(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149193
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】配信システム
(51)【国際特許分類】
H04N 21/239 20110101AFI20220929BHJP
G06F 13/00 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
H04N21/239
G06F13/00 540A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021051230
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西村 典子
【テーマコード(参考)】
5B084
5C164
【Fターム(参考)】
5B084AA01
5B084AA12
5B084AA29
5B084AB07
5B084BB14
5B084CA07
5B084CB06
5B084CB23
5B084CF12
5B084DC02
5B084DC03
5B084DC06
5C164GA07
5C164SB01S
5C164SB29P
5C164SB41S
5C164UB41S
5C164YA07
5C164YA12
(57)【要約】
【課題】実演者及び視聴者に臨場感を与える。
【解決手段】配信システムは、実演を行う実演者の実演映像を取得し、取得した実演映像を送信する配信装置と、配信装置から送信される実演映像を受信し、受信した実演映像に基づいて配信用映像を生成し、生成した配信用映像を送信するサーバ装置と、サーバ装置から送信される配信用映像を受信し、受信した配信用映像を受信側表示部に表示する受信装置とを備え、受信装置は、配信用映像を視聴する視聴者を撮影した視聴者映像を取得し、取得した視聴者映像を送信し、サーバ装置は、受信装置から送信される視聴者映像を受信し、配信用映像を視聴する視聴者の視聴状態に応じた表示態様で視聴者映像を表示又は非表示とした視聴状況映像を生成し、生成した視聴状況映像を送信し、配信装置は、サーバ装置から送信される視聴状況映像を受信し、受信した視聴状況映像を配信側表示部に表示する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実演を行う実演者の実演映像を取得し、取得した前記実演映像を送信する配信装置と、
前記配信装置から送信される前記実演映像を受信し、受信した前記実演映像に基づいて配信用映像を生成し、生成した前記配信用映像を送信するサーバ装置と、
前記サーバ装置から送信される前記配信用映像を受信し、受信した前記配信用映像を受信側表示部に表示する受信装置と
を備え、
前記受信装置は、前記配信用映像を視聴する前記視聴者を撮影した視聴者映像を取得し、取得した前記視聴者映像を送信し、
前記サーバ装置は、前記受信装置から送信される前記視聴者映像を受信し、前記配信用映像を視聴する前記視聴者の視聴状態に応じた表示態様で前記視聴者映像を表示又は非表示とした視聴状況映像を生成し、生成した前記視聴状況映像を送信し、
前記配信装置は、前記サーバ装置から送信される前記視聴状況映像を受信し、受信した前記視聴状況映像を配信側表示部に表示する
配信システム。
【請求項2】
前記配信装置は、前記配信側表示部に表示された前記視聴者映像に対して前記実演者が応答する場合の応答情報を取得し、取得した前記応答情報を送信し、
前記サーバ装置は、前記配信装置から送信される前記応答情報を受信し、受信した前記応答情報に基づいて前記配信用映像の少なくとも一部の表示態様を変化させる
請求項1に記載の配信システム。
【請求項3】
前記配信装置は、前記実演者と前記配信側表示部との位置関係に応じた表示態様で前記視聴者映像を表示する
請求項1又は請求項2に記載の配信システム。
【請求項4】
前記サーバ装置は、前記実演映像を表示するための表示領域と、前記表示領域に対応し前記実演映像を視聴する視聴者のアイコンを配置可能なアイコン配置領域とを含む配信用映像を生成し、
前記視聴状態は、前記表示領域と前記アイコンとの位置関係を含む
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の配信システム。
【請求項5】
前記視聴状態は、前記配信用映像に対する前記視聴者の積極性の度合いを示す積極度を含み、
前記サーバ装置は、前記積極度が基準を下回る前記視聴者の前記視聴者映像が非表示となるように前記視聴状況映像を生成する
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の配信システム。
【請求項6】
実演を行う実演者の実演映像を取得し、前記実演映像に基づいて配信用映像を生成し、生成した前記配信用映像を配信する配信システムであって、
前記配信用映像を視聴する視聴者を撮影した視聴者映像が前記視聴者側から送信された場合、前記配信システムは、前記視聴者映像を受信し、前記配信用映像を視聴する前記視聴者の視聴状態に応じた表示態様で前記視聴者映像を表示または非表示とした視聴状況映像を生成する、
配信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
実演を行う実演者の実演映像等の映像を配信する配信装置と、配信される映像を受信して表示する受信装置とを備える配信システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の配信システム等では、実演者及び視聴者に臨場感を与えることが困難である。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、実演者及び視聴者に臨場感を与えることが可能な配信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る配信システムは、実演を行う実演者の実演映像を取得し、取得した前記実演映像を送信する配信装置と、前記配信装置から送信される前記実演映像を受信し、受信した前記実演映像に基づいて配信用映像を生成し、生成した前記配信用映像を送信するサーバ装置と、前記サーバ装置から送信される前記配信用映像を受信し、受信した前記配信用映像を受信側表示部に表示する受信装置とを備え、前記受信装置は、前記配信用映像を視聴する前記視聴者を撮影した視聴者映像を取得し、取得した前記視聴者映像を送信し、前記サーバ装置は、前記受信装置から送信される前記視聴者映像を受信し、前記配信用映像を視聴する前記視聴者の視聴状態に応じた表示態様で前記視聴者映像を表示又は非表示とした視聴状況映像を生成し、生成した前記視聴状況映像を送信し、前記配信装置は、前記サーバ装置から送信される前記視聴状況映像を受信し、受信した前記視聴状況映像を配信側表示部に表示する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、実演者及び視聴者に臨場感を与えることが可能な配信システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る配信システムの一例を模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、配信装置の一例を示す機能ブロック図である。
