(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149217
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】電流検出装置、電源装置、及び電流検出方法
(51)【国際特許分類】
G01R 19/00 20060101AFI20220929BHJP
H02M 3/155 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
G01R19/00 N
H02M3/155 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021051267
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100160093
【弁理士】
【氏名又は名称】小室 敏雄
(72)【発明者】
【氏名】角本 茂生
【テーマコード(参考)】
2G035
5H730
【Fターム(参考)】
2G035AA05
2G035AB02
2G035AC02
2G035AD00
2G035AD03
2G035AD10
2G035AD11
2G035AD14
2G035AD18
2G035AD19
2G035AD20
2G035AD27
2G035AD28
2G035AD47
5H730AA20
5H730AS05
5H730BB13
5H730DD04
5H730EE59
5H730FD01
5H730FD38
5H730FD48
5H730FF09
5H730FG01
5H730FG26
(57)【要約】
【課題】スイッチング部を間欠動作させる場合であっても、高精度に電流を検出する。
【解決手段】電流検出装置は、第1のスイッチング素子に流れる電流を検出する第1のロゴスキーコイルと、第2のスイッチング素子に流れる電流を検出する第2のロゴスキーコイルと、リセット機能を有し、前記第1のロゴスキーコイルの出力を積分して第1検出信号を出力する第1積分回路と、リセット機能を有し、前記第2のロゴスキーコイルの出力を積分して第2検出信号を出力する第2積分回路と、前記第1検出信号と前記第2検出信号とに基づいて、前記スイッチング部に流れる電流を検出する検出処理部と、前記スイッチング部を間欠的に動作させる間欠動作モードである場合に、前記第1のスイッチング素子及び前記第2のスイッチング素子の両方を非導通状態にする停止期間に、前記第1積分回路及び前記第2積分回路をリセット状態に固定するリセット生成部とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列に接続された第1のスイッチング素子及び第2のスイッチング素子を有し、電源装置を動作させるスイッチング部に流れる電流を検出する電流検出装置であって、
前記第1のスイッチング素子に流れる電流を検出する第1のロゴスキーコイルと、
前記第2のスイッチング素子に流れる電流を検出する第2のロゴスキーコイルと、
リセット機能を有し、前記第1のロゴスキーコイルの出力を積分して第1検出信号を出力する第1積分回路と、
リセット機能を有し、前記第2のロゴスキーコイルの出力を積分して第2検出信号を出力する第2積分回路と、
前記第1検出信号と前記第2検出信号とに基づいて、前記スイッチング部に流れる電流を検出する検出処理部と、
前記スイッチング部を間欠的に動作させる間欠動作モードである場合に、前記第1のスイッチング素子及び前記第2のスイッチング素子の両方を非導通状態にする停止期間に、前記第1積分回路及び前記第2積分回路をリセット状態に固定するリセット生成部と
を備えることを特徴とする電流検出装置。
【請求項2】
前記リセット生成部は、連続した周期的に前記第1のスイッチング素子及び前記第2のスイッチング素子を交互に導通状態にする連続動作モードである場合に、前記第1のスイッチング素子が導通状態になる前に前記第1積分回路をリセットし、前記第1のスイッチング素子が導通状態になる期間をリセット解除状態にする第1リセット信号と、前記第2のスイッチング素子が導通状態になる前に前記第2積分回路をリセットし、前記第2のスイッチング素子が導通状態になる期間をリセット解除状態にする第2リセット信号とを生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の電流検出装置。
【請求項3】
前記リセット生成部は、前記第1のスイッチング素子を導通状態にする第1制御信号、及び前記第2のスイッチング素子を導通状態にする第2制御信号に基づいて、前記第1リセット信号及び前記第2リセット信号を生成する
ことを特徴とする請求項2に記載の電流検出装置。
【請求項4】
前記リセット生成部は、前記間欠動作モードの前記停止期間に、前記第1リセット信号をリセット状態にする第1リセットスイッチと、前記第2リセット信号をリセット状態にする第2リセットスイッチとを備える
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の電流検出装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電流検出装置と、
前記スイッチング部と、
前記電流検出装置が検出した電流値に基づいて、前記スイッチング部を制御する電源制御部と
を備えることを特徴とする電源装置。
【請求項6】
前記電源制御部は、
前記電流値が所定の電流値以下である場合に、前記間欠動作モードにする
ことを特徴とする請求項5に記載の電源装置。
【請求項7】
直列に接続された第1のスイッチング素子及び第2のスイッチング素子を有し、電源装置を動作させるスイッチング部に流れる電流を検出する電流検出方法であって、
リセット機能を有する第1積分回路が、前記第1のスイッチング素子に流れる電流を検出する第1のロゴスキーコイルの出力を積分して第1検出信号を出力する第1積分ステップと、
リセット機能を有する第2積分回路が、前記第2のスイッチング素子に流れる電流を検出する第2のロゴスキーコイルの出力を積分して第2検出信号を出力する第2積分ステップと、
