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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149257
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】電気融着継手
(51)【国際特許分類】
   F16L 47/02 20060101AFI20220929BHJP
【FI】
F16L47/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021051320
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼屋 智嗣
【テーマコード(参考)】
3H019
【Fターム(参考)】
3H019GA03
3H019GA12
(57)【要約】
【課題】部品を紛失する可能性がなく、手軽に管を固定することができる電気融着継手を提供する。
【解決手段】電気融着継手100は、管Pが挿入される継手本体10と、帯状のバンド部41、バンド部41の一方の端に設けられた鋸刃部42、及び、バンド部41の他方の端に設けられた係合部43を備えるクランプ40と、継手本体10とクランプ40とを連結する連結部50と、を備え、鋸刃部42は、鋸刃形状42bと、鋸刃形状42bよりも他方の端側に配置された第1把持部42aと、を備え、係合部43は、鋸刃形状42bに係合する鋸刃受け部43bと、鋸刃受け部43bよりも一方の端側に配置された第2把持部43aと、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管が挿入される継手本体と、
帯状のバンド部、前記バンド部の一方の端に設けられた鋸刃部、及び、前記バンド部の他方の端に設けられた係合部を備えるクランプと、
前記継手本体と前記クランプとを連結する連結部と、
を備え、
前記鋸刃部は、鋸刃形状と、前記鋸刃形状よりも前記他方の端側に配置された第1把持部と、を備え、
前記係合部は、前記鋸刃形状に係合する鋸刃受け部と、前記鋸刃受け部よりも前記一方の端側に配置された第2把持部と、を備える、
電気融着継手。
【請求項2】
前記連結部が、前記継手本体と前記クランプの前記バンド部とを連結する、
請求項1に記載の電気融着継手。
【請求項3】
前記連結部が、前記継手本体と前記クランプの前記係合部とを連結する、
請求項1に記載の電気融着継手。
【請求項4】
管が挿入される継手本体と、
帯状の第1バンド部、前記第1バンド部の両端に設けられた係合部を備える第1クランプと、
帯状の第2バンド部、前記第2バンド部の両端に設けられた鋸刃部を備える第2クランプと、
前記継手本体と前記第1クランプ及び前記第2クランプとを連結する連結部と、
を備え、
前記鋸刃部は、鋸刃形状と、前記鋸刃形状よりも前記第1バンド部の中央側に配置された第1把持部と、を備え、
前記係合部は、前記鋸刃形状に係合する鋸刃受け部と、前記鋸刃受け部よりも前記第2バンド部の中央側に配置された第2把持部と、を備える、
電気融着継手。
【請求項5】
前記連結部が、前記継手本体と、前記第1クランプの前記第1バンド部及び前記第2クランプの前記第2バンド部とを連結する、
請求項4に記載の電気融着継手。
【請求項6】
前記連結部が、前記継手本体と前記第1クランプの少なくとも一方の前記係合部及び前記第2クランプの前記第2バンド部とを連結する、
請求項4に記載の電気融着継手。
【請求項7】
管が挿入される継手本体と、
帯状のバンド部、前記バンド部の一方の端に設けられた鋸刃部、及び、前記バンド部の他方の端に設けられた係合部を備えるクランプと、
前記継手本体と前記クランプとを連結する連結部と、
を備え、
前記鋸刃部は、鋸刃形状と、前記鋸刃形状よりも前記他方の端側に配置された第1把持部と、を備え、
前記係合部は、前記鋸刃形状に係合する鋸刃受け部と、前記鋸刃受け部よりも前記一方の端側に配置された第2把持部と、を備え、
前記クランプが、前記継手本体の周方向に複数設けられている、
電気融着継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気融着継手に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性樹脂から成る一対の樹脂管を接続する継手として、電気融着継手が知られている。電気融着継手によって樹脂管を接続する際、融着工程中に樹脂管同士の位置がずれないように保持する必要がある。