【
図3】
図3は、配信装置及び当該配信装置に接続される機器の一例を模式的に示す図である。
【
図4】
図4は、サーバ装置の一例を示す機能ブロック図である。
【
図5】
図5は、受信装置の一例を示す機能ブロック図である。
【
図6】
図6は、配信用映像の一例を模式的に示す図である。
【
図7】
図7は、視聴状況映像の一例を模式的に示す図である。
【
図8】
図8は、視聴者映像の表示態様の設定例を説明する図である。
【
図9】
図9は、視聴者映像の表示態様の設定例を説明する図である。
【
図10】
図10は、視聴者映像の表示態様の設定例を説明する図である。
【
図11】
図11は、視聴者映像の表示態様の設定例を説明する図である。
【
図12】
図12は、本実施形態に係る配信システムの動作の流れを示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、配信装置及び当該配信装置に接続される機器の他の例を模式的に示す図である。
【
図14】
図14は、配信装置にて表示される管理画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る配信システムの実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
図1は、本実施形態に係る配信システム100の一例を模式的に示す図である。
図1に示すように、配信システム100は、配信装置10と、サーバ装置30と、受信装置50とを備える。配信装置10、サーバ装置30及び受信装置50は、ネットワークNWを介して接続される。配信システム100は、ネットワークNWを介して、実演者による実演の映像及び音声を視聴者に配信する。実演者による実演の例としては、例えば楽器等の演奏、歌曲の歌唱、演劇、舞踊、曲芸、演芸、朗詠、プレゼンテーション、結婚式、フィットネス、講演、授業等が挙げられる。
【0011】
図2は、配信装置10の一例を示す機能ブロック図である。
図2に示すように、配信装置10は、入力部11と、出力部12と、通信部13と、制御部14と、記憶部15とを備える。
【0012】
入力部11は、例えば撮影部16、音声入力部17、操作部18等の入力機器に接続される。撮影部16、音声入力部17、操作部18等の一部または全部を配信装置10が備える構成としてもよい。
図3は、配信装置10及び当該配信装置10に接続される機器の一例を模式的に示す図である。撮影部16は、例えば1台又は複数台のカメラを有する。撮影部16は、実演者Pによる実演を撮影して実演映像を生成する。撮影部16は、例えば上手側、中央側、下手側に配置される。音声入力部17は、例えば1つ又は複数のマイクを有する。音声入力部17は、実演者による実演を収音して実演音声を生成する。音声入力部17は、例えば撮影部16に内蔵された構成であってもよい。音声入力部17は、マイクに代えて、またはマイクに加えて電子楽器または音声ミキサー等の音を入力するインタフェース(いわゆるライン入力)を備えてもよい。操作部18は、例えばキーボード、マウス、タッチパネル等の入力装置により構成される。操作部18は、配信装置10に所定の情報を入力する。操作部18は、例えば後述する表示部19に表示される視聴状況映像から1つ以上の視聴者映像を選択するための入力操作を行うことができる。
【0013】
出力部12は、表示部(配信側表示部)19、音声出力部20等の出力機器に接続される。表示部(配信側表示部)19、音声出力部20等の一部または全部を配信装置10が備える構成としてもよい。表示部19は、画像等の情報を表示する。表示部19としては、例えばプロジェクタ装置及び投影スクリーン等の投影システム、液晶パネル等の表示パネル、等の各種の表示機器が用いられる。表示部19は、1つ又は複数設けられる。表示部19は、後述する視聴状況映像を表示可能である。本実施形態において、表示部19は、実演者が実演を行う実演スペース25の全体をカバーする大きさとなっているが、これに限定されない。例えば、一部のスペースに参加者を動員し、空いているスペースに表示部19を配置してもよい。音声出力部20は、音声情報を出力する。音声出力部20は、例えばスピーカ等により構成される。
【0014】
通信部13は、ネットワークNWを介して情報の送受信が可能である。通信部13は、有線通信及び無線通信のいずれの通信を行うものであってもよい。通信部13は、サーバ装置30との間で情報の送受信を行う。
【0015】
制御部14は、CPU(Central Processing Unit)等の処理装置と、RAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory)等の記憶装置を有する。制御部14は、配信装置10を統括的に制御する。制御部14は、入力情報取得部21と、通信制御部22と、出力制御部23と、応答情報取得部24とを有する。
【0016】
入力情報取得部21は、入力部11に入力される実演映像、実演音声、操作信号等の情報を取得する。通信制御部22は、通信部13で受信した各種情報を取得する。
【0017】
通信制御部22は、入力情報取得部21で取得した実演映像、実演音声を通信部13からサーバ装置30に送信させる。通信制御部22は、後述する実演者の応答情報を通信部13からサーバ装置30に送信させる。
【0018】
出力制御部23は、表示部19及び音声出力部20の動作を制御する。出力制御部23は、表示部19の表示内容を設定する。出力制御部23は、後述するサーバ装置30から送信される視聴状況映像を表示部19に表示する。
【0019】
応答情報取得部24は、表示部19に表示される視聴状況映像に対する実演者の応答情報を取得する。応答情報は、例えば、視聴映像に表示される視聴者映像に対して実演者が応答を行ったことを示す情報と、実演者が応答を行った対象となる視聴者(又は受信装置50)を示す情報と、を含む。
【0020】
記憶部15は、各種情報を記憶する。記憶部15は、例えばハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等のストレージを有している。なお、記憶部15として、リムーバブルディスク等の外部記憶媒体が用いられてもよい。
【0021】
図4は、サーバ装置30の一例を示す機能ブロック図である。
図4に示すように、サーバ装置30は、通信部31と、制御部32と、記憶部33とを備える。通信部31は、ネットワークNWを介して配信装置10及び受信装置50との間で情報の通信が可能である。
【0022】
制御部32は、サーバ装置30の動作を統括的に制御する。制御部32は、CPU等の処理装置と、RAM又はROM等の記憶装置を有する。制御部32は、通信制御部34と、配信用映像生成部35と、視聴状況映像生成部36と、音量設定部37とを有する。
【0023】
通信制御部34は、通信部31の動作を制御する。通信制御部34は、通信部31で受信した各種情報を取得する。また、通信制御部34は、各種情報を通信部31から送信させる。
【0024】
