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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149244
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】ノック式筆記具
(51)【国際特許分類】
   B43K 24/08 20060101AFI20220929BHJP
   B43K 25/02 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
B43K24/08 110
B43K25/02 110
B43K25/02 190
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021051305
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005957
【氏名又は名称】三菱鉛筆株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】近藤 容章
【テーマコード(参考)】
2C041
2C353
【Fターム(参考)】
2C041AA06
2C041CC02
2C353HA01
2C353HC04
2C353HC17
2C353HG04
2C353MA06
(57)【要約】
【課題】ノック部材に対してノック部材の中心軸線回りに回転可能に嵌合する嵌合部材を備えたノック式筆記具において、確実なノック操作を行うことができるノック式筆記具を提供する。
【解決手段】ノック式筆記具1が、回転子40と、回転子40を前方に押圧し且つ外周面に係止突起部31が設けられたノック部材30と、ノック部材30に対してノック部材30の中心軸線回りに回転可能に嵌合し且つ外面に接続部51が設けられた嵌合部材50と、嵌合部材50の回転を規制する規制部60、及び、周方向に沿って配置され且つ回転子40と協働する複数の外カム20が設けられ、係止突起部31が複数の外カム20間に配置される軸筒4と、を具備し、非筆記状態において嵌合部材50の接続部51を規制部60に当接するまで回転させたとき、係止突起部31と外カム20とが当接しないように構成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転子と、
前記回転子を前方に押圧し且つ外周面に係止突起部が設けられたノック部材と、
前記ノック部材に対して前記ノック部材の中心軸線回りに回転可能に嵌合し且つ外面に規制突起が設けられた嵌合部材と、
前記嵌合部材の回転を規制する規制部、及び、周方向に沿って配置され且つ前記回転子と協働する複数のカム突起が設けられ、前記係止突起部が前記複数のカム突起間に配置される軸筒と、を具備し、
非筆記状態において前記嵌合部材の前記規制突起を前記規制部に当接するまで回転させたとき、前記係止突起部と前記カム突起とが当接しないように構成されていることを特徴とするノック式筆記具。
【請求項2】
前記嵌合部材が前記ノック部材の後端部に嵌合している請求項1に記載のノック式筆記具。
【請求項3】
前記嵌合部材がクリップを有する請求項1又は2に記載のノック式筆記具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノック式筆記具に関する。
【背景技術】
【0002】
軸筒の後端部にノック部材を備えた操作部を有し、軸筒内に配置されたスプリングの付勢力に抗して操作部を前方に押圧するノック操作を行うことによって、ペン先である筆記部が軸筒の先端から突出した筆記状態と筆記部が軸筒内に没入した非筆記状態とが切り替えられる、いわゆるノック式のノック式筆記具が公知である(例えば、特許文献1)。ノック式筆記具では、ノック操作によって、ノック部材(特許文献1におけるカム部材に相当する。)が回転子と共に前方へ移動して回転子を回転させる。ノック操作に伴う回転子の回転に応じて、ノック式筆記具は、筆記状態と非筆記状態とが切り替えられる。
【0003】
特許文献1には、ノック部材に対して嵌合し且つクリップを有する嵌合部材(特許文献1におけるノック部材に相当する。)について、ノック部材の中心軸線回りの回転防止構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2017/104468号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、固定する目的で嵌合等によって組み立てられた部品は、外力によって相対的に移動しない方が、すなわち外れたりずれたりしない方が望ましい。図5乃至図7を参照しながら、ノック部材及び嵌合部材が相対的に移動することによる問題について説明する。