例えば、継手本体に係合凹部が設けられ、前記係合凸部に対応した位置に係合凸部を有するクランプが管にボルトによって取付けられた状態で、前記管を電気融着継手に挿入する構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-138964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のクランプは継手本体とクランプとをそれぞれ別途製造して同梱する必要がある。このため、別部品を1つに梱包することについて作業工数が生じていた。また、施工現場においては作業時にクランプを紛失することがあった。更に、クランプは管に対してボルトにより固定される。このため、ボルト締めの工程を削減したい旨の要望や、作業現場においてボルトを紛失することがあるといった課題があった。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、部品を紛失する可能性がなく、手軽に管を固定することができる電気融着継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る電気融着継手は、管が挿入される継手本体と、帯状のバンド部、前記バンド部の一方の端に設けられた鋸刃部、及び、前記バンド部の他方の端に設けられた係合部を備えるクランプと、前記継手本体と前記クランプとを連結する連結部と、を備え、前記鋸刃部は、鋸刃形状と、前記鋸刃形状よりも前記他方の端側に配置された第1把持部と、を備え、前記係合部は、前記鋸刃形状に係合する鋸刃受け部と、前記鋸刃受け部よりも前記一方の端側に配置された第2把持部と、を備える。
【0007】
この発明によれば、継手本体とクランプとが、連結部によって連結される。これにより、電気融着継手の施工現場においてクランプが脱落することを防ぐことができる。よって、部品を紛失する可能性がなくすことができる。
また、継手本体に挿入された管は、鋸刃部と係合部とを備えたクランプによって仮固定される。このとき、例えば使用者は、第1把持部と第2把持部とを挟み込むように把持することで、鋸刃形状部と鋸刃受け部とを係合させることができる。これにより、例えば、ボルト締結を用いて管を仮固定するクランプと比較して、仮固定の工程を容易にすることができる。よって、手軽に管を固定することができる。
【0008】
また、前記連結部が、前記継手本体と前記クランプの前記バンド部とを連結してもよい。
【0009】
この発明によれば、連結部が、継手本体とクランプのバンド部とを連結する。これにより、鋸刃部と係合部とが自由に動くことができる。よって、比較的容易にクランプに工具を掛けやすくすることができる。
【0010】
また、前記連結部が、前記継手本体と前記クランプの前記係合部とを連結してもよい。
【0011】
この発明によれば、連結部が、継手本体とクランプの係合部とを連結する。つまり、継手本体に係合部が固定される。よって、鋸刃部を係合部に位置合わせする際、安定して作業を行うことができる。
【0012】
また、管が挿入される継手本体と、帯状の第1バンド部、前記第1バンド部の両端に設けられた係合部を備える第1クランプと、帯状の第2バンド部、前記第2バンド部の両端に設けられた鋸刃部を備える第2クランプと、前記継手本体と前記第1クランプ及び前記第2クランプとを連結する連結部と、を備え、前記鋸刃部は、鋸刃形状と、前記鋸刃形状よりも前記第1バンド部の中央側に配置された第1把持部と、を備え、前記係合部は、前記鋸刃形状に係合する鋸刃受け部と、前記鋸刃受け部よりも前記第2バンド部の中央側に配置された第2把持部と、を備えてもよい。
【0013】
この発明によれば、第1バンド部の両端に設けられた係合部を備える第1クランプと、第2バンド部の両端に設けられた鋸刃部を備える第2クランプと、を備える。更に、継手本体と第1クランプ及び第2クランプとが、連結部によって連結される。言い換えれば、継手本体の端部の円周上において、鋸刃部及び係合部が、それぞれ2個ずつ設けられている。これにより、鋸刃部及び係合部を見つけやすくすることができる。よって、よりクランプの固定作業を行いやすくすることができる。
【0014】
また、前記連結部が、前記継手本体と、前記第1クランプの前記第1バンド部及び前記第2クランプの前記第2バンド部とを連結してもよい。
【0015】
この発明によれば、連結部が、継手本体と、第1クランプの第1バンド部及び第2クランプの第2バンド部とを連結する。これにより、鋸刃部と係合部とが自由に動くことができる。よって、比較的容易にクランプに工具を掛けやすくすることができる。
