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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149259
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】スピーカ
(51)【国際特許分類】
   H04R 9/02 20060101AFI20220929BHJP
   H04R 9/04 20060101ALI20220929BHJP
   H04R 3/00 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
H04R9/02 102E
H04R9/04 105Z
H04R3/00 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021051322
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】田地 良輔
(72)【発明者】
【氏名】金子 雅史
(72)【発明者】
【氏名】坂下 忠
【テーマコード(参考)】
5D012
5D220
【Fターム(参考)】
5D012BA06
5D012BB03
5D012BC06
5D012FA03
5D012GA01
5D220AA41
(57)【要約】
【課題】ボイスコイルの位置を高精度で検出可能なスピーカを提供する。
【解決手段】スピーカは、磁気回路を形成するヨークと、固定的に配置される第1磁石と、前記磁気回路の磁束が通過するギャップに配置されるボイスコイルと、前記ボイスコイルに接続され該ボイスコイルと共に振動する振動板と、前記ボイスコイルおよび前記振動板を含む振動部に設けられる第2磁石と、前記第1磁石が発生する第1磁束と前記第2磁石が発生する第2磁束の両方の磁束が通過する位置に設けられる磁気センサとを含む。前記第1磁束の向きと前記第2磁束の向きは異なっている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気回路を形成するヨークと、
固定的に配置される第1磁石と、
前記磁気回路の磁束が通過するギャップに配置されるボイスコイルと、
前記ボイスコイルに接続され該ボイスコイルと共に振動する振動板と、
前記ボイスコイルおよび前記振動板を含む振動部に設けられる第2磁石と、
前記第1磁石が発生する第1磁束と前記第2磁石が発生する第2磁束の両方の磁束が通過する位置に設けられる磁気センサとを備え、
前記第1磁束の向きと前記第2磁束の向きが異なっている
スピーカ。
【請求項2】
前記第1磁石は、前記ヨークと前記磁気回路を形成する磁石である、請求項1に記載のスピーカ。
【請求項3】
前記振動部は、前記ボイスコイルが巻回されたボビンを含み、前記第2磁石が前記ボビンと前記ボイスコイルと前記振動板の何れかに設けられている、請求項1又は2に記載のスピーカ。
【請求項4】
前記磁気センサが設けられる位置は、前記ボビン又は前記ボイスコイルの外周側である、請求項3に記載のスピーカ。
【請求項5】
前記磁気センサは、前記振動部の振動方向と交差する平面内における前記第1磁束と前記第2磁束との合成磁束の向きの変化を検出する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のスピーカ。
【請求項6】
前記磁気センサによって検出された前記第1磁束と前記第2磁束との合成磁束の向きの変化から前記振動部の変位量を算出する制御部を有する、請求項5に記載のスピーカ。
【請求項7】
前記磁気センサが設けられる位置において、前記第1磁束の向きと前記第2磁束の向きとは直交する、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のスピーカ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピーカに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、センターポールと、絶縁体層と非磁性の導電体層とからなるボビンを有するボイスコイルボビンとの間に形成される静電容量を検出して電気信号として出力するスピーカがある。検出した静電容量は、MFB(Motional Feed Back)回路で音の歪みを解消するために用いられる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-020153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来のスピーカは、検出対象となる静電容量が外乱ノイズの影響を受け難くなるように工夫しているが、外乱ノイズによる静電容量の変化は本来の検出値よりも大きくなりやすく、ゼロ点の検知を行いにくいことから、ボイスコイルの位置の検出精度がMFB回路での音の歪みを十分に解消できるレベルではない。