【0006】
図5は、後述する図2に対応する従来のノック式筆記具100の断面図である。ノック式筆記具100は、ノック機構110を有している。ノック機構110は、外カム120と、円筒状に形成されたノック部材130と、回転子140と、クリップを接続する接続部151を備えた嵌合部材150とを有している。
【0007】
図6は、従来のノック式筆記具100におけるノック部材130と嵌合部材150と規制部160との関係を示す模式図である。規制部160は、後軸103の後端面から前方に向かって切り欠かれた切り欠き部108の側面として構成される。図6(A)は、ノック式筆記具100は非筆記状態であり、図6(B)は、ノック式筆記具100のノック操作の途中の状態である。接続部151は、ノック操作によって、切り欠き部108内を前後方向に移動するように構成されている。図7は、従来のノック式筆記具100におけるノック部材130と嵌合部材150と規制部160との関係を示す別の模式図である。
【0008】
図6及び図7は、ノック機構110の位置関係を示す模式図であり、外カム120及び規制部160を部分的に周方向に展開したものに対して、後述するノック部材130の係止突起部131及び回転子140の内カム141の位置を示したものである。図中、下方がノック式筆記具100の前方であり、上方がノック式筆記具100の後方である。
【0009】
詳細には、後軸103の規制部160の前方には、ノック機構110の一部を構成するカム突起である外カム120が周方向に沿って等間隔に設けられている。隣接する外カム120によって、前後方向に延在するガイド溝121が画成されている。ノック部材130の前側の外周面には、係止突起部131が周方向に等間隔に設けられている。係止突起部131の各々は、隣接する外カム120間のガイド溝121内に配置される。また、係止突起部131の各々は、ノック操作によって、ガイド溝121内を前後方向に移動するように構成されている。ノック部材130の前端面にはカム面132が形成されている。
【0010】
ノック部材130の後端部の外周面には、嵌合部材150が嵌合している。回転子140の外周面には、前後方向に延在する突起である内カム141が周方向に等間隔に設けられている。なお、便宜上、図において内カム141にはハッチングが付されているが、断面を示すものではない。図6(A)に示されるような非筆記状態のノック式筆記具100では、内カム141の各々は、外カム120のガイド溝121内に配置されている。回転子140は、ノック部材130のカム面132と協働し且つ相補的な形状のカム受け面142を有している。回転子140は、ノック部材130のカム面132と回転子140のカム受け面142とが協働することによって回転力を与えられ、中心軸線周りに回転する。また、回転子140は、外カム120とも協働し、筆記状態と非筆記状態との切り替えに寄与する。規制部160は、周方向に展開した図6において前方に向かって互いに近づくように傾斜した2つの側面から構成される。
【0011】
図6(A)を参照すると、回転子140が後方に付勢されていることによって、ノック部材130のカム面132と回転子140のカム受け面142とが協働し、図において、ノック部材130を右方向に回転させ、回転子140を左方向に回転させる付勢力が作用している。ノック部材130の回転は、係止突起部131が一方の外カム120の側面と当接することによって規制され、且つ、回転子140の回転は、内カム141が他方の外カム120の側面と当接することによって規制されている。このとき、係止突起部131と他方の外カム120とは、周方向に沿って距離d1だけ離間している。また、接続部151と規制部160とは、周方向に沿って最短で距離d2だけ離間している。距離d1は、距離d2よりも小さく設定されている。
【0012】
図6(A)において、切り欠き部108の中心線c1と、接続部151の中心線c2とは一致している。この状態でノック操作をすると、中心線c1及び中心線c2は略一致した状態を維持する(図6(B))。
【0013】
