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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149208
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】遮音カバー及びカバー付き排水継手
(51)【国際特許分類】
   F16L 55/00 20060101AFI20220929BHJP
   E03C 1/12 20060101ALI20220929BHJP
   F16L 57/00 20060101ALI20220929BHJP
   F16L 55/033 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
F16L55/00 S
E03C1/12 Z
F16L57/00 C
F16L55/033
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021051252
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】武田 祐貴
(72)【発明者】
【氏名】徳丸 武司
【テーマコード(参考)】
2D061
3H024
3H025
【Fターム(参考)】
2D061AB02
3H024CA03
3H025CA01
3H025CB39
3H025CB41
(57)【要約】
【課題】十分な遮音性を確保することができるカバー及び排水継手を提供する。
【解決手段】排水継手Pの開口部を覆う遮音カバー100~500であって、円盤状の天蓋部Lと、天蓋部Lの外周縁から、天蓋部Lに対して直交するように設けられた円筒状の側面部Sと、側面部Sの内周面に設けられた円筒状の発泡テープと、を備え、側面部Sは発泡テープの外側面を覆うように設けられ、天蓋部Lの外径は、発泡テープの外径よりも大きい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水継手の開口部を覆う遮音カバーであって、
円盤状の天蓋部と、
前記天蓋部の外周縁から、前記天蓋部に対して直交するように設けられた円筒状の側面部と、
前記側面部の内周面に設けられた円筒状の発泡テープと、
を備え、
前記天蓋部の外径は、前記発泡テープの外径よりも大きい、
遮音カバー。
【請求項2】
前記側面部は、前記天蓋部の外周縁に一体形成され、前記天蓋部に対して折り曲げられた外端部を備えている、
請求項1に記載の遮音カバー。
【請求項3】
前記側面部における前記外端部の高さが、前記発泡テープの高さを下回っている、
請求項2に記載の遮音カバー。
【請求項4】
前記側面部は、前記発泡テープの外周面および前記外端部を覆う外側カバーを更に備えている、
請求項2又は3に記載の遮音カバー。
【請求項5】
前記側面部は、前記発泡テープの外周面を覆う外側カバーを備え、
前記外側カバーは、前記天蓋部に面する側の端部を、前記側面部の径方向の内側に折り曲げた折曲げ部を有し、
前記折曲げ部が、前記天蓋部と接している、
請求項1に記載の遮音カバー。
【請求項6】
前記発泡テープと前記側面部との間には、接着層が設けられ、
前記側面部は前記接着層によって前記発泡テープに接着される、
請求項1から5のいずれか1項に記載の遮音カバー。
【請求項7】
前記発泡テープの内周面を覆う内側カバーを更に備えている、
請求項1から6のいずれか1項に記載の遮音カバー。
【請求項8】
開口部を有する排水継手と、
前記開口部を覆う請求項1から7のいずれか1項に記載の遮音カバーと、を備えている、
カバー付き排水継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮音カバー及びカバー付き排水継手に関する。
【背景技術】
【0002】
