(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149099
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】制御盤ボックス及びこれを用いた制御盤
(51)【国際特許分類】
H05K 7/00 20060101AFI20220929BHJP
【FI】
H05K7/00 L
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021051081
(22)【出願日】2021-03-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】521126531
【氏名又は名称】合同会社ロックアップ
(74)【代理人】
【識別番号】100100011
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 省三
(72)【発明者】
【氏名】小林 玲奈
【テーマコード(参考)】
4E352
【Fターム(参考)】
4E352AA16
4E352BB02
4E352BB04
4E352BB10
4E352DD06
4E352DD11
4E352DR05
4E352DR40
4E352DR46
4E352GG12
4E352GG23
(57)【要約】
【課題】施工効率が高い制御盤ボックス及びこれを用いた制御盤を提供する。
【解決手段】制御盤1”の制御盤ボックスは、対向した外部配線用水平方向開口部113、114を有する下部枠体11と、下部枠体11の上部開口部112を塞ぐように設けられた下部底面部111’を有し、外部配線用垂直方向開口部115’が下部底面部111’に設けられた上部枠体11’と、上部枠部11’の上部開口部112’を塞ぐための蓋部12とを有する。好ましくは、外部配線用水平方向開口部113、114は下部枠体11の一端から同一距離に設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の下部底面部、及び該第1の下部底面部の周縁に設けられ該第1の下部底面部に対向した第1の上部開口部を形成するための複数の第1の側面部を有し、前記複数の第1の側面部のうち対向する2つの側面部に第1、第2の外部配線用水平方向開口部を設けた下部枠体と、
前記下部枠体の前記第1の上部開口部を塞ぐように設けられた第2の下部底面部、及び該第2の下部底面部の周縁に設けられ該第2の下部底面部に対向した第2の上部開口部を形成するための複数の第2の側面部を有し、該第2の下部底面部に外部配線用垂直方向開口部を設けた上部枠体と、
前記上部枠部の前記第2の上部開口部を塞ぐための蓋部と
を具備する制御盤ボックス。
【請求項2】
前記第1、第2の外部配線用水平方向開口部は前記下部枠体の一端から同一距離に設けられた請求項1に記載の制御盤ボックス。
【請求項3】
前記第1、第2の下部底面部は同一の矩形形状をなしている請求項1又は2に記載の制御盤ボックス。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の制御盤ボックスと、
前記上部枠体内の前記第2の下部底面部に設けられた配線接続部用プリント基板と
を具備する制御盤。
【請求項5】
絶縁被覆された個別配線としての複数の内部配線と、
前記各内部配線の一端を複数束ねて絶縁被覆された外部配線と
を具備し、
前記内部配線は前記下部枠体から前記外部配線用垂直方向開口部を介して前記上部枠体における前記プリント基板の前記配線接続部に接続され、
前記外部配線は外部から前記第1の外部配線用水平方向開口部又は前記第2の外部配線用水平方向開口部を介して前記下部枠体へ亘って存在する請求項4に記載の制御盤。
【請求項6】
絶縁被覆された個別配線としての複数の内部配線と、
前記各内部配線の一端を複数束ねて絶縁被覆された外部配線と
を具備し、
前記内部配線は前記上部枠内のみに存在して前記プリント基板の前記配線接続部に接続され、