【0005】
そこで、ボイスコイルの位置を高精度で検出可能なスピーカを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態のスピーカは、磁気回路を形成するヨークと、固定的に配置される第1磁石と、前記磁気回路の磁束が通過するギャップに配置されるボイスコイルと、前記ボイスコイルに接続され該ボイスコイルと共に振動する振動板と、前記ボイスコイルおよび前記振動板を含む振動部に設けられる第2磁石と、前記第1磁石が発生する第1磁束と前記第2磁石が発生する第2磁束の両方の磁束が通過する位置に設けられる磁気センサとを含み、前記第1磁束の向きと前記第2磁束の向きが異なっている。
【発明の効果】
【0007】
ボイスコイルの位置を高精度で検出可能なスピーカを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】スピーカ100を示す図である。
図2】磁気センサ120と磁束の向きを示す図である。
図3】スピーカ100のボイスコイル105への印加電圧に対するボイスコイル105の変位を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明のスピーカを適用した実施形態について説明する。
【0010】
<実施形態>
図1は、スピーカ100を示す図である。図1(A)には図1(B)におけるA-A矢視断面を示す。図1(B)はスピーカ100を振動板およびダンパを削除して上面側から見た状態を示す平面図である。ここでは、図1(A)における上下関係を用いて説明するが、普遍的な上下関係を表すものではない。上面側はスピーカ100の表側であり、音が出力される側である。下面側はスピーカ100の裏側である。
【0011】
また、以下では、平面視とは上面側又は下面側から見ることをいう。また、直角、直交、垂直、上下等の文言は、実施形態の効果を損なわない程度のずれを許容するものとする。
【0012】
スピーカ100は、フレーム101、振動板102、エッジ103、ボビン104、ボイスコイル105、ダンパ106、ヨーク107、第1磁石108、トッププレート109、第2磁石110、磁気センサ120、台座130を含む。ボビン104及びボイスコイル105、さらに振動板102は、振動部の一例である。スピーカ100は平面視で円形であり、図1(A)、図1(B)にはスピーカ100の中心軸Cを示す。
【0013】
フレーム101は、スピーカ100の筐体であり、金属又は樹脂等で略円錐形に作製される。フレーム101は図1(B)に示すように下側に保持部101Aを有する。保持部101Aは、トッププレート109の上面に固定されている。なお、図1(A)では保持部101Aを省略する。
【0014】
振動板102は、紙又は樹脂あるいは薄い金属板製でありボイスコイル105の上下方向への振動によって振動され、音を発生する。振動板102は、全体が略円錐形、平面視で円環形であり、外周側はゴム等の弾性材料で形成されたエッジ103を介してフレーム101に接続され、内周側はボビン104に接続される。振動板102の円環形状の中心は、平面視で中心軸Cと一致している。
【0015】
ボビン104は、紙又は樹脂等で作製された円筒状の部材であり、上端は振動板102の内周側と接続されるとともに、ダンパ106の内周側に接続されている。ボビン104の下部の外周にはボイスコイル105が巻回されており、ボビン104及びボイスコイル105は、後述するギャップ107Gに上側から差し込まれている。ボビン104の円筒形状の中心は、平面視で中心軸Cと一致している。ボビン104は振動板102の内周側に一体に形成されていてもよい。
【0016】
ヨーク107は、スピーカ100の裏側に設けられている。ヨーク107は、平面視で円形であり、図1(A)に示すように断面視でアーム状の形状を有する磁性体製の部材である。ヨーク107の外周側の端部107Aは、第1磁石108を保持している。ヨーク107の内周側の上端部107Bは、ギャップ107Gを挟んでトッププレート109の内周面に面している。すなわち、ヨーク107の上端部107Bの外周面とトッププレート109の内周面との間に磁気空隙である環状のギャップ107Gが形成されている。ヨーク107の円形状の中心は、平面視で中心軸Cと一致している。
【0017】
第1磁石108は、図1(B)に示すように円環状の永久磁石である。第1磁石108の円環形状の中心は、平面視で中心軸Cと一致している。第1磁石108は、上面側と下面側のうちの一方がN極で他方がS極になるように着磁されている。第1磁石108が発生する磁束は、トッププレート109、ギャップ107G、ヨーク107を通過して第1磁石108に帰還する。磁気センサ120が位置する上下方向の高さ位置においては、第1磁石が発生する磁束の向きは、図1(B)の中央部に8本の矢印Bで示す通り、平面視において中心軸Cに向かう方向である。第1磁石108が発生する磁束は、第1磁束の一例である。