検出処理部が、前記第1検出信号と前記第2検出信号とに基づいて、前記スイッチング部に流れる電流を検出する検出処理ステップと、
リセット生成部が、前記スイッチング部を間欠的に動作させる間欠動作モードである場合に、前記第1のスイッチング素子及び前記第2のスイッチング素子の両方を非導通状態にする停止期間に、前記第1積分回路及び前記第2積分回路をリセット状態に固定するリセット生成ステップと
を含むことを特徴とする電流検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流検出装置、電源装置、及び電流検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ロゴスキーコイルを使用した電流を検出する電流検出装置が知られている(特許文献1を参照)。このような電流検出装置では、ロゴスキーコイルの出力を積分して、電流を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】再公表WO2017/150726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した従来の電流検出装置では、正確に電流を検出するためには、電流の検出前に、積分回路をリセットする必要がある。従来の電流検出装置を、例えば、DC-DCコンバータなどのスイッチング部を備える電源装置に使用する場合には、スイッチングのサイクルごとに積分回路をリセットしており、スイッチング部の制御信号に基づいて、リセット信号を生成していた。
しかしながら、従来の電流検出装置では、例えば、電源装置が低負荷時にスイッチング部を間欠動作させる場合に、間欠により動作が停止している期間にリセットがかからずに、積分回路にオフセット電圧が生じて、検出する電流値の精度が低下することがあった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、スイッチング部を間欠動作させる場合であっても、高精度に電流を検出することができる電流検出装置、電源装置、及び電流検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明の一態様は、直列に接続された第1のスイッチング素子及び第2のスイッチング素子を有し、電源装置を動作させるスイッチング部に流れる電流を検出する電流検出装置であって、前記第1のスイッチング素子に流れる電流を検出する第1のロゴスキーコイルと、前記第2のスイッチング素子に流れる電流を検出する第2のロゴスキーコイルと、リセット機能を有し、前記第1のロゴスキーコイルの出力を積分して第1検出信号を出力する第1積分回路と、リセット機能を有し、前記第2のロゴスキーコイルの出力を積分して第2検出信号を出力する第2積分回路と、前記第1検出信号と前記第2検出信号とに基づいて、前記スイッチング部に流れる電流を検出する検出処理部と、前記スイッチング部を間欠的に動作させる間欠動作モードである場合に、前記第1のスイッチング素子及び前記第2のスイッチング素子の両方を非導通状態にする停止期間に、前記第1積分回路及び前記第2積分回路をリセット状態に固定するリセット生成部とを備えることを特徴とする電流検出装置である。
【0007】
また、本発明の一態様は、上記の電流検出装置において、前記リセット生成部は、連続した周期的に前記第1のスイッチング素子及び前記第2のスイッチング素子を交互に導通状態にする連続動作モードである場合に、前記第1のスイッチング素子が導通状態になる前に前記第1積分回路をリセットし、前記第1のスイッチング素子が導通状態になる期間をリセット解除状態にする第1リセット信号と、前記第2のスイッチング素子が導通状態になる前に前記第2積分回路をリセットし、前記第2のスイッチング素子が導通状態になる期間をリセット解除状態にする第2リセット信号とを生成することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の一態様は、上記の電流検出装置において、前記リセット生成部は、前記第1のスイッチング素子を導通状態にする第1制御信号、及び前記第2のスイッチング素子を導通状態にする第2制御信号に基づいて、前記第1リセット信号及び前記第2リセット信号を生成することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の一態様は、上記の電流検出装置において、前記リセット生成部は、前記間欠動作モードの前記停止期間に、前記第1リセット信号をリセット状態にする第1リセットスイッチと、前記第2リセット信号をリセット状態にする第2リセットスイッチとを備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の一態様は、上記に記載の電流検出装置と、前記スイッチング部と、前記電流検出装置が検出した電流値に基づいて、前記スイッチング部を制御する電源制御部とを備えることを特徴とする電源装置である。
【0011】
また、本発明の一態様は、上記の電源装置において、前記電源制御部は、前記電流値が所定の電流値以下である場合に、前記間欠動作モードにすることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の一態様は、直列に接続された第1のスイッチング素子及び第2のスイッチング素子を有し、電源装置を動作させるスイッチング部に流れる電流を検出する電流検出方法であって、リセット機能を有する第1積分回路が、前記第1のスイッチング素子に流れる電流を検出する第1のロゴスキーコイルの出力を積分して第1検出信号を出力する第1積分ステップと、リセット機能を有する第2積分回路が、前記第2のスイッチング素子に流れる電流を検出する第2のロゴスキーコイルの出力を積分して第2検出信号を出力する第2積分ステップと、検出処理部が、前記第1検出信号と前記第2検出信号とに基づいて、前記スイッチング部に流れる電流を検出する検出処理ステップと、リセット生成部が、前記スイッチング部を間欠的に動作させる間欠動作モードである場合に、前記第1のスイッチング素子及び前記第2のスイッチング素子の両方を非導通状態にする停止期間に、前記第1積分回路及び前記第2積分回路をリセット状態に固定するリセット生成ステップとを含むことを特徴とする電流検出方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、リセット機能を有する第1積分回路が、第1のロゴスキーコイルの出力を積分して第1検出信号を出力し、リセット機能を有する第2積分回路が、第2のロゴスキーコイルの出力を積分して第2検出信号を出力する。