図6(A)の状態から、嵌合部材150を把持し、ノック部材130を回転させる付勢力に抗して、すなわち図において左方向に嵌合部材150を回転させると、ノック部材130及び嵌合部材150は一体的にノック部材130の中心軸線回りに回転する。ノック部材130及び嵌合部材150の回転は、ノック部材130の係止突起部131が、他方の外カム120の側面と当接することによって規制される(図7(A))。このとき、ノック部材130及び嵌合部材150の回転量、すなわち回転角度を、図7における中心線c1からの距離で示すと、上述した距離d1となる。
【0014】
図7(A)に示された状態から嵌合部材150に対してさらに力を加え、嵌合部材150を、ノック部材130に対してノック部材130の中心軸線回りに回転させると、嵌合部材150のみが回転する。嵌合部材150の回転は、接続部151が規制部160と当接することによって規制される(図7(B))。このとき、嵌合部材150の回転角度を、図7における中心線c1からの距離で示すと、上述した距離d2となる。
【0015】
図7(B)に示された状態から、加えていた力を解除すると、回転子140を介した付勢力によって、ノック部材130は復帰方向に回転し、係止突起部131が一方の外カム120の側面と当接することによって停止する。他方、嵌合部材150は、ノック部材130との相対的な位置を保ったまま同様に回転して停止する(図7(C))。したがって、嵌合部材150の回転角度を、図7における中心線c1からの距離で示すと、距離d2-d1となる。
【0016】
この状態でノック操作をすると、規制部160は傾斜した側面であることから、図7(D)に示されるように、接続部151の前端部が規制部160と点Xにて干渉する。その結果、ノック操作が妨げられるのみならず、接続部151と規制部160とが係止してノック部材130が元に戻らなくなる虞がある。そのため、ノック式筆記具100において確実なノック操作が行われない虞がある。こうした問題は、嵌合部材150がより強固にノック部材130に対して嵌合させている場合において顕著である。
【0017】
本発明は、ノック部材に対してノック部材の中心軸線回りに回転可能に嵌合する嵌合部材を備えたノック式筆記具において、確実なノック操作を行うことができるノック式筆記具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の一態様によれば、回転子と、前記回転子を前方に押圧し且つ外周面に係止突起部が設けられたノック部材と、前記ノック部材に対して前記ノック部材の中心軸線回りに回転可能に嵌合し且つ外面に規制突起が設けられた嵌合部材と、前記嵌合部材の回転を規制する規制部、及び、周方向に沿って配置され且つ前記回転子と協働する複数のカム突起が設けられ、前記係止突起部が前記複数のカム突起間に配置される軸筒と、を具備し、非筆記状態において前記嵌合部材の前記規制突起を前記規制部に当接するまで回転させたとき、前記係止突起部と前記カム突起とが当接しないように構成されていることを特徴とするノック式筆記具が提供される。
【0019】
前記嵌合部材が前記ノック部材の後端部に嵌合していてもよい。前記嵌合部材がクリップを有していてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の態様によれば、ノック部材に対してノック部材の中心軸線回りに回転可能に嵌合する嵌合部材を備えたノック式筆記具において、確実なノック操作を行うことができるノック式筆記具を提供するという共通の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の実施形態によるノック式筆記具の筆記状態の縦断面図である。
図2図2は、図1の線A-Aにおける断面図である。
図3図3は、ノック部材と嵌合部材と規制部との関係を示す模式図である。
図4図4は、ノック部材と嵌合部材と規制部との関係を示す別の模式図である。
図5図5は、図2に対応する従来のノック式筆記具の断面図である。
図6図6は、従来のノック式筆記具におけるノック部材と嵌合部材と規制部との関係を示す模式図である。
図7図7は、従来のノック式筆記具におけるノック部材と嵌合部材と規制部との関係を示す別の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳細に説明する。全図面に亘り、対応する構成要素には共通の参照符号を付す。
【0023】
図1は、本発明の実施形態によるノック式筆記具1の筆記状態の縦断面図であり、図2は、図1の線A-Aにおける断面図である。
