(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149233
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】外部接続装置
(51)【国際特許分類】
H01R 12/91 20110101AFI20220929BHJP
【FI】
H01R12/91
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021051292
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000131326
【氏名又は名称】株式会社シグマ
(72)【発明者】
【氏名】高橋 徹
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AA01
5E223AA16
5E223AB01
5E223AB21
5E223AB26
5E223AC21
5E223AC23
5E223BA01
5E223BA07
5E223BB12
5E223CA21
5E223CB24
5E223CB25
5E223CD01
5E223DA02
5E223DB22
(57)【要約】
【課題】
少なくとも挿抜方向及び挿抜方向に垂直な平面方向への複数のプラグの移動の自由度を確保し、複数のプラグを同時に挿抜する際の挿抜性を向上し、基板におけるプラグ及びレセプタクルの実装部分の破損を防止することができる本体装置に電気的に接続するための複数のプラグを有する外部接続装置を提供する。
【解決手段】
本発明に係る外部接続装置は、第1のプラグ、第1のプラグ実装基板及び第1のプラグ実装基板保持部材からなる第1の可動プラグユニットと、第2のプラグ、第2のプラグ実装基板及び第2のプラグ実装基板保持部材からなる第2の可動プラグユニットは、第1の弾性部材及び第2の弾性部材の弾性変形によりプラグケースに対して少なくとも第1のプラグ又は第2のプラグの挿抜方向及びプラグの挿抜方向に対して垂直な平面方向に互いに独立して可動であるように連結されていることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体装置に電気的に接続するための複数のプラグを有する外部接続装置であって、
プラグケースと、
第1のプラグと、
前記第1のプラグを直接実装する第1のプラグ実装基板と、
前記第1のプラグ実装基板を保持する第1のプラグ実装基板保持部材と、
前記第1のプラグ実装基板保持部材を前記プラグケースの内側に連結する第1の弾性部材と、
第2のプラグと、
前記第2のプラグを直接実装する第2のプラグ実装基板と、
前記第2のプラグ実装基板を保持する第2のプラグ実装基板保持部材と、
前記第2のプラグ実装基板保持部材を前記プラグケースの内側に連結する第2の弾性部材とを有し、
前記第1のプラグ、前記第1のプラグ実装基板及び前記第1のプラグ実装基板保持部材からなる第1の可動プラグユニットと、前記第2のプラグ、前記第2のプラグ実装基板及び前記第2のプラグ実装基板保持部材からなる第2の可動プラグユニットは、前記第1の弾性部材及び前記第2の弾性部材の弾性変形により前記プラグケースに対して少なくとも前記第1のプラグ又は前記第2のプラグの挿抜方向及びプラグの挿抜方向に対して垂直な平面方向に互いに独立して可動であるように連結されていることを特徴とする外部接続装置。
【請求項2】
前記第1のプラグ実装基板保持部材及び前記第2のプラグ実装基板保持部材にそれぞれ形成された突起部を前記第1の弾性部材及び前記第2の弾性部材にそれぞれ形成された貫通穴に挿入することにより、前記第1のプラグ実装基板保持部材及び前記第2のプラグ実装基板保持部材と前記第1の弾性部材及び前記第2の弾性部材とを連結することを特徴とする請求項1に記載の外部接続装置。
【請求項3】
前記プラグケースの内側に前記第1の弾性部材の外形部を嵌合するための第1の凹部及び前記第2の弾性部材の外形部を嵌合するための第2の凹部を形成し、
前記第1の弾性部材及び前記第2の弾性部材は前記プラグケースの上面及び下面によりそれぞれ挟持されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の外部接続装置。
【請求項4】
