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特開2022-149187プリンタ、制御方法、および制御プログラム
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  • 特開-プリンタ、制御方法、および制御プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149187
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】プリンタ、制御方法、および制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20220929BHJP
【FI】
B41J2/01 129
B41J2/01 303
B41J2/01 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021051220
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100213687
【弁理士】
【氏名又は名称】平松 大輝
(72)【発明者】
【氏名】戸松 義也
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA04
2C056EB07
2C056EB14
2C056EB37
2C056EC07
2C056EC14
2C056EC35
2C056FA10
2C056FD20
2C056HA37
2C056HA44
2C056KD06
(57)【要約】
【課題】印刷画像の品質が低下する可能性を低減できるプリンタ、制御方法、および制御プログラムを提供する。
【解決手段】プリンタはプラテンとヘッドとランプと駆動機構と制御部とを備える。プラテンには印刷対象物が載置される。ヘッドはプラテンに対して第二方向に相対移動できる。ヘッドにはノズル面が設けられる。ノズル面は第一方向においてプラテンと対向し、インクを吐出する。インクは光が照射されることによって硬化する。ランプは印刷対象物に光を照射できる。駆動機構はランプをヘッドに対して第二方向に相対移動させる。制御部は第一方向において、ノズル面およびランプの少なくとも一方とプラテンおよび印刷対象物の少なくとも一方との間の第一相対距離を取得し(S1)、取得した第一相対距離に基づいて駆動機構を制御し、ランプをヘッドに対して第二方向に相対移動させる(S5、S7)。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷対象物が載置されるプラテンと、
第一方向において前記プラテンと対向する面であって、光が照射されることによって硬化するインクを吐出するノズル面が設けられ、前記プラテンに対して前記第一方向と交差する第二方向に相対移動可能なヘッドと、
前記印刷対象物に光を照射可能なランプと、
前記ランプを、前記ヘッドに対して前記第二方向に相対移動させる駆動機構と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記第一方向において、前記ノズル面および前記ランプの少なくとも一方と前記プラテンおよび前記印刷対象物の少なくとも一方との間の第一相対距離を取得し、
取得した前記第一相対距離に基づいて、前記駆動機構を制御し、前記ランプを前記ヘッドに対して前記第二方向に相対移動させる
ことを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
前記制御部は、
取得した前記第一相対距離が閾値未満または閾値以下であるか否かを判断し、
取得した前記第一相対距離が前記閾値未満または前記閾値以下の場合、前記駆動機構を制御し、前記ランプを前記第二方向において前記ヘッドに近づける方向に相対移動させ、
取得した前記第一相対距離が前記閾値以上または前記閾値より大きい値の場合、前記駆動機構を制御し、前記ランプを前記第二方向において前記ヘッドから遠ざける方向に相対移動させる
ことを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記制御部は、
取得した前記第一相対距離に応じて、前記ランプと前記ヘッドとの間の前記第二方向の第二相対距離を決定し、
決定した前記第二相対距離に応じて、前記駆動機構を制御し、前記ランプを前記ヘッドに対して前記第二方向に相対移動させる
ことを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記第一相対距離を検出するセンサを備え、
前記制御部は、
前記センサから前記第一相対距離を取得する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のプリンタ。
【請求項5】
前記ヘッドを支持するキャリッジを備え、
前記センサは、前記キャリッジに設けられる
ことを特徴とする請求項4に記載のプリンタ。
【請求項6】
前記駆動機構は、
モータと、
前記モータの回転を変換して前記ランプまたは前記ヘッドを前記第二方向に直動させる変換機構と、
を備えたことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のプリンタ。
【請求項7】
前記モータは、前記ヘッドおよび前記ランプの一方に設けられ、
前記変換機構は、前記モータの駆動によって回転するねじであり、
前記ねじは、前記ヘッドおよび前記ランプの他方に形成された穴であって、前記第二方向に延びるねじ穴に嵌る
ことを特徴とする請求項6に記載のプリンタ。
【請求項8】
前記モータは、前記ヘッドに設けられ、
前記ねじは、前記ランプに形成された前記ねじ穴に嵌まる
ことを特徴とする請求項7に記載のプリンタ。
【請求項9】
前記ヘッドは、紫外線が照射されることによって硬化するインクを前記ノズル面から吐出し、
前記ランプは、前記ノズル面から吐出されて前記印刷対象物に付着したインクに紫外線を照射する
ことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のプリンタ。
【請求項10】
印刷対象物が載置されるプラテンと、
第一方向において前記プラテンと対向する面であって、光が照射されることによって硬化するインクを吐出するノズル面が設けられ、前記プラテンに対して前記第一方向と交差する第二方向に相対移動可能なヘッドと、
前記印刷対象物に光を照射可能なランプと、
前記ランプを、前記ヘッドに対して前記第二方向に相対移動させる駆動機構と、
を備えたプリンタの制御方法であって、
