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特開2022-149111印刷画像検査装置、および、それを備える印刷装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149111
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】印刷画像検査装置、および、それを備える印刷装置
(51)【国際特許分類】
   G01J 3/46 20060101AFI20220929BHJP
   B41J 29/393 20060101ALI20220929BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20220929BHJP
   H04N 1/04 20060101ALI20220929BHJP
   H04N 1/40 20060101ALI20220929BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
G01J3/46 Z
B41J29/393 105
G06T1/00 310A
H04N1/12 Z
H04N1/40 006
G06T1/00 460D
H04N1/00 002A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021051102
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100104695
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 明宏
(74)【代理人】
【識別番号】100114247
【氏名又は名称】奥田 邦廣
(74)【代理人】
【識別番号】100148459
【弁理士】
【氏名又は名称】河本 悟
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 祐弥
(72)【発明者】
【氏名】奈良▲崎▼ 実
(72)【発明者】
【氏名】山本 隆治
【テーマコード(参考)】
2C061
2G020
5B047
5B057
5C062
5C072
5C077
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ05
2C061AR01
2C061AS06
2C061KK26
2C061KK28
2C061KK35
2G020AA08
2G020DA05
2G020DA12
2G020DA23
2G020DA32
2G020DA34
2G020DA43
5B047AA01
5B047AB04
5B047BA01
5B047BC05
5B047BC11
5B047BC18
5B047BC20
5B047BC23
5B047CA23
5B047CB22
5B047DA04
5B047DC07
5B047DC09
5B057AA12
5B057BA02
5B057CA01
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA16
5B057CB01
5B057CB08
5B057CB12
5B057CB16
5B057CE18
5B057DB02
5B057DB06
5B057DB09
5B057DC04
5B057DC08
5B057DC25
5C062AA05
5C062AA13
5C062AA35
5C062AB05
5C062AB20
5C062AB25
5C062AB38
5C062AB41
5C062AB42
5C062AB43
5C062AB44
5C062AC02
5C062AC04
5C062AC22
5C062AC61
5C062AE03
5C072AA01
5C072BA07
5C072DA25
5C072EA05
5C072EA06
5C072EA07
5C072QA10
5C072QA16
5C072RA16
5C072RA18
5C072UA02
5C072UA11
5C072UA13
5C072UA18
5C072XA01
5C072XA05
5C077LL04
5C077LL19
5C077MM03
5C077MM04
5C077MM05
5C077MM21
5C077MM27
5C077MP08
5C077PP06
5C077PP07
5C077PP32
5C077PP33
5C077PP36
5C077PP37
5C077PP44
5C077PP45
5C077PQ22
5C077PQ23
5C077SS01
5C077SS02
5C077TT02
5C077TT06
(57)【要約】
【課題】長時間にわたって印刷が継続しても印刷画像を忠実に撮像して精度よく印刷画像を検査できる印刷画像検査装置等を提供する。
【解決手段】印刷装置において、印刷画像を検査するためのインラインスキャナ30による撮像を校正するための測色計40が設けられている。印刷動作中において、用紙5に形成されたテストパターン画像51に対するインラインスキャナ30による撮像と測色計40による測色により得られる校正用の撮像データと測色データに基づき、撮像校正のための補正係数LUTを更新し、この補正係数LUTに基づきインラインスキャナ30による撮像をリアルタイムで校正する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置により形成される印刷画像を検査するための印刷画像検査装置であって、
前記印刷画像を撮像する撮像部と、
前記印刷画像の全部または一部を測色する測色計と、
前記撮像部による撮像を校正する校正部と、
前記印刷画像の良否を判定する判定部と、
前記撮像部、前記測色計、および、前記校正部を制御する検査制御部と
を備え、
前記検査制御部は、
前記撮像部による撮像を校正するためのテストパターン画像が前記印刷画像の一部または全部として形成されたときに、前記撮像部が前記テストパターン画像を撮像することによりテストパターン撮像データを生成し、前記測色計が前記テストパターン画像を測色することにより測色データを生成し、前記校正部が前記テストパターン撮像データおよび前記測色データに基づき撮像用校正データを生成するように、前記撮像部、前記測色計、および、前記校正部を制御し、かつ、
前記撮像用校正データの生成後において、印刷すべき入力画像を表す印刷データに基づき形成される対象印刷画像を前記撮像部が撮像することにより生成される対象撮像データを前記校正部が前記撮像用校正データに基づき補正するように、前記校正部を制御し、
前記判定部は、前記校正部により補正された前記対象撮像データに基づき前記対象印刷画像の良否を判定する、印刷画像検査装置。
【請求項2】
前記校正部は、
前記テストパターン撮像データの表色系と前記測色データの表色系とが一致するように、前記テストパターン撮像データと前記測色データの一方または双方に対し表色系変換を行う変換部と、
前記表色系変換後における前記テストパターン撮像データと前記測色データとの差分を算出する差分算出部と、
前記差分が低減されるように前記対象撮像データを補正するための校正データを前記撮像用校正データとして生成する校正データ生成部と
を含む、請求項1に記載の印刷画像検査装置。
【請求項3】
前記検査制御部は、前記印刷装置の印刷動作中において所定時間間隔で、
前記撮像部が前記テストパターン撮像データを新たに生成し、
前記測色計が前記測色データを新たに生成し、
前記校正部が、新たに生成された前記テストパターン撮像データおよび前記測色データに基づき前記撮像用校正データを新たに生成して、前記対象撮像データの補正のための前記撮像用校正データを更新するように、
前記撮像部、前記測色計、および、前記校正部を制御する、請求項1または2に記載の印刷画像検査装置。
【請求項4】
前記検査制御部は、前記対象印刷画像が形成される位置とは異なる位置に前記テストパターン画像が形成されるように前記印刷装置を制御する、請求項1または2に記載の印刷画像検査装置。
【請求項5】
前記撮像部は、前記対象印刷画像から前記テストパターン画像として選択される部分画像を撮像することにより前記テストパターン撮像データを生成し、
前記測色計は、前記部分画像を測色することにより前記測色データを生成し、
前記部分画像は、前記撮像部による撮像および前記測色計による測色が可能な面積を有している、請求項1または2に記載の印刷画像検査装置。
【請求項6】
前記測色計を移動させる移動機構を更に備え、
前記撮像部は、前記基材の搬送方向に直交する幅方向に並ぶ複数の撮像素子を含み、
前記検査制御部は、前記複数の撮像素子により生成されるテストパターン撮像データに対応する測色データが前記測色計により生成されるように前記測色計を前記移動機構により前記幅方向に移動させる、請求項1から5のいずれか1項に記載の印刷画像検査装置。
【請求項7】
印刷された画像を検査する機能を有する印刷装置であって、
印刷機構と
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の印刷画像検査装置と
を備え、
前記印刷機構は、
基材を搬送する搬送機構と、
前記基材の印刷面に対して印刷を行う印刷ヘッドと、
前記印刷ヘッドおよび前記搬送機構を制御することにより前記基材に印刷画像を形成する印刷制御部とを含み、
前記搬送機構は、前記印刷画像が形成された前記基材が搬送方向を変えるように巻き掛けられる第1および第2搬送ローラを含み、
前記撮像部は、前記基材のうち前記第1搬送ローラに接している部分の印刷面に前記撮像部の撮像面が臨むように配置され、
前記測色計は、前記基材のうち前記第2搬送ローラに接している部分の印刷面に前記測色計の色検出面が臨むように配置される、印刷装置。
【請求項8】
前記搬送機構は、前記基材が水平方向に搬送されている部分において前記第1搬送ローラに接するように構成されており、
前記撮像部は、前記第1搬送ローラの鉛直線上に配置されている、請求項7に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記測色計は、前記基材のうち前記第2搬送ローラに接している部分における前記第2搬送ローラの周方向の中央部の印刷面に前記色検出面が臨むように配置される、請求項7に記載の印刷装置。
【請求項10】
前記搬送機構は、前記基材の搬送方向が前記第2搬送ローラにおいて水平方向から鉛直方向へまたは鉛直方向から水平方向へと切り替わるように構成されており、
前記測色計は、前記第2搬送ローラの中心軸に垂直な面内において当該中心軸から鉛直方向に対し斜め方向に延びる斜め線上に配置される、請求項9に記載の印刷装置。
