(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022014919
(43)【公開日】2022-01-20
(54)【発明の名称】投射型表示装置
(51)【国際特許分類】
G03B 21/16 20060101AFI20220113BHJP
【FI】
G03B21/16
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021168292
(22)【出願日】2021-10-13
(62)【分割の表示】P 2021552729の分割
【原出願日】2021-03-29
(31)【優先権主張番号】P 2020088344
(32)【優先日】2020-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】特許業務法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺崎 和弥
【テーマコード(参考)】
2K203
【Fターム(参考)】
2K203FA03
2K203FA24
2K203FA34
2K203FA44
2K203FA45
2K203FA62
2K203LA06
2K203LA13
2K203LA22
2K203LA26
2K203LA27
2K203LA28
2K203LA37
2K203MA24
(57)【要約】
【課題】静音性を向上させることが可能な投射型表示装置を提供する。
【解決手段】本開示の一実施の形態の投射型表示装置は、光源部と、光源部から射出される光を変調する空間変調素子を備えた画像形成光学系と、空間変調素子からの光を投射する投射光学系と、互いに略直角に配置された吸気口および送風口を有し、吸気口から吸い込まれた空気を送風口に向けて送風するファンを含む冷却部と、吸気口に面して配置されたヒートシンクと、送風口の近傍に配置された発熱部と、冷却部と共にヒートシンクを囲み開口部を有する第1の筐体と、第1の筐体および発熱部を囲む第2の筐体とを備え、冷却部の送風口から送風され発熱部を通過した空気の少なくとも一部は、開口部を通って冷却部の吸気口に戻る。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源部と、
前記光源部から射出される光を変調する空間変調素子を備えた画像形成光学系と、
前記空間変調素子からの光を投射する投射光学系と、
互いに略直角に配置された吸気口および送風口を有し、前記吸気口から吸い込まれた空気を前記送風口に向けて送風するファンを含む冷却部と、
前記吸気口に面して配置されたヒートシンクと、
前記送風口の近傍に配置された発熱部と、
前記冷却部と共に前記ヒートシンクを囲み開口部を有する第1の筐体と、
前記第1の筐体および前記発熱部を囲む第2の筐体とを備え、
前記冷却部の前記送風口から送風され前記発熱部を通過した前記空気の少なくとも一部は、前記開口部を通って前記冷却部の前記吸気口に戻る
投射型表示装置。
【請求項2】
前記発熱部を通過した前記空気の少なくとも一部は、前記第2の筐体の内部を循環した後、前記開口部を通って前記冷却部の前記吸気口に戻る、請求項1に記載の投射型表示装置。
【請求項3】
前記ファンは、一方に吸気口を有する一対の平面部と、送風口を有する側面部とを有し、前記ヒートシンクに対して前記吸気口を有する平面部が正対配置されている、請求項1に記載の投射型表示装置。
【請求項4】
前記ヒートシンクは、複数のフィンが所定の間隔で立設された熱交換器であり、
前記ファンの前記吸気口を有する前記平面部は、前記複数のフィンが立設されてなる面に対して正対配置されている、請求項3に記載の投射型表示装置。
【請求項5】
前記ファンは、モータと、前記モータのロータと一体に回転する回転羽根からなる本体部と、前記本体部を収容する第3の筐体とからなり、
前記第3の筐体が前記第1の筐体の一部を構成している、請求項1に記載の投射型表示装置。
【請求項6】
前記ファンは、一方に第1の吸気口を有する一対の平面部と、送風口を有する側面部と、前記第1の吸気口と空間的に接続された第2の吸気口を形成するダクトとを有し、
前記第2の吸気口が前記ヒートシンクに対して正対配置されている、請求項1に記載の投射型表示装置。
【請求項7】
前記ファンは、一方に第1の吸気口を有する一対の平面部と、送風口を有する側面部と、前記側面部と前記第1の筐体とによって構成される第2の吸気口とを有し、
