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特開2022-149197配管用枡部材および配管用枡部材を備えた排水配管システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149197
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】配管用枡部材および配管用枡部材を備えた排水配管システム
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/08 20060101AFI20220929BHJP
   E03C 1/12 20060101ALI20220929BHJP
   F16L 5/00 20060101ALI20220929BHJP
   F16L 43/00 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
E04D13/08 301A
E03C1/12 A
F16L5/00 A
F16L43/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021051234
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】元 隆明
【テーマコード(参考)】
2D061
3H019
【Fターム(参考)】
2D061AA04
2D061AA05
2D061AB00
2D061AC05
2D061AC07
2D061AD01
3H019EA07
3H019EA11
3H019EA16
(57)【要約】
【課題】本発明は、竪管への雨水の流入性や排水性を向上させることで、竪管での良好な排水性を得ることができる、配管用枡部材および排水配管システムを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の配管用枡部材は、竪管の上部に接続される配管用枡部材であって、中心軸線を上下に向けて配置される管本体部と、該管本体部の側面に形成され横管に接続される横管接続部と、前記管本体部の下部に形成され前記竪管が接続される竪管接続部を有し、前記管本体部の内側に部材収納用の底板が設けられたことを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
竪管の上部に接続される配管用枡部材であって、
中心軸線を上下に向けて配置される管本体部と、該管本体部の側面に形成され横管に接続される横管接続部と、前記管本体部の下部に形成され前記竪管が接続される竪管接続部を有し、前記管本体部の内側に部材収納用の底板が設けられた配管用枡部材。
【請求項2】
前記竪管接続部の内径が前記横管接続部の内径よりも小さくされた請求項1に記載の配管用枡部材。
【請求項3】
前記管本体の底板にサイフォン起動部材が取り付けられた請求項1または請求項2に記載の配管用枡部材。
【請求項4】
前記管本体部の上部に開口部が形成され、該開口部を開閉自在とする蓋部材が着脱自在に装着された請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の配管用枡部材。
【請求項5】
請求項1~請求項4の何れか一項に記載された配管用枡部材と、前記配管用枡部材の横管接続部に接続された横管と、前記配管用枡部材の竪管接続部に接続された竪管とを備えた排水配管システム。
【請求項6】
建物屋上床に設置されたルーフドレンと、前記ルーフドレンに接続されて前記建物屋上階の腰壁を貫通する横管と、該横管の外側端に接続された配管用枡部材と、該配管用枡部材の下部に接続された竪管を備えた排水配管システムであって、
前記配管用枡部材が請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の配管用枡部材である排水配管システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管用枡部材および配管用枡部材を備えた排水配管システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、集中豪雨の頻度が増加していることに伴って、建物の雨水の排水を効率良くするために、雨水配管が大型化される傾向にある。
例えば、図21に示す建物屋上階の排水配管システムでは、建物屋上床100のコーナ部分において腰壁101が立設されている部分に沿って枠型のフールドレン102が設置されている。このルーフドレン102に接続された横管103が腰壁101を水平に貫通するように設置され、横管103の外側端にエルボ管105を介し排水用の竪管106が接続されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
建物屋上階の排水配管システムにおいて、図22に示すように、横管103と竪管106との接続部分にエルボ管105の代わりにチーズ継手107を設けた排水配管システムが知られている。チーズ継手107の天井部には着脱自在の蓋板108が設けられる。
