IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サッポロビール株式会社の特許一覧

特開2022-149213飲料容器検査装置及び飲料容器検査方法
<>
  • 特開-飲料容器検査装置及び飲料容器検査方法 図1
  • 特開-飲料容器検査装置及び飲料容器検査方法 図2
  • 特開-飲料容器検査装置及び飲料容器検査方法 図3
  • 特開-飲料容器検査装置及び飲料容器検査方法 図4
  • 特開-飲料容器検査装置及び飲料容器検査方法 図5
  • 特開-飲料容器検査装置及び飲料容器検査方法 図6
  • 特開-飲料容器検査装置及び飲料容器検査方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149213
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】飲料容器検査装置及び飲料容器検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 3/20 20060101AFI20220929BHJP
   G01M 3/04 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
G01M3/20 P
G01M3/04 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021051262
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】303040183
【氏名又は名称】サッポロビール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100176773
【弁理士】
【氏名又は名称】坂西 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】梶原 和人
(72)【発明者】
【氏名】平山 誠
(72)【発明者】
【氏名】伊東 智
(72)【発明者】
【氏名】木口 幹康
【テーマコード(参考)】
2G067
【Fターム(参考)】
2G067AA45
2G067BB04
2G067BB12
2G067BB25
2G067CC04
2G067DD17
(57)【要約】
【課題】装置の構成を簡易にすることができると共に、飲料容器の欠陥の検出精度を高めることができる飲料容器検査装置及び飲料容器検査方法を提供する。
【解決手段】一実施形態に係る飲料容器検査装置は、飲料容器を搬送する搬送部5と、搬送部5によって搬送された飲料容器から臭気を検出する臭気検出部20と、臭気検出部20によって検出された臭気から飲料容器の異常の有無を判定する異常判定部30と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料容器を搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送された飲料容器から臭気を検出する臭気検出部と、
前記臭気検出部によって検出された臭気から前記飲料容器の異常の有無を判定する異常判定部と、
を備える飲料容器検査装置。
【請求項2】
前記異常判定部は、一定時間あたりにおける前記臭気の変化量が一定値以上であるときに前記飲料容器が異常であると判定する、
請求項1に記載の飲料容器検査装置。
【請求項3】
前記臭気検出部は、前記搬送部における前記飲料容器の搬送経路の下流部に配置されている、
請求項1又は2に記載の飲料容器検査装置。
【請求項4】
前記飲料容器は、飲料を収容する瓶である、
請求項1~3のいずれか一項に記載の飲料容器検査装置。
【請求項5】
前記臭気検出部は、前記搬送部において搬送されている飲料容器から空気を吸引する吸引部と、前記吸引部によって吸引されている空気の臭気を検出する臭気センサと、を含む、
請求項1~4のいずれか一項に記載の飲料容器検査装置。
【請求項6】
飲料容器を搬送する工程と、
前記飲料容器を搬送する工程において搬送された飲料容器から臭気を検出する工程と、
前記臭気を検出する工程において検出された臭気から前記飲料容器の異常の有無を判定する工程と、
を備える飲料容器検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、飲料容器の検査を行う飲料容器検査装置、及び飲料容器検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2016-14589号公報には、容器検査方法及び容器検査装置が記載されている。容器検査装置は、容器としての壜の底部に生じた欠陥の有無を検査する。容器検査装置は、壜を照明する照明装置と、壜の側面を撮影するカメラとを備える。照明装置は壜の底部に斜め下方から光を照射し、カメラは壜の底部の斜め上方に設けられる。照明装置が壜の底部に斜め下方から光を照射すると、カメラによって撮影された壜の画像は暗視野照明として映される。しかしながら、壜に欠陥がある場合、照明装置からの光が当該欠陥で散乱するので、カメラによって当該欠陥を撮影することが可能である。