前記第2の吸気口が前記ヒートシンクに対して正対配置されている、請求項1に記載の投射型表示装置。
【請求項8】
前記ヒートシンクは、複数のフィンが所定の間隔で立設された熱交換器であり、
前記ファンの前記第2の吸気口は、前記複数のフィンが立設されてなる面に対して正対配置されている、請求項6に記載の投射型表示装置。
【請求項9】
前記冷却部は、第1のファンおよび第2のファンを有し、
前記第1のファンおよび前記第2のファンは、前記ヒートシンクの上方に積層されている、請求項1に記載の投射型表示装置。
【請求項10】
前記第1のファンの吸気口は、前記ヒートシンクと正対し、
前記第2のファンの吸気口は、前記第1のファンを間にして前記ヒートシンクと正対している、請求項9に記載の投射型表示装置。
【請求項11】
前記冷却部はさらに第3のファンを有し、
前記第3のファンは、前記第1のファンおよび前記第2のファンの積層方向に沿って配置されている、請求項9に記載の投射型表示装置。
【請求項12】
前記第3のファンの吸気口は、積層された前記第1のファンおよび前記第2のファンとは反対側に配置されている、請求項11に記載の投射型表示装置。
【請求項13】
前記第3のファンの吸気口は、ダクトを介して前記ヒートシンクと空間的に接続されている、請求項11に記載の投射型表示装置。
【請求項14】
前記発熱部は前記画像形成光学系である、請求項1に記載の投射型表示装置。
【請求項15】
前記画像形成光学系は偏光板を有し、
前記空気は、前記偏光板へ向けて送風される、請求項14に記載の投射型表示装置。
【請求項16】
前記ファンは、シロッコファンまたは遠心ファンである、請求項1に記載の投射型表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば、光学系を冷却する冷却部を備えた投射型表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1では、略密閉された第1空間内に配置された第1冷却対象を冷却する第1冷媒(気体)が循環する第1循環流路と、第1冷媒を冷却する第2冷媒および第3冷媒(それぞれ液体)が、それぞれ循環する第2循環流路および第3循環流路とを有するプロジェクタが開示されている。特許文献2では、互いに並列に配置された照明光学部および画像形成部を冷却する密閉空間に設けられた第1の空気路と、密閉空間を形成するハウジングと、照明光学部および画像形成部に加えて光源部を収容する筐体との間に設けられ、光源部を冷却する第2の空気路とを有する投射型表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-84777号公報
【特許文献2】特開2008-170774号公報
【発明の概要】
【0004】
ところで、投射型表示装置では静音性の向上が求められている。
【0005】
よって、静音性を向上させることが可能な投射型表示装置を提供することが望ましい。
【0006】
本開示の一実施形態の投射型表示装置は、光源部と、光源部から射出される光を変調する空間変調素子を備えた画像形成光学系と、空間変調素子からの光を投射する投射光学系と、互いに略直角に配置された吸気口および送風口を有し、吸気口から吸い込まれた空気を送風口に向けて送風するファンを含む冷却部と、吸気口に面して配置されたヒートシンクと、送風口の近傍に配置された発熱部と、冷却部と共にヒートシンクを囲み開口部を有する第1の筐体と、第1の筐体および発熱部を囲む第2の筐体とを備えたものであり、冷却部の送風口から送風され発熱部を通過した空気の少なくとも一部は、開口部を通って冷却部の吸気口に戻る。
【0007】
本開示の一実施形態の投射型表示装置では、空間変調素子を含む画像形成光学系へ冷却風を送風する冷却部に設けられたファンの吸気口に面してヒートシンクを配置することにより、ヒートシンクによってファンから生じる騒音を遮音する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の実施の形態に係る投射型表示装置の概略構成を表す模式図である。
【
図2】
図1に示した光源部の構成の一例を表す図である。
【
図3】
図1に示した冷却部および熱交換器の構成の一例を表す斜視図である。
【
図4】
図3に示したI-I線における断面図である。
【
図5】
図3に示したII-II線における断面図である。
【
図6】
図1に示した投射型表示装置内における冷却部および熱交換器の収容例を表す図である。
【
図7】本開示の変形例1に係る冷却部および熱交換器の構成の他の例を表す断面図である。
