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特開2022-149147電源回路、印刷装置、装置保護方法、および電気機器
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  • 特開-電源回路、印刷装置、装置保護方法、および電気機器 図1
  • 特開-電源回路、印刷装置、装置保護方法、および電気機器 図2
  • 特開-電源回路、印刷装置、装置保護方法、および電気機器 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149147
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】電源回路、印刷装置、装置保護方法、および電気機器
(51)【国際特許分類】
   H02H 3/20 20060101AFI20220929BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
H02H3/20 D
H02J1/00 309H
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021051163
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100182936
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 直樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 麻帆
【テーマコード(参考)】
5G004
5G165
【Fターム(参考)】
5G004AA04
5G004BA07
5G004CA02
5G165BB01
5G165CA01
5G165EA01
5G165HA01
5G165KA12
5G165LA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電気機器に所定範囲外の電圧が印加されたときに、ユーザに迅速に状況を認識させることが可能な電源回路、印刷装置、装置保護方法および電気機器を提供する。
【解決手段】電気機器1において、電源回路12は、電気機器1のジャック11を介して印加される電圧が、予め設定されている許容電圧範囲外であるか否かを判定する電圧判定回路21と、ユーザによる操作に応じてジャックと電気機器の本体回路とを電気的に接続または遮断する電源スイッチ22と、電圧が許容電圧範囲外であると判定された場合に、ジャックと電気機器の本体回路とを電気的に遮断するように電源スイッチを保持する保持部材を有するスイッチ制御回路24と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器のジャックを介して印加される電圧が、予め設定されている許容電圧範囲外であるか否かを判定する電圧判定回路と、
ユーザによる操作に応じて前記ジャックと前記電気機器の本体回路とを電気的に接続または遮断する電源スイッチと、
前記電圧が前記許容電圧範囲外であると判定された場合に、前記ジャックと前記電気機器の本体回路とを電気的に遮断するように前記電源スイッチを保持する保持部材を有するスイッチ制御回路と、
を備える電源回路。
【請求項2】
前記電圧が前記許容電圧範囲外であると判定された場合に、前記電圧が前記許容電圧範囲外であることをユーザに報知する報知部、をさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の電源回路。
【請求項3】
前記報知部は、
発光素子と、
前記電圧が前記許容電圧範囲外であると判定された場合に、前記発光素子を発光させる回路と、を備える
ことを特徴とする請求項2に記載の電源回路。
【請求項4】
前記報知部は、前記電圧が前記許容電圧範囲外であると判定された場合に、アラーム音を出力する
ことを特徴とする請求項2または3に記載の電源回路。
【請求項5】
前記報知部は、前記電圧が前記許容電圧範囲外であると判定された場合に、アラームを表す無線信号を予め指定された情報処理装置に送信する
ことを特徴とする請求項2~4のいずれか一項に記載の電源回路。
【請求項6】
前記電圧判定回路は、判定信号の生成により前記電圧が前記許容電圧範囲外であることを判定する
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の電源回路。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の電源回路を備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項8】
