(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149128
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】委託管理システム、委託管理方法、プログラム並びに管理サーバ
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/06 20120101AFI20220929BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20220929BHJP
【FI】
G06Q30/06 312
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021051127
(22)【出願日】2021-03-25
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 自社ウェブサイトの掲載日 令和3年3月1日 自社ウェブサイトのアドレス http://133.130.98.136/
(71)【出願人】
【識別番号】521126601
【氏名又は名称】株式会社委託ナビ
(74)【代理人】
【識別番号】100090538
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 恵三
(72)【発明者】
【氏名】川口 卓志
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB53
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】検査委託、もしくは開発に係る業務委託に関するユーザーと事業者のマッチングに係る利便性を高められる委託管理システム、委託管理方法、プログラム並びに管理サーバを提供する。
【解決手段】管理サーバを有する委託管理システムであって、ユーザーが委託する検査もしくは開発業務を受託する受託事業者に係る情報を第1の情報として予め記憶することと、前記第1の情報を基に、ユーザーの検査仕様もしくは開発仕様に応じて、適合する受託事業者を判断し判断結果を第2の情報としてユーザーへ提供すること、とを少なくとも実行するように構成されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理サーバを有する委託管理システムであって、
ユーザーが委託する検査もしくは開発業務を受託する受託事業者に係る情報を第1の情報として予め記憶することと、
前記第1の情報を基に、ユーザーの検査仕様もしくは開発仕様に応じて、適合する受託事業者を判断し判断結果を第2の情報としてユーザーへ提供すること、
とを少なくとも実行するように構成されていることを特徴とする委託管理システム。
【請求項2】
前記第1の情報は、検査分野毎もしくは開発業務分野毎に前記管理サーバに予め記憶されていることを特徴とする請求項1に記載の委託管理システム。
【請求項3】
前記受託事業者は検査を受託し、
前記管理サーバは、ユーザーの前記検査仕様における検査費用および検査納期の少なくとも一方に応じて、適合する受託事業者を判断することを特徴とする請求項1または2に記載の委託管理システム。
【請求項4】
前記管理サーバは、ユーザーの前記検査仕様における検査費用および検査納期に応じて、適合する受託事業者として検査を受託する受託事業者を判断し、
前記第1の情報は、検査に用いる検査器の精度もしくは能力に対応した検査価格、および該検査器の使用可能状況を含むことを特徴とする請求項3に記載の委託管理システム。
【請求項5】
前記受託事業者は検査を受託し、
前記管理サーバは、専門家、専門文献の少なくとも一方とネットワークを介して接続されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の委託管理システム。
【請求項6】
前記受託事業者は検査を受託し、
前記管理サーバは、検査を委託するユーザーの他、検査を自ら行うことを希望するユーザーとネットワークを介して接続されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の委託管理システム。
【請求項7】
前記受託事業者は開発業務を受託し、
前記管理サーバは、ユーザーの前記開発仕様における所有設備および所有技術の少なくとも一方に応じて、適合する受託事業者を判断することを特徴とする請求項1または2に記載の委託管理システム。
【請求項8】
委託管理方法であって、
管理サーバが、
ユーザーが委託する検査もしくは開発業務を受託する受託事業者に係る情報を第1の情報として予め記憶するステップと、
前記第1の情報を基に、ユーザーの検査仕様もしくは開発仕様に応じて、適合する受託事業者を判断し判断結果を第2の情報としてユーザーへ提供するステップと、
を備えることを特徴とする委託管理方法。