あるいは、図23に示すように、横管103と竪管106との接続部分にエルボ管105の代わりに排水マス109を設けた排水配管システムが知られている。排水マス109の天井部には着脱自在の蓋板110が設けられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】カネソウ株式会社 「製品情報 鋳鉄製ルーフドレン 防水層張掛け幅100mm よこ引き 打込型」、[online]、[令和2年8月5日検索]、インターネット(URL http://www.kaneso.co.jp/seihin/WHXA.htm)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図21に示す排水配管システムにおいて、屋上の雨水はルーフドレン102を介し横管103に導入され、エルボ管105を介し縦管106に流れ込むことで排水される。
一般的な排水配管システムにおいて、横管103と縦管106は同一径に設計されるので、近年のゲリラ豪雨などの対策も考慮し、排水能力向上のために、横管103と縦管106をいずれも大径化する傾向にある。
【0006】
ところが、豪雨対策のために竪管を大径化すると、階数の多い建屋において配管重量が増大することとなり、配管重量に耐えるため、あるいは、風力などに耐えるため、より強固な支持構造が必要となる問題がある。また、支持金具による配管支持箇所が多くなること、より強度の高い支持金具を必要とすること、場合によっては躯体強度の再検討も必要になるなど、多様な影響が生じることも考えられる。加えて、大径の竪管の保管スペースの確保、運搬重機の大型化、より多くの工数が必要となるなど、建物の設計施工に様々な影響を及ぼすおそれがある。
なお、上述の排水配管システムにおいて、豪雨対策のために横管と竪管を接続する配管継手を個別に設計すると、専用部材が必要となり、設備コストが向上する問題がある。
【0007】
本発明は、前述した事情に鑑み、なされたものであって、竪管への雨水の流入性や排水性を向上させることができる配管用枡部材を低コストで提供することを目的とする。また、本発明は、横管の口径を大きくしても竪管の径を大きくすることのない配管用枡部材を提供することを目的とする。更に、本発明は、配管用枡部材を備えた排水配管システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明は以下の形態を提案している。
「1」本形態に係る配管用枡部材は、竪管の上部に接続される配管用枡部材であって、 中心軸線を上下に向けて配置される管本体部と、該管本体部の側面に形成され横管に接続される横管接続部と、前記管本体部の下部に形成され前記竪管が接続される竪管接続部を有し、前記管本体部の内側に部材収納用の底板が設けられた構成を備える。
【0009】
竪管と横管を配管用枡部材を介し接続することができる。枡部材内に部材収納用の底板を設けることで、底板を利用し、種々の部材の設置が可能となる。横管接続部と竪管接続部を管本体部に備えた枡部材であるならば、構成が簡単であり、既存品としての枡部材を広く適用できるので、設備コストの抑制に寄与する。
底板に設ける部材がサイフォン起動部材であるならば、サイフォン現象の発生を促進でき、竪管の排水能力向上に寄与する。
【0010】
「2」本形態に係る配管用枡部材において、前記竪管接続部の内径が前記横管接続部の内径よりも小さくされた構成を採用できる。
【0011】
ゲリラ豪雨などの対策のために横管を大径化したとしても、竪管接続部の内径を横管接続部の内径よりも小さくしているので、より小さな内径の竪管を接続することができる。横管が大径となり、横管から竪管に流入する雨水量が増加したとしても、竪管を流れる雨水には重力が作用し、横管を流れる雨水よりも速く雨水が排出されるので、排水能力に問題は生じない。
ゲリラ豪雨対策のために横管を大径化したとして、竪管を小径化できることにより、竪管を支持する金具の強度を大きくする必要がなくなるとともに、支持金具の必要個数も削減できる。また、竪管を小径化できることにより、躯体に対する負荷を削減できる。加えて、大径の竪管を用いことがなくなり、大径竪管の保管スペースを削減でき、運搬重機の小型化に寄与し、建物の設計施工に負荷をかけることのない構造を提供できる。
【0012】
「3」本形態に係る配管用枡部材において、前記管本体の底板にサイフォン起動部材が取り付けられた構成を採用できる。
【0013】
底板にサイフォン起動部材を取り付けた構成であるならば、サイフォン現象の発生を利用し、竪管の排水能力向上に寄与する。よって、管本体に横管から大量の排水が流れ込んだとして、竪管を介し確実に排水できる。
【0014】
「4」本形態に係る配管用枡部材において、前記管本体部の上部に開口部が形成され、該開口部を開閉自在とする蓋部材が着脱自在に装着された構成を採用できる。
【0015】
管本体部の開口部を蓋部材で開閉自在とするならば、管本体の内部に異物などが堆積するか、異物による目詰まりなどを起こした場合、蓋部材を取り外して配管用枡部材の内部を清掃することができ、メンテナンス性に優れた配管用枡部材を提供できる。
【0016】