電気機器のジャックを介して印加される電圧が、予め設定されている許容電圧範囲外であるか否かを判定し、
前記電圧が前記許容電圧範囲外であると判定された場合に、ユーザによる操作に応じて前記ジャックと前記電気機器の本体回路とを電気的に接続または遮断する電源スイッチを、前記ジャックと前記本体回路とを電気的に遮断するように保持部材によって保持する
ことを特徴とする装置保護方法。
【請求項9】
本体回路と、
アダプタを介して電流を供給するプラグが挿入されるジャックと、
前記ジャックを介して印加される電圧が、予め設定されている許容電圧範囲外であるか否かを判定する電圧判定回路と、
ユーザによる操作に応じて前記ジャックと前記本体回路とを電気的に接続または遮断する電源スイッチと、
前記電圧が前記許容電圧範囲外であると判定された場合に、前記ジャックと前記本体回路とを電気的に遮断するように前記電源スイッチを保持する保持部材を有するスイッチ制御回路と、
を備える電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の開示は、電源回路、印刷装置、装置保護方法、および電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ACアダプタを利用して起動可能な電気機器が広く使用されている。ACアダプタは、一般に、商用電源のAC電圧を所定のDC電圧に変換して出力する。ところが、電気機器のDC入力ジャックは、必ずしもその電気機器に対応するACアダプタのみと接続可能なわけではない。すなわち、電気機器に対応しない電圧を生成するACアダプタがその電気機器のDC入力ジャックに接続されることがあり得る。そして、仕様電圧よりも高い電圧を生成するACアダプタが電気機器に接続されると、過電圧により、場合によっては電気機器の回路が故障することもある。
【0003】
これに対して、過電圧を防止する構成が提案されている。例えば、特許文献1に記載されている電源回路は、負荷回路の入力側にスイッチ回路を備える。そして、入力電圧が所定値を超えると、そのスイッチ回路がオフ状態に制御され、電源ラインが遮断される。この構成により、過電圧による負荷回路の破壊を防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11-215681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の構成(例えば、特許文献1の電源回路)においては、電気機器に過電圧が印加されると、電源ラインが遮断されるので、その電気機器が動作しないことになる。ところがこの場合、ユーザは、電気機器が動作しない理由を特定できないことがある。そうすると、ユーザによってはACアダプタに原因があるとは思わないため、ユーザは電気機器にACアダプタを接続したまま改善策を模索することになり、原因に気が付くまでの間、労力と負担を強いてしまう。また、ユーザはACアダプタの端子の抜き差しを繰り返したり、電気機器の起動ボタン(或いは、電源スイッチ)を何度も押したりする可能性もある。これらの場合には、電気機器にも負荷がかかる上、場合によっては起動ボタンが故障してその後の起動が不可能になることがある。なお、上記の問題は、電気機器に過電圧が印加される場合だけでなく、想定される電圧よりも低い電圧が電気機器に印加されるときにも発生し得る。
【0006】
このように、従来技術では、誤ったACアダプタが接続されることで電気機器に過電圧または低電圧が印加されたときに、ユーザは、電気機器が動作しない理由に気づかないかもしれない。このため、電気機器を動作させることで出来るまでに、余計な手間または負担が生じることがある。
【0007】
本発明の一側面に係る目的は、電気機器に所定範囲外の電圧が印加されたときに、ユーザに迅速に状況を認識させることが可能な構成および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る電源回路は、電気機器のジャックを介して印加される電圧が、予め設定されている許容電圧範囲外であるか否かを判定する電圧判定回路と、ユーザによる操作に応じて前記ジャックと前記電気機器の本体回路とを電気的に接続または遮断する電源スイッチと、前記電圧が前記許容電圧範囲外であると判定された場合に、前記ジャックと前記電気機器の本体回路とを電気的に遮断するように前記電源スイッチを保持する保持部材を有するスイッチ制御回路と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