前記第1のプラグ及び前記第2のプラグの周囲に前記プラグケースの貫通穴との隙間を埋めるための緩衝部材を設けることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の外部接続装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体装置に装着可能な外部接続装置に関し、特に、本体装置に電気的に接続するための複数のプラグを有する外部接続装置に関する。
【0002】
より具体的には、本発明の外部接続装置は、本体装置に機能を追加するためのものであって、本体装置に対して複数のプラグにより電気的に接続される。また、本発明の外部接続装置の複数のプラグは、本体装置の複数のレセプタクルに同時に挿入され、本体装置との通信や電源供給などに用いられる。
【背景技術】
【0003】
従来、本体装置に機能を追加するため外部接続装置が知られている。たとえば、本体装置であるカメラ本体にEVF(電子ビューファインダー)の機能を追加する外部接続装置である外付けEVFが知られている。
【0004】
EVFはカメラ本体に設けられた撮像素子により映像をリアルタイムに取得し、ファインダー内のモニタに映像や設定情報を表示する。ユーザーはEVFのファインダー内の光学系でモニタを観察することができる。
【0005】
ユーザーは撮像素子によりリアルタイムに取得された映像をカメラ本体に設けられた背面モニタによっても観察することができる。したがってユーザーのカメラ本体の使用方法によってはEVFがカメラ本体に必ずしも内蔵されていなければならないということではない。また、EVFの内蔵はカメラ本体を大型化するため、必要な場合にのみEVFを装着したいというユーザーの要望がある。
【0006】
ところで、外付けEVFのような外部接続装置は、本体装置と通信や電源供給などを行う必要がある。そのため、外部接続装置には本体装置への電気的な接続が可能なプラグが設けられている。さらに、音声・映像信号や電源供給などの多種多様な電気的な接続が必要な外付けEVFのような外部接続装置ではプラグを複数有している場合も多い。この場合には、反対にカメラ本体には外部接続装置の複数のプラグと接続するための複数のレセプタクルが設けられている。
【0007】
外部接続装置の本体装置への装着時において外部接続装置の複数のプラグが同時に本体装置の複数のレセプタクルにそれぞれ挿入される機構とすることが好ましい。これにより外部接続装置及び本体装置を、ユーザーの利便性が高い、シンプルな設計とすることができる。
【0008】
このような外部接続装置と同様に、単一又は複数のプラグを本体装置に電気的に接続するための課題の解決を目的として、次の発明が特許文献等に開示されている。
【0009】
特許文献1には、1のケースに種類の異なる複数のコネクタを挿抜方向を揃えて設けても容易に携帯電話機等携帯端末側の相手コネクタに挿入できるコネクタ有する中継用コネクタ(アダプタ)の発明が開示されている。
【0010】
特許文献1に開示された発明では、特に、1のケースに種類の異なる複数のコネクタを挿抜方向を揃えて設けたコネクタにおいて、1のコネクタを挿抜方向に移動自在にケースに取り付けると共に、1のコネクタを挿入方向に常時付勢し他のコネクタより挿入方向前方へ押し出す弾性部材を設けたことにより、本来最後に挿入される1のコネクタを他のコネクタより先に相手コネクタに嵌合できることとし、1のケースに種類の異なる複数のコネクタを挿抜方向を揃えて設けたコネクタの携帯電話機等携帯端末側の相手コネクタへの挿入が容易に行えることができる。
【0011】
特許文献2には、デジタルカメラ、携帯電話、デジタルビデオカメラ等の電子機器側に設けたコネクタと、充電器等のクレードル側に設けたコネクタとの間を結合する際に、一方のコネクタに前後左右に移動するための自由度を持たせて、コネクタ同士の結合の位置ずれを吸収するためのフローティング構造を有するコネクタの発明が開示されている。
【0012】
特許文献2に開示された発明では、特に、デジタルカメラ等のコネクタとクレードル側に設けたコネクタとの間を結合する場合の一方のコネクタに、コネクタと他のコネクタとの結合を解除したときの弾性部材の復帰力によりコネクタを元の位置に戻すようにしたコネクタを採用するフローティング構造により、結合の際には誤差を吸収するために一定範囲で自由に動くことができ、かつ、結合が解除されているときには中心位置に戻るセンタリング構造を持ったコネクタを提供することができる。