【0003】
特開昭61-88146号公報には、ガラスびんを検査する方法及び装置が記載されている。この方法及び装置では、音響エネルギーをガラスびんに照射してガラスびんの欠陥の有無を検査する。ガラスびんに照射された音響エネルギーは、音源からガラスびんの内部の液体等を介して受波器に到達する。しかしながら、ガラスびんに欠陥がある場合、当該欠陥において音響エネルギーの一部が反射する。この方法及び装置では、欠陥において反射した音響エネルギーを検出することによって欠陥の存在を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-14589号公報
【特許文献2】特開昭61-88146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した容器検査装置では光を用いて飲料容器の欠陥を検出し、前述した方法及び装置では音響エネルギーを用いて飲料容器の欠陥を検出している。しかしながら、光を用いて飲料容器の検査を行う場合、照明装置及びカメラが必要となり、音響エネルギーを用いて検査を行う場合、音源と受波器が必要となる。
【0006】
このように、光又は音響エネルギーを用いて飲料容器の検査を行う場合、飲料容器に光又は音響エネルギーを発信する発信源と、光又は音響エネルギーを受信する受信源とが必要となるので、装置の構成が複雑且つ大がかりとなる場合がある。更に、装置のコストが高いという問題も生じうる。また、光又は音響エネルギーを飲料容器に発信して飲料容器の欠陥を検出する場合、発信する光又は音響エネルギーが欠陥に当てられなければ欠陥を検出できないという問題が生じうる。従って、飲料容器の欠陥の検出精度において改善の余地がある。
【0007】
本開示は、装置の構成を簡易にすることができると共に、飲料容器の欠陥の検出精度を高めることができる飲料容器検査装置及び飲料容器検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した課題を解決するために本発明者らが鋭意検討した結果、前述した光又は音響エネルギーに代えて臭気を活用できることを見出した。本開示に係る発明の一側面は、かかる知見に基づいてなされたものである。本開示に係る飲料容器検査装置は、飲料容器を搬送する搬送部と、搬送部によって搬送された飲料容器から臭気を検出する臭気検出部と、臭気検出部によって検出された臭気から飲料容器の異常の有無を判定する異常判定部と、を備える。
【0009】
この飲料容器検査装置では、搬送部が飲料容器を搬送する。そして、搬送部によって搬送された飲料容器の臭気を臭気検出部が検出し、臭気検出部によって検出された臭気から異常判定部が飲料容器の異常の有無を判定する。飲料容器に欠陥が生じていると、当該欠陥から飲料等の臭気が生じることがあり、この臭気は空気中を伝搬する。この飲料容器検査装置では、飲料容器の欠陥から生じた臭気を臭気検出部が検出し、異常判定部が検出された臭気から飲料容器の異常の有無を判定する。従って、臭気から飲料容器の判定を行うことにより、前述した発信源及び受信源の配置を不要とすることができるので、装置の構成を簡易にして、装置のコストを抑えることができる。この飲料容器検査装置では、飲料容器に光又は音響エネルギーを発信するものではなく、搬送された飲料容器からの臭気に基づいて飲料容器の異常有無の判定を行うので、飲料容器の欠陥を高精度に検出することができる。すなわち、飲料容器の欠陥からの臭気に基づいて異常有無の判定を行うことにより、当該欠陥を確実に検出して飲料容器の異常有無の判定を高精度に行うことができる。
【0010】
異常判定部は、一定時間あたりにおける臭気の変化量が一定値以上であるときに飲料容器が異常であると判定してもよい。ところで、臭気検出部によって検出される臭気の検出値は、搬送部の周囲の温度又湿度等によって変動することがある。従って、臭気の検出値が一定値以上であっても飲料容器に異常が生じていないこともあれば、臭気の検出値が一定値以上でなくても飲料容器に異常が生じているということも起こりうる。前述したように、一定時間あたりにおける臭気の変化量が大きいときに異常が生じていると判定する場合、上記の温度又は湿度等の影響を排除することができる。すなわち、一定時間あたりにおける臭気の変化量が大きいときに異常と判定することにより、飲料容器の異常判定をより高精度に行うことができる。