【
図8】本開示の変形例2に係る冷却部および熱交換器の構成の他の例を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示における実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下の説明は本開示の一具体例であって、本開示は以下の態様に限定されるものではない。また、本開示は、各図に示す各構成要素の配置や寸法、寸法比等についても、それらに限定されるものではない。なお、説明する順序は、下記の通りである。
1.実施の形態(冷却部を構成するファンと熱交換器とが正対配置された投射型表示装置の例)
1-1.投射型表示装置の構成
1-2.冷却部の構成
1-3.作用・効果
2.変形例
【0010】
<1.実施の形態>
図1は、本開示の一実施の形態に係る投射型表示装置(投射型表示装置1)の概略構成の一例を表したものである。投射型表示装置1は、壁面等のスクリーン1000(被投射面)に対して映像(映像光)を投影する投射型の表示装置である。投射型表示装置1は、例えば、光源部100と、光源部100から射出される光(照明光L)を変調する空間変調素子(液晶パネル231R,231G,231B)を備えた画像形成光学系200と、液晶パネル231R,231G,231Bそれぞれからの光(映像光)を投射する投射光学系300とを備えたものである。投射型表示装置1は、さらに、画像形成光学系200へ冷却風を送風するファン(例えば、ファン410、
図3参照)を有する冷却部400と、熱交換器500とを有し、本実施の形態では、例えばファン410が、熱交換器500と正対配置されている。
【0011】
(1-1.投射型表示装置の構成)
投射型表示装置1は、例えば、反射型の液晶パネル(Liquid Crystal Display:LCD)により光変調を行う反射型3LCD方式の投射型表示装置である。投射型表示装置1は、上記のように、光源部100、画像形成光学系200、投射光学系300、冷却部400および熱交換器500を有し、冷却部400を構成する、例えばファン410と、熱交換器500とが正対配置されている。投射型表示装置1は、さらに、電源部600と、信号処理部700と、放熱部800とを有しており、これら光源部100、画像形成光学系200、投射光学系300、冷却部400、熱交換器500、電源部600、信号処理部700および放熱部800は、筐体900に収容されている。
【0012】
図2は、
図1に示した光源部100の構成の一例を表したものである。光源部100は、光源110と、集光ミラー111A,111B,112と、波長変換部120と、集光レンズ130A,130Bとを有している。
【0013】
光源110は、所定の波長域の光を出射する固体光源であり、後述する波長変換部12の蛍光体層に含まれる蛍光体粒子を励起するためのものである。光源110としては、例えば、半導体レーザ(Laser Diode:LD)を用いることができる。この他、発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)を用いてもよい。
【0014】
集光ミラー111A,111Bは、光源110に配置された複数のLDから出射される光の光束を略平行にすると共に、集光ミラー112に集中させる凹状の反射面を有するものである。集光ミラー112は、集光ミラー111A,111Bによって集中した光を波長変換部120へ反射するためのものである。
【0015】
波長変換部120は、光源110から出射された光(励起光EL)を波長域の異なる光(蛍光FL)に変換して出射するものである。波長変換部120は、例えば、光透過性を有する支持基板の表面に蛍光体層が設けられた、所謂透過型波長変換素子であり、励起光ELの入射によって生じた蛍光FLを支持基板の裏面へ出射するように構成されている。
【0016】
集光レンズ130A,130Bは、例えば、光源110から出射され、集光ミラー111A,111B,112を介して入射した光を波長変換部120の所定の位置に集光させるものである。
【0017】
光源110から出射された光(例えば、青色光)は、集光ミラー111A,111B,112によって反射され、集光レンズ130A,130Bに入射し、波長変換部120の所定の位置に照射される。波長変換部120に入射した光は、蛍光体層において波長変換(例えば、黄色光)されて画像形成光学系200に向けて出射される。この黄色光は、例えば、光源部100内に別途設けられた青色光源(図示せず)から出射された青色光と合波されて白色の照明光Lとして、画像形成光学系200に入射する。
