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特開2022-14914車両用電動モータおよび関連する特に鉄道用の車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022014914
(43)【公開日】2022-01-20
(54)【発明の名称】車両用電動モータおよび関連する特に鉄道用の車両
(51)【国際特許分類】
   H02K 9/06 20060101AFI20220113BHJP
   B60K 11/06 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
H02K9/06 A
B60K11/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021112037
(22)【出願日】2021-07-06
(31)【優先権主張番号】2007181
(32)【優先日】2020-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】313011906
【氏名又は名称】アルストム トランスポート テクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア・ビスタニーノ
【テーマコード(参考)】
3D038
5H609
【Fターム(参考)】
3D038AA05
3D038AA09
3D038AB00
3D038AC11
3D038AC12
3D038AC13
5H609BB01
5H609PP07
5H609QQ02
5H609RR02
5H609RR17
5H609RR37
5H609RR38
5H609RR42
(57)【要約】
【課題】冷却性能が改善され、所与の出力に対して騒音の発生が少ない、電動モータを提案すること。
【解決手段】車両用、特に鉄道車両(10)用のこの電動モータ(12)は、長手方向軸(X-X´)のステータ(16)と、本体(20)を含むモータ(12)の冷却装置(14)と、を含み、本体(20)が長手方向軸(X-X´)にほぼ平行に配向される複数の空気通路(30)を含む。各空気通路は、空気取入開口部および空気排出開口部を含む2つの空気通路開口部(36)を画定する。前記冷却装置(14)は、空気流の1つまたは2つの調整リング(22)を含み、各調整リング(22)は、1組の空気取入または排出開口部に相対して設置される。各調整リング(22)は、空気流の通路断面を画定し、通路断面は、長手方向軸(X-X´)に沿って連結端から自由端に向かって増大する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 長手方向軸(X-X´)のステータ(16)と、前記ステータ(16)の周縁に、
- 本体(20)を含むモータ(12)の冷却装置(14)と、を含み、前記本体(20)が複数の空気通路(30)を含み、各空気通路(30)が長手方向軸(X-X´)にほぼ平行に配向され、
各空気通路が、空気取入開口部(38)および空気排出開口部(40)を含む2つの空気通路開口部(36)を画定する車両、特に鉄道車両(10)用の電動モータ(12)であって、
前記冷却装置(14)が、
- 前記空気通路内(30)を循環する空気流の1つまたは2つの調整リング(22)を含み、各調整リング(22)が1組の前記空気取入開口部(38)または排出開口部(40)に相対して設置され、
各調整リング(22)が空気流の通路断面を画定し、前記通路断面が長手方向軸(X-X´)に沿って、前記本体(20)との前記調整リング(22)の連結端(42)から前記調整リング(22)の自由端(44)に向かって増大し、前記調整リング(22)またはリングの一方(22)が、第1の調整リング(24)であり、前記第1の調整リング(24)が、径方向内側区画(46)と、径方向外側区画(48)と、を含み、前記径方向内側区画(46)および前記径方向外側区画(48)は各々が、それぞれ内側(50)および外側(54)の平滑な自由端と、それぞれ内側(52)および外側(56)の波形連結端と、を含み、各波形連結端(52、56)が、前記本体(20)との連結端であり、前記径方向内側区画(46)の前記内側の波形連結端(52)および前記径方向外側区画(48)の前記外側の波形連結端(56)が、各空気通路(30)の開口部(36)に部分的に一致することを特徴とする、車両用の電動モータ(12)。
