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特開2022-14916外科用手持ち機器において使用するための高周波電極、電極器具、及びレゼクトスコープ
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  • 特開-外科用手持ち機器において使用するための高周波電極、電極器具、及びレゼクトスコープ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022014916
(43)【公開日】2022-01-20
(54)【発明の名称】外科用手持ち機器において使用するための高周波電極、電極器具、及びレゼクトスコープ
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20220113BHJP
【FI】
A61B18/14
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021112648
(22)【出願日】2021-07-07
(31)【優先権主張番号】10 2020 117 810.7
(32)【優先日】2020-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】510320416
【氏名又は名称】オリンパス・ウィンター・アンド・イベ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【弁理士】
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・キャロー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ヴォスニツア
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK12
4C160KK37
4C160MM54
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明は、電極においてプラズマをより良好に局在化でき、それと同時にプラズマを点火するためのエネルギーが低減される高周波電極、電極器具及びレゼクトスコープを提供する。
【解決手段】手持ち機器のための高周波電極は、とりわけ泌尿器科で膀胱、前立腺、及び尿道における電気外科的作業に使用される。電極の大きい活性面積が有利であることが知られている。しかし面積の大きさは利用可能な空間によって制限される。さらに、大型の電極の場合にプラズマを点火するにはより高いエネルギーが必要である。しかし高エネルギーは、洗浄液への熱入力に不利に作用し、このことは周辺組織のために不利であり得る。これは外科用手持ち機器において使用するための高周波電極(18)がトロイド(21)の形状を有することによって達成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用手持ち機器又はレゼクトスコープ(10)において使用するための高周波電極(18)であって、少なくとも1つの導電体(19,20)を介して電気エネルギーを供給可能であり、トロイド(21,24,25,26,27,28)の形状を有する、高周波電極(18)。
【請求項2】
プラズマを生成するために1つの導電体(19)を有し、前記導電体(19)を介して高周波発生器に結合可能に構成された、請求項1に記載の高周波電極(18)。
【請求項3】
プラズマを生成するために2つの導電体(19,20)を有し、前記2つの導電体は、前記高周波電極(18)における別々の電気極と接触するとともに、高周波発生器と結合可能であり、前記別々の電気極は、絶縁体要素によって電気的に互いに絶縁されている、請求項1に記載の高周波電極(18)。
【請求項4】
前記高周波電極(18)の少なくとも1つの電気極、あるいは、中性電極及びリターン電極の少なくとも一方は、前記高周波電極(18)の支持アーム(29、30)又はフォーク管によって形成される、請求項1~3のいずれか1項に記載の高周波電極(18)。
【請求項5】
前記高周波電極(18)は、前記少なくとも1つの導電体(19,20)を介して、少なくとも1つの保持要素を介して、あるいは、その両方を介して、前記手持ち機器又は電極器具(16)に着脱可能に取り付けられている、請求項1~4のいずれか1項に記載の高周波電極(18)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの導電体(19,20)は、前記トロイド(21,24,25,26,27,28)と内側で接触する、請求項1~5のいずれか1項に記載の高周波電極(18)。
【請求項7】
前記トロイド(21,24,25,26,27,28)の径方向軸線に対して平行の横断面が、楕円形、長円形、円形状、三角形、矩形、正方形、台形状、多角形、又はそれに類するものに形成されている、請求項1~6のいずれか1項に記載の高周波電極(18)。