【請求項11】
前記測色計は、前記斜め線が鉛直方向となす角度が30度から60度の範囲となるように配置される、請求項10に記載の印刷装置。
【請求項12】
前記印刷データを補正する補正部を更に備え、
前記印刷ヘッドは、前記基材の搬送方向に直交する幅方向に並ぶ複数のノズルを有し当該複数のノズルから前記基材に対してインクを吐出するように構成されており、
前記検査制御部は、
前記複数のノズル間でのインク吐出量のばらつきを補償するシェーディング補正のための画像が前記テストパターン画像として前記基材に形成されるように前記印刷ヘッドおよび前記搬送機構を制御し、
前記校正部が、前記撮像部による前記テストパターン画像の撮像により得られる前記テストパターン撮像データを前記撮像用校正データに基づき補正して、当該補正後のテストパターン撮像データに基づきシェーディング用補正データを生成するように、前記校正部を制御し、
前記補正部は、前記シェーディング用補正データに基づき前記印刷データを補正し、
前記印刷制御部は、前記補正部により補正された前記印刷データに基づき前記印刷ヘッドおよび前記搬送機構を制御することにより前記基材に前記対象印刷画像を形成する、請求項7に記載の印刷装置。
【請求項13】
印刷装置により形成された印刷画像を検査するための印刷画像検査方法であって、
前記印刷画像を撮像する撮像ステップと、
前記印刷画像の全部または一部を測色する測色ステップと、
前記撮像部による撮像を校正する校正ステップと、
前記印刷画像の良否を判定する判定ステップと
を備え、
前記撮像ステップでの撮像を校正するためのテストパターン画像が前記印刷画像の一部または全部として形成されたときに、
前記撮像ステップでは、前記テストパターン画像を撮像することによりテストパターン撮像データが生成され、
前記測色ステップでは、前記テストパターン画像を測色することにより測色データが生成され、
前記校正ステップでは、前記テストパターン撮像データおよび前記測色データに基づき撮像用校正データが生成され、
前記撮像用校正データの生成後において、前記校正ステップでは、印刷すべき入力画像を表す印刷データに基づき形成される対象印刷画像を前記撮像ステップで撮像することにより生成される対象撮像データが前記撮像用校正データに基づき補正され、
前記判定ステップでは、前記校正ステップで補正された前記対象撮像データに基づき前記対象印刷画像の良否が判定される、印刷画像検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷画像を検査するための印刷画像検査装置およびそれを備える印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置において印刷用紙等の基材に形成された印刷画像をCIS(Contact Image Sensor)等の撮像部により撮像して得られる撮像データに基づき当該印刷画像を検査する印刷画像検査装置や、そのような印刷画像検査装置を備えた印刷装置が知られている。このような印刷画像検査装置において、印刷画像の検査精度を良好に維持するには、撮像部としてのCISによる撮像を適切に校正する必要がある。
【0003】
これに対し従来の印刷画像検査装置では、印刷前に基材としての用紙の紙白部分を使用し、当該紙白部分に対し光源が消灯した状態での撮像と光源が点灯した状態での撮像とを行い、これによりCISの校正を行っていた。
【0004】
なお、本願で開示される印刷画像検査装置等に関連して、下記の特許文献1(特開2013-184442号公報)には、濃度センサを含む第1センサユニットと、分光測色センサを含む第2センサユニットを着脱可能に保持する保持部とを備え、カラーキャリブレーションを行う機能を有する記録装置が開示されている。この記録装置における制御部は、第2センサユニットが保持されている場合には、前記第2センサユニットを用いてキャリブレーションの実行を可能とし、前記保持部に前記第2 センサユニットが保持されていない場合には、前記第1センサユニットを用いたキャリブレーションの実行を可能とする。なお同文献では、カラーキャリブレーション機能とは、印刷ヘッドによって記録媒体にカラーパッチを記録した後にカラーパッチの測色を行い、その測色結果に基づいて入力された画像データの色補正処理を行う機能とされている(段落[0003])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-184442号公報
【特許文献2】特開2019-202512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
印刷画像検査のための撮像部(CIS)による撮像の校正を上記のように光源を消灯および点灯させて行う場合、その消灯中においては印刷画像の検査を行えない。また、印刷中において校正のために紙白部分を撮像する場合、インラインスキャナとしてのCISを覆う程度の紙白部分は存在しない。このような状況から、印刷中においてCISによる撮像の校正を行うこと現実的ではない。
【0007】
一方、CISの撮像感度は温度等の影響を受ける。このため、長時間にわたって印刷が継続すると、温度変化等の環境変化によってCISの撮像感度が変化するために、印刷画像を忠実に撮像できない場合がある。
【0008】
そこで、長時間にわたって印刷が継続しても印刷画像を忠実に撮像して精度よく印刷画像を検査できる印刷画像検査装置等を提供することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の局面は、印刷装置により形成される印刷画像を検査するための印刷画像検査装置であって、
前記印刷画像を撮像する撮像部と、
前記印刷画像の全部または一部を測色する測色計と、
前記撮像部による撮像を校正する校正部と、
前記印刷画像の良否を判定する判定部と、
前記撮像部、前記測色計、および、前記校正部を制御する検査制御部と
を備え、
前記検査制御部は、
前記撮像部による撮像を校正するためのテストパターン画像が前記印刷画像の一部または全部として形成されたときに、前記撮像部が前記テストパターン画像を撮像することによりテストパターン撮像データを生成し、前記測色計が前記テストパターン画像を測色することにより測色データを生成し、前記校正部が前記テストパターン撮像データおよび前記測色データに基づき撮像用校正データを生成するように、前記撮像部、前記測色計、および、前記校正部を制御し、かつ、
前記撮像用校正データの生成後において、印刷すべき入力画像を表す印刷データに基づき形成される対象印刷画像を前記撮像部が撮像することにより生成される対象撮像データを前記校正部が前記撮像用校正データに基づき補正するように、前記校正部を制御し、
前記判定部は、前記校正部により補正された前記対象撮像データに基づき前記対象印刷画像の良否を判定する。
【0010】
本発明の第2の局面は、印刷された画像を検査する機能を有する印刷装置であって、
印刷機構と
本発明の第1の局面の印刷画像検査装置とを備え、
前記印刷機構は、
基材を搬送する搬送機構と、
前記基材の印刷面に対して印刷を行う印刷ヘッドと、
前記印刷ヘッドおよび前記搬送機構を制御することにより前記基材に印刷画像を形成する印刷制御部とを含み、
前記搬送機構は、前記印刷画像が形成された前記基材が搬送方向を変えるように巻き掛けられる第1および第2搬送ローラを含み、
前記撮像部は、前記基材のうち前記第1搬送ローラに接している部分の印刷面に前記撮像部の撮像面が臨むように配置され、
前記測色計は、前記基材のうち前記第2搬送ローラに接している部分の印刷面に前記測色計の色検出面が臨むように配置される。
【0011】
本発明の第3の局面は、印刷装置により形成された印刷画像を検査するための印刷画像検査方法であって、
前記印刷画像を撮像する撮像ステップと、
前記印刷画像の全部または一部を測色する測色ステップと、
前記撮像部による撮像を校正する校正ステップと、
前記印刷画像の良否を判定する判定ステップと
を備え、
前記撮像ステップでの撮像を校正するためのテストパターン画像が前記印刷画像の一部または全部として形成されたときに、
前記撮像ステップでは、前記テストパターン画像を撮像することによりテストパターン撮像データが生成され、
前記測色ステップでは、前記テストパターン画像を測色することにより測色データが生成され、
前記校正ステップでは、前記テストパターン撮像データおよび前記測色データに基づき撮像用校正データが生成され、
前記撮像用校正データの生成後において、前記校正ステップでは、印刷すべき入力画像を表す印刷データに基づき形成される対象印刷画像を前記撮像ステップで撮像することにより生成される対象撮像データが前記撮像用校正データに基づき補正され、
前記判定ステップでは、前記校正ステップで補正された前記対象撮像データに基づき前記対象印刷画像の良否が判定される。
【0012】
本発明の他の局面は、本発明の上記局面ならびに後述の実施形態およびその変形例に関する説明から明らかであるので、その説明を省略する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の第1の局面では、撮像部による撮像を校正するためのテストパターン画像が印刷画像の一部または全部として形成されたときに、撮像部が当該テストパターン画像を撮像することによりテストパターン撮像データが生成されるとともに、測色計が当該テストパターン画像を測色することにより測色データが生成され、当該テストパターン撮像データおよび当該測色データに基づき撮像用校正データが生成される。この撮像用校正データの生成後、印刷すべき入力画像を表す印刷データに基づき形成される対象印刷画像が撮像部により撮像されて対象撮像データが生成されると、その対象撮像データが撮像用校正データに基づき補正され、補正後の対象撮像データに基づき対象印刷画像の良否が判定される。このような構成によれば、印刷動作中においても、テストパターン画像が印刷画像として形成されると、その測色データを用いて撮像部による撮像を校正することにより、印刷動作中に温度変化等の環境変化によって撮像部の撮像感度が変動しても、その変動に対応した撮像校正をリアルタイムで正確に行うことができる。その結果、印刷動作中において基材に形成される対象印刷画像の濃度が変動した場合に、その対象印刷画像の撮像部による撮像データに基づき当該濃度変動を的確に検出できる。
【0014】