【0018】
トッププレート109は、平面視で円環状の磁性体製の部材であり、第1磁石108の上に固定されている。トッププレート109の円環形状の中心は、平面視で中心軸Cと一致している。トッププレート109は、ヨーク107及び第1磁石108とともに磁気回路を構成している。
【0019】
第2磁石110は、ボビン104の外周面におけるボイスコイル105よりも上側の位置に取り付けられている。第2磁石110はボビン104の周方向の一か所に取り付けられており、平面視において後述する磁気センサ120と対向し、または磁気センサ120と上下方向に重なるように配置されている。第2磁石110は、N極及びS極を有する永久磁石であり、矢印Dで示す向きを有する磁束を発生する。第2磁石110の磁束は、第2磁束の一例である。第2磁石110の磁束は、平面視においてボビン104の外周面がなす円の接線方向である。ここで、第1磁石108が発生する磁束のうち、第2磁石110の平面視における中心を通る磁束の向きを矢印B1で示す。矢印B1で示す第1磁石108の磁束の向きと、矢印Dで示す第2磁石110の磁束の向きとは、平面視で直交する。このような第2磁石110は、ボイスコイル105の位置を検出するために、磁気センサ120に所定の密度の磁束(所定の強度の磁界)を提供できればよいため、第1磁石108よりも小さい磁石でよい。
【0020】
磁気センサ120は、トッププレート109の上に台座130を介して設けられている。台座130は磁気センサ120の高さを調整するために設けられており、例えば樹脂製である。磁気センサ120は、平面視において中心軸Cと第2磁石110の中心とを結ぶ直線上に位置する。このため、磁気センサ120の位置は、第1磁石108の磁束と、第2磁石110の磁束との向きが直交する位置である。
【0021】
磁気センサ120は、平面内における磁束の向きを検出可能なセンサであり、中心軸Cに垂直な平面内における磁束の向きを検出できるように配置されている。ボイスコイル105に音声信号の電流を流すと、ボビン104及びボイスコイル105は中心軸Cの方向に両矢印で示すように振動するため、磁気センサ120は、ボビン104及びボイスコイル105の振動方向と垂直な平面内における第1磁石108の磁束と第2磁石110の磁束との合成磁束の向きを検出することができる。磁気センサ120は、一例としてAMR(Anisotropic Magneto Resistance)素子、GMR(Giant Magnetic Resistance)素子、TMR(Tunnel Magneto Resistance)素子等のMR(Magneto Resistance)素子を含むセンサを用いることができる。ここでは一例として磁気センサ120がGMR素子を含むセンサである形態について説明する。
【0022】
図2は、磁気センサ120と磁束の向きを示す図である。図2には、第1磁石108の磁束のうち磁気センサ120の位置に存在する磁束の向きB1と、第2磁石110の磁束の向きDとを示す。また、図2には、直交座標系であるXYZ座標を示す。X方向は向きDと一致し、Y方向は向きB1と一致する。また、Z方向は図1に示す中心軸Cの方向と一致する。
【0023】
ボイスコイル105は中心軸Cの方向(Z方向)に振動するため、ボイスコイル105が音声信号に従って駆動されてZ方向に振動すると、第2磁石110もZ方向に振動する。ここで、向きDが、第2磁石110が発生する、ある特定の磁束を示すものとして考えると、第2磁石110がZ方向の振動によってZ方向に移動すると、図2に太い矢印で示すように、ある特定の磁束のZ方向における位置が変化する。磁気センサ120によって検出される第2磁石110の磁束の密度は、第2磁石110がZ方向(図1(A)における上方)に離れるほど低下するため、第2磁石110がZ方向の振動によってZ方向に移動すると、磁気センサ120をX方向に貫く磁束の密度(磁界の強度)が変化することになる。
【0024】
磁気センサ120は振動部ではなく磁気回路(固定体側)に取り付けられているため、磁気センサ120をY方向に貫く第1磁石108の磁束の密度(磁界の強度)は一定である。このため、磁気センサ120をX方向に貫く磁束の密度が変化すると、磁気センサ120を通るXY平面内における第1磁石108の磁束と第2磁石110の磁束との合成磁束の向きが変化する。このため、磁気センサ120は、ボイスコイル105のZ方向における振動に伴う合成磁束の向きの変化を検出することができる。
【0025】
ボイスコイル105のZ方向における変位は、振動板102の変位を表すため、磁気センサ120で上記合成磁束の向きの変化を検出することにより、振動板102、ボビン104、及びボイスコイル105のZ方向における変位を検出することができる。このような磁気センサ120で検出される合成磁束の向きと、ボイスコイル105のZ方向における位置又は変位との関係を予め測定してデータとして取得して、マイクロコンピュータ等からなる制御部のメモリに格納しておき、磁気センサ120で検出される合成磁束の向きに対応するボイスコイル105のZ方向における位置又は変位を出力する構成にすればよい。制御部はスピーカ100の内部に配置されていてもよいが、スピーカ100に外部から接続されてもよい。
