(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149182
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】打ち込み工具
(51)【国際特許分類】
B25C 1/06 20060101AFI20220929BHJP
【FI】
B25C1/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021051214
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮下 勲
【テーマコード(参考)】
3C068
【Fターム(参考)】
3C068AA01
3C068BB01
3C068CC07
3C068JJ20
(57)【要約】
【課題】打撃バネの付勢力でドライバを前進させて打ち込み具を打撃する機械バネ式の打ち込み工具において、打撃機構の高剛性化を図りつつ、ドライバを軽量化して大きな打撃力が得られるようにする。
【解決手段】ドライバ駆動機構によりドライバ21とガイド部22を後退端位置まで後退させた後、ガイド部22からドライバ21を分離する、分離したドライバ21を打撃バネ26の付勢力により単独で打ち込み方向に移動させる。これによりドライバ21を高速化して大きな打撃力を得る。
【選択図】
図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
打ち込み工具であって、
打ち込み方向に移動して打ち込み具を打撃するドライバと、
前記ドライバに打撃力を付与する打撃バネと、
前記ドライバを分離可能に支持するガイド部と、
前記ドライバと前記ガイド部を前記打撃バネの付勢力に抗して一体で反打ち込み方向に移動させるドライバ駆動機構と、
前記ドライバを前記ガイド部から分離するドライバ分離機構とを有する打ち込み工具。
【請求項2】
請求項1記載の打ち込み工具であって、
前記ガイド部に設けられ、前記ガイド部に前記ドライバを結合するドライバ結合機構を有し、
前記ドライバ結合機構は、前記ドライバに係脱可能な結合フックを有し、
前記結合フックが係合位置に移動して前記ドライバが前記ガイド部に結合され、
前記結合フックが離脱位置に移動して前記ドライバが前記ガイド部から分離される打ち込み工具。
【請求項3】
請求項2記載の打ち込み工具であって、
前記ドライバ分離機構は、前記ガイド部の移動動作により前記結合フックを前記離脱位置に移動させる打ち込み工具。
【請求項4】
請求項3記載の打ち込み工具であって、
前記ドライバ分離機構は、前記結合フックに接近離間方向に移動可能な解除フックと、前記解除フックに設けた係合爪と、前記結合フックに設けられ、前記係合爪が係合されて前記結合フックを前記ガイド部に対して反打ち込み方向に相対変位させる係合受け部と、前記結合フックの前記反打ち込み方向への相対変位により、前記結合フックを前記離脱位置に変位させる係脱案内部を有する打ち込み工具。
【請求項5】
請求項4に記載の打ち込み工具であって、
前記係脱案内部は、前記打ち込み方向に交差する方向に延在される溝孔である打ち込み工具。
【請求項6】
請求項2~5の何れか1つに記載の打ち込み工具であって、
前記ドライバと前記結合フックとの間に、前記結合フックを前記係合位置に案内する結合案内部を有する打ち込み工具。
【請求項7】
請求項1~6の何れか1つに記載の打ち込み工具であって、
前記ガイド部が前記打ち込み方向に移動して、前記ガイド部に前記ドライバが結合される打ち込み工具。
【請求項8】
請求項1~7の何れか1つに記載の打ち込み工具であって、
前記ガイド部に設けた駆動側ラックギヤと、前記駆動側ラックギヤに噛み合わされた中間ギヤと、前記駆動側ラックギヤに対向配置されて前記中間ギヤに噛み合わされた従動側ラックギヤと、前記従動側ラックギヤに結合されたカウンタウエイトと、前記カウンタウエイトを前記反打ち込み方向に付勢する反動吸収バネを備えた反動吸収機構を有する打ち込み工具。
【請求項9】
請求項8記載の打ち込み工具であって、
前記反動吸収バネの付勢力により前記ガイド部が前記打ち込み方向に移動する打ち込み工具。
【請求項10】
請求項1~9の何れか1つに記載の打ち込み工具であって、
前記ドライバ駆動機構により前記ガイド部が反打ち込み方向の移動端に至った後に、前記ドライバが前記ガイド部から分離される打ち込み工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、打撃バネの付勢力により打ち込み具を打撃して打ち込む機械バネ式の打ち込み工具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に機械バネ式の打ち込み工具に関する技術が開示されている。この打ち込み工具は、電動モータを駆動源とするドライバ駆動機構を備えている。ドライバ駆動機構により、打撃用のドライバが打撃バネの付勢力(打ち込み力)に抗して反打ち込み方向の移動端位置(後退端位置)まで移動される。後退端位置まで移動された後、ドライバがドライバ駆動機構から切り離される。切り離されたドライバは打撃バネの付勢力により打ち込み方向に移動して打ち込み具を打撃する。
【0003】