【請求項9】
管理サーバに、
ユーザーが委託する検査もしくは開発業務を受託する受託事業者に係る情報を第1の情報として予め記憶するステップと、
前記第1の情報を基に、ユーザーの検査仕様もしくは開発仕様に応じて、適合する受託事業者を判断し判断結果を第2の情報としてユーザーへ提供するステップと、
を少なくとも実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項10】
委託管理システムに用いられる管理サーバであって、
ユーザーが委託する検査もしくは開発業務を受託する受託事業者に係る情報を第1の情報として予め記憶することと、
前記第1の情報を基に、ユーザーの検査仕様もしくは開発仕様に応じて、適合する受託事業者を判断し判断結果を第2の情報としてユーザーへ提供すること、
とを少なくとも実行させるように構成されていることを特徴とする管理サーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測、解析、分析、試験など検査に係る検査委託、もしくは研究開発など開発に係る業務委託に関するユーザーと事業者のマッチングを図る委託管理システム、委託管理方法、プログラム並びに管理サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車の車体全体の重心位置や慣性モーメントを計測したり、エンジンマウントの最適化を図るためにパワーユニットの重心位置や慣性モーメントを計測したりする場合がある。この場合、検査方法として精度の高い特許文献1に記載されるもの、これよりも精度の低い特許文献2に記載されるもの等が知られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5532238号公報
【特許文献2】特開平6―123669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、計測、解析、分析、試験など検査の委託(例えば研究開発における検査業務としてのアウトソーシング)を希望するユーザーが、特許文献1や特許文献2に知られる方法を実施可能な検査実施機関としての事業者を自ら調べ上げるには、相当な時間を要する。
【0005】
また、研究開発など開発の業務自体のアウトソーシングを希望するユーザーが、適合する設備や技術を有する事業者を自ら調べ上げるには、相当な時間を要する。
【0006】
本発明の目的は、検査委託、もしくは開発に係る業務委託に関するユーザーと事業者のマッチングに係る利便性を高められる委託管理システム、委託管理方法、プログラム並びに管理サーバを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る委託管理システムは、管理サーバを有する委託管理システムであって、ユーザーが委託する検査もしくは開発業務を受託する受託事業者に係る情報を第1の情報として予め記憶することと、前記第1の情報を基に、ユーザーの検査仕様もしくは開発仕様に応じて、適合する受託事業者を判断し判断結果を第2の情報としてユーザーへ提供すること、とを少なくとも実行するように構成されていることを特徴とする。
【0008】
具体的態様として、前記第1の情報は、検査分野毎もしくは開発業務分野毎に前記管理サーバに予め記憶されている。これにより、適合性判断の対象を狭めることで、システム構成の簡易性と共に、より迅速な判断が行われることでユーザーの利便性を高めることができる。
【0009】
別の具体的態様として、前記受託事業者は検査を受託し、前記管理サーバは、ユーザーの前記検査仕様における検査費用および検査納期の少なくとも一方に応じて、適合する受託事業者を判断する。これにより、検査費用、検査納期の少なくとも一方という観点での適合性の判断が予めされることで、ユーザーの利便性をより高めることができる。
【0010】
別の具体的態様として、前記管理サーバは、ユーザーの前記検査仕様における検査費用および検査納期に応じて、適合する受託事業者として検査を受託する受託事業者を判断し、前記第1の情報は、検査に用いる検査器の精度もしくは能力に対応した検査価格、および該検査器の使用可能状況を含む。これにより、検査器の精度もしくは能力に関連する検査費用、および検査器の使用可能状況に関連する検査納期という両観点での適合性の判断、更には検査器の精度もしくは能力に対応した検査価格、および該検査器の使用可能状況という両観点での適合性の判断が予めされることで、ユーザーの利便性をより高めることができる。
【0011】
別の具体的態様として、前記受託事業者は検査を受託し、前記管理サーバは、専門家、専門文献の少なくとも一方とネットワークを介して接続されている。これにより、コンシェルジュ機能が実行でき、ユーザーの利便性をより高めることができる。
【0012】