検出処理部が、第1検出信号と第2検出信号とに基づいて、スイッチング部に流れる電流を検出する。リセット生成部が、スイッチング部を間欠的に動作させる間欠動作モードである場合に、第1のスイッチング素子及び第2のスイッチング素子の両方を非導通状態にする停止期間に、第1積分回路及び第2積分回路をリセット状態に固定する。間欠動作モードの停止期間に、第1積分回路及び第2積分回路をリセット状態に固定するため、電流検出装置は、第1積分回路及び第2積分回路のオフセット電圧による影響を低減することができる。よって、電流検出装置は、スイッチング部を間欠動作させる場合であっても、高精度に電流を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態による電源装置の一例を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態による電流検出装置の一例を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態における積分回路の一例を示す回路図である。
【
図4】本実施形態による電源装置の動作モードの切り替え処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】本実施形態による電源装置の動作モードの切り替え処理及び電流検出処理を説明する図である。
【
図6】本実施形態による電流検出装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図7】本実施形態による電流検出装置の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態による電流検出装置、電源装置、及び電流検出方法について、図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、本実施形態による電源装置1の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、電源装置1は、スイッチング素子(21、22)と、ロゴスキーコイル(11、12)と、検出処理部13と、コンデンサ(14、16)と、コイル15と、抵抗(17、18、23、24)と、制御IC(Integrated Circuit)30とを備える。
【0017】
また、電源装置1は、例えば、DC-DCコンバータなどのスイッチング電源装置であり、電源供給線L1と、グランド線L2と、電源出力線L3とを有している。
電源供給線L1は、例えば、バッテリなどの直流電源から直流電力が供給される電源線であり、グランド線L2は、グラウンドに接地されている接地電源線である。また、電源出力線L3は、電源供給線L1に供給された直流電力を変換した直流電力を出力する出力線である。
【0018】
コンデンサ14は、電源供給線L1とグランド線L2との間に接続され、電源供給線L1とグランド線L2との間の直流電圧を平滑化する平滑コンデンサである。
スイッチング素子21(第1のスイッチング素子の一例)と、スイッチング素子22(第2のスイッチング素子の一例)とは、電源供給線L1とグランド線L2との間に直列に接続され、電源装置1を動作させるスイッチング部20を構成している。
【0019】
スイッチング素子21は、例えば、N型MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)であり、ソース端子がノードN1に、ドレイン端子が電源供給線L1に、ゲート端子(制御端子)が制御信号G1の信号線に、それぞれ接続されている。スイッチング素子21は、High(ハイ)側のスイッチング素子である。
【0020】
スイッチング素子22は、例えば、N型MOSFETであり、ソース端子がグランド線L2に、ドレイン端子がノードN1に、ゲート端子(制御端子)が制御信号G2の信号線に、それぞれ接続されている。スイッチング素子21は、Low(ロウ)側のスイッチング素子である。
スイッチング素子21とスイッチング素子22とは、後述するスイッチング部20を構成する。
【0021】
ロゴスキーコイル11(第1のロゴスキーコイルの一例)は、例えば、電源供給線L1からスイッチング素子21に電流が流れる経路に接続され、スイッチング素子21に流れる電流を検出する。
ロゴスキーコイル12(第2のロゴスキーコイルの一例)は、例えば、スイッチング素子22からグランド線L2に電流が流れる経路に接続され、スイッチング素子22に流れる電流を検出する。
【0022】
コイル15は、チョッパ回路に用いられるコイルであり、ノードN1と電源出力線L3との間に接続されている。
コンデンサ16は、電源出力線L3とグランド線L2との間に接続され、電源装置1が出力する直流電圧を平滑化する平滑コンデンサである。
なお、スイッチング部20(スイッチング素子21及びスイッチング素子22)と、コイル15と、コンデンサ16とは、降圧チョッパ回路として機能する。
【0023】
抵抗17及び抵抗18は、電源出力線L3とグランド線L2との間に直列に接続され、電源装置1の出力電圧を抵抗分圧したノードN2の電圧を、制御ICに供給する。抵抗17は、電源出力線L3とノードN2との間に接続され、抵抗18は、ノードN2とグランド線L2との間に接続されている。
【0024】
検出処理部13は、ロゴスキーコイル11の出力を積分した検出信号(第1検出信号)と、ロゴスキーコイル12の出力を積分した検出信号(第2検出信号)とに基づいて、スイッチング部20に流れる電流を検出する。検出処理部13は、検出した電流値を検出電流値IFBとして、制御IC30に出力する。なお、検出処理部13の構成の詳細については、