排水継手に遮音性能を付加するために、遮音カバーで継手全体を覆うことがある。特に、排水継手の開口部(例えば、掃除口等)を覆う目的として、内側に吸音層を有する蓋状の部材を遮音カバーとして用いることがある。(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】意匠登録第1621803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の遮音カバーについて、継手開口部の周方向の側面に設けられた発泡テープと、前記開口部を覆うように設けられた天蓋部と、前記発泡テープと前記天蓋部が接している部位を覆う外側カバーと、によって構成することがある。このとき、天蓋部と外側カバーとの間に隙間があると、その隙間から排水音が漏れ出し、十分な遮音性が得られないことがある。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、十分な遮音性を確保することができる遮音カバー及び排水継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る遮音カバーは、排水継手の開口部を覆う遮音カバーであって、円盤状の天蓋部と、前記天蓋部の外周縁から、前記天蓋部に対して直交するように設けられた円筒状の側面部と、前記側面部の内周面に設けられた円筒状の発泡テープと、を備え、前記天蓋部の外径は、前記発泡テープの外径よりも大きい。
【0007】
この発明によれば、天蓋部の外径は、発泡テープの円筒状の外径よりも大きい。ここで、天蓋部の外径が発泡テープの外径より小さいと、天蓋部の外周縁が、発泡テープの外周縁よりも径方向の内側に位置する。そのため、天蓋部の外周縁から天蓋部に対して直交するように側面部を設けたとき、発泡テープの外径に合わせて側面部を設けると、側面部における天蓋部側の端と、天蓋部と、の間に隙間が生じる。言い換えると、天蓋部の外周縁と側面部とを繋げることができない。すると、例えば、発泡テープの内側から生じた音(例えば、排水音)が前記隙間から外部に漏れ出ることがある。
天蓋部の外径が発泡テープの円筒状の外径よりも大きいことで、側面部と天蓋部との間に隙間が生じることを防ぐことができる。よって、前記隙間から音が漏れ出ることを防ぎ、遮音性を確保することができる。
【0008】
また、前記側面部は、前記天蓋部の外周縁に一体形成され、前記天蓋部に対して折り曲げられた外端部を備えていてもよい。
【0009】
この発明によれば、側面部は、天蓋部の外周縁に一体形成され、天蓋部に対して折り曲げられた外端部を備えている。つまり、天蓋部と側面部とを一体成型することで、構成部品の点数を少なくすることができる。
【0010】
また、前記側面部における前記外端部の高さが、前記発泡テープの高さを下回っていてもよい。
【0011】
この発明によれば、側面部における外端部の高さが、発泡テープの高さを下回っている。このことによって、例えば、遮音カバーを排水継手に取り付けた際、外端部が排水継手に接触することを防ぐことができる。
【0012】
また、前記側面部は、前記発泡テープの外周面および前記外端部を覆う外側カバーを更に備えていてもよい。
【0013】
この発明によれば、側面部は、発泡テープの外周面および外端部を覆う外側カバーを更に備えている。これにより、例えば、発泡テープの外側面において天蓋部の外端部が接している部位と接していない部位がある場合に、発泡テープの外側面を包括的に覆うことができる。よって、天蓋部の形状をより自由に設定することができる。
【0014】
また、前記側面部は、前記発泡テープの外周面を覆う外側カバーを備え、前記外側カバーは、前記天蓋部に面する側の端部を、前記側面部の径方向の内側に折り曲げた折曲げ部を有し、前記折曲げ部が、前記天蓋部と接していてもよい。
【0015】
この発明によれば、外側カバーの折曲げ部が、天蓋部と接している。これにより、例えば、天蓋部を円盤状の部材のみとすることができる。よって、より各構成部品の形状を簡素なものにすることができる。
【0016】
また、前記発泡テープと前記側面部との間には、接着層が設けられ、前記側面部は前記接着層によって前記発泡テープに接着されてもよい。
【0017】
この発明によれば、側面部は接着層によって発泡テープに接着される。これにより、発泡テープと天蓋部の外端部及び外側カバーとの接着を容易にすることができる。
【0018】
また、前記発泡テープの内周面を覆う内側カバーを更に備えていてもよい。
【0019】
この発明によれば、発泡テープの内周面を覆う内側カバーを更に備えている。ここで、発泡テープの内側に内側カバーを有していない場合について考える。排水継手へのカバーの着脱を繰り返し行うと、発泡テープと排水継手とが擦れることによって発泡テープが破損することがある。発泡テープの内側に内側カバーを備え、排水継手と発泡テープとが直接接触することを防ぐことで、発泡テープが破損することを防ぐことができる。