このような打撃機構では、ドライバを支持するガイド部は、ドライバ駆動機構により打撃バネの付勢力に抗して後退端位置まで移動される段階で、ドライバ駆動機構の駆動力に加えて打撃バネの付勢力を受ける。このため、ドライバ及びガイド部は、十分な強度を確保するために鋼材を素材として製作されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ガイド部が鋼製であるため重量が嵩む。ドライバと一体で打ち込み方向に移動するガイド部が重量化すると、ドライバの打撃時の移動速度が低下して大きな打撃力が得られにくくなる。特に、打撃力を高めるため、より付勢力の大きな打撃バネを用いる場合には、これに合わせてガイド部の強度を一層高める必要がある。その結果、ガイド部がさらに重量化して移動速度が低下する。従って、打撃力が低下する。このように、ドライバの打撃時の移動速度を高速化するための手段として、打撃バネの付勢力を高めることとドライバの軽量化が両立しないため、打撃力を効率良く高めることが困難であった。本開示は、打撃機構の強度を確保しつつ打撃力を効率良く高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の1つの局面によれば、打ち込み工具は、例えば打ち込み方向に移動して打ち込み具を打撃するドライバを有する。1つの打撃バネによりドライバに打撃力が付与される。ドライバはガイド部に分離可能に支持される。打ち込み工具は、例えばドライバとガイド部を打撃バネの付勢力に抗して一体で反打ち込み方向に移動させるドライバ駆動機構を有する。打ち込み工具は、例えばドライバをガイド部から分離するドライバ分離機構とを有する。
【0007】
従って、ドライバは、ドライバ分離機構によりガイド部から分離された状態で打ち込み方向に移動する。これにより、ドライバは、軽量化された状態で打撃バネの付勢力により打ち込み方向に移動することから、ドライバの移動速度が高速化されて打撃力が高められる。ガイド部の強度を高めることで、ドライバの打撃力を高めつつ打撃機構の強度が確保される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る打ち込み工具の全体斜視図である。本図は、右斜め後方から見た状態を示している。
【
図2】実施形態に係る打ち込み工具の右側面図である。本図では、工具本体部の一部が破断して示されている。
【
図5】
図2中V-V線矢視図であって、ドライバ駆動機構の動作説明図である。本図は、第2係合ピンがガイド部の第2係合部から外れる直前の状態を示している。
【
図6】ドライバ駆動機構の動作説明図である。本図は、第2係合ピンがガイド部の第2係合部から外れた直後のドライバ前進による打ち込み時の状態を示している。本図は、第1係合ピンがガイド部の第1係合部に接近する状態を示している。
【
図7】ドライバ駆動機構の動作説明図である。本図は、第1係合ピンがガイド部の第1係合部に係合し始めた状態を示している。
【
図8】ドライバ駆動機構の動作説明図である。本図は、第1係合ピンがガイド部の第1係合部に係合した状態を示している。
【
図9】ドライバ駆動機構の動作説明図である。本図は、第2係合ピンがガイド部の第2係合部に係合し始めた状態を示している。
【
図10】打撃機構の上面図である。本図は、待機状態を示している。
【
図11】打撃機構の上面図である。本図は、ガイド部が待機位置から後退した状態を示している。
【
図12】打撃機構の上面図である。本図は、ガイド部が
図11の位置からさらに後退した状態を示している。この段階で解除フックの回動が規制された状態となる。
【
図13】打撃機構の上面図である。本図は、ガイド部が
図12の位置からさらに後退した状態を示している。この段階で係合爪が後方へ押される。
【
図14】打撃機構の上面図である。本図は、ガイド部が後退端位置に至った状態を示している。この段階で、解除フックの係合爪が後案内柱の前方に進入した状態となる。
【
図15】打撃機構の上面図である。本図は、ガイド部が後退端位置から前進した状態を示している。この段階で、係合爪が後案内柱に対して前方から引き掛けられた状態となる。
【
図16】打撃機構の上面図である。本図は、ガイド部が
図15の位置からさらに前進した状態を示している。この段階で、結合フックが相対的に後退して離脱位置に案内される。
【
図17】打撃機構の上面図である。本図は、ガイド部が
図16の位置からさらに前進した状態を示している。この段階で、結合フックが離脱位置に移動して、ガイド部からドライバが分離されて単独で前進し始める。
【
図18】打撃機構の上面図である。本図は、ガイド部が
図17の位置からさらに前進した状態を示している。この段階で、解除フックが回動して係合爪が後案内柱から外れる。
【
図19】打撃機構の上面図である。本図は、後案内柱から係合爪が離脱して、ガイド部が反動吸収バネの付勢力により前進する状態を示している。
【
図20】打撃機構の上面図である。本図は、結合フックの結合案内部がドライバの台座部に当接した状態を示している。
【
図21】打撃機構の上面図である。本図は、結合案内部により結合フックが一旦離脱位置側に変位した状態を示している。
【
図22】打撃機構の上面図である。本図は、ガイド部がさらに前進した結合フックが台座部の前方に至った状態を示している。
【
図23】打撃機構の上面図である。本図は、結合フックが圧縮バネの付勢力により係合位置に戻された状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1つ又はそれ以上の実施態様において、打ち込み工具は、例えばガイド部に設けられ、ガイド部にドライバを結合するドライバ結合機構を有する構成としてもよい。ドライバ結合機構は、ドライバに係脱可能な結合フックを有する構成としてもよい。結合フックが係合位置に移動してドライバがガイド部に結合される構成としてもよい。結合フックが離脱位置に移動してドライバがガイド部から分離される構成としてもよい。