図2を参照して後述する。
【0025】
制御IC30は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を含むプロセッサなどのLSIであり、電源装置1を統括的に制御する。制御IC30は、ノードN2の電圧(検出電圧)と、上述した検出処理部13が検出した検出電流値IFBとに基づいて、スイッチング部20を制御する制御信号(G1、G2)を出力する。
【0026】
制御IC30が出力する制御信号G1は、抵抗23を介して、スイッチング素子21のゲート端子に供給される。また、制御IC30が出力する制御信号G2は、抵抗24を介して、スイッチング素子22のゲート端子に供給される。
また、制御IC30は、後述する積分回路40(40-1、40-2)のリセット信号を生成する。なお、制御IC30の構成の詳細については、
図2を参照して後述する。
【0027】
また、本実施形態において、制御IC30の一部と、ロゴスキーコイル11と、ロゴスキーコイル12と、検出処理部13とは、電流検出装置10に対応する。
次に、
図2を参照して、電流検出装置10の詳細な構成について説明する。
【0028】
図2は、本実施形態による電流検出装置10の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、電流検出装置10は、ロゴスキーコイル11と、ロゴスキーコイル12と、検出処理部13と、リセット生成部50とを備える。なお、リセット生成部50は、制御IC30の一部である。
【0029】
ロゴスキーコイル11は、スイッチング部20のHigh側のスイッチング素子21に流れる電流を検出するための出力を検出処理部13に供給する。また、ロゴスキーコイル12は、スイッチング部20のLow側のスイッチング素子22に流れる電流を検出するための出力を検出処理部13に供給する。
【0030】
検出処理部13は、積分回路40-1と、積分回路40-2と、加算器131とを備える。
なお本実施形態において、積分回路40-1と積分回路40-2とは、同一の構成であり、電源装置1(電流検出装置10)が備える任意の積分回路を示す場合、又は特に区別しない場合には、積分回路40として説明する。
【0031】
積分回路40-1(第1積分回路の一例)は、リセット機能を有し、ロゴスキーコイル11の出力を積分して検出信号(第1検出信号)を出力する。
また、積分回路40-2(第2積分回路の一例)は、リセット機能を有し、ロゴスキーコイル12の出力を積分して検出信号(第2検出信号)を出力する。
ここで、
図3を参照して、積分回路40の詳細な構成について説明する。
【0032】
図3は、本実施形態における積分回路40の一例を示す回路図である。
図3に示すように、積分回路40は、抵抗41と、オペアンプ42と、コンデンサ43と、スイッチ44とを備えている。
抵抗41は、ロゴスキーコイル11(12)の一端とオペアンプ42の反転入力端子との間に接続されている。また、コンデンサ43は、オペアンプ42の反転入力端子(ノードN5)と、オペアンプ42の出力端子(ノードN6)との間に接続されている。
【0033】
オペアンプ42は、抵抗41及びコンデンサ43が接続されることにより、積分回路として機能する。オペアンプ42は、反転入力端子に抵抗41を介してロゴスキーコイル11(12)の一端が接続され、非反転入力にロゴスキーコイル11(12)の他端が接続されている。オペアンプ42は、ロゴスキーコイル11(12)の出力を入力信号(IN)とし、ロゴスキーコイル11(12)の出力を積分した出力信号(OUT)を出力する。なお、積分回路40-1の出力信号(OUT)が上述した第1の検出信号に対応し、積分回路40-2の出力信号(OUT)が上述した第2の検出信号に対応する。
【0034】
スイッチ44は、コンデンサ43と並列に、オペアンプ42の反転入力端子(ノードN4)と、オペアンプ42の出力端子(ノードN5)との間に接続されている。スイッチ44は、積分回路40の出力電位をリセットするスイッチであり、例えば、制御信号Sによるパルス信号により導通状態が制御される。なお、スイッチ44は、積分回路40をリセットする際に、導通状態(オン状態)に制御される。
【0035】
なお、積分回路40は、制御信号Sにより、スイッチ44が非導通状態(オフ状態)に制御されると、積分回路として機能する。
また、制御信号Sは、例えば、上述したスイッチング素子21及びスイッチング素子22のスイッチングが停止している際に、積分回路40をリセットし、スイッチング素子21及びスイッチング素子22のスイッチングされている際に、積分回路40が動作するように制御される。ここで、積分回路40-1の制御信号Sは、High側のリセット信号RST_H(第1リセット信号)に対応し、積分回路40-2の制御信号Sは、Low側のリセット信号RST_L(第2リセット信号)に対応する。
【0036】
例えば、積分回路40-1は、リセット生成部50が生成したリセット信号RST_H(第1リセット信号)がLow状態である場合に、リセット状態になる。また、積分回路40-2は、リセット生成部50が生成したリセット信号RST_L(第2リセット信号)がLow状態である場合に、リセット状態になる。
【0037】
図2の説明に戻り、加算器131は、積分回路40-1が出力する第1検出信号と、積分回路40-2が出力する第2検出信号とを加算して、検出電流値(検出電流値IFB)を生成する。
【0038】
制御IC30は、バッファ回路31及びバッファ回路32と、制御部33と、インバータ回路51及びインバータ回路53と、抵抗52及び抵抗54と、リセットスイッチ55及びリセットスイッチ56とを備える。また、制御部33は、電源制御部331と、リセット制御部332とを備える。
なお、インバータ回路51及びインバータ回路53と、抵抗52及び抵抗54と、リセットスイッチ55及びリセットスイッチ56と、リセット制御部332とが、リセット生成部50に対応する。
【0039】