更に、遮音カバーの製造時、例えば、内側カバーをあらかじめ設けて基礎とすることで、内側カバーの外側に発泡テープを巻き付けるようにして設けることができる。つまり、より製造時の作業を簡単にし、加工工数を削減することができる。
【0020】
また、本発明に係るカバー付き排水継手は、開口部を有する排水継手と、前記開口部を覆う前記遮音カバーと、を備えている。
【0021】
この発明によれば、排水継手の開口部に本発明に係る遮音カバーを備えている。これにより、排水継手の開口部における遮音性を確保することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、十分な遮音性を確保することができる遮音カバー及び排水継手を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態に係る遮音カバー取り付け状態を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る遮音カバーの第一例である。
図3図2の天蓋カバーの展開図である。
図4図2の内側カバー及び外側カバーの展開図である。
図5図2における、図3に示すV-V方向の断面図である。
図6図2における、図3に示すVI-VI方向の断面図である。
図7】本発明の実施形態に係る遮音カバーの第二例である。
図8図7の天蓋カバーの展開図である。
図9図7における、図8に示すIX-IX方向の断面図である。
図10図7における、図8に示すX-X方向の断面図である。
図11】本発明の実施形態に係る遮音カバーの第三例である。
図12図11の天蓋カバーの展開図である。
図13図11における、図12に示すXIII-XIII方向の断面図である。
図14図11における、図12に示すXIV-XIV方向の断面図である。
図15】本発明の実施形態に係る遮音カバーの第四例である。
図16図15の天蓋カバーの展開図である。
図17図15における、図16に示すXVII-XVII方向の断面図である。
図18図15における、図16に示すXVIII-XVIII方向の断面図である。
図19】本発明の実施形態に係る遮音カバーの第五例である。
図20図19の天蓋カバーの平面図である。
図21図19における外側カバーの展開図である。
図22図19における、図20に示すXXII-XXII方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係るカバーを説明する。なお、下記において「接している」と記載の箇所が、図面においては隙間となっている場合がある。これらは各構成部品の構造を明確にするために模式的に示したものであり、実際には接しているものとする。
【0025】
本実施形態に係る遮音カバー100、遮音カバー200、遮音カバー300、遮音カバー400、遮音カバー500は、それぞれ本実施形態に係る遮音カバーの例である。以下において、これらの遮音カバーをまとめて、遮音カバー100~500等と記載することがある。
【0026】
遮音カバー100~500は、例えば、図1に示す排水継手Pの開口部を覆うために用いられる。これにより、排水継手P内で発生した排水音が外部に漏れ出ることを防ぐ役割を有する。排水継手Pは、管本体の中央部に開口部が設けてられた部材であり、例えば、建築物等の上層部で発生した排水を下層部に運搬する構造に用いられる。排水継手Pおよび遮音カバー100~500は、カバー付き排水継手の少なくとも一部を構成する。
【0027】
図1に示すように、遮音カバー100~500は、天蓋部Lと、側面部Sと、を備えている。天蓋部Lは、円盤状の部材であり、排水継手Pの開口部に面する部位である。側面部Sは、天蓋部Lの外周縁から、天蓋部Lに対して直交するように設けられた円筒状の部位である。つまり、天蓋部Lにおける円盤状の外周縁と、側面部Sにおける円筒状の一方の端部の円周は互いに繋がっているか、あるいは接している(詳細は後述する)。また、側面部Sの円筒状の内側には、図1には不図示の発泡テープ120及び内側カバー130を備える(図5等参照)。
本実施形態において、天蓋部L及び側面部Sの詳細な構成は、それぞれの遮音カバー100~500によって異なる。これらの形状は、遮音カバー100~500の製造における要件等によって適宜選択可能である。