【0010】
上記の構成によれば、ドライバ結合機構の結合フックによりドライバがガイド部に一体化される。ドライバは、ガイド部に一体化された状態でドライバ駆動機構により反打ち込み方向に移動する。ドライバは、結合フックが離脱位置に移動してガイド部から分離される。ドライバはガイド部から分離された状態で打ち込み方向に移動する。
【0011】
1つ又はそれ以上の実施態様において、ドライバ分離機構は、例えばガイド部の移動動作により結合フックを離脱位置に移動させる構成としてもよい。上記の構成によれば、ガイド部の移動動作を利用することでドライバ分離機構の構成の簡略化が図られる。
【0012】
1つ又はそれ以上の実施態様において、ドライバ分離機構は、例えば結合フックに接近離間方向に移動可能な解除フックを有する構成としてもよい。解除フックに係合爪を設けてもよい。結合フックに係合受け部を設けてもよい。係合受け部に係合爪が係合されて結合フックがガイド部に対して反打ち込み方向に相対変位する。結合フックの反打ち込み方向への相対変位により、結合フックが係脱案内部で案内されて離脱位置に変位する。
【0013】
上記の構成によれば、結合フックの係合受け部に解除フックが係合されて、結合フックが離脱位置に変位する。これによりガイド部からドライバが分離される。
【0014】
1つ又はそれ以上の実施態様において、係脱案内部は、例えば打ち込み方向に交差する方向に延在される溝孔としてもよい。上記の構成によれば、結合フックの反打ち込み方向への移動動作により結合フックが溝孔により打ち込み方向側方の離脱位置に案内される。
【0015】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えばドライバと結合フックとの間に、結合フックを係合位置に案内する結合案内部を有する構成としてもよい。上記の構成によれば、結合フックがスムーズに係合位置に案内される。
【0016】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えばガイド部が打ち込み方向に移動して、ガイド部にドライバが結合される構成としてもよい。上記の構成によれば、ガイド部が打ち込み方向に移動してドライバが結合される。結合された状態でガイド部とドライバがドライバ駆動機構により反打ち込み方向に戻される。
【0017】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えば反動吸収機構を有する構成としてもよい。反動吸収機構は、ガイド部に設けた駆動側ラックギヤを有してもよい。駆動側ラックギヤに中間ギヤが噛み合わされる。駆動側ラックギヤに対向配置されて中間ギヤに従動側ラックギヤが噛み合わされる。従動側ラックギヤにカウンタウエイトが結合される。カウンタウエイトは反動吸収バネにより反打ち込み方向に付勢される構成とすることができる。上記の構成によれば、カウンタウエイトが反打ち込み方向に移動して打ち込み時の反動が吸収される。
【0018】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えば反動吸収バネの付勢力によりガイド部が打ち込み方向に移動する構成とすることができる。上記の構成によれば、反動吸収バネの付勢力をガイド部を打ち込み方向に移動させるための動力として利用できる。
【0019】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えばドライバ駆動機構によりガイド部が反打ち込み方向の移動端に至った後に、ドライバがガイド部から分離される構成とすることができる。上記の構成によれば、ドライバの高い打撃力が効率良く発揮される。
【実施例0020】
図1、2に示すように、本実施形態では打ち込み工具1として、ばねの付勢力を打ち込み力として利用する打ち込み工具で、いわゆる充電式タッカと称されるものを例示する。打ち込み工具1は、打撃機構20を内装した工具本体部10を有する。工具本体部10の側部から、使用者が把持するグリップ部13と、駆動部50を内装した駆動部ハウジング52が下方へ突き出す状態に設けられている。グリップ部13の下部と駆動部ハウジング52の下部とに跨ってバッテリ取り付け部15を備えている。バッテリ取り付け部15の下面に沿って、電源としてのバッテリパック16が取り付けられる。バッテリ取り付け部15の上方に沿って、矩形平板形のコントローラ17が収容されている。コントローラ17によって主として電動モータ51の動作制御がなされる。
【0021】
駆動部50の前方に沿って、多数の打ち込み具T(打ち込まれた1つの打ち込み具Tが
図2に示されている)を装填するためのマガジン14を備えている。工具本体部10の前部に打ち込みノーズ部12が設けられている。マガジン14の供給側端部(上部)は打ち込みノーズ部12に結合されている。マガジン14から例えばU字形の打ち込み具Tが1本ずつ打ち込みノーズ部12に供給される。
【0022】
工具本体部10は、概ね円筒形で左右半割り構造の本体ハウジング11を有する。本体ハウジング11内に、打撃機構20が内装されている。打撃機構20の詳細が