バッファ回路31は、例えば、スイッチング素子21のゲート端子を駆動するドライバ回路である。バッファ回路31は、制御部33が出力する制御信号S1に基づいて、スイッチング素子21を制御する制御信号G1を出力する。
【0040】
バッファ回路32は、例えば、スイッチング素子22のゲート端子を駆動するドライバ回路である。バッファ回路32は、制御部33が出力する制御信号S2に基づいて、スイッチング素子22を制御する制御信号G2を出力する。
【0041】
インバータ回路51は、例えば、積分回路40-2のリセット信号RST_Lを生成する反転回路である。インバータ回路51は、制御部33が出力する制御信号S1を論理反転したLow側のリセット信号RST_Lを生成する。インバータ回路51は、抵抗52を介して、積分回路40-2の制御信号Sの端子に、リセット信号RST_Lを供給する。
【0042】
抵抗52は、インバータ回路51の出力端子と、ノードN3との間に接続され、リセットスイッチ55が導通状態になった際に、インバータ回路51の出力に過剰な負荷が掛からないように電流を制限する。
【0043】
インバータ回路53は、例えば、積分回路40-1のリセット信号RST_Hを生成する反転回路である。インバータ回路53は、制御部33が出力する制御信号S2を論理反転したHigh側のリセット信号RST_Hを生成する。インバータ回路53は、抵抗54を介して、積分回路40-1の制御信号Sの端子に、リセット信号RST_Hを供給する。
【0044】
抵抗54は、インバータ回路53の出力端子と、ノードN4との間に接続され、リセットスイッチ56が導通状態になった際に、インバータ回路53の出力に過剰な負荷が掛からないように電流を制限する。
【0045】
リセットスイッチ55は、例えば、N型MOSFETであり、ソース端子がグランド線L2に、ドレイン端子がノードN3に、ゲート端子(制御端子)が制御部33の制御信号S3の信号線に、それぞれ接続されている。リセットスイッチ55は、導通状態になった場合に、リセット信号RST_HをLow状態に固定し、積分回路40-1をリセット状態に固定する。
【0046】
リセットスイッチ56は、例えば、N型MOSFETであり、ソース端子がグランド線L2に、ドレイン端子がノードN4に、ゲート端子(制御端子)が制御部33の制御信号S4の信号線に、それぞれ接続されている。リセットスイッチ56は、導通状態になった場合に、リセット信号RST_LをLow状態に固定し、積分回路40-2をリセット状態に固定する。
【0047】
電源制御部331は、電流検出装置10が検出した電流値(検出電流値IFB)に基づいて、スイッチング部20を制御する。電源制御部331は、例えば、検出電流値IFBと、ノードN2の電圧(出力電圧値に対応)とに基づいて、出力電圧(ノードN2)が所の電圧になるように、スイッチング部20をスイッチングする制御信号S1及び制御信号S2を生成する。電源制御部331は、スイッチング素子21を導通状態にする制御信号S1を生成するとともに、スイッチング素子22を導通状態にする制御信号S2を生成する。
【0048】
また、電源制御部331は、スイッチング部20を制御する際に、通常動作モードと、間欠動作モードとを有している。ここで、通常動作モードとは、連続した周期的にスイッチング素子21及びスイッチング素子22を交互に導通状態にする動作モードであり、間欠動作モードとは、スイッチング部20を間欠的に動作させる動作モードである。電源制御部331は、電流検出装置10が検出した検出電流(検出電流値IFB)が、所定の電流値Ith以下である場合に、間欠動作モードにより、スイッチング部20のスイッチングを制御する。また、電源制御部331は、電流検出装置10が検出した検出電流(検出電流値IFB)が、所定の電流値Ithより大きい場合に、連続動作モードにより、スイッチング部20のスイッチングを制御する。
【0049】
リセット制御部332は、リセット信号RST_H及びリセット信号RST_Lを制御する。リセット制御部332は、間欠動作モードである場合に、スイッチング素子21及びスイッチング素子22の両方を非導通状態にする停止期間に、積分回路40-1及び積分回路40-2をリセット状態に固定する。リセット制御部332は、間欠動作モードの停止期間に、制御信号S3及び制御信号S4をHigh状態にして、リセットスイッチ55及びリセットスイッチ56を導通状態にする。
【0050】
また、リセット制御部332は、通常動作モードである場合に、制御信号S3及び制御信号S4をLow状態にして、リセットスイッチ55及びリセットスイッチ56を非導通状態にする。これにより、リセット信号RST_H及びリセット信号RST_Lは、制御信号S2及び制御信号S1により制御される。
【0051】
このように、リセット生成部50は、スイッチング素子21を導通状態にする制御信号S1(第1制御信号)、及びスイッチング素子22を導通状態にする制御信号S2(第2制御信号)に基づいて、リセット信号RST_H及びリセット信号RST_Lを生成する。
【0052】
次に、図面を参照して、本実施形態による電源装置1及び電流検出装置10の動作について説明する。
図4は、本実施形態による電源装置1の動作モードの切り替え処理の一例を示すフローチャートである。
【0053】
図4に示すように、電源装置1の電源制御部331は、まず、検出電流が所定の電流値Ith以下であるか否かを判定する(ステップS101)。電源制御部331は、電流検出装置10が検出した検出電流値IFBが、所定の電流値Ith以下であるか否かを判定する。電源制御部331は、検出電流値IFBが、所定の電流値Ith以下である場合(ステップS101:YES)に、処理をステップS102に進める。また、電源制御部331は、検出電流値IFBが、所定の電流値Ithより大きい場合(ステップS101:NO)に、処理をステップS103に進める。
【0054】
ステップS102において、電源制御部331は、間欠動作モードに変更する。電源制御部331は、間欠動作モードに変更した後、スイッチング部20を間欠的に動作させる制御を行う。ステップS102の処理後に、処理をステップS101に戻す。
【0055】