前記外部配線は外部からの前記第1の外部配線用水平方向開口部又は前記第2の外部配線用水平方向開口部を介して前記下部枠体へ亘って存在し、さらに、前記外部配線の一部は前記上部枠体内に存在する請求項4に記載の制御盤。
【請求項7】
電気錠システムの制御盤である請求項4~6のいずれかに記載の制御盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はたとえば電気錠システム用の制御盤ボックス(箱体)及びこれを用いた制御盤に関する。
【背景技術】
【0002】
図8は第1の従来の制御盤を示し、(A)は概観正面図、(B)は(A)のB-B線断面図である。この制御盤は電気錠システムに適用される。
【0003】
図8に示すように、制御盤1は、たとえばアクリロリトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)樹脂で構成され、電気錠2を施錠、解錠するために、インターホン等のユーザ端末である操作盤3との信号の受信送信によって電気錠2の制御を行う制御ユニットたとえばマイクロコンピュータ等を内蔵している。
【0004】
制御盤1は制御盤ボックスBXを含んで構成される。制御盤ボックスBXは、矩形状の下部底面部111、及び下部底面部111の周縁に設けられ上部開口部112を形成するための4つの側面部112aを有する枠体11と、枠体11の上部開口部112を覆うための蓋部12とによって構成される。さらに、制御盤1は、枠体11の下部底面部111に設けられたマイクロコンピュータの制御ユニット131等を搭載するプリント基板13を有する。制御盤1はたとえば横210~220mm×縦140~150mm×高さ約45~55mmである。
【0005】
制御盤1のプリント基板13上のソケット(端子台)13aには、色分け絶縁被覆された複数の内部配線(個別配線)4aの一端側の先端ピン(図示せず)が接続される。内部配線4aの他端側は束ねて絶縁被覆され、一束又は複数束の外部配線(集合配線)5aとしてモールMaに収納されて電気錠2に接続される。尚、各内部配線4aは電源線又は信号線である。同様に、制御盤1のプリント基板13上のソケット13bには、色分け絶縁被覆された複数の内部配線(個別配線)4bの一端側の先端ピン(図示せず)が接続される。内部配線4bの他端側は束ねて絶縁被覆され、一束又は複数束の外部配線(集合配線)5bとしてモールMbに収納されて操作盤3に接続される。尚、各内部配線4bも電源線又は信号線である。内部配線4a、4bにおいては、芯線はより線又は単線で構成され、その先端部分の絶縁被覆をはぎ取って先端ピンを構成する。先端ピンはソケット(端子台)13a、13bに挿入されて固定される。
【0006】
モールMa、Mbは施工管理上及び意匠上の見栄えから上下一直線上に配置されている。さらに、制御盤1の左端(枠体11の左端)と、モールMa、Mbの左端との間の距離Dも、施工管理上、一定とされている。
【0007】
図9は
図8の蓋部12を取外した枠体11の内部を示す概観正面図である。
【0008】
図9に示すごとく、外部配線5a、5bはモールMa、Mbに収納されて壁Wに接着固定され、従って、制御盤1は壁Wに固定される。
図9においては、モールMa、Mbのカバー部分は開放されている。この場合、外部配線5aは外部配線5a-1、5a-2の集合であり、他方、外部配線5bは外部配線5b-1、5b-2、5b-3の集合である。
【0009】
外部配線5aつまりモールMaに対応して枠体11の上部側面に外部配線用水平方向開口部113が設けられ、他方、外部配線5bつまりモールMbに対応して枠体11の下部側面に外部配線用水平方向開口部114が設けられている。このとき、外部配線用水平方向開口部113、114は一直線上で対向しており、しかもモールMa、Mbの位置に完全に一致している。従って、外部配線5a、5bはモールMa、Mbからはみ出ることはなく、従って、意匠上の見栄えがよい。尚、枠体11の下部底面部111に設けられた他の外部配線用垂直方向開口部115は壁Wに垂直に設けられた外部配線用であるが、
図9においては利用されない。
【0010】
【0011】
始めに、