【請求項8】
前記トロイド(21,24,25,26,27,28)の外周が、楕円形、長円形、又は円形状に形成されている、請求項1~7のいずれか1項に記載の高周波電極(18)。
【請求項9】
前記トロイド表面の外周の周りに、環状の突出部又はエッジが形成されていることを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の高周波電極(18)。
【請求項10】
第1導電体(19)が前記トロイド(21,24,25,26,27,28)の下部セクションに割り当てられ、前記下部セクションが第1電気極を形成し、第2導電体(20)が前記トロイド(21,24,25,26,27,28)の上部セクションに割り当てられ、前記上部セクションが第2電気極を形成し、前記下部セクションと前記上部セクションとは面積に関して同様に又は相違して形成される、請求項3に記載の高周波電極(18)。
【請求項11】
前記トロイド(21,24,25,26,27,28)の外側の直径又は外側の平均の直径が、前記トロイド(21,24,25,26,27,28)の内側の直径又は内側の平均の直径の2倍~5倍、2.5倍~4倍又は3倍の大きさである、請求項1~10のいずれか1項に記載の高周波電極(18)。
【請求項12】
前記トロイド(21,24,25,26,27,28)は、実質的に、特殊鋼、チタン、白金イリジウム、又は白金タングステンからなり、電気絶縁体はセラミック又はプラスチックからなる、請求項1~11のいずれか1項に記載の高周波電極(18)。
【請求項13】
外科用手持ち機器若しくはレゼクトスコープ(10)において使用するための電極器具(16)、又は、モノポーラ若しくはバイポーラの電極器具(16)であって、前記電極器具(16)は、2つの支持アーム(29,30)を有する長尺のシャフトセクション(13)を具備し、少なくとも1つの導電体(19,20)が前記シャフトセクションを通って延び、前記導電体は、前記電極器具(16)の遠位端において、請求項1~12に記載の高周波電流を印加可能な高周波電極(18)を形成し、前記高周波電極が前記支持アーム(29,30)の遠位端間に配置されている、電極器具。
【請求項14】
請求項13に記載の電極器具(16)を有するレゼクトスコープ(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載の外科用手持ち機器において使用するための高周波電極に関する。さらに、本発明は、請求項13に記載の外科用手持ち機器において使用するための電極器具及び請求項14に記載のレゼクトスコープに関する。
【背景技術】
【0002】
属性的に対応する種類の手持ち機器、特にレゼクトスコープのための高周波電極は、とりわけ泌尿器科で、膀胱、前立腺、及び尿道における電気外科的作業に使用される。同様に、この高周波電極は、他の外科的及び整形外科的処置又は手術にも使用され得る。この電極は通常、組織(例えば下部尿路の組織)の切除及び蒸散並びに電気凝固に使用される。そのために、手持ち機器又はレゼクトスコープは、手持ち機器又はレゼクトスコープのシャフト内で長手方向に変位可能及び回転可能に支承されている、属性的に対応する高周波電極又は電極器具を備えている。外科用高周波電極は、電極器具の遠位作業端に、例えばループ又はボタンの形式で配置されている。
【0003】
この種の電極はモノポーラ又はバイポーラに形成され得る。それに加えて、電極には用途又は実施形態に応じて導電体を介して電気エネルギー又は高周波電圧が印加される。高周波電流の供給は、高周波発生器によって手持ち機器又はレゼクトスコープを介して行われる。電極がモノポーラ電極として形成されている場合には、処置されるべき人に中性電極が配置される。これに代えて、中性電極は、レゼクトスコープの構成要素でもあり得る。その場合、シャフト、トランスポータ、及び光学系が電位の中性電極として用いられる。
【0004】
電極に通常の高周波電圧を印加することによって、電極の周囲又は電極の一部の周囲に荷電粒子のプラズマが形成される。プラズマは、電極上に直接局在化され(lokalisiert)、高い温度又はエネルギー密度を有しているため、上記の使用目的に特に適する。特に組織の蒸散及び電気凝固には、電極の特定の面にプラズマが生成されることが重要であり、それにより処置者は電極を的確に使用することができる。
【0005】
公知の高周波電極では、プラズマが部分的に形成され、これはどちらかといえば電極の導電体に向けて配向される。その結果、電極を目的の方法で使用することができず、電極自体のプラズマ密度が低下する。プラズマは、電極が組織と接触する電極の下部領域又は中央領域において形成されることが理想的である。導電体が設けられている電極の上部領域にプラズマを形成することは、外科的使用のためには不都合であることが明らかである。
【0006】