上述の態様によれば、電気機器に所定範囲外の電圧が印加されたときに、ユーザに迅速に状況を認識させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係わる電気機器の一例を示す図である。
図2】電源スイッチおよびスイッチ制御回路の一例を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係わる電気機器の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係わる電気機器の一例を示す。本発明の実施形態に係わる電気機器1は、特に限定されるものではないが、この実施例ではラベルプリンタである。ラベルプリンタは、ユーザの指示に応じて、所望の文字または図形等をラベルに印刷することができる。なお、ラベルプリンタの印刷方式は特に限定されるものではなく、感熱テープを使用する感熱方式や、インクリボンを使用する熱転写方式であってもよい。また、ラベルプリンタは、ラベルライターとも呼ばれる。
【0012】
電気機器1は、図1に示すように、DC入力ジャック11、電源回路12、本体回路13、電池14を備える。なお、電気機器1は、図1に示していない他の回路またはデバイスを備えてもよい。例えば、電気機器1は、スマートフォン等の情報処理装置と通信を行う機能を備えてもよい。
【0013】
DC入力ジャック11には、ACアダプタ15のプラグ15aが挿入される。ここで、ACアダプタ15は、商用電源のAC電圧を所定のDC電圧に変換して出力する。よって、ACアダプタ15を商用電源に接続し、プラグ15aをDC入力ジャック11に挿入すると、ACアダプタ15により生成される所定のDC電圧が電気機器1に印加される。
【0014】
電源回路12は、DC入力ジャック11と本体回路13との間に設けられ、本体回路13に電力を供給する。また、電源回路12は、電気機器1に印加される電圧が適切か否かを判定する機能を備える。すなわち、電源回路12は、DC入力ジャック11に接続されたACアダプタ15が適切か否かを判定することができる。
【0015】
本体回路13は、電気機器1の主要部であり、電気機器1の機能を提供する。例えば、電気機器1がラベルプリンタのような印刷装置である場合、本体回路13は、ユーザの指示を受け付ける入力デバイス、ユーザにより指示された文字または図形をラベルに印刷する印刷デバイス等を備える。
【0016】
電池14は、電気機器1内の所定の回路に電力を供給するために設けられている。例えば、電池14は、電気機器1の時計機能に電力を供給する。なお、電池14は、電気機器1にACアダプタ15が接続されてないときであっても、所定の回路に電力を供給することができる。また、電池14は、本体回路13の中に実装されてもよいし、本体回路13の外に実装されてもよい。
【0017】
電源回路12は、図1に示すように、電圧判定回路21、電源スイッチ22、報知部23、およびスイッチ制御回路24を備える。なお、電源回路12は、図1に示していない他の回路を備えてもよい。
【0018】
電圧判定回路21は、電気機器1のDC入力ジャック11を介して印加されるDC電圧が予め設定されている所定の許容電圧範囲外であるか否かを判定し、その判定結果を表す判定信号を生成する。なお、以下の記載では、電気機器1のDC入力ジャック11を介して印加されるDC電圧を「入力電圧」と呼ぶことがある。
【0019】
所定の許容電圧範囲は、本体回路13の構成または仕様に基づいて設定される。例えば、入力電圧が5V~18Vであるときに本体回路13が正常に動作可能なときは、電圧判定回路21は、入力電圧が5V~18Vであるか否かを判定する。そして、入力電圧が5V~18Vの範囲内であれば、電圧判定回路21はHレベル信号を出力する。一方、入力電圧が5Vよりも低いとき、又は、入力電圧が18Vよりも高いときは、電圧判定回路21はLレベル信号を出力する。この場合、Hレベル信号は、電気機器1のDC入力ジャック11を介して印加されるDC電圧が予め設定されている許容電圧範囲内であることを表す判定信号の一例である。また、Lレベル信号は、電気機器1のDC入力ジャック11を介して印加されるDC電圧が予め設定されている許容電圧範囲外であることを表す判定信号の一例である。
【0020】
電圧判定回路21は、特に限定されるものではないが、例えば、LTC4365(Analog Devices社製)等の市販の集積回路により実現される。この場合、この集積回路の制御端子に接続する抵抗の抵抗値を適切に決定することで、所望の下限電圧および上限電圧(即ち、所望の許容電圧範囲)を設定できる。なお、電圧判定回路21は、ACアダプタ15から供給される電力で動作してもよいし、電池14から供給される電力で動作してもよい。
【0021】
