(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149293
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】ドア装置
(51)【国際特許分類】
E06B 7/36 20060101AFI20220929BHJP
E06B 3/48 20060101ALI20220929BHJP
E06B 3/36 20060101ALI20220929BHJP
E06B 7/06 20060101ALI20220929BHJP
E05D 15/48 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
E06B7/36 G
E06B3/48
E06B3/36
E06B7/06
E05D15/48 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021051367
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103137
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 滋
(74)【代理人】
【識別番号】100145838
【弁理士】
【氏名又は名称】畑添 隆人
(72)【発明者】
【氏名】持田 典之
【テーマコード(参考)】
2E014
2E015
2E036
【Fターム(参考)】
2E014AA02
2E014DA04
2E014DB07
2E015AA01
2E015BA03
2E015BA13
2E015BA14
2E015CA12
2E015DA01
2E015DA05
2E015EA04
2E015FA01
2E036JA03
2E036JC03
2E036LA06
2E036MA08
(57)【要約】
【課題】扉を第1扉体と第2扉体から構成してなる差圧緩和機構を備えたドア装置において、差圧発生時に第1扉体のみを開放させる時に、第1扉体と第2扉体との間に生じる隙間に起因する課題に対応する。
【解決手段】
開口部を開閉する扉を、第1扉体2と第2扉体3から構成してなり、開口部全閉姿勢から第1扉体2と第2扉体3が一体で第1側へ回動することで開口部が開放可能となっており、開口部全閉姿勢では、第1扉体2の戸尻側で高さ方向に延びる第1部位(戸尻側見込面23)と第2扉体3の戸先側で高さ方向に延びる第2部位(戸先側見込部34)が接近して対向しており、第1扉体2は、閉鎖姿勢にある第2扉体3の第2部位に対して、第1部位が第2側へ離隔するように回動可能となっており、第2部位(戸先側見込部34)に、平面視において、第2側から第1側に向かって戸先側に延びる傾斜部を設けて、指挟み軽減手段を形成している。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を開閉する扉を、第1扉体と第2扉体から構成してなり、
開口部全閉姿勢から前記第1扉体と前記第2扉体が一体で第1側へ回動することで前記開口部が開放可能となっており、
開口部全閉姿勢では、第1扉体の戸尻側で高さ方向に延びる第1部位と第2扉体の戸先側で高さ方向に延びる第2部位が接近して対向しており、
前記第1扉体は、閉鎖姿勢にある前記第2扉体の第2部位に対して、前記第1部位が第2側へ離隔するように回動可能となっており、
前記第1部位と前記第2部位の少なくとも一方の少なくとも部分は、指挟み衝撃緩和手段を備えている、
ドア装置。
【請求項2】
前記指挟み衝撃緩和手段は、平面視において、第2側から第1側に向かって戸先側に延びる傾斜部であり、
前記第2扉体に対して回動した前記第1扉体の前記第1部位が前記第2部位に接近した時に前記第1部位と前記第2部位の間に形成される隙間に、前記傾斜部が位置するようになっている、
請求項1に記載のドア装置。
【請求項3】
前記傾斜部は、平面視において段違いで延びる少なくとも2つの傾斜部を含んでいる、