【0018】
画像形成光学系200は、例えば、照明光学系210と、画像形成部220とを有している。
【0019】
照明光学系210は、光源部100に近い位置から、フライアイレンズ211(211A,211B)と、偏光変換素子212と、レンズ213と、ダイクロイックミラー214A,214Bと、反射ミラー215A,215Bと、リレーレンズ216A,216Bと、ダイクロイックミラー217と、偏光板218R,218G,218Bとを有している。
【0020】
フライアイレンズ211(211A,211B)は、光源部100からの照明光Lの照度分布の均質化を図るものである。照明光Lは、フライアイレンズ211Aの複数のマイクロレンズによって複数の光束に分割され、フライアイレンズ211Bにおける対応するマイクロレンズにそれぞれ結像される。フライアイレンズ211Bは、複数のマイクロレンズのそれぞれが2次光源として機能し、輝度が揃った複数の平行光を、偏光変換素子212に向けて出射する。
【0021】
偏光変換素子212は、フライアイレンズ211(211A,211B)等を介して入射した照明光Lの偏光軸を所定の偏光状態を揃えるものである。例えば、ランダム偏光の光をP偏光に変換する。偏光変換素子212は、例えば、光源部100の出射側に配置されたレンズ等を介して、赤色光Lr、緑色光Lgおよび青色光Lbを含む照明光Lを出射する。
【0022】
レンズ213は、偏光変換素子212からの光をダイクロイックミラー214A,214Bへ向けて集光するものである。
【0023】
ダイクロイックミラー214A,214Bは、所定の波長域の光を選択的に反射し、それ以外の波長域の光を選択的に透過させるものである。例えば、ダイクロイックミラー214Aは、主に赤色光Lrおよび緑色光Lgを反射ミラー215Aの方向へ反射させる。また、ダイクロイックミラー214Bは、主に青色光Lbを反射ミラー215Bの方向へ反射させる。これにより、光源部100から出射された照明光Lが、異なる色の複数の色光(例えば、赤色光Lr、緑色光Lgおよび青色光Lb)に分離される。
【0024】
反射ミラー215Aは、ダイクロイックミラー214Aからの光(主に赤色光Lrおよび緑色光Lg)をリレーレンズ216Aに向けて反射し、反射ミラー215Bは、ダイクロイックミラー214Bからの光(主に青色光Lb)をリレーレンズ216Bに向けて反射する。
【0025】
リレーレンズ216Aは、反射ミラー215Aからの光(主に赤色光Lrおよび緑色光Lg)を透過し、ダイクロイックミラー217へ集光させる。リレーレンズ216Bは、反射ミラー215Bからの光(主に青色光Lb)を透過し、偏光板218Bへ集光させる。
【0026】
ダイクロイックミラー217は、緑色光Lgを選択的に偏光板218Gへ向けて反射すると共に、それ以外の波長域の光を選択的に透過する。
【0027】
偏光板218R,218G,218Bは、所定方向の偏光軸を有する偏光子を含んでいる。例えば、偏光変換素子212においてP偏光に変換されている場合には、偏光板218R,218G,218BはP偏光の光を透過し、S偏光の光を反射する。
【0028】
画像形成部220は、反射型偏光板221R,221G,221Bと、赤色光Lr、緑色光Lgおよび青色光Lbのそれぞれの変調用の液晶パネル222R,222G,222Bと、ダイクロイックプリズム223とを有している。
【0029】
反射型偏光板221R,221G,221Bは、それぞれ、偏光板218R,218G,218Bからの偏光光の偏光軸と同じ偏光軸の光(例えばP偏光)を透過し、それ以外の偏光軸の光(S偏光)を反射するものである。具体的には、反射型偏光板221Rは、偏光板218RからのP偏光の赤色光Lrを液晶パネル222Rの方向へ透過させる。反射型偏光板221Gは、偏光板218GからのP偏光の青色光Lbを液晶パネル222Gの方向へ透過させる。反射型偏光板221Bは、偏光板218BからのP偏光の緑色光Lgを液晶パネル222Bの方向へ透過させる。また、反射型偏光板221Rは、液晶パネル222RからのS偏光の赤色光Lrを反射してダイクロイックプリズム223に入射させる。反射型偏光板221Gは、液晶パネル222GからのS偏光の青色光Lbを反射してダイクロイックプリズム223に入射させる。反射型偏光板221Bは、液晶パネル222BからのS偏光の緑色光Lgを反射してダイクロイックプリズム222に入射させる。