図10の(A)の枠体準備工程を参照すると、制御盤施工業者は制御盤製造業者から蓋部12と共に枠体11を受取る。枠体11には、予め、制御ユニット131が搭載されたプリント基板13を枠体11の下部底面部111に設けてある。また、枠体11の対向する上下の側面部112aには、外部配線用水平方向開口部113、114が設けられている。上述のごとく、外部配線用水平方向開口部113、114は、上下の側面部112aの対向する同一の左端に位置している。また、116は蓋部12の液晶表示ユニット(LCD)用配線である。
【0012】
次に、
図10の(B)の外部配線取付工程を参照すると、制御盤施工業者は、施工現場において、外部配線5a(5a-1、5a-2)、5b(5b-1、5b-2)をモールMa、Mbを用いて壁Wに固定する。次いで、外部配線5a、5bの各先端部分を外部配線5a-1、5a-2;外部配線5b-1、5b-2、5b-3に分離し、さらに、外部配線5a-1、5a-2;5b-1、5b-2、5b-3の各先端部分を内部配線4a、4b(すべてを一括表示する)に分離する。尚、延長用カップリングCPは内部配線4a、4bを延長させるためのものであり、適宜用いる。また、内部配線4a、4bの先端ピン部分は、後述の内部配線4a、4bの内部配線取付工程まで、内部配線4a、4b間で電気的に短絡しないように絶縁被覆する。
【0013】
次に、
図9を参照して内部配線取付工程を説明すると、制御盤施工業者は、
図10の(A)に示す枠体11を
図10の(B)に示す内部配線4a、4b及び外部配線5a(5a-1、5a-2)、5b(5b-1、5b-2、5b-3)下に入り込ませてねじ14a、14b、14cにて壁Wに固定する。その際には、モールMa、Mbのカバーの一部を外しておく。次いで、各内部配線4a、4bの先端ピン部分の絶縁被覆をはがして各ソケット(端子台)13a、13bに挿入して固定する。
【0014】
最後に、制御盤施工業者は蓋部12を枠体11の上部開口部112に嵌め込むことにより制御盤1は完成する。たとえば、蓋部12と枠体11とはいわゆるヒンジキャップ嵌合方式で嵌合される。
【0015】
図11は第2の従来の制御盤を示し、(A)は概観正面図、(B)は(A)のB-B線断面図である。
【0016】
図11の制御盤1’は
図8の制御盤1の制御盤製造業者と同一業者によって提供される
図8の制御盤1の改良版である。従って、
図8の制御盤1と容易に交換可能となるように、
図11の制御盤1’の外観サイズは
図8の制御盤1の外観サイズと同一となっている。つまり、
図11の制御盤1’の制御盤ボックスBX’は、
図8の制御盤1の制御盤ボックスBXと同様に、
図8の下部底面部111と同一の矩形状の下部底面部111’、及び下部底面部111’の周縁に設けられ上部開口部112’を形成するための4つの側面部112’aを有する枠体11’と、枠体11’の上部開口部112’を覆うための蓋部12とによって構成される。従って、モールMa、Mbは施工管理上及び意匠上の見栄えから上下一直線上に配置されている。さらに、制御盤1’の左端(枠体11’の左端)と、モールMa、Mbの左端との間の距離Dも、施工管理上、制御盤1の場合と同一とされている。
【0017】
しかし、
図11の枠体11’の外部配線5a、5bの位置を決定する外部配線用水平方向開口部113’、114’及び外部配線用垂直方向開口部115’は
図8の枠体11の外部配線5a、5bの位置を決定する外部配線用水平方向開口部113、114及び外部配線用垂直方向開口部115と異なるように設計されている。また、
図11の制御ユニット131’及びプリント基板13’、ソケット13’a、13b’も
図8の制御ユニット131及びプリント基板13、ソケット13a、13bと異なるように設計されている。以下、
図11の枠体11’の詳細について説明する。
【0018】
図12は
図11の蓋部12を取外した枠体11’の内部を示す概観正面図である。
【0019】
モールMaから少し右側にずれて枠体11’の上部側面部112’aに外部配線用水平方向開口部113’が設けられ、他方、モールMbから大きく右側にずれて枠体11’の下部側面部112’aに外部配線用水平方向開口部114’が設けられている。このとき、外部配線用水平方向開口部113’、114’は対向せず、従って、一直線上にない。また、外部配線用垂直方向開口部115’は外部配線用水平方向開口部113’の近傍の枠体11’の下部底面部111’に設けられている。尚、