電源スイッチ22は、電気機器1のユーザによる操作に応じて、DC入力ジャック11と本体回路13とを電気的に接続または遮断する。すなわち、ユーザは、電源スイッチ22を操作することで、電気機器1を起動および停止できる。よって、電源スイッチ22の一方の端子はDC入力ジャック11と電気的に接続し、電源スイッチ22の他方の端子は本体回路13に電気的に接続する。また、電源スイッチ22は、特に限定されるものではないが、押圧式スイッチにより実現される。この場合、電気機器1がオフ状態であるときに電源スイッチ22が押圧されると、DC入力ジャック11と本体回路13とが電気的に接続され、電気機器1が起動される。反対に、電気機器1がオン状態であるときに電源スイッチ22が押圧されると、DC入力ジャック11と本体回路13とが電気的に遮断され、電気機器1は停止する。
【0022】
報知部23は、入力電圧が所定の許容電圧範囲外であることを表す判定信号が生成されたときに、入力電圧が所定の許容電圧範囲外であることをユーザに報知する。すなわち、電圧判定回路21から出力される判定信号がLレベルであるときに、報知部23は、入力電圧が所定の許容電圧範囲外であることをユーザに報知する。この実施例では、入力電圧の異常を視覚的にユーザに伝えるために、報知部23は、抵抗R1~R5、トランジスタTR1~TR2、発光素子LEDを備える。報知部23の回路構成は、例えば、以下の通りである。
【0023】
トランジスタTR1のコレクタは、抵抗R1を介して電源VBATに接続されている。電源VBATは、電池14に相当する。トランジスタTR1のベースは、抵抗R2を介して電圧判定回路21の出力端子に接続されている。トランジスタTR1のエミッタは接地されている。トランジスタTR1の出力端子(即ち、コレクタ)は、抵抗R3を介してトランジスタTR2のゲートに接続されている。トランジスタTR2のゲートおよびソースは、抵抗R4を介して互いに接続されている。トランジスタTR2のドレインと電源VBATとの間に、抵抗R5および発光素子LEDが直列に設けられている。トランジスタTR2のソースは所定の電位VEに保持される。
【0024】
スイッチ制御回路24は、入力電圧が許容電圧範囲外であると判定されたときに、電源スイッチ22を遮断状態に保持する。この実施例では、スイッチ制御回路24は、入力電圧が許容電圧範囲外であることを表す判定信号が生成されたときに、電源スイッチ22を遮断状態に保持する。このとき、スイッチ制御回路24は、DC入力ジャック11と本体回路13とが電気的に接続できないようにしてもよい。或いは、スイッチ制御回路24は、電源スイッチ22を物理的に押圧できないようにしてもよい。つまり電源スイッチ22が、DC入力ジャック11と本体回路13とが電気的に接続される位置まで押し込まれないようにする。換言すると、スイッチ制御回路24は、DCジャックと本体回路13とが電気的に遮断されるように電源スイッチ22を保持する保持部材を有する。
【0025】
次に、電源回路12の動作を説明する。まず、電気機器1に正規のACアダプタ15が接続されたときは、電気機器1の入力電圧が所定の許容電圧範囲内になるので、電圧判定回路21から出力される判定信号はHレベルに保持される。この場合、トランジスタTR1がオン状態に制御されるので、トランジスタTR2のゲートはLレベルに制御される。そうすると、トランジスタTR2はオフ状態に制御され、発光素子LEDに電流は流れない。この結果、発光素子LEDは発光しない。また、判定信号がHレベルに保持されるときは、スイッチ制御回路24は、電源スイッチ22の動作を制限しない。すなわち、電源スイッチ22は、ユーザの指示に応じてDC入力ジャック11と本体回路13とを電気的に接続または遮断できる。換言すれば、電源スイッチ22は、電気機器1をオン/オフできる。
【0026】
これに対して、電気機器1に誤ったACアダプタ15が接続され、電気機器1の入力電圧が所定の許容電圧範囲外になると、電圧判定回路21から出力される判定信号はLレベルに保持される。この場合、トランジスタTR1がオフ状態に制御されるので、トランジスタTR2のゲートはHレベルに制御される。そうすると、トランジスタTR2はオン状態に制御され、発光素子LEDに電流が流れる。この結果、発光素子LEDが発光する。また、判定信号がLレベルに保持されるときは、スイッチ制御回路24は、電源スイッチ22を遮断状態に保持する。すなわち、ユーザが電源スイッチ22を操作しても、電気機器1は起動しない。
【0027】
