制する効果はない。なぜなら、反射率は実際に、より短い波長において、より高いからである。
【0042】
図4の(B)に示される実施形態において、本発明におけるRSOAのゲインチップは、ジョイント干渉透過において短波長サイドモードJFSRピークに関連する最長波長より短い波長の光を吸収するために活性層の近くのN型クラッド層において吸収層が追加されるように再構成される。
図6を参照すると、吸収層が追加されたゲインプロファイルは、1490nmより短い波長のゲイン値の著しい損失を生じさせ、約1483nmにおける短波長サイドモードJFSRピークを効果的に抑制し、対応するサイドモードレーザ光を除去する。
【0043】
別の態様において、本開示はまた、波長可変レーザについての反射型半導体光学増幅器(RSOA)におけるゲインチップを提供する。任意選択で、ゲインチップは、部分反射部分透過特性を有する高反射率(HR)ファセットからレーザ光を放射し、拡張Cバンドにおける波長を調整するために実質的に高い透過率を有する反射防止(AR)ファセットを介して光を波長調整器へ通過するよう設計されたRSOA+構成である。任意選択で、波長調整器は、シリコンフォトニクス基板において形成される2つの共鳴リング導波路を有するバーニアリング調整器として提供される。任意選択で、波長調整器はデュアルエタロンフィルタとして提供される。任意選択で、ゲインチップのHRファセットを有する拡張キャビティを生成するために、波長調整器に結合された反射器が含まれる。任意選択で、波長ロッカが波長調整器とゲインチップとの間に追加される。上記のように、RSOA+のゲインチップは、レーザを出射するために使用される、ARファセットとHRファセットとの間の長手方向のリッジ導波路として構成されたゲイン領域を含む。ゲイン領域は、P型クラッド層とN型クラッド層との間の中心平面における活性層に対して横断方向であるPN接合ダイオードとして構成される。ARファセットは、ゲイン領域における活性層から出射された光が、透過率99.99%以上でARファセットを通過できるようにするための反射防止コーティングを含む。HRファセットは、通常のRSOA構成のゲインチップにおける通常の高反射率(>90%)コーティングと異なり、拡張Cバンドにおける波長を有する活性層から出射する光に低反射率(<10%)を提供し、部分透過率を提供してRSOA+によって増幅されたレーザ光を出射可能にするための部分反射コーティングを含む。追加的に、RSOA+のゲインチップは、活性層の量子井戸の近くの重複位置において、ゲイン領域におけるPN接合ダイオードのN型クラッド層内に挿入された吸収層を含む。HRファセットにおける低反射率コーティング、および、活性層の近くの吸収層は両方、RSOA+のゲインチップを修正して、拡張Cバンドにおいて調整可能な波長を有する望ましい基本モードレーザ光を許可しながら、望ましくないサイドモードレーザ光を抑制するために利用される。
【0044】
実施形態において、HRファセットにおける部分反射コーティングは、波長の増加に伴って反射率が単調に減少する、傾いた反射防止コーティングであるよう構成される。波長調整器は、HRファセットから部分的に反射されてARファセットを通過する光の波長を調整するので、波長調整器、反射器、およびゲインチップに関連する拡張キャビティにおいて生成されたジョイント干渉スペクトルは、HRファセットにおいてコーティングの減少する反射率によって直接に影響を受ける。ジョイント干渉スペクトルにおいて現れる、より高い波長のJFSRピークは、減少する反射率による抑制を受ける。例えば、JFSR=85nmで設計されたバーニアリング反射器調整器については、基本モードJFSRピークがCバンドにおいて調整され、拡張キャビティにおけるレーザ光として増幅されるとき、長波長サイドモード(約1611nmにおける最近傍のもの)は、RSOA+からのレーザにおいて同様に抑制され得る。
【0045】
実施形態において、約4μm範囲内、活性層量子井戸の閉じ込め係数が20~30%である活性層の近くのPN接合ダイオードに挿入される吸収層は、活性層によって誘導されるレーザ発光の十分な光エネルギーを露出させる、および、少なくとも対応する波長範囲について光吸収を誘導することを担う。同時に、吸収層は、短波長サイドモードJFSRピークに関連してフィルタリングされる必要がある最長JFSR波長より小さいバンドギャップで設計される。従って、吸収層は、ジョイント干渉スペクトルにおける短波長サイドモードJFSRピークに関連する最長波長より短い波長を有する光を吸収することによって、過剰損失をゲインプロファイルに提供する。任意選択で、ゲインプロファイルの変更は、1490nmより短い波長のゲイン値の50%に近い低下を引き起こし、HRファセットRSOA+からのレーザにおける約1483nmにおいて、短波長サイドモードJFSRピークを実質的に抑制する。任意選択で、ゲインプロファイルへの同様の変更は、1490nmより短い波長についてのゲイン値の50%に近い低下を引き起こし、RSOA+のゲインチップからより遠位にある波長調整器の他方の端に位置する半導体光学増幅器(SOA)のゲインチップに関連する出射口からのレーザにおいて、約1483nmにおける短波長サイドモードJFSRピークを実質的に抑制する。