前記第一方向において、前記ノズル面および前記ランプの少なくとも一方と前記プラテンおよび前記印刷対象物の少なくとも一方との間の第一相対距離を取得する取得処理と、
前記取得処理によって取得された前記第一相対距離に基づいて、前記駆動機構を制御し、前記ランプを前記ヘッドに対して前記第二方向に相対移動させる移動処理と、
を実行することを特徴とする制御方法。
【請求項11】
印刷対象物が載置されるプラテンと、
第一方向において前記プラテンと対向する面であって、光が照射されることによって硬化するインクを吐出するノズル面が設けられ、前記プラテンに対して前記第一方向と交差する第二方向に相対移動可能なヘッドと、
前記印刷対象物に光を照射可能なランプと、
前記ランプを、前記ヘッドに対して前記第二方向に相対移動させる駆動機構と、
を備えたプリンタのコンピュータに、
前記第一方向において、前記ノズル面および前記ランプの少なくとも一方と前記プラテンおよび前記印刷対象物の少なくとも一方との間の第一相対距離を取得する取得処理と、
前記取得処理によって取得された前記第一相対距離に基づいて、前記駆動機構を制御し、前記ランプを前記ヘッドに対して前記第二方向に相対移動させる移動処理と、
を実行させることを特徴とする制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、制御方法、および制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラテン上の印刷対象物に光硬化型インクを吐出し、印刷対象物に付着した光硬化型インクに光を照射することで光硬化型インクを硬化させて印刷を行うプリンタが知られている。例えば特許文献1に記載のインクジェットプリンタは、テーブルと記録ヘッドと紫外線照射装置を備える。テーブルは印刷対象物を支持する。記録ヘッドにはノズル面が形成される。記録ヘッドはノズル面からテーブル上の印刷対象物に紫外線硬化型インクを吐出する。紫外線照射装置は印刷対象物に付着した紫外線硬化型インクに紫外線を照射する。
【0003】
さらに、インクジェットプリンタは軸部材とばねと移動制限部を備える。軸部材は紫外線照射装置を支持する。軸部材には記録ヘッドが固定される。ばねは軸部材に巻き付けられ、紫外線照射装置を記録ヘッドから遠ざける方向に付勢する。移動制限部は軸部材の一端側に設けられる。移動制限部には孔が形成される。紫外線照射装置が移動制限部に接触した場合、軸部材は孔に挿入される。これにより、ばねが縮み、紫外線照射装置と記録ヘッドの間の距離が変化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-9376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記インクジェットプリンタにおいて、紫外線は紫外線照射装置から照射されると、テーブルまたは印刷対象物によって反射される。この場合、反射光がノズル面に当たる可能性がある。反射光がノズル面に当たると、ノズル面において紫外線硬化型インクが硬化する可能性がある。ノズル面において紫外線硬化型インクが硬化すると、紫外線硬化型インクの不吐出が生じ、印刷画像の品質が低下する可能性がある。
【0006】
上記インクジェットプリンタでは、第一方向において、例えばテーブルの位置によって、テーブルとノズル面の間の距離が変化する。第一方向において、例えばテーブルの位置およびテーブルからの印刷対象物の上面の高さによって、印刷対象物とノズル面の間の距離が変化する。テーブルと記録ヘッドの距離または印刷対象物と記録ヘッドの距離が変化すると、ノズル面に反射光が当たる可能性が変わる場合がある。ノズル面に反射光が当たる可能性が高くなる場合には、印刷画像の品質が低下する可能性が高くなる。
【0007】
本発明の目的は、印刷画像の品質が低下する可能性を低減できるプリンタ、制御方法、および制御プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一態様に係るプリンタは、印刷対象物が載置されるプラテンと、第一方向において前記プラテンと対向する面であって、光が照射されることによって硬化するインクを吐出するノズル面が設けられ、前記プラテンに対して前記第一方向と交差する第二方向に相対移動可能なヘッドと、前記印刷対象物に光を照射可能なランプと、前記ランプを、前記ヘッドに対して前記第二方向に相対移動させる駆動機構と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記第一方向において、前記ノズル面および前記ランプの少なくとも一方と前記プラテンおよび前記印刷対象物の少なくとも一方との間の第一相対距離を取得し、取得した前記第一相対距離に基づいて、前記駆動機構を制御し、前記ランプを前記ヘッドに対して前記第二方向に相対移動させることを特徴とする。
【0009】
第一態様によれば、プリンタは、第一相対距離に基づいて、第二方向においてランプとヘッドの間の距離を変化させることができる。これにより、プリンタは第一相対距離が変化しても、ノズル面に反射光が当たる可能性を低減できる。よって、プリンタはヘッドによるインクの不吐出を抑制できる。結果として、プリンタは印刷画像の品質が低下する可能性を低減できる。
【0010】
前記制御部は、取得した前記第一相対距離が閾値未満または閾値以下であるか否かを判断し、取得した前記第一相対距離が前記閾値未満または前記閾値以下の場合、前記駆動機構を制御し、前記ランプを前記第二方向において前記ヘッドに近づける方向に相対移動させ、取得した前記第一相対距離が前記閾値以上または前記閾値より大きい値の場合、前記駆動機構を制御し、前記ランプを前記第二方向において前記ヘッドから遠ざける方向に相対移動させてもよい。
【0011】
この場合、第一相対距離が比較的大きい場合に、プリンタはノズル面に反射光が当たる可能性を低減できる。さらに、第一相対距離が比較的小さい場合に、プリンタは第二方向においてランプとヘッドの間の距離が必要以上に大きくなることを抑制できる。すなわち、プリンタは装置の大型化および印刷範囲の縮小化を抑制できる。したがって、装置の大型化および印刷範囲の縮小化を抑制しつつ、印刷画像の品質が低下する可能性を低減できる。
【0012】
前記制御部は、取得した前記第一相対距離に応じて、前記ランプと前記ヘッドとの間の前記第二方向の第二相対距離を決定し、決定した前記第二相対距離に応じて、前記駆動機構を制御し、前記ランプを前記ヘッドに対して前記第二方向に相対移動させてもよい。
【0013】