【請求項2】
前記調整リングの一方(22)が、第2の調整リング(26)であり、前記第2の調整リング(26)が、透き目付きの自由端(64)と、透き目付きの連結端(62)と、を含む透き目付きのリングであり、前記透き目付きの連結端(62)は、前記本体(20)との連結端であり、前記第2の調整リング(26)の透き目(66)は、各空気通路の開口部(36)に相対して配置され、前記透き目付きの連結端(62)から前記透き目付きの自由端(64)に広がり、前記透き目(66)は、空気流の通路断面を画定する、請求項1に記載のモータ(12)。
【請求項3】
前記第2の調整リングが、支持体(58)および複数の隔壁(60)を含み、前記支持体(58)および複数の隔壁(60)は、前記透き目付きの連結端(62)と、前記透き目付きの自由端(64)と、の間に延在し、各隔壁(60)が、長手方向軸(X-X´)に対して径方向に沿って前記支持体(58)から突き出し、長手方向(X-X´)に沿って延在し、各隔壁(60)は、2つの隣接する空気通路開口部(36)の間に延在し、前記複数の隔壁(60)が、前記透き目(66)を画定する、請求項2に記載のモータ(12)。
【請求項4】
前記支持体(58)の外面に接する平面に沿って測定される各隔壁の幅(l)が、前記透き目付きの自由端(64)から前記透き目付きの連結端(62)に向けて長手方向(X-X´)に沿って増大する、請求項3に記載のモータ(12)。
【請求項5】
各隔壁(60)が、長手方向軸(X-X´)に対して径方向に沿ってとられる前記空気通路(30)の高さよりも大きい高さにわたって前記支持体から突き出す、請求項4に記載のモータ(12)。
【請求項6】
前記空気通路(30)が、長手方向軸(X-X´)のプリミティブ円筒(35)上に配置され、前記空気通路(30)が、前記本体(20)に沿って一定の断面を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載のモータ(12)。
【請求項7】
前記本体(20)が、少なくとも4個の空気通路(30)を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のモータ(12)。
【請求項8】
前記本体(20)が、少なくとも12個の空気通路(30)を含む、請求項7に記載のモータ(12)。
【請求項9】
各調整リング(22)の長さに対する前記本体(20)の長さの長手方向軸(X-X´)による比率が、5~40である、請求項1から8のいずれか一項に記載のモータ(12)。
【請求項10】
前記冷却装置(14)を通して空気を移動させることに適したファン(19)を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のモータ(12)。
【請求項11】
前記ファン(19)が、前記モータのシャフト(68)に固定される、請求項10に記載のモータ(12)。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の車両用のモータ(12)を含む車両。
【請求項13】
前記車両が、鉄道車両である、請求項12に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
- 長手方向軸のステータと、ステータの周縁に、
- 本体を含むモータの冷却装置と、を含み、本体が複数の空気通路を含み、各空気通路が長手方向軸にほぼ平行に配向され、各空気通路が、空気取入開口部および空気排出開口部を含む2つの空気通路開口部を画定するタイプの車両、特に鉄道車両用の電動モータに関する。
【0002】
本発明は、詳細には、出力が100kWを超える電動モータ、特に、自走式鉄道車両の電動モータに適用される。
【背景技術】
【0003】
鉄道車両のような車両の電動モータは、車両の移動に必要な、概して100kWを超える高出力を発揮する。
【0004】
これらの電動モータは、その動作時に、高出力のために熱を発生させる。各モータによって発生した熱を消散させ、モータが臨界温度に達することを回避することが、鉄道車両の動作の安全を確保するために必要である。
【0005】