【0028】
使用者は、このような形状を有する遮音カバー100~500を、取付ける対象である排水継手Pの開口部径に合わせて形成し、開口部に挿し込むことで使用する。ここで、排水継手Pにおける開口部とは、例えば、排水継手Pにおける掃除口や、建築物等の最上部において排水継手の上側接続部に立管が接続されない場合に生じる開口部等が挙げられる。遮音カバー100~500を取付ける際は、例えば、これらの開口部を別途蓋部材により閉塞し、その上から遮音カバー100~500を取付けて使用する。
【0029】
上述のように、遮音カバー100~500は、いずれも少なくとも天蓋部Lと、側面部Sと、を備える。下記において、遮音カバー100~500における天蓋部L、側面部Sその他の構成部品の詳細について説明する。その際、遮音カバー100を基礎として、遮音カバー200~500に共通する部位については、その旨記載の上、個別の説明を省略する。
【0030】
(遮音カバー100)
図2図3図4図5に示す遮音カバー100は、本実施形態に係る遮音カバーの第一例である。図2に示すように、遮音カバー100は、天蓋カバー110と、発泡テープ120と、内側カバー130と、外側カバー140と、を備えている。
【0031】
天蓋カバー110は、排水継手Pの開口部を覆うように位置する部材である。天蓋カバー110は、本体部111と、外端部112と、を備える。
本体部111は円盤状の部材であり、排水継手Pの開口部に面する部位である。本体部111の外径は、発泡テープ120の円筒状の外径よりも大きい(詳細は後述する)。また、天蓋部Lは、本体部111のみにより構成される。
【0032】
外端部112は、本体部111の外周縁に一体形成された形状である。図3に示すように、遮音カバー100における天蓋カバー110の外端部112は、長方形状の部材が、一方の短辺が本体部111の外周縁に沿うように間隔をあけて複数設けられ、かつ、本体部111の中心から外側に向けて放射状に延びるように設けられている。
【0033】
図5に示すように、外端部112は、本体部111の外周縁において、本体部111に対して直角に折り曲げ、発泡テープ120の外側面に接することで、遮音カバー100における側面部Sの一部とする。このとき、外端部112の長手方向の長さが、後述する発泡テープ120の高さ(円筒状の軸方向長さ)を下回るようにする。これにより、外端部が排水継手Pに接触することを防ぐ。
【0034】
発泡テープ120は、側面部Sの内周面に接するように設けられた円筒状の部材である。本実施形態において、発泡テープ120は、図5に示すように、円筒状の軸方向に二つ並べて設けられる。なお、発泡テープ120の高さとは、二つの発泡テープ120を重ねた場合の軸方向長さであるとする。
【0035】
発泡テープ120の内径は、内側カバー130を設けない場合には、取付け対象となる排水継手Pの外径と同じに形成されることが好ましい。また、内側カバー130を設ける場合、15mm~18mm程度大きくなるように形成されることが好ましい。これにより、遮音カバー100を排水継手Pに取付けた際、内側カバー130を設けるスペースが確保され、発泡テープ120が排水継手Pの外径に合わせて変形する。それに対する復元力によって、発泡テープ120が排水継手Pを適宜締め付けることで、遮音カバー100を排水継手Pに固定する。
【0036】
発泡テープ120は、排水継手Pの開口部から生じた排水音を吸収し、外部へ伝播する音量を軽減する役割を有する。このため、例えば、軟質ウレタンが好適に用いられる。
本実施形態において、発泡テープ120の内側面及び外側面には、接着層(不図示)が設けられている。接着層には、例えば、アクリル系粘着剤等の材料が好適に用いられる。
遮音カバー100~500における各構成部品の固定には、この接着層に各構成部品を接することで接着する方法が好適に用いられる。
なお、発泡テープ120は、遮音カバー100~500において共通である。
【0037】
内側カバー130は、発泡テープ120の内周面に接するように設けられた円筒状の部材である。なお、図4(a)に示すように、内側カバー130はシート状の部材であり、これを筒状に丸めることで設けられる。内側カバー130の円筒状の軸方向長さ(高さ)は、発泡テープ120の高さと等しい。内側カバー130の円筒状の周方向長さは、継手の周方向の外径と同じか、1~2mm程度長いことが好ましく、これにより内側カバー130を適切に締め付けて取り付けることができる。