【0026】
磁気センサ120はXY平面内における磁束(磁界)の向きを検出するセンサであり、磁界方向のみに応じて磁気抵抗が変化する特性を有する。磁気センサ120の磁気抵抗は、磁界の大きさによっては変化しない。このため、磁気センサ120は、外部ノイズ等の影響を受けにくく、高精度で磁束の向きを検出することができる。
【0027】
したがって、ボイスコイル105の位置を高精度で検出可能なスピーカ100を提供することができる。ボイスコイル105の位置を高精度で検出できることにより、適応信号処理において磁気センサ120によって検出される合成磁束の向きを表すマイクロコンピュータの出力(ボイスコイル105のZ方向における位置又は変位を表す出力)を用いてフィードバック制御を行えば、ボイスコイル105に入力される音声信号に対する音の歪みを低減することができる。
【0028】
スピーカ100は常にアンプから出力される音声信号に従って受動的に音声を出力する装置であり、音声信号に対する出力の歪が非常に大きく、ばらつきも大きく、過振による破損が生じ得る装置である。過去にもボイスコイルの振幅をフィードバックする技術は検討されたが、ノイズや、スピーカへの負担を最小化できるセンサが存在せず、音声信号に対する出力の歪みを高精度に補正することは困難であった。
【0029】
過去に試されたセンサは、レーザ、光、又は渦電流等を検出するセンサや、差動センサ、ムービングコイル等があるが、いずれもボイスコイルの位置を正確に特定できない、ノイズが大きい、又は、ボビンやボイスコイル等の振動部材への負担が大きい、温度変化に耐えられない、コストが高すぎるなどの課題があった。
【0030】
これに対して、上述のように合成磁束の向きを検出する磁気センサ120を用いたスピーカ100は、ボイスコイル105の位置を正確に特定でき、ノイズが小さく、ボビン104やボイスコイル105等の振動部材への負担が小さく、温度変化にも対応可能であり、低コストで実現することができる。
【0031】
また、第1磁石108は、ヨーク107と磁気回路を形成する磁石であるため、スピーカ100における既存の磁石を利用して、ボイスコイル105の位置を高精度で検出可能なスピーカ100を提供することができる。
【0032】
また、第2磁石110が、ボイスコイル105が巻回されているボビン104に取り付けられるので、ボイスコイル105の位置を第2磁石110で正確に検出することができ、ボイスコイル105の位置を高精度で検出可能なスピーカ100を提供することができる。
【0033】
また、磁気センサ120が設けられる位置は、ボビン104の外周側であるので、第1磁石108(磁気回路)と第2磁石110の双方に接近して配置しやすく、ボイスコイル105の位置を高精度で検出可能なスピーカ100を提供することができる。
【0034】
磁気センサ120は、ボイスコイル105の振動方向と垂直な平面内における第1磁石108の磁束と第2磁石110の磁束との合成磁束の向きの変化を検出するので、ボイスコイル105の振動による変位を合成磁束に対して最大限に反映させることができ、ボイスコイル105の位置の検出精度が向上する。
【0035】
また、磁気センサ120が設けられる位置において、第1磁石108の磁束と第2磁石110の磁束とは直交するので、第2磁石110の磁束の密度の変化(磁界の強度の変化)を合成磁束に対して最大限に反映させることができ、ボイスコイル105の位置の検出精度が向上する。
【0036】
図3は、スピーカ100のボイスコイル105への印加電圧に対するボイスコイル105の変位を示す図である。ボイスコイル105への印加電圧の絶対値が増大すると、線形的ではないがボイスコイル105に入力される音声信号の電流の絶対値も増大する。
【0037】
また、図3において破線で示す特性は、磁気センサ120で検出される合成磁束の向きに基づいて適応信号処理でフィードバック制御を行うことによって、印加電圧に対する音の歪みを補正した特性を示す。実線で示す特性は、磁気センサ120で検出される合成磁束の向きに基づいたフィードバック制御を行わずに適応信号処理で音の歪みを調整した場合の特性を示す。
【0038】
図3に示すように、磁気センサ120で検出される合成磁束の向きに基づいたフィードバック制御を行っていない実線の特性は、印加電圧の絶対値が大きい動作領域で歪みが大きいが、磁気センサ120で検出される合成磁束の向きに基づいたフィードバック制御を行った破線の特性は、印加電圧に対してボイスコイル105の変位が線形的に変化していることが分かる。
【0039】