【0011】
臭気検出部は、搬送部における飲料容器の搬送経路の下流部に配置されていてもよい。この場合、臭気検出部が飲料容器の搬送経路の下流部に配置されることにより、搬送経路の下流部で異常な飲料容器を検出して、欠陥がある飲料容器の流出をより確実に防止することができる。すなわち、搬送経路の途中部分に臭気検出部が配置される場合には、臭気検出部が配置されている箇所よりも下流側で異常が生じたときに当該異常を検出できなくなる可能性がある。しかしながら、搬送経路の下流部に臭気検出部が配置される場合には、当該異常を確実に検出することができる。
【0012】
飲料容器は、飲料を収容する瓶であってもよい。この場合、臭気検出部は瓶の割れ等の欠陥からの臭気を検出し、異常判定部は瓶の異常有無の判定を行う。瓶は、年月が経つと割れやすくなることがあるので、他の飲料容器と比較して欠陥が生じやすい場合がある。このような瓶を搬送する場合であっても、臭気検出部が欠陥からの臭気を検出して異常判定部が異常有無の判定を行うことにより、瓶の欠陥の有無を高精度に判定することができる。
【0013】
臭気検出部は、搬送部において搬送されている飲料容器から空気を吸引する吸引部と、吸引部によって吸引されている空気の臭気を検出する臭気センサと、を含んでもよい。この場合、吸引部が飲料容器から空気を吸引し、臭気センサが吸引された空気から臭気を検出する。従って、臭気をより検出しやすくすることができるので、飲料容器の異常判定をより高精度に行うことができる。
【0014】
本開示に係る飲料容器検査方法は、飲料容器を搬送する工程と、飲料容器を搬送する工程において搬送された飲料容器から臭気を検出する工程と、臭気を検出する工程において検出された臭気から飲料容器の異常の有無を判定する工程と、を備える。
【0015】
この飲料容器検査方法では、搬送された飲料容器の臭気を検出する。そして、検出された臭気から飲料容器の異常の有無を判定する。すなわち、飲料容器に欠陥がある場合、当該欠陥から生じる臭気を検出し、検出した臭気に基づいて飲料容器の異常有無の判定を行う。従って、臭気から飲料容器の異常有無の判定を行うことにより、前述した発信源及び受信源の配置を不要とすることができる。よって、装置の構成を簡易にして、装置のコストを抑えることができる。この飲料容器検査方法では、飲料容器に光又は音響エネルギーを発信せず、搬送された飲料容器からの臭気に基づいて飲料容器の異常有無の判定を行う。よって、飲料容器の欠陥を高精度に検出することができる。すなわち、飲料容器の欠陥からの臭気に基づいて異常有無の判定を行うので、当該欠陥を確実に検出して飲料容器の異常有無の判定を高精度に行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、装置の構成を簡易にすることができると共に、飲料容器の欠陥の検出精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態に係る飲料容器検査装置を模式的に示す平面図である。
図2】飲料容器検査装置の搬送部において搬送される飲料容器を模式的に示す図である。
図3図2の飲料容器を搬送する例示的なパレットを示す斜視図である。
図4】実施形態に係る臭気検出部の例を示す斜視図である。
図5図4の臭気検出部の一部を拡大した斜視図である。
図6】実施形態に係る臭気検出部の臭気センサ及び吸引部を模式的に示す斜視図である。
図7図6の臭気センサを拡大した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、図面を参照しながら本開示に係る飲料容器検査装置及び飲料容器検査方法の実施形態について説明する。なお、本開示に係る飲料容器検査装置及び飲料容器検査方法は、後述する実施形態の内容に限定されない。図面の説明において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、理解の容易化のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0019】
本開示において、「飲料」とは、飲用可能な液体又は半固体を示している。飲料は、例えば、ビール、チューハイ、発泡酒及びワイン等のアルコール飲料である。しかしながら、飲料は、アルコールを含まない炭酸飲料又は清涼飲料等であってもよい。「飲料容器」は、飲料を収容する容器を示している。飲料容器は、例えば、飲料を収容する瓶、缶、樽又はペットボトル等、種々の容器を含む。本開示に係る飲料容器検査装置は、臭気検出部を備える。「臭気」とは、臭いを示しており、例えば、飲料の臭いを示している。一例として、臭気検出部はアルコール飲料の臭いを検出してもよい。