ここで、遮音カバー100~500を排水継手Pの開口部に着脱する際、発泡テープ120と排水継手Pとが接触し擦れることによって発泡テープ120が破損することがある。内側カバー130は、発泡テープ120の内側に設けることで、排水継手Pと発泡テープ120とが直接接触することを防ぐ。これにより、発泡テープ120が破損することを防ぐ役割を有する。
【0038】
更に、遮音カバー100の製造時、内側カバー130をあらかじめ設けて基礎とすることで、内側カバー130の外側に発泡テープ120を巻き付けるようにして設けることができる。つまり、より製造時の作業を簡単にし、加工工数を削減する役割を有する。
なお、内側カバー130は、遮音カバー100~500において共通である。
【0039】
外側カバー140は、発泡テープ120の外周面に接するように設けられた円筒状の部材である。なお、図4(b)に示すように、外側カバー140はシート状の部材であり、これを筒状に丸めることで設けられる。外側カバー140は、発泡テープ120と外端部112とが接している部位及び接していない部位を含めて包括的に覆う。なお、外側カバー140の円筒状における天蓋カバー110側の軸方向端部は、天蓋カバー110の本体部111に接するように設けられる。これにより、本体部111と外側カバー140との間の隙間をなくし、遮音性を確保する。
【0040】
図5に示すように、発泡テープ120と外端部112とが接している部位においては、外側カバー140は外端部112に接する。図6に示すように、発泡テープ120と外端部112とが接していない部位においては、外側カバーは発泡テープ120に接する。遮音カバー100における側面部Sは、外側カバー140と、天蓋カバー110の外端部112とによって構成される。
【0041】
外側カバー140を設ける際は、外側カバー140における円筒状の中心線の長さ(円筒状の高さ)が、発泡テープ120の高さを下回るようにする。これにより、外側カバー140が取付け対象の排水継手Pに接触することを防ぐ。
なお、外側カバー140は、遮音カバー300及び遮音カバー400において共通である。
【0042】
(遮音カバー200)
図7図8図9図10に示す遮音カバー200は、本実施形態に係る遮音カバーの第二例である。図7に示すように、遮音カバー200は、天蓋カバー210と、発泡テープ120と、内側カバー130と、を備えている。以下では、天蓋カバー210についてのみ説明する。
【0043】
天蓋カバー210は、排水継手Pの開口部を覆うように位置する部材である。天蓋カバー210は、本体部211と、外端部212と、を備える。
本体部211は円盤状の部材であり、排水継手Pの開口部に面する部位である。本体部211の外径は、発泡テープ120の円筒状の外径よりも大きい(詳細は後述する)。また、天蓋部Lは、本体部211のみにより構成される。
【0044】
外端部212は、本体部211の外周縁に一体形成された形状である。図8に示すように、遮音カバー200における天蓋カバー210の外端部212は、長方形における一方の長辺が、前記長方形の外側へ向けて円弧状となった形状を有している。また、前記長方形の他方の長辺の中点が、本体部211の円盤状の外周縁における任意の一点と、その一点に対向する点に直線部が接するように形成されている。つまり、図8に示すように、外端部212は、本体部211において互いに対向する位置に二つ設けられている。
【0045】
図9に示すように、外端部212は、本体部211の外周縁において、本体部211に対して直角に折り曲げ、発泡テープ120の外側面に接することで、遮音カバー200における側面部Sとする。このとき、外端部212の直線部の長さは、本体部211の円周長の半分とする。これにより、互いに対向する位置に設けられた2つの外端部212によって、本体部211の外周縁の全周が外端部212と接する。
【0046】
図9に示すように、本体部211と外端部212とが繋がっている部位においては、天蓋部Lと側面部Sとは連続的に位置する。図10に示すように、本体部211と外端部212とが繋がっていない部位においては、天蓋部Lと側面部Sとは接しているが、非連続的に位置する。
【0047】
