(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149211
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】金属製品端部用キャップ
(51)【国際特許分類】
E04G 21/24 20060101AFI20220929BHJP
E04C 5/20 20060101ALI20220929BHJP
E04B 1/98 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
E04G21/24 B
E04C5/20
E04B1/98 V
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021051260
(22)【出願日】2021-03-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】592251514
【氏名又は名称】東華護謨工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105692
【弁理士】
【氏名又は名称】明田 莞
(74)【代理人】
【識別番号】100161252
【弁理士】
【氏名又は名称】明田 佳久
(72)【発明者】
【氏名】東 伸行
(72)【発明者】
【氏名】東 崇明
【テーマコード(参考)】
2E001
2E164
【Fターム(参考)】
2E001DH39
2E001FA73
2E001GA01
2E001HD11
2E001HE01
2E001LA08
2E164AA04
2E164AA31
2E164BA19
2E164BA50
2E164DA35
(57)【要約】
【課題】金属製線(金属製より線を含む)や金属製棒や金属製パイプの端部に嵌める際に、片手で簡単かつ確実に広げて嵌めることができると共に、近くにいる作業員が端部に接触した際にも裂傷を負わなくなる金属製品端部用キャップを提供する。
【解決手段】金属製線(金属製より線を含む)や金属製棒や金属製パイプの端部に使用するゴム製および合成樹脂製弾性体のキャップであって、断面がチューブを扁平させた形状であり、その一方の面に、外側に向かって突出した凸状部を単数又は複数個備えていることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製線(金属製より線を含む)や金属製棒や金属製パイプの端部に使用するゴム製および合成樹脂製弾性体のキャップであって、断面がチューブを扁平させた形状であり、その一方の面に、外側に向かって突出した凸状部を単数又は複数個備えていることを特徴とする金属製品端部用キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属製品の端部に接触することによって、作業員が身体に裂傷等を負うことを防止するための金属製品端部用キャップであって、手間を掛けず簡単に、金属製線(金属製より線を含む)や金属製棒や金属製パイプの端部をキャップの内部に挿入して覆うことができる金属製品端部用キャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、鋼線等の端部は、そのままにしておくと、硬くて鋭利なため作業員が誤って接触し、身体に裂傷を負う危険性があった。
【0003】
また、鋼線を複数本撚って、所定の長さに切断して鋼より線として使用する際には、その端部にアイを設けられてきており、そのアイがあるので、作業員が端部に接触しても、身体に裂傷等を負うことが少なかった。例えば、アイの部分に巻きつけグリップを巻きつけるワイヤーロープの端部処理方法の先行技術が開示されている(参考文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の先行技術には、鋼より線の引張強度を確保しながら、端部のアイと巻きつけグリップによって、作業員の身体が傷つくことを防止できている点で優れているが、単線であって、コイルに巻き付けられていて、未だ所定の長さに切断されていない状態の鋼線の端部には、作業効率の観点から、このアイをいちいち作成することはしていなかった。そこで、ゴム製キャップを鋼線の端部に設置するか、場合によっては、何もしないこともあった。
【0006】
なお、従来、ゴム製キャップを金属製線(金属製より線を含む)や金属製棒及び金属製パイプの端部に設置する際に、
図4に示すように、断面が扁平した形状を使用しており、この形状であれば、ゴムの復元力によって、金属製線(金属製より線を含む)や金属製棒及び金属製パイプの外径が小さくとも、扁平した両側の面から金属製線等を挟み込んで摩擦力によって固定できるので、使用できる外径の大きさに融通が利くという利点があった。
【0007】