別の具体的態様として、前記受託事業者は検査を受託し、前記管理サーバは、検査を委託するユーザーの他、検査を自ら行うことを希望するユーザーとネットワークを介して接続されている。これにより、ユーザーは検査を自ら行うこともでき、更には検査器をレンタルすることも可能であって、ユーザーの利便性をより高めることができる。
【0013】
また、本発明に係る委託管理方法は、管理サーバが、ユーザーが委託する検査もしくは開発業務を受託する受託事業者に係る情報を第1の情報として予め記憶するステップと、前記第1の情報を基に、ユーザーの検査仕様もしくは開発仕様に応じて、適合する受託事業者を判断し判断結果を第2の情報としてユーザーへ提供するステップと、を備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係るプログラムは、管理サーバに、ユーザーが委託する検査もしくは開発業務を受託する受託事業者に係る情報を第1の情報として予め記憶するステップと、前記第1の情報を基に、ユーザーの検査仕様もしくは開発仕様に応じて、適合する受託事業者を判断し判断結果を第2の情報としてユーザーへ提供するステップと、を少なくとも実行させることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に関する管理サーバは、委託管理システムに用いられる管理サーバであって、ユーザーが委託する検査もしくは開発業務を受託する受託事業者に係る情報を第1の情報として予め記憶することと、前記第1の情報を基に、ユーザーの検査仕様もしくは開発仕様に応じて、適合する受託事業者を判断し判断結果を第2の情報としてユーザーへ提供すること、とを少なくとも実行させるように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、検査委託、もしくは開発に係る業務委託に関するユーザーと事業者のマッチングに係る利便性を高められる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態に係る委託管理システムの構成図
【
図3】検査を委託する場合と検査を自ら行う場合とが選択できる場合のフローチャート
【
図4】検査を委託する場合の管理サーバに関するブロック図
【
図8】開発業務を委託する場合の委託管理システムにおける説明図
【
図10】開発業務を委託する場合の管理サーバに関するブロック図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
【0019】
(委託管理システム)
図1に、本発明の実施形態に係わる委託管理システムとして、計測、解析、分析、試験など検査に係る検査委託、もしくは開発(例えば研究開発)に係る業務委託に関するユーザーと事業者のマッチングを図る委託管理システムにおけるシステム構成図を示す。
【0020】
ここで、本願明細書において、検査とは計測、解析、分析、試験を含むものである。計測とは、長さ、重さ、重心位置など、あるものの数や量、重さなどを測ることをいう。解析とは、構造計算や流体シミュレーション、ゲノム解析など、計算機を用いて評価検証することをいう。分析とは、光学分析や質量分析など、いくつかの要素に分けることをいう。また、試験とは、耐久試験、環境試験など、物の性質や性能などを試すことをいう。
【0021】
また、検査を行う検査器は、ハードウエアおよびソフトウエア(例えば解析ソフトウエア)を含むものである。
【0022】
図1において、管理サーバ101と、ユーザーである計測委託ユーザー102a、解析委託ユーザー102b、分析委託ユーザー102c、試験委託ユーザー102d、開発委託ユーザー102eと、事業者である委託計測事業者103a、受託解析事業者103b、受託分析事業者103c、受託試験事業者103d、受託開発事業者103eとは、ネットワークとしてのインターネットで接続されている。
【0023】
計測器メーカー104a、解析装置メーカー104b、分析装置メーカー104c、試験装置メーカーは、マッチングサイトに集まってきたユーザーのアクセス情報やマーケット情報を、サイト運営会社が販売する客先(販売先)である。
【0024】
図1に示す専門家・専門文献105は、委託管理システムのコンシェルジュ機能として必要に応じて助言を与えることができるもので、インターネットを介してサーチ(検索)可能に管理サーバ101と接続している。
【0025】
一般に検査器を各種備える事業者である委託計測事業者103a、受託解析事業者103b、受託分析事業者103c、受託試験事業者103dは、検査器の種類(精度を含む)、検査器の使用可能状況と共に、検査分野毎に第1の情報として予め管理サーバ101に記憶される。そして、管理サーバ101は、第1の情報を基に、検査器による検査を委託するユーザーの要望としての検査仕様に応じて、適合し使用可能な検査器を判断し受諾できるかの判断結果を第2の情報としてユーザーへ提供する。
【0026】