【0016】
また、前記連結部が、前記継手本体と前記第1クランプの少なくとも一方の前記係合部及び前記第2クランプの前記第2バンド部とを連結してもよい。
【0017】
この発明によれば、連結部が、継手本体と第1クランプの第1バンド部及び第2クランプの少なくとも一方の係合部とを連結する。つまり、第2バンド部の両端に設けられた係合部のうち、少なくとも一方が継手本体に固定されている。よって、少なくとも一方の鋸刃部を係合部に挿入する際、安定して作業を行うことができる。
【0018】
また、管が挿入される継手本体と、帯状のバンド部、前記バンド部の一方の端に設けられた鋸刃部、及び、前記バンド部の他方の端に設けられた係合部を備えるクランプと、前記継手本体と前記クランプとを連結する連結部と、を備え、前記鋸刃部は、鋸刃形状と、前記鋸刃形状よりも前記他方の端側に配置された第1把持部と、を備え、前記係合部は、前記鋸刃形状に係合する鋸刃受け部と、前記鋸刃受け部よりも前記一方の端側に配置された第2把持部と、を備え、前記クランプが、前記継手本体の周方向に複数設けられていてもよい。
【0019】
この発明によれば、一方の端に鋸刃部、及び他方の端に係合部を備えたクランプが、前記継手本体の周方向に複数設けられている。つまり、継手本体の周方向において、互いに隣り合うクランプの鋸刃部と係合部とが対向する。これにより、クランプの固定作業によって生じる管の締付力をより均等にすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、部品を紛失する可能性がなく、手軽に管を固定することができる電気融着継手を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係る電気融着継手の施工状態を示す斜視図である。
図2図1に示す電気融着継手の平面図である。
図3図2に示す電気融着継手のIII方向の側面図である。
図4図2に示すIV-IV方向の断面図である。
図5図3に示すV部の拡大図である
図6図5に示すクランプの施工例であって、(a)が固定前、(b)が固定後を示す図である。
図7図1に示す電気融着継手におけるクランプの第1変形例である。
図8図7に示す電気融着継手の平面図である。
図9図8に示す電気融着継手のIX方向の側面図である。
図10図8に示すX-X方向の断面図である。
図11図10に示すXI部の拡大図である。
図12図11に示すクランプの施工例であって、(a)が固定前、(b)が固定後を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る電気融着継手100を説明する。
図1に示すように、電気融着継手100は、継手本体10と、端子部20と、インジケータ30と、クランプ40と、連結部50と、を備える。
継手本体10は、筒状の部材である。継手本体10には、前記筒状における両端の開口部を受口として、管Pが挿入される。継手本体10の両端から挿入された管Pは、継手本体10の内部に融着することで接合される(後述する)。
【0023】
継手本体10は、前記筒状の外側面と内側面との間にコイル状に配置された不図示の電熱線を備える。なお、電熱線は一本の導線であり、電熱線の両端部は端子部20に接続されている。
端子部20は、図1及び図2に示すように、継手本体10の両端部付近に一対に設けられている。端子部20は、電熱線に電流を付加するために、不図示の電源を接続する。この電源によって電熱線に電流を負荷し、電熱線を加熱することで、継手本体10の内壁及び管Pの外壁を溶融させる。これにより、継手本体10における両端に挿入された管Pと継手本体10とを融着させることで、管同士を接合する。
継手本体10及び樹脂管の材質としては、例えば、ポリブテン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等(オレフィン系の樹脂)が挙げられる。
【0024】
インジケータ30は、継手本体10の内部において、上述の管Pの接合が適正に行われているかを確認するために用いられる。インジケータ30は、例えば、図1及び図2に示すように、一対に設けられた端子部20の脇に、一対に設けられていることが好ましい。インジケータ30は、継手本体10の外壁に成形された突起である。なお、この突起は、融着を行う前は外部から視認できないようにするべきであること等の理由により、周囲が筒状の部材等によって保護されていることが好ましい。