請求項2に記載のドア装置。
【請求項4】
前記傾斜部は、前記第2部位に形成されており、
前記第1部位は、戸尻側見込面と、該戸尻側見込面の第2側から戸尻側に延びる突片と、からなり、前記第1扉体と前記第2扉体が一体化された状態では、前記突片の先端が前記傾斜部の第2側部位に近接しており、前記戸尻側見込面の第1側部位が前記傾斜部の第1側部位に近接しており、
前記第2扉体に対して回動した前記第1扉体の前記第1部位が前記第2部位に接近した時に、前記傾斜部が、前記第1部位の前記第1側部位に対向するようになっている、
請求項2、3いずれか1項に記載のドア装置。
【請求項5】
前記傾斜部の傾斜方向の中間部位は高さ方向に延びる凸部を形成しており、前記傾斜部は、第1側の第1傾斜部と、第2側の第2傾斜部と、前記凸部に形成された第3傾斜部と、から形成されている、
請求項2~4いずれか1項に記載のドア装置。
【請求項6】
前記第1扉体と前記第2扉体は連結手段によって一体化されて扉体を形成し、前記連結手段が解除されることで、前記第1扉体のみが回動可能となっており、
前記傾斜部は、前記第1部位と前記第2部位の少なくとも一方の高さ方向の中央部位を含む部位に形成されており、
前記連結手段の要素は、前記傾斜部を除く部位に設けてある、
請求項1~5いずれか1項に記載のドア装置。
【請求項7】
前記連結手段の前記要素は、前記第1部位と前記第2部位の少なくとも一方の上端部位に設けてある、
請求項6に記載のドア装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドア装置に係り、詳しくは、開口部全閉状態において扉によって仕切られる第1空間と第2空間との間に気圧差が生じた場合において、第1空間と第2空間の差圧を緩和し、扉の開放力を軽減することを可能とする差圧緩和機構を備えたドア装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
火災時に隣接室との間に圧力差を生じさせることで煙の侵入を防止する排煙設備や加圧防排煙設備等の煙制御手段を備える建物においては、開口部全閉状態の扉の内外に圧力差が生じる場合があり、この圧力差が扉の開放に対する抵抗となって扉の開放力が重くなると、避難及び消防活動に支障を生じるおそれがある。
【0003】
これに対して、扉を戸先側・戸尻側に縦方向に2分割し、通常時は2枚の扉体が連結されて一体扉として開閉動作可能とし、加圧時に扉体の連結が解除されて2枚に折れるように開くことで扉の内外空間を連通する隙間を生じさせて圧力差を軽減するドア装置がある。例えば、特許文献1には、扉を吊元扉と戸先扉に2分割し、面積の小さい戸先扉を先に開放することによって、第1空間と第2空間の圧力差を緩和して扉の開放力を軽減する差圧緩和機構が提案されている。
【0004】
このようなドア装置において、通常時には2枚の扉体が一体で開閉動作可能であるが、加圧時には2枚の扉体の連結が解除されて折れて隙間が生じ、差圧解消後に一体扉に戻るような挙動を示すことから、万が一、当該隙間に指が位置することを想定しておく必要がある。
【特許文献1】特許第5535348号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、扉を第1扉体と第2扉体から構成してなる差圧緩和機構を備えたドア装置において、差圧発生時に第1扉体のみを開放させる時に、第1扉体と第2扉体との間に生じる隙間に起因する課題に対応することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するべく本発明が採用した技術手段は、
開口部を開閉する扉を、第1扉体と第2扉体から構成してなり、
開口部全閉姿勢から前記第1扉体と前記第2扉体が一体で第1側へ回動することで前記開口部が開放可能となっており、
開口部全閉姿勢では、第1扉体の戸尻側で高さ方向に延びる第1部位と第2扉体の戸先側で高さ方向に延びる第2部位が接近して対向しており、