本発明の第2の局面では、印刷された画像を検査する機能を有する印刷装置において、基材を搬送する搬送機構が、印刷画像が形成された基材が搬送方向を変えるように巻き掛けられる第1および第2搬送ローラを含み、印刷画像の検査のための撮像部が、当該基材のうち第1搬送ローラに接している部分の印刷面に当該撮像部の撮像面が臨むように配置され、撮像校正のための測色計が、当該基材のうち第2搬送ローラに接している部分の印刷面に当該測色計の色検出面が臨むように配置されている。撮像部および測色計についてのこのような配置構成によれば、基材の搬送におけるバタツキやコクリングによる撮像位置や測色位置の変動が防止され、基材に形成された印刷画像に対し安定で良好な撮像および測色が行われる。これにより、撮像部による撮像をより正確に校正し対象印刷画像をより忠実に撮像できるので、本発明の上記第1の局面により得られる効果を高めることができる。
【0015】
本発明の第3の局面によれば、本発明の第1の局面と同様の効果が得られる。
【0016】
本発明の他の局面の効果については、本発明の上記局面の効果ならびに下記実施形態およびその変形例の効果についての説明から明らかであるので、説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1の実施形態に係るインクジェット印刷装置の構成を示す模式図である。
図2】上記第1の実施形態における制御部のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】上記第1の実施形態におけるインラインスキャナ(撮像部)および測色計の配置構成を説明するための平面図である。
図4】上記第1の実施形態におけるインラインスキャナおよび測色計の配置構成を説明するための側面図である。
図5】撮像の校正のために読み取るべきテストパターン画像の第1例をインラインスキャナおよび測色計とともに示す模式図である。
図6】撮像の校正のために読み取るべきテストパターン画像の第2例をインラインスキャナおよび測色計とともに示す模式図である。
図7】撮像の校正のために読み取るべきテストパターン画像の第3例をインラインスキャナおよび測色計とともに示す模式図である。
図8】撮像の校正のために読み取るべきテストパターン画像の第4例をインラインスキャナおよび測色計とともに示す模式図である。
図9】上記第1の実施形態における印刷装置の制御処理を示すフローチャートである。
図10】上記第1の実施形態における測色計の校正(キャリブレーション)を説明するための図である。
図11】上記第1の実施形態における校正データ生成処理を示すフローチャートである。
図12】上記第1の実施形態における画像印刷処理を示すフローチャートである。
図13】上記第1の実施形態における印刷画像検査処理を示すフローチャートである。
図14】上記第1の実施形態における補正係数LUTの更新手順の第1例を示す流れ図である。
図15】上記第1の実施形態における補正係数LUTの更新手順の第2例を説明するための図である。
図16】上記第1の実施形態における撮像校正のための撮像データの補正手順の第1例を示す流れ図である。
図17】上記第1の実施形態における補正係数LUT(変換・補正係数LUT)の更新手順の第3例を示す流れ図である。
図18】上記第1の実施形態における撮像校正のための撮像データの補正手順の第2例を示す流れ図である。
図19】上記第1の実施形態における補正係数LUTの更新手順の第4例を示す流れ図である。
図20】上記第1の実施形態における補正係数LUTの更新手順の第5例を示す流れ図である。
図21】上記第1の実施形態における撮像校正のための撮像データの補正手順の第3例を示す流れ図である。
図22】本発明の第2の実施形態における検査制御処理を含む印刷装置の制御処理を示すフローチャートである。
図23】上記第2の実施形態における校正データ生成処理を示すフローチャートである。
図24】本発明の第3の実施形態における校正データ生成処理を示すフローチャートである。
図25】上記第2の実施形態の変形例において撮像校正のために読み取るべきテストパターン画像の一例をインラインスキャナおよび測色計とともに示す模式図である。
図26】本発明の応用例において撮像の校正のために読み取るべきテストパターン画像の一例をインラインスキャナおよび測色計とともに示す模式図である。
図27】上記応用例としての濃度変動の補正のための動作を説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
【0019】
<1.第1の実施形態>
<1.1 全体構成>
図1は、本発明の第1の実施形態に係るインクジェット印刷装置10の構成を示す模式図である。この印刷装置10は、ロール状の印刷基材(以下、単に「基材」という)としての巻取紙から長尺状の基材としての記録用紙(以下、単に「用紙」という)5を巻き出して供給する用紙送出部202と、用紙5を印刷機構200の内部へと搬送するための第1の駆動ローラ203と、印刷機構200の内部で用紙5を搬送するための複数個の支持ローラ204と、用紙5にインクを吐出して印刷を行う記録部205と、印刷後の用紙5を乾燥させる乾燥部206と、用紙5を印刷機構200の内部から出力するための第2の駆動ローラ207と、印刷後の用紙5を巻き取る用紙巻取部208とを備えている。また、支持ローラとしての機能を有しつつ、記録部205により用紙5に形成された印刷画像に対し安定で良好な撮像および測色を可能とするために撮像用支持ローラ204aおよび測色用支持ローラ204bが設けられている(詳細は後述)。
【0020】
第1の駆動ローラ203と支持ローラ204,204a,204bと第2の駆動ローラ207とは、用紙5を移動させるための搬送機構を構成する。記録部205には、K色(Black:黒)、C色(Cyan:シアン)、M色(Magenta:マゼンタ)、およびY色(Yellow:黄)のインクをそれぞれ吐出する第1から第4印刷ヘッド列205k,205c,205m,205yが含まれている。また、印刷機構200の内部には、記録部205により用紙5に形成された印刷画像を撮像する撮像部としてのインラインスキャナ30、および、当該印刷画像における所定部分を測色する測色計40が含まれており、インラインスキャナ30より得られた撮像データおよび測色計40により得られた測色データは、制御部100へと送られる。
【0021】
<1.2 制御部の構成>
図2は、上記インクジェット印刷装置10における制御部100のハードウェア構成を示すブロック図である。この制御部100は、本体11、補助記憶装置12、表示部14、および、操作部15を備えている。本体11は、CPU111、メモリ112、ディスクインタフェース部113、表示制御部115、入力インタフェース部116、画像処理部117、印刷実行制御部118、撮像測色制御部119、および、ネットワークインタフェース部120を含んでいる。CPU111、メモリ112、ディスクインタフェース部113、表示制御部115、入力インタフェース部116、画像処理部117、印刷実行制御部118、撮像測色制御部119、および、ネットワークインタフェース部120は、システムバスを介して互いに接続されている。ディスクインタフェース部113には補助記憶装置12が接続されている。表示制御部115には表示部14が接続されている。入力インタフェース部116には、キーボードやマウス等を含む操作部15が接続されている。ネットワークインタフェース部120にはネットワーク3が接続され、本制御部100は、このネットワーク3を介してホスト装置等に接続されている。補助記憶装置12は磁気ディスク装置等である。表示部14は液晶ディスプレイ等である。表示部14は、作業者が所望する情報を表示するために使用される。操作部15は、インクジェット印刷装置10に対して作業者が指示を入力するために使用される。
【0022】
補助記憶装置12には、ネットワーク3を介して受け取る入稿データから印刷データを生成し当該印刷データの表す画像を印刷機構200に印刷させるための制御プログラム17が格納されている。既述のように印刷機構200には、用紙5に形成された印刷画像に対し撮像および測色をそれぞれ行う撮像部としてのインラインスキャナ30および測色計40が設けられている。制御プログラム17は、上記のように印刷データを生成して印刷機構200に画像を印刷させる印刷制御処理18aに加えて、インラインスキャナ30および測色計40を用いて印刷画像の良否を判定するための検査制御処理18bを行うためのプログラムである。また補助記憶装置1には、検査制御処理18bで使用される後述の補正係数LUT19も格納されている。CPU111は、補助記憶装置12に格納された制御プログラム17をメモリ112に読み出して実行することで、インクジェット印刷装置10において用紙5に印刷画像を形成する機能および当該印刷画像の良否を判定する機能を実現する。メモリ112は、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)を含んでいる。メモリ112は、CPU111が制御プログラム17を実行するためのワークエリアとして機能する。また、制御プログラム17の実行時には、補正係数LUT19もワークエリアとしてのメモリ112に格納され検査制御処理18bにおいてアクセスされる。なお、補正係数LUT19の詳細は後述する。
【0023】
画像処理部117は、制御プログラム17を実行するCPU111による制御の下、ページ記述言語で記述された入稿データに対しラスタライズ処理を施すことによりビットマップ形式の印刷データを生成する。印刷実行制御部118は、制御プログラム17を実行するCPU111が印刷機構200の各部を制御するためのインタフェースとして機能する。撮像測色制御部119は、制御プログラム17を実行するCPU111が、用紙5に形成された印刷画像に対して撮像および測色をそれぞれ行うインラインスキャナ30および測色計40を制御するためのインタフェースとして機能する。
【0024】
<1.3 インラインスキャナおよび測色計ならびにそれらの配置構成>
図3は、本実施形態における撮像部としてのインラインスキャナ30および測色計40の配置構成を説明するための平面図であり、図4は、本実施形態におけるインラインスキャナ30および測色計40の配置構成を説明するための(図3における左方から見た)側面図である。
【0025】
インラインスキャナ30は、基材としての用紙5の幅方向(用紙5の搬送方向に垂直な幅方向であり、以下「紙幅方向」という)に用紙5の全幅に対応する長さにわたって並べられた複数の撮像素子31を含む(後述の図5参照)。本実施形態では、インラインスキャナ30としてCIS(Contact Image Sensor)が使用されているが、CCD(Charge Coupled Device)などのようにCISに限定されない。CIS等のインラインスキャナは、色フィルタを利用してRGBの輝度値を取得し、RGBの輝度値からなる撮像データを出力する。
