特開 2022-149180 ペット用トイレの納まり構造と納まりユニット

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2022149180

(43)【公開日】2022-10-06

(54)【発明の名称】ペット用トイレの納まり構造と納まりユニット

(51)【国際特許分類】

   E04H 1/02 20060101AFI20220929BHJP

   A01K 1/01 20060101ALI20220929BHJP

【ＦＩ】

E04H1/02

A01K1/01 801H

A01K1/01 801D

【審査請求】未請求

【請求項の数】19

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2021051210

(22)【出願日】2021-03-25

(71)【出願人】

【識別番号】520106057

【氏名又は名称】中村 正人

(71)【出願人】

【識別番号】390037154

【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社

(71)【出願人】

【識別番号】596066530

【氏名又は名称】宇都宮工業株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100107766

【弁理士】

【氏名又は名称】伊東 忠重

(74)【代理人】

【識別番号】100070150

【弁理士】

【氏名又は名称】伊東 忠彦

(72)【発明者】

【氏名】中村 正人

(72)【発明者】

【氏名】町田 眞

(72)【発明者】

【氏名】土井 昌司

(72)【発明者】

【氏名】木村 孝文

【テーマコード（参考）】

2B101

2E025

【Ｆターム（参考）】

2B101AA20

2B101BB05

2B101CA10

2B101CC13

2B101GB08

2E025AA01

(57)【要約】

【課題】ペット用トイレのみのための占有面積の確保を不要にしながら、ペット用トイレとその周辺の清潔を維持することができる、ペット用トイレの納まり構造と納まりユニットを提供すること。
【解決手段】ペット用トイレ８０が収納されるペット用トイレの納まり構造１００であり、第一内部空間１０ａを備える上部体１０と、上部体１０の下方にあって第二内部空間２０ａを備える袖壁２０とを有し、第一内部空間１０ａもしくは第二内部空間２０ａには臭気捕捉体３５が収容され、少なくとも上部体１０と袖壁２０にて包囲された空間が、ペット用トイレ８０が載置される収納空間１２であり、第一内部空間１０ａもしくは第二内部空間２０ａと収納空間１２とが連通している。
【選択図】図２

【特許請求の範囲】

【請求項1】

ペット用トイレが収納されるペット用トイレの納まり構造であって、
第一内部空間を備える上部体と、該上部体の下方にあって第二内部空間を備える袖壁とを有し、
前記第一内部空間もしくは前記第二内部空間には、臭気捕捉体が収容されており、
少なくとも前記上部体と前記袖壁にて包囲された空間が、ペット用トイレが載置される収納空間であり、
前記第一内部空間もしくは前記第二内部空間と、前記収納空間とが連通していることを特徴とする、ペット用トイレの納まり構造。

【請求項2】

前記第一内部空間と前記第二内部空間が連通していることを特徴とする、請求項１に記載のペット用トイレの納まり構造。

【請求項3】

前記上部体の前記収納空間に臨む下面、もしくは前記袖壁の前記収納空間に臨む側壁には、前記ペット用トイレからの臭気を前記第一内部空間もしくは前記第二内部空間に取り込む開口が設けられていることを特徴とする、請求項１又は２に記載のペット用トイレの納まり構造。

【請求項4】

前記上部体のうち、前記袖壁が配設される側と反対側の側面には、該上部体の上方に立設する引き出し収納が設けられていることを特徴とする、請求項１乃至３のいずれか一項に記載のペット用トイレの納まり構造。

【請求項5】

前記上部体のうち、前記袖壁と反対側には脚があり、該上部体と該袖壁と該脚にて包囲された空間が前記収納空間となっていることを特徴とする、請求項１乃至４のいずれか一項に記載のペット用トイレの納まり構造。

【請求項6】

前記臭気捕捉体が、ファン、もしくは、ファン内蔵脱臭器、もしくは、脱臭器のいずれか一種であることを特徴とする、請求項１乃至５のいずれか一項に記載のペット用トイレの納まり構造。

【請求項7】

前記上部体は、洗面台、物置台、壁に設けられている凹部の天端面の下方に収容されている天井材、階段下空間の天端面の下方に収容されている天井材のいずれか一種であることを特徴とする、請求項１乃至６のいずれか一項に記載のペット用トイレの納まり構造。

【請求項8】

前記第一内部空間もしくは前記第二内部空間において、ペットの糞収納体の仮置きスペースがあることを特徴とする、請求項１乃至７のいずれか一項に記載のペット用トイレの納まり構造。

【請求項9】

前記収納空間に前記ペット用トイレが収納された状態において、該ペット用トイレの側方にペット用通路があることを特徴とする、請求項１乃至８のいずれか一項に記載のペット用トイレの納まり構造。

【請求項10】

前記上部体が前記洗面台である場合に、該洗面台がペット専用の洗面台であることを特徴とする、請求項７、請求項７に従属する請求項８又は９のいずれか一項に記載のペット用トイレの納まり構造。

【請求項11】

前記上部体が前記洗面台である場合に、該洗面台が、脱衣所にある洗面台、人間用トイレにある洗面台のいずれか一方であることを特徴とする、請求項７、請求項７に従属する請求項８又は９のいずれか一項に記載のペット用トイレの納まり構造。

【請求項12】

前記洗面台が狭幅の立壁を備え、
前記立壁に、ドライヤーハンガーが取り付け自在であることを特徴とする、請求項１０又は１１に記載のペット用トイレの納まり構造。

【請求項13】

前記上部体の下方において、前記袖壁の左右に二つの前記収納空間があり、それぞれの該収納空間に前記ペット用トイレが載置されるようになっていることを特徴とする、請求項１乃至１２のいずれか一項に記載のペット用トイレの納まり構造。

【請求項14】

前記上部体の下方において、前記収納空間を前記袖壁と仕切り壁が挟んでおり、
前記仕切り壁にペット用出入り開口があることを特徴とする、請求項１乃至１３のいずれか一項に記載のペット用トイレの納まり構造。

【請求項15】

前記袖壁及び前記仕切り壁に直交する前記収納空間の前面に、半透明の面材が取り付けられていることを特徴とする、請求項１４に記載のペット用トイレの納まり構造。

【請求項16】

前記収納空間には、前記ペット用トイレが搭載されるペット用トイレパンと洗浄装置が備えてあり、
前記ペット用トイレパンは排水口を有し、
前記ペット用トイレからペットの尿が前記ペット用トイレパンに流下し、前記洗浄装置により該尿を洗浄して前記排水口を介して排水することを特徴とする、請求項１乃至１５のいずれか一項に記載のペット用トイレの納まり構造。

【請求項17】

前記上部体の下面において、ペットが前記収納空間に入ったことを検知し、一定時間経過後にペットが該収納空間から出たことを検知する、人感センサが取り付けられており、
ペットが前記収納空間を出た時間から所定の遅延時間後に前記洗浄装置を作動させる制御装置を有することを特徴とする、請求項１６に記載のペット用トイレの納まり構造。

【請求項18】

前記制御装置は、前記洗浄装置を自動制御する自動制御機構と、前記洗浄装置を手動制御する手動制御機構とを有し、双方の機構が切換え自在であることを特徴とする、請求項１７に記載のペット用トイレの納まり構造。

【請求項19】

ペット用トイレが収納されるペット用トイレの納まりユニットであって、
第一内部空間を備える上部体と、該上部体の下方にあって第二内部空間を備える袖壁とを有し、
前記第一内部空間もしくは前記第二内部空間には、臭気捕捉体が収容されており、
少なくとも前記上部体の下面と前記袖壁にて包囲された空間が、ペット用トイレが載置される収納空間を形成し、
前記第一内部空間もしくは前記第二内部空間と、前記収納空間とが連通していることを特徴とする、ペット用トイレの納まりユニット。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、ペット用トイレの納まり構造と納まりユニットに関する。

【背景技術】

【0002】

従来、マンション等の集合住宅や戸建て住宅等の建物内において、猫に代表されるペット専用のトイレ（ペット用トイレ）を設ける場合には、玄関や廊下、居間、人間用トイレや脱衣所等のコーナー部にペット用トイレが設置されるのが一般的である。例えば、特許文献１には、人間用トイレ内のコーナー部を仕切板で仕切ることにより、ペット用トイレコーナーを形成し、ペット用トイレコーナーにペット用トイレを載置し、人間用トイレの入口の境界壁には、人間用トイレに出入りするドアとは別にペット用通路が設けられている、ペット用トイレ付き住宅が提案されている。

【0003】

ところで、上記するペット用トイレには、プラスチック製の容器に、所謂、猫砂と呼ばれる粒状体が収容されたものが一般的に用いられている。プラスチック製の容器は上面が開口しており、その内側に猫砂が収容される簀子が取り付けられている。そして、容器における簀子の下方には容器から取り外し自在なトレーが配設されており、トレーの内部には簀子を通過してきたペットの尿を吸収する尿吸収シートが敷設されている。飼い主は、猫砂上に残置されたペットの糞をスコップ等で取り除くとともに、尿吸収シートを定期的に取り換えることにより、ペット用トイレを清潔に保つようにしている。尚、猫砂も尿や糞で汚れるとともに、糞を取り除く際に猫砂の一部も回収されることから、清潔な猫砂が定期的に補充されている。