また、ステップS103において、電源制御部331は、連続動作モードに変更する。電源制御部331は、連続動作モードに変更した後、連続した周期的にスイッチング素子21及びスイッチング素子22を交互に導通状態にする制御を行う。ステップS103の処理後に、処理をステップS101に戻す。
【0056】
次に、
図5を参照して、電源装置1の動作モードの切り替え処理及び電流検出装置10の電流検出処理について説明する。
図5は、本実施形態による電源装置1の動作モードの切り替え処理及び電流検出処理を説明する図である。
【0057】
図5(a)は、連続動作モードにおける電流検出装置10の検出電流の一例を示している。連続動作モードにおいて、電源制御部331は、スイッチング素子21及びスイッチング素子22を交互に導通状態にする制御を行うことで、コイル15を含む降圧チョッパ回路を動作させる。
【0058】
図5(a)において、波形IHの部分が、スイッチング素子21が導通状態における電流検出装置10の電流検出波形であり、ロゴスキーコイル11により検出された部分を示している。ここでの波形IHの部分は、積分回路40-1により生成された第1検出信号の波形を示している。
また、波形ILの部分が、スイッチング素子22が導通状態における電流検出装置10の電流検出波形であり、ロゴスキーコイル12により検出された部分を示している。ここでの波形ILの部分は、積分回路40-2により生成された第2検出信号の波形を示している。
【0059】
電流検出装置10の加算器131は、積分回路40-1の第1検出信号と、積分回路40-2の第2検出信号とを加算して、
図5(a)に示すような検出電流波形(電流値IFB)を出力する。
なお、
図5(a)に示す例では、検出電流(検出電流値IFB)が、所定の電流値Ithより大きいため、電源制御部331は、連続動作モードによる制御を行っている。
【0060】
また、
図5(b)は、間欠動作モードにおける電流検出装置10の検出電流の一例を示している。間欠動作モードにおいて、電源制御部331は、スイッチング素子21及びスイッチング素子22を交互に導通状態にする制御を停止期間TR1の間停止し、間欠的に動作させる。
なお、
図5(b)に示す例では、検出電流(検出電流値IFB)が、所定の電流値Ith以下であるため、電源制御部331は、間欠動作モードによる制御を行っている。
【0061】
次に、
図6及び
図7を参照して、電流検出装置10の動作について説明する。
図6は、本実施形態による電流検出装置10の動作の一例を示すフローチャートである。また、
図7は、本実施形態による電流検出装置10の動作の一例を示すタイミングチャートである。ここでは、電流検出装置10における積分回路40のリセット信号の生成処理について説明する。
【0062】
図6に示すように、電流検出装置10のリセット生成部50は、まず、間欠動作モードの停止期間TR1であるか否かを判定する(ステップS201)。リセット生成部50のリセット制御部332は、間欠動作モードの停止期間TR1である場合(ステップS201:YES)に、処理をステップS202に進める。また、リセット制御部332は、間欠動作モードの停止期間TR1でない場合(ステップS201:NO)に、処理をステップS203に進める。
【0063】
ステップS202において、リセット制御部332は、積分回路40をリセット状態に固定する。すなわち、リセット制御部332は、制御信号S3をHigh状態にして、リセットスイッチ55を導通状態にして、リセット信号RST_HをLow状態に固定する。また、リセット制御部332は、制御信号S4をHigh状態にして、リセットスイッチ56を導通状態にして、リセット信号RST_LをLow状態に固定する。ステップS202の処理後に、リセット制御部332は、処理をステップS201に戻す。
【0064】
また、ステップS203において、リセット生成部50は、スイッチングの制御信号に基づいて、積分回路のリセット信号を生成する。すなわち、リセット制御部332が出力する制御信号S2を、インバータ回路53が論理反転して、リセット信号RST_Hを生成する。また、リセット制御部332が出力する制御信号S1を、インバータ回路51が論理反転して、リセット信号RST_Lを生成する。ステップS203の処理後に、リセット制御部332は、処理をステップS201に戻す。
【0065】
また、
図7において、波形W1~波形W10は、上から順に、スイッチング部20のHigh側の電流値、High側の制御信号S1、リセット信号RST_H、High側の積分回路40-1の出力信号、制御信号S3、スイッチング部20のLow側の電流値、Low側の制御信号S2、リセット信号RST_L、Low側の積分回路40-2の出力信号、及び制御信号S4の波形を示している。また、横軸は、時間を示している。
また、
図7に示す例では、間欠動作モードにおける電流検出装置10の動作を示している。
【0066】
時刻T1より以前において、スイッチング部20が動作している状態を示している。この場合、積分回路40-1のリセット信号RST_Hは、Low側のスイッチング素子22を制御するLow側の制御信号S2を、インバータ回路53により反転して生成される(波形W2及び波形W7を参照)。また、Low側の制御信号S2がHigh状態である場合に、Low側のスイッチング素子22を導通状態にするため、積分回路40-2は、波形W9に示すような出力信号を出力する(波形W7及び波形W9を参照)。
【0067】
また、積分回路40-2のリセット信号RST_Lは、High側のスイッチング素子21を制御するHigh側の制御信号S1を、インバータ回路51により反転して生成される(波形W2及び波形W8を参照)。また、High側の制御信号S1がHigh状態である場合に、High側のスイッチング素子21を導通状態にするため、積分回路40-1は、波形W4に示すような出力信号を出力する(波形W3及び波形W4を参照)。
また、この場合、リセット制御部332は、制御信号S3及び制御信号S4をLow状態にして、リセットスイッチ55及びリセットスイッチ56を非導通状態にする(波形W5及び波形W10を参照)。