また、本体部211の外周縁から外端部212の頂部(外端部212の長辺に直交する方向における、円弧状の部位の、本体部と繋がっている部位から最も離れた部位)までの長さが、発泡テープ120の高さを下回るようにする。これにより、外端部が排水継手Pに接触しないようにする。
【0048】
(遮音カバー300)
図11図12図13図14に示す遮音カバー300は、本実施形態に係る遮音カバーの第三例である。図11に示すように、遮音カバー300は、天蓋カバー310と、発泡テープ120と、内側カバー130と、外側カバー140と、を備えている。以下では、天蓋カバー310についてのみ説明する。
【0049】
天蓋カバー310は、排水継手Pの開口部を覆うように位置する部材である。天蓋カバー310は、本体部311と、外端部312と、を備える。
本体部311は円盤状の部材であり、排水継手Pの開口部に面する部位である。本体部311の外径は、発泡テープ120の円筒状の外径よりも大きい(詳細は後述する)。また、天蓋部Lは、本体部311のみにより構成される。
【0050】
外端部312は、本体部311の外周縁に一体形成された形状である。図12に示すように、遮音カバー300における天蓋カバー310の外端部312は長方形状であり、前記長方形状における長辺の中点が、本体部311の円盤状の外周縁における任意の一点と、その一点に対向する点に接するように形成されている。つまり、図12に示すように、外端部312は、本体部311において互いに対向する位置に二つ設けられている。
【0051】
図13に示すように、外端部312は、本体部311の外周縁において、本体部311に対して直角に折り曲げ、発泡テープ120の外側面に接することで、遮音カバー300における側面部Sの一部とする。このとき、外端部312の長辺の長さは、本体部311の円周長の半分とする。これにより、互いに対向する位置に設けられた2つの外端部312によって、本体部311の外周縁の全周が外端部312と接する。また、外端部312の短辺の長さは、発泡テープ120の幅以上、発泡テープ120の高さの半分以下とする。これにより、外側カバー140と発泡テープ120とが接する領域を十分に確保する。
【0052】
図13及び図14に示すように、発泡テープ120と外端部312とが接している部位においては、外側カバー140は外端部312に接する。発泡テープ120と外端部312とが接していない部位においては、外側カバー140は発泡テープ120に接する。遮音カバー300における側面部Sは、外側カバー140と、天蓋カバー310の外端部312とによって構成される。
【0053】
(遮音カバー400)
図15図16図17図18に示す遮音カバー400は、本実施形態に係る遮音カバーの第四例である。15に示すように、遮音カバー400は、天蓋カバー410と、発泡テープ120と、内側カバー130と、外側カバー140と、を備えている。以下では、天蓋カバー410についてのみ説明する。
【0054】
天蓋カバー410は、排水継手Pの開口部を覆うように位置する部材である。天蓋カバー410は、本体部411と、外端部412と、を備える。
本体部411は円盤状の部材であり、排水継手Pの開口部に面する部位である。本体部411の外径は、発泡テープ120の円筒状の外径よりも大きい(詳細は後述する)。また、天蓋部Lは、本体部411のみにより構成される。
【0055】
外端部412は、本体部411の外周縁に一体形成された形状である。図16に示すように、遮音カバー400における天蓋カバー410の外端部412は、三角形状の部材が、その一辺が本体部411の外周縁上に沿うように複数設けられている。
【0056】
図17に示すように、外端部412は、本体部411の外周縁において、本体部411に対して直角に折り曲げ、発泡テープ120の外側面に接することで、遮音カバー400における側面部Sの一部とする。このとき、本体部411の外周縁に沿う辺を底辺とした外端部412の三角形状の高さは、発泡テープ120の幅以上、発泡テープ120の高さの半分以下とする。これにより、外側カバー140と発泡テープ120とが接する領域を十分に確保する。
【0057】
図17に示すように、発泡テープ120と外端部412とが接している部位においては、外側カバー140は外端部412に接する。図18に示すように、発泡テープ120と外端部412とが接していない部位においては、外側カバー140は発泡テープ120に接する。遮音カバー400における側面部Sは、外側カバー140と、天蓋カバー410の外端部412とによって構成される。