【0020】
図1は、例示的な飲料容器検査装置1を模式的に示す平面図である。図2は、搬送される飲料容器Cの例を示す斜視図である。一例としての飲料容器検査装置1は、瓶である飲料容器Cの検査を行う。飲料容器検査装置1は、例えば、飲料容器Cの搬送経路におけるパレタイザー2よりも上流側にウエイトチェッカーWを備える。
【0021】
ウエイトチェッカーWでは、搬送されている飲料容器Cの重量を測定することによって飲料容器Cの異常有無の検査が行われる。具体的には、ウエイトチェッカーWは、飲料容器Cの重量が一定値より小さい場合には飲料容器Cが異常であると判定する。すなわち、飲料容器Cが割れたりして飲料容器Cに欠陥が生じると、飲料容器Cから飲料が漏れて飲料容器Cの重量が軽くなる。ウエイトチェッカーWは、この軽くなった飲料容器Cを検出して当該飲料容器Cを異常であると判定する。
【0022】
飲料容器検査装置1は、飲料容器Cの搬送経路におけるウエイトチェッカーWよりも下流側に、パレタイザー2、結束機3、搬送部5及び異常検出部10を備える。飲料容器検査装置1では、例えば、飲料容器Cが収容されたP箱Bをパレタイザー2がパレットPに積載し、P箱Bが積載されたパレットPが搬送される。一例として、P箱Bには複数の飲料容器Cが収容されており、パレットPには複数のP箱Bが積載される。例えば、パレットPには5段のP箱Bが積載される。
【0023】
例えば、結束機3はパレタイザー2に積載された複数のP箱Bを結束する。一例として、結束機3は、複数のP箱Bを紐で括ることによって複数のP箱Bを結束する。これにより、パレットPに積載された複数のP箱Bが倒れることを防止できる。搬送部5は、例えば、複数のP箱Bが積載されたパレットPを搬送するコンベアである。
【0024】
以上のように、飲料容器Cの搬送経路におけるウエイトチェッカーWよりも下流側には、パレタイザー2、結束機3及び搬送部5が設けられており、パレタイザー2、結束機3及び搬送部5のいずれかの箇所で飲料容器Cに欠陥が生じる可能性がある。すなわち、パレタイザー2でパレットPにP箱Bを積載するとき、結束機3がP箱Bを結束するとき、又は搬送部5でパレットPを搬送するときに飲料容器Cに割れ等が生じる可能性がある。
【0025】
上記の割れ等を検出するために、本実施形態に係る飲料容器検査装置1は、異常検出部10を備える。異常検出部10は、例えば、搬送部5における飲料容器Cの搬送経路の下流部に配置されている。「搬送経路の下流部」は、例えば、搬送経路の下流側の領域を示している。「搬送経路の下流部」は、搬送経路の下流側の端部を含む領域であってもよいし、搬送経路の下流側の端部よりも上流側の領域であってもよい。一例として、異常検出部10は、飲料容器Cの搬送経路の最下流部に配置されていてもよい。
【0026】
このように異常検出部10が配置されることにより、ウエイトチェッカーWよりも下流側(例えば、パレタイザー2、結束機3及び搬送部5のいずれか)で飲料容器Cに欠陥が生じた場合でも確実に異常な飲料容器Cを検出することができる。その結果、欠陥を有する飲料容器Cの出荷を確実に阻止することができる。
【0027】
図3は、例示的なパレットPを示す斜視図である。図3に示されるように、例示的なパレットPは、直方体状を呈する。パレットPは、例えば、複数の側面のうちの1つの側面に一対の開口P1を有する。一対の開口P1は、例えば、水平方向に沿って並んでいる。一対の開口P1はフォークリフトの爪が挿入される穴であり、一対の開口P1にフォークリフトの爪が挿入された状態で複数のP箱Bが積載されたパレットPをフォークリフトによって移動させることができる。フォークリフトは、例えば、搬送部5の最下流部において異常がないと判定された飲料容器Cを有するパレットPを搬送部5から持ち上げて移動させ、移動させたパレットPを倉庫に保管する。
【0028】
図1に示されるように、異常検出部10は、例えば、搬送部5に沿って搬送されるパレットPに積載された複数のP箱Bのそれぞれに収容されている飲料容器Cの異常の有無を検出する。一例として、異常検出部10は、搬送されている飲料容器Cの臭気を検出する臭気検出部20と、臭気検出部20によって検出された臭気から飲料容器Cの異常の有無を判定する異常判定部30とを備える。
【0029】
図4は、例示的な臭気検出部20を示す斜視図である。図4に示されるように、臭気検出部20は、搬送部5における飲料容器Cの搬送方向D1に交差する方向D2に延在するように配置される。例えば、搬送部5は、搬送方向D1に沿って延びると共に方向D2に沿って並ぶ複数のチェーン5b,5cを有する。なお、図4では、チェーン5b,5cの図示を簡略化している。
【0030】