ここで、何も対処しなければ、作業員は金属製線の端部によって身体を傷つけてしまうおそれがあったままで何も解決されておらす、また、
図4に示したゴム製キャップを、金属製線(金属製より線を含む)や金属製棒及び金属製パイプに嵌めて設置する際には、片手で作業しようとすれば、
図5に示すように、うまくゴム製のキャップが開かずに、いちいち両手を使ってゴム製キャップを広げてから、金属製線(金属製より線を含む)や金属製棒及び金属製パイプに嵌めることになるので、作業効率が悪くなってしまうという問題があった。
【0008】
本発明は、これらの問題を解決したものであって、金属製線(金属製より線を含む)や金属製棒や金属製パイプの端部に嵌める際に、片手で簡単かつ確実に広げて嵌めることができると共に、近くにいる作業員が端部に接触した際にも裂傷を負わなくなる金属製品端部用キャップを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本願発明の請求項1に係る金属製品端部用キャップは、金属製線(金属製より線を含む)や金属製棒や金属製パイプの端部に使用するゴム製および合成樹脂製弾性体のキャップであって、断面がチューブを扁平させた形状であり、その一方の面に、外側に向かって突出した凸状部を単数又は複数個備えていることを特徴とする。
【0010】
出願人が鋭意試行研究した結果、本発明に係る金属製品端部用キャップは、ゴム製および合成樹脂製弾性体であって、断面がチューブを扁平させた形状で、その扁平した2つの面のうちの片側の面を凸状に突出させて湾曲した形状にすれば、本発明に係る金属製品端部用キャップの両側縁部を親指と、人差し指又は中指で軽く挟んだ際に、本発明に係る金属製品端部用キャップを、確実に開かせることができることがわかった。このことは、親指と、人差し指又は中指で軽く挟んだ際に、凸状に突出した形状によって凸状の面は必ず外側に開き、その開いた際に側縁部と凸状部との間が凹状部ができ、その凹状部は凸状部とは反対方向に曲がるので、側縁部の内側が凸状部を有さない扁平面の方に向いて、該扁平面も外側(反対側)に膨らみ、扁平面と凸状面はそれぞれ外側に膨らむことになって、金属製品端部用キャップは、必ず開かせることができる。
【0011】
このことによって、作業員は、本発明に係る金属製品端部用キャップを片手で確実に開かせることができるので、両手を用いてゴム製および合成樹脂製弾性体のキャップを膨らませる必要がなくなる。よって、作業員の作業効率を格段にアップさせることができる。
【0012】
また、金属製線(金属製より線を含む)や金属製棒や金属製パイプの端部に本発明に係る金属製品端部用キャップを用いることによって、金属線等の端部で作業員等の人体に裂傷を負うことを防止できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る請求項1に記載の金属製品端部用キャップによれば、金属製線(金属製より線を含む)や金属製棒や金属製パイプの端部に、作業員が片手で確実に設置することができて、作業効率を上げることができると共に、作業員が金属製線等の端部に接触することによる裂傷を防止することができる。また、使用できる鋼線の直径に幅広く融通が利く。本発明の金属製品端部用キャップは、安価であって、製造も容易であり、さらに取扱いも容易である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施するための形態に係る金属製品端部用キャップの模式的斜視図である。
【
図2】本発明の実施するための形態に係る金属製品端部用キャップを片方の手の指で開こうとした際の模式的斜視図である。
【
図3】本発明の実施するための形態に係る金属製品端部用キャップであって、鋼より線端部に嵌めた状態を示した模式的断面図である。
【
図4】従来型の金属製品端部用キャップの模式的斜視図である。
【
図5】従来型の金属製品端部用キャップを片方の手の指で開こうとした際の模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1に示すように、本発明に係る金属製品端部用キャップ1は、ゴム製および合成樹脂製弾性体のチューブを所定の長さに切断して、扁平させたキャップであって、その断面形状が、扁平面2と、その対向する面であって、凸状に外側に突き出ている凸状面3と、該扁平面2と該凸状面3との間にある2か所の側縁部4から構成された断面が潰された筒状体である。
【0016】
扁平面2は、金属製品端部用キャップ1の一つの面であり、金属製品端部用キャップ1の断面形状で表すと、
図1に示すように、ほぼ一直線状となっているが、若干、凸状面3と反対側に膨らませた形状にしてもよい。
【0017】
凸状面3は、金属製品端部用キャップ1のもう一方の面であり、金属製品端部用キャップ1の断面形状で表すと、