【0058】
(遮音カバー500)
図19図20図21図22に示す遮音カバー500は、本実施形態に係る遮音カバーの第五例である。図19に示すように、遮音カバー500は、天蓋カバー510と、発泡テープ120と、内側カバー130と、外側カバー540と、を備えている。以下では、天蓋カバー510と、外側カバー540について説明する。
【0059】
天蓋カバー510は円盤状の部材であり、排水継手Pの開口部に面する。天蓋カバー510の外径は、発泡テープ120の円筒状の外径よりも大きい(詳細は後述する)。また、図22に示すように、天蓋部Lは、天蓋カバー510と、折曲げ部542(後述する)により構成される。
【0060】
外側カバー540は、円筒状の側面部Sにおいて最も外側に設けられる。図21に示すように、外側カバー540はシート状の部材であり、これを筒状に丸めることで円筒状とする。遮音カバー500における側面部Sは、外側カバー540のみによって構成される。
外側カバー540は、発泡テープ120の外周面を覆うように設けられる。また、外側カバー540は、平坦部541と、折曲げ部542と、を備える。
【0061】
平坦部541は、発泡テープ120の外周面に接する部位である。また、平坦部541の長手方向の長さは、発泡テープ120の円筒状の円周長に等しい。これを発泡テープ120の周囲に巻き付けるように接することで、発泡テープ120の外周面全体を覆う。また、外側カバー540を設ける際は、平坦部541の短手方向の長さ(円筒状とした場合における高さ)が、発泡テープ120の高さを下回るようにする。これにより、外側カバー540が取付け対象の排水継手Pに接触することを防ぐ。
【0062】
折曲げ部542は、平坦部541の一方の長辺に複数設けられた凹凸状の形状である。上述のように平坦部541を発泡テープ120の周囲に巻き付けた状態で、折曲げ部542を平坦部541が発泡テープ120と接している側、つまり発泡テープ120の円筒状の内側に折曲げると、折曲げ部542の平面部が、天蓋カバー510に接するように向く。この折曲げ部542と天蓋カバー510とを接着することで、天蓋部Lを形成する。
【0063】
(遮音カバー100~500の共通点の一部)
天蓋カバー110、天蓋カバー210、天蓋カバー310、天蓋カバー410、天蓋カバー510、内側カバー130、外側カバー140、外側カバー540は、いずれも排水継手Pの開口部から生じた排水音を外部に漏れださないようにする遮音の役割を有し、例えば、軟質塩ビが好適に用いられる。
【0064】
上述のように、天蓋カバー110における本体部111の外径、天蓋カバー210における本体部211の外径、天蓋カバー310における本体部311の外径、天蓋カバー410における本体部411の外径、天蓋カバー510の外径は、いずれも天蓋部Lの外径である。天蓋部Lの外径は、発泡テープ120の円筒状の外径よりも大きい。これについて、天蓋カバー110を例に挙げて説明する。
【0065】
本体部111の外径が発泡テープ120の外径より小さいと、本体部111の外周縁で外端部112を直角に折り曲げたとき、発泡テープ120と外端部112とが干渉する。この場合に、発泡テープ120の外径に合わせて外側カバー140を設けると、天蓋カバー110の本体部111の外周縁と接しない。結果として、天蓋部Lと側面部Sとの間に隙間が生じる。すると、例えば、発泡テープ120の内側から生じた音(例えば、排水音)が前記隙間から漏れ出ることがある。
天蓋部Lの外径が発泡テープ120の円筒状の外径よりも大きいことで、側面部Sと天蓋部Lとの間に隙間が生じることを防ぐことができる。よって、前記隙間から音が漏れ出ることを防ぎ、遮音性を確保する。
【0066】
以上説明したように、本実施形態に係る遮音カバー100~500によれば、天蓋部Lの外径は、発泡テープ120の円筒状の外径よりも大きい。ここで、天蓋部Lの外径が発泡テープ120の外径より小さいと、天蓋部Lの外周縁が、発泡テープ120の外周縁よりも径方向の内側に位置する。そのため、天蓋部Lの外周縁から天蓋部Lに対して直交するように側面部Sを設けたとき、発泡テープ120の外径に合わせて側面部Sを設けると、側面部Sにおける天蓋部側の端と、天蓋部Lと、の間に隙間が生じる。言い換えると、天蓋部Lの外周縁と側面部Sとを繋げることができない。すると、例えば、発泡テープ120の内側から生じた音(例えば、排水音)が前記隙間から外部に漏れ出ることがある。