前記第1扉体は、閉鎖姿勢にある前記第2扉体の第2部位に対して、前記第1部位が第2側へ離隔するように回動可能となっており、
前記第1部位と前記第2部位の少なくとも一方の少なくとも部分は、指挟み衝撃緩和手段を備えている、
ドア装置、である。
【0007】
1つの態様では、前記指挟み衝撃緩和手段は、平面視において、第2側から第1側に向かって戸先側に延びる傾斜部であり、
前記第2扉体に対して回動した前記第1扉体の前記第1部位が前記第2部位に接近した時に前記第1部位と前記第2部位の間に形成される隙間に、前記傾斜部が位置するようになっている。
1つの態様では、前記傾斜部は、前記第2部位に形成されている。なお、前記第2部位
加えて、前記第1部位に傾斜部を形成してもよい。
【0008】
1つの態様では、前記傾斜部は、平面視において段違いで延びる少なくとも2つの傾斜部を含んでいる。
【0009】
1つの態様では、前記傾斜部は、前記第2部位に形成されており、
前記第1部位は、戸尻側見込面と、該戸尻側見込面の第2側から戸尻側に延びる突片と、からなり、前記第1扉体と前記第2扉体が一体化された状態では、前記突片の先端が前記傾斜部の第2側部位に近接しており、前記戸尻側見込面の第1側部位が前記傾斜部の第1側部位に近接しており、
前記第2扉体に対して回動した前記第1扉体の前記第1部位が前記第2部位に接近した時に、前記傾斜部が、前記第1部位の前記第1側部位に対向するようになっている。
【0010】
1つの態様では、前記傾斜部の傾斜方向の中間部位は高さ方向に延びる凸部を形成しており、前記傾斜部は、第1側の第1傾斜部と、第2側の第2傾斜部と、前記凸部に形成された第3傾斜部と、から形成されている。
【0011】
1つの態様では、前記第1扉体と前記第2扉体は連結手段によって一体化されて扉体を形成し、前記連結手段が解除されることで、前記第1扉体のみが回動可能となっており、
前記傾斜部は、前記第1部位と前記第2部位の少なくとも一方の高さ方向の中央部位を含む部位に形成されており、
前記連結手段の要素は、前記傾斜部を除く部位に設けてある。
【0012】
1つの態様では、前記連結手段の前記要素は、前記第1部位と前記第2部位の少なくとも一方の上端部位に設けてある。
こうすることで、指挟み衝撃緩和手段(傾斜部)を、操作者の手が位置し易い部位に配置することができる。
1つの態様では、開口部全閉姿勢では、第1扉体の上側で幅方向に延びる第3部位と第2扉体の上側で幅方向に延びる第4部位が接近して対向しており、第1扉体の下側で幅方向に延びる第5部位と第2扉体の下側で幅方向に延びる第6部位が接近して対向しており、前記連結手段の前記要素を、幅方向に延びる対向部位(第3部位と第4部位、あるいは、第5部位と第6部位)に設けてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、開口部全閉姿勢では、第1扉体の戸尻側で高さ方向に延びる第1部位と第2扉体の戸先側で高さ方向に延びる第2部位が接近して対向するものにおいて、前記第1部位と前記第2部位の少なくとも一方の少なくとも部分に指挟み衝撃緩和手段を設けることで、万が一、前記第1部位と前記第2部位の間に指が挟まれた場合の安全性を確保している。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態に係るドア装置(開口部全閉状態)を第1空間側から見た正面図である。
【
図2】本実施形態に係るドア装置(開口部全閉状態)を第2空間側から見た正面図である。
【
図3】本実施形態に係る第1扉体を第1空間側から見た正面図である。
【
図4】本実施形態に係る第2扉体を第1空間側から見た正面図である。
【
図5】左図は、
図1においてA方向から見た縦断面図である。右図は、
図1においてB方向から見た縦断面図である。
【
図6】上図、中図、下図は、それぞれ、
図1において、C方向、D方向、E方向から見た横断面図である。
【
図6A】