検査仕様としては、希望する検査内容、検査費用、検査納期を含み、具体的な検査内容としては検査器の精度もしくは能力に関連する検査の解像度、検査周波数や、検査可能な重量やサイズなどを含む。なお、検査を委託する場合と検査を自ら行う場合が選択できる場合は、そのいずれであるかも含む。
【0027】
図1に示す委託管理システムでは、ユーザーは検査委託の他、開発委託をすることができ、受託開発事業者103eは、開発業務分野毎に第1の情報として予め管理サーバ101に記憶される。そして、管理サーバ101は、第1の情報を基に、開発を委託するユーザーの要望としての開発仕様に応じて、適合する受託開発事業者103eを判断し受諾できるかの判断結果を第2の情報としてユーザーへ提供する。
【0028】
開発仕様としては、開発委託する業務の範囲などのスペックに応じた必要な設備や技術などを含む。
【0029】
また管理サーバ101は、適合する検査器を特定するために、サーチ可能な専門情報として検査に係る専門家もしくは専門文献の情報をサーチ可能な第3の情報として記憶している。そして、第1の情報および第3の情報を基に、第2の情報をユーザーへ提供することを可能としている。
【0030】
専門家・専門文献105は、このような検査委託の場合のコンシェルジュ機能を実行できるだけでなく、開発委託の場合にも同様にコンシェルジュ機能を実行できるものである。
【0031】
また、管理サーバ101は、検査器による検査結果に対するリコメンド情報(例えば、具体的な設計変更のヒントを与え、設計変更後に再度検査することを促す)をユーザーへ提供することを可能としている。このリコメンド情報を特定するために、管理サーバ101はサーチ可能な専門家の情報を第4の情報として記憶している。この専門家は、上述した専門家と同じであっても良いし別であっても良い。
【0032】
(検査委託に関するフローチャート)
図2は、検査を委託する場合のフローチャートを示す。ステップS101で検査を希望するユーザーは、検査仕様として希望する検査内容、検査費用、検査納期を所定フォーマットの注文票に入力する。
【0033】
そして、ステップS103においてユーザー注文に適合する検査器があるか、その検査器は使用可能な状況にあるかが判断され、判断結果がYESの場合はその旨がユーザーへ通知され、検査が行われる。一方、判断結果がNOの場合は、ステップS105で専門家や専門文献による助言が反映され、代替の検査器が対象となってステップS103へ戻る。
【0034】
そして、ステップS104で受諾通知の後、検査が行われ、検査が終了すると、ステップS106においてユーザーへ検査結果が通知されると共に、検査結果のリコメンドがされる。検査結果のリコメンドに関しては、ステップS107において専門家による助言が反映可能である。
【0035】
図3は、変形例として検査を委託する場合と検査を自ら行う場合とが選択できる場合のフローチャートを示す。ステップS101で検査を希望するユーザーは、希望する検査内容(検査を委託するか自ら検査を行うかを含む)、検査費用、検査納期を所定フォーマットの注文票に入力する。そして、ステップS102で検査を委託するか否かが管理サーバ101において判断され、検査を委託する場合はステップS103へ進む。一方、検査を委託しない場合(自ら検査を行う場合)はステップS108へ進む。
【0036】
ステップS102でユーザーが検査を委託する場合は、ステップS103以降、
図2で説明したものと同じフローとなる。
【0037】
ステップS102でユーザーが検査を委託しない場合(自ら検査を行う場合)は、ステップS108へ進み、ユーザーが検査器のレンタルを望むかが判断される。YESの場合、ステップS109でユーザーは自宅でレンタルされた検査器を用いて自ら検査することができる。この場合、必要に応じてステップS113における専門家、専門文献による助言が可能である。
【0038】
そして、検査が終了するとステップS110において、検査結果のリコメンドが可能である。検査結果のリコメンドに関しては、ステップS114において専門家による助言が反映可能である。
【0039】
ステップS108においてNOの場合は、ステップS111でユーザーは通知を受けた最寄りの検査実施機関で所定の検査器を用いて自ら検査することができる。この場合、必要に応じてステップS113における専門家や専門的な文献による助言が可能である。
【0040】
そして、検査が終了するとステップS112において、検査結果のリコメンドが可能である。検査結果のリコメンドに関しては、ステップS114において専門家による助言が反映可能である。
【0041】
(管理サーバ)
図4に、ユーザーが検査委託をする場合を前提とするときの管理サーバ101についてブロック図を示す。101aはユーザー入力情報認識部で、検査仕様として検査内容、検査費用、検査納期が記憶される。101bは検査器データ蓄積部で、機械系、電気系、物理系、化学系、医用・バイオ系など検査分野毎に、検査器の精度もしくは能力および使用可能状況が検査事業者と共に記憶される。これにより、検査事業者毎の情報も記憶可能である。