図2~4に示されている。打撃機構20は、打ち込み方向に移動して打ち込み具Tを打撃する1つのドライバ21と、ドライバ21を支持する1つのガイド部22を有する。ドライバ21は、長尺の棒形を有している。ドライバ21はガイド部22から打ち込み方向(前方)に向けて長く延びている。ドライバ21の後端部には円形の台座部21aが一体に設けられている。台座部21aの後面に打撃バネ26の付勢力が作用する。
【0023】
以下の説明では、打ち込み具Tの打ち込み方向を前側、反打ち込み方向を後側とする。従って、ドライバ21が前進することにより、打ち込み具Tが打撃されて被打ち込み材Wに打ち込まれる。打撃後に、ドライバ21がドライバ駆動機構40により後方へ移動される。使用者は当該打ち込み工具1の後方に位置してグリップ部13を把持する。従って、左右方向については使用者を基準として用いる。
【0024】
打ち込み具打撃用のドライバ21が打ち込みノーズ部12の打ち込み通路内を前進することにより打ち込み具Tが打撃されてその先端の射出口12aから打ち出される。打ち込みノーズ部12は、工具本体部10に対して前後方向(打ち込み方向)に一定の範囲で変位可能に設けられている。射出口12aを被打ち込み材Wに押し付けて打ち込みノーズ部12を相対的に後退させた状態でのみ打ち込み動作がなされる。打ち込みノーズ部12の後退動作は、ノーズセンサ18により検知される。
【0025】
電動モータ51は、打ち込みノーズ部12を後退動作させた状態で、グリップ部13の上部前面に設けたトリガ形式のスイッチレバー19を指先で引き操作することにより起動させることができる。スイッチレバー19の後方に起動スイッチ19aが内装されている。スイッチレバー19の引き操作により起動スイッチ19aがオンして駆動部50の電動モータ51が起動する。電動モータ51の起動により、工具本体部10において一連の打ち込み動作がなされる。
【0026】
先ず、一連の打ち込み動作の概略を説明する。電動モータ51が起動するとドライバ21がガイド部22と一体でドライバ駆動機構40により待機位置から後退端位置まで移動される。ドライバ21は後退端位置に至った後に、ガイド部22から分離されて単独で打ち込み方向に移動する。ドライバ21は、打撃バネ26の付勢力により打ち込み方向に前進する。打撃バネ26には圧縮コイルバネが用いられている。ドライバ21が単独で前進する段階で打ち込み具Tがドライバ21により打撃されて射出口12aから打ち出される。打撃バネ26の付勢力が、ドライバ21の打撃力に相当する。
【0027】
ドライバ21の打ち込み方向への移動動作に遅れてガイド部22が打ち込み方向に移動する。ガイド部22は後述する反動吸収機構60の動作により打ち込み方向に移動する。ガイド部22が前進端に至るとドライバ21がガイド部22に再び結合される。ドライバ21がガイド部22に一体化された後、ドライバ21とガイド部22が一体でドライバ駆動機構40により待機位置に戻される。これで一連の打ち込み動作が完了する。
【0028】
打撃機構20は、矩形に枠組みされた本体フレーム30を有する。本体フレーム30は前側の前部フレーム31と、後側の後部フレーム32と、左右の側部フレーム33,34を有する。本体フレーム30の内側にガイド部22が前後に移動可能に支持されている。後部フレーム32とドライバ21の台座部21aとの間に打撃バネ26が介装されている。
【0029】
ガイド部22の左右側部には、側方へ張り出す合計4つの案内縁部22aが設けられている。案内縁部22aは左右側部のそれぞれに上下に一定の間隔をおいて左右対称に設けられている。左右側部のそれぞれにおいて上下の案内縁部22aが側部フレーム33,34の上面と下面にそれぞれ摺接されている。これによりガイド部22が左右の側部フレーム33,34を介して前後にスライド可能に支持されている。
図4では、右側の側部フレーム34が取り外された状態で示されている。
【0030】
ガイド部22の前部にドライバ21の台座部21aが分離可能に結合されている。ドライバ21は台座部21aから前方へ長く延びている。台座部21aの後面と後部フレーム32の前面との間に1つの打撃バネ26が介装されている。打撃バネ26の付勢力が台座部21aの後面に作用している。打撃バネ26の付勢力が打ち込み具Tを打撃するための推力としてドライバ21に作用する。
【0031】
ガイド部22の左右側部にドライバ結合機構が設けられている。左右のドライバ結合機構35によりドライバ21がガイド部22に結合される。左右のドライバ結合機構35は、それぞれ1つの結合フック36を有する。ドライバ21は、左右一対の結合フック36によりガイド部22に結合される。ドライバ21は前部フレーム31を貫通して打ち込みノーズ部12の打ち込み通路内に進入している。前部フレーム31の後面には、円環形のダンパ31aが取り付けられている。ダンパ31aにドライバ21の台座部21aが当接されることにより前進端位置での衝撃が吸収される。
【0032】
左右の結合フック36は左右対称に配置されている。打ち込み方向に向かって右側の結合フック36が
図4で見えている。結合フック36は上下の案内縁部22a間に支持されている。結合フック36は前後に変位可能に支持されている。上下の案内縁部22aには、前側の溝孔22bと後側の溝孔22cが設けられている。前側の溝孔22bは打ち込み方向(ガイド部22の移動方向)に対して傾斜する方向に沿って延在されている。前側の溝孔22bは前部側がドライバ21に接近する方向に傾斜している。
【0033】