このために、ステータの周縁に配置される冷却装置を含むモータを使用することが知られている。かかる冷却装置は、空気を循環させ、このようにしてモータを冷却することに適した複数の空気通路を特に含む。冷却装置、より具体的には空気通路は、モータの冷却を可能にし、従ってモータの安全を改善する。
【0006】
しかしながら、空気の流れが冷却装置の入口および出口で激しく乱れているので、かかるモータは、完全な満足を与えるものとは限らない。かかる乱気流は騒音を発生させるとともに、空気通路内で循環し得る空気の流量を制限し、冷却装置の冷却性能が制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、冷却性能が改善され、所与の出力に対して騒音の発生が少ない、電動モータを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このために、本発明は、冷却装置が空気通路内を循環する空気流の1つまたは2つの調整リングを含み、各調整リングが1組の空気取入または排出開口部に相対して設置され、各調整リングが空気流の通路断面を画定し、通路断面が長手方向軸に沿って、本体との調整リングの連結端から前記調整リングの自由端に向かって増大することを特徴とする、前述のタイプの車両用の電動モータを対象とする。
【0009】
本発明の他の好適な態様によれば、電動モータは、単独で、または技術的に可能なあらゆる組み合わせによって選択される、次の特徴の1つ以上を含む。
- 調整リングまたはリングの一方は、第1の調整リングであり、第1の調整リングは、径方向内側区画と、径方向外側区画と、を含み、径方向内側区画および径方向外側区画は各々が、それぞれ内側および外側の平滑な自由端と、それぞれ内側および外側の波形連結端と、を含み、各波形連結端は、本体との連結端であり、径方向内側区画の内側の波形連結端および径方向外側区画の外側の波形連結端は、各空気通路の開口部に部分的に一致する、
- 調整リングまたはリングの一方は、第2の調整リングであり、第2の調整リングは、透き目付きの(ajoure)自由端と、透き目付きの連結端と、を含む透き目付きのリングであり、透き目付きの連結端は、本体との連結端であり、第2の調整リングの透き目(ajour)は、各空気通路の開口部に相対して配置され、透き目付きの連結端から透き目付きの自由端に広がり、透き目は、空気流の通路断面を画定する、
- 第2の調整リングは、支持体および複数の隔壁を含み、支持体および複数の隔壁は、透き目付きの連結端と、透き目付きの自由端と、の間に延在し、各隔壁は、長手方向軸に対して径方向に沿って支持体から突き出し、長手方向に沿って延在し、各隔壁は、2つの隣接する空気通路開口部の間に延在し、複数の隔壁が、透き目を画定する、
- 支持体の外面に接する平面に沿って測定される各隔壁の幅は、透き目付きの自由端から透き目付きの連結端に向けて長手方向に沿って増大し、各隔壁は、長手方向軸に対して径方向に沿ってとられる空気通路の高さよりも大きい高さにわたって好ましくは支持体から突き出す、
- 空気通路は、長手方向軸のプリミティブ円筒(cylindre primitif)上に配置され、空気通路は、本体に沿って一定の断面を有する、
- 本体は、少なくとも4個、好ましくは少なくとも12個の空気通路を含む、
- 各調整リングの長さに対する本体の長さの長手方向軸による比率は、5~40である、ならびに
- モータは、冷却装置を通して空気を移動させることに適したファンを含み、特にファンは、モータのシャフトに固定される。
【0010】
本発明は、その上、車両用のモータに関する。
【0011】
本発明は、非限定的な例として専ら与えられ、かつ図面を参照してなされる以下に続く説明を読めば、より良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明による車両用の電動モータの斜視図である。
図2】第1の調整リングが見られる、図1の電動モータの第1の詳細の斜視図である。
図3】第2の調整リングが見られる、図1の電動モータの第2の詳細の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
電動モータ12を含む車両10は、図1に部分的に例示される。
【0014】
車両10は、好ましくは電気推進車両であり、さらに好ましくは電気推進鉄道車両である。変形例において、車両は、熱式発電機または燃料電池のような非電気系統によって給電される電動モータを与えられた車両である。
【0015】