【0042】
101cは検査器適合性、使用可能性判断部で、ユーザー注文に適合するものが有るか、有る場合にその検査器が使用可能な状況にあるかが判断される。
【0043】
101dは専門家・専門文献サーチ部で、検査分野毎に専門家・専門文献のデータが予め記憶されており、サーチ(検索)が必要な
図2、
図3に示すステップS105、S113においてサーチ機能を実行する。また101eは、検査結果・リコメンド情報出力部で、
図2、
図3のステップS106、S110、S112においてその機能を実行する。
【0044】
(検査器の実施例1)
図5に、検査器として重心位置を高い精度で計測できるもの(特許文献1に開示されるもの)を示す。剛体特性同定装置は、フレーム10と、このフレーム10に対して移動可能であって計測対象物Tを載置可能なプラットフォーム20と、フレーム10に対して可動部21(計測対象物Tおよびプラットフォーム20)を自由振動可能に支持する支持装置30と、フレーム10に対してプラットフォーム20が振動しているときにプラットフォーム20の振動の固有振動数又は固有角振動数を算出するのに必要なデータを計測する計測装置40と、上記支持装置30による支持条件及び計測装置40によって計測された計測データ等が入力されると共にこれら支持条件と計測データから算出された固有振動数又は固有角振動数とに基づいて演算処理を行う解析装置50とを具備する。
【0045】
計測装置40は、例えば支持部材31の一つに取り付けられたひずみゲージ41と、ひずみゲージ41に接続された増幅器42とを有する。ひずみゲージ41は、支持部材31の一つとフレーム10との間に配置され、可動部21の振動中に、すなわち可動部の振動中に支持部材31に加わる力を計測し、これを電気信号に変換して出力する。この電気信号は、増幅器43で増幅された後に解析装置50の外部インタフェース部51に入力される。解析装置50では、ひずみゲージ41によって計測された支持部材31に加わる力に基づいて可動部21の固有振動数又は固有角振動数が算出される。なお、計測は異なる計測条件で複数回行われる。
【0046】
本検査器における解析装置50に関しては、可動部21の固有振動数又は固有角振動数を基に、可動部21の剛体特性(質量、重心位置、主慣性モーメント、慣性主軸の向き)によって定まる行列である剛体質量行列を求めることができれば、可動部21の剛体特性(質量、重心座標、主慣性モーメント及び慣性主軸の向き)を求められることを前提としている。
【0047】
(検査器の実施例2)
図6に、検査器として重心位置を実施例1より低い精度で計測できるもの(特許文献2に開示されるもの)を示す。本検査器では、 被測定物13を3点で支持するロードセル4,5,6の荷重検出値と、傾斜角度を変えた時のロードセル4,5,6の荷重検出値の変化から被測定物の重心位置を計測する。
【0048】
より具体的には、被測定物13の傾斜前の重心を通る鉛直線と傾斜後の重心を通る鉛直線との交点の位置(重心)を求める。この交点は被測定物13以外に計測台7及び載置台8をも含めた重さの重心であるので、被測定物13を載置しない状態で予め求めておいた計測台7及び載置台8の重心位置を予め重心演算装置17に入力しておく。そして、この計測台7及び載置台8の重心により前記計測台7及び載置台8を含めて演算された交点の位置を補正することにより、真の重心位置を演算する。
【0049】
なお、
図6の1は走行輪、2はジャッキ、3は支持架台、9は線、10は支点、11は昇降ジャッキ(傾動装置)、12は支点、14は位置決め部材である。
【0050】
このような本検査器では、被測定物13を載置台8上に位置決め載置してこの時のロードセル4、5、6と傾斜計15、16の計測を行い、続いて載置台8を傾斜させて同様の計測を行うのみで重心の計測を行うことができ、簡単な操作で短時間に被測定物13の重心位置を計測することができる。
【0051】
(ユーザー注文情報)
図7に、ユーザーが検査に係る希望するユーザー注文情報を入力する注文票の例を示す。機械系の重心計測として、
図5で示した検査器は精度が高いものとして、また
図6で示した検査器は
図5で示したものより精度が低いものとして、それぞれ最低検査費用(検査器の精度もしくは能力に対応した検査価格)が予め登録されており、ユーザーが希望する検査費用との比較がなされる。そして、ユーザーが希望する検査費用を前提に、適合する検査器の有無を判断する。必要に応じて、検査器の種類に関し、専門家・専門文献の助言も勘案する。また併せて、ユーザーが希望する検査納期の期間中に上記検査器が使用可能であるか、使用可能状況が判断される。
【0052】
検査費用、検査納期に関し、ユーザーが希望するものが叶うか管理サーバ101によって総合的に判断され、判断結果がユーザーへ通知されることとなる。
【0053】
ここで、検査器の種類は
