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特開2022-14925タップおよびタップを用いたねじ穴の加工方法
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  • 特開-タップおよびタップを用いたねじ穴の加工方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022014925
(43)【公開日】2022-01-21
(54)【発明の名称】タップおよびタップを用いたねじ穴の加工方法
(51)【国際特許分類】
   B23G 5/06 20060101AFI20220114BHJP
【FI】
B23G5/06 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020117431
(22)【出願日】2020-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】591204252
【氏名又は名称】株式会社大岡製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】特許業務法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】冨永 孝徳
(57)【要約】
【課題】タップを下穴に対していっそう確実に芯出しした状態でねじ穴を加工できるようにする。
【解決手段】タップ10であって、下穴26にはまり込むことでねじ部を芯出しすることができるガイド部材14を先端に有する。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タップであって、下穴にはまり込むことでねじ部を芯出しすることができるガイド部材を先端に有することを特徴とするタップ
【請求項2】
ガイド部材には溝が形成されていないか、またはガイド部材においてはタップ先端において開口しない形で溝が形成されていることを特徴とする請求項1記載のタップ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のタップを用いて、止り穴構造のねじ加工を施すことを特徴とするタップを用いたねじ穴の加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はタップおよびタップを用いたねじ穴の加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ねじ穴を加工するときには、タップが多用されている。一般的なタップは、ねじ部とシャンクとを一体に有し、ねじ部には、周方向に沿った複数の位置に、タップの長さ方向に沿って溝が形成されている。タップの先端において溝は開口状態で形成されているのが通例である(特許文献1)。タップを用いてねじ穴を加工しようとするときには、工作物にあらかじめ下穴を形成しておき、この下穴に沿ってタップを回転させながらその長さ方向に移動させる。すると、タップは、ねじ部が下穴に案内されながら、工作物においてこの下穴の周囲に内ねじを加工することで、ねじ穴を加工することになる。下穴による案内を確実なものにするために、ねじ部の先端には、先細り状の角度が付けられている。
【0003】
内ねじの加工の際に発生する切り粉は、溝を伝って、下穴の外に排出される。ねじ穴が貫通孔である場合には、切り粉は、溝が開口状態となっているタップの先端部と、このタップの先端部とは反対側における溝の端部とから、下穴の外に排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-305700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ねじ部における先細り状の先端部を下穴に沿わせることでタップの案内を行っていただけでは、そしの案内が不確実になることもあり、そのような場合には下穴に対して偏心した状態でねじ穴が形成されることがあるなどの問題点を有する。
【0006】
そこで本発明は、このような問題点を解決して、下穴に対していっそう確実に芯出しした状態でねじ穴を加工できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するため本発明のタップは、下穴にはまり込むことでねじ部を芯出しすることができるガイド部材を先端に有することを特徴とする。
【0008】
本発明のタップによれば、ガイド部材には溝が形成されていないか、またはガイド部材においてはタップ先端において開口しない形で溝が形成されていることが好適である。
【0009】
本発明の、タップを用いたねじ穴の加工方法は、上記のタップを用いて、止り穴構造のねじ加工を施すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のタップによれば、下穴に挿入することでねじ部を芯出しすることができるガイド部材を先端に有することで、ねじ部を下穴に対して確実に芯出しすることができ、その芯出しした状態でねじ穴を加工することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態のタップの正面図である。
図2】同タップの左側面図である。
図3】同タップの右側面図である。
図4】同タップの背面図である。
図5】同タップの底面図である。
図6】同タップの上面図である。
図7図1におけるA-A線に沿った断面図である。
図8図1におけるB-B線に沿った断面図である。
図9図1におけるC-C線に沿った断面図である。
図10図1のタップの先端部における要部の断面図である。
図11図1のタップのシャンクにおける要部の断面図である。
図12図1のタップによってねじ穴が加工される工作物の例を示す図である。
図13図12の次の加工段階を示す図である。