【0026】
これに対し測色計40は、CMYKの濃度値やLab値といった値を測色値として出力するものであって、温度等の環境に影響されることなく、CIE(国際照明委員会)等の規格に沿った絶対的な色情報を測色値として出力することができる。また、この測色計40は、印刷画像における所定位置の小領域をスポット的に測色するものであり、印刷画像において測色すべき位置まで測色計を移動させるための移動機構45が設けられている。この移動機構45は、少なくとも用紙5の全幅にわたって紙幅方向に測色計40が移動できるように構成されている。この移動機構45は、例えば、測色計40をガイドするガイド部材、測色計40を移動させる例えばラックピニオンや送りねじ等の送り機構、および、その送り機構の駆動源としてのモータ等により構成される。
【0027】
既述のように搬送機構は、撮像用支持ローラ204aおよび測色用支持ローラ204bを含み、図4に示すように用紙5は、記録部205により印刷画像の形成された用紙5の搬送方向が撮像用支持ローラ204aおよび測色用支持ローラ204bのそれぞれにおいて変わるように巻き掛けられている。すなわち搬送機構は、用紙5の搬送方向が撮像用支持ローラ204aにおいて鉛直方向から水平方向に切り替わり、測色用支持ローラ204bにおいて水平方向から鉛直方向に切り替わるように構成されている。なお、これに代えて搬送機構は、逆に、用紙5の搬送方向が撮像用支持ローラ204aにおいて水平方向から鉛直方向に切り替わり測色用支持ローラ204bにおいて鉛直方向から水平方向に切り替わるように構成されていてもよい。
【0028】
本実施形態では、撮像部としてのインラインスキャナ30は、用紙5のうち撮像用支持ローラ204aに接している部分における印刷面にインラインスキャナ30の撮像面が臨むように配置され、測色計40は、用紙5のうち測色用支持ローラ204bに接している部分における印刷面に測色計40の色検出面が臨むように配置される。ここで印刷面とは、用紙5の2つの面のうち記録部205により印刷画像が形成される面をいう。このような配置構成によれば、用紙搬送におけるバタツキやコクリングによる撮像位置や測色位置の変動が防止され、用紙5に形成された印刷画像に対し安定で良好な撮像および測色が可能となる。
【0029】
具体的には図4に示すように、インラインスキャナ30は、撮像用支持ローラ204aの中心軸を通る鉛直線上に、その撮像面が当該鉛直線に垂直となるように配置される。好ましくは、インラインスキャナ30は、用紙5のうち撮像用支持ローラ204aに接している部分における撮像用支持ローラ204aの周方向の中央部の印刷面にその撮像面が臨むように配置される。また測色計40は、用紙5のうち測色用支持ローラ204bに接している部分における測色用支持ローラ204bの周方向の中央部の印刷面にその色検出面が臨むように配置される。この観点から、測色計40は、図4に示すように、測色用支持ローラ204bの中心軸に垂直な面内において当該中心軸から鉛直方向に対し斜め方向に延びる斜め線上に配置されている。当該斜め線が鉛直方向となす角が30度から60度の範囲に角度となるのが好ましい。
【0030】
なお、図1および図4に示す例では、撮像用支持ローラ204aおよび測色用支持ローラ204bのそれぞれで用紙5の搬送方向が鉛直方向と水平方向との間で切り替わるが、用紙5の搬送方向が鉛直方向と水平方向との間で切り替わる構成でなくても、撮像用支持ローラ204aおよび測色用支持ローラ204bのそれぞれで用紙5の搬送方向が切り替わる構成であればよい。そのような搬送機構の構成を前提として、用紙5のうち撮像用支持ローラ204aに接している部分における印刷面にインラインスキャナ30の撮像面が臨むように配置され、測色計40は、用紙5のうち測色用支持ローラ204bに接している部分における印刷面に測色計40の色検出面が臨むように配置されるようにすれば、基本的には上記と同様の効果が得られる。
【0031】
<1.4 撮像校正のためのテストパターン画像>
既述のように本実施形態に係る印刷装置10は、インラインスキャナ30および測色計40を備え、制御プログラム17に基づき印刷制御処理18aを行うだけでなく検査制御処理18bを行う。これにより、印刷制御処理18aにおいて用紙5に形成された印刷画像がインラインスキャナ30により撮像されて撮像データが生成され、その撮像データに基づき当該印刷画像の良否が判定される。このような印刷画像の良否判定の精度(検査精度)を良好に維持するために、測色計40による測色データを用いてインラインスキャナ30による撮像が校正される。この校正のために、校正用パッチ等、校正のためのテストパターン画像に対してインラインスキャナ30による撮像および測色計40による測色が行われる。以下、このようなテストパターン画像につき、図5図8を参照して説明する。なお、図5図8に示すテストパターン画像のうち図5および図7に示すテストパターン画像は本実施形態において使用可能であるが、図6および図8に示すテストパターン画像は後述の第2の実施形態において使用される。
【0032】
図5は、インラインスキャナ30による撮像の校正(以下、単に「撮像校正」ともいう)のために読み取るべきテストパターン画像の第1例をインラインスキャナ30および測色計40とともに示す模式図である。本例では、図5に示すような予め決められたテストパターン画像51が記録部205により用紙5に印刷画像として形成された後、そのテストパターン画像51における1次色の所定部分を校正用パッチとしてインラインスキャナ30が撮像することによりテストパターン撮像データが生成されるとともに、その校正用パッチが測色計40により測色されることにより測色データが生成される。これらのテストパターン撮像データおよび測色データに基づき、インラインスキャナ30による撮像を校正するための撮像用校正データが生成される(詳細は後述)。なお1次色とは、減色混合における原色としてのY(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン)のそれぞれである。この1次色のテストパターン画像51は、図5に示すように、記録部205により幅方向全域にわたって同じ濃度で形成される画像を濃度の高い画像から順に(51a、51b、…、51n)配置される。なお、校正用パッチとして1次色のパッチに代えて2次色または3次色のパッチを使用してもよい。ただし、この場合、撮像用校正データの生成および撮像用校正データに基づく撮像の校正において表色系変換が必要となる(詳細は後述)。
【0033】
図6は、インラインスキャナ30による撮像の校正のために読み取るべきテストパターン画像の第2例をインラインスキャナ30および測色計40とともに示す模式図である。本例では、入稿データから生成される印刷データに基づき記録部205により用紙5に形成される印刷画像(以下「対象印刷画像」という)例えば図6に示すような対象印刷画像50の中から、インラインスキャナ30による撮像の校正のためのテストパターン画像が選択される(以下、この選択された画像を「選択部分画像」または単に「部分画像」という)。この対象印刷画像50は、部分画像511と実画像512(用紙5から部分画像511が断裁された後に印刷物となるべき画像)とからなり、当該対象印刷画像50の中から選択された部分画像511を校正用パッチとしてインラインスキャナ30における一部の撮像素子で撮像するとともに、測色計40を当該部分画像511の測色が可能な位置まで移動させて測色することにより、テストパターン撮像データおよび測色データが生成される。これらのテストパターン撮像データおよび測色データに基づき、インラインスキャナ30による撮像を校正するための撮像用校正データが生成される。ここで、対象印刷画像50から選択される部分画像511は、次の2つの条件を満たす必要がある。
(1)インラインスキャナ30および測色計40の最小の読取り幅よりも広い幅を有するパターンであること
(2)インラインスキャナ30としてのCISの校正(キャリブレーション)に必要な数のパッチに相当する数のベタパターンを部分画像511として確保すること
なお、上記部分画像511の選択は、印刷データに基づき所定のアルゴリズムに従って自動的に行うようにしてもよいし、所定の入力操作に基づいて行うようにしてもよい。
【0034】
図7は、インラインスキャナ30による撮像の校正のために読み取るべきテストパターン画像の第3例をインラインスキャナ30および測色計40とともに示す模式図である。本例では、図7に示すようなシェーディング補正用のテストパターン画像51が記録部205により用紙5に印刷画像として形成された後、そのテストパターン画像51をインラインスキャナ30が撮像することによりテストパターン撮像データが生成され、さらに、このテストパターン撮像データに基づきシェーディング補正のための補正データが生成される。ここで、シェーディング補正とは、記録部205における各印刷ヘッドから吐出されるインクの吐出量のばらつきによる印刷画像の濃度むらが抑制されるように、印刷ヘッド毎の特性に応じて印刷データ等に施す補正のことである。なお、インラインスキャナ30に含まれる撮像素子間で撮像感度のばらつきは、後述のように、印刷の開始前に紙白を使用して行われる校正処理により解消される(図9のステップS14参照)。ここでの校正は、素子間での特性の相違を解消するための相対的な校正であり、以下「素子間校正」という。なお、このテストパターン画像51は、図7に示すように、記録部205により幅方向全域にわたって同じ濃度で形成される画像を濃度の高い画像から順に(51a’、51b’、…、51n’)配置される。本実施形態では、図7のテストパターン画像51の所定位置を測色計40で測色することにより絶対的な色情報としての濃度データを測色データとして取得し、この測色データに基づき上記シェーディング補正を行う。これにより、各印刷ヘッドのインク吐出量が絶対的な濃度に対応するように調整される。また、上記のようにして得られたテストパターン撮像データおよび測色データに基づき、インラインスキャナ30による撮像を校正するための撮像用校正データも生成される。
【0035】