図1に示すように、扁平させた面を単数又は複数個所外側に向かって凸状に突き出した形状をしている。この凸状部3-1によって、金属製品端部用キャップ1の両側縁部4を、片手20の親指と、人差し指又は中指で軽く挟んで開いた際に、凸状面3は、必ず外側に膨らんで開く。
【0018】
側縁部4は、金属製品端部用キャップ1の断面形状で表すと、
図1に示すように、扁平面2と凸状面3との間に2か所設けられヘアピン状に曲がった部分である。金属製品端部用キャップ1の両側縁部4を、片手20の親指と、人差し指又は中指で軽く挟んで開いた際に、凸状面3の凸状部3-1と側縁部4との間が凹状部3-2となって、その凹状部3-2は、凸状部3-1とは反対側に曲がるので、側縁部4の内側が扁平面2の方に向く。それによって、該扁平面2も外側に膨らみ、扁平面2と凸状面3はそれぞれ側に膨らむことになり、金属製品端部用キャップ1は、片手で作業しても確実に開くことになる。
【0019】
次に、本発明に係る金属製品端部用キャップ1の製造方法の一例を説明する。
まず、ゴム原料と充填剤を加えてミキサーで混練する。次に、その練り合せたコンパウンドをストレーナーに通して異物を除去する。そして、そのコンパウンドを、一か所外側に凸状の突出部を有するチューブ用の口金を備えた押し出し機に通してチューブ状にして、さらに加硫加工した後に所定の長さに切断すれば、金属製品端部用キャップ1は完成する。
【0020】
また、本発明に係る金属製品端部用キャップ1の使用方法の一例を
図3を用いて説明する。まず、コイルに捲かれた鋼より線10の端部に、作業員が片手20の親指と人差し指とを用いて、本発明に係る金属製品端部用キャップ1の両側の側縁部4を軽く挟む。すると金属製品端部用キャップ1は、扁平した状態から確実に開くので、簡単に素早く鋼より線10の端部に装着させることができて、安全を確保することができる。
【0021】
本発明に係る金属製品端部用キャップ1は、扁平したチューブ形状なので、鋼より線10の直径が金属製品端部用キャップ1の内径より小さくとも、金属製品端部用キャップ1のゴムや弾性体の復元力によって鋼より線10を挟み込むので、その摩擦抵抗によって、鋼より線10の端部から、金属製品端部用キャップ1が外れて落下することを防ぐことができる。よって、金属製品端部用キャップ1を用いれば、使用できる鋼より線10の直径に幅広く融通が利く。また、一度鋼より線10の端部に金属製品端部用キャップ1を設置すれば、作業員は鋼より線の端部によって裂傷を負うことはないし、打撲についても金属製品端部用キャップ1によって緩衝されて、怪我を軽減させることができる。
【0022】
また、金属製品端部用キャップ1を金属製丸棒に用いた場合、例えば、扁平した外幅55mm肉厚4mmの金属製品端部用キャップ1を使用した場合には、16mm~25mmぐらいの金属製丸棒であれば、片手で装着して、かつ、外れて落下しない。
【産業上の利用可能性】
【0023】
安全の分野に広く利用することができる。
【符号の説明】
【0024】
1:金属製品端部用キャップ
2:扁平面
3:凸状面 3-1:凸状部 3-2:凹状部
4:側縁部
5:中空部
10:鋼より線
20:手
30:従来型のキャップ
30-2:扁平部
30-4:側縁部
【手続補正書】
【提出日】2021-08-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製線(金属製より線を含む)や金属製棒や金属製パイプの端部に使用するゴム製または合成樹脂製弾性体のキャップであって、外側に向かって突出すると共に長手方向に沿って伸びる凸状部を単数又は複数個備えている凸状面と、前記凸状面に対向する面であって前記凸状部を有さない扁平面と、前記凸状面と前記扁平面との間にある2か所の側縁部と、から構成された筒状体であって、前記凸状面と前記扁平面とが扁平したチューブ形状をなし、前記2か所の側縁部を挟んで開いた際に、前記凸状面の前記凸状部と前記側縁部との間が凹状部となって、前記凸状面と前記扁平面がそれぞれ外側に向かって膨らむことを特徴とする金属製品端部用キャップ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
上記の目的を達成するために、本願発明の請求項1に係る金属製品端部用キャップは、金属製線(金属製より線を含む)や金属製棒や金属製パイプの端部に使用するゴム製または合成樹脂製弾性体のキャップであって、外側に向かって突出すると共に長手方向に沿って伸びる凸状部を単数又は複数個備えている凸状面と、前記凸状面に対向する面であって前記凸状部を有さない扁平面と、前記凸状面と前記扁平面との間にある2か所の側縁部と、から構成された筒状体であって、前記凸状面と前記扁平面とが扁平したチューブ形状をなし、前記2か所の側縁部を挟んで開いた際に、前記凸状面の前記凸状部と前記側縁部との間が凹状部となって、前記凸状面と前記扁平面がそれぞれ外側に向かって膨らむことを特徴とする。