図14図13の次の加工段階を示す図である。
図15図14の次の加工段階を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1図11は本発明の実施の形態のタップ10を示す。図示のタップ10は、スパイラルタップの形態であって、切削加工用のねじ部11と、切り粉排出用の溝12とが、それぞれ複数条でスパイラル状に形成されている。13はシャンクである。
【0013】
タップ10の先端には、ガイド部材14が一体に形成されている。このガイド部材14は、円柱状に形成されて、工作物にねじ穴を加工するための下穴にはまり込むことができるように構成されている。その詳細は後述する。15は、ガイド部材14とねじ部11とを接続するための接続部で、同様に他の部分と一体に形成されている。ガイド部材14は、下穴に大きな隙間なくはまり込むことが必要であり、そのために、その直径の寸法精度やその外周面の表面粗さが良好な状態で形成されている。16はガイド部材14の先端面、17はガイド部材14の外周面である。これに対し、接続部15は、ガイド部材14とねじ部11とを接続する機能を果たしさえすれば足りるので、直径の寸法精度や外周面の表面粗さは不問である。このような条件のもとで、接続部15は、ガイド部材14よりも若干細い寸法で形成されている。
【0014】
溝12は、タップ10の先端に開口しない形態で形成されている。すなわち、溝12は、タップ10によるねじ切り加工の際に発生した切り粉を排出するものであるために、少なくともねじ部11の先端までは形成されている必要があるが、タップ10におけるそれよりも先端側に形成されている必要性に乏しい。このため、図示の例では、溝12は、ガイド部材14の途中までは形成されているが、ガイド部材14の先端すなわちタップ10の先端においては開口しない形で形成されている。図10はガイド部材14における溝12の断面形状の例を示し、スパイラル構造の溝12におけるスパイラル状の長手方向に沿って断面した状態を示すものである。18は溝底部である。ガイド部材14には、溝12の先端部分と先端面16との間に、溝12の先端を先端面16において開口させないための壁部19が設けられている。溝底部18は、ねじ部11の先端からタップ10の先端側に向けて徐々に浅くなるように、縦断面形状が湾曲した形で形成されている。20は、その湾曲部である。このためガイド部材14にも溝12の先端縁が部分的に形成されることになる。あるいは、溝12の断面形状によっては、溝12の先端縁がガイド部14に届かない形で、この溝12を形成することもできる。すなわち、ガイド部材14には溝12が形成されていない構成とすることもできる。図8および図9には、溝12の横断面形状が示されている。
【0015】
溝12は、ねじ部11を越えてシャンク13にまで形成されている。図11は、シャンク13における溝12の断面形状の例を示し、図10と同様に溝12におけるスパイラル状の長手方向に沿って断面した状態を示すものである。図示のように、溝12は、シャンク13においても、溝底部18が溝12の端部に向けて徐々に浅くなるように、縦断面形状が湾曲した形で形成されている。21は、その湾曲部である。
【0016】
このようなタップ10を用いて工作物にねじ穴を加工する方法を、図12図15を参照して説明する。
【0017】
まず、図12に示すように、加工対象である工作物25にドリルなどによって下穴26を加工する。図12は、止り穴構造のねじ加工を施す場合を示しており、下穴26は、必要ねじ深さに対応した深さまで加工する。
【0018】
次に、図13に示すように、タップ10の先端のガイド部材14を下穴26に挿し入れる。これにより、タップ10は下穴26に対して芯出しされた状態となる。そして、その状態でタップ10を回転させると、タップ10は、下穴26に対して芯出しされた状態を維持しながら、ねじ部11によって工作物25にねじ穴の加工を行うことになる。
【0019】
図14は、ねじ部11が下穴26の途中まで工作物25に切り込んでいっている状態を示す。ねじ部11によって工作物25に切り込みを行うと、図示のように切り粉27が発生する。発生した切り粉27は、溝12がスパイラル状に形成されていることで、タップ10の回転に伴って、シャンク13側に移送されたうえで工作物25の外に排出される。
【0020】
このとき、溝12がタップ10の先端で開口していると、発生した切り粉27がタップ10よりも下穴26の奥側に入り込むことがあり、その場合は切り粉27の排出が困難になる。しかし、図示のタップ10では、タップ10の先端において壁部19によって溝10が閉じているため、すなわち溝12がタップ10の先端で開口していないため、発生した切り粉27はタップ10よりも下穴26の奥側に入り込むことが無く、したがって効果的に排出される。
【0021】
図15は、下穴26の奥端までタップ10が入り込んで、所要深さのねじ穴28が形成された状態を示す。この状態からタップ10を逆回転させることで、このタップ10を工作物25の外へ取り出すことができる。このとき、図14に示す切り粉27が溝12に残っていた場合には、上記のように溝12がタップ10の先端で開口していないことから、この切り粉27は、タップ10から落下するなどしてねじ穴28の中に入り込むことなしに、タップ10とともに工作物25の外に取り出される。
【0022】
このように、図示のタップ10によれば、このタップ10を下穴26に対して芯出しした状態で、しかも切り粉27を良好に排出した状態で、止り構造のねじ穴28を加工することができる。
【0023】
なお、タップ10を貫通構造のねじ穴の加工に用いることも可能であり、その場合も従来のガイド部材を有しないタップに比べてタップ10を下穴26に対して良好に芯出しした状態で貫通構造のねじ穴を加工することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15