図8は、インラインスキャナ30による撮像の校正のために読み取るべきテストパターン画像の第4例をインラインスキャナ30および測色計40とともに示す模式図である。上記第3例のテストパターン画像51(図7)を用いて印刷動作中にリアルタイムで中間調までシェーディング補正を行う場合には、中間調のテストパターン画像を印刷画像として形成する必要があるので、それに応じて損紙が発生する。これに対し、シェーディング補正用のテストパターン画像51としてベタ画像(濃度100%の画像)のみを使用する場合には、図8に示すように、対象印刷画像50の領域外すなわちページ領域外にテストパターン画像51を配置し、これによりシェーディング補正をリアルタイムで行うことができる。しかし、中間調のテストパターン画像51を用いたシェーディング補正を行わない場合には、十分に高い精度での撮像校正ができない。そこで本例では、図8に示すように、対象印刷画像50に含まれる中間色や特定色と同じ色を代表色パッチ52として対象印刷画像50の非使用領域に配置している。この代表色パッチ52を校正用パッチとしてインラインスキャナ30による撮像および測色計40による測色を行うことにより得られるテストパターン撮像データおよび測色データに基づき、インラインスキャナ30による撮像を校正するための撮像用校正データが生成される。
【0036】
<1.5 印刷装置の動作>
本実施形態では、制御部100は、CPU111が制御プログラム17を補助記憶装置12からメモリ112に読み出して実行することにより(図2参照)、用紙5への印刷を行うために印刷機構200における記録部205および搬送機構等を制御するとともに、用紙5に形成された印刷画像を撮像するためにインラインスキャナ30および測色計40を制御し印刷画像の撮像データに基づき当該印刷画像の良品を判定する。すなわち、本実施形態に係る印刷装置10では、CPU111が制御プログラム17に基づき印刷制御処理18aおよび検査制御処理18bを実行することにより、印刷機構200において用紙5に印刷画像を形成するという印刷装置本来の機能に加えて、用紙5に形成された印刷画像をインラインスキャナ30等を用いて検査する印刷画像の検査機能が実現される。すなわち、本実施形態に係る印刷装置10において、撮像部としてのインラインスキャナ30、測色計40、測色計の移動機構45(後述の図3参照)、記録部205、搬送機構、および、検査制御処理18bを実行する制御部100により、印刷画像検査装置が実現されている。
【0037】
図9は、本実施形態においてCPU111が制御プログラム17を実行することにより実現される印刷制御処理18aおよび検査制御処理18bを含む印刷装置10の制御処理(以下、単に「制御処理」という)を示すフローチャートである。本実施形態に係る印刷装置10では、入稿データから生成される印刷データの表す入力画像を印刷するために、制御部100が図9に示す手順にしたがって、印刷機構200ならびに用紙送出部202および用紙巻取部208の制御を行う(図1図2参照)。このためにCPU111は、制御プログラム17を補助記憶装置12からメモリ112に読み出して実行する。これにより、図9に示す制御処理が起動され、CPU111が制御プログラム17にしたがって下記のように動作する。なお、以下の説明からわかるように、図9の制御処理におけるステップS14~S18、S220、S22~S28により検査制御処理18bが実現される。
【0038】
まず、外部からネットワーク3を介して与えられる入稿データに対しラスタライズ処理を施すように画像処理部117を制御し、ビットマップ形式の印刷データを生成する(ステップS12)。この印刷データは、入稿データが示す入力画像である対象画像のデータを含んでいる。
【0039】
次に、生成された印刷データに基づく対象画像の印刷を開始する前に、インラインスキャナ30による撮像の校正のための処理を行う(ステップS14)。具体的には、まず、インラインスキャナ30における撮像素子31のバラツキ(撮像素子31の撮像感度のバラツキであり以下では「感度むら」ともいう)を解消するための処理を行う(例えば、インラインスキャナ30内の各撮像素子の出力値に乗ずべき感度むら補正係数を設定する)。
【0040】
その後、測色計40の校正(測色計40による測色の校正)を行う(ステップS16)。図10は、この測色計40の校正を説明するための図である。本実施形態では、測色計40の校正のための白色基準板42が印刷機構200に設けられており、この白色基準板42は、測色計40の移動可能な紙幅方向の範囲のうち用紙5における印刷画像の測色を行う位置の範囲から外れた所定位置(例えば移動可能範囲の端部位置)に測色計40が置かれたときに、その色検出面が白色基準板42を臨むように配置されている。ステップS16では、移動機構45によって測色計40を当該所定位置に移動させて白色基準板42を測色することで測色計40の校正を行う。
【0041】
次に、撮像部としてのインラインスキャナ30による撮像を校正するための撮像用校正データ(以下、単に「校正データ」ともいう)の生成処理を行う(ステップS18)。図11は、本実施形態における校正データ生成処理を示すフローチャートである。この校正データ生成処理において、CPU111は下記のように動作する。
【0042】
まず、記録部205により用紙5に校正用パッチが印刷画像として形成されるように、記録部205および搬送機構を制御する(ステップS182)。ここで、校正用パッチの印刷画像は、上記の第1例および第3例(図5図7)では、対象印刷画像とは別に形成されるテストパターンの印刷画像またはその一部であり、上記の第4例(図8)では、対象印刷画像と同時に当該対象印刷画像の領域外に形成される印刷画像であり、上記の第2例(図6)では、対象印刷画像の一部(部分画像)が校正用パッチ(を含むテストパターン)の印刷画像として扱われる。このため、このステップS182で形成される校正用パッチの印刷画像は、上記の第1例および第3例(図5図7)に対応し、上記の第2例および第4例(図6図8)に示す校正用パッチの印刷画像は、後述の第2の実施形態において画像印刷処理(ステップS210)により形成される(後述の図22図23参照)。
【0043】
次に、図6等に示すように、校正用パッチの読込位置すなわち校正用パッチの印刷画像を測色するための位置に測色計40を移動機構45により移動させる(ステップS184)。
【0044】
その後、校正用パッチの印刷画像をインラインスキャナ30および測色計40により読み込む(ステップS186)。すなわち、校正用パッチの印刷画像をインラインスキャナ30により撮像して校正用パッチ撮像データ(これはテストパターンの印刷画像またはその一部の撮像データであるので、以下では「テストパターン撮像データ」ともいう)を生成するとともに、その校正用パッチの印刷画像を測色計により測色して測色データを生成する。なお、校正用パッチの印刷画像の撮像では、インラインスキャナ30において紙幅方向に並ぶ複数の撮像素子31のうちその校正用パッチの紙幅方向位置に対応する撮像素子31(図5図7において斜線の付された撮像素子31)が使用される。
【0045】
このようにして校正用パッチの撮像データ(校正用撮像データ)と測色データが得られると、これらのデータに基づき撮像用校正データを生成する(ステップS188)。この撮像用校正データは、インラインスキャナ30に含まれる各撮像素子31の出力値に乗ずべき補正係数からなり、各補正係数は、当該補正係数をそれに対応する撮像素子の出力値に乗じた値が校正用パッチに対する測色計40による測色値に相当する値となるように決められる。本実施形態では、このような補正係数を含むルックアップテーブルが予め用意されている。すなわち、後述の印刷画像検査処理(図13)において、インラインスキャナ30による撮像を校正するための校正用データとして、対象印刷画像の撮像データに対する補正係数が、インラインスキャナ30における撮像素子31のそれぞれつき用意されている。例えば、インラインスキャナ30にn個の撮像素子31が含まれており、これらを符号“31-k”(k=1~n)で区別するものとすると、1≦k≦nなる整数kに対して撮像素子31-kの補正係数Ckを対応付けるルックアップテーブル(以下「補正係数LUT」という)19が予め用意されている(図2参照)。ステップS188で新たな補正係数C1~Cnが撮像用校正データとして生成されると、この補正係数LUT19は新たな補正係数C1~Cnにより更新される(ステップS188)。以下では、撮像部としてのインラインスキャナ30にn個の撮像素子31-1~31-nが含まれており、撮像用校正データは補正係数C1~Cnからなるものとする。
【0046】
このようにして撮像校正のための補正係数LUT19が更新されると、校正データ生成処理が終了し、ステップS20へ進む。ステップS20では、画像印刷処理(ステップS210)と印刷画像検査処理(ステップS220)とを並行的に実行する。なお、図9に示す例では、ステップS210およびS220は、1ページ単位で実行されるものとし、1つのページにつきステップS210およびS220が実行されると、後述のステップS22において当該ページが印刷データの最終ページか否かが判定される構成となっている。また本実施形態では、1ページ単位での画像印刷処理(S210)と印刷画像検査処理(S220)が印刷データにおける最終ページまで順次実行されるまでの過程において、インラインスキャナ30による撮像の校正を行うタイミング(以下「撮像校正タイミング」という)、および、測色計40による測色の校正を行うタイミング(以下「測色校正タイミング」という)が予め少なくとも1つずつ設定されている(後述のステップS24,S28参照)。これらのタイミングは、例えば印刷開始からの経過時間または印刷済みのページ数等で予め特定されている。
【0047】
図12は、本実施形態における画像印刷処理を示すフローチャートである。この画像印刷処理において、CPU111は下記のように動作する。
【0048】
まず、ステップS12で生成された印刷データに対して補正を行う(ステップS212)。この補正は、印刷データの表す画像の用紙5への記録(用紙5における印刷画像の形成)を良好に行うためのものであり、ここでは、各印刷ヘッドからのインクの吐出量のばらつき起因する印刷画像の濃度むらを防止するためのシェーディング補正を行うものとするが、他の補正が含まれていてもよい。
【0049】
次に、補正後の印刷データに基づき印刷機構200等の各部を制御することにより、その印刷データの表す画像すなわち対象画像を用紙5に対象印刷画像として形成する(ステップS214)。具体的には、印刷データの表す画像を用紙5に記録するために、記録部205とともに、用紙送出部202、駆動ローラ203,207、乾燥部206、インラインスキャナ30、測色計40、および、用紙巻取部208を制御する(図1参照)。これにより、用紙送出部202から巻き出されて搬送される用紙5に記録部205により対象画像が順次記録される。すなわち、対象印刷画像が用紙5に順次に形成される。このようにして対象印刷画像が順次形成された用紙5が乾燥部206により乾燥され、さらにインラインスキャナ30による撮像を経て、用紙巻取部208に巻き取られる。なお、インラインスキャナ30による撮像およびその撮像により得られる撮像データに基づく処理は、印刷画像検査処理として以下に述べる。