【0004】

上記するペット用トイレを清潔に保つことに関し、例えば特許文献２には、ペットがトイレを使用した後に換気装置を作動させて換気を行う、住宅内のペット用トイレ清浄装置が提案されている。具体的には、人間用のトイレの一部に壁とメンテナンス用のドアが設けられ、ペット用トイレコーナーが設けられている。ペット用トイレコーナーを形成する外壁には換気扇が取付けられており、赤外線センサと臭気検知器が取り付けられている。赤外線センサの機能により、ペットがペット用トイレ内に居る間は換気扇を作動させず、ペットがペット用トイレから出て一定時間が経過した際に、ペット用トイレコーナーに設けられている臭気検知器で臭気を検知して換気扇を作動させ、ペット用トイレコーナー内の臭気を自動的に換気するものである。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0005】

【特許文献1】特開２００２―３８７３２号公報

【特許文献2】特開２００３―２５９７５３号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0006】

特許文献２に記載のペット用トイレ清浄装置によれば、ペットの用便中に換気装置が作動してペットを驚かせることがなく、ペットの用便後の臭気を自動的に換気することができる。ところで、特許文献２には、上記するように、人間用のトイレの一部をペット用トイレコーナーとする第１実施例と、洗面所の洗面台の下方にペット用トイレコーナーを設ける第２実施例が記載されている。第１実施例のように、人間用のトイレの一部にペット用トイレのための占有面積を確保しようとすると、人間用トイレの占有面積を狭めることになる。一方、第２実施例では、換気扇の詳細な位置は不明であるものの、換気扇が外壁に設けられていることから、ペット用トイレから離れた遠い位置に換気扇が配設されていることが十分に想定され、換気扇を作動させても臭気が洗面所内に残る恐れがある。

【0007】

本発明は上記する課題に鑑みてなされたものであり、ペット用トイレのみのための占有面積の確保を不要にしながら、ペット用トイレとその周辺の清潔を維持することのできる、ペット用トイレの納まり構造を提供することを目的としている。

【課題を解決するための手段】

【0008】

前記目的を達成すべく、本発明によるペット用トイレの納まり構造の一態様は、
ペット用トイレが収納されるペット用トイレの納まり構造であって、
第一内部空間を備える上部体と、該上部体の下方にあって第二内部空間を備える袖壁とを有し、
前記第一内部空間もしくは前記第二内部空間には、臭気捕捉体が収容されており、
少なくとも前記上部体と前記袖壁にて包囲された空間が、ペット用トイレが載置される収納空間であり、
前記第一内部空間もしくは前記第二内部空間と、前記収納空間とが連通していることを特徴とする。

【0009】

本態様によれば、第一内部空間を備える上部体と、上部体の下方にあって第二内部空間を備える袖壁とを有し、第一内部空間もしくは第二内部空間に臭気捕捉体が収容され、上部体と袖壁にて包囲された収納空間にペット用トイレが載置され、第一内部空間もしくは第二内部空間と収納空間とが連通していることから、ペット用トイレに近い位置にある臭気捕捉体によりペット用トイレ等からの臭気を捕捉することができ、ペット用トイレとその周辺の清潔を維持することができる。また、ペット用トイレが載置される収納空間が、様々な部屋（洗面所やトイレ等）を構成する要素（洗面台や壁の凹部の天端面等）の下方に形成されることから、ペット用トイレと部屋の構成要素が平面的に重なっており、ペット用トイレのみのための占有面積の確保を不要にできる。

【0010】

また、「収納空間」が「少なくとも上部体と袖壁にて包囲された空間」とは、収納空間が、少なくとも袖壁と上部体の下面から形成され、その他、例えば、奥側の壁と、床と、袖壁と対向する側にある別途の壁（上部体を袖壁とともに支持する脚や、仕切り壁等）により形成される形態を一例として挙げることができる。そして、収納空間の前面には例えば広幅の開口があり、この開口を介して収納空間にペット用トイレを設置したり、ペット用トイレから糞を回収したり、猫砂等を取り換えることができる。ここで、袖壁は、例えばその前面に開き戸やスライドドアを有しており、上部体の前面には引き出し収納（キャビネット）が設けられていてもよく、これらの構成により、第一内部空間や第二内部空間に対する臭気捕捉体の設置や取り替え等がスムーズになる。

【0011】

また、「第一内部空間もしくは第二内部空間と、収納空間とが連通している」とは、上部体の下面にスリット等の開口が開設されていて、この開口を介して上部体の第一内部空間と下方の収納空間が連通している形態や、袖壁の側壁にスリット等の開口が開設されていて、この開口を介して袖壁の第二内部空間と側方の収納空間が連通している形態等を意味する。臭気捕捉体は、第一内部空間と第二内部空間のいずれか一方に収容されていてもよいし、双方に収容されていてもよい。

【0012】

また、本発明によるペット用トイレの納まり構造の他の態様は、
前記第一内部空間と前記第二内部空間が連通していることを特徴とする。

【0013】

本態様によれば、上部体の第一内部空間と袖壁の第二内部空間が連通していることにより、例えば、袖壁の第二内部空間に臭気捕捉体を収容しておき、上部体の第一内部空間に取り込まれた臭気を、第一内部空間に連通する第二内部空間にある臭気捕捉体にて補足することが可能になる。例えば上部体がシンクとシンクが載置される載置台等により構成される場合、載置台の内部（第一内部空間）にシンクが入り込むことにより、第一内部空間に臭気捕捉体を収容する十分なスペースがない場合もあり得る。このような場合に、第一内部空間と第二内部空間が連通していることにより、第一内部空間を介して第二内部空間に臭気を送り込み、第二内部空間にある臭気捕捉体にて臭気を補足することが可能になる。

【0014】

また、本発明によるペット用トイレの納まり構造の他の態様において、
前記上部体の前記収納空間に臨む下面、もしくは前記袖壁の前記収納空間に臨む側壁には、前記ペット用トイレからの臭気を前記第一内部空間もしくは前記第二内部空間に取り込む開口が設けられていることを特徴とする。

【0015】

本態様によれば、上部体の下面にある開口、もしくは、袖壁の側壁にある開口を介して、第一内部空間もしくは第二内部空間に臭気を効果的に取り込むことができるため、第一内部空間もしくは第二内部空間に収容されている臭気捕捉体にて、取り込まれた臭気を効果的に捕捉することが可能になる。

【0016】

また、本発明によるペット用トイレの納まり構造の他の態様は、
前記上部体のうち、前記袖壁が配設される側と反対側の側面には、該上部体の上方に立設する引き出し収納が設けられていることを特徴とする。

【0017】

本態様によれば、上部体のうち、袖壁が配設される側と反対側の側面において引き出し収納（キャビネット）が設けられていることにより、引き出し収納にペット用トイレの消耗品やペットのお手入れグッツ等を収納することができ、ペット用トイレの清掃や消耗品の取り替え等をスムーズに行うことが可能になる。また、例えば、洗面台等の上部体と、袖壁と、引き出し収納が一体となった製品とすることにより、建物内へのこれらの設置性が良好になる。

【0018】

また、本発明によるペット用トイレの納まり構造の他の態様において、
前記上部体のうち、前記袖壁と反対側には脚があり、該上部体と該袖壁と該脚にて包囲された空間が前記収納空間となっていることを特徴とする。

【0019】

本態様によれば、上部体を袖壁と脚が支持することにより、上部体が安定的に支持され、例えば地震や台風等により建物が振動した際に、上部体が大きく振動し、その下で用便をするペットが不安感を抱くことを抑制できる。ここで、脚は、板材や、棒材、別途の袖壁等、様々な形態がある。また、脚の側方に間仕切り壁があり、ペットがペット用トイレにアクセスするためのペット用出入り開口が間仕切り壁に設けられている場合は、脚にもペット用出入り開口が設けられ、間仕切り壁と脚の双方のペット用出入り開口を介して、ペットがペット用トイレにアクセスできるようにするのがよい。

【0020】

また、本発明によるペット用トイレの納まり構造の他の態様において、
前記臭気捕捉体が、ファン、もしくは、ファン内蔵脱臭器、もしくは、脱臭器のいずれか一種であることを特徴とする。

【0021】

本態様によれば、様々な形態の臭気捕捉体が適用されることにより、ペット用トイレからの臭気を効果的に捕捉することが可能になる。

【0022】

臭気捕捉体がファンの場合は、例えば、袖壁の第二内部空間にファンが搭載され、ファンにより補足した臭気が排気ダクトを介して屋外へ排気される形態が挙げられる。

【0023】

また、ファン内蔵脱臭器の場合は、第一内部空間や第二内部空間にコンセントを設置しておき、コンセントにファン内蔵脱臭器の備える電源プラグを差し込むことで、コンパクトな機器にて効果的な臭気の脱臭を行うことができる。ファン内蔵脱臭器では、内蔵ファンにて脱臭器内に取り込まれた臭気を、脱臭器内にある各種触媒（光触媒等）にて無臭化することが可能になる。

【0024】

また、脱臭器（ファンを備えていない脱臭器）としては、オゾン発生脱臭器等を挙げることができる。ファンを備えていないことから、より一層コンパクトな機器にて脱臭を行うことが可能になる。

【0025】

また、本発明によるペット用トイレの納まり構造の他の態様において、
前記上部体は、洗面台、物置台、壁に設けられている凹部の天端面の下方に収容されている天井材、階段下空間の天端面の下方に収容されている天井材のいずれか一種であることを特徴とする。