【0068】
また、時刻T1以降の停止期間TR1において、電源制御部331は、High側の制御信号S1及びLow側の制御信号S2をLow状態にする(波形W2及び波形W7を参照)。この場合、インバータ回路51及びインバータ回路53は、制御信号S1及び制御信号S2を論理反転して、波形W80及び波形W30に示すようなHigh状態を出力する。しかしながら、この場合、リセット制御部332は、制御信号S3及び制御信号S4をHigh状態にして、リセットスイッチ55及びリセットスイッチ56を導通状態にする(波形W5及び波形W10を参照)。これにより、リセット信号RST_H及びリセット信号RST_Lは、Low状態に固定され、積分回路40-1及び積分回路40-2がリセット状態になる。そのため、積分回路40-1及び積分回路40-2の出力信号は、検出電流値“0”の状態を維持される(波形W4及び波形W9を参照)。
【0069】
なお、
図7において、波形W40及び波形W90は、比較のため、本実施形態のリセット生成部50を備えない場合の従来技術の場合の積分回路40-1及び積分回路40-2の出力信号を示している。この場合、間欠動作モードの停止期間TR1において、リセット信号RST_L及びリセット信号RST_Hが、波形W30及び波形W80に示すように、High状態になるため、積分回路40-1及び積分回路40-2がリセット状態にならない。そのため、積分回路40-1及び積分回路40-2の出力信号は、波形W40及び波形W90に示すように、徐々に上昇して、オフセット電圧が生じるため、次回の電流検出において、スイッチング部20に流れる電流を正確に検出することができない。
【0070】
これに対して、本実施形態による電流検出装置10は、リセット生成部50が、停止期間TR1において、積分回路40-1及び積分回路40-2がリセット状態に固定するため、次回の電流検出において、スイッチング部20に流れる電流を正確に検出することができる。
【0071】
以上説明したように、本実施形態による電流検出装置10は、直列に接続されたスイッチング素子21(第1のスイッチング素子)及びスイッチング素子22(第2のスイッチング素子)を有し、電源装置1を動作させるスイッチング部20に流れる電流を検出する電流検出装置10であって、ロゴスキーコイル11(第1のロゴスキーコイル)と、ロゴスキーコイル12(第2のロゴスキーコイル)と、積分回路40-1(第1積分回路)と、積分回路40-2(第2積分回路)と、検出処理部13と、リセット生成部50とを備える。ロゴスキーコイル11は、スイッチング素子21に流れる電流を検出する。ロゴスキーコイル12は、スイッチング素子22に流れる電流を検出する。積分回路40-1は、リセット機能を有し、ロゴスキーコイル11の出力を積分して第1検出信号を出力する。積分回路40-2は、リセット機能を有し、ロゴスキーコイル12の出力を積分して第2検出信号を出力する。検出処理部13は、第1検出信号と第2検出信号とに基づいて、スイッチング部20に流れる電流を検出する。リセット生成部50は、スイッチング部20を間欠的に動作させる間欠動作モードである場合に、スイッチング素子21及びスイッチング素子22の両方を非導通状態にする停止期間に、積分回路40-1及び積分回路40-2をリセット状態に固定する。
【0072】
これにより、本実施形態による電流検出装置10は、リセット機能を有する積分回路40-1が、ロゴスキーコイル11の出力を積分して第1検出信号を出力し、リセット機能を有する積分回路40-2が、ロゴスキーコイル12の出力を積分して第2検出信号を出力する。検出処理部13が、第1検出信号と第2検出信号とに基づいて、スイッチング部20に流れる電流を検出する。リセット生成部50が、スイッチング部20を間欠的に動作させる間欠動作モードである場合に、スイッチング素子21及びスイッチング素子22の両方を非導通状態にする停止期間TR1に、積分回路40-1及び積分回路40-2をリセット状態に固定する。間欠動作モードの停止期間に、積分回路40-1及び積分回路40-2をリセット状態に固定するため、電流検出装置10は、積分回路40-1及び積分回路40-2のオフセット電圧による影響を低減することができる(
図7の波形W4及び波形W9を参照)。よって、本実施形態による電流検出装置10は、スイッチング部20を間欠動作させる場合であっても、高精度に電流を検出することができる。
【0073】
また、本実施形態では、リセット生成部50は、連続動作モードである場合に、スイッチング素子21が導通状態になる前に積分回路40-1をリセットし、スイッチング素子21が導通状態になる期間をリセット解除状態にするリセット信号RST_H(第1リセット信号)と、スイッチング素子22が導通状態になる前に積分回路40-2をリセットし、スイッチング素子22が導通状態になる期間をリセット解除状態にするリセット信号RST_L(第2リセット信号)とを生成する。ここで、連続動作モードは、連続した周期的にスイッチング素子21及びスイッチング素子22を交互に導通状態にする動作モードである。
【0074】
これにより、本実施形態による電流検出装置10は、連続動作モードにおいて、積分回路40-1及び積分回路40-2を適切にリセットすることができ、高精度に電流を検出することができる。
【0075】
また、本実施形態では、リセット生成部50は、スイッチング素子21を導通状態にする制御信号S1(第1制御信号)、及びスイッチング素子22を導通状態にする制御信号S2(第2制御信号)に基づいて、リセット信号RST_H及びリセット信号RST_Lを生成する。
これにより、本実施形態による電流検出装置10は、制御信号S1及び制御信号S2を利用した簡易な手法により、リセット信号RST_H及びリセット信号RST_Lを適切に生成することができる。
【0076】
また、本実施形態では、リセット生成部50は、間欠動作モードの停止期間TR1に、リセット信号RST_Hをリセット状態(例えば、Low状態)にするリセットスイッチ55(第1リセットスイッチ)と、信号RST_Lをリセット状態(例えば、Low状態)にするリセットスイッチ56(第2リセットスイッチ)とを備える。