【0050】
上記の画像印刷処理と並行して印刷画像検査処理が実行される。図13は、本実施形態における印刷画像検査処理を示すフローチャートである。この印刷画像検査処理において、CPU111は下記のように動作する。
【0051】
まず、上記の画像印刷処理により用紙5に対象印刷画像が順次に形成される印刷動作中において、用紙5に形成された対象印刷画像がインラインスキャナ30により順次に撮像される(ステップS222)。ただし既述のように、図9に示す例ではステップS220は1ページ単位で実行されるので、1ページ分の対象印刷画像の撮像により撮像データが生成されると、次のステップS224へ進む。
【0052】
ステップS224では、上記ステップS222で生成された1ページ分の撮像データを、ステップS18で更新された補正係数LUT19を用いて補正する。この補正は、インラインスキャナ30による撮像の校正(撮像校正)に相当する。
【0053】
その後、上記のようにして補正された撮像データ(以下「補正済撮像データ」という)を例えば、入稿時の印刷データと比較することにより、上記ステップS222で撮像された対象印刷画像の良否を判定する(ステップS226)。この判定結果については制御部100において保存および/または表示等がなされるが、その詳細は本発明と直接に関連しないので省略する。
【0054】
上記のようにして1つのページの印刷画像の良否が判定されると、印刷画像検査処理のステップS220を終了し、ステップS22へ進む。
【0055】
ステップS22では、上記のステップS210,S220での対象印刷画像の形成および検査により印刷データの全てのページにつき印刷および検査が終了したか否かを判定する(ステップS22)。その判定の結果、印刷データにおいて印刷および検査が終了していないページが残っている場合には、ステップS24へ進み、インラインスキャナ30による撮像の校正タイミング(撮像校正タイミング)か否かを判定する。
【0056】
ステップS24での判定の結果、撮像校正タイミングでない場合は、ステップS28へ進み、測色計40による測色の校正タイミング(測色校正タイミング)か否かを判定する。その判定の結果、測色校正タイミングでない場合は、ステップS20へ戻り、そのステップS20以降のステップを上述のように実行する。
【0057】
以後、印刷データの全てのページにつき印刷および検査が終了するまでにおいて、ステップS24で撮像校正タイミングでないと判定され、かつ、ステップS28で測色校正タイミングでないと判定される場合には、ステップS20(ステップS210,S220)→ステップS22→ステップS24→ステップS28を繰り返し実行する。これらのステップS20~S28の実行中において、ステップS24で撮像校正タイミングであると判定されたときには、ステップS18へ戻り、校正データ生成処理によって補正係数LUT19を更新した後(図13参照)、ステップS20以降のステップを実行する。
【0058】
上記のステップS20~S28の実行中において、ステップS28で測色校正タイミングであると判定されたときには、ステップS16へ戻り、測色計40の校正を行い、かつ、校正データ生成処理による補正係数LUT19の更新(図11)を行った後に、ステップS20以降のステップを実行する。
【0059】
上記のステップS20~S28の実行中において、ステップS22で印刷データの全てのページにつき印刷および検査が終了したと判定されると、1つの入稿データから生成される印刷データに対する印刷装置10の制御処理が終了する(印刷動作の終了)。
【0060】
<1.6 補正係数LUTの更新および撮像データの補正>
上記のように本実施形態では、撮像校正のための補正係数LUT19が予め用意されており、印刷動作中において撮像校正タイミングが到来すると、校正データ生成処理(ステップS18)において生成される撮像用校正データにより補正係数LUT19が更新される(図9のステップS24→S18)。また、印刷画像検査処理(ステップS220)では、印刷画像の撮像データが補正係数LUT19を用いて補正されることで撮像校正が実現される(図13のステップS224)。以下、このような補正係数LUT19の更新と、その補正係数LUT19を用いた撮像データの補正につき、関連するデータの生成に着目して説明する。
【0061】
図14は、本実施形態における補正係数LUTの更新手順の第1例を示す流れ図である。図14において、矩形は、所定の処理を行うハードウェアまたはソフトウェア(制御プログラム17に含まれる処理ルーチン)を表し、八角形は、データ(ルックアップテーブルを含む)を表している。このような図式表現は、後述の図16図21においても採用されている
【0062】
図14に示すように本実施形態では、校正データ生成処理(S18)において、用紙5に形成された校正用パッチを含むテストパターンの印刷画像がインラインスキャナ30によって撮像され、これにより校正用撮像データとしてTP撮像輝度データLscが生成される(図11のステップS182~S186)。この校正用パッチの印刷画像は測色計40によっても測色され、これにより校正用の測色データとしてTP測色データDcmが生成される(図11のステップS186)。TP撮像輝度データLscはRGBの輝度データであり、TP測色データDcmはCMYの濃度データであるので、これらのデータLsc,Dcmから撮像用校正データを生成するにはこれらのデータLsc,Dcmの表色系を一致させる必要がある。そこで本例では、TP撮像輝度データLscを濃度データに変換するための表色系変換処理P10を行う。この表色系変換処理P10は、予め用意されたルックアップテーブル(LUTsc)により行われる。これによりTP撮像濃度データDscが得られる。
【0063】
次に、撮像校正のための補正係数LUT151を更新する処理P30を行う(図11のステップS188)。なお、本例で更新される補正係数LUT19を別例で更新される補正係数LUTと区別するために符号“19”に代えて符号“151”を使用するものとする。更新処理P30では、上記のようにして得られたTP撮像濃度データDscとTP測色データDcmとの差分を求め、この差分が解消されるように又は少なくとも低減されるように、既述の補正係数C1~Cnを求める。例えば、校正用パッチを含むテストパターン画像が紙幅方向に同一濃度で記録された印刷画像である場合(図7参照)、撮像素子31-1~31-nのそれぞれにつき、当該撮像素子31-kの出力値に相当するTP撮像濃度データDscの値に補正係数Ckを乗じた値が、校正用パッチの測色データDcmの値に等しくなるように、当該補正係数Ckを求める(k=1~n)。このようにして新たに求められた補正係数C1~Cnにより補正係数LUT151を更新する。
【0064】
図15は、補正係数LUT19の更新手順の第2例を説明するための図である。なお、本例で更新される補正係数LUT19を別例で更新される補正係数LUTと区別するために符号“19”に代えて符号“152”を使用するものとする。本例では、予め、1次色の各種濃度のパッチに対してインラインスキャナ30による撮像および測色計40による測色を行い、RGBの各チャネルにつきインラインスキャナ30から得られる輝度値に対する測色値を求める。これにより、CMY(シアン、マゼンタ、イエロー)のそれぞれにつき、インラインスキャナ30における対応する補色RGB(赤、緑、青)のチャネルでの輝度値と測色計40による濃度値との関係を表す図15に示すようなテーブルを予め作成しておく。その後、校正用パッチに対するインラインスキャナ30による撮像および測色計40による測色により得られる校正用撮像データの値(輝度値)と測色データの値(濃度値)との対応が、図15のテーブルに示される輝度値と濃度値との関係からずれている程度に応じて、補正係数LUT152を作成する。また、補正係数LUT152の作成後において、印刷動作中に校正用パッチに対するインラインスキャナ30による撮像および測色計40による測色を行うことにより補正係数LUT152を更新する。
【0065】
図16は、本実施形態における撮像校正のための撮像データの補正手順の第1例を示す流れ図である。印刷機構200において印刷データに基づき用紙5に対象印刷画像が形成されると、この対象印刷画像がインラインスキャナ30により撮像され、これにより対象撮像データとして対象撮像輝度データLOscが生成される(図13のステップS222)。この対象撮像輝度データLOscは、表色系変換処理P10により対象撮像濃度データDOscに変換される。その後、この対象撮像濃度データDOscに対し撮像校正処理P40が行われる。この撮像校正処理P40では、図14に示すように更新される補正係数LUT151により対象撮像濃度データDOscが補正され、これにより補正済撮像データDOcscが生成される(図13のステップS224)。この補正が撮像校正に相当する。
【0066】
図17は、補正係数LUT19の更新手順の第3例を示す流れ図である。本例では、図14に示した第1例における表色系変換処理P10のためのルックアップテーブル(LUTsc)と補正係数LUTとが1つのルックアップテーブル(以下「変換・補正係数LUT」という)153に統合されている。この変換・補正係数LUTの(作成および)更新のために、図17に示すように、インラインスキャナ30により生成されるTP撮像輝度データLscと測色計40により得られるTP測色データDcmとに基づき、変換・補正係数LUT153の更新処理P32が行われる。変換・補正係数LUT153の更新処理P32により、インラインスキャナ30により生成される撮像データとしてのRGB輝度データを濃度データに変換することなく撮像校正の補正を行うためのルックアップテーブルとして、変換・補正係数LUT153が(作成および)更新される。
【0067】
図18は、本実施形態における撮像校正のための撮像データの補正手順の第2例を示す流れ図である。本例では、上記の変換・補正係数LUT153を用いて補正済撮像データDOcscが生成される。すなわち、対象印刷画像がインラインスキャナ30により撮像されることにより対象撮像データとして対象撮像輝度データLOscが生成されると(図13のステップS222)、この対象撮像輝度データLOscに対し、変換・補正係数LUT153を用いた撮像校正処理P42により、濃度データへの変換と撮像校正のための補正とが同時に行われる。これにより、補正済撮像データDOcscが生成される(図13のステップS224参照)。