上記の処置のために、電極が可能な限り大きい活性面積を有するならば有利である。しかし面積の大きさは使用領域の寸法によって制限され、その一方で大型の電極の場合にはプラズマの点火のためにより高いエネルギーが必要である。しかし高い熱量は、生体の処置されるべき領域に不利に作用する。さらに、電極をより大きくすることにより点火速度が低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、電極においてプラズマをより良好に局在化でき、それによって組織と接触する面積が最大化され、それと同時にプラズマを点火するためのエネルギーが低減される、高周波電極、電極器具、及びレゼクトスコープを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題の解決策は、請求項1の特徴によって説明される。それによれば、外科用手持ち機器、特にレゼクトスコープにおいて使用するための高周波電極がトロイドの形状を有することが企図されている。このトロイド状又はドーナツ状の電極は外周と内周とを有する。電極本体は閉じたリング構造を示す。この電極を、例えば、蒸散、切除又は電気凝固のために使用するには、トロイドの下半分を患者の処置されるべき組織上で移動させる。トロイド形状により、この高周波電極は大きい作用面を有するが、その一方で作用面は中心開口部によって面積が低減されている。この低減された活性表面積によって、プラズマの点火のために必要な電気エネルギーが公知の全面電極の場合より少なくなる。それによって点火速度を増加、又は点火時間を減少させることもできる。トロイド状又はドーナツ状の電極の別の利点は、プラズマによって発生して視界を妨げる洗浄液中の気泡を、制御された方法で電極の穴から排出できるということに見いだされる。気泡をこのように排出することによって、光学系の前方の視界を改善することができる。
【0009】
好ましくは、トロイド状の電極は、プラズマを生成するために導電体と接続され、この導電体を介して電極を高周波発生器に結合可能に構成される。この電極では、導電体がトロイドの下部領域又は下半分に結合されている。この下部領域は導電性である。電極の相補的な上部領域又は上半分は、導電性又は絶縁性となるように形成できる。それによって電気エネルギーは、プラズマが生成されるべき場所に正確に付与される。その場合、導電体は、例えば、手持ち機器、特にレゼクトスコープのシャフトを通って高周波発生器へ導かれ得る。その場合、導電体は、高周波電極及び手持ち機器の両方に一体的に接続することができ、又は、手持ち機器及び高周波電極の少なくとも一方とプラグ状に結合できる。したがって、高周波電極が1つ又は2つの導電体を有し、この導電体を介して電極を手持ち機器とプラグ状に接続可能である。これは、特に保守及び清掃の目的に特に有利である。
【0010】
これに代えて、本発明は、特にトロイド状の電極がプラズマを生成するために2つの導電体を有し、2つの導電体はそれぞれ、トロイド状の電極における別々の電気極(elektrischen Pol)と接触するとともに、高周波発生器と結合可能に構成されている。電極の電気極は、絶縁体要素によって、次のように電気的に互いに絶縁される。このバイポーラ電極では、導電体がそれぞれ電極上の別々の電気極に通じ、高周波電極は2つの電気極に分割されている。殊に、一方の電気極は電極の下側に、他方の電気極は上側に位置決めされている。極間には絶縁体要素が設けられている。しかし、電極の電気極が別様に分けられることも考えられる。すなわち、電極の下側の電気極が、電極の上側で環状に延在しているだけの第2の電気極よりはるかに大きく形成されることが考えられる。この電極の特別な構成によって、外科的使用用を目的としたプラズマを特に良好に局在化することができ、それに伴い適確に使用することができる。さらに、別の若しくは第2の電気極又は中性電極が電極器具の2つの支持アームのうちの1つに配置されることも考えられる。したがって電極の2つの支持アーム又はフォーク管がリターン電極及び中性電極の少なくとも一方としても用いられ得ることが考えられる。
【0011】
さらに、本発明によれば、電極は、少なくとも1つの導電体を介して、少なくとも1つの保持要素を介して、あるいは、その両方を介して、手持ち機器(特に電極器具)に、殊に着脱可能に取り付けられることが企図され得る。したがって少なくとも1つの導電体の他に、例えば金属又は絶縁体からなる別の要素が手持ち機器又は電極器具における電極の安定性を確保することができる。特に電極の利用中、電極には高い機械的引張力及び圧縮力が作用する。保持要素及び少なくとも1つの導電体は、機械的な力が増加した場合も、電極が手持ち機器に対する相対位置を失わないことをもたらす。保持要素もプラグ状に形成することができ、それにより手持ち機器との着脱可能な接続又は連結結合が可能である。
【0012】