これにより、本実施形態による電流検出装置10は、リセットスイッチ55及びリセットスイッチ56を利用した簡易な構成により、リセット信号RST_H及びリセット信号RST_Lを適切に、リセット状態に固定することができる。
【0077】
また、本実施形態による電源装置1は、上述した電流検出装置10と、スイッチング部20と、電流検出装置10が検出した電流値に基づいて、スイッチング部20を制御する電源制御部331とを備える。
これにより、本実施形態による電源装置1は、上述した電流検出装置10と同様の効果を奏し、スイッチング部20を間欠動作させる場合であっても、高精度に電流を検出することができる。また、本実施形態による電源装置1は、スイッチング部20を間欠動作させる場合に、高精度に電流を検出することができるため、出力電圧の出力精度を向上させることができる。
【0078】
また、本実施形態では、電源制御部331は、電流値が所定の電流値以下である場合に、間欠動作モードにする。
これにより、本実施形態による電源装置1は、低負荷時に間欠動作モードにすることで、出力電圧の出力精度を向上させることができる。
【0079】
また、本実施形態による電流検出方法は、直列に接続されたスイッチング素子21及びスイッチング素子22を有し、電源装置1を動作させるスイッチング部20に流れる電流を検出する電流検出方法であって、第1積分ステップと、第2積分ステップと、検出処理ステップと、リセット生成ステップとを含む。第1積分ステップにおいて、リセット機能を有する積分回路40-1が、スイッチング素子21に流れる電流を検出するロゴスキーコイル11の出力を積分して第1検出信号を出力する。第2積分ステップにおいて、リセット機能を有する積分回路40-2が、スイッチング素子22に流れる電流を検出するロゴスキーコイル12の出力を積分して第2検出信号を出力する。検出処理ステップにおいて、検出処理部13が、第1検出信号と第2検出信号とに基づいて、スイッチング部20に流れる電流を検出する。リセット生成ステップにおいて、リセット生成部50が、スイッチング部20を間欠的に動作させる間欠動作モードである場合に、スイッチング素子21及びスイッチング素子22の両方を非導通状態にする停止期間に、積分回路40-1及び積分回路40-2をリセット状態に固定する。
これにより、本実施形態による電流検出方法は、上述した電流検出装置10と同様の効果を奏し、スイッチング部20を間欠動作させる場合であっても、高精度に電流を検出することができる。
【0080】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上記の実施形態において、電源装置1が、降圧チョッパ回路を用いた電源装置である例を説明したが、これに限定されるものではなく、直列に接続された第1のスイッチング素子及び第2のスイッチング素子を有するスイッチング部を備え、間欠動作を行うものであれば、他の方式の電源装置であってもよい。
【0081】
また、上記の実施形態において、電源制御部331は、電流検出装置10が検出した検出電流値をそのまま使用する例を説明したが、これに限定されるものではなく、所定の期間における検出電流値の平均値や移動平均の値などを用いるようにしてもよい。
【0082】
また、上記の実施形態において、積分回路40のリセット信号が、Low状態の場合に、リセット状態になる例を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、High状態の場合に、リセット状態になるようにしてもよい。また、リセット生成部50のリセット信号を生成する回路などの構成は、上記の実施形態に限定されるものではなく、他の手法(回路)によりリセット信号を生成するようにしてもよい。
【0083】
なお、上述した電源装置1が備える各構成は、内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した電源装置1が備える各構成の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述した電源装置1が備える各構成における処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0084】
また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD-ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。
【0085】
また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部又は外部に設けられた記録媒体も含まれる。なお、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後に電源装置1が備える各構成で合体される構成や、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0086】
また、上述した機能の一部又は全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。上述した各機能は個別にプロセッサ化してもよいし、一部、又は全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、又は汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【符号の説明】
【0087】
1 電源装置
10 電流検出装置
11、12 ロゴスキーコイル
13 検出処理部
14、16、43 コンデンサ
17、18、23、24、41、52、54 抵抗
20 スイッチング部
21、22 スイッチング素子
30 制御IC
31、32 バッファ回路
33 制御部
40、40-1、40-2 積分回路
42 オペアンプ
44 スイッチ
50 リセット生成部
51、53 インバータ回路
55、56 リセットスイッチ
131 加算器
331 電源制御部
332 リセット制御部