配信用映像生成部35は、配信装置10から送信される実演映像に基づいて、配信用映像を生成する。配信用映像は、後述する受信装置50の表示部59に表示させるための映像である。配信用映像生成部35は、配信装置10が備える構成としてもよい。また、配信用映像生成部35は、受信装置50が備える構成としてもよい。この場合、受信装置50が、実演映像に基づいて表示部59に表示させるための映像(配信用映像)を生成する。
【0025】
視聴状況映像生成部36は、受信装置50から送信される視聴者映像に基づいて、視聴状況映像を生成する。視聴状況映像は、配信用映像70を視聴する視聴者の視聴状況を示す映像である。視聴状況映像は、配信用映像70を視聴する視聴者の視聴状態に応じた表示態様で視聴者映像を表示又は非表示とした映像である。
【0026】
音量設定部37は、実演音声及び後述する視聴者音声の音量を設定する。
【0027】
記憶部33は、各種情報を記憶する。記憶部33は、例えばハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等のストレージを有している。なお、記憶部33として、リムーバブルディスク等の外部記憶媒体が用いられてもよい。記憶部33は、後述する受信装置50の表示部に表示する配信用映像のデータを記憶する。
【0028】
図5は、受信装置50の一例を示す機能ブロック図である。
図5に示すように、受信装置50は、入力部51と、出力部52と、通信部53と、制御部54と、記憶部55とを備える。受信装置50としては、例えばスマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ、カラオケ端末等の汎用端末が挙げられる。受信装置50は、これらの汎用端末に限らず、専用端末でもよい。受信装置50は、視聴者が保有する端末でもよいし、配信事業者またはカラオケ店舗等の施設(受信装置50を備えた施設)を管理する事業者が保有する端末でもよい。事業者が保有する端末装置50は、事業者が視聴者に貸与して視聴者が使用してもよいし、事業者が管理するカラオケ店舗等の施設(受信装置50を備えた施設)に視聴者が訪れて使用してもよい。配信システム100において、受信装置50は、1つ以上、例えば複数設けられる。
【0029】
入力部51は、各種情報の入力を行う。入力部51は、撮影部56、音声入力部57、操作部58等に接続される。撮影部56、音声入力部57、操作部58等の一部または全部を受信装置50が備える構成としてもよい。撮影部56は、例えば1台又は複数台のカメラを有する。撮影部56は、配信用映像を視聴する視聴者を撮影して視聴者映像を生成する。音声入力部57は、例えば1つ又は複数のマイクを有する。音声入力部57は、配信用映像を視聴する視聴者の音声または拍手の音などを収音して視聴者音声を生成する。音声入力部57は、例えば撮影部56に内蔵された構成であってもよい。操作部58は、例えばキーボード、マウス、タッチパネル等の入力装置により構成される。操作部58は、受信装置50に所定の情報を入力する。操作部58は、例えば視聴者のアイコンの位置を設定する際に用いることができる。
【0030】
出力部52は、表示部(受信側表示部)59、音声出力部60等に接続される。表示部(受信側表示部)59、音声出力部60等の一部または全部を受信装置50が備える構成としてもよい。表示部59は、画像等の情報を表示する。表示部59は、例えば液晶パネル等の表示パネルを有する。表示部59は、配信用映像70を表示可能である。受信装置50の表示部59には、配信用映像70に加えてユーザインタフェース(アプリケーションソフトウェアの操作画面)を表示してもよい。ユーザインタフェースは専用のアプリケーション(いわゆるネイティブアプリケーション)でもよいし、ウェブブラウザで動作するアプリケーション(いわゆるウェブアプリケーション)でもよい。表示部59は、音声出力部20は、音声情報を出力する。音声出力部20は、例えばスピーカ等により構成される。
【0031】
通信部53は、ネットワークNWを介して情報の送受信が可能である。通信部53は、有線通信及び無線通信のいずれの通信を行うものであってもよい。通信部53は、サーバ装置30との間で情報の送受信を行う。
【0032】
制御部54は、CPU等の処理装置と、RAM又はROM等の記憶装置を有する。制御部54は、受信装置50における統括的な制御を行う。制御部54は、入力情報取得部61と、通信制御部62と、出力制御部63とを有する。
【0033】
入力情報取得部61は、入力部51に入力される視聴者の映像、音声、操作信号等の情報を取得する。通信制御部62は、通信部53で受信した各種情報を取得する。また、通信制御部62は、入力情報取得部61で取得した視聴者の映像、音声を通信部53から送信させる。
【0034】
出力制御部63は、表示部59及び音声出力部60の動作を制御する。出力制御部63は、表示部59の表示内容を設定する。出力制御部63は、表示部59に表示される視聴者映像の表示態様を設定する。出力制御部23は、後述する受信装置50からの状態情報に基づいて、視聴者映像の表示態様を設定する。出力制御部23による視聴者映像の表示態様の具体的な設定動作については、後述する。
【0035】
記憶部55は、例えばハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等のストレージを有している。なお、記憶部55として、リムーバブルディスク等の外部記憶媒体が用いられてもよい。記憶部55は、各種情報を記憶する。
【0036】
次に、上記のように構成された配信システム100の動作の一例を説明する。撮影部16及び音声入力部17は、実演者が行った所定の実演を、それぞれ撮影及び収音し、実演映像及び実演音声を生成する。なお、実演者による実演は、例えば上手側、中央側、下手側等のように異なる方向に配置される複数の撮影部16で撮影を行ってもよい。撮影部16で撮影された実演映像及び音声入力部17で収音された実演音声は、配信装置10の入力部11に入力される。
【0037】
配信装置10において、入力情報取得部21は、入力部11に入力される実演映像及び実演音声を取得する。通信制御部22の制御により、入力情報取得部21で取得した実演映像及び実演音声が通信部13からサーバ装置30に送信される。サーバ装置30は、配信装置10から送信された実演映像及び実演音声を受信する。
【0038】
配信用映像生成部35は、配信装置10から送信される実演映像に基づいて、配信用映像を生成する。
図6は、配信用映像の一例を模式的に示す図である。