図7に示したものに限られず、もっと数の多い複数種であって良く、それらは同じ受託検査事業者103a~103dに備わるものであっても良いし、異なる受託検査事業者103a~103dに備わるものであっても良い。
【0054】
(開発委託に関する委託管理システム)
図8は、ユーザーによる開発業務の委託に対し、受託事業者が開発業務(例えば研究開発業務)を受託する場合の委託管理システムを示す。ユーザーである研究開発従事者102e1、102e2、102e3は、例えばそれぞれ機械系、電気系、物理系の研究開発者A、B、Cで、研究開発業務の一部あるいは全部をアウトソーシングする場合、本マッチングプラットフォームを用いて、スペックに応じた所定の設備や技術を有する事業者を探し出すことができる。
【0055】
受託開発事業者103eは、開発業務分野毎に第1の情報として予め管理サーバ101に記憶される。そして、管理サーバ101は、第1の情報を基に、開発を委託するユーザーの要望としての開発仕様に応じて、適合し使用可能な受託開発事業者103eを判断し受諾できるかの判断結果を第2の情報としてユーザーへ提供する。開発仕様としては、開発委託する業務の範囲などのスペックに応じた必要な設備や技術などを含む。
【0056】
このように管理サーバ101は、ユーザーの要望する開発仕様を受託開発事業者103eが備えるかを判断するが、受託開発事業者がユーザー登録情報に近い技術を専門分野としているか、受託開発事業者がユーザー登録情報に近い人材を抱えているか等が考慮される。具体的なユーザー登録情報としては、研究開発従事者A、B、Cについて、それぞれの属性、所属機関・学会、分野、サイト内での探索履歴、検索キーワード履歴、発表論文・特許などのデータが該当する。
【0057】
(開発委託に関するフローチャート)
図9は、開発業務を委託する場合のフローチャートを示す。ステップS201で開発委託を希望するユーザーは、開発仕様として希望する委託業務の技術内容、委託費用、委託期間などを所定フォーマットの注文票に入力する。
【0058】
そして、ステップS202においてユーザー注文に適合する設備や技術があるかが判断され、判断結果がYESの場合はステップS203においてユーザー注文に適合する委託費用や委託期間に適合するかが判断される。判断結果がYESの場合は、ステップS204でユーザーに受諾の旨が通知される。
【0059】
ステップS202、ステップS203における判断結果がNOの場合は、ステップS205、ステップS206において、今後適合する受託開発事業者が現れることを想定し、待ち情報として管理サーバ101に登録し、ステップS204でユーザーにその旨が通知される。
【0060】
(開発委託に関する管理サーバ)
図10に、ユーザーが開発業務を委託する場合を前提とするときの管理サーバ101についてブロック図を示す。201aはユーザー入力情報認識部で、開発仕様として委託業務の技術内容、委託費用、委託期間などが記憶される。201bは受託開発事業者データ蓄積部で、機械系、電気系、物理系、化学系、医用・バイオ系など開発分野毎に、技術内容、費用(受託費用)、人材(ユーザー登録情報と同様のデータ)が受託開発事業者と共に記憶される。201cは適合性判断部で、ユーザー注文に適合するものが有るかが判断される。201dは通知情報出力部で、判断結果をユーザーへ出力する。
【0061】
(変形例)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、ユーザー希望の検査仕様として検査費用、検査納期の両方を入力するものを説明したが、検査費用、検査納期の一方だけを入力するものであっても良い。同様に、ユーザー希望の開発仕様として所定の設備、技術の両方を入力するものを説明したが、所定の設備、技術の一方だけを入力するものであっても良い。
【0062】
また、委託管理システム、管理サーバについて具体的に示したが、委託管理方法、プログラムに対しても同様に適用できるものである。
【0063】
そして、検査分野として機械系の重心計測を示したが、本発明はこれに限られず、
機械系、電気系、物理系、化学系、医用・バイオ系など各検査分野における計測、機械系、電気系、物理系、化学系、医用・バイオ系など各検査分野における解析、分析、試験に適用できるものである。
【0064】
また、開発委託として研究開発を示したが、本発明はこれに限らず、金型の設計、製造、レンズの設計、製造などの業務も含まれる。
【0065】
また、上述した実施形態の機能を実現するソフトウエアのプログラムを記録した記録媒体を管理サーバに供給し、管理サーバが記録媒体に格納されたプログラムを読み出し実行する形態も本発明の範囲内である。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラム自体が上述した実施形態の機能を実現することとなり、そのプログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0066】