「5」本形態に係る排水配管システムは、「1」~「4」の何れかに記載された配管用枡部材と、前記配管用枡部材の横管接続部に接続された横管と、前記配管用枡部材の竪管接続部に接続された竪管とを備えることを特徴とする。
【0017】
「6」本形態に係る排水配管システムは、建物屋上床に設置されたルーフドレンと、前記ルーフドレンに接続されて前記建物屋上階の腰壁を貫通する横管と、該横管の外側端に接続された配管用枡部材と、該配管用枡部材の下部に接続された竪管を備えた排水配管システムであって、前記配管用枡部材が「1」~「4」のいずれかに記載の配管用枡部材であることを特徴とする。
【0018】
本形態の排水配管システムであれば、竪管と横管を配管用枡部材を介し接続した構成を提供することができる。配管用枡部材内に部材収納用の底板を設けることで、底板を利用し、種々の部材の設置が可能となる。横管接続部と竪管接続部を管本体部に備えた配管用枡部材であるならば、構成が簡単であり、既存品としての枡部材を広く適用できるので、設備コストの抑制に寄与する。
底板に設ける部材がサイフォン起動部材であるならば、サイフォン現象の発生を促進でき、竪管の排水能力向上に寄与する。
【0019】
ゲリラ豪雨などの対策のために横管を大径化したとして、竪管接続部の内径を横管接続部の内径よりも小さくするならば、小径の竪管を接続できる。横管が大径となり、横管から竪管に流入する雨水量が増加したとしても、竪管を流れる雨水には重力が作用し、横管を流れる雨水よりも速く雨水が排出されるので、排水配管システムとしての排水能力に問題は生じない。
横管を大径化したとして、竪管を小径化できることにより、竪管を支持する金具の強度を必要以上に向上させる必要がなくなるとともに、支持金具の必要個数も削減できる排水配管システムを提供できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の配管用枡部材であれば、竪管と横管を配管用枡部材を介し接続することができる。配管用枡部材内に部材収納用の底板を設けることで、底板を利用し、種々の部材の設置が可能となる。横管接続部と竪管接続部を管本体部に備えた配管用枡部材であるならば、構成が簡単であり、既存品としての枡部材を広く適用可能であるので、設備コストの抑制に寄与する。
底板に設ける部材がサイフォン起動部材であるならば、サイフォン現象の発生を促進でき、竪管の排水能力向上に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1実施形態に係る配管用枡部材を建物屋上床に設置されている横管と外壁に沿って配置された竪管との接続部に適用した排水配管システムの一例を示す部分断面図である。
図2】同第1実施形態に係る配管用枡部材の断面図である。
図3】本発明の第2実施形態に係る配管用枡部材の断面図である。
図4】本発明の第3実施形態に係る配管用枡部材の断面図である。
図5】本発明の第4実施形態に係る配管用枡部材の断面図である。
図6】本発明の第5実施形態に係る配管用枡部材の断面図である。
図7】同第5実施形態の配管用枡部材の平面図である。
図8】配管用枡部材の周壁を丸型形状とした変形例を示す平面図である。
図9】配管用枡部材の周壁を一部角型一部丸型とした変形例を示す平面図である。
図10】本発明の第6実施形態に係る配管用枡部材の断面図である。
図11】本発明の第7実施形態に係る配管用枡部材の断面図である。
図12】本発明の第8実施形態に係る配管用枡部材と横管及び竪管との接続構造を示す部分断面図である。
図13図12に示す接続構造の側面図である。
図14】本発明の第9実施形態に係る配管用枡部材の断面図である。
図15】本発明の第10実施形態に係る配管用枡部材の断面図である。
図16】本発明の第11実施形態に係る配管用枡部材の断面図である。
図17】横管の長さに応じた影響を検証するために行った検証試験の概要を示す斜視図である。
図18】長さ0.3mの横管を設けた検証試験装置の構成を示す説明図である。
図19】長さ1.0mの横管を設けた検証試験装置の構成を示す説明図である。
図20図12図13に示す検証試験装置による試験結果を示すグラフである。
図21】排水配管システムに係る第1の従来例を示す構成図である。
図22】排水配管システムに係る第2の従来例を示す構成図である。
図23】排水配管システムに係る第3の従来例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図1図5を参照し、本発明の第1実施形態に係る配管用枡部材を備えた排水配管システムの一例について以下に説明する。
本実施形態に係る配管用枡部材を備えた排水配管システムは、例えば、ビルやマンションなどの建物の排水用に適用される。
図1に示す第1実施形態では、建物の屋上床1とこの屋上床1のコーナー部分に立設された腰壁2との接続部分の外側に配管用枡部材3が設けられている。屋上床1と腰壁2の接合部分の内側に枠型のルーフドレン5が設けられ、このルーフドレン5に接続されて腰壁2を水平に貫通した横管6の外端側に配管用枡部材3が接続され、配管用枡部材3の下部に竪管7が接続されている。第1実施形態では、ルーフドレン5と横管6と配管用枡部材3と竪管7を備えて排水配管システムSが構成されている。