図6中図における、第1扉体と第2扉体の施錠部分(連結部分)の部分拡大図である。
【
図7】左図は、
図3における第1扉体の戸尻側見込面に設けたラッチ錠をC方向から見た部分側面図であり、右図は、
図4における第2扉体の戸先側見込面に設けた電気ストライクをC方向から見た部分側面図である。
【
図8】第1扉体の戸尻側部位の横断面図であり、上図は
図3におけるA方向から見た横断面図、下図は
図3におけるB方向から見た横断面図である。
【
図9】第2扉体の戸先側部位の横断面図であり、上図は
図4におけるA方向から見た横断面図、下図は
図4におけるB方向から見た横断面図である。
【
図10】
図6下図の部分拡大図であり、第1扉体の戸尻側見込面と、第2扉体の戸先側見込部との取り合いを示す図である。
【
図11】第2扉体の戸先側見込部の他の実施形態を示す図である。
【
図12】本実施形態に係る指挟み軽減手段を説明する図である。
【
図13】扉を第1扉体と第2扉体から構成してなる差圧緩和機構を備えた従来のドア装置において、第1扉体と第2扉体との間に生じる隙間に起因する課題を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本実施形態に係るドア装置は、第1空間と第2空間とを区画する躯体に設けられた開口部に設置される。ドア装置が設置される建物は、火災時に隣接室との間に圧力差を生じさせることで煙の侵入を防止する排煙設備や加圧防排煙設備等の煙制御手段を備えており、開口部全閉状態において、第1空間の圧力が第2空間の圧力よりも大きくなる場合がある。すなわち、本実施形態では、開口部全閉状態において、通常時には、第1空間と第2空間の気圧は略同じであるが、火災時等の非常時には、煙制御手段によって第1空間が第2空間に比べて高圧となる。本実施形態に係るドア装置は、差圧緩和機構を備えることで、第1空間と第2空間で気圧差が発生した場合であっても、扉の開放を円滑に行うことを可能とする。
【0016】
本実施形態に係るドア装置は、ドア枠1によって形成された開口部を開閉するものであり、戸先側に位置する第1扉体(戸先側扉体)2と戸尻側に位置する第2扉体(戸尻側扉体)3から構成された扉を備えており、第1扉体2は第2扉体3に対して回動可能に装着されており、第2扉体3はドア枠1に対して回動可能に装着されている。本実施形態に係る扉(第1扉体2、第2扉体3)は、開口部全閉姿勢から第1空間側に回動することで、建物開口部を開放する開き戸である。本明細書において、扉が開く側を「第1空間側」ないし「第1側」とし、反対側を「第2空間側」ないし「第2側」とする。後述するように、本実施形態に係るドア装置は親子両開き戸であり、第1扉体2と第2扉体3からなる扉体と、第3扉体4とによって開口部を閉鎖するようになっているが、ドア装置は片開き戸でも両開き戸でもよく、片開き戸は、第1扉体2と第3扉体からなる扉体のみから開口部を閉鎖するものである(
図12参照)。
【0017】
ドア枠1は、上枠10、第1縦枠11と、第2縦枠12と、下枠13と、からなる方形状の四周枠であり、内部に開口部を形成している。第1扉体2と第2扉体3からなる扉において、第2縦枠12は戸尻側縦枠であり、第3扉体4において、第1縦枠11は戸尻側縦枠である。第1扉体2と第2扉体3からなる扉は、第3扉体4に対して幅広であるが、これには限定されず、幅狭でも、同幅でもよい。第1扉体2と第2扉体3からなる扉が主扉として用いられる。1つの態様では、第3扉体4は、通常時には閉鎖姿勢にあり、閉鎖姿勢にある第3扉体4の戸先側に形成された縦長方形状の開口部(第3扉体4の戸先側部位が、当該開口部の戸先側部位となる)を、第1扉体2と第2扉体3からなる扉が開閉するようになっている。第1扉体2と第2扉体3は、第1扉体2が第2扉体3に対して閉鎖姿勢となって一体となった状態で縦長方形状の扉を形成し、縦長方形状の開口部を閉鎖する。
【0018】