図1から図3に例示された電動モータ12は、長手方向中心軸X-X´を画定し、長手方向軸X-X´の冷却装置14と、長手方向軸X-X´のステータ16と、を含む。ステータ16は、冷却装置14によって取り囲まれる。
【0016】
「軸方向に」、「径方向に」、「円周方向に」の表現は、以下においてこの中心軸に関して使用される。
【0017】
電動モータ12は、長手方向軸X-X´の、ステータ16の内部に延在するロータ18を備える。
【0018】
電動モータ12は、冷却装置を覆う、図示しないカバーを好適には含む。電動モータ12は、ファン19を好適に含む。
【0019】
冷却装置14は、本体20および1つまたは2つの空気流の調整リングを含む。図1から図3に例示された実施形態において、冷却装置14は、第1の調整リング24と、第2の調整リング26と、を含む。
【0020】
本体20は、フレーム28と、複数の空気通路30と、を含む。本体20は、少なくとも4個、好ましくは少なくとも12個の空気通路30を含む。
【0021】
本体20は、長手方向軸X-X´に沿って延在し、上流端32および下流端34を画定し、上流端32および下流端34は、好ましくは長手方向軸X-X´に垂直に延在する。用語「上流」および「下流」は、空気通路30内の空気の流れの方向に沿って定義される。
【0022】
各調整リング22の長さに対する本体20の長さの長手方向軸X-X´による比率は、5~40である。
【0023】
フレーム28は、ステータ16の周りに固定される。フレーム28は、好適にはステータ16の外形と一致する。フレーム28は、好ましくは円筒形である。フレーム28は、各空気通路30に固定される。
【0024】
フレーム28は、好ましくは空気通路30と一体成形される。図示した実施形態において、フレーム28は、外面上に各空気通路30を支持する。変形例において、空気通路30は、フレーム28内に延在し、フレーム28の厚さは、その場合、空気通路30の高さよりも大きい。
【0025】
各空気通路30は、長手方向軸X-X´にほぼ平行に配向される。各空気通路30は、好適には、長手方向軸X-X´と一体となる長手方向軸のプリミティブ円筒35上に配置され、プリミティブ円筒35は、例えばフレーム28によって画定される。
【0026】
各空気通路30は、本体20の上流端32から本体20の下流端34に向けて空気の循環方向を画定する。この画定は、本体20に対するファン19の相対位置がいかなるものであれ、有効である。ファンは、長手方向軸X-X´によって画定された一方または他方の方向において空気通路30内に空気を導くように選択および設置され得る。
【0027】
各空気通路30は、2つの空気通路開口部36を画定する。各空気通路30は、空気取入開口部38と、空気排出開口部40と、を特に画定する。各空気通路30の空気取入開口部38は、例えば、本体20の上流端32で延在する。各空気通路30の空気排出開口部40は、例えば、本体20の下流端34で延在する。
【0028】
各空気通路30は、本体20に沿って好ましくは一定の空気通路断面を画定する。図1から図3に表した実施形態において、各空気通路30は、特に円形断面を持つ円筒形であり、かつ各空気通路開口部36は、円形である。
【0029】
空気流の各調整リング22は、1組の空気取入38または空気排出40開口部に相対して設置される。換言すると、それぞれのリング22は、1組の空気取入開口部38に相対して設置されるか、1組の空気排出開口部40に相対して設置される。
【0030】
各リング22は、好ましくは長手方向軸X-X´と一体となる長手方向軸を有し、かつ本体20との調整リング22の連結端42および自由端44を含み、リング22は、連結端42と自由端44との間で長手方向軸X-X´に沿って延在する。
【0031】
各リング22は、長手方向軸X-X´に沿って調整リング22の連結端42から調整リング22の自由端44に向かって増大する空気流の通路断面を画定する。通路断面の面積は、好適には連結端42から自由端44に向かって連続して増大する。このようにして、1組の空気取入開口部38に相対して設置される調整リング22は、空気の流れの方向において狭まる空気流の通路断面を有し、かつ1組の空気排出開口部40に相対して設置される調整リング22は、空気の流れの方向において増加する空気流の通路断面を有する。
【0032】