竪管7は、建物の外壁8に沿って下方に延在され、建物近傍の地面に設けられている図示略の集水枡あるいは他の排水管などの排水設備に接続されている。
【0023】
ルーフドレン5は底板10と側板11からなるL字型の枠体12を有し、枠体12に配管接続用の筒部材13が一体化されている。側板11の底部側に形成された透孔11aから外側に延出するように筒部材13が側板11の外側に延出されている。
ルーフドレン5は底板10を屋上床1のコーナー部分に設置し、側板11を腰壁2の底部に密着させるとともに、腰壁2の底部に形成した透孔2aに筒部材13を挿入することにより、屋上床1のコーナー部分に設置されている。
枠体12の内側には複数の通水孔を備えたL字枠状のストレーナ17がボルト18とナット19により着脱自在に装着され、枠体12とストレーナ17によりルーフドレン5が構成されている。
【0024】
ストレーナ17を枠体12にボルト18とナット19により取り付けることにより、ルーフドレン5の底板10とストレーナ17の底部により屋上床1側の防水シート15の端部が挟まれ、押さえられている。同様に、上述のボルト止めにより、側板11とストレーナ17の上部により腰壁2側の防水シート16の端部が挟まれ、押さえられている。
なお、本実施形態において適用したルーフドレン5は、1つの例であって、本発明に適用するルーフドレンの構造は一般的な枠型や箱型など、一般的な構造のルーフドレンを適宜用いても良い。例えば、屋上床1のコーナー部ではなく水平部に設けられたルーフドレン5と横管6とを接続してもよく、この場合、ルーフドレン5の底板10に設けられる筒部材13は上下方向に開口しているため、ルーフドレン5と横管6とがエルボを介して接続される。
【0025】
腰壁2において屋上床1と接する位置に水平向きに透孔2aが形成されている。この透孔2aには排水用の横管6がその一端側を透孔2aの外側に若干突出させるように、その他端側をルーフドレン5の筒部材13に接続するように配置されている。
横管6に接続された配管用枡部材3は、管本体部22と横管接続部23と竪管接続部24を有している。管本体部22は、中心軸線を鉛直に配置して腰壁2に近い位置に設置されている。管本体部22は円筒形状をなし、その側壁22aの一部に横向きに円筒状の横管接続部23が突出されている。なお、管本体部22を設置する場合、その中心軸線を鉛直から多少傾斜して設置しても差し支えない。
【0026】
横管接続部23は管本体部22の側面から突出された枝管から構成され、前記横管6の外側端を挿入可能なサイズの開口部を有し、この開口部に横管6の外側端を挿入し、接着などの接合手段により横管接続部23に横管6が接続されている。横管接続部23の内径は上述のように横管6を挿入可能な内径とされるが、管本体部22の内径も横管接続部23の内径と同等程度に形成されている。横管接続部23は管本体部22の底部側に形成されている。
図1図2に示す構成において、管本体部22の高さ寸法は横管接続部23の外径より若干大きく形成されているので、横管接続部23の最上端位置が管本体部22の上端より下方に位置され、横管接続部23の最下端位置が管本体部22の底部近くに位置されている。
【0027】
配管用枡部材3の内部断面拡大構造を図2に示す。
配管用枡部材3は、図2に示すように管本体部22の中心軸線を鉛直に向けて設置されるが、管本体部22の下端より若干高い位置に底板22Aが形成されている。図2に示す構成では、横管接続部23の最下端位置と底板22Aがほぼ同一高さに形成されている。底板22Aの中央部に竪管連通用の透孔22dが形成されている。
管本体部22において、底板22Aより下方の部分に筒状の竪管接続部24が形成されている。
【0028】
配管用枡部材3の内部にはサイフォン起動部材25が設けられ、このサイフォン起動部材25の底部側が底板下面側に配置されたリング状の接続部材26に接続されている。接続部材26は、接続筒部26Aの上部側にフランジ部26Bが形成されたもので、フランジ部26Bの外径は、管本体部22の底板22Aの外径より若干小さく形成されている。また、接続筒部26Aの内周面には内ねじ部(図示略)が形成されている。
【0029】
サイフォン起動部材25は、例えば、蓋部材25Aと、蓋部材25Aの下面側に下方に延出形成された複数の縦リブ25Bと、縦リブ25Bの下方に形成されたフランジ部25Cと、フランジ部25Cの下方に延出された接続筒部25Dを有する。蓋部材25Aの上面側には複数の把持リブ25Eが形成されている。なお、蓋部材25Aは貫通孔が設けられていてもよい。
蓋部材25Aとフランジ部25Cの間の開口が排水の流入開口部25Fとされる。蓋部材25Aの底面中央側には流入開口部25Fから流入した排水を下向きの流れとするための誘導ガイド(図示略)が形成されている。接続筒部25Dの外周面には前述した接続部材26の内ねじ部に螺合可能な外ねじ部(図示略)が形成されている。
【0030】
サイフォン起動部材25において接続筒部25Dの外径は、管本体部22の底板22Aに形成されている透孔22dの内径より若干小さく形成されている。