このように、本発明の実施形態に係わる電気機器1においては、ユーザが誤ったACアダプタ15を使用することで入力電圧が所定の許容電圧範囲外になると、発光素子LEDが発光する。したがって、ユーザは、入力電圧が過電圧または低電圧である状態を容易に認識できる。この結果、電気機器1が過電圧状態または低電圧状態のまま放置される状況を回避できる。加えて、電気機器1に接続したACアダプタ15が不適切である旨に即座に気づくことができるので、電気機器1を正常に動作させるための手間または負担が削減される。さらに、電気機器1を起動する前に、入力電圧が過電圧または低電圧である状態を認識できるので、電気機器1の故障の可能性が低くなり安全性が向上する。
【0028】
図2は、電源スイッチ22およびスイッチ制御回路24の一例を示す。この例では、スイッチ制御回路24は、プッシュプル型ソレノイド24aおよびシャッター24b(保持部材)により実現される。なお、図2は、押圧式スイッチを簡略的に示している。
【0029】
プッシュプル型ソレノイド24aは、電圧判定回路21から出力される判定信号に基づいて制御される。また、プッシュプル型ソレノイド24aのシャフトにシャッター24bが取り付けられており、プッシュプル型ソレノイド24aの状態に応じてシャッター24bの位置が変化する。
【0030】
具体的には、判定信号がHレベルであるときは、図2(a)に示すように、プッシュプル型ソレノイド24aはプル状態を保持する。このとき、シャッター24bは、電源スイッチ22と接触しない位置に保持される。よって、電源スイッチ22は、ユーザにより押圧されると、DC入力ジャック11と本体回路13とを電気的に接続する。すなわち、電源スイッチ22は、通常のオン/オフ機能を提供する。
【0031】
これに対して、判定信号がLレベルであるときは、図2(b)に示すように、プッシュプル型ソレノイド24aはプッシュ状態に制御される。このとき、シャッター24bは、電源スイッチ22が押圧される場合に接触する位置(DC入力ジャック11と本体回路13とが電気的に遮断する状態を保持するように、電源スイッチ22を物理的に妨害する位置)に保持される。よって、電源スイッチ22は、ユーザにより押圧されても、DC入力ジャック11と本体回路13とを電気的に接続しない状態に保持される。なお、判定信号がLレベルからHレベルに変化すると、不図示のリターンスプリング等により、プッシュプル型ソレノイド24aのシャフトが元の位置に戻るように構成されている。
【0032】
プッシュプル型ソレノイド24aは、電池14から供給される電力で動作する。なお、図2に示す構成は、1つの実施例であり、スイッチ制御24は、プッシュプル型ソレノイド24aを用いない他の回路構成で実現してもよい。
【0033】
なお、プッシュプル型ソレノイド24aは、通常、その動作時に、動作音が発生する。よって、入力電圧の異常に起因してプッシュプル型ソレノイド24aが動作すると、ユーザはその動作音によって入力電圧の異常に気付くことができる。したがって、スイッチ制御回24は、プッシュプル型ソレノイド24aに限定されるものではないが、入力電圧の異常時に音が発生することが好ましい。この場合、スイッチ制御回路24は、報知部の機能を含むことになる。
【0034】
また、上述の実施例では、電源回路12は発光素子LEDを備え、入力電圧の異常を視覚的にユーザに知らせるが、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えば、電源回路12は、入力電圧の異常を音でユーザに知らせるようにしてもよい。この場合、電源回路12は、発光素子LEDの代わりに(或いは、発光素子LEDに加えて)、アラーム音を出力する圧電ブザー等の音響素子を備えればよい。或いは、電源回路12は、エラーを示す音声ガイドを出力する構成であってもよい。そして、これらの構成であっても、ユーザは、電気機器1に接続したACアダプタ15が不適切である旨に即座に気づくことができる。また、この構成によれば、発光素子LEDのみを用いる構成と比較して、ACアダプタ15が不適切である旨をユーザに確実に知らせることができる。
【0035】
さらに、電源回路12は、図3に示すように、通信モジュール25を備え、入力電圧の異常を表す無線信号を予め指定された情報処理装置30に送信するように構成してもよい。この場合、通信モジュール25は、例えば、接続履歴に記録されている情報処理装置30に無線信号を送信する。ここで、情報処理装置30は、例えば、ユーザのスマートフォンまたはパーソナルコンピュータである。そして、情報処理装置30は、通信モジュール25から上述の無線信号を受信すると、電気機器1の入力電圧の異常を表すメッセージを自装置の表示画面に表示する。例えば、「ACアダプタを確認してください」とのメッセージが表示される。よって、この構成であっても、ユーザは、電気機器1に接続したACアダプタ15が不適切である旨に即座に気づくことができる。また、この構成によれば、言語メッセージを表示できるので、電気機器1が動作しない原因を確実にユーザに知らせることができる。なお、通信モジュール25は、電池14から供給される電力で動作する。