【0026】

本態様によれば、上部体が、洗面台、物置台、壁に設けられている凹部の天端面の下方に収容されている天井材、階段下空間の天端面の下方に収容されている天井材のいずれか一種であることにより、建物の様々な場所における空きスペースを利用して、ペット用トイレの納まり構造を形成することができる。すなわち、ペット用トイレのための専用のスペースを設ける必要がなく、ペット用トイレが居住者の歩行の妨げになることもない。

【0027】

ここで、洗面台には、シンクを上方に備えている形態、シンクを上方に備え、かつ前面に引き出し収納を備えている形態等がある。また、物置台とは、例えば引き出し収納を備えて天端が平坦な箱体等であり、この物置台の上には、ペットのお手入れグッツを置いたり、ペットがその上で寛いだり、人間がその上に腰を下ろしたりといった具合に、様々な利用方法がある。洗面台と異なり、物置台を袖壁が支持するだけのシンプルな構成であることから、建物の様々な空きスペースに簡単に設置することができる。

【0028】

また、本発明によるペット用トイレの納まり構造の他の態様において、
前記第一内部空間もしくは前記第二内部空間において、ペットの糞収納体の仮置きスペースがあることを特徴とする。

【0029】

本態様によれば、第一内部空間もしくは第二内部空間にペットの糞収納体の仮置きスペースがあることにより、糞収納体を仮置きスペースに所定期間残置する場合であっても、第一内部空間もしくは第二内部空間内にある臭気捕捉体にて糞収納体から発生し得る臭気を捕捉することができる。すなわち、本態様においては、収納空間にあるペット用トイレから発生する臭気と糞収納体から発生する臭気の双方を臭気捕捉体にて捕捉することが可能になる。ここで、糞収納体とは、飼い主により回収された糞が収納されている、収納袋や収納ボックス等である。

【0030】

また、本発明によるペット用トイレの納まり構造の他の態様において、
前記収納空間に前記ペット用トイレが収納された状態において、該ペット用トイレの側方にペット用通路があることを特徴とする。

【0031】

本態様によれば、収納空間に例えば市販のペット用トイレが載置される場合であっても、ペット用トイレと収納空間を形成する壁の間にペット用通路があることにより、猫等のペットがペット用通路を介してペット用トイレにスムーズにアクセスすることができる。

【0032】

また、本発明によるペット用トイレの納まり構造の他の態様において、
前記上部体が前記洗面台である場合に、該洗面台がペット専用の洗面台であることを特徴とする。

【0033】

本態様によれば、上部体である洗面台がペット専用の洗面台であることにより、他の居住者による洗面台の使用のタイミングを見計らうことなく、ペットのグルーミングやトリミングをいつでも自由に行うことができる。また、飼い主は、移動することなく、ペット専用の洗面台の下方の収納空間にあるペット用トイレや、ペット用トイレ等を清掃した清掃用品を、収納空間の上方にあるペット専用の洗面台にて洗浄することができる。本態様では、例えば、ペット専用の洗面台の側方に、人間専用の洗面台が併設されていてもよい。

【0034】

ここで、洗面台のシンクの上方もしくは側方の壁面には、様々なグルーミング用品等を収納する収納ボックスもしくは収納棚が設けられているのが好ましい。また、シンクのボウルの上に載置されるペット載せ台を洗面台の側方に備え、ボウルの上にペット載せ台を載置し、ペット載せ台の上にペットを載せて、ペットのグルーミング等を行うようにしてもよい。また、このペット載せ台は、スペースを取らないように折り畳み形式のペット載せ台であってもよい。尚、洗面台の側方に上記する引き出し収納が立設している場合は、この引き出し収納も加えて、洗面台の周囲に様々なお手入れグッツ等を収納することが可能になる。

【0035】

また、本発明によるペット用トイレの納まり構造の他の態様において、
前記上部体が前記洗面台である場合に、該洗面台が、脱衣所にある洗面台、人間用トイレにある洗面台のいずれか一方であることを特徴とする。

【0036】

本態様によれば、上部体である洗面台が、脱衣所にある洗面台もしくは人間用トイレにある洗面台のいずれか一方であることにより、ペット用トイレを収納するための上部体を増設することなく、脱衣所にある洗面台等の下部空間を有効利用してペット用トイレの収納空間として、納まり構造を形成することができる。

【0037】

また、本発明によるペット用トイレの納まり構造の他の態様において、
前記洗面台が狭幅の立壁を備え、
前記立壁に、ドライヤーハンガーが取り付け自在であることを特徴とする。

【0038】

本態様によれば、洗面台が狭幅の立壁を備え、立壁にドライヤーハンガーが取り付け自在であることにより、専用ドライヤーを所望の方向に設置しながら、ハンズフリーでのドライヤーにより、ペットに優しいグルーミングを実現できる。

【0039】

また、本発明によるペット用トイレの納まり構造の他の態様は、
前記上部体の下方において、前記袖壁の左右に二つの前記収納空間があり、それぞれの該収納空間に前記ペット用トイレが載置されるようになっていることを特徴とする。

【0040】

本態様によれば、袖壁の左右に二つの収納空間があり、それぞれの収納空間にペット用トイレが載置されるようになっていることにより、二匹のペットが同じタイミングで用便をすることが可能になる。そして、二つの収納空間の間に例えば臭気捕捉体が収容された袖壁があることにより、双方の収納空間に収納されているペット用トイレにて発生する双方の臭気を、共通の臭気捕捉体により捕捉することができる。

【0041】

また、本発明によるペット用トイレの納まり構造の他の態様において、
前記上部体の下方において、前記収納空間を前記袖壁と仕切り壁が挟んでおり、
前記仕切り壁にペット用出入り開口があることを特徴とする。

【0042】

本態様によれば、例えば脱衣所や人間用トイレ等にペット用トイレが収納された収納空間があり、脱衣所や人間用トイレ等と建物の廊下とを隔てる仕切り壁にペット用出入り開口があることにより、脱衣所等のドアが閉まっている場合であってもペットがペット用トイレに自由にアクセスすることができる。ここで、ペット用出入り開口は、常時開放された開口であってもよいし、開口を開閉するスライド扉等とペットが開口前にアクセスしたことを検知する人感センサ等を備え、人感センサがペットを検知した際にスライド扉がスライドして開口を開放する形態であってもよい。

【0043】

また、本発明によるペット用トイレの納まり構造の他の態様において、
前記袖壁及び前記仕切り壁に直交する前記収納空間の前面に、半透明の面材が取り付けられていることを特徴とする。

【0044】

本態様によれば、収納空間の前面に半透明の面材が取り付けられていることにより、ペット用トイレが収納されている収納空間を目隠ししながら、飼い主は半透明の面材を介して用便中のペットの気配を感じることができる。ここで、「半透明の面材」には、樹脂製の面材やガラス製の面材等が含まれる。

【0045】

また、本発明によるペット用トイレの納まり構造の他の態様において、
前記収納空間には、前記ペット用トイレが搭載されるペット用トイレパンと洗浄装置が備えてあり、
前記ペット用トイレパンは排水口を有し、
前記ペット用トイレからペットの尿が前記ペット用トイレパンに流下し、前記洗浄装置により該尿を洗浄して前記排水口を介して排水することを特徴とする。

【0046】

本態様によれば、ペット用トイレからペットの尿をペット用トイレパンに流下させ、洗浄装置により尿を洗浄することにより、第一内部空間もしくは第二内部空間にある臭気捕捉体による臭気の捕捉と相俟って、より一層高い脱臭効果を期待することができる。また、従来のペット用トイレのように、尿吸収シートを定期的に取り換える必要がないことから、尿吸収シートに要する費用（ランニングコスト）を削減でき、尿吸収シートの取り換え手間を解消することができる。

【0047】

また、本発明によるペット用トイレの納まり構造の他の態様において、
前記上部体の下面において、ペットが前記収納空間に入ったことを検知し、一定時間経過後にペットが該収納空間から出たことを検知する、人感センサが取り付けられており、
ペットが前記収納空間を出た時間から所定の遅延時間後に前記洗浄装置を作動させる制御装置を有することを特徴とする。

【0048】

本態様によれば、ペットが収納空間に入り、一定時間経過後に収納空間から出たことを人感センサにて検知し、ペットが収納空間を出た時間から所定の遅延時間後に制御装置が洗浄装置を作動させることにより、ペットが用便中に洗浄装置が作動してペットを驚かせることを防止しながら、収納空間内に臭気が蔓延する前に速やかに尿の洗浄を行うことができる。

【0049】

また、本発明によるペット用トイレの納まり構造の他の態様において、
前記制御装置は、前記洗浄装置を自動制御する自動制御機構と、前記洗浄装置を手動制御する手動制御機構とを有し、双方の機構が切換え自在であることを特徴とする。

【0050】

本態様によれば、制御装置が、洗浄装置を自動制御する自動制御機構と、洗浄装置を手動制御する手動制御機構とを有していて、双方の機構が切換え自在であることにより、双方の機構のメリットを都度享受することが可能になる。例えば、自動制御機構を適用することにより、ペットの用便後の自動洗浄の他、定期的な自動洗浄を行うことが可能になる。一方、手動制御機構を適用することにより、ペットの用便後も尿をペット用トイレパン上に残置しておくことができ、尿の状態を把握してペットの健康管理を行うことができる。尚、ファン等の臭気捕捉体は、制御装置の自動制御機構と手動制御機構に関わらず、例えば常時稼働させておくのが好ましいが、臭気捕捉体の稼働も自動と手動の双方の制御機構により制御されてもよい。