【0013】
特許文献3には、複数本の接続ケーブルのプラグボディが個別にまたはまとめて嵌められる少なくとも1個の嵌合部を備え、各嵌合部は、嵌められるプラグボディの一対の外壁面にそれぞれ隙間を介して対向する互いに平行な一対の内壁面を備え、各隙間に、平行な一対の外面を有する弾性体が配置され、各弾性体の一方の外面が、当該外面に対向する、プラグボディの外壁面又は嵌合部の内壁面に固着される、複数本の接続ケーブルと、複数本の接続ケーブルのプラグボディを一体的に保持するアタッチメントとを含むケーブルユニットの発明が開示されている。
【0014】
特許文献3に開示された発明では、特に、アタッチメントの内壁面とプラグボディの外壁面との間の隙間に配置された弾性体の弾性変形により電子機器に対する複数本の接続ケーブルの挿抜性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2007-115554号公報
【特許文献2】特開2005-129453号公報
【特許文献3】特開2019-050077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、特許文献等に開示された発明には次の課題がある。
【0017】
特許文献1に開示された発明には装置を小型化できないという課題がある。特許文献1の中継用コネクタ(アダプタ)の発明では、挿抜方向(前後方向)に移動自在にケースに取り付けられたプラグとプリント配線基板とをリード線で接続する必要がある。リード線の配置スペースは、プラグの移動距離以上の弛みや、プラグの移動時に大きく変化する形状を考慮して大きく設計されなければならない。これにより、装置の小型化が妨げられる。
【0018】
また、特許文献1に開示された発明にはプラグの移動の自由度が挿抜方向のみであるという課題がある。特許文献1の中継用コネクタ(アダプタ)の発明では、挿抜方向に対して垂直な平面方向等へのプラグの自由度がなく、複数のプラグの相互の位置ズレをすべて方向で吸収することはできない。
【0019】
特許文献2に開示された発明には複数のプラグを同時に挿入することについて考慮されていないという課題がある。特許文献2のフローティング構造を有するコネクタの発明では、単一のプラグに発生する位置ズレを吸収するのみで、複数のプラグに同時に発生する位置ズレを吸収することが考慮されていない。
【0020】
特許文献3に開示された発明にはプラグの移動の自由度が並進動作や回転動作のみであるという課題がある。特許文献3のアタッチメントとを含むケーブルユニットの発明では、挿抜方向等へのプラグの自由度がなく、複数のプラグの相互の位置ズレをすべて方向で吸収することはできない。
【0021】
また、特許文献3に開示された発明にはプラグの外周に設けられた弾性部材の弾性変形の自由度が制限されるという課題がある。特許文献3のアタッチメントとを含むケーブルユニットの発明では、プラグの自由度は弾性体の弾性変形によるが、弾性体はプラグの外周等に接着されているため、接着により弾性体の本来の弾性変形を十分に発揮することができない。
【0022】
上記の特許文献に開示された発明には複数のプラグの相互の微小な位置ズレが考慮されていないという共通の課題がある。
【0023】
プラグをはんだにより基板に直接実装する場合には、プラグの実装位置のズレや浮きにより複数のプラグの相互に微小な位置ズレが発生してしまう。また、プラグやこれに関係する部品の製造誤差により複数のプラグの相互に微小な位置ズレが発生してしまうこともある。
【0024】
上記の特許文献に開示された発明では、複数のプラグを同時に接続する場合に複数のプラグの相互の微小な位置ズレを吸収することができず、いずれかのプラグについてこれと嵌合するレセプタクルとの位置が合わないおそれがある。位置ズレが微小な量であったとしてもプラグとレセプタクルとの位置が合わない場合には、プラグをそもそもレセプタクルに挿入することができない、摩擦抵抗により挿抜性が悪化するという問題が発生する。さらに、複数のプラグの相互の微小な位置ズレが発生したまま無理にプラグをレセプタクルに挿入した場合には、基板におけるプラグ又はレセプタクルの実装部分に過度な負担がかかり、この実装部分が破損してしまうおそれがある。