この場合、第一相対距離が比較的大きい場合に、プリンタはノズル面に反射光が当たる可能性を低減できる。さらに、第一相対距離が比較的小さい場合に、プリンタは第二方向においてランプとヘッドの間の距離が必要以上に大きくなることを抑制できる。すなわち、プリンタは装置の大型化および印刷範囲の縮小化を抑制できる。さらに、プリンタは第二相対距離を細かい範囲で制御できる。したがって、プリンタは装置の大型化および印刷範囲の縮小化を抑制しつつ、印刷画像の品質が低下する可能性を低減できる。
【0014】
前記プリンタは、前記第一相対距離を検出するセンサを備え、前記制御部は、前記センサから前記第一相対距離を取得してもよい。
【0015】
この場合、プリンタは実際の第一相対距離と取得した第一相対距離の間に誤差が生じることを抑制できる。
【0016】
前記プリンタは、前記ヘッドを支持するキャリッジを備え、前記センサは、前記キャリッジに設けられてもよい。
【0017】
仮にセンサがヘッドに設けられる場合、ヘッド交換に伴いセンサを取り付けなおす必要がある。センサがキャリッジに設けられるので、ヘッド交換に伴ってセンサを取り付けなおす必要がない。センサがヘッドと同じ部材に設けられるので、センサは第一相対距離を正確に検出しやすい。
【0018】
前記駆動機構は、モータと、前記モータの回転を変換して前記ランプまたは前記ヘッドを前記第二方向に直動させる変換機構と、を備えてもよい。
【0019】
この場合、ランプまたはヘッドが直動するので、プリンタは第一相対距離を安定させることができる。
【0020】
前記モータは、前記ヘッドおよび前記ランプの一方に設けられ、前記変換機構は、前記モータの駆動によって回転するねじであり、前記ねじは、前記ヘッドおよび前記ランプの他方に形成された穴であって、前記第二方向に延びるねじ穴に嵌ってもよい。
【0021】
この場合、ねじがヘッドまたはランプを直接支持する。このため、変換機構とは別にヘッドまたはランプを支持する部材が必要ない。よって、プリンタは簡易な構成で、ランプをヘッドに対して第二方向に相対移動させることができる。
【0022】
前記モータは、前記ヘッドに設けられ、前記ねじは、前記ランプに形成された前記ねじ穴に嵌まってもよい。
【0023】
ヘッドの重さがランプの重さよりも重い場合には、ランプにモータが設けられるよりも、ヘッドにモータが設けられた方が、モータの駆動時の動作が安定する。プリンタでは、モータがヘッドに設けられる。よって、プリンタは安定して、ランプをヘッドに対して第二方向に相対移動させることができる。
【0024】
前記ヘッドは、紫外線が照射されることによって硬化するインクを前記ノズル面から吐出し、前記ランプは、前記ノズル面から吐出されて前記印刷対象物に付着したインクに紫外線を照射してもよい。
【0025】
この場合、紫外線によってインクが硬化するので、プリンタは印刷対象物の材質等を多様化できる。
【0026】
本発明の第二態様に係る制御方法は、印刷対象物が載置されるプラテンと、第一方向において前記プラテンと対向する面であって、光が照射されることによって硬化するインクを吐出するノズル面が設けられ、前記プラテンに対して前記第一方向と交差する第二方向に相対移動可能なヘッドと、前記印刷対象物に光を照射可能なランプと、前記ランプを、前記ヘッドに対して前記第二方向に相対移動させる駆動機構と、を備えたプリンタの制御方法であって、前記第一方向において、前記ノズル面および前記ランプの少なくとも一方と前記プラテンおよび前記印刷対象物の少なくとも一方との間の第一相対距離を取得する取得処理と、前記取得処理によって取得された前記第一相対距離に基づいて、前記駆動機構を制御し、前記ランプを前記ヘッドに対して前記第二方向に相対移動させる移動処理と、を実行することを特徴とする。
【0027】
第二態様は第一態様と同様の効果を奏することができる。
【0028】
本発明の第三態様に係る制御プログラムは、印刷対象物が載置されるプラテンと、第一方向において前記プラテンと対向する面であって、光が照射されることによって硬化するインクを吐出するノズル面が設けられ、前記プラテンに対して前記第一方向と交差する第二方向に相対移動可能なヘッドと、前記印刷対象物に光を照射可能なランプと、前記ランプを、前記ヘッドに対して前記第二方向に相対移動させる駆動機構と、を備えたプリンタのコンピュータに、前記第一方向において、前記ノズル面および前記ランプの少なくとも一方と前記プラテンおよび前記印刷対象物の少なくとも一方との間の第一相対距離を取得する取得処理と、前記取得処理によって取得された前記第一相対距離に基づいて、前記駆動機構を制御し、前記ランプを前記ヘッドに対して前記第二方向に相対移動させる移動処理と、を実行させることを特徴とする。
【0029】
第三態様は第一態様と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】プリンタ1の斜視図である。
図2】ランプ50が第一位置に位置する場合のプリンタ1を前方から見た模式図である。
図3】ランプ50が第二位置に位置する場合のプリンタ1を前方から見た模式図である。
図4】プリンタ1の電気的構成を示すブロック図である。
図5】第一メイン処理のフローチャートである。
図6】第二メイン処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図面を参照して、本発明の第一実施形態に係るプリンタ1を説明する。図1の上方、下方、左下方、右上方、右下方、および左上方が、それぞれ、プリンタ1の上方、下方、前方、後方、右方、および左方である。
【0032】
図1図3を参照し、プリンタ1の概略構成を説明する。図1に示すように、プリンタ1は搬送機構6と昇降機構8とプラテン5を備える。搬送機構6はプリンタ1の下部に設けられ、一対のレール12を含む。一対のレール12は前後方向に延び、互いに左右方向に並ぶ。
【0033】
昇降機構8は搬送機構6の上側に設けられ、一対のレール12によって支持される。昇降機構8は副走査モータ32(図4参照)の駆動により、一対のレール12に沿って前後方向に移動する。昇降機構8は昇降モータ34(図4参照)の駆動により、上下方向に伸縮する。
【0034】
プラテン5は昇降機構8の上側に設けられる。プラテン5は板であり、昇降機構8によって支持される。プラテン5は昇降機構8の上下方向の伸縮により、上下方向に移動する。プラテン5は昇降機構8の前後方向の移動により、前後方向に移動する。プラテン5の上面には印刷対象物M(図2図3参照)が載置される。印刷対象物Mは例えば板状、シート状であり、例えば布、紙、プラスチック、金属で構成される。
【0035】