【0051】

また、本発明によるペット用トイレの納まりユニットの一態様は、
ペット用トイレが収納されるペット用トイレの納まりユニットであって、
第一内部空間を備える上部体と、該上部体の下方にあって第二内部空間を備える袖壁とを有し、
前記第一内部空間もしくは前記第二内部空間には、臭気捕捉体が収容されており、
少なくとも前記上部体の下面と前記袖壁にて包囲された空間が、ペット用トイレが載置される収納空間を形成し、
前記第一内部空間もしくは前記第二内部空間と、前記収納空間とが連通していることを特徴とする。

【0052】

本態様によれば、第一内部空間を備える上部体と、上部体の下方にあって第二内部空間を備える袖壁とを有し、第一内部空間もしくは第二内部空間に臭気捕捉体が収容され、上部体と袖壁にて包囲された収納空間にペット用トイレが載置されるようになっていることにより、建物の空きスペースにスムーズに設置されながら、その内部にペット用トイレを納めることができる。ここで、建物への取り付け性の観点から、上部体と袖壁が一体となっている納まりユニットであるのが好ましい。また、上記するように、上部体のうち、袖壁が配設される側と反対側の側面において引き出し収納が設けられていてもよく、この形態においても、上部体と袖壁と引き出し収納が一体となった納まりユニットであるのが好ましい。

【発明の効果】

【0053】

以上の説明から理解できるように、本発明のペット用トイレの納まり構造と納まりユニットによれば、ペット用トイレのみのための占有面積の確保を不要にしながら、ペット用トイレとその周辺の清潔を維持することができる。

【図面の簡単な説明】

【0054】

【図1】第１実施形態に係るペット用トイレの納まり構造と納まりユニットの一例を示す斜視図である。

【図2】第１実施形態に係るペット用トイレの納まり構造と納まりユニットの一例を示す正面図であって、ペット用トイレパンにペット用トイレが設置されている状態を示す図である。

【図3】袖壁の内部構成の一例を示す斜視図である。

【図4】第２実施形態に係るペット用トイレの納まり構造と納まりユニットの一例を示す斜視図である。

【図5】図４のV方向矢視図である。

【図6】第二内部空間にあるコンセントにファン内蔵脱臭器を取り付ける状況を説明する図であって、袖壁の側面を破断して内部を視認可能にした図である。

【図7】第３実施形態に係るペット用トイレの納まり構造と納まりユニットの一例を示す斜視図である。

【図8】第４実施形態に係るペット用トイレの納まり構造と納まりユニットの一例を示す正面図である。

【図9】第５実施形態に係るペット用トイレの納まり構造と納まりユニットの一例を示す正面図である。

【図10】第６実施形態に係るペット用トイレの納まり構造と納まりユニットの一例を示す正面図である。

【図11】ペット用トイレパンの一例を示す斜視図である。

【図12】ペット用トイレパンにペット用トイレが設置されている状態を示す斜視図である。

【図13】制御装置の操作パネルの一例を示す正面図である。

【図14】制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。

【図15】制御装置の機能構成の一例を示す図である。

【図16】制御装置による洗浄制御フローの一例を示す図である。

【発明を実施するための形態】

【0055】

以下、各実施形態に係るペット用トイレの納まり構造と納まりユニットについて、添付の図面を参照しながら説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合がある。

【0056】

［第１実施形態に係るペット用トイレの納まり構造と納まりユニット］
図１乃至図３を参照して、第１実施形態に係るペット用トイレの納まり構造と納まりユニットの一例について説明する。ここで、図１は、第１実施形態に係るペット用トイレの納まり構造と納まりユニットの一例を示す斜視図であり、図２は、第１実施形態に係るペット用トイレの納まり構造と納まりユニットの一例を示す正面図であって、ペット用トイレパンにペット用トイレが設置されている状態を示す図である。また、図３は、袖壁の内部構成の一例を示す斜視図である。

【0057】

図示するペット用トイレの納まり構造１００は、脱衣所Ｄの洗面台１０の周辺にて形成される構造であり、ペット用トイレを使用する対象のペットとしては、猫や室内犬等が挙げられる。ペット用トイレの納まり構造１００は、洗面台１０（上部体の一例）と、洗面台１０の右側下方にある袖壁２０と、脱衣所Ｄと廊下Ｐを仕切る仕切り壁７０と、洗面台１０の下面と袖壁２０と仕切り壁７０により形成される収納空間１２とを有する。

【0058】

また、図示するペット用トイレの納まりユニット２００は、洗面台１０と袖壁２０を有し、これらの構成要素が一体として製品化された一体製品である。納まりユニット２００が納まり構造１００を構成する一体製品であることにより、建物への納まりユニット２００の取り付け性が良好になる。尚、ペット用トイレの納まり構造１００は、図示例の脱衣所Ｄの他、人間用トイレに設けられてもよく、例えば、人間用トイレにある洗面台（手洗いシンク）の下方に収納空間が形成されてもよい。

【0059】

洗面台１０は第一内部空間１０ａを備え、袖壁２０は第二内部空間２０ａを備えている。第一内部空間１０ａと第二内部空間２０ａのいずれか一方もしくは双方には、ペット用トイレからの臭気を捕捉する臭気捕捉体が収容されるようになっている。図示例の納まり構造１００と納まりユニット２００では、図３に示すように、臭気捕捉体の一例としてファン３５が第二内部空間２０ａに収容される。

【0060】

また、図２に示すように、第一内部空間１０ａと第二内部空間２０ａが連通している。洗面台１０の下面に第一内部空間１０ａに通じる不図示のスリット（開口）を設け、図３に示すように袖壁２０の側壁２２にも開口２２ａが設けられており、従って、双方の開口が収納空間１２に連通し、双方の開口を介して第一内部空間１０ａと第二内部空間２０ａに臭気が効果的に捕捉され、相互に連通する第一内部空間１０ａ及び第二内部空間２０ａを介して、捕捉された臭気をファン３５にて効率的に排気することが可能になる。

【0061】

洗面台１０の下方にある収納空間１２には、ペット用トイレ８０が載置されるペット用トイレパン５０が収納されている。

【0062】

洗面台１０の背面壁Ｄ１には、棒状のラック１５が取り付けられており、ラック１５には、ペットのグルーミング用品等を収納する複数（図示例は二つ）の収納ボックス１７が取り付けられている。

【0063】

洗面台１０は、シンク１１と、リフトアップシャワー１３とを有する。また、図示を省略するが、シンク１１の中央には、深さのある排水籠が設けられているのが好ましく、シンク１１にてペットをトリミングした際に発生するペットの毛やゴミを捕捉することができる。

【0064】

洗面台１０の仕切り壁７０と反対側の側方には、洗濯機用パンＴの上に載置された洗濯機Ｍがある。また、背面壁Ｄ１のうち、洗濯機Ｍの上方には、二本で一組の棒状のラック１６が取り付けられており、双方のラック１６を上下する棚受け１６ａに、ペット載せ台１８が載置されている。ペット載せ台１８は、二枚の面材１８ａと、双方の端部に設けられている蝶番１８ｂとにより形成され、蝶番１８ｂを介して折り畳み自在となっている。例えば、シンク１１にてペットをシャンプーした後、シンク１１の天板にペット載せ台１８を載置し、ペット載せ台１８にペットを載せてドライヤー乾燥することができる。

【0065】

納まり構造１００と納まりユニット２００を形成する各要素の寸法に関し、洗面台１０の奥行きｔ１を６００ｍｍ程度、洗面台１０の横幅ｔ２を９８０ｍｍ程度、洗面台１０の高さｔ３を９５０ｍｍ程度、シンク１１の横幅ｔ４を６６０ｍｍ程度、シンク１１の最大深さｔ５を２６０ｍｍ程度、洗面台１０の下方の収納空間１２の高さｔ６を５００ｍｍ程度、袖壁２０の横幅ｔ７を２３０ｍｍ程度に設定することができる。

【0066】

シンク１１の横幅ｔ４が６６０ｍｍ程度に設定され、シンク１１の最大深さｔ５が２６０ｍｍ程度に設定される場合には、猫が好む横からのシャワーが可能になり、ペット用品の手入れ等、多目的に利用することが可能になる。また、洗面台１０の高さｔ３が９５０ｍｍ程度に設定される場合には、シンク１１を利用してペットをシャンプー等する飼い主にとって良好な作業性が享受できる。

【0067】

尚、洗面台１０がその前面でシンク１１の下方に引き出し収納（キャビネット）を備え、キャビネットの下方に収納空間１２が設けられている形態であってもよい。この形態では、キャビネットの正面には脱着式の正面パネルが取り付けられ、キャビネットの内部に、以下で詳説する制御装置が収納されてもよいし、ペット用トイレの消耗品やペットのお手入れグッツ等が収納されてもよい。

【0068】

また、クッションマット（もしくはゴムマット）が用意されていて、シンク１１の底に載置されたクッションマットの上にペットを置いてシャンプーやトリミングを行ってもよい。

【0069】

さらに、袖壁２０及び仕切り壁７０に直交する収納空間１２の前面に、半透明の面材が取り付けられていてもよい。半透明の面材により、ペット用トイレ８０が収納されている収納空間１２を目隠ししながら、飼い主は半透明の面材を介して用便中のペットの気配を感じることができる。