図13の(A)に示すごとく、外部配線用水平方向開口部113’及び外部配線用垂直方向開口部115’は実際に開口されており、また、
図13の(B)に示すごとく、外部配線用水平方向開口部114’も実際に開口されている。
【0020】
【0021】
始めに、
図14の(A)の枠体準備工程を参照すると、制御盤施工業者は制御盤製造業者から蓋部12と共に枠体11’を受取る。枠体11’には、予め、制御ユニット131’が搭載されたプリント基板13’を枠体11’の下部底面部111’に設けてある。また、枠体11’の対向する上下の側面部112’aには、外部配線用水平方向開口部113’、114’が左右方向でずれて設けられている。さらに、下部底面部111’の外部配線用水平方向開口部113’の近傍に外部配線用垂直方向開口部115’が設けられている。
【0022】
次に、
図14の(B)の外部配線取付工程を参照すると、制御盤施工業者は、施工現場において、第1の従来の制御盤1を交換するために、
図9に示す枠体11を取り除く。これにより、
図10の(B)に示す状態と同一のモールMa、Mbに収容された外部配線5a(5a-1、5a-2)、5b(5b-1、5b-2、5b-3)、内部配線4a、4bを得ることができる。
【0023】
次に、
図12を参照して内部配線取付工程を説明すると、制御盤施工業者は、
図14の(A)に示す枠体11’を
図14の(B)に示す内部配線4a、4b及び外部配線5a(5a-1、5a-2)、5b(5b-1、5b-2、5b-3)下に入り込ませてねじ14’a、14’b、14’cにて壁Wに固定する。その際には、モールMa、Mbのカバーの一部を外しておく。次いで、各内部配線4a、4bの先端ピン部分の絶縁被覆をはがして各ソケット(端子台)13’a、13’bに挿入して固定する。
【0024】
最後に、制御盤施工業者は蓋部12を枠体11’の上部開口部112’に嵌め込むことにより制御盤1’は完成する。この場合も、蓋部12と枠体11’とはいわゆるヒンジキャップ嵌合方式で嵌合される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
しかしながら、上述の第2の従来の制御盤1’においては、
図15の(A)に示すごとく、外部配線用水平方向開口部113’がモールMaから僅かにずれているので、外部配線5aが外部配線用水平方向開口部113’からはみ出し、同様に、
図15の(B)に示すごとく、外部配線用水平方向開口部114’がモールMbから大きくずれているので、外部配線5bが外部配線用水平方向開口部114’からはみ出す。この結果、意匠上の見栄えが悪いという課題がある。また、
図12に示すごとく、枠体11’内の配線密度が大きくなるので、内部配線4a、4bの取付作業の効率も低いという課題もある。
【課題を解決するための手段】
【0026】
上述の課題を解決するために、本発明に係る制御盤ボックスは、第1の下部底面部、及び第1の下部底面部の周縁に設けられ該第1の下部底面部に対向した第1の上部開口部を形成するための複数の第1の側面部を有し、複数の第1の側面部のうち2つの対向する側面部に第1、第2の外部配線用水平方向開口部を設けた下部枠体と、下部枠体の第1の上部開口部を塞ぐように設けられた第2の下部底面部、該第2の下部底面部の周縁に設けられ該第2の下部底面部 に対向した第2の上部開口部を形成するための複数の第2の側面部を有し、該第2の下部底面部に外部配線用垂直方向開口部を設けた上部枠体と、上部枠部の第2の上部開口部を塞ぐための蓋部とを具備するものである。好ましくは、第1、第2の外部配線用水平方向開口部は下部枠体の一端から同一距離に設けられる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、下部枠体によって第1、第2の外部配線用水平方向開口部は常に制御盤ボックスの同一位置に存在するので、制御盤ボックスを含む制御盤を壁に設置する場合、たとえば、第1、第2の外部配線用水平方向開口部を常に外部配線のモールに一致させることができる。従って、外部配線の第1、第2の外部配線用水平方向開口部からのはみ出しをなくすことができ、この結果、意匠上の見栄えを良くできる。また、下部枠体を設けた分だけ、上部枠体内の配線密度が低くなるので、配線取付作業効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明に係る制御盤の実施の形態を示し、(A)は外観正面図、(B)は(A)のB-B線断面図である。