本実施形態に係るドア装置は、差圧緩和機構ないし差圧緩和手段を備えており、開口部全閉姿勢からの通常の扉の開放時には、第2扉体3に対する第1扉体2の回動が規制されて第1扉体2と第2扉体3が一体で回動可能し、開口部全閉姿勢からの扉の開放初動時に扉開放の抵抗となる差圧が発生している場合には、第1扉体2のみを先に回動させて差圧を解消し、その後第1扉体2と第2扉体3を回動させて開口部を開放するように構成されている。
【0019】
本実施形態では、差圧緩和手段は、第1扉体2に設けた第1部材と第2扉体3に設けた第2部材からなる連結装置を備え、前記連結装置は、閉鎖姿勢にある第1扉体2を第2扉体3に連結可能となっている。前記連結装置は、通常時にはロック状態にあって、第2扉体3に対する第1扉体2の回動を規制して、第1扉体2と第2扉体3が一体で回動可能となっており、前記連結装置は、火災時等の非常時に生成される信号に基づいてロック状態が解除されて、第2扉体3に対する第1扉体2の回動を許容し、開口部全閉姿勢からの扉の開放初動時に、扉開放の抵抗となる差圧が発生している場合に、第1扉体2のみが回動可能となっている。なお、差圧緩和手段は、このような連結装置を用いるものに限定されるものではなく、例えば、公知の差圧緩和手段(例えば、特許文献1に開示されている差圧緩和機構)を用いてもよい。
【0020】
図1は、本実施形態に係るドア装置を第1空間側から見た正面図、
図2は同ドア装置を第2空間側から見た正面図であって、本実施形態に係るドア装置において、ドア枠1により形成された開口部を開閉する扉は、第1扉体2と第2扉体3からなる主扉と、第3扉体4と、からなる両開き扉である。第1扉体2は主として戸先側に位置する戸先側扉体であり、第2扉体3は主として戸尻側に位置する戸尻側扉体であり、第1扉体2は第2扉体3に対して回動可能に装着されており、第2扉体3はドア枠1の第2縦枠12に対して回動可能に装着されている。第3扉体4はドア枠1の第1縦枠11に対して回動可能に装着されている。
【0021】
図1~
図3に示すように、第1扉体2は、第1空間に面する第1見付面20と、第2空間に面する第2見付面21と、垂直に延びる戸先側見込面22と、垂直に延びる戸尻側見込面23と、水平に延びる戸先側上面24と、水平に延びる戸尻側上面25と、戸先側上面24の戸尻側端部と戸尻側上面25の戸先側端部との間で垂直に延びる上方中間見込面26と、水平に延びる戸先側下面27と、水平に延びる戸尻側下面28と、戸先側下面27の戸尻側端部と戸尻側下面28の戸先側端部との間で垂直に延びる下方中間見込面29と、を備えている。戸先側見込面22の高さ寸法は、戸尻側見込面23の高さ寸法よりも大きく、戸先側上面24は、戸尻側上面25よりも上方に位置しており、戸先側下面27は、戸尻側下面28よりも下方に位置している。第1扉体2は、段状の上面(戸先側上面24と戸尻側上面25)と段状の下面(戸先側下面27と戸尻側下面28)を備えており、正面視において、いわば横向き凸形状を備えている。
【0022】
第1扉体2の戸先側の下端部位には正面視方形状の切り欠き部が形成されており、当該切り欠き部には正面視方形状の閉鎖体5が回動可能に設けてある。開口部閉鎖状態において、閉鎖体5を回動させることで消防ホースの挿入開口が形成可能となっている。閉鎖体5の第1見付面50は第1扉体2の第1見付面20の一部を形成しており、閉鎖体5の第2見付面51は第1扉体2の第2見付面21の一部を形成しており、閉鎖体5の第1側端面52は第1扉体2の戸先側見込面22の一部を形成しており、閉鎖体5の第2側端面53は切り欠き部の側端面に近接しており、閉鎖体5の上端面54は切り欠き部の上側端面に近接しており、閉鎖体5の下端面55は第1扉体2の戸先側下面27の一部を形成している。閉鎖体5と切り欠き部の隙間は段部になっており、第1空間と第2空間を直線状に貫通する隙間が形成されないようになっている。
【0023】
図1、
図2、