磁気センサ120で合成磁束の向きを高精度に検出できるため、ボイスコイル105への印加電圧に対するボイスコイル105の変位の歪みをこのように線形的に補正することができる。すなわち、ボイスコイル105の変位における歪み率を改善することができる。
【0040】
また、磁気センサ120で検出される合成磁束の向きに基づいてボイスコイル105の変位を高精度に検出できるため、ボイスコイル105(ボイスコイル105および振動板102)の共振を制御することができるとともに、共振帯域以外においてもボイスコイル105の振動を高精度に制御することができる。
【0041】
また、磁気センサ120で検出される合成磁束の向きに基づいてボイスコイル105の変位を高精度に検出できるため、振動板102、エッジ103、ボビン104、ダンパ106等の破損等を高精度に検出することができる。また、これらの部材が破損している場合には、音声信号の供給元に対してエラー通知を行うことができる。
【0042】
また、磁気センサ120で検出される合成磁束の向きに基づいてボイスコイル105の変位を高精度に検出できるため、ダンパ106を用いずに振動板102の緩衝を電気的に制御できる可能性がある。
【0043】
また、磁気センサ120で検出される合成磁束の向きに基づいてボイスコイル105の変位を高精度に検出できるため、音声信号を増幅するアンプに入力する電力を最適化でき、アンプへの入力電力を低減でき、アンプの小型化を図ることができる。
【0044】
また、磁気センサ120で検出される合成磁束の向きに基づいてボイスコイル105の変位を高精度に検出できるため、ボイスコイル105の位置情報をもとにしたフィードバック制御により歪みを抑えることができる。
【0045】
また、磁気センサ120で検出される合成磁束の向きに基づいてボイスコイル105の変位を高精度に検出できるため、過大入力でスピーカ100が破損することを抑制でき、スピーカ100への入力信号に設けるマージン(余裕代)を小さくすることができる。
【0046】
なお、以上では、第2磁石110がボビン104に取り付けられる形態について説明したが、第2磁石110はボイスコイル105に取り付けられていてもよい。また、第2磁石110は、ボビン104及びボイスコイル105以外で、ボイスコイル105とともに振動する部分に取り付けられていてもよい。
【0047】
また、以上では、磁気センサ120がトッププレート109の上に設けられた台座130の上に配置される形態について説明したが、磁気センサ120は第2磁石110の磁束を検出可能な位置であれば、磁気回路やフレーム101等の固定部側のどこに配置されてもよい。
【0048】
また、以上では、磁気センサ120の位置が、第1磁石108の磁束と、第2磁石110の磁束との向きが直交する位置である形態について説明した。しかしながら、磁気センサ120は合成磁束の向きを検出できればよいため、第1磁石108の磁束と、第2磁石110の磁束との向きは直交していなくてもよい。第1磁石108の磁束の向きと、第2磁石110の磁束の向きとが異なる位置であればよい。
【0049】
また、以上では、ボビン104及びボイスコイル105の振動方向と垂直に交差する平面内において、磁気センサ120が第1磁石108の磁束と第2磁石110の磁束との合成磁束の向きを検出する形態について説明した。しかしながら、磁気センサ120が第1磁石108の磁束と第2磁石110の磁束との合成磁束の向きを検出する平面は、ボビン104及びボイスコイル105の振動方向と垂直ではなくてもよく、交差していればよい。交差していれば、ボビン104及びボイスコイル105の振動に伴う第1磁石108の磁束と第2磁石110の磁束との合成磁束の向きの変化を検出できるからである。
【0050】
また、以上では、磁気センサ120が第1磁石108の磁束と第2磁石110の磁束との合成磁束の向きを検出する形態について説明した。第1磁石108は固定されており、第2磁石110はボビン104及びボイスコイル105の振動に伴って移動する。このような第1磁石108の代わりに、スピーカ100内に固定的に配置される磁石を設けて第1磁石として用いて、このような第1磁石の磁束と第2磁石110の磁束との合成磁束の向きを磁気センサ120が検出してもよい。磁気センサ120で検出される合成磁束の向きに基づいてボイスコイル105の変位を高精度に検出できるからである。また、このようにスピーカ100内に固定的に配置される磁石の磁束と、第1磁石108の磁束と、第2磁石110の磁束との合成磁束の向きを磁気センサ120が検出してもよい。
【0051】
以上、本発明の例示的な実施形態のスピーカについて説明したが、本発明は、具体的に開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0052】
100 スピーカ
102 振動板
104 ボビン
105 ボイスコイル
107 ヨーク
108 第1磁石
110 第2磁石
120 磁気センサ
図1
図2
図3