【0046】
更に別の態様において、本開示は、本明細書に記載される反射型半導体光学増幅器(RSOA+)構成におけるゲインチップに基づくワイドバンド波長可変レーザを提供する。RSOA+のゲインチップは、ジョイント自由スペクトル範囲(JFSR)によって分離されたJFSRピークの多重モードを有するジョイント干渉スペクトルを生成するために、シリコンフォトニクスプラットフォームにおける波長調整器+反射器に結合された反射防止ファセットを有する。任意選択で、波長調整器は、拡張Cバンドなどの広波長範囲において基本モードJFSRピークを調整するよう構成されるバーニアリング調整器として提供される。任意選択で、波長調整器は、基本モードのみを通過するよう構成されるデュアルエタロンフィルタとして提供される。RSOA+のゲインチップはまた、拡張Cバンドにおいて波長調整器によって調整される波長を有するレーザについての出射口として構成される高反射率ファセットを有する。RSOA+のゲインチップは、明細書全体を通して説明され、高反射率ファセットにおいて低反射率光学特性が提供され、波長が増加するにつれて反射率が減少することにより、反射器と高反射率ファセットとの間に提供される拡張キャビティにおけるジョイント干渉スペクトルにおける最近傍長波長サイドモードJFSRピークを抑制する。波長調整器のJFSRが85nmに設定される例において、基本モードJFSRピークは約1526nmにおけるCバンドのローエンドに設定されるので、最近傍長波長サイドモードJFSRピークは、約1611nmに位置する。高反射率ファセットにおける光学特性は、約1568nmにおける約6.2%と比較して、約1611nmにおいて約2.1%の低減した反射率で構成されており、約1611nmにおける長波長サイドモードJFSRピークは、サイドモード抑制率(SMSR)の少なくとも3倍だけ効果的に抑制され得る。追加的に、ゲインチップは、短波長範囲における過剰損失を提供することによってゲインプロファイルを変更し、短波長サイドモードJFSRピークを抑制するために、吸収層が活性層量子井戸と部分的に重複するよう配設されて再構成される。JFSR=85nmの例において、基本モードJFSRピークは約1568nmにおけるCバンドのハイエンドに設定されるので、最近傍短波長サイドモードJFSRピークは、約1483nmである。吸収層は、予め定められた波長値である約1490nmより小さいバンドギャップを有するよう構成され、約1490nmより短い波長を有する活性層によって励起される光についてのゲインは、吸収層による光吸収に起因いて半分に低減され得る。従って、波長が約1483nm<1490nmの周辺である、この短波長サイドモードJFSRピークは実質的に抑制され得る。従って、波長可変レーザは、RSOA+の高反射率ファセットから、1526nm~1568nmのCバンドにおいて調整可能である、基本モードJFSRピークにおける単一の波長を有するレーザのみを当てる。
【0047】
代替的実施形態において、本開示は、本明細書において説明される反射型半導体光学増幅器(RSOA)におけるゲインチップを含むシリコンフォトニクスベースのワイドバンド波長可変レーザを提供する。
図8は、本発明の一実施形態による、反射型半導体光学増幅器のゲインチップの高反射率ファセットに追加された薄膜フィルタを有する波長可変半導体レーザモジュールの図である。この図は例に過ぎず、特許請求の範囲を不当に制限するべきでない。当業者であれば、多くの変形形態、代替形態、および修正形態を認識するであろう。示されるように、可変レーザモジュール20は、シリコンフォトニクス基板に結合された第1レーザダイオードチップ410フリップを含む。チップ410は、第1ファセット401と第2ファセット402との間に挟まれたゲイン領域415を有する。第1ファセット401は、ゲイン領域415において励起された光に対する反射器として動作する高反射率ファセットであるよう構成される。