【0025】
本発明は、以上の課題の解決を目的とし、複数のプラグの相互に発生する微小な位置ズレを吸収するための少なくとも挿抜方向及び挿抜方向に垂直な平面方向への複数のプラグの移動の自由度を確保し、複数のプラグを同時に挿抜する際の挿抜性を向上し、基板におけるプラグ及びレセプタクルの実装部分の破損を防止することを目的とする。また、同時に複数のプラグを内蔵するプラグケースユニット部の小型化を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
上記の課題を解決するため、本発明に係る外部接続装置の第1の発明は、本体装置に電気的に接続するための複数のプラグを有する外部接続装置であって、プラグケースと、第1のプラグと、前記第1のプラグを直接実装する第1のプラグ実装基板と、前記第1のプラグ実装基板を保持する第1のプラグ実装基板保持部材と、前記第1のプラグ実装基板保持部材を前記プラグケースの内側に連結する第1の弾性部材と、第2のプラグと、前記第2のプラグを直接実装する第2のプラグ実装基板と、前記第2のプラグ実装基板を保持する第2のプラグ実装基板保持部材と、前記第2のプラグ実装基板保持部材を前記プラグケースの内側に連結する第2の弾性部材とを有し、前記第1のプラグ、前記第1のプラグ実装基板及び前記第1のプラグ実装基板保持部材からなる第1の可動プラグユニットと、前記第2のプラグ、前記第2のプラグ実装基板及び前記第2のプラグ実装基板保持部材からなる第2の可動プラグユニットは、前記第1の弾性部材及び前記第2の弾性部材の弾性変形により前記プラグケースに対して少なくとも前記第1のプラグ又は前記第2のプラグの挿抜方向及びプラグの挿抜方向に対して垂直な平面方向に互いに独立して可動であるように連結されていることを特徴とする。
【0027】
本発明に係る外部接続装置の第2の発明は、前記第1のプラグ実装基板保持部材及び前記第2のプラグ実装基板保持部材にそれぞれ形成された突起部を前記第1の弾性部材及び前記第2の弾性部材にそれぞれ形成された貫通穴に挿入することにより、前記第1のプラグ実装基板保持部材及び前記第2のプラグ実装基板保持部材と前記第1の弾性部材及び前記第2の弾性部材とを連結することを特徴とする。
【0028】
本発明に係る外部接続装置の第3の発明は、前記プラグケースの内側に前記第1の弾性部材の外形部を嵌合するための第1の凹部及び前記第2の弾性部材の外形部を嵌合するための第2の凹部を形成し、前記第1の弾性部材及び前記第2の弾性部材は前記プラグケースの上面及び下面によりそれぞれ挟持されていることを特徴とする。
【0029】
本発明に係る外部接続装置の第4の発明は、前記第1のプラグ及び前記第2のプラグの周囲に前記プラグケースの貫通穴との隙間を埋めるための緩衝部材を設けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、複数のプラグを同時に挿抜する場合に、複数のプラグの相互に発生する微小な位置ズレを吸収し、複数のプラグの挿抜性を向上させ、基板におけるプラグ及びレセプタクルの実装部分の破損を防止し、複数のプラグを内蔵するプラグケースユニット部の小型化を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図2】外付けEVFとカメラ本体の装着の様子を示す斜視図である。
【
図3B】プラグケース部を構成する部品を示す分解斜視図である。
【
図4A】可動プラグユニットA、Bを示す斜視図である。
【
図4B】可動プラグユニットA、Bを構成する部品を示す分解斜視図である。
【
図6A】弾性部材を前方から見た様子を示す斜視図である。
【
図6B】弾性部材を後方から見た様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を用いて本発明の実施例について詳細に説明する。但し、本発明を含むシステムの全体又は一部であっても本発明に直接関係しない部分については詳細な説明を省略する。
【0033】
本実施例は、本発明の外部接続装置の実施の形態に係る外付けEVFである。なお、本発明の実施の形態は本実施例に限定されない。
【0034】
図1は外付けEVFを示す斜視図である。外付けEVF200はカメラ本体へ電子ビューファインダー(EVF)の機能を追加する。一方でこの機能が不要のときにはカメラ本体から取り外すことができる。