図6に示すように、配信用映像70は、表示領域71と、アイコン配置領域72とが設けられる背景画像75を含む。表示領域71は、配信装置10から送信される実演映像73を表示する領域である。表示領域71は、例えば実演会場のステージに相当する。アイコン配置領域72は、表示領域71に対応して設けられる。アイコン配置領域72は、実演映像を視聴する視聴者のアイコン74を配置可能な領域である。アイコン配置領域72は、例えば実演会場の観客席に相当する。配信用映像70は、いわゆるVirtual Reality映像、360度映像であってもよい。配信用映像生成部35は、配信装置10から送信される実演映像73を背景画像75の表示領域71に合成する。受信装置50の表示部59は複数のディスプレイ等、例えば大画面のディスプレイと、スマートフォン、タブレット、またはカラオケ端末等とに分けてもよい。配信用映像生成部35は、表示部59が複数の場合、例えば表示領域71を大画面のディスプレイに表示させ、アイコン配置領域をスマートフォン、タブレット、またはカラオケ端末等に表示させるように配信用映像を生成してもよい。配信用映像70では、受信装置50の操作部58において自身のアイコン74をドラッグまたはスワイプしたときは自身のアイコン74の位置を移動させることができ、自身のアイコン74以外の位置をドラッグまたはスワイプしたときは、映像を表示する角度または範囲を変更できるようにしてもよい。また、タッチパネルのピンチイン・ピンチアウト操作、またはスクロール操作によって、配信用映像70の表示範囲と拡大率をそれぞれ変更できるようにしてもよい。例えば実演映像73のみを表示したい場合は、こうした操作によって、実演映像73の大きさを受信装置50の表示部59の大きさと同一にすることが可能である。また、こうした操作を行った際に、受信装置50の表示部59に表示されなくなったアイコン74からの音声、または実演映像73が表示部59に表示されなくなった場合の実演映像73の実演音声は、音声出力部60から出力されないようにしてもよい。
【0039】
また、視聴者は、受信装置50からサーバ装置30にアクセスし、背景画像75のアイコン配置領域72のうち所望の位置にアイコン74を配置するように設定する。配信用映像生成部35は、背景画像75のアイコン配置領域72のうち設定された位置にアイコン74を合成する。
【0040】
配信用映像生成部35は、背景画像75の表示領域71に実演映像73を合成し、アイコン配置領域72にアイコン74を合成することにより、配信用映像70を生成する。
図6に示す例では、例えば6つのアイコン74(74a~74f)が合成された配信用映像70が示されている。以下の説明において、図示される複数のアイコン74を区別する場合、アイコン74a、アイコン74b等のように個々のアイコン74を示す符号を付して表記する。なお、異なる方向に配置される複数の撮影部16で実演者による実演を撮影した場合、配信用映像生成部35は、表示領域71とアイコン74との位置関係に基づいて、配信用映像70に合成する実演映像を複数の実演映像の中から選択することができる。例えば、アイコン74が表示領域71の上手側に配置される場合、配信用映像生成部35は、当該アイコン74に対応する受信装置50に送信する配信用映像70に、実演者による実演を上手側から撮影した実演映像73を合成することができる。具体的には、例えば複数の実演画像73のうちどの実演画像を選択するかについて、アイコン配置領域72を複数の領域に分けて選択領域を設け、アイコン74がどの選択領域に位置しているかに基づいて、配信用映像生成部35は実演画像73を選択してもよい。また、配信用映像生成部35は、アイコン72の位置に基づいて、実演画像73を拡大または縮小してもよい。この場合、配信用映像生成部35は、例えば実演画像73の横方向はアイコン72の位置に近い位置、実演画像73の縦方向は実演者の顔画像を中心にして拡大または縮小してもよい。また、配信用映像生成部35は、表示領域71とアイコン74との関係に基づいて、アイコン74の動きに合わせて実演画像73が滑らかに変更されるように画像処理することが好ましい。この場合、配信用映像生成部35は、撮影部16の数を数十台程度まで増やした映像を用い、または3Dモデリング等を使用して画像処理することが好ましい。また、配信用映像生成部35は、アイコン74の位置を変化させずに、所定のアイコン(例えば双眼鏡等の拡縮操作を示すアイコン)を視聴者がクリックまたはタップした場合に、実演画像73を拡大した映像に切り替えてもよい。なお、配信用映像生成部35は、所定のアイコンをクリックまたはタップしたタイミング(時刻)を各視聴者と関連づけて記録しておき、タイミングが一致または類似する(近い)視聴者は相性がよいことを示す表示をアイコン74に追加して表示してもよい。配信用映像生成部35は、相性がよいことを示す表示として、例えばパーセンテージ(相性のよさの度合いを示す数値)をアイコン74とともに表示するように映像を生成してもよいし、相性がよい視聴者のアイコン74のサイズを大きく表示するように映像を生成してもよいし、交流を推奨する他の視聴者として表示するように映像を生成してもよい。
【0041】
また、音量設定部37は、配信用映像70における表示領域71とアイコン74との位置関係に基づいて、実演音声の音量を設定することができる。例えば、音量設定部37は、アイコン74が表示領域71の近くに配置されるほど、当該アイコン74に対応する受信装置50に送信する実演音声の音量が大きくなるように設定できすることができる。また、音量設定部37は、アイコン74が表示領域71から遠くに配置されるほど、当該アイコン74に対応する受信装置50に送信する実演音声の音量が小さくなるように設定することができる。この動作により、実演会場で実演を観賞する場合と同様の聞こえ方で音声を聞くことができる。また、同様の趣旨から、音量設定部37は、表示領域71の上手側、中央側、下手側等のように左右方向の位置に応じて、実演音声に含まれる音声成分ごとに音量を調整してもよい。具体的な例として、音量設定部37は、アイコン74が下手側に位置しているときに下手側にて実演している楽器の音量を大きくしてもよい。音量設定部37は、音量だけでなく周波数特性を設定してもよい。また、アイコン74に方向を示す情報を付加し、音声の指向性を持たせることで、音量設定部37は、アイコン74の方向によって音量、音声成分、周波数特性等を変更してもよい。
【0042】
生成された配信用映像70及び実演音声は、通信制御部34の制御により、受信装置50に配信される。
【0043】
受信装置50は、サーバ装置30から送信された配信用映像70を受信する。通信制御部62は、受信した配信用映像70を取得する。出力制御部63は、取得された配信用映像70を表示部59に表示させる。視聴者は、表示部59に表示される配信用映像70を視聴することができる。
【0044】
撮影部56は、配信用映像70を視聴する視聴者を撮影し、視聴者映像を生成する。音声入力部57は、配信用映像70を視聴する視聴者の音声を収音し、視聴者音声を生成する。視聴者映像及び視聴者音声は、入力部51に入力される。入力情報取得部61は、入力された視聴者映像及び視聴者音声を取得する。通信制御部62の制御により、取得された視聴者映像及び視聴者音声が通信部53からサーバ装置30に送信される。
【0045】
サーバ装置30は、視聴者映像及び視聴者音声を受信する。また、通信制御部34は、受信した視聴者音声を、例えば受信先の受信装置50とは異なる受信装置50に送信することができる。この動作により、実演会場で実演を観賞する際に他の観客の歓声等を把握できるのと同様、視聴者の間で配信用映像70に対する他の視聴者の反応を把握し合うことができる。この場合、音量設定部37は、アイコン配置領域72に配置されるアイコン74同士の位置関係に基づいて、視聴者音声の音量を設定することができる。例えば、音量設定部37は、アイコン74同士が近くに配置されるほど、互いに相手のアイコン74に対応する受信装置50に送信する視聴者音声の音量が大きくなるように設定できすることができる。また、音量設定部37は、アイコン74同士が遠くに配置されるほど、互いに相手のアイコン74に対応する受信装置50に送信する視聴者音声の音量が小さくなるように設定することができる。