プリンタ1は一対のレール11とキャリッジ20を備える。一対のレール11はプラテン5よりも上方に設けられる。一対のレール11は左右方向に延び、互いに前後方向に並ぶ。キャリッジ20は一対のレール11の前後方向の間に設けられる。キャリッジ20は板であり、一対のレール11によって支持される。キャリッジ20は主走査モータ31(図4参照)の駆動により、一対のレール11に沿って左右方向に移動する。
【0036】
キャリッジ20はヘッド10を支持する。ヘッド10の個数は特定の個数に限定されないが、第一実施形態では、二つのヘッド10がキャリッジ20に搭載される。二つのヘッド10は直方体状であり、前後方向に並ぶ。二つのヘッド10は、キャリッジ20に固定される。
【0037】
図2図3に示すように、ヘッド10の下面にはノズル面101が形成される。ノズル面101はプラテン5よりも上方に位置し、プラテン5に対して上方から対向する。ノズル面101には複数のノズル孔101aが形成される。ヘッド10は複数のノズル孔101aからインクを下方に吐出する(矢印A1参照)。一例として、インクは紫外線が照射されることによって硬化する、いわゆる紫外線硬化型インクである。
【0038】
以下では、上下方向においてノズル面101とプラテン5の間の距離を「プラテン距離D0」といい、上下方向においてノズル面101と印刷対象物Mの間の距離を「吐出距離D1」という。プラテン距離D0は特定の値、または特定の範囲に限定されないが、例えば、昇降機構8の上下方向の伸縮によって2mm~15mm程度の間を変位する。吐出距離D1はプラテン距離D0と印刷対象物Mの厚みによって変位する。ユーザは例えば吐出距離D1が目的の距離となるように、印刷対象物Mの厚みに応じて昇降機構8を伸縮させてプラテン距離D0を調整する。
【0039】
一例として、図2に示すプラテン距離D0は図3に示すプラテン距離D0と同じである。図2に示す印刷対象物Mの厚みは図3に示す印刷対象物Mの厚みよりも厚い。したがって、図2に示す吐出距離D1は図3に示す吐出距離D1よりも小さい。
【0040】
ヘッド10の右側にはランプ50が設けられる。ランプ50の個数は特定の個数に限定されないが、第一実施形態では二つのランプ50が設けられる。すなわち、第一実施形態ではプリンタ1はヘッド10の個数分のランプ50を備える。ランプ50は直方体状であり、紫外線発光ダイオード(Ultraviolet Light Emitting Diode、以下、「UVLED51」という。図4参照)を含む。
【0041】
ランプ50の下面には発光面501が形成される。発光面501はプラテン5よりも上方に位置し、プラテン5に対して上方から対向する。第一実施形態では、発光面501の上下方向の位置はノズル面101の上下方向の位置と同じである。ランプ50はUVLED51を発光させることで、紫外線を発光面501から下方に照射する(矢印A2参照)。
【0042】
ランプ50は駆動機構70によってヘッド10と連結する。駆動機構70は駆動モータ71と変換機構72を含み、ランプ50を左右方向に移動させる。駆動モータ71はヘッド10に固定される。変換機構72は駆動モータ71の回転を、ランプ50を直動させる力に変換する。変換機構72は一例としてボールねじ73である。ボールねじ73は駆動モータ71の出力軸に固定され、駆動モータ71から右方に延びる。
【0043】
ランプ50にはねじ穴55が形成される。ねじ穴55はランプ50の左面から右方に延びる。ランプ50の左面はヘッド10の右面と左右方向に対向する。ボールねじ73はねじ穴55に嵌る。これにより、駆動機構70はランプ50をヘッド10と連結させる。ランプ50は駆動機構70が駆動することで、第一位置(図2参照)と第二位置(図3参照)に移動できる。
【0044】
以下では、左右方向においてランプ50とヘッド10の間の距離を「ランプ距離D2」という。第二位置(図3参照)にランプ50がある場合、第一位置(図2参照)にランプ50がある場合よりも、ランプ距離D2が大きい。
【0045】
ランプ50が第一位置(図2参照)に位置する状態で、駆動モータ71が回転方向の一方に回転駆動すると、ボールねじ73が回転方向の一方に回転する。ボールねじ73の回転に伴って、ランプ50はヘッド10に対して右方に移動する。これにより、ランプ50はヘッド10から遠ざかり、第一位置(図2参照)から第二位置(図3参照)に移動する。
【0046】
ランプ50が第二位置(図3参照)に位置する状態で、駆動モータ71が回転方向の他方に回転駆動すると、ボールねじ73が回転方向の他方に回転する。ボールねじ73の回転に伴って、ランプ50は、ヘッド10に対して左方に移動する。これにより、ランプ50はヘッド10に近づき、第二位置(図3参照)から第一位置(図2参照)に移動する。
【0047】
図4を参照し、プリンタ1の電気的構成を説明する。プリンタ1は制御基板40を備える。制御基板40にはCPU41、ROM42、RAM43、およびフラッシュメモリ44が設けられる。CPU41はプリンタ1の制御を司り、ROM42、RAM43、およびフラッシュメモリ44と電気的に接続する。
【0048】
ROM42は、CPU41がプリンタ1の動作を制御するための制御プログラム、各種プログラムの実行時にCPU41が必要な情報等を記憶する。RAM43は、制御プログラムで用いられる各種データ等を一時的に記憶する。フラッシュメモリ44は、不揮発性であり、印刷を行うための印刷データ等を記憶する。
【0049】
CPU41には主走査モータ31、副走査モータ32、ヘッド駆動部33、昇降モータ34、UVLED51、駆動モータ71、距離センサ35、および操作部37が電気的に接続される。主走査モータ31、副走査モータ32、ヘッド駆動部33、昇降モータ34、UVLED51、および駆動モータ71はCPU41による制御によって駆動する。
【0050】
駆動モータ71にはエンコーダ711が設けられる。エンコーダ711は駆動モータ71の回転角度を検出し、検出信号をCPU41に出力する。CPU41はエンコーダ711からの検出信号に基づいて、ヘッド10に対するランプ50の左右方向の位置を特定できる。ヘッド駆動部33は圧力素子、発熱素子等であり、駆動することでヘッド10にノズル面101からインクを吐出させる。
【0051】
操作部37はタッチパネル等であり、ユーザによる操作に応じた情報をCPU41に出力する。ユーザは操作部37を操作することで、プリンタ1による印刷を開始するための印刷指示等をプリンタ1に入力できる。
【0052】