このようなプログラムを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD―ROM、CD―R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVDなどを用いることができる。
【0067】
また、専門家・専門文献のサーチ(検索)に関しては、AI(人工知能)を用いることもできる。
【符号の説明】
【0068】
101・・管理サーバ、101a・・ユーザー入力情報認識部、101b・・検査器データ蓄積部、101c・・検査器適合性、使用可能性判断部、101d・・専門家・専門文献サーチ部、101e・・検査結果・リコメンド情報出力部
【手続補正書】
【提出日】2021-04-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理サーバを有する委託管理システムであって、
前記管理サーバは、
ユーザーが委託する検査もしくは開発業務を受託する受託事業者に係る情報を第1の情報として予め記憶することと、
前記第1の情報を基に、ユーザーの検査仕様もしくは開発仕様に応じて、適合する受託事業者を判断し判断結果を第2の情報としてユーザーへ提供すること、
とを少なくとも実行するように構成されていることを特徴とする委託管理システム。
【請求項2】
前記第1の情報は、検査分野毎もしくは開発業務分野毎に前記管理サーバに予め記憶されていることを特徴とする請求項1に記載の委託管理システム。
【請求項3】
前記受託事業者は検査を受託し、
前記管理サーバは、ユーザーの前記検査仕様における検査費用および検査納期の少なくとも一方に応じて、適合する受託事業者を判断することを特徴とする請求項1または2に記載の委託管理システム。
【請求項4】
前記管理サーバは、ユーザーの前記検査仕様における検査費用および検査納期に応じて、適合する受託事業者として検査を受託する受託事業者を判断し、
前記第1の情報は、検査に用いる検査器の精度もしくは能力に対応した検査価格、および該検査器の使用可能状況を含むことを特徴とする請求項3に記載の委託管理システム。
【請求項5】
前記受託事業者は検査を受託し、
前記管理サーバは、専門家、専門文献の少なくとも一方とネットワークを介して接続されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の委託管理システム。
【請求項6】
前記受託事業者は検査を受託し、
前記管理サーバは、検査を委託するユーザーの他、検査を自ら行うことを希望するユーザーとネットワークを介して接続されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の委託管理システム。
【請求項7】
前記受託事業者は開発業務を受託し、
前記管理サーバは、ユーザーの前記開発仕様における所有設備および所有技術の少なくとも一方に応じて、適合する受託事業者を判断することを特徴とする請求項1または2に記載の委託管理システム。
【請求項8】
委託管理方法であって、
管理サーバが、
ユーザーが委託する検査もしくは開発業務を受託する受託事業者に係る情報を第1の情報として予め記憶するステップと、
前記第1の情報を基に、ユーザーの検査仕様もしくは開発仕様に応じて、適合する受託事業者を判断し判断結果を第2の情報としてユーザーへ提供するステップと、
を備えることを特徴とする委託管理方法。
【請求項9】
管理サーバに、
ユーザーが委託する検査もしくは開発業務を受託する受託事業者に係る情報を第1の情報として予め記憶するステップと、
前記第1の情報を基に、ユーザーの検査仕様もしくは開発仕様に応じて、適合する受託事業者を判断し判断結果を第2の情報としてユーザーへ提供するステップと、
を少なくとも実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項10】
委託管理システムに用いられる管理サーバであって、
ユーザーが委託する検査もしくは開発業務を受託する受託事業者に係る情報を第1の情報として予め記憶することと、
前記第1の情報を基に、ユーザーの検査仕様もしくは開発仕様に応じて、適合する受託事業者を判断し判断結果を第2の情報としてユーザーへ提供すること、
とを少なくとも実行させるように構成されていることを特徴とする管理サーバ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る委託管理システムは、管理サーバを有する委託管理システムであって、前記管理サーバは、ユーザーが委託する検査もしくは開発業務を受託する受託事業者に係る情報を第1の情報として予め記憶することと、前記第1の情報を基に、ユーザーの検査仕様もしくは開発仕様に応じて、適合する受託事業者を判断し判断結果を第2の情報としてユーザーへ提供すること、とを少なくとも実行するように構成されていることを特徴とする。