【0046】
配信用映像生成部35は、取得した視聴者映像を、アイコン74に代えて、又はアイコン74に加えて、アイコン配置領域72に合成することができる。この場合、一の視聴者の視聴者映像が表示された状態で配信用映像70が各受信装置50に送信される。つまり、一の視聴者の視聴者映像が他の視聴者に配信される。この動作により、実演会場で実演を観賞する際に他の観客の様子等を把握できるのと同様、視聴者の間で配信用映像70に対する他の視聴者の様子を把握し合うことができる。また、この動作により実演の開始前、休憩中、または実演の終了後等に、アイコン74が近くに位置している視聴者同士で会話できるようにしてもよい。自身のアイコン74の位置は、当該アイコン74をドラッグアンドドロップ等の操作により動かしてもよいし、例えば、スマートフォンの位置、方向等を取得するセンサを用いて、スマートフォンの動作に合わせて動くようにしてもよく、進む・後退・右を向く等のボタンを設けてもよいし、その他のユーザインタフェースを適宜利用してもよい。
【0047】
視聴状況映像生成部36は、例えば受信した視聴者映像及び視聴者音声と、アイコン配置領域72に設定されたアイコン74の位置とに基づいて、配信用映像70を視聴する視聴者の視聴状態を検出する。視聴状況映像生成部36は、視聴状態に応じた表示態様で視聴者映像を表示又は非表示とした視聴状況映像を生成する。また、視聴状況映像生成部36は、自身の視聴者画像が視聴映像として視聴状況映像に表示されている視聴者に、表示されている旨を通知してもよい。具体的には、視聴状況映像生成部36は、受信装置50に表示するアイコン74の態様を変更してもよいし、受信装置50に文字や画像等で通知してもよい。また、視聴状況映像生成部36は、受信装置50で視聴者映像として表示する前に、表示することを視聴者に確認してもよい。なお、視聴者は受信装置50で自身の視聴映像及び音声の公開範囲を設定でき、配信用映像生成部35は、設定された公開範囲に基づき、取得した視聴者映像をアイコン配置領域72に合成してもよい。また、受信装置50では、視聴者が他の視聴者について友達登録できるようにしてもよい。友達登録の方法としては、例えば、他の視聴者のうち友達登録をしていない視聴者のアイコン74から所定距離内に自身のアイコン74を移動し、友達登録をしていない視聴者のアイコン74をタップまたはクリックすることで友達登録をしていない視聴者に対して友達申請を送れるようにするのが好ましい。友達申請を送られた視聴者が申請を許可するとお互いに友達登録ができる。受信装置50で設定できる公開範囲として、例えば、視聴状況映像、友達の受信装置50の視聴者映像、友達以外の視聴者の受信装置50の視聴者映像に関して、それぞれ公開または非公開を設定可能とすることが好ましい。
【0048】
図7は、視聴状況映像の一例を模式的に示す図である。
図7に示すように、視聴状況映像80は、1つ以上の視聴者映像81を含む。視聴者映像81は、各受信装置50において撮影される映像である。視聴状況映像生成部36は、視聴者の視聴状況に応じて、1つ以上の視聴者映像81を所定の位置に配置することができる。
図7では、例えば6つの視聴者映像81(81a~81f)が表示される場合を示している。以下の説明において、図示される複数の視聴者映像81を区別する場合、視聴者映像81a、視聴者映像81b等のように個々の視聴者映像81を示す符号を付して表記する。この場合、視聴者映像81aは、
図6等に示す配信用映像70のアイコン74aに対応する視聴者の映像であるとする。また、視聴者映像81bは、配信用映像70のアイコン74bに対応する視聴者の映像であるとする。同様に、視聴者映像81c、81d、81e、81fは、それぞれ配信用映像70のアイコン74c、74d、74e、74fに対応する視聴者の映像であるとする。
【0049】
視聴状況映像生成部36は、例えば、表示領域71の位置とアイコン74の位置との位置関係に基づいて、視聴者映像の表示態様を設定することができる。
【0050】
図8は、視聴者映像の表示態様の設定例を説明する図である。
図8に示すように、視聴状況映像生成部36は、アイコン74がアイコン配置領域72のうち表示領域71の近傍の近傍領域72aに配置されている視聴者(アイコン74a、74c、74fに対応する視聴者)については視聴状況映像80に視聴者映像81(81b、81d、81e)を表示し、アイコン74が近傍領域72aに配置されていない視聴者(アイコン74b、74d、74eに対応する視聴者)については視聴状況映像80に視聴者映像を表示しない態様とすることができる。なお、
図8ではアイコン配置領域72を座席として表示しているが、視聴状況映像生成部36は、例えば座席を表示せずフリースペースとして表示してもよい。また、実演映像73を視聴する権利を実際の実演会場の座席指定チケットと同様に座席指定の権利とし、視聴状況映像生成部36は、表示領域71を表示するときはアイコン配置領域72のうち視聴者の指定座席にのみアイコン74を位置させることを可能としてもよい。また、この場合、前方の席は料金が高くなるように視聴者へ課金するよう設定してもよい。
図8に示すような座席を模した、又は実在するホール等の座席画像を用いることで、視聴者は配信映像に加えて会場の雰囲気を楽しむことができる。また、視聴状況映像生成部36は、アイコン74が近傍領域72aに配置されている視聴者を視聴状況映像80に表示する映像を生成することで、実際に会場に行った場合と同様に前方席の視聴者についてのみ実演者から視認することが可能となり、実演者及び視聴者双方に臨場感を与えることができる。また、視聴状況映像生成部36は、前方席に位置する視聴者のみを表示する映像を生成することで、限られたリソースの中で実演者と視聴者の双方に臨場感を与えつつ、視聴者映像81を視聴状況映像80に表示することができる。ここで、限られたリソースとは、例えば視聴状況映像80の表示領域、サーバ装置80の処理能力、ネットワークNWにかかる通信負荷など各種の制限を意味する。視聴状況映像80は、視聴者映像80に限らずアイコン74の画像や視聴者のアバター等を含めてもよい。また、視聴状況映像生成部36は、アイコン74を実演会場の周辺に移動できるようにしてもよい。実演会場の周辺とは、例えば、実演会場施設内のロビー、売店もしくは控室等、または実演会場施設付近の飲食店等が挙げられる。実演会場と実演会場の周辺とのアイコン74の移動は、出入口を模した画像を介して行えるようにしてもよいし、3次元の仮想空間を移動することができるようにしてもよい。視聴状況映像生成部36は、アイコン74が実演会場に入っている視聴者のみ、視聴者映像81を視聴状況映像80に表示してもよい。なお、視聴状況映像生成部36は、視聴者が実演音声に集中できるように、実演会場内では他の視聴者の音声の音量を自動的に所定の値まで小さくする、またはゼロにしてもよい。この場合においても、視聴状況映像生成部36は、限られたリソースの中で実演者と視聴者の双方に臨場感を与えながら視聴者映像81を視聴状況映像80に表示することができる。また、視聴状況映像生成部36は、視聴者同士の会話の内容を音声認識し、その会話における話題から実演者に関する内容を抽出してアイコン74の周辺にテキスト表示してもよい。この場合、実演の終演後等に多数の視聴者で実演者に関する話題を共有し、会話をすることが容易になる。