一例として、方向D2の一端及び他端のそれぞれに位置する一対のチェーン5bの間に2つのチェーン5cが配置されており、2つのチェーン5cは搬送方向D1に沿って並んでいる。臭気検出部20は、例えば、搬送方向D1に沿って並ぶ2つのチェーン5cの間に配置される。
【0031】
例示的な臭気検出部20は、第1管路21と、第1管路21に連結された第2管路22とを有する。例えば、臭気検出部20は、方向D2に沿って並ぶ一対の第1管路21と、一対の第1管路21を互いに連結する第2管路22とを有する。第1管路21及び第2管路22は、樹脂製である。一例として、第1管路21及び第2管路22は塩化ビニルによって構成されている。しかしながら、第1管路21及び第2管路22の材料は、特に限定されない。
【0032】
第1管路21は、搬送部5に搬送される飲料容器Cの臭気(空気)が入り込む部位である。第1管路21は、搬送部5の搬送方向D1に交差する方向D2に延在している。これにより、搬送部5の広範囲から第1管路21を介して臭気を吸引することができる。第1管路21は、第1管路21の内部に空気を取り込む孔21bを有する。一例として、第1管路21は複数の孔21bを有し、複数の孔21bは第1管路21の長手方向(例えば方向D2)に沿って並んでいる。
【0033】
例えば、第1管路21の長さ(方向D2の長さ)は100mm以上且つ2000mm以下である。第1管路21の長さは、200mm以上、300mm以上、又は400mm以上であってもよい。また、第1管路21の長さは、1800mm以下、1600mm以下、1400mm以下、1300mm以下、又は1200mm以下であってもよい。孔21bの大きさ(孔21bの幅、孔21bが円形の場合には孔21bの内径)は、例えば、5mm以上且つ10mm以下である。孔21bの大きさは、6mm以上又は7mm以上であってもよい。また、孔21bの大きさは9mm以下又は8mm以下であってもよい。孔21bの間隔は、例えば、10mm以上且つ100mm以下である。孔21bの間隔は、15mm以上、20mm以上、30mm以上、又は40mm以上であってもよい。また、孔21bの間隔は、90mm以下、80mm以下、70mm以下、60mm以下、又は50mm以下であってもよい。しかしながら、第1管路21の長さ、孔21bの大きさ、及び孔21bの間隔は、上記の値以外の値であってもよく、特に限定されない。
【0034】
図5は、一対の第1管路21を連結する第2管路22を拡大した斜視図である。図5に示されるように、例えば、第2管路22はT字管である。一例として、第2管路22は、一対の第1管路21のそれぞれが接続される一対の接続部22bと、一対の接続部22bの間から下方に延在する延在部22cとを有する。
【0035】
例えば、接続部22bの内径は第1管路21の外径よりも大きく、接続部22bに第1管路21が挿入されることによって接続部22bに第1管路21が接続されている。しかしながら、接続部22bにおける第1管路21の接続態様は上記の例に限定されない。延在部22cは、接続部22bから下方に延び出している。第2管路22の接続部22b及び延在部22cによって、第1管路21から入り込んだ空気は接続部22bを介して延在部22cを通る。
【0036】
図6に示されるように、臭気検出部20は、延在部22cに接続される接続管路23と、第1管路21及び第2管路22から接続管路23に空気を吸引する吸引部24と、接続管路23を通る空気の臭気を検出する臭気センサ25とを備える。接続管路23の吸引部24とは反対側(図6では右上側)の端部が延在部22cに接続されている。
【0037】
吸引部24は、例えば、接続管路23を介して空気を吸引するファンユニットである。一例として、吸引部24は、筐体24bと、筐体24bに収容されたファン24cと、ファン24cに電力を供給する電力ケーブル24dとを有する。例えば、筐体24bは、箱状を呈する。
【0038】
筐体24bは接続管路23に接続される接続部24fを有し、接続管路23から接続部24fを介して筐体24bの内部に空気が取り込まれる。ファン24cは、例えば、筐体24bの内部において回転し、ファン24cの回転に伴って接続管路23から空気を取り込む。ファン24cが取り込んだ空気は筐体24bの接続管路23との反対側から筐体24bの外部に排出される。
【0039】
電力ケーブル24dは筐体24bを貫通してファン24cに接続されており、電力ケーブル24dを介してファン24cに電力が供給される。ファン24cは、電力ケーブル24dから電力を受けて回転し、接続管路23から吸引部24に向かう空気流を生じさせる。この空気流によって吸引部24に空気が吸引される。
【0040】