図2図3に示すように、距離センサ35は光センサであり、キャリッジ20に固定される。距離センサ35は吐出距離D1を検出し、検出信号をCPU41に出力する。CPU41は距離センサ35からの検出信号に基づいて、吐出距離D1を特定できる。
【0053】
上記プリンタ1において、ランプ50から発光された紫外線は、印刷対象物Mによって反射する(矢印A3参照)。印刷対象物Mによる反射光はノズル面101に当たる可能性がある。印刷対象物Mによる反射光の反射角度は、吐出距離D1の大きさによって異なる。したがって、印刷対象物Mによる反射光がノズル面101に当たる可能性は吐出距離D1によって異なる。
【0054】
本実施形態では、吐出距離D1が比較的大きく、且つランプ距離D2が比較的小さいと、ノズル面101に反射光が当たる可能性が高くなる。吐出距離D1が比較的小さく、且つランプ距離D2が比較的大きいと、ノズル面101に反射光が当たる可能性が低くなる。一方で、吐出距離D1が比較的小さく、且つランプ距離D2が比較的大きい場合には、ランプ距離D2が大きい分、左右方向において、ヘッド10の移動範囲を狭くする必要、またはヘッド10による印刷範囲に応じた移動範囲を確保する必要がある。結果として、ヘッド10の移動範囲を狭くした場合には、ヘッド10による印刷範囲の縮小化につながる可能性があり、ヘッド10による印刷範囲に応じた移動範囲を確保した場合には、装置の大型化につながる可能性がある。
【0055】
プリンタ1は以下説明する第一メイン処理において、吐出距離D1に応じてランプ距離D2を制御する。これにより、プリンタ1は装置の大型化および印刷範囲の縮小化を抑制しつつ、印刷対象物Mによる反射光がノズル面101に当たる可能性を低減できる。
【0056】
図5を参照し、第一メイン処理を説明する。ユーザはプラテン5上に印刷対象物Mを載置する。ユーザは操作部37(図4参照)を操作し、印刷指示をプリンタ1に入力する。印刷指示が入力されると、CPU41は、ROM42から制御プログラムを読み出して動作することで、第一メイン処理を実行する。
【0057】
第一メイン処理が開始されると、CPU41は吐出距離D1を取得する(S1)。S1では、CPU41はテスト走査を行う。テスト走査では、CPU41は副走査モータ32を駆動し、キャリッジ20の移動経路の下方まで、プラテン5を後方に移動させる。この状態で、CPU41は主走査モータ31を駆動し、ヘッド10からインクを吐出させることなく、キャリッジ20を左右方向に移動させる。これにより、印刷対象物Mの上方を距離センサ35が移動する。距離センサ35は吐出距離D1を検出し、検出信号をCPU41に出力する。CPU41は、プラテン5に対してキャリッジ20が所定の位置に配置された一点において、距離センサ35からの検出信号に基づいて、吐出距離D1を取得し、RAM43に記憶する。
【0058】
CPU41は取得した吐出距離D1が閾値未満であるか否かを判断する(S3)。閾値はROM42に記憶されている。閾値は特定の値に限定されないが、例えばプラテン距離D0の下限よりも大きく、プラテン距離D0の上限よりも小さい。
【0059】
吐出距離D1が閾値未満の場合(S3:YES)、CPU41はランプ50を第一位置(図2参照)に移動させる(S5)。S5では、CPU41はエンコーダ711からの検出信号に基づいて、ランプ50が第一位置(図2参照)と第二位置(図3参照)のいずれの位置に位置するか判断する。ランプ50が第一位置に位置する場合、CPU41は駆動モータ71を駆動しない。ランプ50が第二位置に位置する場合、CPU41はエンコーダ711からの検出信号に基づいて、駆動モータ71を回転方向の他方に回転させて、ランプ50を第一位置まで移動させる。
【0060】
吐出距離D1が閾値以上の場合(S3:NO)、CPU41はランプ50を第二位置(図3参照)に移動させる(S7)。S7では、CPU41はエンコーダ711からの検出信号に基づいて、ランプ50が第一位置(図2参照)と第二位置(図3参照)のいずれの位置に位置するか判断する。ランプ50が第二位置に位置する場合、CPU41は駆動モータ71を駆動しない。ランプ50が第一位置に位置する場合、CPU41はエンコーダ711からの検出信号に基づいて、駆動モータ71を回転方向の一方に回転させて、ランプ50を第二位置まで移動させる。
【0061】
CPU41は印刷データに基づいて印刷制御を行う(S9)。印刷制御では、CPU41は副走査モータ32を駆動し、キャリッジ20の移動経路の下方まで、プラテン5を後方に移動させる。第一実施形態では、CPU41はいわゆる片方向印刷を制御する。
【0062】
CPU41は主走査モータ31を駆動し、キャリッジ20を右方から左方に移動させる。この場合、CPU41はヘッド駆動部33とUVLED51を駆動し、ヘッド10に対してノズル面101からプラテン5上の印刷対象物Mにインクを吐出させ、且つ発光面501に対してプラテン5上の印刷対象物Mに紫外線を照射させる(図2図3の矢印Y1参照)。
【0063】
ランプ50がヘッド10よりも右方に位置する。このため、キャリッジ20が右方から左方に移動する場合には、ランプ50から印刷対象物Mに照射された紫外線(図2図3の矢印A2参照)は、実行中のヘッド10の走査において印刷対象物Mに付着したインクに照射される。これにより、印刷対象物M上のインクが硬化する。
【0064】
CPU41は、主走査モータ31を駆動し、キャリッジ20を左方から右方に移動させる。この場合、CPU41はヘッド駆動部33とUVLED51のうちUVLED51のみを駆動し、ヘッド10に対してノズル面101からインクを吐出させず、且つ発光面501に対してプラテン5上の印刷対象物Mに紫外線を照射させる(図2図3の矢印Y2参照)。
【0065】
キャリッジ20が左方から右方に移動する場合には、ランプ50から印刷対象物Mに照射された紫外線(図2図3の矢印A2参照)は、前回のヘッド10の走査において印刷対象物Mに付着したインクに照射される。これにより、印刷対象物M上のインクに照射される紫外線の積算量が増加する。
【0066】
ヘッド10の左右方向への一往復の走査が所定回数終わると、CPU41は副走査モータ32を駆動し、プラテン5を所定量前方へ移動させる。CPU41はヘッド10の左右方向への所定回数の走査とプラテン5の前方への所定量の移動を繰り返すことで、プラテン5上の印刷対象物Mへの印刷を制御する。所定回数は1回でもよいし、2回以上でもよい。印刷対象物Mへの印刷が終了すると、CPU41は第一メイン処理を終了する。
【0067】