後側の溝孔22cは打ち込み方向に平行に延在されている。前側の溝孔22bが上下に対向して配置され、後側の溝孔22cが上下に対向して配置されている。結合フック36の前部には前案内柱36bが上下に同軸に延びている。結合フック36の後部には後案内柱36cが上下に同軸に延びている。上下に延びる前案内柱36bがそれぞれ前側の溝孔22bに挿通されている。上下に延びる後案内柱36cがそれぞれ後側の溝孔22cに挿通されている。左右の結合フック36の前端にそれぞれ鉤形の結合爪部36aが設けられている。結合爪部36aは
図10以降に示されている。
【0034】
結合フック36は、前側が打ち込み方向に対して傾斜する方向に案内され、後側が打ち込み方向に対して平行に案内される。このため、結合フック36は、結合爪部36aを左右に変位させつつ、前後に変位する。左右の結合フック36が前進すると、左右の結合爪部36aが左右相互に接近する方向(ドライバ21に接近する方向)に変位する。左右の結合爪部36aが相互に接近してドライバ21に係合される係合位置に至ることで、ドライバ21がガイド部22に結合される。
【0035】
左右の結合フック36が後退すると、左右の結合爪部36aが左右相互に離間する方向(ドライバ21から離間する方向)に変位する。左右の結合爪部36aがドライバ21に対する係合位置から外れた離脱位置に至ることで、ドライバ21がガイド部22から分離可能な状態となる。
【0036】
左右の結合フック36は、それぞれ圧縮ばね37により前進方向に付勢されている。このため左右の結合フック36は、結合爪部36aを係合位置に変位させてドライバ21をガイド部22に結合する側(前進方向)に付勢されている。圧縮ばね37に抗して左右の結合フック36が後退することで、結合爪部36aが離脱位置に変位してドライバ21がガイド部22から分離可能な状態となる。圧縮ばね37に抗してなされる左右の結合フック36の後退動作は、ガイド部22の後退動作を利用してドライバ分離機構38によりなされる。
【0037】
ガイド部22の後部には規制部22dが設けられている。規制部22dは、上下に起立する平板形をなして後方へ張り出している。規制部22dにより、後述する解除フック38aの回動動作が規制される。
【0038】
ドライバ分離機構38は、本体フレーム30の後部側において左右対象に設けられている。左右のドライバ分離機構38は、上下の解除フック38aと上下の係合爪38bを有する。上下の解除フック38aは相互に結合されて一体化されている。解除フック38aは、支軸38cを介して左右の側部フレーム33,34に支持されている。解除フック38aは、前後長手方向のほぼ中央において支軸38cにより支持されて左右に回動可能に支持されている。
【0039】
解除フック38aの前部に係合爪38bが支持されている。上下の係合爪38bは相互に結合されて一体化されている。上下一体化された係合爪38bは、支軸38dを介して左右に回動可能に支持されている。係合爪38bは、捩りバネ38fにより結合フック36に対して係合する側(
図10において矢印で示す時計回り方向)に付勢されている。係合爪38bは、捩りバネ38fにより
図10に示す引き掛け位置に保持される。係合爪38bは、後述するように結合フック36の後案内柱36cにより押されることで、捩りバネ38fに抗して
図10中反時計回り方向に回動する。
【0040】
解除フック38aの後部に逃がし凹部38eが設けられている。逃がし凹部38eは、本体フレーム30の内側から外側に向けて概ね台形状に凹設されている。ドライバ結合機構35の規制部22dが解除フック38aの側部に摺接されることで、解除フック38aの回動が規制される。この規制状態で、ガイド部22の後退動作により後案内柱36cに係合爪38bが引き掛けられる。係合爪38bの引き掛け状態でガイド部22が前進することで、左右の結合フック36がそれぞれ圧縮ばね37に抗して後退する。これにより結合爪部36aが離脱位置に外れてドライバ21がガイド部22から分離される。分離後のドライバ21は打撃バネ26の付勢力により前進する。これにより打ち込み具Tの打撃がなされる。一連の打ち込み動作の詳細は後述する。
【0041】
ドライバ駆動機構40により、打撃後ドライバ21が待機位置に戻され、また待機位置から後退端位置まで後退される。ドライバ駆動機構40は、駆動ギヤ41と駆動部50を有する。駆動部50の電動モータ51はモータ軸線を上下に沿わせた縦姿勢で駆動部ハウジング52に内装されている。電動モータ51の回転出力は減速ギヤ列53により減速されて出力ギヤ54から出力される。出力ギヤ54は、中間ギヤ42に噛み合わされている。中間ギヤ42は駆動ギヤ41に噛み合わされている。中間ギヤ42を経て電動モータ51の回転出力が駆動ギヤ41に入力される。
【0042】
図1、2に示すように打撃機構20の下方に沿って1つの駆動ギヤ41が配置されている。駆動ギヤ41には平歯車が用いられている。電動モータ51が起動すると、1つの中間ギヤ42を介して駆動ギヤ41が回転する。駆動ギヤ41と中間ギヤ42は、1つの保持プレート43の上面側にそれぞれ回転可能に支持されている。図では省略されているが保持プレート43の前部及び後部は、それぞれ本体フレーム30の前部フレーム31と後部フレーム32に強固に結合されている。
【0043】
図5以降に、ドライバ駆動機構40によるガイド部22(ドライバ21)の後退動作が示されている。駆動ギヤ41の上面に、第1係合ローラ44と第2係合ローラ45が設けられている。第1係合ローラ44と第2係合ローラ45は、駆動ギヤ41の回転支軸46を中心とする同一円周上に配置されている。図中矢印で示すように駆動ギヤ41は反時計回り方向に回転する。第1係合ローラ44と第2係合ローラ45は、回転方向に相互に約120°の間隔をおいて配置されている。第1係合ローラ44に対して第2係合ローラ45が回転方向(反時計回り方向)の前側に位置されている。第1係合ローラ44は第2係合ローラ45よりも高さが高くなっている。