第1の変形例によれば、リング22または各リングは、本体20とは別個に、かつ本体20に固定または一体化されることに適したリングである。特に連結端42は、この第1の変形例によれば、本体20、例えば本体20の上流端32または下流端34に固定されるように構成される。
【0033】
第2の変形例によれば、リング22は、本体20と一体成形される。特に連結端42は、この第2の変形例において本体20と一体となる。調整リング22は、その場合に本体20と連なっており、かつ例えば上流端32または下流端34に相対して延在する。調整リング22は、空気の通路断面が、長手方向軸X-X´に沿って調整リング22内で変動することにおいて、本体20と区別される。この第2の変形例による、本体20と調整リング22との間の接合部は、空気の通路断面が広がり始める長手方向位置で長手方向軸X-X´に沿って配置される。
【0034】
第1の調整リング24は、先に記載された変形例のいずれか1つによる調整リング22である。
【0035】
第1の調整リング24は、径方向内側区画46と、径方向外側区画48と、を含み、径方向内側区画46および径方向外側区画48は、空気流の通路断面をその間に画定する。2つの径方向内側46および外側48区画は、軸方向に整列している。
【0036】
径方向内側区画46は、内側の平滑自由端50および内側の波形連結端52を含む。内側の平滑自由端50は、例えば円形であるか、または円形断面を有する円筒形である。径方向内側区画46の形状は、内側の平滑自由端50から内側の波形連結端52に向かって例えば徐々に変化し、波形の振幅は、例えば内側の波形連結端52の方向で増加する。波形は、長手方向軸X-X´の周りで円周方向に延在する。
【0037】
内側の波形連結端52は、長手方向軸X-X´の周りで円周方向に、長手方向軸X-X´への距離に関して、波形の谷およびピークの連鎖を画定し、連鎖は、例えば規則的であり、かつ長手方向軸X-X´の周りの角度によって決定される。
【0038】
内側の波形連結端52は、例えば各空気通路の空気通路開口部36に部分的に一致する。内側の波形連結端52の波形の谷は、空気通路開口部36に相対して延在し、かつ内側の波形連結端52の波形のピークは、空気通路開口部36の間で延在する。内側の波形連結端52は、例えば空気取入開口部38または空気排出開口部40に部分的に一致する。
【0039】
径方向外側区画48は、外側の平滑自由端54および外側の波形連結端56を含む。外側の平滑自由端54は、例えば円形であるか、または円形断面を有する円筒形である。径方向外側区画48の形状は、外側の平滑自由端54から外側の波形連結端56に向かって例えば徐々に変化し、波形の振幅は、例えば外側の波形連結端54の方向で増加する。波形は、長手方向軸X-X´の周りで円周方向に延在する。
【0040】
外側の波形連結端54は、長手方向軸X-X´の周りで円周方向に、長手方向軸X-X´への距離に関して、波形の谷およびピークの連鎖を画定し、連鎖は、例えば規則的であり、かつ長手方向軸X-X´の周りの角度によって決定される。
【0041】
外側の波形連結端56は、例えば各空気通路の空気通路開口部36に部分的に一致する。外側の波形連結端56の波形の谷は、空気通路開口部36の間で延在し、かつ外側の波形連結端56の波形のピークは、空気通路開口部36に相対して延在する。外側の波形連結端56は、例えば空気取入開口部38または空気排出開口部40に部分的に一致する。
【0042】
径方向外側区画48の波形および径方向内側区画46の波形は、従って反対位相である。径方向外側区画48の波形の谷は、径方向内側区画46の波形のピークに径方向で向き、かつ径方向外側区画48の波形のピークは、径方向内側区画46の波形の谷に径方向で向く。
【0043】
同時に、内側の平滑自由端50および外側の平滑自由端54は、先に記載したような自由端44を形成する。
【0044】
同時に、内側の波形連結端52および外側の波形連結端56は、先に記載したような連結端42を形成する。
【0045】
図1から図3に例示された実施形態において、第1の調整リング24は、本体20に固定または一体化されることに適したリング22である。変形例において、第1の調整リング24は、本体20と一体成形される調整リング22である。
【0046】
図1から図3に例示された実施形態において、第1の調整リング24は、1組の空気取入開口部38に相対して設置される。図示しない変形例において、第1の調整リング24は、1組の空気排出開口部40に相対して設置される。