【0070】

ここで、「半透明の面材」には、樹脂製の面材やガラス製の面材が含まれ、樹脂製の面材は、スチレン系樹脂やアクリル系樹脂、ＰＥＴ（Polyethylene terephthalate）樹脂等から形成でき、ガラス製の面材は、すりガラスやフロストガラス等から形成できる。また、収納空間の前面において、半透明の面材は、固定されている形態、片引き戸の形態、引違い戸の形態、戸袋引き込み形態など、様々な形態で取り付けられ得る。

【0071】

仕切り壁７０の下方位置には、廊下Ｐと、洗面台１０の下方の収納空間１２とをペットがＸ１方向に出入り自在なペット用出入り開口７１が設けられている。図示例のペット用出入り開口７１は、常時開放されている開口であり、脱衣所Ｄのドア（図示せず）が閉まっている場合でも、ペットがペット用出入り開口７１を介してペット用トイレ８０に自由にアクセスすることができる。

【0072】

ここで、ペット用出入り開口７１の上方に人感センサがあり、ペット用出入り開口７１を開閉するスライド扉が設けられていて、ペットがペット用出入り開口７１の前面にいることを人感センサが検知し、スライド扉がスライドすることにより、ペット用出入り開口７１が開放される形態であってもよい。

【0073】

袖壁２０のうち、収納空間１２に面する側壁２２には、人感センサ４０が取り付けられており、人感センサ４０の下方には洗浄装置４５が設けられている。洗浄装置４５は一つの水栓４６を備え、かつ、水栓４６に給水する給水ダクト４７を備えている。尚、洗浄装置が二つの水栓を備えていてもよい。図示例の人感センサ４０と洗浄装置４５は一体に構成されており、従って、センサ付きの自動マイクロバブル水栓を形成している。尚、センサ付きの自動フラッシュバルブ水栓等が適用されてもよい。ここで、人感センサと洗浄装置は、別体に構成されていてもよい。人感センサ４０は例えば赤外線センサにより形成されるが、ＣＣＤカメラ等の撮像センサであってもよい。

【0074】

図１に示すように、収納空間１２に収納されているペット用トイレパン５０は、本体５１と、本体５１の天端面５３から下方に窪んだ排水溝５５とを有し、排水溝５５の底面５５ａに排水口５６が設けられている。この排水口５６は、脱衣所Ｄの床に施工されている排水ダクトに連通している。一本の水栓４６の先端は、排水溝５５の底面５５ａ上に載置されている。

【0075】

排水溝５５の底面５５ａ上に水栓４６の先端が載置された状態で、排水溝５５の一部にペット用トイレ８０の一部（例えば下方部分）が係止されることにより、ペット用トイレパン５０の上にペット用トイレ８０が設置される。尚、ペット用トイレパン５０のより具体的な構成については、以下で詳説する。

【0076】

図３に示すように、袖壁２０は、対応する一対の側壁２２，２３と、側壁２２，２３を繋ぐ底板２４と、一方の側壁２３に蝶番２１ａを介してＸ２方向に開閉自在に取り付けられている開閉扉２１とを有し、第二内部空間２０ａを備えている。

【0077】

収納空間１２側にある側壁２２には、収納空間１２と袖壁２０の内部の第二内部空間２０ａを連通させる複数の開口２２ａが開設されている。ここで、開口２２ａは一つであってもよい。また、図示例の開口２２ａの正面視形状は円形であるが、菱形や正方形、細長のスリット等、様々な正面視形状の開口が設けられてもよく、複数種の正面視形状の開口が設けられてもよい。底板２４の上には仕切り板２５が立設して第二内部空間２０ａを左右に区画し、仕切り板２５の一方側（図３の左側）には、ペットの糞が収納された糞収納体Ｓを仮置きする、仮置きスペース２６が設けられている。

【0078】

一方、仕切り板２５の他方側（図３の右側）には、人感センサ４０によるペットの検知情報に基づいて洗浄装置４５の作動を制御する、制御装置６０が載置されている。尚、上記するように、洗面台がキャビネットを有する場合は、キャビネットに制御装置６０が収容されてもよい。

【0079】

また、袖壁２０の内部には、ファン３５（臭気捕捉体の一例）が収容されており、ファン３５に連通する排気ダクト３６が、建物の壁内を通って屋外に通じている。図示例のファン３５は、その吸引面が下方に対向しており、下方にある糞収納体Ｓから発生し得る臭気をＸ３方向に吸引し、また、ペット用トイレ８０にて発生し得る臭気を、開口２２ａを介してＸ４方向に吸引するようになっている。また、上記するように、洗面台１０の下面に不図示の開口が設けられていることにより、洗面台１０の下面の開口にて捕捉した臭気も第一内部空間１０ａから第二内部空間２０ａに送ることにより、ファン３５による効果的な臭気の排気が実現される。

【0080】

このように、ペット用トイレ８０の近傍にある袖壁２０が複数の開口２２ａを備えた側壁２２を有していることにより、ペット用トイレ８０にて発生し得る臭気を袖壁２０の第二内部空間２０ａにあるファン３５にて吸引することができる。また、袖壁２０内に設けられている仮置きスペース２６に仮置きされた糞収納体Ｓから発生し得る臭気も、ファン３５にて吸引することができる。そのため、ペット用トイレ８０やその周辺におけるペットの糞や尿からの臭気を効果的に捕捉（脱臭）することが可能になる。

【0081】

そして、上記作用に加えて、袖壁２０の内部を側壁２２にて視認できないようにすることにより、袖壁２０の外観意匠性を高めることができる。尚、外観意匠性を期待しない場合には、袖壁が側壁２２を備えず、袖壁の内部が見える形態であってもよい。

【0082】

また、建物の内部において容易に取り付けることのできる袖壁２０の第二内部空間２０ａに、ペット用トイレ８０等から発生する臭気を吸引するファン３５が収容されることにより、新規建物は勿論のこと、中古建物においても、ペット用トイレの納まり構造１００を施工することができる。この際、洗面台１０と袖壁２０が一体とされた納まりユニット２００が適用されることにより、建物への納まりユニット２００の取り付け性が良好になる。さらに、洗面台１０の下方にある収納空間１２にペット用トイレ８０が載置されることから、洗面台１０とペット用トイレ８０は平面的に重なっており、従ってペット用トイレのみのための占有面積の確保を不要にできる。

【0083】

［第２実施形態に係るペット用トイレの納まり構造と納まりユニット］
次に、図４乃至図６を参照して、第２実施形態に係るペット用トイレの納まり構造と納まりユニットの一例について説明する。ここで、図４は、第２実施形態に係るペット用トイレの納まり構造と納まりユニットの一例を示す斜視図であり、図５は、図４のV方向矢視図である。また、図６は、第二内部空間にあるコンセントにファン内蔵脱臭器を取り付ける状況を説明する図であって、袖壁の側面を破断して内部を視認可能にした図である。

【0084】

ペット用トイレの納まり構造１００Ａは、洗面台１０Ａ（上部体の一例）と、洗面台１０Ａの右側下方にある袖壁２０と、洗面台１０Ａの左側側方にあって上方に立設する引き出し収納３０（キャビネット）と、脚３１と、これらにより形成される収納空間１２とを有する。

【0085】

また、図示するペット用トイレの納まりユニット２００Ａは、洗面台１０Ａと袖壁２０と引き出し収納３０と脚３１とを有し、これらの構成要素が一体として製品化された一体製品である。ここで、引き出し収納３０の外板が下方まで延設することにより、引き出し収納３０よりも下方にある外板が脚３１を形成している。そして、図４に示す例において、納まりユニット２００Ａの引き出し収納３０と脚３１は仕切り壁７０に当接しており、従って、脚３１には、仕切り壁７０のペット用出入り開口７１に対応する位置に、ペット用出入り開口３１ａが開設されている。

【0086】

洗面台１０Ａは、シンク１１の周囲に狭幅で平面視コの字状の立壁１０ｂを備え、シンク１１の奥側のリフトアップシャワー１３の側方には、フラットなドライエリア１４を備えている。

【0087】

洗面台１０Ａは、例えばシンク１１と立壁１０ｂの間の継ぎ目が無い一体成形品である。洗面台１０Ａが平面視コの字状の立壁１０ｂを備えていることにより、シンク１１を利用してペットをシャンプーする際に、シャンプー時の水跳ねを立壁１０ｂにてカバーすることができる。

【0088】

また、狭幅で平面視コの字状の立壁１０ｂには、図５に示すように、ドライヤーＤＲを保持するドライヤーハンガー３２を立壁１０ｂの所望部位に取り付けることが可能になり、ハンズフリーでのドライヤーによって、ペットに優しいグルーミングを実現できる。

【0089】

さらに、フラットなドライエリア１４を備えることにより、シャンプーボトル等の仮置きを行うことができ、良好なグルーミング等を実現できる。

【0090】

また、シンク１１の寸法は、猫等のペットにとって安心な深広寸法が好ましく、例えば、深さを２００ｍｍ乃至２５０ｍｍ程度、横幅を６００ｍｍ乃至６５０ｍｍ程度、奥行きを３５０ｍｍ乃至４００ｍｍ程度に設定できる。

【0091】

洗面台１０Ａの側方にある引き出し収納３０には、ペット用トイレの消耗品やペットのお手入れグッツ等を収納することができ、ペット用トイレの清掃や消耗品の取り替え等をスムーズに行うことが可能になる。