【0035】
図2は外付けEVFとカメラ本体の装着の様子を示す斜視図である。外付けEVF200はカメラ本体100に機械的に接続するとともに電気的に接続する。電気的な接続によりカメラ本体100から外付けEVFへ電源を供給し、映像信号や制御信号を送信する。
【0036】
外付けEVF200とカメラ本体100との電気的な接続の方法の一つにプラグとレセプタクルの嵌合がある。本実施例では、外付けEVF側に複数のプラグを設けるとともに、カメラ本体側に複数のレセプタクルを設けている。これらのプラグとレセプタクルとが嵌合することにより外付けEVF200とカメラ本体100とを電気的に接続することができる。
【0037】
図1において、外付けEVF200は、EVFユニット部210、ベース部220及びカバー部230を含み構成される。
【0038】
EVFユニット部210は、カメラ本体100の撮像素子により取得した映像信号をEVFユニット部210に内蔵された小型モニタに映し出し、この小型モニタをEVFユニット部210に内蔵されたファインダ光学系によりユーザーが観察する部分である。
【0039】
ベース部220は、プラグケース部300、位置決めピン400及び固定ネジ500を含み構成される。
【0040】
プラグケース部300は、複数のプラグ310、着脱検知ピン320及びプラグケースレバー330を含み構成される。
【0041】
複数のプラグ310は、映像信号送信用のプラグAと電源供給用のプラグBからなる。複数のプラグ310の規格は互いに異なり、形状やピン配置等は異なる。本実施例の外付けEVF200は互いに規格の異なるプラグから構成される複数のプラグ310を採用しているが、規格がすべて同一のプラグから構成される複数のプラグを採用してもよい。
【0042】
着脱検知ピン320は、外付けEVF200のカメラ本体100への着脱を検知するためのものである。また、カメラ本体100には着脱検知ピン320に対応する位置に接点が設けられている。外付けEVF200がカメラ本体100から取り外されている状態において、着脱検知ピン320は外付けEVF200の外部に向かって付勢されて露出している。外付けEVF200がカメラ本体100に装着されている状態において、着脱検知ピン320はカメラ本体100の側面に配置された接点に当接して外付けEVF200の内部に引っ込む。カメラ本体100の制御部は、着脱検知ピン320が当接することにより接点がショートしたことを検知する。これにより、カメラ本体100の制御部は、外付けEVF200が装着されたと判断し、所定の制御を開始する。
【0043】
プラグケースレバー330は、プラグケース部300と一体的に設けられ、ベース部220の内部に配置された不図示のバネ機構によりプラグケース部300と共にカメラ本体100に向かって常に付勢されている。これにより、プラグケース部300に含まれる複数のプラグ310は常に外付けEVF200の外部に大きく露出することとなり、ユーザーは外付けEVF200のカメラ本体100への装着時に、外付けEVF200の複数のプラグ310とカメラ本体100の複数のレセプタクルとの位置合わせを確認する。
【0044】
位置決めピン400は、外付けEVF200とカメラ本体100との接続の正しい位置を決めるものである。
【0045】
固定ネジ500は、外付けEVF200をカメラ本体100に装着した後に脱落を防止して固定するためものである。固定ネジ500を三脚ネジの規格と同一とすることで、外付けEVF200を取り外したときにその他の周辺オプションを装着することが容易となりカメラ本体100の利便性が高まる。固定ネジ500の締結又は解除の操作は
図2に図示された外付けEVF200のベース部220に設けられた固定ネジダイヤル221により行う。
【0046】
カバー部230は、外付けEVF200の内部構造を隠蔽するためのものである。
【0047】
次に、外付けEVF200のカメラ本体100への装着手順について説明する。
【0048】
まず、ユーザーは、大きく露出した複数のプラグ310とカメラ本体100に設けられた複数のレセプタクルとをそれぞれ嵌合させる。複数のプラグ310が大きく露出していることにより、外付けEVF200をカメラ本体100に装着する際にプラグとレセプタクルの位置合わせを目視することが容易になり、ユーザーの利便性が高まる。