【
図3】
図1の蓋部を取外した上部枠体の内部を示す概観正面図である。
【
図6】
図5の外部配線用水平方向開口部及び外部配線用垂直方向開口部の拡大図である。
【
図7】
図1の制御盤の取付方法を説明する図である。
【
図8】第1の従来の制御盤を示し、(A)は外観正面図、(B)は(A)のB-B線断面図である。
【
図9】
図8の蓋部を取外した枠体の内部を示す概観正面図である。
【
図10】
図8の制御盤の取付方法を説明する図である。
【
図11】第2の従来の制御盤を示し、(A)は外観正面図、(B)は(A)のB-B線断面図である。
【
図12】
図11の蓋部を取外した枠体の内部を示す概観正面図である。
【
図13】
図12の外部配線用水平方向開口部及び外部配線用垂直方向開口部の拡大図である。
【
図15】
図11の第2の従来の制御盤の課題を説明するための図であり、(A)は上側外部配線側を示す斜視図、(B)は下側外部配線側を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は本発明に係る制御盤の実施の形態を示し、(A)は外観正面図、(B)は(A)のB-B線断面図である。
図2は
図1の制御盤の斜視図である。
【0030】
図1の(A)、
図2の制御盤1”の制御盤ボックスBX”は、
図8の制御盤1の制御盤ボックスBXと
図11の制御盤1’ の制御盤ボックスBX’とを結合したものである。具体的には、
図11の枠体11’を上部枠体11’とし、上部枠体11’の下に
図8の枠体11を下部枠体11として設け、上部枠体11’の上に蓋部12を設ける。従って、制御盤1”の左端(下部枠体11の左端)と、モールMa、Mbの左端との間の距離Dも、施工管理上、一定とされている。
【0031】
より詳しくは、
図1の(B)において、内部配線4a、4bは上部枠体11’と下部枠体11との間の外部配線用垂直方向開口部115’に跨り、内部配線4a、4bの大部分は上部枠体11’内に存在し、内部配線4a、4bの一部のみが下部枠体11内に存在する。但し、内部配線4a、4b全体が上部枠体11’内に存在してもよい。この場合、外部配線5a、5bの一部が上部枠体11’にも存在する。
【0032】
他方、外部配線5a(5a-1、5a-2等の集合)、5b(5b-1、5b-2の集合)は下部枠体11の外部配線用水平方向開口部113(114)(
図4参照)を跨り、下部枠体11内に存在し、上部枠体11’内に存在しない。但し、上述のごとく、内部配線4a、4b全体が上部枠体11’内に存在するときには、外部配線5a、5bの一部は上部枠体11’内に存在する。
【0033】
図3は
図1の蓋部12を取外した上部枠体11’の内部を示す概観正面図である。いずれにしても、外部配線5a、5bが上部枠体11’内に存在することがあっても、その量は小さい。従って、内部配線4a、4bの一端の先端ピンをプリント基板13’上のソケット13’a、13’bに挿入取付する場合、配線密度が小さいので、内部配線4a、4bの取付が容易となる。
【0034】
【0035】
図4に示すように、下部枠体11は、
図8の枠体11であり、下部底面部111及び上部開口部112を有し、上下の側面部112aに外部配線用水平方向開口部113、114を有する。このとき、外部配線用水平方向開口部113、114は下部枠体11の一端から同一距離に設けられ、従って、下部枠体11の左端に一直線上に配置されている。また、
図4の下部枠体11には、