【0051】
図9は、視聴者映像の表示態様の設定例を説明する図である。
図9に示すように、視聴状況映像生成部36は、表示領域71の位置とアイコン74a~74fの位置との間で上手側及び下手側の位置関係が同一となるように、視聴状況映像80内に視聴者映像81a~81fを表示することができる。この態様により、実際の実演会場でステージ側から観客席側を見た場合と同様の態様で視聴者映像81を表示することができる。
【0052】
図10は、視聴者映像の表示態様の設定例を説明する図である。
図10に示すように、視聴状況映像生成部36は、表示領域71に近い位置にアイコン74が配置される視聴者の視聴者映像81を相対的に大きく表示し、表示領域71から遠い位置にアイコン74が配置される視聴者の視聴者映像81を相対的に小さく表示することができる。例えば、表示領域71に最も近い位置に配置されるアイコン74c、74fに対応する視聴者映像81c、81fが、視聴状況映像80において最も大きく表示される。また、表示領域71に2番目に近い位置に配置されるアイコン74aに対応する視聴者映像81aが、視聴状況映像80において2番目に大きく表示される。また、表示領域71に3番目に近い位置に配置されるアイコン74d、74eに対応する視聴者映像81d、81eが、視聴状況映像80において3番目に大きく表示される。また、表示領域71に最も遠い位置に配置されるアイコン74bに対応する視聴者映像81bが、視聴状況映像80において最も小さく表示される。この態様により、実際の実演会場でステージ側から観客席側を見た場合と同様の態様で視聴者映像81を表示することができる。なお、視聴者映像81は、静止画でも動画でもよく、静止画を動的に切り替えたり、静止画と動画とを適宜切り替えたりしてもよい。仮想空間上のアイコン74の位置と実演者が見る視聴者映像81の位置とが連動することで、実演者に臨場感を与えることが可能になる。また、視聴者には多様な要望があり、例えば「前方に行きたい」、「実演者に自分の顔を覚えてほしい」、「下手に自分が応援している実演者がいる」、「実演者に見られるのは恥ずかしい」などの要望を、視聴者が直感的にシステムに入力することができる。また、配信システム100は、視聴者の多様な要望に対応しつつ、視聴者映像81を動的に変化させることで、表示可能な視聴者映像81の数を増加または減少させることもできる。配信システム100は、視聴者の多様な要望に対応しつつ、視聴者映像81を動的に変化させることで、適切な表示により臨場感を与えることができる。また、視聴者に段階的な課金を設定し、課金の金額に応じて視聴状況映像80の表示態様を変えてもよい。
【0053】
また、視聴状況映像生成部36は、例えば、表示部19に対する実演者P1の位置に応じて、視聴者映像の表示態様を設定することができる。
【0054】
図11は、視聴者映像の表示態様の設定例を説明する図である。
図11に示すように、視聴状況映像生成部36は、表示部19のうち実演者P1が存在する位置に対応する領域に視聴者映像81が表示されるように視聴状況映像を生成することができる。この態様により、実演者が視聴者映像81を把握しやすくなる。また、実演者P1が複数存在し、視聴者が特定の実演者を選択できる構成の場合、視聴状況映像生成部36は、表示部19のうち視聴者の選択した実演者の位置に対応する領域に当該実演者を選択した視聴者の視聴者映像81が表示されるように視聴状況映像を生成することができる。この態様により、視聴者が選択した実演者の近くに当該視聴者の視聴者映像81を表示することができる。具体的には、配信装置10またはサーバ装置30は、撮影部16を用いた顔検出、視線検出、骨格検出等、または放射温度計もしくはToF(Time of Flight)センサ等の他のセンサを用いて実演者の位置を特定してもよい。視聴状況映像生成部36は、実演者の位置に基づいて視聴者映像81を生成する。特に視聴者が特定の実演者を応援する画像等を掲示している場合、視聴状況映像生成部36は、応援画像に含まれる文字または顔画像等を画像認識し、応援されている実演者の視認しやすい位置に視聴者映像81が表示されるようにしてもよい。視聴状況映像生成部36は、応援画像の検出を記録し、又は、声援の音声を音声認識し、各視聴者と応援している実演者とを対応付けたデータベースを作成することで、特定の実演者を応援している視聴者の視聴者映像81を特定の実演者の視認しやすい位置に表示する映像を生成してもよい。視聴状況映像生成部36は、実演者の動きに合わせて視聴者映像81を動的に変化させるように生成してもよい。
【0055】
上記のように生成された視聴状況映像は、通信制御部34の制御により、通信部31から配信装置10に送信される。配信装置10は、送信された視聴状況映像を受信する。通信制御部22は、受信された視聴状況映像を取得する。出力制御部23は、取得した視聴状況映像を表示部19に表示する。
【0056】
また、視聴状況映像生成部36は、配信用映像70に対する視聴者の積極性の度合いを示す積極度に応じて、視聴者映像の表示態様を設定することができる。積極度は、配信用映像70を視聴する際、例えば、実演者に対して声援を送っている、声援の音量が大きい、動きが大きい、実演者の動きに対応して動いている、踊っている、実演者の応援グッズを使用している、笑顔である、感動して泣いている(感情が動いている)、視聴者の顔が視聴者映像に映っている、というように、配信用映像70に対して肯定的な言動をとる場合に高い値となる指標である。制御部32は、視聴状況映像に対して画像認識、顔認識、音声認識、骨格認証、等を適宜組み合わせ、または放射温度計もしくはToF(Time of Flight)センサ等の他のセンサを用いて視聴者の積極度を測定してもよい。また、積極度は、視聴者の視聴者映像を視聴状況映像に表示することが許可されている、視聴者が配信用映像70に対して否定的なワード又は禁止ワードを発言した履歴がない、というように、配信用映像70に対して消極的な言動をとらない場合に高い値となる。上記に示した例を含め、制御部32は、所定の項目ごとにスコアを算出し、スコアに応じて積極度を設定することができる。視聴状況映像生成部36は、例えば、積極度が基準以上である視聴者の視聴者映像81が表示となり、積極度が基準を下回る視聴者の視聴者映像81が非表示となるように視聴状況映像80を生成することができる。制御部32は、視聴状況映像の画像認識結果に基づいて積極度を算出してもよいし、視聴者がコメント欄等に入力するテキストによるコメントの内容に基づいて積極度を算出してもよい。また、視聴者のSNS(Social Networking Service)等のアカウントと連携できるようにしてもよく、制御部32は、SNSの情報を参照して積極度を算出してもよい。また、学校の授業等で配信システム100を使用する場合、視聴状況映像生成部36は、寝ている生徒など、積極度が低く算出される視聴者をあえて優先して表示するように視聴者映像を生成してもよい。