【0068】
図19は、補正係数LUT19の更新手順の第4例を示す流れ図である。なお、本例で更新される補正係数LUT19を別例で更新される補正係数LUTと区別するために符号“19”に代えて符号“154”を使用するものとする。本例では、測色計40は、インラインスキャナ30で使用されるカラーフィルタの特性を考慮したルックアップテーブル(LUTfl)を有している。すなわち本例では、図19に示すように、測色計40により校正用の測色データとしてTP測色原データDcm1が生成され、このTP測色原データDcm1はフィルタ対応変換処理P20によりTP測色調製データDcm2に変換される。このフィルタ対応変換処理P20は、より広い色再現領域で適切な撮像校正を可能とするためにインラインスキャナ30における色フィルタの特性を考慮して測色データを修正するための処理であり、その処理に対応したルックアップテーブル(LUTfl)が使用される。一方、インラインスキャナ30により生成されるTP撮像輝度データLscは、補正係数LUTの更新手順の第1例(図14)と同様、表色系変換処理P10によりTP撮像濃度データDscに変換される。このようにして得られたTP撮像濃度データDscとTP測色調製データDcm2とに基づき、補正係数LUTの更新処理P34により、当該第1例と同様にして求められる補正係数C1~Cnで補正係数LUT154が更新される。
【0069】
図20は、補正係数LUT19の更新手順の第5例を示す流れ図である。なお、本例で更新される補正係数LUT19を別例で更新される補正係数LUTと区別するために符号“19”に代えて符号“155”を使用するものとする。以上で説明した補正係数LUT151~154を構成する補正係数は、濃度で表現された撮像データに対する補正係数であるが、他の表色系による撮像データに対する補正係数であってもよい。本例では、CIE1976(L*a*b*)表色系による撮像データに対する補正係数で構成される補正係数LUT155を使用する。このような補正係数LUT155を使用することにより、校正用パッチとして2次色や3次色のパッチを用いた場合にも撮像校正を行うことができる。以下、本例の補正係数LUT155の更新手順について説明する。
【0070】
本例では、校正用パッチまたはそれを含むテストパターンの印刷画像がインラインスキャナ30によって撮像されることによりTP撮像輝度データLscが生成され、このTP撮像輝度データLscがルックアップテーブル(LUTsc2)を使用した表色系変換処理P12により、CIE1976(L*a*b*)表色系による撮像データであるTP撮像L*a*b*データDsc2に変換される(図11のステップS182~S186)。この校正用パッチの印刷画像は測色計40によっても測色され、これにより校正用の測色データとしてCIE1976(L*a*b*)表色系による測色データであるTP測色L*a*b*データDcm3が生成される(図11のステップS186)。その後、撮像校正のための補正係数LUT155を更新する処理P36を行う(図11のステップS188)。
【0071】
図21は、本実施形態における撮像校正のための撮像データの補正手順の第3例を示す流れ図である。印刷機構200において印刷データに基づき用紙5に対象印刷画像が形成されると、この対象印刷画像がインラインスキャナ30で撮像されることにより対象撮像データとして対象撮像輝度データLOscが生成され(図13のステップS222)、この対象撮像輝度データLOscは、ルックアップテーブル(LUTsc2)を使用した表色系変換処理P12により、対象撮像L*a*b*データDOsc2に変換される。
【0072】
その後、この対象撮像L*a*b*データDOsc2に対し撮像校正処理P46が行われる。この撮像校正処理P46では、図20に示すように更新される補正係数LUT155により対象撮像L*a*b*データDOsc2が補正され、これにより補正済撮像L*a*b*データDOcsc1が生成される(図13のステップS224)。この補正が撮像校正に相当する。印刷画像検査処理(図13)では、この補正済撮像L*a*b*データDOcsc1に基づき対象印刷画像の良否が判定される(図13のステップS226)。
【0073】
<1.7 効果>
上記のように本実施形態では、撮像部としてのインラインスキャナ30による撮像の校正が、印刷開始前に紙白部分を利用して行われるだけでなく、印刷動作中においても、インラインスキャナ30による撮像が所定のタイミングで校正される(図9のステップS24→S18)。すなわち、印刷動作中において、用紙5に形成される印刷画像の少なくとも一部を校正用パッチの画像とし、当該校正用パッチに対してインラインスキャナ30による撮像および測色計40による測色が行われる(図5図7図9参照)。これにより、校正用の撮像データおよび測色データが取得され、これらのデータに基づき撮像用校正データが生成され、その撮像用校正データに基づき補正係数LUTが更新される(図11図14図17図19図20参照)。本実施形態における印刷画像検査処理(図13)では、この補正係数LUTに基づき、用紙5形成された対象印刷画像のインラインスキャナ30による撮像データがこの補正係数LUTに基づき補正され、この補正により撮像校正が実現される(図13のステップS224、図16図18図21参照)。この補正の施された撮像データ(補正済撮像データ)に基づき対象印刷画像の良否が判定される(図13のステップS226参照)。
【0074】
このような本実施形態によれば、印刷動作中においても校正用パッチの測色データを用いて撮像校正が行われるので、印刷動作中に温度変化等の環境変化によってインラインスキャナ30の撮像感度が変動しても、その変動に対応した撮像校正をリアルタイムで正確に行うことができる。したがって、印刷動作中において用紙5に形成される印刷画像の濃度が変動した場合に、インラインスキャナ30による撮像データに基づく印刷画像検査処理(図9のステップS220、図13参照)により当該濃度変動を的確に検出できる。すなわち、温度等の環境変動による印刷画像検査装置の特性変化の影響を排除しつつ印刷動作中における印刷画像の濃度を的確に監視することができる。なお、本実施形態によれば、中間色や2次色を含む校正用パッチに対する撮像および測色により、高精度な撮像用校正データを得ることができるので、それに基づく補正係数LUTによる検査対象画像の補正によって正確な撮像校正が可能となる。
【0075】
また本実施形態では、既述のように、上記の撮像校正に必要な校正用の撮像データおよび測色データを得るためのインラインスキャナ30および測色計40がそれぞれ撮像用支持ローラ204aおよび測色用支持ローラ204bに対し図4に示すように配置されている。これにより、用紙搬送におけるバタツキやコクリングによる撮像位置や測色位置の変動が防止され、用紙5に形成された印刷画像に対し安定で良好な撮像および測色が可能となる。したがって、本実施形態によれば、インラインスキャナ30および測色計40の図4に示すような配置構成も正確な撮像校正に寄与する。
【0076】
<2.第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態に係る印刷装置10について説明する。本実施形態では、撮像部としてのインラインスキャナ30による撮像の校正のためのテストパターン画像として、図6および図8に示すテストパターン画像、すなわち、印刷データに基づき用紙5に形成される対象印刷画像に含まれるテストパターン画像や、対象印刷画像の領域外に配置されるテストパターン画像が使用される。なお以下では、本実施形態に係る印刷装置10の構成のうち上記第1の実施形態と同一または対応する部分には同一の参照符号を付して詳しい説明を省略する。
【0077】
図22は、本実施形態においてCPU111が制御プログラム17を実行することにより実現される印刷制御処理18aおよび検査制御処理18bを含む印刷装置10の制御処理(以下、単に「制御処理」という)を示すフローチャートである。本実施形態に係る印刷装置10では、入稿データから生成される印刷データの表す入力画像を印刷するために、制御部100が図22に示す手順にしたがって、印刷機構200ならびに用紙送出部202および用紙巻取部208の制御等を行う(図1図2参照)。このためにCPU111は、制御プログラム17を補助記憶装置12からメモリ112に読み出して実行する。これにより、図9に示す制御処理が起動され、CPU111が制御プログラム17にしたがって図22に示すように動作する。
【0078】
図22図9と比較すればわかるように、上記第1の実施形態では校正データ生成処理(S18)が画像印刷処理(S210)の実行前に行われるのに対し、上記第2の実施形態では校正データ生成処理(S26)が画像印刷処理(S210)の実行後に行われる。本実施形態では、図6および図8に示すテストパターン画像が使用され、印刷データに基づく用紙5への対象印刷画像の形成と同時に、校正用パッチを含むテストパターン画像が、当該対象印刷画像の一部として又は当該対象印刷画像の領域外に印刷画像として形成されるからである。
【0079】
図23は、本実施形態における校正データ生成処理(S26)を示すフローチャートである。この校正データ生成処理(S26)においてCPU111は下記のように動作する。
【0080】
上記のように本実施形態では、校正用パッチを含むテストパターン画像は対象印刷画像の形成と同時に用紙5に形成されるので(図6図8参照)、校正データ生成処理(S26)では、まず、用紙5に形成されている対象印刷画像を含む印刷画像から校正用パッチの画像を選択する(ステップS183)。ただし、図8に示すようなテストパターン画像の場合には、そのテストパターン画像(校正用パッチを含む)が予め特定されているので、ステップS183で実質的な処理をすることなく次のステップS184へ進む。校正データ生成処理(S26)におけるステップS184以降の処理は、上記第1の実施形態における校正データ生成処理(S18、図11)と同様であるので説明を省略する。
【0081】
図22に示すように、本実施形態では、印刷データの全てのページにつき印刷および検査が終了するまでにおいて、ステップS24で撮像校正タイミングであると判定された場合には、上記の校正データ生成処理(S26)が実行されて補正係数LUTが更新され、ステップS24で撮像校正タイミングではないと判定された場合には、ステップS28へ進む。ステップS28以降の処理は、上記第1の実施形態における制御処理(図9)と同様である。
【0082】