【0024】
ノック式筆記具1は、筒状に形成され且つ前軸2及び後軸3を備えた軸筒4と、軸筒4内に配置され且つ一端に筆記部5を備えた筆記体であるリフィル6と、リフィル6を後方へ付勢するスプリング7と、軸筒4の後端部に配置されたノック機構10とを有している。ノック機構10は、外カム20(図2)と、円筒状に形成されたノック部材30と、回転子40と、クリップ52を接続する接続部51を備えた嵌合部材50とを有している。なお、接続部51は、規制突起を構成する。後軸3の後端面には、前方に向かって切り欠かれた切り欠き部8が形成され、切り欠き部8の側面は規制部60を構成する。接続部51は、ノック操作によって、切り欠き部8内を前後方向に移動するように構成されている。本明細書では、ノック式筆記具1の軸線方向において、筆記部5側を「前」側と規定し、筆記部5側とは反対側を「後」側と規定する。
【0025】
図3は、ノック部材30と嵌合部材50と規制部60との関係を示す模式図であり、図4は、ノック部材30と嵌合部材50と規制部60との関係を示す別の模式図である。すなわち、図3及び図4は、ノック機構10の位置関係を示す模式図であり、外カム20及び規制部60を部分的に周方向に展開したものに対して、後述するノック部材30の係止突起部31及び回転子40の内カム41の位置を示したものである。図中、下方がノック式筆記具1の前方であり、上方がノック式筆記具1の後方である。
【0026】
詳細には、後軸3の規制部60の前方には、ノック機構10の一部を構成するカム突起である外カム20が周方向に沿って等間隔に設けられている。隣接する外カム20によって、前後方向に延在するガイド溝21が画成されている。ノック部材30の前側の外周面には、係止突起部31が周方向に等間隔に設けられている。係止突起部31の各々は、隣接する外カム20間のガイド溝21内に配置される。また、係止突起部31の各々は、ノック操作によって、ガイド溝21内を前後方向に移動するように構成されている。ノック部材30の前端面にはカム面32が形成されている。
【0027】
ノック部材30の後端部の外周面には、嵌合部材50が嵌合している。回転子40の外周面には、前後方向に延在する突起である内カム41が周方向に等間隔に設けられている。なお、便宜上、図において内カム41にはハッチングが付されているが、断面を示すものではない。図3に示されるような非筆記状態のノック式筆記具1では、内カム41の各々は、外カム20のガイド溝21内に配置されている。回転子40は、ノック部材30のカム面32と協働し且つ相補的な形状のカム受け面42を有している。回転子40は、ノック部材30のカム面32と回転子40のカム受け面42とが協働することによって回転力を与えられ、中心軸線周りに回転する。また、回転子40は、外カム20とも協働し、筆記状態と非筆記状態との切り替えに寄与する。規制部60は、周方向に展開した図3において前方に向かって互いに近づくように傾斜した2つの側面から構成される。
【0028】
図3を参照すると、回転子40がリフィル6を介してスプリング7によって後方に付勢されていることによって、ノック部材30のカム面32と回転子40のカム受け面42とが協働し、図において、ノック部材30を右方向に回転させ、回転子40を左方向に回転させる付勢力が作用している。ノック部材30の回転は、係止突起部31が一方の外カム20の側面と当接することによって規制され、且つ、回転子40の回転は、内カム41が他方の外カム20の側面と当接することによって規制されている。このとき、係止突起部31と他方の外カム20とは、周方向に沿って距離D1だけ離間している。また、接続部51と規制部60とは、周方向に沿って最短で距離D2だけ離間している。距離D1は、距離D2よりも大きく設定されている。
【0029】
図3において、切り欠き部8の中心線C1と、接続部51の中心線C2とは一致している。この状態でノック操作をすると、中心線C1及び中心線C2は略一致した状態を維持する。
【0030】
図3の状態から、嵌合部材50を把持し、ノック部材30を回転させる付勢力に抗して、すなわち図において左方向に嵌合部材50を回転させると、ノック部材30及び嵌合部材50は一体的にノック部材30の中心軸線回りに回転する。ノック部材30及び嵌合部材50の回転は、接続部51が規制部60と当接することによって規制される(図4)。このとき、ノック部材30及び嵌合部材50の回転量、すなわち回転角度を、図4における中心線C1からの距離で示すと、上述した距離D2となる。他方、係止突起部31と他方の外カム20とは、距離D1-D2だけ離間している。