【0049】
次に、ユーザーは、プラグケースレバー330をカメラ本体100に向かって押しつけながら複数のプラグ310を複数のレセプタクルにそれぞれ挿入する。プラグケース部300と一体的に設けられたプラグケースレバー330は、ベース部220の内部に配置された不図示のバネ機構によってカメラ本体100に向かって付勢されている。したがって、プラグケースレバー330は、複数のプラグ310を複数のレセプタクルに挿入する際には、プラグとレセプタクルとの摩擦抵抗により外付けEVF200の方に押し戻されてしまい、複数のプラグ310を複数のレセプタクルに挿入することができない。そこで、ユーザーがプラグケースレバー330をカメラ本体100に向かって押しつけることにより、複数のプラグ310を複数のレセプタクルに挿入するための力を与える必要がある。
【0050】
そして、複数のプラグ310の挿入が完了した後に、外付けEVF200がカメラ本体100から脱落しないように固定ネジダイヤル221を操作して固定ネジ500をカメラ本体100に締結し、外付けEVF200のカメラ本体100への装着を完了する。
【0051】
図3Aは、プラグケース部を示す斜視図である。
図3Aでは、プラグケース部300の外観を説明するために、前方から見た図と後方から見た図を図示している。
【0052】
図3Bは、プラグケース部300を構成する部品を示す分解斜視図である。
図3Bは、
図3Aにおいて後方から見た図の分解斜視図に当たる。
【0053】
図3Bにおいて、プラグケース部300は、プラグケース340、可動プラグユニットA350、可動プラグユニットB360及び弾性部材370を含み構成される。
【0054】
プラグケース340は、プラグケース上面341、プラグケース下面342及びプラグケース前面343を含み構成される。
【0055】
プラグケース上面341には、プラグケース340の内部に配置される可動プラグユニットA350及び可動プラグユニットB360と外付けEVF200のベース部220の内部に配置されるメイン基板とを接続するためのフレキシブル基板(FPC)を通すための開口部340aが形成されている。プラグケース前面343には複数のプラグが突出するための貫通穴340cが形成されている。プラグケース上面341、プラグケース下面342及びプラグケース前面343はビス344により一体的に組み立てられプラグケース340を構成する。
【0056】
プラグケース上面341及びプラグケース下面342の内側には弾性部材370が嵌合するための凹部340bが形成されている。凹部340bと弾性部材370との嵌合については後述する。
【0057】
可動プラグユニットA350は映像送信用のプラグA及びプラグA実装基板を含み構成される。プラグA実装基板の表面にはFPCの接続用のコネクタが実装されている。可動プラグユニットA350の構成については後述する。
【0058】
可動プラグユニットB360は電源供給用のプラグB及びプラグB実装基板を含み構成される。プラグB実装基板の裏面にはFPCの接続用のコネクタが実装されている。可動プラグユニットB360の構成については後述する。
【0059】
弾性部材370は可動プラグユニットA350及び可動プラグユニットB360をプラグケース340の内側に連結するためのものである。弾性部材370による可動プラグユニットA350及び可動プラグユニットB360のプラグケース340の内側への連結については後述する。
【0060】
図4Aは、可動プラグユニットA350及び可動プラグユニットB360を示す斜視図である。
図4Aでは、これら以外に弾性部材370についても図示している。
【0061】
図4Bは、可動プラグユニットA350及び可動プラグユニットB360を構成する部品を示す分解斜視図である。
【0062】
図4Bにおいて、可動プラグユニットA350は、プラグA351、プラグA実装基板352及びプラグA実装基板保持部材353を含み構成される。また同様に、可動プラグユニットB360は、プラグB361、プラグB実装基板362及びプラグB実装基板保持部材363を含み構成される。
【0063】
可動プラグユニットA350は、映像送信用のプラグA351を含み、弾性部材370によりプラグケース340に対して少なくともプラグA351の挿抜方向及び挿抜方向に対して垂直な平面方向に可動である。