【0030】
液晶パネル222R,222G,222Bは、画像情報を含んだ画像信号を供給する図示しない信号源(例えば、PC等)と電気的に接続されている。液晶パネル222R,222G,222Bは、供給される各色の画像信号に基づき、赤色光Lr、緑色光Lgおよび青色光Lbを画素毎に空間変調し、それぞれ赤色画像、緑色画像および青色画像を生成する。
【0031】
ダイクロイックプリズム223は、液晶パネル222R,222G,222Bにおいて変調された赤色光Lr、青色光Lbおよび緑色光Lgを合成し、投射光学系300に向けて射出する。
【0032】
投射光学系300は、例えば、複数のレンズ等を有する。投射光学系300は、画像形成部220からの映像光を拡大してスクリーン1000等へ投射する。
【0033】
冷却部400は、画像形成光学系200を冷却するためのものであり、詳細は後述するが、例えば、1または複数のファン(例えば、ファン410,420,440)を有している。
【0034】
熱交換器500は、画像形成光学系200において発生した熱を放熱部800へ伝達するためのものである。熱交換器500は、例えば
図3に示したように、例えば金属板からなる複数のフィン511が、例えば筐体900の下面に対して所定の間隔で立設された構造を有しており、例えば、画像形成光学系200および冷却部400に亘って設けられている。
【0035】
電源部600は、筐体900内に収容された各種光学系(例えば、光源部100等)や冷却部400の電源回路等を有しており、複数の素子によって構成されている。
【0036】
信号処理部700は、図示していないが、例えば、光源駆動部、画像処理部、投射光学系駆動部および制御部等を有している。
【0037】
画像処理部は、外部から入力された画像信号を取得して、例えば、画像サイズの判別、解像度の判別および静止画像であるか動画像であるかの判別等を行うものである。動画像である場合には、フレームレート等の画像データの属性等についても判定する。
【0038】
投射光学系駆動部は、投射光学系300に配置されたレンズを駆動するモータを含んで構成されている。この投射光学系駆動部は、制御部の制御に従って、例えば投射光学系300を駆動し、例えばズーム調整、フォーカス調整および絞り調整等を行うものである。
【0039】
制御部は、例えば、光源駆動部、画像処理部、および投射光学系駆動部を制御するものである。
【0040】
放熱部800は、筐体900内で発生した熱を放熱するためのものであり、熱交換器500と同様に、例えば金属板からなる複数のフィンが所定の間隔で積層され、例えば互いにヒートパイプによって接続された構造を有している。ヒートパイプは、例えば熱交換器500を構成する複数のフィン511とも接続されており、これにより、画像形成光学系200において発生した熱が、熱交換器500を介して放熱部800へ伝達されるようになっている。
【0041】
(1-2.冷却部の構成)
図3は、
図1に示した冷却部400を構成する複数のファン(ファン410,420,430)および熱交換器500の構成の一例を表したものである。
図4は、
図3に示したI-I線における冷却部400および熱交換器500の断面構成を表したものであり、
図5は、
図3に示したII-II線における冷却部400および熱交換器500の断面構成を表したものである。
【0042】
冷却部400は、上記のように画像形成光学系200を冷却するためのものであり、例えば、反射型偏光板221R,221G,221Bを冷却するものである。冷却部400は、
図3に示したように、例えば3つのファン410,420,430を有している
【0043】
以下、ファン410,420,430の構造について、ファン410を例に説明する。ファン410は、例えば、図示していないが、モータおよびモータのロータと一体に回転する回転羽根からなる本体部411と本体部411を収容する筐体412とを有している。筐体412は、対向する一対の平面部の一方に吸気口413を有し、側面部に送風口414を有している。この送風口414は、例えば、反射型偏光板221Bと空間的に接続されており、吸気口413から吸い込まれた空気が冷却風として、送風口414から反射型偏光板221Bに向けて送風されるようになっている。このようなファン410,420,430としては、例えば、シロッコファンや遠心ファンを用いることができる。
【0044】