管本体部22において、底板22aの下面側に接続筒部26が配置され、この接続筒部26の内ねじ部に前述のサイフォン起動部材25の接続筒部25Dの外ねじ部を螺合することでサイフォン起動部材25が管本体部22の底板22Aに取り付けられている。即ち、サイフォン起動部材25と接続筒部25Dで底板22Aを挟み付けることでサイフォン起動部材25が底板22Aに固定されている。なお、図2ではサイフォン起動部材25と接続筒部26の螺合を解除し、両者を底板22Aから分離した状態で示しているが、これらの取付状態においてサイフォン起動部材25と接続筒部26は螺合により一体化されている。
【0031】
接続筒部2Dの上端開口部の外周にフランジ部25Cが形成され、接続筒部2Dの上端開口部が排水の落し口部とされている。
流入開口部25Fの面積は、接続筒部25Dの上端側開口面積(落し口部の開口面積)よりも大きい面積となるように、サイフォン起動部材25の各部の大きさや高さ、形状が調整されている。本実施形態では、流入開口部25Fの面積は、円形の蓋部材25Aの円周の長さと、フランジ部25Cから蓋部材25Aまでの高さHとの積により求めることができる。
【0032】
蓋部材25Aを設けるための好適な接続筒部25Dの内径は、50mm以上170mm以下が好適であり、70mm以上170mm以下がより好適である。すなわち、接続筒部の落し口部の開口外径を下限の50mm以上とすることで、サイフォン起動部材25で発生する大流量の排水をスムーズに排水することができる。そして、上限の170mm以下とすることで配管用枡部材3に収容する場合の収まりが小さくなり、配管用枡部材3の大型化を防ぐことができる。
接続部材26の接続筒部26Aに竪管7の上端が挿入され、接着などの接合手段により固定されている。
【0033】
図1図2に示す第1実施形態の構成では、管本体部22の内径に対し接続筒部25D、26Aの内径が1/2程度に設定されている。また、横管6の内径に対し接続筒部25D、26Aの内径が1/2程度に形成されることとなるので、竪管7の内径が横管6の内径の1/2程度に形成されている。
なお、本実施形態では竪管7の内径が横管6の内径の1/2程度に形成されているが、竪管7の内径が横管6の内径の1/2~1/1程度に形成されていても良い。即ち、管本体部22の内径に対し接続筒部25D、26Aの内径を1/2~1/1程度の範囲としても良い。いずれにしても、本実施形態では、管本体部22の内径(≒横管6の内径)に対し、接続筒部25D、26Aの内径(≒竪管7の内径)が等しいか、あるいは、小さく形成されている。
【0034】
配管用枡部材3は、PE(ポリエチレン)やPP(ポリプロピレン)あるいはPB(ポリブテン)などのオレフィン系樹脂、硬質塩化ビニル樹脂やABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体樹脂)、AES(アクリロニトリル・エチレン・スチレン共重合体樹脂)等の樹脂を射出成型することで形成される。
サイフォン起動部材25は、例えば、硬質塩化ビニル樹脂やポリカーボネート、ABS、AES等の合成樹脂により形成された射出成形品とされている。なお、サイフォン起動部材25の構成材料は、合成樹脂に限定されるのではなく、鋳鉄、ステンレス鋼やアルミニウムなどの金属から形成してもよい。
【0035】
配管用枡部材3において管本体部22の上端には開口部22bが形成され、この開口部22bは着脱自在に嵌合された蓋部材28により閉じられている。蓋部材28は天板28Aと接続筒28Bを備えたキャップ状の部材である。蓋部材28には空気抜き孔が形成されていることが望ましい。
なお、開口部22bは管本体部の側面に設けられていてもよく、この場合、蓋部材28は管本体部22の側面開口部に着脱自在に嵌合される。管本体部の側面に設けた開口部により、接続筒部26の内ねじ部にサイフォン起動部材25の接続筒部25Dの外ねじ部を螺合する作業が行いやすくなる。
【0036】
以下に図1の構造における排水性について説明する。
雨水などが防水シート15に沿って流れ、ルーフドレン15に到達すると、その雨水は透孔11aを通過して横管6に流入し、配管用枡部材3の横管接続部23を介し管本体部22の内部に流れ込む。管本体部22に流れ込んだ雨水は流れる方向を下向きに変更し、サイフォン起動部材25を通過し、竪管7を伝わって排水枡などの排水設備側に排出される。
【0037】
一方、近年のゲリラ豪雨対策などにより、排水能力を向上させるために、横管6の径を大きくする傾向がある。本実施形態の構造では横管6の内径と竪管7の内径が等しいか、竪管7の内径が小さい。竪管7に雨水が流れ込むと、竪管7の流れる雨水には重力が作用するので、横管6を流れる雨水よりも竪管7を流れる雨水の方が円滑に排出される。従って、横管6を介し大量の雨水が竪管7側に流れ込んだとしても竪管7を流れる雨水の方が流束が早くなり、内径の小さな竪管7であっても、竪管7による十分な排水性が得られる。一例として、横管6の呼び径を150mmとした場合、竪管7の呼び径を75mmとすることができる。竪管7の呼び径は100mmなどであっても良い。
【0038】
本実施形態において、横管6より径の小さな竪管7を設けた場合、横管6と同じ外径の竪管を設けていた従来構造よりも、竪管7としての重量を削減できる。竪管7の重量を削減できるので、竪管7を支持する金具の本数を少なくでき、支持金具の強度も小さなもので済むこととなり、躯体に対する過度な負荷も軽減できる。また、竪管7を設置する場合の保管スペースの削減、運搬重機の大型化を抑制でき、建物の設計施工に余裕を生む利点がある。