以上説明したように、第一実施形態では、CPU41は吐出距離D1に基づいて、駆動機構70を制御し、ランプ50をヘッド10に対して左右方向に相対移動させる。これによれば、プリンタ1は、吐出距離D1に基づいて、左右方向においてランプ50とヘッド10の間の距離を変化させることができる。これにより、プリンタ1は吐出距離D1が変化しても、ノズル面101に反射光が当たる可能性を低減できる。よって、プリンタ1はヘッド10によるインクの不吐出を抑制できる。結果として、プリンタ1は印刷画像の品質が低下する可能性を低減できる。
【0068】
吐出距離D1が閾値未満の場合、CPU41は駆動機構70を制御し、ランプ50を左右方向においてヘッド10に近づける方向に相対移動させる。これによれば、吐出距離D1が比較的小さい場合に、プリンタ1は左右方向においてランプ50とヘッド10の間の距離が必要以上に大きくなることを抑制できる。すなわち、プリンタ1は装置の大型化および印刷範囲の縮小化を抑制できる。吐出距離D1が閾値以上の場合、CPU41は駆動機構70を制御し、ランプ50を左右方向においてヘッド10から遠ざける方向に移動させる。これによれば、吐出距離D1が比較的大きい場合でもプリンタ1はノズル面101に反射光が当たる可能性を低減できる。プリンタ1はノズル面101に反射光が当たる可能性を低減することで、ヘッド10によるインクの不吐出を抑制できる。結果として、プリンタ1は印刷画像の品質が低下する可能性を低減できる。プリンタ1は比較的簡易な構成で、装置の大型化および印刷範囲の縮小化を抑制しつつ、印刷画像の品質が低下する可能性を低減できる。
【0069】
CPU41は、距離センサ35から吐出距離D1を取得する。これによれば、プリンタ1は実際の吐出距離D1と取得した吐出距離D1の間に誤差が生じることを、例えばユーザによって手入力された吐出距離D1を取得する場合に比べて抑制できる。
【0070】
距離センサ35は、キャリッジ20に設けられる。仮に距離センサ35がヘッド10に設けられる場合、ヘッド10交換に伴い距離センサ35を取り付けなおす必要がある。距離センサ35がキャリッジ20に設けられるので、ヘッド10交換に伴って距離センサ35を取り付けなおす必要がない。距離センサ35がヘッド10と同じ部材(キャリッジ20)に設けられるので、距離センサ35は吐出距離D1を、例えば距離センサ35がキャリッジ20以外の部材に設けられる場合に比べて正確に検出しやすい。
【0071】
変換機構72は駆動モータ71の回転を変換してランプ50を左右方向に直動させる。これによれば、ランプ50が直動するので、プリンタ1は吐出距離D1を、例えばランプ50が回転または蛇行する場合に比べて安定させることができる。
【0072】
駆動モータ71はヘッド10に設けられる。ボールねじ73はねじ穴55に嵌り、駆動モータ71の駆動によって回転する。ねじ穴55はランプ50に形成され、左右方向に延びる。これによれば、ボールねじ73がランプ50を直接支持する。このため、変換機構72とは別にランプ50を支持する部材が必要ない。よって、プリンタ1は簡易な構成で、ランプ50をヘッド10に対して左右方向に相対移動させることができる。
【0073】
駆動モータ71はヘッド10に設けられる。ねじ穴55はランプ50に設けられる。ヘッド10の重さがランプ50の重さよりも重い場合には、ランプ50に駆動モータ71が設けられるよりも、ヘッド10に駆動モータ71が設けられた方が、駆動モータ71の駆動時の動作が安定する。プリンタ1では、駆動モータ71がヘッド10に設けられる。よって、プリンタ1は安定して、ランプ50をヘッド10に対して左右方向に相対移動させることができる。
【0074】
ヘッド10は、紫外線が照射されることによって硬化するインクをノズル面101から吐出する。ランプ50は、ノズル面101から吐出されて印刷対象物Mに付着したインクに紫外線を照射する。これによれば、紫外線によってインクが硬化するので、プリンタ1は印刷対象物Mの材質等を多様化できる。すなわち、プリンタ1はインクが比較的定着しにくい印刷対象物Mにも印刷できる。
【0075】
本発明の第二実施形態に係るプリンタ1を説明する。第二実施形態のプリンタ1の機械的構成と電気的構成は、それぞれ、第一実施形態のプリンタ1の機械的構成と電気的構成と同じである。第二実施形態のプリンタ1は第一メイン処理(図5参照)に代えて、第二メイン処理(図6参照)を実行する点が第一実施形態のプリンタ1と異なる。
【0076】
図6を参照し、第二メイン処理を説明する。第二メイン処理において、第一メイン処理と同等の処理については第一メイン処理と同一のステップ番号を付して説明を省略する。印刷指示が入力されると、CPU41は、ROM42から制御プログラムを読み出して動作することで、第二メイン処理を実行する。
【0077】
第二メイン処理が開始されると、CPU41はS1の処理の後、距離関係テーブル(図示略)を参照し、吐出距離D1に基づいて、ランプ距離D2を決定する(S11)。CPU41は決定したランプ距離D2をRAM43に記憶する。距離関係テーブルは、ROM42に記憶されている。距離関係テーブルは、吐出距離D1の大きさに対応付けて、ランプ距離D2の大きさを定める。距離関係テーブルは吐出距離D1が大きくなるにつれてランプ距離D2も大きくなるようにランプ距離D2を定める。S11では、CPU41は距離関係テーブルを参照し、吐出距離D1に対応するランプ距離D2を決定する。
【0078】
CPU41は決定したランプ距離D2に応じて駆動機構70を制御し、ランプ50を左方または右方に移動させる(S13)。S13では、CPU41はエンコーダ711からの検出信号に基づいて、ヘッド10とランプ50との間の左右方向の距離が、決定されたランプ距離D2となるように、駆動モータ71を制御する。CPU41は印刷制御を行い(S9)、第二メイン処理を終了する。
【0079】
第二実施形態では、CPU41は、吐出距離D1に応じて、ランプ50とヘッド10との間の左右方向のランプ距離D2を決定する。CPU41は、決定したランプ距離D2に応じて、駆動機構70を制御し、ランプ50をヘッド10に対して左右方向に相対移動させる。これによれば、第一位置と第二位置との間には、吐出距離D1に対応する位置が連続的に設けられる。このため、CPU41は第一位置と第二位置のいずれかにランプ50を移動させるだけなく、第一位置と第二位置との間において、ランプ50の位置を、吐出距離D1に応じてアナログ的に変化させることができる。これにより、プリンタ1はランプ距離D2を細かい範囲で制御できる。したがって、プリンタ1は装置の大型化および印刷範囲の縮小化を抑制しつつ、印刷画像の画質が低下する可能性をさらに低減できる。
【0080】