臭気センサ25は、例えば、接続管路23の途中部分に接続されている。例えば、接続管路23はT字管23bを含んでおり、T字管23bに臭気センサ25が接続されている。臭気センサ25は、吸引部24に向かう接続管路23において接続管路23(例えばT字管23b)から枝分かれした部分に取り付けられている。臭気センサ25は、接続管路23において吸引部24に向かう空気流から臭気を検出する。
【0041】
図7は、臭気センサ25を模式的に示す斜視図である。一例として、臭気センサ25は、直方体状を呈する。臭気センサ25は、例えば、接続管路23を通る空気中における臭いの強さを数値化する。一例として、臭気センサ25は、臭いの強さを3桁の検出値Xとして表示する。この場合、検出値Xは0から100までの数値として表示される。
【0042】
臭気センサ25は、例えば、検出した臭いの強さの数値(検出値X)を記憶するメモリを備える。例示的な臭気センサ25は、臭いの強さの検出値Xを表示する表示部25bと、接続管路23から空気を取り入れる取り入れ部25cと、取り入れた空気を排出する排気部と、操作ボタン25fとを有する。表示部25bは、臭いの検出値Xのほか、電池レベルの状態、又はメモリ残量を表示してもよい。
【0043】
取り入れ部25cは接続管路23から空気を取り入れる部位であり、取り入れ部25cから取り入れられた空気の臭気を臭気センサ25が検出値Xとして数値化する。操作ボタン25fは、例えば、複数のボタンによって構成されている。一例として、操作ボタン25fは、電源ボタン、及び検出開始終了ボタンを含んでいる。
【0044】
臭気センサ25によって検出された臭いの検出値Xは、異常判定部30によって判定される。以上の例では、第1管路21の孔21bから第1管路21の内部に入り込み、第2管路22を介して接続管路23に通された空気の臭気が臭気センサ25によって検出され、臭気センサ25の検出値Xを異常判定部30が判定する。
【0045】
図1及び図7に示されるように、異常判定部30は、例えば、臭気センサ25が検出した臭気の検出値Xに応じて搬送部5を通る飲料容器Cの異常の有無を判定する。飲料容器Cに割れ又は欠け等の欠陥がある場合には、例えば飲料容器Cから飲料(又は飲料の臭い)が漏れた状態となり、漏れた飲料の臭いが拡散する。臭気センサ25では、この拡散された臭いを検出値Xとして検出し、異常判定部30は検出値Xに基づいて飲料容器Cの異常(欠陥)を判定する。
【0046】
一例として、異常判定部30は、臭気センサ25の検出値Xから飲料容器Cの異常の有無を判定する。具体例として、異常判定部30は、一定時間(一例として15秒)あたりにおける臭気センサ25の検出値Xの変化量が一定値以上であるときに、飲料容器Cに欠陥が生じていて飲料容器Cが異常であると判定する。一例として、上記の一定値(例えば検出値Xが0から100までの数値として示される場合における一定値)は3である。この場合、一定時間あたりにおける臭気センサ25の検出値Xの変化量が3以上であるときに飲料容器Cが異常であると判定される。但し、上記の一定値は、3以外の値であってもよく、1、2、5又は10等であってもよく、適宜変更可能である。例えば、異常判定部30は、当該一定時間あたりにおける臭気センサ25の検出値Xの変化量が当該一定値以上でないときには、飲料容器Cに欠陥が生じておらず飲料容器Cが正常であると判定する。
【0047】
次に、本実施形態に係る飲料容器検査方法の工程の例について説明する。なお、本開示に係る飲料容器検査方法の工程は、以下の例に限定されない。まず、ウエイトチェッカーWが搬送される飲料容器Cの重量を測定して、飲料容器Cに割れ又は欠け等の異常が生じていないかどうかが検出される(飲料容器の重量を測定して飲料容器の異常を検出する工程)。
【0048】
続いて、飲料容器Cはパレタイザー2に搬送され、パレタイザー2において複数の飲料容器Cを収容したP箱BがパレットPに積載される(飲料容器を収容したP箱をパレットに積載する工程)。その後、パレットPに積載された複数のP箱Bを結束機3が紐で結束する(P箱を結束する工程)。
【0049】
結束機3によって紐が結束されたP箱Bを載せたパレットPは搬送部5において搬送される(飲料容器を搬送する工程)。そして、パレットPは臭気検出部20が配置された部位に到達し、臭気検出部20が搬送部5において搬送される飲料容器Cの臭気を検出する(臭気を検出する工程)。
【0050】
臭気を検出する工程では、例えば、第1管路21の孔21bから空気が第1管路21の内部に導入され、第1管路21の内部の空気が第2管路22を介して接続管路23に供給される。そして、接続管路23に供給された空気の臭気を臭気センサ25が検出する。このとき、吸引部24のファン24cが作動して第1管路21の孔21bからの空気を第2管路22を介して接続管路23に吸引してもよい(空気を吸引する工程)。
【0051】