【0039】
次に、サイフォン起動部材25の作用について説明する。
サイフォン起動部材25は、平面視したときに、落し口部の開口(接続筒部25Dの上端開口)を排水が塞ぐとともに、大雨時に多量の雨水が流入開口から流入したときにも空気を吸い込むことなく竪樋7を満水状態としたまま水封する。その結果、下流側にサイフォン現象を発生させることができる。このようにサイフォン起動部材25により竪樋7による高排水機能を発揮できる。
このため、大量の雨水が横管6から配管用枡部材3に流れ込んだとしても良好な排水能力を得ることができる。
【0040】
ところで、ここまでの説明においては、建物の屋上床1に設けられるルーフドレン5に本実施形態を適用した例について説明したが、ルーフドレン5は、バルコニー床やベランダ床、テラス床などにも設置されることがので、バルコニー床やベランダ床、テラス床などに設置したルーフドレンに対し本願の先の実施形態の構造を適用することができる。
【0041】
図3は本発明に係る第2実施形態の配管用枡部材を示すもので、第2実施形態の配管用枡部材30が、管本体部22と横管接続部23と竪管接続部24を有している構成は先の第1実施形態の配管用枡部材3と同等である。第2実施形態の配管用枡部材30は、管本体部22の内径が第1実施形態の配管用枡部材3の管本体部22の内径より大きい点が異なる。また、竪管接続部24の内径が第1実施形態の配管用枡部材3の竪管接続部24の内径より大きい点が異なる。
例えば、第1実施形態の配管用枡部材3において、横管6のサイズが呼び径150A、竪管7のサイズが呼び径75Aであったが、第2実施形態の配管用枡部材30において、横管6のサイズが呼び径150A、管本体部22と竪管7のサイズが呼び径100Aである。第2実施形態の配管用枡部材30において、管本体部22の呼び径を大きくしている関係から、管本体部22の側壁22aの上部側が第1実施形態よりも肉厚に形成されている。
第2実施形態の配管用枡部材30においてその他の構成は第1実施形態の配管用枡部材3と同等である。
【0042】
第2実施形態の配管用枡部材30のように竪管7のサイズは、横管6のサイズに対して1/2ではなくてもよい。第2実施形態の配管用枡部材30においても、先の配管用枡部材3と同様の作用効果を得ることができる。
【0043】
図4は本発明に係る第3実施形態の配管用枡部材を示すもので、第3実施形態の配管用枡部材35が、管本体部22と横管接続部23と竪管接続部24を有している構成は先の第1実施形態の配管用枡部材3と同等である。
第1実施形態の配管用枡部材3において、横管6のサイズが呼び径150A、竪管7のサイズが呼び径75Aであったが、第3実施形態の配管用枡部材30において、横管6のサイズが呼び径100A、管本体部22と竪管7のサイズが呼び径75Aである。
第3実施形態の配管用枡部材30においてその他の構成は第1実施形態の配管用枡部材3と同等である。
第3実施形態の配管用枡部材35においても、先の配管用枡部材3と同様の作用効果を得ることができる。
【0044】
図5は本発明に係る第4実施形態の配管用枡部材を示すもので、第4実施形態の配管用枡部材40が、管本体部22と横管接続部23と竪管接続部24を有している構成は先の第1実施形態の配管用枡部材3と同等である。
第1実施形態の配管用枡部材3において、横管6のサイズが呼び径150A、竪管7のサイズが呼び径75Aであったが、第4実施形態の配管用枡部材40において、横管6のサイズが呼び径100A、管本体部22と竪管7のサイズが呼び径100Aである。
第4実施形態の配管用枡部材40においてその他の構成は第1実施形態の配管用枡部材3と同等である。第3実施形態の如く、横管6と竪管7の呼び径サイズが同一であっても良い。
第3実施形態の配管用枡部材40においても、先の配管用枡部材3と同様の作用効果を得ることができる。
【0045】
図6図7は本発明に係る第5実施形態の配管用枡部材を示すもので、第5実施形態の配管用枡部材45が、管本体部46と横管接続部23と竪管接続部24を有している構成は先の第1実施形態の配管用枡部材3と同等である。
第5実施形態の配管用枡部材45は、管本体部46の平面視形状が4角型である点に特徴を有する。配管用枡部材の平面視形状に特に制約はなく、図8に示すように楕円状の管本体部47であっても良く、図9に示すように、平面視半分が円形であり、平面視残り半分が4角型であっても良い。
図6図7に示す角型の管本体部46の方が隣接する壁面により接近させて設置できるので、壁面に設置する場合に安定した支持構造を実現できる。
【0046】
図10は、本発明に係る第6実施形態の配管用枡部材を示すもので、第6実施形態の配管用枡部材50が、管本体部22と横管接続部51と竪管接続部24を有している構成は先の第1実施形態の配管用枡部材3と同等である。
第6実施形態の配管用枡部材50においては、横管接続部51が枝管部分を有しておらず、管本体部22の側面に形成した接続孔52とその外周回りに形成された厚肉部53を有する点が異なる。