【0025】
インジケータ30による溶接品質の確認は、以下のように行う。すなわち、継手本体10の内壁は、上述の管Pの融着工程において生じた熱によって膨張する。すると、インジケータ30は、継手本体10の外壁側に向けて押し出される。これにより、突起が外部から視認可能となる。すなわち、融着工程の前において、突起は継手本体10に埋設されていて外部から視認不能である。突起が視認可能か否か、インジケータ30を目視して確認することで、継手本体10の内壁側において溶接が適正に行われていることを確認する。
【0026】
クランプ40は、図1及び図2に示すように、継手本体10の軸方向の両端に設けられている。クランプ40は、上述の融着工程を行う前に、継手本体10に挿入された管Pを仮保持する。これにより、融着工程において管Pの位置がずれることを防ぐ役割を有する。クランプ40は、バンド部41と、鋸刃部42と、係合部43と、を備える。
バンド部41は、継手本体10に挿入された管Pを仮保持する際、管Pに直接接する帯状の部材である。バンド部41は、前記帯状の内周側が管Pの外周面に沿うように、環状に形成される。バンド部41の一方の端には鋸刃部42が設けられ、バンド部41の他方の端には係合部43が設けられている。また、バンド部41の内周面には、前記環状の周方向に渡る突起が設けられていてもよい(不図示)。これにより、よりバンド部41の締付力を効率的に管Pに加えることで、バンド部41による管Pの保持力を向上してもよい。
【0027】
鋸刃部42は、バンド部41の一方の端に一体に成形されることで設けられる。鋸刃部42は、鋸刃形状42bを係合部43に挿入する(後述する)ことで、鋸刃部42と係合部43とを締結する。このとき、バンド部41によって管Pを固縛することで、管Pを継手本体10に仮保持する。鋸刃部42は、第1把持部42aと、鋸刃形状42bと、を備える。
第1把持部42aは、鋸刃形状42bを係合部43に挿入する際、ペンチ等をはじめとする工具Tを当接させるために設けられた部位である(後述する)。第1把持部42aは、バンド部41の一方の端において、鋸刃形状42bを係合部43に挿入する際、工具Tを当接させる面である。第1把持部42aは、鋸刃部42における鋸刃形状42bよりもバンド部41の他方の端側に、バンド部41の環状における径方向に突出した形状を設けることにより形成されている。
【0028】
鋸刃形状42bは、係合部43に挿入する部位である。鋸刃形状42bは、バンド部41の環状における径方向に対して傾斜状となっている部位(以下、傾斜部)と、前記径方向に対して略平行となっている部位(以下、平行部)と、を交互に複数備える。なお、以下において、1つの傾斜部と1つの平行部との組を、段階と称することがある。
【0029】
係合部43は、バンド部41の他方の端に一体に成形されることで設けられる、上述の鋸刃形状42bが挿入される受口である。すなわち、係合部43は、少なくとも内部に鋸刃形状42bを収容する空間を有した形状であり、第2把持部43aと、鋸刃受け部43bと、を備える。
【0030】
第2把持部43aは、係合部における鋸刃受け部よりもバンド部の一方の端側に設けられた面である。第2把持部43aには、鋸刃形状42bを係合部43に挿入する際、工具Tを当接させる。つまり、鋸刃部42の第1把持部42aと、係合部43の第2把持部43aは、工具Tによって同時に把持できる位置に設けられている。このため、第1把持部42aと第2把持部43aとは、互いに平行に設けられることが好ましい。
鋸刃受け部43bは、係合部43の内部に設けられた段差あるいは突起である。図6に示すように、鋸刃受け部43bは、係合部43に鋸刃部42の鋸刃形状42bを挿入したとき、鋸刃形状42bに接する部位である。
【0031】
連結部50は、クランプ40と継手本体10とを連結する部位である。これにより、継手本体10とクランプ40とが一体となる。なお、クランプ40と継手本体10とは、連結部50によって連結された状態で一体に成形されることが好ましい。本実施形態において、電気融着継手100は、射出成型によって一体に形成する方法が好適に用いられる。また、本実施形態において、図3及び図4に示すように、連結部50は継手本体10の端部において、端子部20に対応した位置に設けられている。また、連結部50は、特にクランプ40の係合部43と継手本体10とを連結している。
【0032】