上記実施形態において、印刷対象物Mが本発明の「印刷対象物」に相当する。プラテン5が本発明の「プラテン」に相当する。プリンタ1の上下方向が本発明の「第一方向」に相当する。ノズル面101が本発明の「ノズル面」に相当する。プリンタ1の左右方向が本発明の「第二方向」に相当する。ヘッド10が本発明の「ヘッド」に相当する。ランプ50が本発明の「ランプ」に相当する。駆動機構70が本発明の「駆動機構」に相当する。CPU41が本発明の「制御部」に相当する。吐出距離D1が本発明の「第一相対距離」に相当する。
【0081】
ランプ距離D2が本発明の「第二相対距離」に相当する。距離センサ35が本発明の「センサ」に相当する。キャリッジ20が本発明の「キャリッジ」に相当する。駆動モータ71が本発明の「モータ」に相当する。変換機構72が本発明の「変換機構」に相当する。ボールねじ73が本発明の「ねじ」に相当する。ねじ穴55が本発明の「ねじ穴」に相当する。図5のS1の処理が本発明の「取得処理」に相当する。図5のS5の処理が本発明の「移動処理」に相当する。
【0082】
本発明は上記実施形態から種々変更できる。以下説明する各種変形例は、矛盾が生じない限りそれぞれ組み合わせ可能である。上記実施形態において、ランプ50はヘッド10の右方に設けられる。これに対し、ランプ50はヘッド10の左方に設けられてもよいし、ヘッド10の右方と左方の両方に設けられてもよい。例えばヘッド10の左右両方にランプ50が設けられる場合、プリンタ1はいわゆる双方向印刷を行ってもよい。すなわち、キャリッジ20が右方から左方に移動する場合、ヘッド10はインクを吐出しながら右方から左方に走査し、キャリッジ20が左方から右方に移動する場合、ヘッド10はインクを吐出しながら左方から右方に走査してもよい。
【0083】
上記実施形態では、ヘッド10は左右方向に移動する。これに対し、ヘッド10はラインヘッドでもよい。この場合、ヘッド10はプラテン5の移動によってプラテン5に対して前後方向に相対移動する。このため、ランプ50はヘッド10の後方および前方の一方または両方に設けられる。この場合、プリンタ1は駆動機構70と同様の構成でランプ50を後方または前方に移動させる。一例として、ランプ50がヘッド10の後方に設けられる場合、ランプ50の前面にねじ穴55が設けられる。ボールねじ73は駆動モータ71から後方に延び、ねじ穴55に嵌る。この場合、駆動モータ71の駆動によってボールねじ73が回転すると、ランプ50がヘッド10に対して後方または前方に移動する。
【0084】
上記実施形態では、キャリッジ20が左方から右方に移動する場合には、ランプ50は紫外線を照射しながら左方から右方に走査する。これに対して、キャリッジ20が左方から右方に移動する場合には、ランプ50は紫外線を照射せずに左方から右方に走査してもよい。
【0085】
上記実施形態では、プリンタ1は紫外線硬化型インクを採用する。これに対し、プリンタ1は光が照射されることによって硬化するインクであれば、例えば可視光または赤外線が照射されることによって硬化するインクを採用してもよい。この場合、ランプ50は可視光または赤外線を発光する。
【0086】
上記実施形態では、発光面501の上下方向の位置はノズル面101の上下方向の位置と同じである。これに対し、発光面501の上下方向の位置はノズル面101の上下方向の位置よりも上方または下方であってもよい。
【0087】
上記実施形態では、プラテン5とノズル面101は互いに上下方向に対向する。これに対し、プラテン5とノズル面101は互いに左右方向に対向してもよいし、互いに前後方向に対向してもよい。例えばプラテン5とノズル面101が互いに左右方向または前後方向に対向する場合、ヘッド10はプラテン5に対して上下方向に相対移動してもよい。この場合、駆動機構70はランプ50をヘッド10に対して上下方向に相対移動させてもよい。
【0088】
上記実施形態では、キャリッジ20にヘッド10が固定され、ヘッド10に対してランプ50が左右方向に移動する。これに対し、キャリッジ20にランプ50が固定され、ランプ50に駆動機構70を介してヘッド10が連結されてもよい。すなわち、ヘッド10は、キャリッジ20には固定されず、キャリッジ20によってランプ50を介して支持されてもよい。この場合、駆動機構70はヘッド10をランプ50に対して左右方向に移動させる。
【0089】
上記実施形態では、ヘッド10に駆動モータ71が設けられる。これに対し、駆動モータ71はランプ50に設けられてもよい。この場合、例えばねじ穴55はヘッド10に形成されてもよい。駆動モータ71は例えばキャリッジ20に固定されてもよい。
【0090】
上記実施形態では、変換機構72はボールねじ73を含む。これに対し、変換機構72はボールねじ73の代わりに例えば台形ねじを含んでもよいし、例えばラックアンドピニオン機構を含んでもよい。上記実施形態では、駆動機構70は駆動モータ71を含む。これに対し、駆動機構70は駆動モータ71に代えて、例えばシリンダを含んでもよい。この場合、駆動機構70は変換機構72を省略できる。
【0091】
上記実施形態では、CPU41はS1において吐出距離D1を取得する。これに対し、CPU41はプラテン距離D0を取得してもよい。例えば距離センサ35はプラテン距離D0を検出してもよい。プラテン距離D0は上下方向において発光面501とプラテン5の間の距離であってもよい。吐出距離D1は上下方向において発光面501と印刷対象物Mの間の距離であってもよい。第一実施形態において、CPU41は、プラテン距離D0を取得する場合、S3において、取得したプラテン距離D0が閾値未満であるか否かを判断する。第二実施形態において、CPU41は、プラテン距離D0を取得する場合、S11において、取得したプラテン距離D0に基づいて、ランプ距離D2を決定する。
【0092】
上記実施形態では、距離センサ35は光センサである。これに対し、距離センサ35はイメージセンサ、スイッチセンサ等でもよい。例えば昇降モータ34にエンコーダが設けられてもよい。CPU41はエンコーダからの検出信号に基づいてプラテン5の上下方向の位置を判断し、上下方向においてプラテン5とノズル面101の間の距離、またはプラテン5と発光面501との間の距離を特定してもよい。
【0093】
上記実施形態において、CPU41による吐出距離D1の取得方法は適宜変更できる。ユーザが操作部37を操作し、手入力で吐出距離D1をプリンタ1に入力してもよい。この場合、CPU41は操作部37を介して吐出距離D1を取得する。ユーザが外部機器を操作し、手入力で吐出距離D1を外部機器に入力してもよい。この場合、ユーザは外部機器または操作部37を操作し、プリンタ1と外部機器を互いに通信させる。CPU41は通信によって外部機器から吐出距離D1を取得する。手入力された吐出距離D1をCPU41が取得する場合、プリンタ1は距離センサ35を省略してもよい。したがって、プリンタ1は装置の大型化を抑制でき、簡易な構成で吐出距離D1を取得できる。