【0047】
第2の調整リング26は、先に記載した変形例のいずれか1つに記載のリング22である。
【0048】
第2の調整リング26は、支持体58および複数の隔壁60を含む透き目付きのリングである。第2の調整リング26は、透き目付きの連結端62と、透き目付きの自由端64と、を含み、支持体58および複数の隔壁60は、透き目付きの連結端62と、透き目付きの自由端64と、の間に延在する。
【0049】
支持体58は、長手方向軸X-X´と一体になる長手方向軸を画定する。支持体58は、フレーム28と連なって延在する。図3に見られるように、支持体58は、好ましくは円筒形である。
【0050】
複数の隔壁60は、支持体58の外面を延在する。各隔壁60は、長手方向軸X-X´に対して径方向に沿って支持体58から突き出す。各隔壁60は、長手方向軸X-X´に対して径方向に沿ってとられる空気通路30の高さよりも大きい高さにわたって好ましくは突き出す。各隔壁60は、長手方向X-X´に沿って延在する。各隔壁の幅lは、支持体58の外面に接する平面に沿って測定される。各隔壁の幅lは、透き目付きの自由端64から透き目付きの連結端62に向けて長手方向X-X´に沿って増大する。各隔壁の幅lは、その場合に透き目付きの連結端62におけるよりも透き目付きの自由端64において小さい。
【0051】
各隔壁60は、2つの隣接する空気通路開口部36の間に延在する。複数の隔壁60は、例えば1組の空気取入開口部38の間に、または1組の空気排出開口部40の間に延在する。
【0052】
複数の隔壁60は、複数の透き目66を画定し、複数の透き目66は、各隔壁60の間に延在する。
【0053】
透き目66は、空気通路30と連なって空気通路断面を画定する。
【0054】
各透き目66は、透き目付きの連結端62と、透き目付きの自由端64と、の間に長手方向X-X´に沿って延在する。透き目66は、各空気通路の開口部36に相対して配置される。複数の透き目66は、例えば1組の空気取入開口部38に、または1組の空気排出開口部40に相対して配置される。
【0055】
各透き目66の幅lは、支持体58の外面に接する平面に沿って測定される。各透き目66の幅lは、透き目付きの連結端62から透き目付きの自由端64に向けて長手方向X-X´に沿って増大する。
【0056】
図1から図3に例示された実施形態において、第2の調整リング26は、本体20と一体成形されるリング22である。
【0057】
図1から図3に例示された実施形態において、第2の調整リング26は、1組の空気排出開口部40に相対して設置される。図示しない変形例において、第2の調整リング26は、1組の空気取入開口部38に相対して設置される。
【0058】
ロータ18は、モータシャフト68を含み、モータシャフト68は、好適には長手方向軸X-X´に沿って延在する。
【0059】
ファン19は、好適にはモータシャフト68によって回転させるように構成される。
【0060】
ファン19は、冷却装置14を通して空気の循環方向に空気を移動させるように構成される。
【0061】
ファン19は、例えばロータ18に固定され、かつモータシャフト68によってまとめて駆動される。モータ12はその場合、自動換気モータ(moteur autoventile)である。変形例において、ファン19は、ロータ18とは別に、かつ独立して駆動される。
【0062】
ファン19は、例えば軸流ファンである。
【0063】
ファン19は、(図示略)特殊な変形例によれば、ラジアルファンである。ファン19は、その場合に空気流を空気通路30に向けて案内できるデフレクタまたはチャネルを画定するハウジングを含む。ハウジングは、その場合に例えば調整リング22またはカバーに接続される。
【0064】
カバーは、好適には冷却装置14を長手方向軸X-X´に沿ってその全長にわたって覆う。カバー内部は、例えばほぼ円筒形の形状であり、かつ冷却装置全体を覆う。カバーは、ファン19から調整リング22に向かう空気通路断面を画定する管を例えば形成する。
【0065】
カバーは、例えば第2の調整リング22を覆う。カバーは、例えば隔壁60上に延在し、かつ隔壁60により透き目66を画定する。
【0066】
上記車両用の電動モータ12の動作は、以下に記載する。
【0067】