【0064】
プラグA実装基板352はプラグA351を実装するための基板である。プラグA351は、はんだによりプラグA実装基板352に実装されている。本実施例では、プラグA351をプラグA実装基板352に直接実装することにより、リード線等の配置スペースを省略することができ、プラグケース部300を小型化することができる。また、プラグA実装基板352には不図示のFPCにより外付けEVF200のベース部220の内部に配置されたメイン基板と接続するためのコネクタ352aが実装されている。
【0065】
プラグA実装基板保持部材353はプラグA実装基板352を保持するための部材である。プラグA実装基板保持部材353に対して不図示のFPC及びプラグA実装基板352はビス354により共締めされている。
図4Aにおいて、FPCは不図示であるため、その分ビス354は浮いて図示されている。プラグA実装基板保持部材353には、弾性部材370の貫通穴に連結するための突起部353aが形成されている。プラグA実装基板保持部材353に形成された突起部353aと弾性部材370の貫通穴との連結については後述する。
【0066】
可動プラグユニットB360は、電源供給用のプラグB361を含み、弾性部材370によりプラグケース340に対して少なくともプラグB361の挿抜方向及び挿抜方向に対して垂直な平面方向に可動である。
【0067】
可動プラグユニットB360におけるプラグB実装基板362とプラグB実装基板保持部材363の態様は可動プラグユニットA350についてと同様である。
【0068】
図6Aは弾性部材を前方から見た様子を示す斜視図である。また、
図6Bは弾性部材を後方から見た様子を示す斜視図である。
図4A及び
図4Bにおいて、可動プラグユニットA350及び可動プラグユニットB360についてそれぞれ2つの弾性部材370が連結する。それぞれの形状はプラグケース340における配置スペースにより多少の異なる点はあるが、機能的な形状はほぼ同一であるため、
図6A及び
図6Bでは1つの弾性部材370について説明する。
【0069】
本実施例において、弾性部材370はゴムなどの弾性素材を用いて一体物として成形されている。
図6A及び
図6Bに示すように弾性部材370の形状は上部371、下部372及び支持部373に分けられる。なお、本実施例の弾性部材370において、支持部373は上部371と下部372をつないで弾性部材370を一体化することによりプラグケース部300の組立性を向上させるための部分であり、本発明の弾性部材に必ずしも形成しなければならない部分ではない。
【0070】
上部371及び下部372には貫通穴370aが形成されている。貫通穴370aには、プラグA実装基板保持部材353又はプラグB実装基板保持部材363に形成された突起部353a又は突起部363aが連結する。
【0071】
また、上部371及び下部372には空洞部370bが形成されている。空洞部370bを形成することにより上部371及び下部372の断面積を小さくして弾性部材370の側面方向から力に対する復元力を小さくすることができ、可動プラグユニットA350及び可動プラグユニットB360の移動のしやすさを調整することができる。
【0072】
さらに、上部371及び下部372には外形部370cが形成されている。外形部370cは、プラグケース340を組み立てた際に、プラグケース上面341及びプラグケース下面342の内側に形成された凹部340bに嵌合する。これにより可動プラグユニットA350及び可動プラグユニットB360とプラグケース340は弾性部材370により連結される。
【0073】
次に、弾性部材370により可動プラグユニットA350及び可動プラグユニットB360とプラグケース340の内側とを連結する構成について詳細に説明する。
【0074】
図5Aは、
図5Bのプラグケース部を示す平面図に基づく、プラグケース部のA-A’断面図である。
図5Aは特に映像送信用のプラグA351を含む可動プラグユニットA350のプラグケース340への連結の様子を図示している。
【0075】
弾性部材370と可動プラグユニットA350は、可動プラグユニットA350に含まれるプラグA実装基板保持部材353に形成されている突起部353aが弾性部材370の上部371及び下部372の貫通穴370aに挿入することにより連結する。弾性部材370と可動プラグユニットB360の連結についても同様である。