図1の上部枠体11’を固定するためのねじ穴117a、117b、117cが設けられている。尚、この場合、上から見てねじ穴117a、117b、117cの位置は壁W固定用ねじ14a、14b、14cのねじ穴118a、118b、118cの位置と重複している。しかし、後述の制御盤1”の取付作業を容易にするために、好ましくは、ねじ穴117a、117b、117cはねじ穴118a、118b、118cと上から見て重複しないようにするのがよい。従って、実際には、ねじ穴118a、118bは
図4において少し右方向にずらすのがよく、ねじ穴118cは
図4において少し左方向にずらすのがよい。さらに、下部底面部111には外部配線用垂直方向開口部115を設けてある。但し、外部配線用垂直方向開口部115は利用しない。
【0036】
図5は
図1の上部枠体11’の拡大底面図である。尚、
図1の上部枠体11’の上面図は
図14の(A)に示される。
【0037】
図5において、上部枠体11’は、上述のごとく、
図12の枠体11’である。すなわち、外部配線用水平方向開口部113’、114’の位置は、
図4の外部配線用水平方向開口部113、114の位置に対応していない。尚、
図6の(A)、(B)の拡大図に示すごとく、外部配線用水平方向開口部113’、114’は開口可能であるが、利用されないので実際には開口されていない。他方、外部配線用垂直方向開口部115’は利用するので実際に開口されている。
【0038】
図1の制御盤1”の取付方法を
図7及び
図3を参照して説明する。
【0039】
始めに、
図7の(A)の上部枠体準備工程を参照すると、制御盤施工業者は制御盤製造業者から蓋部12と共に上部枠体11’を受取る。上部枠体11’には、予め、制御ユニット131’が搭載されたプリント基板13’を上部枠体11’の下部底面部111’に設けてある。また、上部枠体11’の対向する上下の側面部112’aには、外部配線用水平方向開口部113’、114’が左右方向にずれて設けられている。さらに、下部底面部111’の外部配線用水平方向開口部113’の近傍に外部配線用垂直方向開口部115’が設けられている。
【0040】
他方、
図7の(B)の下部枠体準備工程を参照すると、施工業者は、上部枠体11’と外観サイズがほぼ同一の下部底面部111及び上部開口部112を有する下部枠体11を準備する。下部枠体11には、上下の側面部112aに施工業者が希望する外部配線用水平方向開口部113、114が設けられている。たとえば、外部配線用水平方向開口部113、114は上下方向で一直線上にある。また、下部底面部111に施工業者が希望する外部配線用垂直方向開口部115が設けられている。さらに、上部枠体11’のねじ14a、14b、14cに対応するねじ穴117a、117b、117cが設けられている。
【0041】
次に、
図7の(C)の外部配線取付工程を参照すると、制御盤施工業者は、施工現場において、第1の従来の制御盤1を交換するために、
図9に示す枠体11を取り除く。これにより、
図10の(B)に示す状態と同一のモールMa、Mbに収容された外部配線5a(5a-1、5a-2)、5b(5b-1、5b-2、5b-3)、内部配線4a、4bを得ることができる。
【0042】
次に、
図7の(D)を参照して下部枠体取付工程を説明すると、制御盤施工業者は、
図7の(B)に示す下部枠体11を
図7の(C)に示す内部配線4a、4b及び外部配線5a(5a-1、5a-2)、5b(5b-1、5b-2、5b-3)下に入り込ませてねじ14a、14b、14cにて壁Wに固定する。その際には、モールMa、Mbのカバーの一部を外しておく。
【0043】
次に、
図3を参照して内部配線取付工程を説明すると、
図7の(A)に示す上部枠体11’を下部枠体11上に設定し、ねじ14’a、14’b、14’cにて下部枠体11のねじ穴117a、117b、117cに固定する。尚、上部枠体11’の下部枠体11への固定はねじ以外の他の手段たとえばいわゆるヒンジキャップ嵌合方式で行ってもよい。次いで、各内部配線4a、4bの先端ピン部分の絶縁被覆をはがして各ソケット(端子台)13’a、13’bに挿入して固定する。
【0044】