【0044】
ガイド部22の下面には、第1係合部23と第2係合部24がそれぞれ前後方向に一定の間隔をおいて下方へ張り出す状態に設けられている。駆動ギヤ41の回転に伴い、第1係合部23の前面に第1係合ローラ44が当接され、第2係合部24の前面に第2係合ローラ45が当接される。第1係合ローラ44と第2係合ローラ45の後方への変位成分によりガイド部22が打撃バネ26に抗して後退端位置まで後退する。
【0045】
打ち込み工具1の待機状態では、ガイド部22は後退端位置より手前の待機位置に保持される。待機状態において、打ち込みノーズ部12を後退操作し、且つスイッチレバー19を引き操作することで、電動モータ51が起動して一連の打ち込み動作が開始される。電動モータ51が起動すると、駆動ギヤ41が図中矢印方向に回転して第1係合ローラ44と第2係合ローラ45が周方向に変位し始める。これによりガイド部22が待機位置からさらに後退する。
【0046】
図5は、ガイド部22が後退端に至った状態を示している。第1係合ローラ44がガイド部22の第1係合部23に当接した状態で後方へ変位することで、ガイド部22及びドライバ21が後退端位置に至る。ガイド部22の後退端位置は後退端センサ25により検知される。後退端センサ25がオンされることで電動モータ51を停止させるためのタイマー機能が作動開始される。
【0047】
ガイド部22が後退端に至った後、引き続き駆動ギヤ41が回転することで、第1係合部23から第1係合ローラ44が外れる。これによりガイド部22が打ち込み方向へ前進可能な状態となる。後述するようにこの段階でドライバ21がガイド部22から分離される。ドライバ21は打撃バネ26の付勢力により単独で前進する。前進するドライバ21により打ち込み具Tが打撃されて被打ち込み材Wに打ち込まれる。ガイド部22は後述する反動吸収機構60の推力により打ち込み方向に前進する。
図6に示すようにガイド部22が前進する段階では、第1係合ローラ44と第2係合ローラ45がガイド部22の移動経路外へ退出して干渉が回避される。ガイド部22が前進端に至るとドライバ21が結合される。
【0048】
打ち込み完了後、タイマー機能により引き続き電動モータ51の起動状態が継続されて駆動ギヤ41が回転し続ける。これにより
図7に示すように第2係合ローラ45がガイド部22の下面に設けた第2係合部24の前面側に係合される。
図8に示すように第2係合ローラ45の第2係合部24に対する係合状態で駆動ギヤ41が図示矢印方向に回転することで、ガイド部22が打撃バネ26の付勢力に抗して後方へ移動される。
【0049】
図9に示すように後退動作の途中の段階で、第2係合部24に対する第2係合ローラ45の係合が外れると同時に、第1係合部23の前面に第1係合ローラ44が係合される。これによりガイド部22を打撃バネ26に抗して後方へ移動させるための動力の受け渡しがなされる。第1係合部23に対する第1係合ローラ44の係合状態によりガイド部22がさらに後方へ移動されてドライバ21が待機位置に戻される。ドライバ21が待機位置に戻された時点で電動モータ51が停止される。電動モータ51の停止のタイミングは、タイマー機能により予め下記の後退端センサ25により検知される後退端位置から一定時間の経過後に設定されている。ドライバ21が待機位置に戻された時点で、電動モータ51が停止して一連の打ち込み動作が完了する。
【0050】
本実施形態の打ち込み工具1は、打ち込み時の反動を吸収するための反動吸収機構60を備えている。反動吸収機構60は、本体フレーム30の左右側部に沿って左右対称に設けられている。反動吸収機構60は、ドライバ21の打ち込み方向への移動動作時に反打ち込み方向に移動するカウンタウエイト61を備えている。カウンタウエイト61は反動吸収バネ62により反打ち込み方向に付勢されている。
【0051】
カウンタウエイト61と反動吸収バネ62は、1つの保持筒部63内に収容されている。保持筒部63は、前部フレーム31に設けた前部保持部64と、後部フレーム32に設けた後部保持部65との間に挟まれた状態で本体フレーム30の側部に沿って支持されている。後部保持部65の後方には、カウンタウエイト61を衝突させる反動吸収ダンパ66が設けられている。
【0052】
ガイド部22の左右側部には、駆動側ラックギヤ67が一体に結合されている。駆動側ラックギヤ67はガイド部22と一体で前後方向に移動する。カウンタウエイト61には、従動側ラックギヤ68が結合されている。従動側ラックギヤ68は、側部フレーム33,34に沿って前後方向に移動可能に支持されている。従動側ラックギヤ68にカウンタウエイト61が結合されている。駆動側ラックギヤ67と従動側ラックギヤ68との間に1つの中間ギヤ69が介装されている。中間ギヤ69は、駆動側ラックギヤ67と従動側ラックギヤ68の双方に噛み合わされている。このため、駆動側ラックギヤ67と従動側ラックギヤ68は常時相互に反対方向に移動する。
【0053】