鋸刃部42と係合部43との締結は、図6に示すように、工具Tを用いて下記のように行われる。すなわち、まず、管Pが継手本体10に挿入された状態で、鋸刃部42の鋸刃形状42bの先端を、連結部50によって固定された係合部43に位置合わせする。次に、第1把持部42a及び第2把持部43aに工具Tを当接させる。次に、工具Tによって第1把持部42aと第2把持部43aとが接近するように圧縮力を負荷すると、鋸刃部42の鋸刃形状42bが鋸刃受け部43bを介して係合部43の内部に進入する。
【0033】
このとき、まず、鋸刃形状42bの傾斜部が鋸刃受け部43bに接する。これにより、工具Tによる圧縮力が、傾斜部によって鋸刃受け部43bを押し上げるように作用する。これにより、鋸刃受け部43bが傾斜部の形状に合わせて変形することで、鋸刃形状42bが係合部43に段階的に進入する。
鋸刃部形状が係合部43の内部に十分進入した時、例えば、図6に示すように、係合部43と第1把持部42aとが接する。これをもって、鋸刃部42と係合部43との締結を完了とする。あるいは、予め定めた段階の数だけ鋸刃形状42bが鋸刃受け部43bを通過した時に締結完了としてもよい。
【0034】
鋸刃部42が係合部43に締結された後は、図6に示すように、鋸刃形状42bの平行部が、鋸刃受け部43bに接する。このとき、例えば、鋸刃形状42bが係合部43から抜け出す方向に力が負荷されても、平行部が鋸刃受け部43bに接することでかえしの役割を担う。これにより、鋸刃形状42bが、係合部43から抜け出すことを防ぎ、鋸刃部42と係合部43との締結状態を保つ。
【0035】
本実施形態に係るクランプ40は、図3に示すように、バンド部41が環状に形成されたものが継手方向の端部に1つ設けられているものとして説明した。
あるいは、例えば半円状に形成されたバンド部41を備えるクランプ40が、継手本体10の端部に複数備えられていてもよい。つまり、このような構成とすることで、互いに隣り合うクランプ40の鋸刃部42と係合部43とが対向するようにしてもよい。
【0036】
次に、本実施形態に係るクランプ40の変形例として、図7及び図8に示す両側クランプ60を説明する。両側クランプ60は、第1クランプ61と、第2クランプ62と、を備える。下記、両側クランプ60の説明においては、クランプ40における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0037】
第1クランプ61は、第1バンド部61bと、係合部43と、を備える。
第1バンド部61bは、上述のクランプ40のバンド部41と同様の構成部品であるが、両側の端部に係合部43を備えている点で相違する。なお、第1クランプ61の係合部43において、第2把持部43aは、それぞれ鋸刃受け部43bよりも第1バンド部61bの中央側に設けられている。
【0038】
第2クランプ62は、第2バンド部62bと、鋸刃部42と、を備える。
第2バンド部62bは、上述のクランプ40のバンド部41と同様の構成部品であるが、両側の端部に鋸刃部42を備えている点で相違する。なお、第2クランプ62の鋸刃部42において、第1把持部42aは、それぞれ鋸刃形状42bよりも第1バンド部61bの中央側に設けられている。
【0039】
また、図9及び図10に示すように、第1クランプ61は、連結部50により、継手本体10と第1バンド部61bとが連結されている。さらに、第2クランプ62は、連結部50により、継手本体10と第2バンド部62bとが連結されている。
このような構成とすることで、両側クランプ60は、第1クランプ61が第1バンド部61bの両端に備える係合部43と、第2クランプ62が第2バンド部62bの両端に備える鋸刃部42とが、それぞれ互いに向き合う状態となる。これにより、図11に示すように、第1クランプ61の係合部43と第2クランプ62の鋸刃部42とが、継手本体10の端部において二か所締結される。
【0040】
また、クランプ40が連結部50によって継手本体10と係合部43とが連結されているのに対し、両側クランプ60の第1クランプ61と第2クランプ62は、連結部50によってそれぞれ第1バンド部61b及び第2バンドと継手本体10とが連結されている。
つまり、本実施形態におけるクランプ40の係合部43は継手本体10に直接固定され、継手本体10に対して相対移動しないことに対し、第1クランプ61の係合部43は鋸刃部42と同様に継手本体10に対して相対移動する。このため、クランプ40及び両側クランプ60において鋸刃部42と係合部43との締結に係る作業性は、鋸刃部42と係合部43との位置合わせのしやすさにおいて相違する。また、両側クランプ60は継手本体10の一方の端部において鋸刃部42と係合部43との締結部が二か所あることから、作業時の視認性において相違する。