前述したように、例えば、臭気センサ25は検出した臭気を数値化する。異常判定部30は、検出された臭気から飲料容器Cの異常の有無を判定する(飲料容器の異常の有無を判定する工程)。例えば、異常判定部30は、一定時間あたりの臭気センサ25の検出値(数値化された臭気)の変化量が一定値以上であるときに飲料容器Cが異常であると判定する。
【0052】
異常判定部30が飲料容器Cの異常を判定したときには、例えば、搬送部5による飲料容器Cの搬送を停止してもよい。また、異常判定部30は、搬送部5における飲料容器Cの搬送経路の下流部に排斥装置を備えていてもよく、飲料容器Cの異常を判定したときに当該排斥装置によって異常判定された飲料容器Cを排斥してもよい。一方、異常判定部30が検出された臭気から飲料容器Cに異常が無いと判定した場合には、飲料容器検査装置1ではそのまま飲料容器Cの搬送を継続する。そして、搬送部5の最下流部でパレットPが持ち上げられ、飲料容器Cが倉庫に保管される(搬送部から飲料容器を持ち上げて飲料容器を倉庫に保管する工程)。以上の各工程を経て、飲料容器検査方法の一連の工程が完了する。
【0053】
次に、本実施形態に係る飲料容器検査装置1及び飲料容器検査方法から得られる作用効果について説明する。本実施形態に係る飲料容器検査装置1及び飲料容器検査方法では、搬送部5が飲料容器Cを搬送する。そして、搬送部5によって搬送された飲料容器Cの臭気を臭気検出部20が検出し、臭気検出部20によって検出された臭気から異常判定部30が飲料容器Cの異常の有無を判定する。飲料容器Cに欠陥が生じていると、当該欠陥から飲料等の臭気が生じることがあり、この臭気は空気中を伝搬する。
【0054】
本実施形態に係る飲料容器検査装置1及び飲料容器検査方法では、飲料容器Cの欠陥から生じた臭気を臭気検出部20が検出し、異常判定部30が検出された臭気から飲料容器Cの異常の有無を判定する。従って、臭気から飲料容器Cの判定を行うことにより、センサとして用いられる光又は音響エネルギーの発信源及び受信源の配置を不要とすることができるので、装置の構成を簡易にして、装置のコストを抑えることができる。
【0055】
本実施形態に係る飲料容器検査装置1及び飲料容器検査方法では、飲料容器Cに光又は音響エネルギーを発信するものではなく、搬送された飲料容器Cからの臭気に基づいて飲料容器Cの異常有無の判定を行うので、飲料容器Cの欠陥を高精度に検出することができる。すなわち、飲料容器Cの欠陥からの臭気に基づいて異常有無の判定を行うことにより、当該欠陥を確実に検出して飲料容器Cの異常有無の判定を高精度に行うことができる。
【0056】
異常判定部30は、一定時間あたりにおける臭気の変化量が一定値以上であるときに飲料容器Cが異常であると判定してもよい。ところで、臭気検出部20によって検出される臭気の検出値Xは、搬送部5の周囲の温度又湿度等によって変動することがある。従って、臭気の検出値Xが一定値以上であっても飲料容器Cに異常が生じていないこともあれば、臭気の検出値Xが一定値以上でなくても飲料容器Cに異常が生じているということも起こりうる。本実施形態のように、一定時間あたりにおける臭気の変化量が大きいときに異常が生じていると判定する場合、上記の温度又は湿度等の影響を排除することができる。すなわち、一定時間あたりにおける臭気の変化量が大きいときに異常と判定することにより、飲料容器Cの異常判定をより高精度に行うことができる。
【0057】
臭気検出部20は、搬送部5における飲料容器Cの搬送経路の下流部に配置されていてもよい。この場合、臭気検出部20が飲料容器Cの搬送経路の下流部に配置されることにより、搬送経路の下流部で異常な飲料容器Cを検出して、欠陥がある飲料容器Cの流出をより確実に防止することができる。すなわち、搬送経路の途中部分に臭気検出部20が配置される場合には、臭気検出部20が配置されている箇所よりも下流側で異常が生じたときに当該異常を検出できなくなる可能性がある。しかしながら、搬送経路の下流部に臭気検出部20が配置される場合には、当該異常を確実に検出することができる。
【0058】
飲料容器Cは、飲料を収容する瓶であってもよい。この場合、臭気検出部20は瓶の割れ等の欠陥からの臭気を検出し、異常判定部30は瓶の異常有無の判定を行う。瓶は、年月が経つと割れやすくなることがあるので、他の飲料容器Cと比較して欠陥が生じやすい場合がある。このような瓶を搬送する場合であっても、臭気検出部20が欠陥からの臭気を検出して異常判定部30が異常有無の判定を行うことにより、瓶の欠陥の有無を高精度に判定することができる。
【0059】