本発明の別の実施例は、少なくとも1つの、殊に2つの導電体がトロイドと内側で接触することが企図され得る。導電体をトロイドの内周にこのように位置決めすることによって、処置中に導電体が邪魔しない。導電体が内周に割り当てられることによって、トロイドの外周及び下側を組織の切断又は蒸散のために使用することができる。
【0013】
殊に、トロイドの径方向軸線に対して平行の横断面が、楕円形、長円形、円形状、三角形、矩形、殊に正方形、台形状、多角形、又はそれに類するものに形成されることがさらに考えられる。この種々の横断面によって、トロイドの表面に種々のプラズマ密度を生成することができる。特に鋭角を有する形状によって、例えば組織の切断などの特定の使用目的に有利である特に高いプラズマ密度を生成することができる。同様に、大きい面積によって、組織領域を特に良好に蒸散又は凝固することができる。
【0014】
さらに、トロイドの外周が楕円形、長円形、又は円形状に形成されることが考えられる。周囲の形状によっても、特定の外科的方法のための使用を最適化することができる。処置されるべき領域と処置の種類とに応じて、楕円形、長円形、又は円形状のトロイドを使用することが有利な場合がある。
【0015】
本発明の特別の実施例では、トロイド表面の外周の周りに環状の突出部、殊にエッジが形成されていることを企図することができる。この突出部によって、プラズマの点火が容易にされるか、あるいは、点火が特に迅速に、しかもより少ないエネルギー消費量で行われる。この環状の突出部における電界強度がより高いことによって、プラズマが迅速に点火し、それによって電極を特に短時間で使用できる。この環状の突出部は、部分的にエッジとして形成されていること、あるいは、トロイドの表面の別の位置に位置決めされることも考えられる。
【0016】
さらに、第1導電体がトロイドの下部セクションに割り当てられ、この下部セクションが第1電気極を形成し、第2導電体がトロイドの上部セクションに割り当てられ、この上部セクションが第2電気極を形成し、下部セクションと上部セクションとが面積に関して同様又は相違に形成されることが考えられる。特に、下部セクションは面積に関して上部セクションより大きいか、又は小さい。
【0017】
さらに、トロイドの外側の(特に平均の)直径が、トロイドの内側の(特に平均の)直径の2~5倍、特に2.5~4、又は3倍の大きさであることが考えられる。直径の比率にはさらに別のものも考えられる。トロイドが略環状に形成されているか、又はほとんど完全に閉じていることも企図され得る。使用目的に応じて特定の形状が特に有利な場合がある。
【0018】
トロイドは、実質的に、特殊鋼、チタン、白金イリジウム、又は白金タングステンからなる。さらに、トロイドが別の導電性材料から構成されていることも考えられる。電気絶縁体は、プラスチック又はセラミックから形成され得る。
【0019】
上記の課題を解決するための電極器具は請求項13に記載の特徴を有する。それによれば、外科用手持ち機器、特にレゼクトスコープにおいて使用するための電極器具は、2つの支持アームを有する長尺のシャフトセクションを具備し、少なくとも1つの導電体がシャフトセクションを通って延び、導電体は、器具の遠位端において請求項1~12に記載の高周波電極と接続される、又は接続可能である。高周波電極は、支持アームの遠位端間に配置されている。
【0020】
冒頭で述べた課題を解決するためのレゼクトスコープは請求項14の特徴を有する。
【0021】
以下、本発明の好ましい実施例について図面をもとにして詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】外科用手持ち機器、特にレゼクトスコープの模式図である。
図2】高周波電極の一実施例の図である。
図3】高周波電極の別の実施例の図である。
図4】高周波電極の別の実施例の図である。
図5】高周波電極の別の実施例の図である。
図6】高周波電極の別の実施例の図である。
図7】高周波電極の別の実施例の図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1において、外科用手持ち機器の例としてレゼクトスコープ10が示されている。このレゼクトスコープ10は、実質的に、トランスポータ11、グリップユニット12、及び、患者を処置するために相応の生体開口部へ導入されるべきシャフト13からなる。ここに示される実施例では、シャフト13は、外側シャフト管14、光学系15、及び電極器具16から構成される。光学系15は、シャフト13の遠位端の処置領域をシャフト13の近位に配置された接眼レンズ17によって観察するためにレンズ又はガラス繊維が配置され得る長い管からなる。レゼクトスコープの詳細な説明については公知の従来技術を参照されたい。
【0024】