本実施の形態では、3つのファン410,420,430は、それぞれの吸気口413,423,433が、直接的または間接的に、熱交換器500と対向配置されている。具体的には、ファン410は、例えば
図3等に示したように、熱交換器500を構成する複数のフィン511が立設されてなる面511Sに対して吸気口413が正対するように配置されている。これにより、吸気口413から空気を吸い込む際に生じる騒音が、熱交換器500によって遮音される。
【0045】
ファン420は、例えば
図3等に示したように、ファン410の吸気口413が設けられた面とは反対側の面の上方に、ファン410と同様に、面511Sに対して吸気口423が正対するように積層配置されている。換言すると、ファン420の吸気口423は、ファン410を間にして複数のフィン511が立設されてなる面511Sに対して正対配置されている。ファン420の送風口424は、例えば、反射型偏光板221Gと空間的に接続されており、吸気口423から吸い込まれた空気が冷却風として、送風口424から反射型偏光板221Gに向けて送風されるようになっている。
【0046】
ファン430は、例えば
図3等に示したように、例えば対向する一対の平面部がファン410およびファン420の積層方向(例えばZ軸方向)に沿って配置されている。ファン430の吸気口433は、例えば、ファン410,420とは反対側に配置されており、吸気口433と複数のフィン511が立設されてなる面511Sとは、ダクトを介して間接的に正対配置されている。ファン430の送風口434は、例えば、反射型偏光板221Rと、例えばダクトを介して空間的に接続されており、吸気口433から吸い込まれた空気が冷却風として、送風口434から反射型偏光板221Rに向けて送風されるようになっている。
【0047】
更に、本実施の形態では、3つのファン410,420,430は、例えば
図6に示したように、筐体900内において、2つの筐体910および筐体920に覆われている。
【0048】
筐体910は、3つのファン410,420,430および熱交換器500を覆うものである。筐体910は、さらに3つのファン410,420,430の支持部材としての機能し、3つのファン410,420,430は、例えば筐体910によってそれぞれの位置が固定されている。特に、ファン420は、ファン410の上方を覆う筐体910の上面に設けられた、吸気口423と略同一形状を有する開口910Hに合わせて取り付けられており、ファン420の筐体422が、筐体910の一部を構成している。3つのファン410,420,430および熱交換器500は、筐体910による略密閉された空間に収容されており、この略密閉された空間が、3つのファン410,420,430のそれぞれと、熱交換器500とを空間的に接続するダクトとして用いられている。
【0049】
筐体920は、3つのファン410,420,430、熱交換器500および画像形成光学系200を覆うものであり、筐体910の外側に配置されている。これにより、ファン410およびファン420の積層方向に沿って配置されたファン430の吸気口433は、2重の筐体(筐体910、920)によって覆われるようになる。
【0050】
筐体910は、さらに、例えば画像形成部220に対応する位置で開口しており、これにより、筐体910および筐体920の内部の空間が接続され、空気が循環するようになっている。具体的には、ファン410,420,430の各吸気口413,423,433から吸い込まれ、各送風口414,424,434から反射型偏光板221R,221G,221Bに向けて送風されて暖められた空気は、筐体910の開口を介して熱交換器500に運ばれ、熱交換器500を構成する複数のフィン511において冷却され、再びファン410,420,430の各吸気口413,423,433から吸い込まれる。
【0051】
(1-3.作用・効果)
本実施の形態の投射型表示装置1は、画像形成光学系200の、例えば反射型偏光板221R,221G,221Bへ冷却風を送風するファン(ファン410,420,430)と、熱交換器500とを正対配置することにより、ファン410,420,430から生じる騒音を熱交換器500によって遮音するようにした。以下、これについて説明する。
【0052】
近年、投射型表示装置では高輝度化が進み、これに伴い、光学系に生じる熱が高くなっている。光学系を冷却する方法として、前述したように、密閉空間に冷却対象を収容して冷却する投射型表示装置が開発されている。しかしながら、一般的な投射型表示装置では、例えば光源部100等の周辺備品の熱にあおられて密閉部位の循環温度が上昇しやすく、十分な冷却効率を得るために冷却ファンの回転速度を上げることにより、騒音が増大するという課題ある。