横管接続部51のように接続孔52と厚肉部53から横管接続部51を構成しても良い。
第6実施形態の配管用枡部材50においても、先の配管用枡部材3と同様の作用効果を得ることができる。
【0047】
図11は、本発明に係る第7実施形態の配管用枡部材を示すもので、第7実施形態の配管用枡部材55が、管本体部22と横管接続部56と竪管接続部24を有している構成は先の第6実施形態の配管用枡部材3と同等である。
第7実施形態の配管用枡部材50においては、横管接続部56が枝管部分を有しておらず、管本体部22の高さ方向中央部側面に形成された接続孔57とその外周部に形成された厚肉部58からなる点が異なる。接続孔の外周部には縁部57が形成されている。
横管接続部56のように接続孔7と厚肉部58から横管接続部56を構成し、形成位置を管本体部22の高さ方向中央部に形成しても良い。
図11に示す構造の場合、横管6からの排水は底板22Aあるいはサイフォン部材25より高い位置から管本体部22に流入される。
第7実施形態の配管用枡部材55においても、先の配管用枡部材50と同様の作用効果を得ることができる。
【0048】
図12は、本発明に係る第8実施形態の配管用枡部材を備えた排水配管システムS2を示すもので、第8実施形態に適用されている配管用枡部材60が、管本体部22と横管接続部23と竪管接続部24を有している構成は先の第1実施形態の配管用枡部材3と同等である。また、横管接続部23に横管6が接続され、竪管接続部24に竪管7が接続されている構成も同等である。
第8実施形態の配管用枡部材60では、竪管接続部24にS型のエルボ管61を介し竪管7を接続した点に特徴を有する。エルボ管61を介し竪管7を配置することで竪管7を図1に示す構成と対比し、腰壁2の壁面により接近した位置に配置できる。
竪管7を壁面に近い位置に配置することで、腰壁2の壁面と下階の外壁の壁面に沿って接近した位置に竪管7を配置できる。これにより、竪管7を腰壁2と外壁に固定する金具の長さを短くできるので、金具による竪管7の取付構造を安定化できる。
【0049】
図14は、本発明に係る第9実施形態の配管用枡部材を示すもので、第9実施形態の配管用枡部材65が、管本体部22と横管接続部23と竪管接続部24を有している構成は先の第1実施形態の配管用枡部材3と同等である。
第9実施形態の配管用枡部材65においては、管本体部22の底板22Aに透孔が形成されていない点に特徴を有する。第9実施形態の配管用枡部材65は、一例として、竪管7の上端部に取り付ける以前の工場出荷段階の配管用枡部材を示す。
工場で配管用枡部材65を製造後、設置現場に搬入し、現場の竪管のサイズに合わせ、作業者が現場において底板22Aに必要な内径の透孔を形成すると良い。底板22Aに必要な内径の透孔を形成することで、竪管接続部24が完成する。
第9実施形態の配管用枡部材65においても、先の配管用枡部材3と同様の作用効果を得ることができる。
【0050】
図15は、本発明に係る第10実施形態の配管用枡部材を示すもので、第10実施形態の配管用枡部材70が、管本体部22と横管接続部23と竪管接続部24を有している構成は先の第2実施形態の配管用枡部材30と同等である。
第10実施形態の配管用枡部材70においては、管本体部22の底板22Aに透孔が形成されていない点に特徴を有する。第10実施形態の配管用枡部材70は、竪管7の上端部に取り付ける以前の、例えば工場出荷段階の配管用枡部材を示す。
工場で配管用枡部材70を製造後、設置現場に搬入し、現場の竪管のサイズに合わせ、作業者が現場にて底板22Aに必要な内径の透孔を形成すると良い。底板22Aに必要な内径の透孔を形成することで、竪管接続部24が完成する。
第10実施形態の配管用枡部材70においても、先の配管用枡部材30と同様の作用効果を得ることができる。
【0051】
図16は、本発明に係る第11実施形態の配管用枡部材を示すもので、第11実施形態の配管用枡部材75が、管本体部22と横管接続部23と竪管接続部24を有している構成は先の第2実施形態の配管用枡部材30と同等である。
第11実施形態の配管用枡部材75においては、管本体部22の底板22Aに呼び径75A用の透孔22eを形成した点に特徴を有する。管本体部22は呼び径100A用のサイズであるので、底板22Aの大きさも呼び径100Aの大きさの透孔を形成可能であるが、底板22Aに呼び径75A用の透孔22eを形成している。
第11実施形態の構造のように呼び径100A対応の透孔を形成可能な底板22Aに、呼び径75A対応の透孔22eを形成しても良い。この配管用枡部材75では、呼び径100A対応の配管用枡部材を呼び径75A用に適用したこととなり、特定の大きさの配管用枡部材を2種類のサイズの竪管用に共用化できたこととなる。
第11実施形態の配管用枡部材75においても、先の配管用枡部材30と同様の作用効果を得ることができる。
【0052】
ところで、これまで説明した配管用枡部材においては、いずれも着脱自在の蓋部材28を設けて管本体部22などの内部を開放できるように構成した。蓋部材28を取り外し、管本体部22の内部を清掃するためである。また、サイフォン起動部材25の取り付けを容易とするためである。しかし、蓋部材28は必須の構成要素ではなく、省略しても差し支えない。