【0057】
図14は、配信装置10の操作者が確認する管理画面の例である。
図14に示す管理画面の例では、ユーザ1からユーザ30までの管理状況、強制退出ボタン、表示部19の輝度管理、及び視聴者の音量管理等が表示されている。ユーザの管理状況の中には、表示名、視聴者映像81を表示中か否か、視聴者の顔が視聴者映像81に映っているか否か、NGワードを発した回数が含まれている。また、笑顔スコア、声援スコア、動きスコア、応援グッズスコアが表示されており、これらの合計値として積極度が規定されている。この例では、積極度は各スコアの合計値としたが、所定の係数等を用いた計算を行ってもよい。
図14に示す管理画面の例では、ユーザ1からユーザ30までの管理状況が表示されているが、視聴状況映像を表示しているユーザの管理状況のみ、もしくは、スコアや状況に変化があったユーザの管理状況のみを表示するようにしてもよい。このように所定の項目ごとにスコアを算出することができる。なお、所定項目ごとのスコアの算出は、管理画面に表示せず、サーバ装置の制御部等で自動的に行ってもよい。
【0058】
実演者は、表示部19に表示された視聴状況映像80に対して、応答を行うことができる。応答情報取得部24は、表示部19に表示される視聴状況映像に対して実演者が応答を行う場合、当該実演者の応答情報を取得する。応答情報取得部24は、実演者の視線を検出し、検出結果に基づいて応答情報を取得してもよい。この場合、応答情報取得部24は、例えば撮影部16で撮影される実演映像に基づいて実演者の視線を検出することができる。応答情報取得部24は、検出結果に基づいて、実演者が表示部19を注視しているかを検出し、表示部19を注視している場合には表示部19のどの位置を注視しているかを検出する。応答情報取得部24は、実演者の視線が表示部19のうち視聴者映像が表示されている部分又はその近傍を注視していることが検出された場合、実演者が視聴者映像に対して応答を行っていると判定する。この場合、応答情報取得部24は、実演者が注視している位置及びその近傍に映っている視聴者映像を抽出し、抽出した視聴者映像に対応する視聴者(又は受信装置50)を特定する。このように、応答情報取得部24は、実演者が応答を行っていることと、実演者の応答の対象となる視聴者を示す情報とを応答情報として取得する。
【0059】
実演者が視聴者映像に応答する例としては、視聴者映像に視線を向けることに限定されない。例えば、実演者が視聴者映像に声を掛ける、手を振る、指をさす、視線を送る、実演者または配信装置10の操作者が操作部18により視聴者映像をクリックまたはタップする等して選択する、等であってもよい。
図3の例では、操作部18は配信装置10の操作者が用いるマウスを模した絵となっているが、実演者が使用する操作部18としては、実演をしながら使用できるように例えば、マイクにボタンを追加したものであったり、携帯可能な端末であったりしてもよい。応答情報取得部24は、例えば実演映像及び実演音声に基づいて、実演者が声を掛けたことと、実演者が声を掛けた対象となる視聴者映像とを応答情報として取得する。応答情報取得部24は、例えば実演映像に基づいて、実演者が手を振ったこと、指をさしたこと、視線を送ったこと、及び、これらの対象となる視聴者映像を応答情報として取得する。また、応答情報取得部24は、実演者が操作部18により視聴者映像を選択した場合には、選択により応答を行ったことと、選択の対象となる視聴者映像とを応答情報として取得する。
【0060】
通信制御部22は、応答情報取得部24で取得された応答情報を通信部13からサーバ装置30に送信させる。サーバ装置30は、配信装置10から送信された応答情報を受信する。通信制御部34は、応答情報を取得する。
【0061】
サーバ装置30は、応答情報に基づいて配信用映像の少なくとも一部の表示態様を変化させることができる。例えば、配信用映像生成部35は、実演者の応答の対象である視聴者の受信装置50に送信する配信用映像70について、当該視聴者を示すアイコン74の表示態様を変化させることができる。配信用映像生成部35は、例えばアイコン74を点滅、拡縮、移動、変形、変色またはこれらの組み合わせ等のように表示が経時変化する態様としてもよい。
【0062】
この動作により、実演者の応答の対象である視聴者の受信装置50の表示部59には、表示態様が変化した状態でアイコン74が表示される。視聴者は、アイコン74の表示態様の変化を視認することにより、実演者から応答があったことを把握できる。本実施形態に係る配信システム100では、実演者から配信される配信用映像70に対して、視聴者から実演者へ、また、実演者から視聴者へと、双方向のコミュニケーションを行うことが可能となっている。
【0063】
図12は、本実施形態に係る配信システム100の動作の流れを示すフローチャートである。
図12に示すように、配信システム100では、配信装置10、サーバ装置30、及び受信装置50の起動、または撮影もしくは収音の開始操作等をトリガとして動作を開始する(スタート)。撮影部16及び音声入力部17は、実演者による実演を撮影及び収音し、実演映像及び実演音声を生成する(ステップS101)。生成された実演映像及び実演音声は、入力部11に入力される。通信制御部22は、入力された実演映像及び実演音声を、通信部13からサーバ装置30に送信させる(ステップS102)。サーバ装置30は、配信装置10から送信された実演映像及び実演音声を受信する(ステップS103)。配信用映像生成部35は、背景画像75の表示領域71に実演映像73を合成する(ステップS104)。
【0064】
一方、視聴者は、受信装置50からサーバ装置30にアクセスし、アイコン74の配置の設定を行う(ステップS105)。サーバ装置30の配信用映像生成部35は、設定された位置にアイコン74を合成する(ステップS106)。これにより、配信用映像70が生成される。通信制御部22は、生成された配信用映像70を、通信部31から受信装置50に送信させる(ステップS107)。
【0065】
受信装置50は、サーバ装置30から送信された配信用映像70を受信する(ステップS108)。受信した配信用映像70は、通信制御部62により取得され、出力制御部63により表示部59に表示される(ステップS109)。視聴者は、表示部59に表示される配信用映像70を視聴することができる。
【0066】
撮影部56及び音声入力部57は、配信用映像70を視聴する視聴者を撮影及び視聴者の音声を収音し、視聴者映像及び視聴者音声を生成する(ステップS110)。視聴者映像及び視聴者音声は、入力部51に入力され、通信制御部62の制御により通信部53からサーバ装置30に送信される(ステップS111)。
【0067】
サーバ装置30は、視聴者映像及び視聴者音声を受信する(ステップS112)。視聴状況映像生成部36は、配信用映像70を視聴する視聴者の視聴状態を検出し、視聴状態に応じた表示態様で視聴者映像を表示又は非表示とした視聴状況映像を生成する(ステップS113)。
【0068】
視聴状況映像は、通信制御部34の制御により、通信部31から配信装置10に送信される(ステップS114)。配信装置10は、送信された視聴状況映像を受信する(ステップS115)。視聴状況映像は、通信制御部22により取得され、出力制御部23により表示部19に表示される(ステップS116)。