【0053】
これに対して、本実施の形態では、例えば反射型偏光板221R,221G,221Bへ冷却風を送風するファン410,420,430と、熱交換器500とを正対配置するようにした。具体的には、ファン410およびファン420のそれぞれの吸気口413,423を、熱交換器500を構成する複数のフィン511が立設されてなる面511Sに対して正対配置し、さらに、ファン430の吸気口433は、ダクトを介して面511Sと空間的に正対するようにした。これにより、ファン410,420,430から生じる騒音が熱交換器500によって遮音されるようになる。
【0054】
以上により、本実施の形態の投射型表示装置1では、騒音の一因となるファン410,420,430の吸気口413,423,433を、複数のフィン511が立設されてなる面511Sに対して正対配置するようにしたので、熱交換器500によってファン410,420,430から生じる騒音が遮音される。よって、高輝度化を図りつつ、静音性を向上させることが可能となる。
【0055】
また、本実施の形態の投射型表示装置1では、ファン410,420,430を、冷却部400および熱交換器500を収容する筐体910と、これらに加えて画像形成光学系200を収容する筐体920との2つの筐体で覆うようにした。即ち、ファン410,420,430を、略密閉2重構造を有する筐体で覆うようにしたので、冷却効率および静音性をさらに向上させることが可能となる。加えて、防塵性を向上させることが可能となる。
【0056】
<2.変形例>
以上、実施の形態を挙げて説明したが、本技術は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形が可能である。例えば、上記実施の形態では、吸気口(例えば、吸気口413,423,433)が、直接または他のファン(例えばファン410)を間にして熱交換器500と正対配置された例や、ダクトを介して空間的に接続されている例を示したが、これに限らない。例えば
図7に示したように、例えば熱交換器500の上方に、例えばZ軸方向に沿ってファン440を配置し、その吸気口443と筐体910とを空間的に接続するダクト911を設け、このダクト911の開口部911Hが、熱交換器500と正対配置されていてもよい。あるいは、例えば
図8に示したように、例えば吸気口453を有する面とは反対側の面が熱交換器500と正対するようにファン540を配置し、筐体452の側面部と筐体910とによって構成される開口部912Hが熱交換器500と正対配置されていてもよい。即ち、各ファンの吸気口は、空間的に熱交換器500と正対していればよく、必ずしも熱交換器500と直接正対配置されていなくても上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。これら開口部911H,912Hが、本開示の「第2の吸気口」の一具体例に相当する。
【0057】
また、上記実施の形態において例示した光学系の構成要素の配置および数等は、あくまでも一例であり、全ての構成要素を備える必要はなく、また、他の構成要素を更に備えていてもよい。
【0058】
更に、本開示に係る投射型表示装置として、上記投射型表示装置1以外の装置が構成されてもよい。例えば、上記実施の形態では、空間変調素子として反射型の液晶パネルを用いた例を示したが、本技術は、例えば、透過型の液晶パネルにより光変調を行う、例えば透過型3LCD方式の投射型表示装置にも適用することができる。更にまた、空間変調素子としては、液晶パネルに限らず、例えば、DMD(Digital Micromirror Device)等も用いることができる。
【0059】
なお、本明細書中に記載された効果はあくまで例示であってその記載に限定されるものではなく、他の効果があってもよい。
【0060】
本技術は以下のような構成を取ることも可能である。以下の構成の本技術によれば、空間変調素子を含む画像形成光学系へ冷却風を送風する冷却部に設けられたファンの吸気口に面してヒートシンクを配置するようにしたので、ヒートシンクによってファンから生じる騒音が遮音される。よって、静音性を向上させることが可能となる。
(1)
光源部と、
前記光源部から射出される光を変調する空間変調素子を備えた画像形成光学系と、
前記空間変調素子からの光を投射する投射光学系と、