【0041】
施工現場においては、上記の相違点を考慮した上で、クランプ40及び両側クランプ60のいずれを用いるかを任意に選択可能である。
なお、図12に示すように、両側クランプ60を用いた場合であっても、工具Tによる鋸刃部42と係合部43の締結作業は、クランプ40と同様に実施可能である。
【0042】
以上説明したように、本実施形態に係る電気融着継手100によれば、継手本体10とクランプ40とが、連結部50によって連結される。これにより、電気融着継手100の施工現場においてクランプ40が脱落することを防ぐことができる。よって、部品を紛失する可能性がなくすことができる。
また、継手本体10に挿入された管Pは、鋸刃部42と係合部43とを備えたクランプ40によって仮固定される。このとき、例えば使用者は、第1把持部42aと第2把持部43aとを挟み込むように把持することで、鋸刃形状部と鋸刃受け部43bとを係合させることができる。これにより、例えば、ボルト締結を用いて管Pを仮固定するクランプ40と比較して、仮固定の工程を容易にすることができる。よって、手軽に管Pを固定することができる。
【0043】
また、連結部50が、継手本体10とクランプ40のバンド部41とを連結する。これにより、鋸刃部42と係合部43とが自由に動くことができる。よって、比較的容易にクランプ40に工具Tを掛けやすくすることができる。
【0044】
また、連結部50が、継手本体10とクランプ40の係合部43とを連結する。つまり、継手本体10に係合部43が固定される。よって、鋸刃部42を係合部43に位置合わせする際、安定して作業を行うことができる。
【0045】
また、第1バンド部61bの両端に設けられた係合部43を備える第1クランプ61と、第2バンド部62bの両端に設けられた鋸刃部42を備える第2クランプ62と、を備える。更に、継手本体10と第1クランプ61及び第2クランプ62とが、連結部50によって連結される。言い換えれば、継手本体10の端部の円周上において、鋸刃部42及び係合部43が、それぞれ2個ずつ設けられている。これにより、鋸刃部42及び係合部43を見つけやすくすることができる。よって、よりクランプ40の固定作業を行いやすくすることができる。
【0046】
また、連結部50が、継手本体10と、第1クランプ61の第1バンド部61b及び第2クランプ62の第2バンド部62bとを連結する。これにより、鋸刃部42と係合部43とが自由に動くことができる。よって、比較的容易にクランプ40に工具Tを掛けやすくすることができる。
【0047】
また、連結部50が、継手本体10と第1クランプ61の第1バンド部61b及び第2クランプ62の少なくとも一方の係合部43とを連結する。つまり、第2バンド部62bの両端に設けられた係合部43のうち、少なくとも一方が継手本体10に固定されている。よって、少なくとも一方の鋸刃部42を係合部43に挿入する際、安定して作業を行うことができる。
【0048】
また、一方の端に鋸刃部42、及び他方の端に係合部43を備えたクランプ40が、前記継手本体10の周方向に複数設けられている。つまり、継手本体10の周方向において、互いに隣り合うクランプ40の鋸刃部42と係合部43とが対向する。これにより、クランプ40の固定作業によって生じる管Pの締付力をより均等にすることができる。
【0049】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、クランプ40を有する電気融着継手100において、継手本体10とバンド部41とを連結部50によって連結してもよい。
また、両側クランプ60を有する電気融着継手100において、継手本体10と第1クランプ61の係合部43とを連結部50によって連結してもよい。
また、両側クランプ60において、第1クランプ61に鋸刃部42を備え、第2クランプ62に係合部43を備える構成としてもよい。
【0050】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0051】
10 継手本体
40 クランプ
41 バンド部
42 鋸刃部
42a 第1把持部
42b 鋸刃形状
43 係合部
43a 第2把持部
50 連結部
61 第1クランプ
61b 第1バンド部
62 第2クランプ
62b 第2バンド部
100 電気融着継手
P 管
T 工具
図1
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