臭気検出部20は、搬送部5において搬送されている飲料容器Cから空気を吸引する吸引部24と、吸引部24によって吸引されている空気の臭気を検出する臭気センサ25と、を含んでもよい。この場合、吸引部24が飲料容器Cから空気を吸引し、臭気センサ25が吸引された空気から臭気を検出する。従って、臭気をより検出しやすくすることができるので、飲料容器Cの異常判定をより高精度に行うことができる。
【0060】
以上、本開示に係る飲料容器検査装置及び飲料容器検査方法の実施形態について説明した。しかしながら、本開示は、前述した実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲において変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。すなわち、飲料容器検査装置の各部の形状、大きさ、材料、数及び配置態様、並びに、飲料容器検査方法の工程の内容及び順序は、上記の要旨を変更しない範囲において適宜変更可能である。
【0061】
例えば、前述した実施形態では、表示部25b、取り入れ部25c、排気部及び操作ボタン25fを有する臭気センサ25について説明した。しかしながら、本開示に係る臭気センサは、臭気センサ25に限られず適宜変更可能である。すなわち、臭気センサとしては種々のものを用いることができる。
【0062】
前述した実施形態では、第1管路21、第2管路22及び接続管路23を有する臭気検出部20について説明した。しかしながら、臭気センサ25まで延びる配管の態様は、第1管路21、第2管路22及び接続管路23に限られず適宜変更可能である。更に、第1管路21の孔の形状、大きさ、数、及び配置態様も、前述した孔21bに限られず、適宜変更可能である。
【0063】
例えば、前述した実施形態では、搬送部5の搬送経路の下流部に、臭気検出部20及び異常判定部30を有する異常検出部10を備えた飲料容器検査装置1について説明した。しかしながら、臭気検出部20の数及び配置場所、並びに、異常判定部30の数及び配置場所は、前述した実施形態に限定されることなく、適宜変更可能である。例えば、飲料容器検査装置は、複数の臭気検出部20を備えていてもよい。この場合、複数箇所での臭気の検出が可能となり、異常の検出精度を一層高めることができる。
【0064】
前述した実施形態では、搬送部5の搬送経路の下流部に臭気検出部20及び異常判定部30が配置されている例について説明した。しかしながら、臭気検出部20及び異常判定部30の配置場所は、搬送部5の搬送経路の下流部に限定されない。例えば、臭気検出部20及び異常判定部30がパレタイザー2に配置されていてもよい。また、臭気検出部20は、搬送部5に対して着脱可能であってもよい。この場合、任意の場所に臭気検出部20を配置することが可能となる。
【0065】
前述した実施形態では、吸引部24がファンユニットであり、吸引部24が接続管路23の端部に設けられる例について説明した。しかしながら、吸引部24の配置場所も接続管路23の端部に限られず適宜変更可能である。更に、吸引部24を省略することも可能である。すなわち、本開示に係る飲料容器検査装置は、吸引部24を有しないものであってもよい。
【0066】
前述した実施形態では、パレタイザー2、結束機3及びウエイトチェッカーWを有する飲料容器検査装置1について例示した。しかしながら、パレタイザー2、結束機3及びウエイトチェッカーWのいずれかを有しない飲料容器検査装置であってもよく、飲料容器検査装置の構成は適宜変更可能である。
【0067】
前述した実施形態では、パレットPに積載されたP箱Bに収容された飲料容器Cの臭いを臭気検出部20が検出する例について説明した。しかしながら、臭気検出部20は、パレットPに積載されたP箱Bに収容された飲料容器C以外の飲料容器C(例えば、P箱Bに収容されて搬送部5で搬送される飲料容器C、又はそのまま搬送部5で搬送される飲料容器C)の臭いを検出するものであってもよい。更に、前述した実施形態では、瓶である飲料容器Cについて例示した。しかしながら、本開示に係る飲料容器は、瓶に限られず、例えば、飲料缶、樽又はペットボトルであってもよく、特に限定されない。
【符号の説明】
【0068】
1…飲料容器検査装置、2…パレタイザー、3…結束機、5…搬送部、5b,5c…チェーン、10…異常検出部、20…臭気検出部、21…第1管路、21b…孔、22…第2管路、22b…接続部、22c…延在部、23…接続管路、23b…T字管、24…吸引部、24b…筐体、24c…ファン、24d…電力ケーブル、24f…接続部、25…臭気センサ、25b…表示部、25c…取り入れ部、25f…操作ボタン、30…異常判定部、B…P箱、C…飲料容器、D1…搬送方向、D2…方向、P…パレット、P1…開口、W…ウエイトチェッカー。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7