最後に、制御盤施工業者は蓋部12を枠体11’の上部開口部112’に嵌め込むことにより制御盤1”は完成する。この場合も、蓋部12と上部枠体11’とはいわゆるヒンジキャップ嵌合方式で嵌合される。
【0045】
尚、
図7の制御盤の取付方法において、従来の第1の制御盤を第2の従来の制御盤に交換する場合を示しているが、本発明は第2の従来の制御盤を新規に取付ける場合にも適用できる。この場合には、
図7の(C)の外部配線取付工程は
図10の(A)に示す外部配線取付工程を採用する。
【0046】
このように、本発明に係る二重枠体つまり下部枠体11及び上部枠体11’よりなる制御盤ボックスによって構成された制御盤によれば、制御盤製造業者が上部枠体11’の内部たとえばプリント基板及び外部端子用開口部を自由に設計できる一方、制御盤施工業者は下部枠体11の外部配線用水平方向開口部に依存した制御盤取付作業を行えるので、制御盤11”の見栄えを常によくできる。また、二重枠体によって配線は長くなるが、下部枠体11に配線の一部が存在するので、その分上部枠体11内の配線密度を小さくでき、従って、上部枠体11内における内部配線の取付作業の効率化を図れる。
【0047】
尚、上述の実施の形態において、内部配線4a、bの先端ピンのプリント基板13’上の配線接続部はソケット13’a、13’b以外でもよい。たとえば、プリント基板上のランド、ハウジング、スルーホール等でもよい。
【0048】
また、本発明に係る二重枠体よりなる制御盤ボックス及びこれを用いた制御盤を制御盤製造業者及び制御盤施工業者以外のいかなる者でも製造できることは言うまでもない。
【0049】
さらに、本発明は上述の実施の形態の自明の範囲内でのいかなる変更にも適用し得る。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明に係る制御盤は、電気錠システム用に加えて、他のシステムたとえば入室管理システムにも利用できる。
【符号の説明】
【0051】
BX、BX’、BX”:制御盤ボックス
1、1’、1”:制御盤
11:枠体(下部枠体)
11’:枠体(上部枠体)
111、111’:下部底面部
112、112’:上部開口部
112a、112’a:側面部
113、114、113’、114’:外部配線用水平方向開口部
115、115’:外部配線用垂直方向開口部
116:LCD用配線
117a、117b、117c:ねじ穴
118a、118b、118c:ねじ穴
12:蓋部
13、13’:プリント基板
13a、13b、13’a、13’b:ソケット
14a、14b、14c、14’a、14’b、14’c:ねじ
2:電気錠
3:操作盤
4a、4b:内部配線
5a、5a-1、…5b、5b-1、…:外部配線
W:壁
Ma、Mb:モール
CP:延長用カップリング
【手続補正書】
【提出日】2021-07-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の下部底面部、及び該第1の下部底面部の周縁に設けられ該第1の下部底面部に対向した第1の上部開口部を形成するための複数の第1の側面部を有し、前記複数の第1の側面部のうち対向する2つの側面部に第1、第2の外部配線用水平方向開口部を設けた下部枠体と、
前記下部枠体の前記第1の上部開口部を塞ぐように設けられた第2の下部底面部、及び該第2の下部底面部の周縁に設けられ該第2の下部底面部に対向した第2の上部開口部を形成するための複数の第2の側面部を有し、前記複数の第2の側面部のうち対向する2つの側面部に第3、第4の外部配線用水平方向開口部を設け、前記第2の下部底面部に外部配線用垂直方向開口部を設けた上部枠体と、
前記上部枠部の前記第2の上部開口部を塞ぐための蓋部と
を具備し、
前記第3、第4の外部配線用水平方向開口部の位置は上面視で前記第1、第2の外部配線用水平方向開口部の位置に対応していない制御盤ボックス。
【請求項2】
前記第1、第2の外部配線用水平方向開口部は前記下部枠体の一端から同一距離に設けられた請求項1に記載の制御盤ボックス。
【請求項3】
前記第1、第2の下部底面部は同一の矩形形状をなしている請求項1又は2に記載の制御盤ボックス。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の制御盤ボックスと、