【0092】

また、洗面台１０Ａは前面引き出し収納１０ｃを備えており、この前面引き出し収納１０ｃにも、ペット用トイレの消耗品やペットのお手入れグッツ等を収納することができる。背面壁Ｄ１には、ハンガー用壁掛けフック１９が設けられており、ペットのお手入れグッツ等を引っ掛けておき、速やかにお手入れグッツ等を取り外して使用することができる。

【0093】

図示例の納まりユニット２００Ａは、全体の奥行きｔ１を６００ｍｍ程度、全体の幅ｔ８を１０００ｍｍ程度、シンク１１の天端までの高さｔ３を９００ｍｍ程度、立壁１０ｂや引き出し収納３０までの高さｔ９を１１００ｍｍ程度に設定できる。

【0094】

また、図１等に示す納まりユニット２００と同様に、図４及び図５に示す納まりユニット２００Ａにおいても、洗面台１０Ａがシンク１１の下方に第一内部空間１０ａを備え、袖壁２０が第二内部空間２０ａを備えており、双方の内部空間が相互に連通している。

【0095】

また、図５に示すように、洗面台１０Ａの下面には複数（図示例は二つ）のスリット１０ｄが設けられており、袖壁２０の側壁２２には複数（図示例は六つ）の開口２２ａが設けられている。

【0096】

納まりユニット２００Ａでは、図６に示すように、袖壁２０の第二内部空間２０ａにコンセント２７があり、ファン内蔵脱臭器３５Ａ（臭気捕捉体の一例）の備える電源プラグ３５ａをコンセント２７に差し込むことで、図３に示すファン３５と比較してコンパクトな脱臭機器を第二内部空間２０ａに収容して効果的な臭気の脱臭を行うことができる。すなわち、図３に示すような排気ダクト３６の設置工事が不要になる。

【0097】

尚、洗面台１０Ａの第一内部空間１０ａに十分なスペースがある場合は、第一内部空間１０ａにある不図示のコンセントにファン内蔵脱臭器３５Ａを設置してもよいし、第一内部空間１０ａと第二内部空間２０ａの双方にあるコンセントに対して、それぞれファン内蔵脱臭器３５Ａを設置してもよい。

【0098】

ファン内蔵脱臭器３５Ａでは、不図示の内蔵ファンにて脱臭器内に取り込まれた臭気を、脱臭器内にある不図示の各種触媒（光触媒等）にて無臭化することが可能になる。

【0099】

ここで、適用される臭気捕捉体としては、ファン内蔵脱臭器３５Ａに代わり、ファンを備えていない脱臭器（図示せず）が適用されてもよい。この脱臭器としては、オゾン発生脱臭器等を挙げることができる。ファンを備えていないことから、より一層コンパクトな機器にて脱臭を行うことが可能になる。

【0100】

図５に戻り、納まりユニット２００Ａにおいても、第一内部空間１０ａと第二内部空間２０ａが連通していることにより、洗面台１０Ａの下面にあるスリット１０ｄと袖壁２０の側壁２２の開口２２ａを介して、ペット用トイレからの臭気が第一内部空間１０ａと第二内部空間２０ａに取り込まれ、第一内部空間１０ａに取り込まれた臭気は第二内部空間２０ａに送られてファン内蔵脱臭器３５Ａにて捕捉される。

【0101】

［第３実施形態に係るペット用トイレの納まり構造と納まりユニット］
次に、図７を参照して、第３実施形態に係るペット用トイレの納まり構造と納まりユニットの一例について説明する。ここで、図７は、第３実施形態に係るペット用トイレの納まり構造と納まりユニットの一例を示す斜視図である。

【0102】

ペット用トイレの納まり構造１００Ｂは、物置台１０Ｂ（上部体の一例）と、物置台１０Ｂの右側下方にある袖壁２０と、物置台１０Ｂの左側下方にある側方にある脚３１Ａと、これらにより形成される収納空間１２とを有し、収納空間１２にペット用トイレパン５０が収容されるようになっている。

【0103】

また、図示するペット用トイレの納まりユニット２００Ｂは、物置台１０Ｂと袖壁２０と脚３１Ａとを有し、これらの構成要素が一体として製品化された一体製品である。そして、図７に示す例において、納まりユニット２００Ｂの脚３１Ａは仕切り壁７０に当接しており、従って、脚３１Ａには、仕切り壁７０のペット用出入り開口７１に対応する位置に、ペット用出入り開口３１ａが開設されている。

【0104】

物置台１０Ｂは、前面引き出し収納１０ｃを備えて天端が平坦な箱体であり、この物置台１０Ｂの上には、ペットのお手入れグッツを置いたり、ペットがその上で寛いだり、人間がその上に腰を下ろしたりと、様々な利用方法がある。また、洗面台１０，１０Ａと異なり、物置台１０Ｂを袖壁２０と脚３１Ａが支持するだけのシンプルな構成であることから、建物の様々な空きスペースに簡単に設置することができる。

【0105】

納まりユニット２００Ａと同様に、納まりユニット２００Ｂにおいても、例えば袖壁２０の第二内部空間２０ａにコンセント２７があり、ファン内蔵脱臭器３５Ａの備える電源プラグ３５ａがコンセント２７に差し込まれるようになっている。

【0106】

［第４実施形態に係るペット用トイレの納まり構造と納まりユニット］
次に、図８を参照して、第４実施形態に係るペット用トイレの納まり構造と納まりユニットの一例について説明する。ここで、図８は、第４実施形態に係るペット用トイレの納まり構造と納まりユニットの一例を示す正面図である。

【0107】

ペット用トイレの納まり構造１００Ｃは、仕切り壁７０と対向する外壁側の壁に亘る長尺な洗面台１０Ｃ（上部体の一例）を有する。そして、洗面台１０Ｃの下方の例えば中央位置に袖壁２０があり、袖壁２０の左右に二つの収納空間１２があり、それぞれの収納空間１２にペット用トイレパン５０が載置され、各ペット用トイレパン５０にペット用トイレ８０が設置されている。袖壁２０の内部構造等、その他の構成に関しては、基本的に納まり構造１００と同様である。

【0108】

また、図示するペット用トイレの納まりユニット２００Ｃは、洗面台１０Ｃと袖壁２０とを有し、これらの構成要素が一体として製品化された一体製品である。長尺な洗面台１０Ｃは長尺な第一内部空間１０ａを備え、中央にある袖壁２０は、第一内部空間１０ａに連通する第二内部空間２０ａを備える。そして、例えば袖壁２０の第二内部空間２０ａにおいて、ファン（図示せず）等の臭気捕捉体が収容されている。

【0109】

洗面台１０Ｃは、二つのシンク１１を有し、双方のシンク１１がともにペット専用のシンクであってもよいし、一方のシンク１１がペット専用のシンクであり、他方のシンク１１が人間専用のシンクであってもよい。

【0110】

また、納まり構造１００Ｃでは、収納空間１２の前面の開口を介して、収納空間１２にＸ５方向にペットが出入りする。

【0111】

納まり構造１００Ｃによれば、例えば二匹以上のペットがいる場合に、二匹のペットが同時に用便をすることが可能になり、二つのペット用トイレ８０とその周辺の清潔を維持することができる。また、ペット専用のシンク１１を備えることにより、ペットのグルーミングやトリミングをいつでも自由に行うことができ、さらに、飼い主は、移動することなく、ペット専用のシンク１１の下方の収納空間１２にあるペット用トイレ８０や、ペット用トイレ８０等を清掃した清掃用品を、収納空間１２の上方にあるペット専用のシンク１１にて洗浄することができる。

【0112】

［第５実施形態に係るペット用トイレの納まり構造と納まりユニット］
次に、図９を参照して、第５実施形態に係るペット用トイレの納まり構造と納まりユニットの一例について説明する。ここで、図９は、第５実施形態に係るペット用トイレの納まり構造と納まりユニットの一例を示す正面図である。

【0113】

ペット用トイレの納まり構造１００Ｄは、壁９０に設けられている凹部９１に収容された納まり構造である。凹部９１の天端面９２の下方に収容される天井材１０Ｄ（上部体の一例）と、天井材１０Ｄの右側下方にある袖壁２０と、これらにより形成される収納空間１２とを有し、収納空間１２にペット用トイレパン５０が収容され、ペット用トイレパン５０にペット用トイレ８０が設置されている。

【0114】

また、図示するペット用トイレの納まりユニット２００Ｄは、天井材１０Ｄと袖壁２０を有し、これらの構成要素が一体として製品化された一体製品である。天井材１０Ｄは第一内部空間１０ａを備え、袖壁２０は、第一内部空間１０ａに連通する第二内部空間２０ａを備える。そして、第一内部空間１０ａもしくは第二内部空間２０ａにおいて、例えばファン内蔵脱臭器（図示せず）等の臭気捕捉体が収容されている。尚、納まりユニットが、天井材１０Ｄの左側下方に脚を備えていてもよい。また、凹部９１の前面に半透明の面材が取り付けられていてもよい。

【0115】

納まり構造１００Ｄでは、建物の壁９０を有効利用して、その下方位置に凹部９１を設け、ペット用トイレ８０が設置されている。図示例の壁９０には、人間用トイレの壁、廊下に面する壁等、多様な壁が適用できる。

【0116】

［第６実施形態に係るペット用トイレの納まり構造と納まりユニット］
次に、図１０を参照して、第６実施形態に係るペット用トイレの納まり構造と納まりユニットの一例について説明する。ここで、図１０は、第６実施形態に係るペット用トイレの納まり構造と納まりユニットの一例を示す正面図である。