図4に示すように、第2扉体3は、第1空間に面する第1見付面30と、第2空間に面する第2見付面31と、垂直に延びる上方戸先側見込面32と、垂直に延びる下方戸先側見込面33と、上方戸先側見込面32及び下方戸先側見込面33に対して戸尻側に位置する戸先側見込部34と、上方戸先側見込面32の下端と戸先側見込部34の上端で水平に延びる上側水平面35と、下方戸先側見込面33の上端と戸先側見込部34の下端で水平に延びる下側水平面36と、垂直に延びる戸尻側見込面37と、上方戸先側見込面32の上端と戸尻側見込面37の上端との間で水平に延びる上端面38と、下方戸先側見込面33の下端と戸尻側見込面37の下端との間で水平に延びる下端面39と、を備えており、いわば横向き凹形状を備えている。
【0024】
第2扉体3の戸尻側部位(本実施形態では戸尻側見込面37)は、ドア枠1の第2縦枠12に丁番14によって回動可能に装着されている。第2扉体3は、ドア枠1の上枠10の戸尻側部位間に近接して設けたドアクローザ15によって、ドア枠1に対して閉鎖方向に付勢されている。図示の態様では、第2扉体3の戸尻側部位は丁番14によって第2縦枠12に装着されているが、例えば、第2扉体3を、ピボットヒンジ(例えば中心吊型や持出吊型)を用いて上枠10および下枠13の戸尻側部位に回動可能に装着してもよい。
【0025】
図1、
図2、
図6に示すように、第3扉体4は、第1空間に面する第1見付面40と、第2空間に面する第2見付面41と、垂直に延びる戸先側見込面42と、垂直に延びる戸尻側見込面43と、水平に延びる上端面44と、水平に延びる下端面45と、からなる。第3扉体4の戸尻側部位(本実施形態では戸尻側見込面43)は、ドア枠1の第1縦枠11に丁番14によって回動可能に装着されている。
【0026】
第1扉体2は、第2扉体3に回動可能に装着されており、第1扉体2が第2扉体3に対して閉鎖姿勢となることで、第1扉体2と第2扉体3が一体となって一枚の扉を形成するようになっている。なお、図示の第1扉体2及び第2扉体3の形状は例示であって、第2扉体3に対する第1扉体2の回動を許容し、第1扉体2が第2扉体3に対して閉鎖姿勢となることで、第1扉体2と第2扉体3が一体となって一枚の扉を形成するものであれば、第1扉体2及び第2扉体3の形状は、図示の態様に限定されるものではない。例えば、第1扉体と第2扉体から扉を構成するものにおいて、第1扉体の高さ寸法を前記扉の高さ寸法よりも低背とし、第2扉体の上方戸先側見込面及び下方戸先側見込面が、前記扉の戸先側見込面の上側部位及び下側部位を形成するようにしてもよい。
【0027】
本実施形態では、第1扉体2が第2扉体3に対して閉鎖姿勢にある時には、第1扉体2の上方中間見込面26と第2扉体3の上方戸先側見込面32、第1扉体2の下方中間見込面29と第2扉体3の下方戸先側見込面33、第1扉体2の凸状部の周面(戸尻側上面25、戸尻側見込面23、戸尻側下面28)と第2扉体3の凹状部の周面(上側水平面35、戸先側見込部34、下側水平面36)が、それぞれ、隙間を存して近接対向している。
【0028】
第2扉体3に対して第1扉体2が閉鎖姿勢にある時には、第1扉体2の戸先側見込面22が主扉の戸先側見込面となり、第2扉体3の戸尻側見込面37が主扉の戸尻側見込面となり、第1扉体2の戸先側上面24と、第2扉体3の上端面38が主扉の上端面となり、第1扉体2の戸先側下面27と、第2扉体3の下端面39が主扉の下端面となる。
【0029】
第1扉体2の第1見付面20及び第2見付面21の戸先側部位には、高さ方向の中間部位に位置してハンドルHが設けてある。第1扉体2の戸先側部位にはラッチ(図示せず)が内蔵されており、ラッチは戸先側見込面22から突出した係止姿勢と、戸先側見込面22内に退避した退避姿勢との間で移動可能である。ラッチは係止姿勢を保つように付勢されており、第1扉体2の閉鎖姿勢時には、第3扉体4の戸先側見込面42に形成されたラッチ受け(図示せず)にラッチが係止することで、第1扉体2の閉鎖姿勢が維持される。ハンドルHの操作によって、係止姿勢にあるラッチを退避姿勢とすることで、第1扉体2の戸先側の係止状態が解除され、第1扉体2の開放が可能となる。第1扉体2と第2扉体3が連結されて一体化されている場合には、ハンドルHの操作でラッチの係止状態を解除させて、主扉(第1扉体2+第2扉体3)を開放させることができる。