前記上部枠体内の前記第2の下部底面部に設けられたプリント基板と
を具備する制御盤。
【請求項5】
絶縁被覆された個別配線としての複数の内部配線と、
前記各内部配線の一端を複数束ねて絶縁被覆された外部配線と
を具備し、
前記内部配線は前記下部枠体から前記外部配線用垂直方向開口部を介して前記上部枠体における前記プリント基板上に設けられた配線接続部に接続され、
前記外部配線は外部から前記第1の外部配線用水平方向開口部又は前記第2の外部配線用水平方向開口部を介して前記下部枠体へ亘って存在する請求項4に記載の制御盤。
【請求項6】
絶縁被覆された個別配線としての複数の内部配線と、
前記各内部配線の一端を複数束ねて絶縁被覆された外部配線と
を具備し、
前記内部配線は前記上部枠内のみに存在して前記プリント基板上に設けられた配線接続部に接続され、
前記外部配線は外部からの前記第1の外部配線用水平方向開口部又は前記第2の外部配線用水平方向開口部を介して前記下部枠体へ亘って存在し、さらに、前記外部配線の一部は前記上部枠体内に存在する請求項4に記載の制御盤。
【請求項7】
電気錠システムの制御盤である請求項4~6のいずれかに記載の制御盤。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
上述の課題を解決するために、本発明に係る制御盤ボックスは、第1の下部底面部、及び第1の下部底面部の周縁に設けられ該第1の下部底面部に対向した第1の上部開口部を形成するための複数の第1の側面部を有し、複数の第1の側面部のうち2つの対向する側面部に第1、第2の外部配線用水平方向開口部を設けた下部枠体と、下部枠体の第1の上部開口部を塞ぐように設けられた第2の下部底面部、第2の下部底面部の周縁に設けられ該第2の下部底面部に対向した第2の上部開口部を形成するための複数の第2の側面部を有し、複数の第2の側面部のうち対向する2つの側面部に第3、第4の外部配線用水平方向開口部を設け、第2の下部底面部に外部配線用垂直方向開口部を設けた上部枠体と、上部枠部の第2の上部開口部を塞ぐための蓋部とを具備し、第3、第4の外部配線用水平方向開口部の位置は上面視で第1、第2の外部配線用水平方向開口部の位置に対応していないものである。好ましくは、第1、第2の外部配線用水平方向開口部は下部枠体の一端から同一距離に設けられる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0027】
本発明によれば、たとえば制御盤製造業者が提供する上部枠体の第3、第4の外部配線用水平方向開口部の位置がたとえば制御盤施工業者が提供する下部枠体の第1、第2の外部配線用水平方向開口部の位置と異なっているにもかかわらず、下部枠体によって第1、第2の外部配線用水平方向開口部は常に制御盤ボックスの同一位置に存在するので、制御盤ボックスを含む制御盤を壁に設置する場合、たとえば、第1、第2の外部配線用水平方向開口部を常に外部配線のモールに一致させることができる。従って、外部配線の第1、第2の外部配線用水平方向開口部からのはみ出しをなくすことができ、この結果、意匠上の見栄えを良くできる。また、下部枠体を設けた分だけ、上部枠体内の配線密度が低くなるので、配線取付作業効率を向上できる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0040】
他方、
図7の(B)の下部枠体準備工程を参照すると、
制御盤施工業者は、上部枠体11’と外観サイズがほぼ同一の下部底面部111及び上部開口部112を有する下部枠体11を準備する。下部枠体11には、上下の側面部112aに
制御盤施工業者が希望する外部配線用水平方向開口部113、114が設けられている。たとえば、外部配線用水平方向開口部113、114は上下方向で一直線上にある。また、下部底面部111に
制御盤施工業者が希望する外部配線用垂直方向開口部115が設けられている。さらに、上部枠体11’のねじ14a、14b、14cに対応するねじ穴117a、117b、117cが設けられている。