【0117】

ペット用トイレの納まり構造１００Ｅは、階段９５の下方にある階段下空間９６に収容された納まり構造である。階段下空間９６の天端面９７の下方に収容される天井材１０Ｅ（上部体の一例）と、天井材１０Ｅの右側下方にある袖壁２０と、脚３１と、これらにより形成される収納空間１２とを有し、収納空間１２にペット用トイレパン５０が収容されるようになっている。

【0118】

また、図示するペット用トイレの納まりユニット２００Ｅは、天井材１０Ｅと袖壁２０を有し、これらの構成要素が一体として製品化された一体製品である。天井材１０Ｅは第一内部空間１０ａを備え、袖壁２０は、第一内部空間１０ａに連通する第二内部空間２０ａを備える。そして、第一内部空間１０ａもしくは第二内部空間２０ａにおいて、例えばファン内蔵脱臭器（図示せず）等の臭気捕捉体が収容されている。尚、納まりユニットが、天井材１０Ｅの左側下方に脚を備えていてもよい。また、階段下空間９６の前面に半透明の面材が取り付けられていてもよい。

【0119】

納まり構造１００Ｅでは、建物の階段下空間９６を有効利用して、ペット用トイレが設置される。

【0120】

［ペット用トイレパン］
次に、図１１及び図１２を参照して、各実施形態に係るペット用トイレの納まり構造に適用されるペット用トイレパンの一例について説明する。ここで、図１１は、ペット用トイレパンの一例を示す斜視図であり、図１２は、ペット用トイレパンにペット用トイレが設置されている状態を示す斜視図である。

【0121】

図１１に示すように、ペット用トイレパン５０は、平坦で略直方体状の本体５１と、本体５１の天端面５３から下方に窪んだ排水溝５５とを有する。

【0122】

本体５１の天端の縁部には天端縁立ち上がり５２が設けられており、天端縁立ち上がり５２の内側に平坦な天端面５３が設けられている。

【0123】

天端面５３の内側には平面視が略矩形や楕円形（例えばトラック状）の排水溝５５が設けられており、天端面５３における排水溝５５の周囲には、ペットが歩行できるペット用通路５４が設けられている。図示例においては、排水溝５５の周囲三方向においてペット用通路５４が設けられている。

【0124】

排水溝５５の底面５５ａのうち、一方側には排水口５６が設けられており、底面５５ａは排水口５６に向かってＹ１方向に傾斜した下り勾配を有している。

【0125】

また、洗浄装置４５は一つの水栓４６を備え、水栓４６の先端は排水溝５５の底面５５ａ上に載置されている。より具体的には、水栓４６の先端は、平面視略矩形の排水溝５５における偏心位置（一つの隅角部近傍）に設けられている。このように、水栓４６の先端が排水溝５５の平面視形状における偏心位置にあることで、水栓４６から吐出された洗浄水は、排水溝５５の底面５５ａにおいてＹ２方向の旋回流を生じながら排水口５６に排水されることになり、効果的にペットの尿を排水口５６に排水することが可能になる。

【0126】

ここで、ペット用トイレパン５０の平面寸法としては、幅ｓ１を７３０ｍｍ乃至７５０ｍｍ程度、奥行きｓ２を４８０ｍｍ乃至５００ｍｍ程度、高さｓ３を４０ｍｍ乃至７０ｍｍ程度に設定することができる。例えば高さｓ３を７０ｍｍ程度かそれ以下に設定することにより、ペットのユニバーサルデザインに配慮することができる。また、ペット用トイレパン５０は、例えば、抗菌されたＦＲＰ（Fiber Reinforced Plastics：繊維強化プラスチック）等による成型品を適用することができる。

【0127】

図１２に示すように、排水溝５５の一部（エッジ）に、ペット用トイレ８０の一部（例えば下方部分）が係止されることにより、ペット用トイレパン５０に対してペット用トイレ８０がずれることなく設置される。尚、図示を省略するが、排水溝がエッジに段部を有し、段部にペット用トイレ８０の例えば下方部分が嵌まり込んで係止されてもよい。排水溝のエッジの段部にペット用トイレ８０の例えば下方部分が嵌まり込んで係止されることにより、ペット用トイレ８０のずれ防止がより一層高められる。

【0128】

ここで、ペット用トイレ８０は、プラスチック製で開口８１ａを有する容器８１と、容器８１の開口８１ａ内に載置される簀子８２とを有する。簀子８２は多数の流通孔８３を備えており、簀子８２の上に例えば猫砂が載置されるようになっている。

【0129】

また、容器８１の一部に、一点鎖線で示す出入り開口８４が設けられてもよく、出入り開口８４を介して、ペットが容器８１を跨ぐこと無くペット用トイレ８０の内部にアクセスすることが可能になる。

【0130】

猫砂の上で猫が尿をした際には、尿は簀子８２の流通孔８３を介してペット用トイレパン５０の排水溝５５の底面５５ａ上に流下される。底面５５ａ上に流下された尿は、排水口５６に向かって傾斜する底面５５ａを介して排水口５６に導かれる。

【0131】

また、猫がペット用トイレ８０から退出した後、制御装置６０が作動して底面５５ａを洗い流すことにより、排水溝５５の底面５５ａに尿が残ることはなく、残尿に起因する臭気の発生を効果的に抑止することができる。尚、猫砂の上に残置された糞は、飼い主により定期的にスコップ等で取り除かれる。そして、糞収納体Ｓに取り除かれた糞が収容され、袖壁２０内の仮置きスペース２６に一時的に仮置きされた後、仮置きスペース２６から回収される。

【0132】

ペット用トイレの納まり構造１００、１００Ａ，１００Ｂ，１００Ｃ，１００Ｄ，１００Ｅでは、袖壁２０の第二内部空間２０ａ等にあるファン３５やファン内蔵脱臭器３５Ａは、一般には常時作動させておく。このようにファン３５等が常時作動することにより、ペットの用便の際に発生し得る臭気や、仮置きスペース２６にある糞収納体Ｓから発生し得る臭気を常時捕捉することができ、ペット用トイレ８０とその周辺の清潔を維持することができる。

【0133】

［制御装置と洗浄装置］
次に、図１３乃至図１６を参照して、制御装置６０の一例と、制御装置６０による洗浄装置４５の制御態様について説明する。ここで、図１３は、制御装置の操作パネルの一例を示す正面図である。また、図１４は、制御装置のハードウェア構成の一例を示す図であり、図１５は、制御装置の機能構成の一例を示す図である。さらに、図１６は、制御装置による洗浄制御フローの一例を示す図である。

【0134】

図１３に示すように、制御装置６０は、主電源６１と、詳細設定部６２と、モード切替えボタン６３と、自動洗浄モードであることを表示する自動洗浄モード表示部６４と、手動洗浄モードであることを表示する手動洗浄モード表示部６５とを有する。

【0135】

主電源６１は、電源ＯＦＦと電源ＯＮを切り替える切替えノブ６１ａを備える。

【0136】

詳細設定部６２は、三種類の切替えノブ６２ａ，６２ｂ，６２ｃを備える。切替えノブ６２ａは、全モード時（自動洗浄モードと手動洗浄モードの双方のモード時）における洗浄時間の設定ノブであり、図示例では、４秒、７秒、及び１０秒の間で切替え自在となっている。

【0137】

一方、切替えノブ６２ｂは、全モード時における洗浄待機時間の設定ノブであり、図示例では、１０秒、３０秒、及び６０秒の間で切替え自在となっている。ここで、「洗浄待機」とは、ペットがペット用トイレ８０を使用し、収納空間１２から出て行ったことを人感センサ４０が検知した後、洗浄装置４５が作動するまで所定時間待機することを意味している。このように、ペットが退出した後に一定の時間を置いて洗浄装置４５が作動することにより、ペット用トイレ８０付近にペットが居る際に洗浄装置４５が作動してペットを驚かせることを防止できる。

【0138】

一方、切替えノブ６２ｃは、自動洗浄モードにおいて、さらに、定期洗浄がプラスされる場合における、洗浄装置４５の作動間隔の設定ノブであり、図示例では、２時間、４時間、及び６時間の間で切替え自在となっている。

【0139】

また、モード切替えボタン６３を押し進めることにより、モードが、自動洗浄モードにおける標準モード６６（標準モード表示で、例えば緑色点灯）、自動洗浄モードにおいて標準モード６６に定期洗浄プラスがなされたモード６７（定期洗浄プラスモード表示で、例えば青色点灯）、さらに、手動洗浄モード６８（黄色点灯）の順に切替えることができる。

【0140】

標準モード６６は、ペット用トイレ８０にてペットを検知し、ペット用トイレ８０からペットが退出したことを検知した後、洗浄装置４５を作動するモードである。また、定期洗浄プラスがなされたモード６７は、標準モードに加えて、定期洗浄がプラスされたモードである。さらに、手動洗浄モード６８は、飼い主が、所望のタイミングで洗浄装置４５を作動させるモードである。

【0141】

手動洗浄モード６８では、飼い主が手動洗浄ボタン６９を押すことにより、洗浄装置４５が作動する。例えば、手動洗浄モード６８を適用することにより、ペットの用便後も尿をペット用トイレパン５０の排水溝５５上に残置しておくことができ、飼い主はペットの尿の状態を把握し、ペットの健康管理を行うことができる。