【0076】
弾性部材370とプラグケース上面341及びプラグケース下面342は、プラグケース上面341及びプラグケース下面342の内側に形成されている凹部340bに弾性部材370の上部371及び下部372の外形部370cが嵌合することにより連結する。
【0077】
以上の通り、可動プラグユニットA350とプラグケース上面341及びプラグケース下面342との間に弾性部材370が介在することにより、プラグケース340に対する可動プラグユニットA350に含まれるプラグA351の移動の自由度を確保することができる。可動プラグユニットA350は自由に弾性変形の可能な弾性部材370を介してのみプラグケース340に連結されているため、プラグA351は少なくとも挿抜方向及び挿抜方向に垂直な平面方向へ移動することができる。また、可動プラグユニットB360に含まれるプラグB361についても同様であり、プラグA351とプラグB361とはプラグケース340に対して相互に独立して移動することができる。
【0078】
本実施例では、弾性部材370を、プラグA実装基板保持部材353、プラグB実装基板保持部材363、プラグケース上面341又はプラグケース上面341に対して接着していない。これにより弾性部材370の自由な弾性変形が妨げられることがなく、プラグA351及びプラグB361の自由な移動も制限されることがない。また、弾性部材370をプラグケース上面341及びプラグケース下面342で挟持することで接着の工程を必要としないため、プラグケース部300の組立性が向上する。
【0079】
さらに、プラグA351又はプラグB361に負荷がかからない状態において、弾性部材370の復元力により可動プラグユニットA350又は可動プラグユニットB360を定位置に戻すことができる。
【0080】
本実施例では、弾性部材370を可動プラグユニットA350及び可動プラグユニットB360の末端部に偏るように配置している。そのため、プラグA351又はプラグB361に負荷がかからない状態において、可動プラグユニットA350及び可動プラグユニットB360が重力によりプラグケース340に対して傾斜してしまう場合がある。この場合、プラグケース前面343に形成された複数のプラグが突出するための貫通穴340cとプラグA351及びプラグB361との間に隙間が生じてプラグケース部300の内部構造が見えてしまい製品品位を損ねてしまうおそれがある。そこで、本実施例では、プラグA351及びプラグB361の周囲にウレタンスポンジなどの緩衝部材355を配置している。これにより、プラグA351及びプラグB361の移動の自由度を制限することなく、負荷がかからない状態において、プラグA351及びプラグB361とプラグケース前面343に形成された貫通穴340cとの間の隙間を埋めることができ、プラグA351及びプラグB361を定位置に戻すことができる。
【0081】
以上の説明の通り、本発明によれば、電気的に接続するための複数のプラグを有する外部接続装置を本体装置に装着するときに、複数のプラグの相互に発生する微小な位置ズレを吸収するための少なくとも挿抜方向及び挿抜方向に垂直な平面方向への複数のプラグの移動の自由度を確保し、複数のプラグを同時に挿抜する際の挿抜性を向上し、基板におけるプラグ及びレセプタクルの実装部分の破損を防止することが可能となる。また、同時に複数のプラグを内蔵するプラグケース部の小型化が可能となり、プラグケース部の組立性を向上させることが可能となる。
【符号の説明】
【0082】
100 カメラ本体
200 外付けEVF
210 EVFユニット部
220 ベース部
221 固定ネジダイヤル
300 プラグケース部
310 複数のプラグ
320 着脱検知ピン
330 プラグケースレバー
340 プラグケース
341 プラグケース上面
342 プラグケース下面
343 プラグケース前面
350 可動プラグユニットA
351 プラグA
352 プラグA実装基板
353 プラグA実装基板保持部材
355 緩衝部材
360 可動プラグユニットB
361 プラグB
362 プラグB実装基板
363 プラグB実装基板保持部材
370 弾性部材
400 位置決めピン
500 固定ネジ
230 カバー部