【0036】
さらに、上述の実施例では、入力電圧が過電圧であるケースおよび低電圧であるケースの双方がモニタされるが、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えば、電源装置12は、入力電圧が過電圧であるときにのみ、ユーザに対してアラームを知らせるようにしてもよい。
【0037】
上述した実施形態は、発明の理解を容易にするために具体例を示したものであり、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、上述の実施形態の各種変形形態および代替形態を包含する。例えば、各実施形態は、その趣旨および範囲を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化してもよい。また、上述した実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより、種々の実施形態を実施してもよい。更には、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除することにより、または、実施形態に示される構成要素にいくつかの構成要素を追加することにより、種々の実施形態を実施してもよい。即ち、電源装置、報知方法、および電気機器は、特許請求の範囲の記載を逸脱しない範囲において、さまざまな変形、変更が可能である。
【0038】
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
電気機器のジャックを介して印加される電圧が、予め設定されている許容電圧範囲外であるか否かを判定する電圧判定回路と、
ユーザによる操作に応じて前記ジャックと前記電気機器の本体回路とを電気的に接続または遮断する電源スイッチと、
前記電圧が前記許容電圧範囲外であると判定された場合に、前記ジャックと前記電気機器の本体回路とを電気的に遮断するように前記電源スイッチを保持する保持部材を有するスイッチ制御回路と、
を備える電源回路。
[付記2]
前記電圧が前記許容電圧範囲外であると判定された場合に、前記電圧が前記許容電圧範囲外であることをユーザに報知する報知部、をさらに備える
ことを特徴とする付記1に記載の電源回路。
[付記3]
前記報知部は、
発光素子と、
前記電圧が前記許容電圧範囲外であると判定された場合に、前記発光素子を発光させる回路と、を備える
ことを特徴とする付記2に記載の電源回路。
[付記4]
前記報知部は、前記電圧が前記許容電圧範囲外であると判定された場合に、アラーム音を出力する
ことを特徴とする付記2または3に記載の電源回路。
[付記5]
前記報知部は、前記電圧が前記許容電圧範囲外であると判定された場合に、アラームを表す無線信号を予め指定された情報処理装置に送信する
ことを特徴とする付記2~4のいずれか1つに記載の電源回路。
[付記6]
前記電圧判定回路は、判定信号の生成により前記電圧が前記許容電圧範囲外であることを判定する
ことを特徴とする付記1~5のいずれか1つに記載の電源回路。
[付記7]
付記1~6のいずれか1つに記載の電源回路を備えることを特徴とする印刷装置。
[付記8]
電気機器のジャックを介して印加される電圧が、予め設定されている許容電圧範囲外であるか否かを判定し、
前記電圧が前記許容電圧範囲外であると判定された場合に、ユーザによる操作に応じて前記ジャックと前記電気機器の本体回路とを電気的に接続または遮断する電源スイッチを、前記ジャックと前記本体回路とを電気的に遮断するように保持部材によって保持する
ことを特徴とする装置保護方法。
[付記9]
本体回路と、
アダプタを介して電流を供給するプラグが挿入されるジャックと、
前記ジャックを介して印加される電圧が、予め設定されている許容電圧範囲外であるか否かを判定する電圧判定回路と、
ユーザによる操作に応じて前記ジャックと前記本体回路とを電気的に接続または遮断する電源スイッチと、
前記電圧が前記許容電圧範囲外であると判定された場合に、前記ジャックと前記本体回路とを電気的に遮断するように前記電源スイッチを保持する保持部材を有するスイッチ制御回路と、
を備える電気機器。
【符号の説明】
【0039】
1:電気機器、 11:DC入力ジャック、 12:電源回路、 13:本体回路、 14:電池、 15:ACアダプタ、 21:電圧判定回路、 22:電源スイッチ、 23:報知部、 24:スイッチ制御回路、 24a:プッシュプル型ソレノイド、 24b:シャッター、 25:通信モジュール、 30:情報処理装置
図1
図2
図3