横管接続部23の大きさが充分に大きい場合、あるいは、腰壁2の内側から管本体部22の内部を清掃可能な場合などは、蓋部材28を略し、管本体部22の上部を閉じた構造としても良い。
【0053】
「排水能力の検証試験」
図1に示す配管用枡部材を適用し、実際に排水を行った場合の有効性について以下の3種類の検証試験を行った。
検証試験において、図17に示す3階建ての建屋80を利用し、3階のフロア83に横幅30cm、深さ35cm、長さ8mの軒樋模擬体85を設置した。軒樋模擬体85の一方の端面壁85aに、図18に示す、くの字型の横管(横引管:呼び径150A)86を接続し、この横管86の先端部に図1に示す構成の配管用継手3の横管接続部23を接続した。配管用枡部材3の竪管接続部24に建屋80の3階のフロア83から1階のフロア81に到達する高さ約6mの竪管(呼び径75A)88を接続し、1階のフロア81に設置した雨水枡89に接続管90を介し竪管88を接続した。この雨水枡89は1階のフロア51に設置した横管91を介し、排水ピット92に接続した。なお、軒樋模擬体85において横管86を接続した端面壁85aの内側に、図1に示す構造のルーフドレン5を配置した。
【0054】
第1の検証試験は、以上説明の検証試験装置を用い、軒樋模擬体85に所定量の水を流した場合の排水性について検証試験を行った。検証試験は、軒樋に所定量の水道水(5L/s、10L/s、15L/s、20L/s)を流し、長さ30cmの横管86から配管用枡部材3を通過させて竪管88に水道水を排出した場合、軒樋模擬体85の端面壁85aから50cm離間した位置での水位(水下水位と表記)を測定することで行った。第1の検証試験の結果を図20に記載する。
【0055】
第2の検証試験は、先に説明した検証試験装置において、軒樋模擬体85の端面壁85aに設けた横管86を取り外し、代わりに、図19に示すように軒樋模擬体85の端面壁85aから45cm離れた側壁85bにL字型の横管(横引管:呼び径150A)95を接続した。この横管95の先端部に図1に示す構成の配管用枡部材3の横管接続部23を接続した。軒樋模擬体85の長さ方向に沿う横管95の長さは1mとした。なお、軒樋模擬体85において横管95を接続した側壁85bの内側に、図1に示す構造のルーフドレン5を配置した。
第2の検証試験は、軒樋に所定量の水道水(5L/s、10L/s、15L/s、20L/s)を流し、長さ1mの横管95から配管用枡部材3を通過させて竪管88に排水した場合、軒樋模擬体85の端面壁85aから50cm離間した位置での水位(水下水位と表記)を測定することで行った。第2の検証試験の結果を図20に記載する。
【0056】
第3の検証試験は、第1の検証試験で用いた検証装置において、配管用枡部材3に替えて90°Y管を継手として用い、呼び径150Aの横管に呼び径150Aの竪管を接続し、第1の検証試験と同等の検証試験を行った。第3の検証試験の結果を図20に示す。
【0057】
図20に示すグラフでは、軒樋模擬体に流した水量(5L/s、10L/s、15L/s、20L/s)を横軸に示し、縦軸に水下水位(0~300mm)を示した。
図20のグラフに示すように、いずれの検証試験においても、軒樋模擬体85に流した水量が増加すると、水下水位は徐々に上昇する。図20に示すグラフにおいて、同じ水量の比較において、水下水位の値の低い方が排水性に優れていることを意味している。
【0058】
第3の検証試験結果は、従来例に相当する。これに対し、第1の検証試験結果と第2の検証試験結果が本願発明においてサイフォン部材を備えた場合の試験例に相当する。横管86を用いた第1の検証試験結果と、横管95を用いた第2の検証試験結果を比較すると、横管の長さが0.3mであっても1.0mであっても、若干の水位差はあるものの、いずれの検証試験でも良好な排水性を発揮した。このことから、横管の長さが1.0mであっても0.3mであってもサイフォン現象の発生に支障ないことが分かった。
従来例に相当する第3の検証試験では呼び径150Aの竪管を用い、第1、第2の検証試験で用いた呼び径75Aの2倍の管径の竪管を用いている。従来構造の半分の径である呼び径75Aの竪管を用いているとしても、本願構造では、より優れた排水性を発揮することがわかった。
これは、配管用継手の内部に設けたサイフォン起動部材25がサイフォン現象を利用して円滑な排水を行った結果であると考えられる。
【符号の説明】
【0059】
S…排水配管システム、
1…屋上床、
2…腰壁、
3…配管用継手、
5…ルーフドレン、
6…横管、
7…竪管、
8…外壁、
22…管本体部、
22a…開口部、
23…横管接続部、
24…竪管接続部、
25…サイフォン起動部材、
26…縮径部、
28…蓋部材、
28b…斜面、
28e…整流板、
30…整流板、
35、40、50…配管用継手。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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図10
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