【0142】

このように、制御装置６０が、洗浄装置４５を自動制御する自動制御機構と、洗浄装置４５を手動制御する手動制御機構とを有し、双方の機構が切換え自在であることにより、双方の機構のメリットを都度享受することが可能になる。例えば、自動制御機構を適用することにより、ペットの用便後の自動洗浄の他、定期的な自動洗浄を行うことが可能になる。一方、手動制御機構を適用することにより、ペットの用便後も尿をペット用トイレパン上に残置しておくことができ、上記するように尿の状態を把握してペットの健康管理を行うことができる。

【0143】

制御装置６０は、パーソナルコンピュータ等により形成される。図１４に示すように、制御装置６０は、ＣＰＵ（Central Processing Unit）６０２、ＲＡＭ（Random Access Memory）６０４、ＲＯＭ（Read Only Memory）６０６、通信装置６０８、表示装置６１０、及び入力装置６１２を有し、それらがシステムバス６１４にてデータ通信可能に接続されている。

【0144】

ＲＯＭ６０６には、各種のプログラムやプログラムによって利用されるデータ等が記憶されている。ＲＡＭ６０４は、ＲＯＭ６０６に記憶されているプログラムをロードするための記憶領域や、ロードされたプログラムのワーク領域として用いられる。ＣＰＵ６０２は、ＲＡＭ６０４にロードされたプログラムを処理することにより、各種の機能を実現する。例えば、ペットがペット用トイレ８０を使用し、収容空間１２から退出したことを示す検知データが人感センサ４０から送信されてきた際に、設定されている洗浄待機時間を経た後、洗浄装置４５を作動させてペット用トイレパン５０から尿を洗浄する。尚、その他、制御装置６０は、インストールされたプログラム等を記憶する補助記憶装置（図示せず）を有していてもよい。

【0145】

表示装置６１０は、自動洗浄モードのうち、標準モード６６であることを例えば緑色を点灯させることにより示す表示部、自動洗浄モードのうち、標準モード６６に定期洗浄プラスがなされたモードであることを例えば青色点灯させることにより示す表示部、さらに、手動洗浄モード６８であることを例えば黄色点灯させることにより示す表示部を有する。

【0146】

通信装置６０８は、人感センサ４０との間で無線ＬＡＮ又は有線通信を行う際に必要となる、アンテナ等の電子部品である。

【0147】

入力装置６１２は、全モード時における洗浄時間や洗浄待機時間の設定を行い、定期洗浄がプラスされる場合において洗浄装置４５の作動間隔の設定を行う。また、入力装置６１２は、モード切替えボタン６３を押し進めることにより、自動洗浄モードにおける標準モード６６、自動洗浄モードにおいて標準モード６６に定期洗浄プラスがなされたモード６７、さらに、手動洗浄モード６８の順にモードの切替えを行う。

【0148】

制御装置６０は、ＣＰＵ６０２による制御により、図１５に示す受信部６２０、操作部６３０、表示部６４０、及び格納部６５０として機能する。

【0149】

人感センサ４０は、収納空間１２にペットが進入したことを検知し、続いて、ペットがペット用トイレ８０を使用して収納空間１２から退出したことを示す検知データを制御装置６０に送信し、受信部６２０にて検知データが受信され、格納部６５０に格納される。

【0150】

格納部６５０には、全モード時における洗浄時間や洗浄待機時間、定期洗浄がプラスされる場合における洗浄装置４５の作動間隔時間等のデータテーブルが格納されている。

【0151】

操作部６３０は、上記するデータテーブルから、選択されているモード（自動洗浄モードか手動洗浄モード）や洗浄時間、洗浄待機時間等を読み取る。そして、人感センサ４０から送信され、格納部６５０に格納されている、ペットが用便を済ませて収納空間１２から退出したことを示す検知データを操作部６３０が読み取り、選択されている洗浄待機時間の経過後に、洗浄装置４５に対して作動指令信号を送信し、水栓４６からペット用トイレパン５０に対して水を供給し、排水溝５５上の尿の洗浄を実行させる。

【0152】

ここで、図１６を参照して、制御装置６０による洗浄制御フローを説明する。

【0153】

制御装置６０では、現在、自動洗浄モードが選択されているか（ステップＳ１０）、手動洗浄モードが選択されているか（ステップＳ１２）を識別する。

【0154】

自動洗浄モードが選択されている場合、制御装置６０はさらに、自動洗浄モードのみが選択されているか、自動洗浄モードにおいて、さらに、定期洗浄がプラスされるモードが選択されているかを識別する。

【0155】

自動洗浄モードのみが選択されていると制御装置６０が識別した場合、人感センサ４０は、ペットが収納空間１２に進入し、ペットが用便を済ませて収納空間１２から退出したことを検知し（人感センサＯＮ、ステップＳ１４）、検知データを制御装置６０に送信した後、人感センサ４０はＯＦＦされる（ステップＳ１６）。

【0156】

制御装置６０は、検知データを受信後、設定されているＡ秒待機を行い（ステップＳ１８）、その後、自動開閉自在な電磁弁を開制御する（ステップＳ２０）。ここで、待機する「Ａ秒」とは、図１３に示す例では、１０秒、３０秒、６０秒の中で選択されている時間である。尚、電磁弁は、例えば図３に示す給水ダクト４７の途中位置に介在している。

【0157】

電磁弁が開制御され、選択されている洗浄時間に亘り洗浄が行われた後、制御装置６０により電磁弁を閉制御する指定信号が送信され、電磁弁が閉じられて洗浄が終了する（ステップＳ２２）。ここで、「選択されている洗浄時間」とは、図１３に示す例では、４秒、７秒、１０秒の中で選択されている時間である。

【0158】

一方、自動洗浄モードにおいて、さらに、定期洗浄がプラスされるモードが選択されている場合は、上記するステップＳ１４乃至ステップＳ２２が実行されることに加えて、ペットの収納空間１２への進入の有無に関係なく、Ｂ時間待機を行い（ステップＳ２４）、その後、電磁弁を開制御する（ステップＳ２６）。ここで、待機する「Ｂ秒」とは、図１３に示す例では、２時間、４時間、６時間の中で選択されている時間である。

【0159】

電磁弁が開制御され、選択されている洗浄時間に亘り洗浄が行われた後、制御装置６０により電磁弁を閉制御する指定信号が送信され、電磁弁が閉じられて定期洗浄が終了する（ステップＳ２８）。

【0160】

一方、手動洗浄モードが選択されていると制御装置６０が識別した場合、飼い主は、所望のタイミングで手動洗浄ボタン６９をＯＮ制御する（ステップＳ３０）ことにより、電磁弁が開制御され（ステップＳ２０）、選択されている洗浄時間に亘り洗浄が行われた後、制御装置６０により電磁弁が閉制御する指定信号が送信され、電磁弁が閉じられて洗浄が終了する（ステップＳ２２）。

【0161】

例えば、ペット用トイレパン５０上に残置されている尿の状態を飼い主が確認した後、電磁弁を開制御して洗浄することができる。

【0162】

制御装置６０による洗浄装置４５や電磁弁の制御により、ペット用トイレとその周辺の清潔を維持することができ、必要に応じてペットの尿状態を確認することができる。

【0163】

尚、上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、ここで示した構成に本発明が何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。

【符号の説明】

【0164】

１０，１０Ａ，１０Ｃ：上部体（洗面台）
１０，１０Ｂ：上部体（物置台）
１０，１０Ｄ，１０Ｅ：上部体（天井材）
１０ａ：第一内部空間
１０ｂ：立壁
１０ｃ：前面引き出し収納
１０ｄ：開口（スリット）
１１：シンク
１２：収納空間
１３：リフトアップシャワー
１５，１６：ラック
１６ａ：棚受け
１７：収納ボックス
１８：ペット載せ台
１８ａ：面材
１８ｂ：蝶番
１９：ハンガー用壁掛けフック
２０：袖壁
２０ａ：第二内部空間
２１：開閉扉
２１：蝶番
２２，２３：側壁
２２ａ：開口
２４：底板
２５：仕切り板
２６：仮置きスペース
２７：コンセント
３０：引き出し収納
３１，３１Ａ：脚
３１ａ：ペット用出入り開口
３２：ドライヤーハンガー
３５：臭気捕捉体（ファン）
３５Ａ：臭気捕捉体（ファン内蔵脱臭器）
３６：排気ダクト
４０：人感センサ
４５：洗浄装置
４６：排尿水栓（水栓）
４７：給水ダクト
５０：ペット用トイレパン
５１：本体
５２：天端縁立ち上がり
５３：天端面
５４：ペット用通路
５５：排水溝
５５ａ：底面
５６：排水口
６０：制御装置
７０：仕切り壁
７１：ペット用出入り開口
８０：ペット用トイレ
８１：トイレ容器
８２：簀子
８３：流通孔
８４：出入り開口
９０：壁
９１：凹部（収納空間）
９２：天端面
９５：階段
９６：階段下空間
９７：天端面
１００，１００Ａ，１００Ｂ，１００Ｃ，１００Ｄ，１００Ｅ：ペット用トイレの納まり構造（納まり構造）
２００，２００Ａ，２００Ｂ，２００Ｃ，２００Ｄ，２００Ｅ：ペット用トイレの納まりユニット（納まりユニット）
Ｄ：脱衣所
Ｍ：洗濯機
Ｔ：洗濯機用パン
Ｐ：廊下
Ｓ：糞収納体
ＤＲ：ドライヤー

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】