【0069】
応答情報取得部24は、表示部19に表示される視聴状況映像に対して実演者が応答を行う場合、当該実演者の応答情報を取得する(ステップS117)。通信制御部22は、応答情報取得部24で取得された応答情報を通信部13からサーバ装置30に送信させる(ステップS118)。サーバ装置30は、配信装置10から送信された応答情報を受信する(ステップS119)。
【0070】
サーバ装置30は、応答情報に基づいて配信用映像の少なくとも一部の表示態様を変化させる(ステップS120)。実演者の応答の対象である視聴者の受信装置50の表示部59には、表示態様が変化した状態でアイコン74が表示される(ステップS121)。視聴者は、アイコン74の表示態様の変化を視認することにより、実演者から応答があったことを把握できる。なお、
図12に示すフローチャートでは、配信装置10、サーバ装置30、及び受信装置50における各動作の終了後にそれぞれエンドとしているが、終了操作の受付、所定時間の経過、または所定回数(ループ)の経過まで、一連の動作を繰り返し実施(ループ)させることが好ましい。
【0071】
以上のように、本実施形態に係る配信システム100は、実演を行う実演者の実演映像73を取得し、取得した実演映像73を送信する配信装置10と、配信装置10から送信される実演映像73を受信し、受信した実演映像73に基づいて配信用映像70を生成し、生成した配信用映像70を送信するサーバ装置30と、サーバ装置30から送信される配信用映像70を受信し、受信した配信用映像70を表示部59に表示する受信装置50とを備え、受信装置50は、配信用映像70を視聴する視聴者を撮影した視聴者映像81を取得し、取得した視聴者映像81を送信し、サーバ装置30は、受信装置50から送信される視聴者映像81を受信し、配信用映像70を視聴する視聴者の視聴状態に応じた表示態様で視聴者映像81を表示又は非表示とした視聴状況映像80を生成し、生成した視聴状況映像80を送信し、配信装置10は、サーバ装置30から送信される視聴状況映像80を受信し、受信した視聴状況映像80を表示部19に表示する。
【0072】
この構成によれば、受信装置50において視聴者映像81が取得され、サーバ装置30において視聴状況映像80が生成され、配信装置10において視聴状況映像80が表示部19に表示されるため、実演者は表示部19に表示される視聴状況映像80を見ることにより、視聴者の視聴状態を容易に把握することが可能となる。
【0073】
本実施形態に係る配信システム100において、配信装置10は、表示部19に表示された視聴者映像81に対して実演者が応答する場合の応答情報を取得し、取得した応答情報を送信し、サーバ装置30は、配信装置10から送信される応答情報を受信し、受信した応答情報に基づいて配信用映像70の少なくとも一部の表示態様を変化させる。この構成によれば、視聴者は配信用映像70の表示態様の変化を確認することで、実演者からの応答があったことを把握できる。このため、実演者から視聴者へのコミュニケーションを容易に行うことが可能となる。
【0074】
本実施形態に係る配信システム100において、配信装置10は、実演者と表示部19との位置関係に応じた表示態様で視聴者映像81を表示する。この構成によれば、実演者が視聴者映像81を認識しやすくなる。
【0075】
本実施形態に係る配信システム100において、サーバ装置30は、実演映像73を表示するための表示領域71と、表示領域71に対応し実演映像73を視聴する視聴者のアイコン74を配置可能なアイコン配置領域72とを含む配信用映像70を生成し、状態情報は、表示領域71とアイコン74との位置関係を含む。この構成によれば、表示領域71とアイコン74との位置関係に応じて、多様な表示態様で視聴状況映像80を生成することができる。
【0076】
本実施形態に係る配信システム100において、状態情報は、配信用映像70に対する視聴者の積極度を含み、サーバ装置30は、積極度が基準を下回る視聴者の視聴者映像81が非表示となるように視聴状況映像80を生成する。この構成によれば、配信用映像70に対して積極性の高い視聴者の視聴状況を選択的に表示部19に表示させることができる。
【0077】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。例えば、上記実施形態では、配信装置10が配置される環境が無観客の状態である場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。
図13は、配信装置10及び当該配信装置10に接続される機器の他の例を模式的に示す図である。
図13に示すように、実演スペース25に対して観客席26が配置された構成であってもよい。この場合、表示部19A、19B、19Cは、実演スペース25から見て観客席26の後方に配置される。この構成によれば、実演者は、観客席26の観客の反応と受信装置50の視聴者の反応との両方を把握することができる。また、観客席26の観客と受信装置50の視聴者との間で、実演者による実演に対する反応を共有することができる。また、実演映像73は複数の映像であってもよい。例えば、配信用映像70の大きさを、実演映像73及びアイコン74の大きさと比べて十分に大きくすることで、視聴者はアイコン74を動かしたり、実演映像73に適宜近づいたり、表示範囲を変更したりして実演を視聴することができる。例えば、実演映像73を複数のウェブサイトに配置し、視聴者が複数のウェブサイトを行き来することで複数の実演映像73を視聴できるようにしてもよい。実演映像73を複数配置することで、複数の実演者が複数のステージで同時に実演を行ういわゆるフェスと呼ばれるイベント、博覧会または学会などの複数の講演またはポスターセッション等が同時に行われるイベントなどの実施が可能である。なお、上記説明したすべての実施形態では、各機能(動作)を配信装置10、サーバ装置30、または受信装置50の一部(における実施)としてそれぞれ説明したが、あくまでも一例であり、システム全体として配信装置10、サーバ装置30、または受信装置50の各機能(動作)が実施されればよく、機能(動作)の実施主体を限定するものではない。また、配信システム100は、配信装置10及びサーバ装置30の各機能(動作)のみを含み、受信装置50の各機能(動作)を含まない構成でもよい。
【符号の説明】
【0078】
P1…実演者、NW…ネットワーク、10…配信装置、11,51…入力部、12,52…出力部、13,31,53…通信部、14,32,54…制御部、15,33,55…記憶部、16,56…撮影部、17,57…音声入力部、18,58…操作部、19,19A,19B,19C,59…表示部、20,60…音声出力部、21,61…入力情報取得部、22,34,62…通信制御部、23,63…出力制御部、24…応答情報取得部、25…実演スペース、26…観客席、30…サーバ装置、35…配信用映像生成部、36…視聴状況映像生成部、37…音量設定部、50…受信装置、70…配信用映像、71…表示領域、72…アイコン配置領域、72a…近傍領域、73…実演映像、74…アイコン、75…背景画像、80…視聴状況映像、81…視聴者映像、100…配信システム