電動モータ12が電気エネルギーの供給を受け、かつ機能する時、ロータ18は、ステータ16、および冷却装置14またはカバーのようなステータ16に一体化された要素に対して回転する。
【0068】
ロータは、形状が電動モータ12の周辺の空気を冷却装置に向けて移動させるファン19を回転させる。特に、ファンは、冷却装置14を通して空気の循環方向に空気を移動させる。
【0069】
空気は、冷却装置14内への流入時に、調整リング22を通過する。特に、図1から図3に図示した実施例において、空気は第1の調整リング24を通過する。空気通路断面は、調整リング22の自由端44から調整リング22の連結端42に向かって徐々に減少し、調整リング22に沿った空気の流れは、ほぼ層流であるか、またはいずれにせよ調整リング22がない場合よりも乱れない。
【0070】
連結端42での空気通路断面は、自由端44での空気通路断面よりも空気取入開口部38の断面に近く、空気通路30の入口での空気流の乱流は、制限される。
【0071】
空気が空気通路30から流出する時に、空気は、調整リング22を通過する。特に、図1から図3に図示した実施例において、空気は、第2の調整リング26を通過する。通路断面は、調整リング22の連結端42から自由端44に向かって徐々に増加する。調整リング22に沿った空気の流れは、その場合に空気通路30から流出する際にほぼ層流であるか、または乱れが少ない。特に、連結端42での空気通路断面は、自由端44での空気通路断面よりも空気排出開口部40の断面に近く、空気通路30の出口での空気流の乱流は制限される。
【0072】
空気流は、好ましくはファン19によって発生した圧力差によって移動し、空気は、冷却装置14内でのその行程に沿って電動モータ12の熱エネルギーを集め、かつその後に周囲の空気内にこのエネルギーを消散させる。
【0073】
各々が長手方向軸X-X´に沿って調整リングの連結端42から調整リング22の自由端44に向けて増大する空気通路断面を画定する、1つまたは2つの調整リング22を含むモータ12は、本体20内で空気の流入に関連した乱流を最小限に抑える。このことは、調整リング22が乱流を最小限に抑えるモータ12が、性能を改善され、かつ騒音減少を生じさせるので、特に好適である。
【0074】
第1の内側リング24および第2の内側リング26の使用は、各調整リング22の位置に応じて空気の最適化された調整を確実にする。
【0075】
リングまたはリングの一方22が、本体20と別個のリングであるという特徴は、既存のモータに調整リングを取り付けることを例えば可能にするので、特に好適である。
【0076】
調整リングまたはリングの一方22が、本体20と一体成形される場合に、調整リングまたはリングの一方22は、本体20と直接的に成形でき、このことは、例えば冷却装置14の製造の複雑さおよび組み立て操作を抑えることを可能にするので、特に好適である。
【0077】
プリミティブ円筒上の空気通路30の配置および一定の断面の空気通路30の使用は、冷却装置14の製作を簡易にする。
【0078】
少なくとも4個、好ましくは少なくとも12個の空気通路を少なくとも含む本体20は、冷却装置14内を循環する空気の良好な配分を可能にするので、特に好適である。
【0079】
各調整リング22の長さの本体20の長さに対する比率により、本体20の入口および出口での乱流を制限しながら、本体20と本体20内を循環する空気との間の十分な熱伝達を確実にする。
【0080】
ファン19を含むモータ12は、冷却装置14を通して循環する空気流を制御することをその上可能にし、かつ冷却装置14およびそれ故に電動モータ12の冷却性能を改善する。
【符号の説明】
【0081】
10 車両
12 モータ
14 冷却装置
16 ステータ
18 ロータ
19 ファン
20 本体
22 調整リング
24 第1の調整リング
26 第2の調整リング
30 空気通路
35 プリミティブ円筒
36 空気通路開口部
38 空気取入開口部
40 空気排出開口部
42 連結端
44 自由端
46 径方向内側区画
48 径方向外側区画
50 内側の平滑自由端
52 内側の波形連結端
54 外側の平滑自由端
56 外側の波形連結端
58 支持体
60 隔壁
62 透き目付きの連結端
64 透き目付きの自由端
66 透き目
68 モータシャフト
隔壁の幅
X-X´ 長手方向
図1
図2
図3
【外国語明細書】