ドライバ駆動機構40によりガイド部22が後退する段階では、中間ギヤ69を介した駆動側ラックギヤ67と従動側ラックギヤ68の噛み合いによりカウンタウエイト61が反動吸収バネ62に抗して前進する。ガイド部22は、打撃バネ26と反動吸収バネ62の合計付勢力に抗して後退される。ガイド部22が後退端に至ると、ガイド部22に対するドライバ駆動機構40による駆動状態が解除されて(第1係合部23から第1係合ローラ44が外れて)、ガイド部22が前進可能な状態となる。その直後に、ドライバ分離機構38によりガイド部22から分離されたドライバ21が打撃バネ26の付勢力により打ち込み方向に前進する。
【0054】
また、ガイド部22には、駆動側ラックギヤ67と中間ギヤ69との噛み合い、中間ギヤ69と従動側ラックギヤ68との噛み合いを経て反動吸収バネ62の付勢力が作用している。このため、ドライバ21の前進とほぼ同時に、反動吸収バネ62の付勢力によりカウンタウエイト61が後退するとともにガイド部22が打ち込み方向に前進する。ガイド部22の前進とともにカウンタウエイト61が後退して打ち込み時の反動が吸収される。ガイド部22が反動吸収バネ62の付勢力により前進端に至ると、左右一対のドライバ結合機構35によりドライバ21がガイド部22に結合される。
【0055】
左右一対のドライバ結合機構35は、それぞれ結合フック36を備えている。結合フック36は圧縮バネ37により常時前進側に付勢されている。左右の結合フック36が前進すると、左右の結合爪部36aが左右相互に接近する方向(係合位置側)に変位してドライバ21がガイド部22に結合される。
図10は、工具本体部10の待機状態(ドライバ21の待機位置)を示している。待機状態では、ドライバ21の台座部21aの前面に左右の結合フック36の結合爪部36aが係合されている。これによりドライバ21がガイド部22に結合されている。ガイド部22はドライバ駆動機構40により前後方向の移動経路途中の待機位置に保持される。
【0056】
打撃機構20が起動されてドライバ21及びガイド部22がドライバ駆動機構40により待機位置から後退する。
図11、12に示すようにガイド部22が後退端に至る手前で、ガイド部22の規制部22dが、解除フック38aの逃がし凹部38eを通過して後端側の側部に摺接される。これにより解除フック38aの回動が規制された状態となる。この規制状態では、解除フック38aが支軸38cを中心にして解除側(係合爪38bをガイド部22に接近させる側)に回動する。解除フック38aが解除側に保持されることで、係合爪38bがガイド部22の後案内柱36cの移動経路中(後方)に進入される。
【0057】
図13に示すように解除フック38aの回動が規制された状態でガイド部22がさらに後退されることにより、係合爪38bが捩りバネ38fに抗して後案内柱36cにより後方へ押される。係合爪38bを後方へ押しながらガイド部22が後退されることで、
図14に示すように後案内柱36cが係合爪38bの後方に至る。係合爪38bは、捩りバネ38fにより後案内柱36cの前方に張り出す位置に戻される。この段階でガイド部22が後退端位置に至る。
【0058】
ガイド部22が後退端に至ってドライバ駆動機構40の係合が外れることで、ガイド部22が前進可能な状態となる。この段階では、打撃バネ26と反動吸収バネ62の双方の付勢力によりガイド部22が前進し始める。
図15に示すようにこの段階では、後案内柱36cに係合爪38bが引き掛けられて結合フック36の前進が規制された状態となる。このため、
図16に示すようにガイド部22がさらに前進することで、結合フック36が圧縮ばね37に抗してドライバ21に対して相対的に後退される。これにより結合爪部36aが前側の溝孔22bに案内されて離脱位置(ドライバ21から離間する側)に変位する。
【0059】
図17に示すように結合爪部36aが離脱位置に外れてドライバ21がガイド部22から分離される。分離後のドライバ21は打撃バネ26の付勢力により前進する。ドライバ21の分離後、ガイド部22は反動吸収バネ62の付勢力により前進する。
図18に示すようにガイド部22が前進すると規制部22dが規制解除用の逃がし凹部38e内に相対的に進入する。これにより解除フック38aが係合爪38bを後案内柱36cから離間させる側に回動可能な状態となる。この段階では係合爪38bに対して圧縮バネ37の付勢力が後方から間接的に作用している。圧縮バネ37の付勢力で係合爪38bが前方へ押されることで、解除フック38aが
図18において支軸38cを中心にして時計回り方向に回動する。これにより係合爪38bが後案内柱36cから外れる。
【0060】
図19に示すようにガイド部22の前進により解除フック38aの係合爪38bが結合フック36の後案内柱36cから外れると、結合フック36が圧縮バネ37の付勢力により相対的に前進する。結合フック36は相対的に前進することで、前側の溝孔22bに案内されて係合位置に変位する。結合フック36が係合位置に戻されると、結合爪部36aがドライバ21の台座部21aに対して係合可能な位置に戻される。この段階でドライバ21が前進端に至って、打ち込み具Tの被打ち込み材Wに対する打ち込みがなされる。
【0061】
図20に示すようにガイド部22がさらに前進すると、結合フック36の結合爪部36aがドライバ21の台座部21aに当接される。結合爪部36aの前面には結合フック36をドライバ21の結合状態(係合位置)に戻すための結合案内部36dが設けられている。本例では、結合案内部36dとして、ドライバ21の移動方向に対して傾斜する傾斜面が設けられている。
【0062】
図21に示すように結合フック36の結合案内部36dが台座部21aに当接され、さらにガイド部22が前進することで、結合フック36が一旦離脱位置側に回動される。