【0094】
上記実施形態では、CPU41はエンコーダ711からの検出信号に基づいて駆動モータ71を制御することで、ランプ距離D2を制御する。これに対し、プリンタ1は例えば原点センサを備えてもよい。原点センサは駆動モータ71の原点またはヘッド10に対するランプ50の左右方向の相対位置の原点を検出する。CPU41は原点センサによって検出された原点を基準として、駆動モータ71を制御し、ランプ距離D2を制御してもよい。
【0095】
上記実施形態では、距離センサ35はキャリッジ20に設けられる。これに対し、距離センサ35はヘッド10に設けられてもよいし、ランプ50に設けられてもよいし、プラテン5に設けられてもよい。すなわち、距離センサ35は吐出距離D1を検出可能であれば、いずれの位置に設けられてもよい。
【0096】
上記実施形態では、ヘッド10の方がランプ50よりも重い。これに対し、ランプ50の方がヘッド10よりも重くてもよいし、ヘッド10の重さはランプ50の重さと同じであってもよい。
【0097】
第一実施形態では、S3において、CPU41は吐出距離D1が閾値未満であるか否かを判断する。これに対し、CPU41は吐出距離D1が閾値以下であるか否かを判断してもよい。吐出距離D1が閾値未満または閾値以下の場合、CPU41は、駆動機構70を制御し、ランプ50を左方へ一定量移動させてもよい。吐出距離D1が閾値以上または閾値より大きい値の場合、CPU41は駆動機構70を制御し、ランプ50を右方へ一定量移動させてもよい。
【0098】
印刷対象物Mのうち、ヘッド10の1回の走査に応じた位置、すなわち印刷対象物Mのうち、ヘッド10の1回の走査によってインクが付着するラインを「対象ライン」という。第一実施形態では、CPU41は印刷制御(S9)の前に、S5またはS7においてランプ50を第一位置または第二位置に移動させる。これに対し、CPU41は印刷制御中において、ヘッド10の左右方向への所定回数の走査の前に、その都度、対象ラインにおける吐出距離D1に基づいて、ランプ50を第一位置または第二位置に移動させてもよい。第二実施形態では、CPU41は印刷制御(S9)の前に、S11においてヘッド10とランプ50との間の左右方向の距離が、決定されたランプ距離D2となるように、ランプ50を左右方向に移動させる。これに対し、CPU41は印刷制御中において、ヘッド10の左右方向への所定回数の走査の前に、その都度、対象ラインにおける吐出距離D1に基づいて、ヘッド10とランプ50との間の左右方向の距離が、決定されたランプ距離D2となるように、ランプ50を左右方向に移動させてもよい。これらの場合、CPU41は印刷制御中において、ヘッド10の左右方向への所定回数の走査の前に、その都度、対象ラインについてテスト走査を行ってもよいし、S1において、全対象ラインについてテスト走査を行ってもよい。
【0099】
第一実施形態では、閾値はROM42に記憶されていた。これに対し、閾値は、フラッシュメモリ44に記憶され、ユーザによって変更可能であってもよい。CPU41は外部機器から閾値を取得し、RAM43に記憶してもよい。
【0100】
第二実施形態では、距離関係テーブルはROM42に記憶されていた。これに対し、距離関係テーブルは、フラッシュメモリ44に記憶され、ユーザによって変更可能であってもよい。CPU41は外部機器から距離関係テーブルを取得し、RAM43に記憶してもよい。CPU41はS11においてランプ距離D2の決定方法を適宜変更できる。例えばCPU41は、S11において、数式に吐出距離D1を数式に代入し、ランプ距離D2を算出してもよい。数式はROM42、フラッシュメモリ44、またはRAM43に記憶される。
【0101】
上記実施形態において、第一メイン処理または第二メイン処理の開始時には、ランプ50は第一位置に位置してもよいし、第二位置に位置してもよいし、第一位置と第二位置の間に位置してもよい。CPU41は、例えば、印刷制御の終了時にランプ50を第一位置に移動させて、第一メイン処理または第二メイン処理を終了してもよい。この場合、第一メイン処理または第二メイン処理の開始時にはランプ50は第一位置に位置する。このため、例えば第一実施形態では、吐出距離D1が閾値未満の場合には、CPU41はランプ50を移動させることなく印刷制御を実行できる。よって、この場合には、プリンタ1は印刷指示の取得から印刷制御までの間の時間を短縮できる。
【0102】
上記実施形態では、CPU41は、S1において、プラテン5に対してキャリッジ20が所定の位置に配置された一点において、吐出距離D1を取得する。これに対し、CPU41は、複数の点において、吐出距離D1を取得してもよい。この場合、CPU41は取得した複数の吐出距離D1のうち平均値、中央値、最小値、最大値等のいずれかを吐出距離D1としてRAM43に記憶する。
【0103】
例えば、ランプ距離D2が一定の状態で吐出距離D1が小さくなるにつれてノズル面101に反射光が当たる可能性が高くなる場合がある。この場合、第一実施形態において、CPU41は、吐出距離D1が閾値未満の場合に、ランプ50を第二位置に移動させ、吐出距離D1が閾値以上の場合に、ランプ50が第一位置に移動させてもよい。第二実施形態において、CPU41は、吐出距離D1が小さくなるにつれてランプ距離D2が大きくなるようにランプ距離D2を決定してもよい。つまり、上記実施形態において、CPU41は吐出距離D1が比較的大きい場合に、ランプ50をヘッド10に近づけ、吐出距離D1が比較的小さい場合に、ランプ50をヘッド10から遠ざけてもよい。
【0104】
これによれば、吐出距離D1が比較的大きい場合に、プリンタ1は左右方向においてランプ50とヘッド10の間の距離が必要以上に大きくなることを抑制できる。すなわち、プリンタ1は装置の大型化および印刷範囲の縮小化を抑制できる。吐出距離D1が比較的小さい場合でもプリンタ1はノズル面101に反射光が当たる可能性を低減できる。よって、プリンタ1は装置の大型化および印刷範囲の縮小化を抑制しつつ、印刷画像の品質が低下する可能性を低減できる。
【符号の説明】
【0105】
1 プリンタ
5 プラテン
10 ヘッド
20 キャリッジ
35 距離センサ
41 CPU
50 ランプ
55 ねじ穴
70 駆動機構
71 駆動モータ
72 変換機構
73 ボールねじ
101 ノズル面
図1
図2
図3
図4
図5
図6