【0031】
図4に示された状態から嵌合部材50に対してさらに力を加えたとしても、接続部51が規制部60と当接していることから、嵌合部材50を、ノック部材30に対してノック部材30の中心軸線回りに回転させることができない。また、加えていた力を解除すると、回転子40を介した付勢力によって、ノック部材30及び嵌合部材50は回転し、元の状態(図3)に復帰させることができる。要するに、ノック部材30と嵌合部材50とがずれることはない。したがって、この状態でノック操作をすると、図7(D)に示されるような、接続部51の前端部と規制部60との干渉は生じ得ず、確実なノック操作を行うことができる。
【0032】
図5乃至図7を参照しながら上述した従来のノック式筆記具では、不使用時にノック部材130が周方向に回転又は移動してがたつくのを防止するため、係止突起部131と外カム120との間のクリアランス、具体的には距離d1をより小さくするのが常識であった。そのため、接続部151と規制部160との間のクリアランス、具体的には距離d2は、距離d1よりも大きくなっていた。他方、上述した実施形態では、常識に反し、図3における距離D1を距離D2よりも大きくしている。なお、距離D1と距離D2とが等しくてもよい。
【0033】
上述した構成は、ノック部材に対して嵌合部材を強く嵌合させる必要がある場合において特に有効である。例えば、嵌合部材がノック部材から外れるのを防止するため、外すのに必要な力が50Nに設定されている場合、ノック部材に対して嵌合部材は回転させ難い。しかしながら回転させてしまうと、逆に戻すのも困難になるため、上述した問題が生じやすくなる。こうした場合も、図3における距離D1を距離D2よりも大きくするように構成することで、ノック操作が確実に行えないという問題の発生を防ぐことができる。
【0034】
上述した実施形態では、嵌合部材50は、接続部51を介してクリップ52が設けられる構成であったが、クリップを有さず、接続部に相当する単なる突起が切り欠き部内を前後方向に移動するように構成されていてもよい。また、嵌合部材は、ノック部材の後端部ではなく、軸方向における中央部分に嵌合していてもよく、この場合、切り欠き部は、軸筒の側面に設けられた矩形の開口部であってもよい。規制部は切り欠き部における傾斜した側面であったが、接続部の前後方向の移動を許容し且つ回転を規制する限りにおいて、任意に構成し得る。例えば、規制部は、傾斜していない軸方向に沿って延びる側面であってもよい。要するに、非筆記状態において、嵌合部材の接続部(規制突起)を規制部に当接するまで回転させたとき、係止突起部と外カム(カム突起)とが当接しないように構成されている限りにおいて、嵌合部材及び規制部、さらには規制突起を任意に構成し得る。
【0035】
リフィル6は、ボールペン以外にマーキングペン、タッチペン、消しゴム等のその他種類の筆記体であってもよい。また、嵌合部材50の一部又は全部を、ノック式筆記具による筆跡を消去する消去部としてもよい。
【0036】
リフィル6は、熱変色性インクが収容されたボールペンであってもよい。ここで、熱変色性インクとは、常温(例えば25℃)で所定の色彩(第1色)を維持し、所定温度(例えば60℃)まで昇温させると別の色彩(第2色)へと変化し、その後、所定温度(例えば-5℃)まで冷却させると、再び元の色彩(第1色)へと復帰する性質を有するインクをいう。熱変色性インクを用いた熱変色性筆記具では上記第2色を無色とし、第1色(例えば赤)で筆記した描線を昇温させて無色とすることを、ここでは「消去する」ということとする。したがって、描線が筆記された筆記面等に対して消去部である摩擦部材によって擦過して摩擦熱を生じさせ、それによって描線を無色に変化、すなわち消去させる。なお、当然のことながら上記第2色は、無色以外の有色でもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 ノック式筆記具
2 前軸
3 後軸
4 軸筒
5 筆記部
6 リフィル
7 スプリング
8 切り欠き部
10 ノック機構
20 外カム
21 ガイド溝
30 ノック部材
31 係止突起部
32 カム面
40 回転子
41 内カム
42 カム受け面
50 嵌合部材
51 接続部
52 クリップ
60 規制部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7