上記のような本実施形態においても、上記第1の実施形態と同様、印刷動作中に、所定のタイミングで校正用パッチに対する撮像および測色を行うことで、インラインスキャナ30による撮像が校正される(図22のステップS24,S26および図13のステップS224参照)。これにより、上記第1の実施形態と同様の効果が得られ、温度等の環境変動による印刷画像検査装置の特性変化の影響を排除しつつ印刷動作中における印刷画像の濃度を的確に監視することができる。なお本実施形態では、撮像校正のためのテストパターン画像は対象印刷画像の一部として形成されるか、または対象印刷画像領域外に形成されるので(図6図8)、撮像校正に起因する損紙の発生が抑制される。
【0083】
<3.第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態に係る印刷装置10について説明する。本実施形態では、撮像部としてのインラインスキャナ30による撮像の校正のためのテストパターン画像として図7および図8に示すテストパターン画像、すなわち、記録部205におけるインク吐出量に関するシェーディング補正のためのテストパターン画像(以下「シェーディング補正用TP画像」という)を含むテストパターン画像が使用される。図7に示すテストパターン画像を使用する場合、印刷装置全体は図9に示す手順にしたがって動作し、図8に示すテストパターン画像を使用する場合、印刷装置全体は図22に示す手順にしたがって動作する。本実施形態では、シェーディング補正との関係で、校正データ生成処理において上記第1および第2の実施形態における校正データ生成処理と相違する点がある。本実施形態に係る印刷装置10の構成のうち校正データ生成処理以外の部分については、上記第1および第2の実施形態と同様であるので同一または対応する部分には同一の参照符号を付して詳しい説明を省略する。以下では、図7に示すテストパターン画像を使用するものとして、本実施形態における校正データ生成処理を説明する。このテストパターン画像は、同じ色および同じ濃度を示す印刷データに基づき紙幅方向に延びる帯状の画像を、色および濃度を変えて搬送方向に複数並べた構成となっている。
【0084】
図24は、本実施形態における校正データ生成処理(S18)を示すフローチャートである。この校正データ生成処理(S18)においてCPU111は下記のように動作する。
【0085】
まず、図7に示すようなテストパターン画像(シェーディング補正用TP画像)を印刷する(ステップS192)。その後、上記第1の実施形態における校正データ生成処理(S18、図11)と同様にして、そのテストパターン画像の一部を校正用パッチとし、この校正用パッチのインラインスキャナ30による撮像および測色計40による測色により校正用の撮像データと測色データを生成し、これらのデータに基づき補正係数LUTを更新する(ステップS194~S198)。なお実際には、図7のテストパターン画像(シェーディング補正用TP画像)をインラインスキャナ30によって撮像することによりテストパターン撮像データが生成され、そのうち校正用パッチに相当する部分が校正用撮像データとして使用される。次に、上記テストパターン撮像データを上記更新された補正係数LUTによって補正することによりシェーディング用補正データを生成する(ステップS199)。
【0086】
このような校正データ生成処理(S18)の実行後の画像印刷処理(図9のステップS220、図12)において、印刷データを補正する際にそのシェーディング用補正データが使用される。これにより、記録部205によって用紙5に形成される印刷画像における濃度むらが抑制される。
【0087】
上記のような本実施形態によれば、上記第1の実施形態と同様、印刷動作中に、所定のタイミングで校正用パッチに対する撮像および測色を行うことで、インラインスキャナ30による撮像が校正される(図9のステップS18、図13のステップS224参照)。本実施形態では、校正用パッチの撮像において、インラインスキャナ30により校正用パッチを含むシェーディング補正用TP画像が撮像されることで、テストパターン撮像データが生成され、そのテストパターン撮像データを補正係数LUTによって補正することによりシェーディング用補正データが生成される。このように、シェーディング補正のためのテストパターン画像(シェーディング補正用TP画像)の撮像が撮像校正のためのテストパターン画像(に含まれる校正用パッチ)の撮像を兼ねることになる。これにより、印刷動作中におけるシェーディング補正および撮像校正を効率よく行うことができる。
【0088】
<4.変形例および応用例>
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいてさらに種々の変形を施すことができる。例えば、上記実施形態はインクジェット印刷装置に本発明を適用したものであるが、インクジェット方式以外の方式の印刷装置についても、必要に応じて上記実施形態の構成を適宜修正すること本発明の適用が可能である。
【0089】
また、上記第2の実施形態において、印刷データに基づく対象印刷画像において校正用パッチとして利用可能な部分画像(図6参照)が見いだせない場合には、図25に示すように、用紙5のうち最終的に断裁される上端等の版面外に、校正用パッチを含むテストパターン画像が配置されるようにしてもよい。図25に示す例では、対象印刷画像50の上部の版面外に、精度よく監視したい色のテストパターン画像が、インラインスキャナ30による撮像および測色計40による測色が可能なサイズのパッチとして配置されている。
【0090】
上記各実施形態では、印刷動作中において、測色計40により得られる測色データに基づいてインラインスキャナ30による撮像が校正されるので、インラインスキャナ30により正しい濃度値の撮像データが生成される。そこで、印刷データに基づく対象印刷画像50において特定の色を維持したい場合には、例えば図26に示すように、用紙5に形成される印刷画像において対象印刷画像50の領域外に印刷ヘッドの濃度調整用帯状パッチ54が配置される構成とする。これにより、このパッチ54の読取りデータを基準に印刷ヘッドに与える印刷データを補正することにより、対象印刷画像50において特定の色(注目色)を安定的に維持することができる。
【0091】
図27は、このような濃度調整用帯状パッチ54を用いた印刷ヘッドの制御による濃度変動の補正動作を説明するためのブロック図である。
【0092】
この応用例に対応した実施形態は、図27に示すように、インラインスキャナ30と測色計40とで読み取った校正用パッチ52から補正係数を算出するサブブロックSB1と、濃度調整用帯状パッチ54を読取り、その読取り信号に対して既述の撮像校正を行うサブブロックSB2と、撮像校正後の画像データと注目色の基準データとに基づいて印刷データの色補正係数を生成する補正データ演算部P55と、色補正係数をCMYKの印刷データに乗算して補正を行い、補正後の印刷データをCMYKの各印刷ヘッド21に与える第2乗算器60とを有している。
【0093】
サブブロックSB1の構成および作用は既述の図14に係る実施形態と同一であるので説明を省略する。
【0094】
サブブロックSB2は、濃度調整用帯状パッチ54を撮像輝度データLscとして出力するインラインスキャナ30と、撮像輝度データLscをCMYKの濃度データDscに変換する色変換部P51と、サブブロックSB1が生成した補正係数を濃度データDscに乗算して補正する第1乗算器P52とを有している。
【0095】
インラインスキャナ30が出力する濃度調整用帯状パッチ54の撮像輝度データLscについてサブブロックSB2により撮像校正が行われる。したがって、印刷動作中にインラインスキャナ30の撮像感度が変動してもサブブロックSB2はその変動に対応して、濃度調整用帯状パッチ54の濃度データDscを出力することができる。
【0096】
補正データ算出部P55は、このように撮像校正済みの濃度データDcscと注目色の基準データとに基づいて、印刷ヘッド21による注目色の印刷結果と注目色の基準データとの色差が最小化することが可能な色補正係数をCMYKごとに算出する。
【0097】
CMYKの色補正係数は、第2乗算器60においてCMYKの印刷データにそれぞれ乗ぜられる。その乗算結果は、対応する色の印刷ヘッド21に与えられる。このような印刷ヘッドの制御による濃度変動の補正動作により、印刷画像における注目色の濃度を安定的に維持することができる。
【0098】
なお、印刷ヘッドの制御の単位は、印刷ヘッド列、印刷ヘッド、ノズルのいずれであってもよい。また、印刷ヘッドからのインク吐出量は、印刷ヘッドの駆動波形、駆動タイミング、駆動電圧のいずれにより制御してもよい。さらに、印刷ヘッドを制御する代わりに、印刷画像の濃度を調整可能な他の要素に上記のCMYK補正濃度値を与えるようにしてもよい。例えば、シェーディング補正のための印刷データの処理や印刷データの生成のための網掛処理に上記のCMYK補正濃度値を反映させることで、濃度変動の補正を実現してもよい。
【0099】
また、上記実施形態では、補正係数は各撮像素子31の出力値に乗じた値であった。しかし、補正係数を乗じる値はこれに限られない。例えば、各撮像素子の出力値に対して色変換処理を行った値に対して補正係数を乗じてもよい。
【0100】
また、図14において、インラインスキャナ30によって撮像されたTP撮像輝度データLscに対して表色系変換処理を行っていた。しかし、表色系変換処理は測色計40によって測色されたTP測色データDcmに対して行ってもよい。
【0101】
以上においては本発明を開示すべく実施形態やその変形例を説明したが、以上で説明した実施形態や変形例を適宜に組み合わせた構成も、矛盾を生じず本発明の趣旨に反しない限り本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0102】
5 …用紙(基材)
10 …インクジェット印刷装置
17 …制御プログラム
18a…印刷制御処理
18b…検査制御処理
19 …補正係数LUT
30 …インラインスキャナ(撮像部)
31 …撮像素子
40 …測色計
45 …移動機構
50 …対象印刷画像
51 …テストパターン画像
52 …代表色パッチ
54 …濃度調整用帯状パッチ
100…制御部
111…CPU
151~155 …補正係数LUT
200 …印刷機構
204a…撮像用支持ローラ
204b…測色用支持ローラ
205 …記録部
205k,205c,205m,205y …印刷ヘッド列
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