天蓋部Lの外径が発泡テープ120の円筒状の外径よりも大きいことで、側面部Sと天蓋部Lとの間に隙間が生じることを防ぐことができる。よって、前記隙間から音が漏れ出ることを防ぎ、遮音性を確保することができる。
【0067】
また、側面部Sは、天蓋部Lの外周縁に一体形成され、天蓋部Lに対して折り曲げられた外端部112、212、312、412(以下、外端部112~412)を備えている。つまり、天蓋部Lと側面部Sとを一体成型することで、構成部品の点数を少なくすることができる。
【0068】
また、側面部Sにおける外端部112~412の高さが、発泡テープ120の高さを下回っている。このことによって、例えば、遮音カバー100~400を排水継手Pに取り付けた際、外端部112~412が排水継手Pに接触することを防ぐことができる。
【0069】
また、側面部Sは、発泡テープ120の外周面および外端部112~412を覆う外側カバー140を更に備えている。これにより、例えば、発泡テープ120の外側面において天蓋部Lの外端部112~412が接している部位と接していない部位がある場合に、発泡テープ120の外側面を包括的に覆うことができる。よって、天蓋部Lの形状をより自由に設定することができる。
【0070】
また、外側カバー540の折曲げ部が、天蓋部Lと接している。これにより、例えば、天蓋部Lを円盤状の部材のみとすることができる。よって、より各構成部品の形状を簡素なものにすることができる。
【0071】
また、側面部Sは接着層によって発泡テープ120に接着される。これにより、発泡テープ120と天蓋部Lの外端部112~412及び外側カバー140との接着を容易にすることができる。
【0072】
また、発泡テープ120の内周面を覆う内側カバー130を更に備えている。ここで、発泡テープ120の内側に内側カバー130を有していない場合について考える。排水継手Pへのカバーの着脱を繰り返し行うと、発泡テープ120と排水継手Pとが擦れることによって発泡テープ120が破損することがある。発泡テープ120の内側に内側カバー130を備え、排水継手Pと発泡テープ120とが直接接触することを防ぐことで、発泡テープ120が破損することを防ぐことができる。
更に、遮音カバー100~500の製造時、例えば、内側カバー130をあらかじめ設けて基礎とすることで、内側カバー130の外側に発泡テープ120を巻き付けるようにして設けることができる。つまり、より製造時の作業を簡単にし、加工工数を削減することができる。
【0073】
また、排水継手Pの開口部に本発明に係る遮音カバー100~500を備えている。これにより、排水継手Pの開口部における遮音性を確保することができる。
【0074】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、遮音カバー100~500は、排水継手P以外の配管に設けてもよい。
また、遮音カバー100~500において、内側カバー130は設けなくてもよい。
また、天蓋カバー210の外端部212の長辺部は、中点が本体部211の外周縁に接していなくてもよい。
また、天蓋カバー310の外端部312の長方形状の長辺は、中点が本体部311の外周縁に接していなくてもよい。
また、天蓋カバー410の外端部412は、本体部411の外周縁において間隔をあけて設けてもよい。
また、外側カバー540の折曲げ部542は、間隔をあけて設けてもよい。
また、発泡テープ120を複数備える場合、複数の発泡テープ120同士が接触しないよう離間して設けても良い。
【0075】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0076】
100、200、300、400、500 遮音カバー
111、211、311、411 本体部
112、212、312、412 外端部
120 発泡テープ
130 内側カバー
140 外側カバー
540 外側カバー
542 折曲げ部
L 天蓋部
P 排水継手
S 側面部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
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図19
図20
図21
図22