図22に示すようにその後さらにガイド部22が前進して前進端に至ると、結合フック36が圧縮バネ37の付勢力により相対的に前進して係合位置に戻される。
図23に示すように結合フック36が係合位置に戻されることで、結合爪部36aが台座部21aの前面側に係合されてドライバ21がガイド部22に結合された状態に復帰する。
【0063】
ガイド部22が前進端に至ってドライバ結合機構35によりドライバ21がガイド部22に結合された後、起動状態が継続されているドライバ駆動機構40によりドライバ21とガイド部22が後方へ移動されて待機位置に戻される。
【0064】
上記実施例によれば、ドライバ21は、ドライバ分離機構38によりガイド部22から分離された状態で打ち込み方向に移動する。これにより、ドライバ21は、軽量化された状態で打撃バネ26の付勢力により打ち込み方向に移動することから、ドライバ21の移動速度が高速化されて打撃力が高められる。ガイド部22の強度を高めることで、ドライバ21の打撃力を高めつつ打撃機構20の強度が確保される。
【0065】
上記実施例によれば、結合フック36の後案内柱36c(係合受け部)に解除フック38aの係合爪38bが係合された状態でガイド部22が前進することで、結合フック36が離脱位置に変位する。これによりガイド部22からドライバ21が分離される。ガイド部22の前進動作を利用して結合フック36が離脱位置に移動されることから、ドライバ分離機構38の構成の簡略化が図られる。
【0066】
上記実施例によれば、結合爪部36aの前面(ドライバ21と結合フック36との間)に、結合フック36をドライバ21の台座部21aに対する係合位置に案内する結合案内部36dを有する。これにより、結合フック36がスムーズに係合位置に案内される。
【0067】
上記実施例によれば、ガイド部22の打ち込み方向への移動動作を利用してガイド部22にドライバ21が結合される。これによりドライバ結合機構35の構成の簡略化が図られる。
【0068】
上記実施例によれば、反動吸収バネ62の付勢力を利用してガイド部22が打ち込み方向に移動される。これにより特別の移動手段を付加する構成に比して打撃機構20の構成の簡略化が図られる。
【0069】
上記実施例によれば、ドライバ駆動機構40によりガイド部22が反打ち込み方向の移動端に至った後に、ドライバ21がガイド部22から分離される。これにより、ドライバ21の高い打撃力が効率良く発揮される。
【0070】
以上説明した実施例には種々変更を加えることができる。例えば、ガイド部22が反動吸収バネ62の付勢力により打ち込み方向に前進される構成を例示したが、ガイド部22と後部フレーム32との間に別途ガイド部前進用の圧縮バネを介装する構成としてもよい。この場合、ガイド部前進用の圧縮バネは、打撃バネ26よりも巻き径が大きく、ガイド部を前進させるに足る比較的小さな付勢力の圧縮バネを用いることができる。これにより反動吸収機構60の動作からガイド部22を切り離すことができる。従って、必要に応じて反動吸収機構の動作に変更を加え、あるいは場合によっては反動吸収機構を省略することができる。
【0071】
また、結合フック36側に結合案内部36dとしての傾斜面を設けた構成を例示したが、結合案内部はドライバ21と結合フック36との間に設けられればよい。例えば、ドライバ21の台座部21aに、結合フック36を案内する傾斜面を設けて結合案内部としてもよい。
【0072】
バッテリパック16を電源とする直流電源式の打ち込み工具1を例示したが、商用100V等の交流電源を電源とする打ち込み工具についても同様に適用することができる。打ち込み工具1として充電式タッカを例示したが、同じく機械バネ式の釘打ち機について例示した分離式ドライバを適用することができる。
【0073】
実施例のドライバ21が本開示の1つの局面におけるドライバの一例である。実施例のガイド部22が本開示の1つの局面におけるガイド部の一例である。実施例の打撃バネ26が本開示の1つの局面における打撃バネの一例である。
【0074】
実施例のドライバ結合機構35が、本開示の1つの局面におけるドライバ結合機構の一例である。実施例の結合案内部36dが、本開示の1つの局面における結合案内部の一例である。実施例の結合フック36が、本開示の1つの局面における結合フックの一例である。
【0075】
実施例のドライバ分離機構38が、本開示の1つの局面におけるドライバ分離機構の一例である。実施例の解除フック38aが、本開示の1つの局面における解除フックの一例である。実施例の係合爪38bが、本開示の1つの局面における係合爪の一例である。実施例の後案内柱36cが、本開示の1つの局面における係合受け部の一例である。実施例のドライバ結合機構35の前側の溝孔22bが、本開示の1つの局面における係脱案内部の一例である。
【0076】
実施例のドライバ駆動機構40が、本開示の1つの局面におけるドライバ駆動機構の一例である。実施例の反動吸収機構60が、本開示の1つの局面における反動吸収機構の一例である。実施例のカウンタウエイト61が、本開示の1つの局面におけるカウンタウエイトの一例である。実施例の反動吸収バネ62が、本開示の1つの局面における反動吸収バネの一例である。実施例の駆動側ラックギヤ67が、本開示の1つの局面における駆動側ラックギヤの一例である。実施例の従動側ラックギヤ68が、本開示の1つの局面における従動側ラックギヤの一例である。実施例の中間ギヤ69が、本開示の1つの局面における中間ギヤの一例である。