電極器具16は、実質的に高周波電極18及び少なくとも1つの導電体19から構成されている。少なくとも1つの導電体19は、高周波電極18に高周波電圧を供給するが、導電体19及び場合によっては別の要素は高周波電極18を電極器具16へ保持する保持具として用いられる。導電体19は、レゼクトスコープ10の遠位端からシャフト14を通り抜け、高周波電磁エネルギーを生成するために、さらなる配線を介して図示省略の高周波発生器と接続されている。2つの導電体19,20は、2つの支持アーム29,30、又は電極器具16のフォーク管を通り抜け得る(図2)。
【0025】
例えば、組織は、高周波電極18によって操作することができる。そのために、高周波電極18は、モノポーラ電極又はバイポーラ電極のいずれかとして形成され得る。バイポーラ電極の場合、電極は2つの導電体19,20と接続されている。モノポーラ電極の実施例では、高周波電極18は、導電体19のみと接続されている。別の中性電極は患者に取り付けられるか、又はレゼクトスコープに組み込まれる(シャフト、トランスポータ、光学系。すべてのコンポーネントが1つの電位にある場合、大きい面積により電流密度が低くなる)。高周波電極18に電気エネルギーを印加することによって、高周波電極18にプラズマが生成され、これにより組織は、電極器具16の動きに対応して操作される。
【0026】
本発明による高周波電極18はトロイド21として形成されている。図2において、例示的に円形の横断面を有するトロイド21が示されている。このトロイド21は、電極器具16の2つの導電体19,20を介してエネルギー源と電気的に接続される。これに代えて、導電体19,20のうちの1つが保持要素として形成されることが考えられる。
【0027】
トロイド21又は高周波電極18は、下部領域22及び上部領域23を有する。これらの領域22,23を異なった大きさで形成することができる。ここに図示される実施例では、導電体19はトロイド21の下部領域22へ通じ、導電体20は上部領域23へ通じている。上部領域23が別の保持具によって固定されることも同様に考えられる。バイポーラ電極では、2つの電気極を互いに絶縁するために、下部領域22と上部領域23との間に絶縁体が設けられる。この高周波電極18の特別な実施形態によって、高周波電極18の下部領域22に特に大きい面積のプラズマを生成することができ、電極は短時間で多くの組織を摘出することができる。高周波電極18のトロイダル形状によって、高周波電極18の活性表面積を小さく抑えることができ、それによりプラズマの点火のために必要な熱量又は電気エネルギーが少なくなる。さらに、この形状は、プラズマの迅速な点火に特に有利である。
【0028】
「ドーナツ形の」高周波電極18の外周と内周との比は任意の値をとることができる。処置又は使用の種類に応じて、様々に寸法設定したトロイド21を使用することができる。図3図7において、種々のトロイド構造が示されている。図3には、トロイド24の横断面が矩形又は正方形に形成されている高周波電極18の一例が示されている。図4に示されたトロイド25では、横断面が台形状に形成されている。図5における実施例は、三角形の横断面を有するトロイド26を示す。図6によるトロイド27の実施例も三角形の横断面を示す。しかしこの実施例では三角形は、1つの頂点が外側に向くように傾けられている。図7において、トロイド28の別の実施例が示されている。様々な形状にもとづいた様々な電界強度により高周波電極18に異なったプラズマが形成される。それに伴い、要求に応じて特に有利に成形された高周波電極18を選択することができる。その場合、明確にしておきたい点は、ここに示されるトロイド形状の選択肢がこれで終わりでないということである。むしろ、トロイドは、略任意の形状を取り得ることが考えられる。
【0029】
本発明の図示されない一実施例は、トロイド21の外面にエッジ又は環状の縁どりが配置されていることを企図し得る。このエッジは、プラズマの形成を容易ならしめ、それにより点火エネルギーを低減可能である一方で、点火時間を短縮することができる。
【0030】
本発明による高周波電極18は、電極器具16と一緒にレゼクトスコープ10へプラグ状に接続可能である。同様に、高周波電極18は電極器具16へプラグ状に接続可能であることも考えられる。これは保守及び清掃の目的に特に有利である。
【0031】
明確にしておきたい点は、高周波電極18の使用が泌尿器科での使用に限定されないことである。むしろ、この高周波電極18を整形外科又はそれ以外の外科的若しくは医学的用途のために使用できることも考えられる。
【符号の説明】
【0032】
10 レゼクトスコープ
11 トランスポータ
12 グリップユニット
13 シャフト
14 シャフト管
15 光学系
16 電極器具
17 接眼レンズ
18 高周波電極
19 導電体
20 導電体
21 トロイド
22 下部領域
23 上部領域
24 トロイド
25 トロイド
26 トロイド
27 トロイド
28 トロイド
29 支持アーム
30 支持アーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【外国語明細書】