互いに略直角に配置された吸気口および送風口を有し、前記吸気口から吸い込まれた空気を前記送風口に向けて送風するファンを含む冷却部と、
前記吸気口に面して配置されたヒートシンクと、
前記送風口の近傍に配置された発熱部と、
前記冷却部と共に前記ヒートシンクを囲み開口部を有する第1の筐体と、
前記第1の筐体および前記発熱部を囲む第2の筐体とを備え、
前記冷却部の前記送風口から送風され前記発熱部を通過した前記空気の少なくとも一部は、前記開口部を通って前記冷却部の前記吸気口に戻る
投射型表示装置。
(2)
前記発熱部を通過した前記空気の少なくとも一部は、前記第2の筐体の内部を循環した後、前記開口部を通って前記冷却部の前記吸気口に戻る、前記(1)に記載の投射型表示装置。
(3)
前記ファンは、一方に吸気口を有する一対の平面部と、送風口を有する側面部とを有し、前記ヒートシンクに対して前記吸気口を有する平面部が正対配置されている、前記(1)または(2)に記載の投射型表示装置。
(4)
前記ヒートシンクは、複数のフィンが所定の間隔で立設された熱交換器であり、
前記ファンの前記吸気口を有する前記平面部は、前記複数のフィンが立設されてなる面に対して正対配置されている、前記(3)に記載の投射型表示装置。
(5)
前記ファンは、モータと、前記モータのロータと一体に回転する回転羽根からなる本体部と、前記本体部を収容する第3の筐体とからなり、
前記第3の筐体が前記第1の筐体の一部を構成している、前記(1)乃至(4)のうちのいずれか1つに記載の投射型表示装置。
(6)
前記ファンは、一方に第1の吸気口を有する一対の平面部と、送風口を有する側面部と、前記第1の吸気口と空間的に接続された第2の吸気口を形成するダクトとを有し、
前記第2の吸気口が前記ヒートシンクに対して正対配置されている、前記(1)乃至(5)のうちのいずれか1つに記載の投射型表示装置。
(7)
前記ファンは、一方に第1の吸気口を有する一対の平面部と、送風口を有する側面部と、前記側面部と前記第1の筐体とによって構成される第2の吸気口とを有し、
前記第2の吸気口が前記ヒートシンクに対して正対配置されている、前記(1)乃至(6)のうちのいずれか1つに記載の投射型表示装置。
(8)
前記ヒートシンクは、複数のフィンが所定の間隔で立設された熱交換器であり、
前記ファンの前記第2の吸気口は、前記複数のフィンが立設されてなる面に対して正対配置されている、前記(6)または(7)に記載の投射型表示装置。
(9)
前記冷却部は、第1のファンおよび第2のファンを有し、
前記第1のファンおよび前記第2のファンは、前記ヒートシンクの上方に積層されている、前記(1)乃至(8)のうちのいずれか1つに記載の投射型表示装置。
(10)
前記第1のファンの吸気口は、前記ヒートシンクと正対し、
前記第2のファンの吸気口は、前記第1のファンを間にして前記ヒートシンクと正対している、前記(9)に記載の投射型表示装置。
(11)
前記冷却部はさらに第3のファンを有し、
前記第3のファンは、前記第1のファンおよび前記第2のファンの積層方向に沿って配置されている、前記(9)または(10)に記載の投射型表示装置。
(12)
前記第3のファンの吸気口は、積層された前記第1のファンおよび前記第2のファンとは反対側に配置されている、前記(11)に記載の投射型表示装置。
(13)
前記第3のファンの吸気口は、ダクトを介して前記ヒートシンクと空間的に接続されている、前記(11)に記載の投射型表示装置。
(14)
前記発熱部は前記画像形成光学系である、前記(1)乃至(13)のうちのいずれか1つに記載の投射型表示装置。
(15)
前記画像形成光学系は偏光板を有し、
前記空気は、前記偏光板へ向けて送風される、前記(14)に記載の投射型表示装置。
(16)
前記ファンは、シロッコファンまたは遠心ファンである、前記(1)乃至(15)のうちのいずれか1つに記載の投射型表示装置。
【符号の説明】
【0061】
1…投射型表示装置、100…光源部、110…光源、111A,111B,112…集光ミラー、120…波長変換部、130A,130B…集光レンズ、200…画像形成光学系、210…照明光学系、220…画像形成部、300…投射光学系、400…冷却部、410,420,430…ファン、411,421,431…本体部、412,422,432…筐体、413,423,433…吸気口、414,424,434…送風口、500…熱交換器、511…フィン、600…電源部、700…信号処理部、800…放熱部、900,910,920…筐体、1000…スクリーン。