第2ファセット402は、ゲイン領域415において励起されて第1ファセット401によって反射された光を通過させる反射防止特性であるよう構成される。第2ファセット402は、シリコンフォトニクス基板において形成される第1導波路491に、エッジカプラ430を介して結合される。第1導波路491は、ゲイン領域415における第1ファセット401(反射器としての)で拡張キャビティを形成するよう構成される波長調整器470、すなわち、可変フィルタに通じ、そこで干渉スペクトルを生成する。干渉スペクトルは、ジョイント自由スペクトル範囲(JFSR)によって分離されるJFSRピークの多重モードを特徴とする。任意選択で、波長調整器470は、拡張Cバンドなどの広波長範囲において基本モードJFSRピークを調整するよう構成されるバーニアリング調整器(
図8に示される)として提供される。任意選択で、波長調整器470は、基本モードのみを通過させるよう構成されるデュアルエタロンフィルタとして提供される。任意選択で、波長調整器470によって調整される波長の光は、第2導波路492へ出力される、または、任意選択で、細かく調整して拡張Cバンド内の特定の波長にロックするために最初に波長ロッカ480に結合される。任意選択で、波長ロッカ480によって選択される波長の光がレーザ照射される。任意選択で、レーザ出射口440の前に第2導波路492に結合するために、半導体光学増幅器(SOA)において構成される第2レーザチップ460が追加される。SOAは、ゲイン領域465を提供し、レーザ出射口440を介した出射の前にレーザ光のゲインを更に増幅する。
【0048】
同様に、波長調整器470およびゲイン領域415に関連する拡張キャビティにおいて生成される干渉スペクトルは、複数のサイドモードJFSRピークを含む。例えば、85nmに設定されたJFSRで、約1526nmにおけるCバンドのローエンドに設定された基本モードについては、長波長サイドモードJFSRピークは約1611nmに現れ、約1568nmにおけるCバンドのハイエンドに設定された基本モードについては、短波長サイドモードJFSRピークは約1483nmに現れる。これらのサイドモードは、波長可変レーザ20の潜在的だが望ましくないレーザ光モードになる調整可能な範囲、すなわち拡張Cバンドの近くである。実施形態において、RSOA410のチップの第1ファセット401は、コーティングを追加して、約1611nmにおける長波長サイドモードJFSRピークの周囲に反射率低下を生じさせながら、1580nmより短い波長について高反射率(少なくとも>90%)を保持するよう構成される。例えば、コーティングは、Cバンドと比較して、光反射率が約1611nmにおいて50%低下することを引き起こす。その結果、干渉スペクトルにおける長波長サイドモードJFSRピークは効果的に抑制される。実施形態において追加的に、通常のレーザダイオードとして活性層を含むPN接合を有するRSOA410のチップのゲイン領域415は、活性層の近くのN型クラッドにおいて吸収層を生じさせるよう再構成され得る(例えば
図4を参照)。吸収層の位置は、吸収損失を低減することを助けるために自由キャリア密度が高いN型クラッドに設定される。吸収層の位置は、活性層において励起される光の高エネルギー分布領域と著しく重なるように、活性層の近くに設定される。例えば、活性層は、PN接合における歪層量子井戸構造として形成され、活性層量子井戸の量子閉じ込め係数の20~30%である吸収層が配設される。更に、吸収層は、光吸収が特定の値、例えば約1490nmより短い波長についてのみ生じるように、予め定められた値より小さく設定されたバンドギャップを有する半導体材料であるよう構成される。例えば、適切に設計されたバンドギャップを有するGaInAsPまたはAlGaInAからできた吸収層は、1490nmより短い波長について、余分に50%の損失をゲインプロファイルに提供し得る。本明細書において説明される吸収層がゲイン領域415に追加されると、波長が約1483nm<1490nmの周囲である短波長サイドモードJFSRピークを実質的に抑制できる。従って、波長可変レーザ20は、基本モードJFSRピークで、1526nm~1568nmのCバンドにおいて調整可能である単一の波長のレーザのみを当てる。
【0049】
上の説明は、特定の実施形態の完全な説明であるが、様々な修正形態、代替形態の構造および同等物が使用され得る。従って、上の説明および例示は、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきでない。
【外国語明細書】