【0030】
第1扉体2は、上側のヒンジ部P1と下側のヒンジ部P2からなるヒンジクローザによって、戸尻側上面25の戸先側部位、戸尻側下面28の戸先側部位が、第2扉体3の上側水平面35の戸先側部位、下側水平面36の戸先側部位に対して回動可能に装着されている。なお、本実施形態では、回動軸芯P(
図6参照)は、第1扉体2の幅の中央に位置しているが、回動軸芯Pの位置は、第1扉体2の幅方向中央に対して戸先側あるは戸尻側に偏倚していてもよい。
【0031】
第1扉体2は第2扉体3に対する閉鎖姿勢を維持する方向(閉鎖方向)に付勢されている。本実施形態では、ヒンジクローザは第1扉体2を閉鎖方向に付勢するスプリングを備えたヒンジクローザであり、第1扉体2の閉鎖手段としても機能する。より具体的には、上下の少なくともいずれか一方のヒンジ部(図示の態様では、下側のヒンジ部P2)には第1扉体2の閉鎖手段を構成するスプリングが内蔵されており、スプリングによって第1扉体2は閉鎖方向に付勢されている。本実施形態では、第1扉体2(ヒンジクローザ)の閉鎖力は、第2扉体3(ドアクローザ15)の閉鎖力よりも小さく設定されているが、これには限定されない。本実施形態では、第1扉体2の閉鎖手段はヒンジクローザに内蔵されているが、第1扉体2の回動部(ヒンジ)とは独立して閉鎖手段を設けてもよい。例えば、ヒンジクローザに代えて、閉鎖手段を備えてないピボットヒンジ(例えば中心吊型や持出吊型)を採用し、別個に付勢力を備えた部品(閉鎖手段)を設けてもよい。
【0032】
本実施形態において、下側のヒンジ部P2には、ヒンジクローザのトルクや速度調整機構が内蔵されており、第1扉体2の第1見付面20には、下側のヒンジ部P2に位置して方形の開口が形成されており、開口にはスチール製あるいはステンレス製のカバープレート200が螺子によって着脱可能に固定されている(
図3参照)。
【0033】
ドア装置は、閉鎖姿勢にある第1扉体2と第2扉体3を連結するための連結装置を備えている。上述のように、第1扉体2は第2扉体3に対して閉鎖姿勢を維持する方向に付勢されているが、連結装置がロック状態となることで、第2扉体3に対する第1扉体2の閉鎖姿勢が固定され、第2扉体3に対する第1扉体2の回動が規制される。通常時には、連結装置はロック状態にあり、第1扉体2は閉鎖姿勢で第2扉体3に固定されており、第1扉体2と第2扉体3は1枚の扉として一体で回動する。
【0034】
本実施形態では、連結装置は、火災時等の非常時に生成される信号に基づいてロック状態が解除されるように構成されており、ロック状態が解除されると(すなわち、第2扉体3に対する第1扉体2の固定状態が解除されると)、第2扉体3に対して第1扉体2の回動が可能となり、開口部全閉姿勢からの扉の開放初動時に、第1扉体2のみが回動可能となる。
【0035】
連結装置は、第1扉体2に設けた第1部材と第2扉体3に設けた第2部材からなり、第1部材と第2部材が固定されることで連結装置はロック状態となる。第1部材と第2部材は、第1扉体が第2扉体3に対して閉鎖姿勢にある時に互いに対向するように、第1扉体2、第2扉体3の所定部位にそれぞれ設けられる。
【0036】
1つの態様では、連結装置は電気錠から構成されており、第1部材と第2部材の組み合わせは、例えば、電気ストライクとラッチ錠の組み合わせ、モータ錠とストライクの組み合わせ、電磁石と磁性体の組み合わせから選択される。本実施形態では、後述するように、電気ストライクとラッチ錠の組み合わせを採用している。
【0037】
開口部全閉姿勢において、ドア枠1と、主扉(第1扉体2、第2扉体3)及び第3扉体4との隙間、第1扉体2と第2扉体3との隙間は、気密部材Sによって塞がれるようになっている。
【0038】
図6に示すように、ドア枠1の第1縦枠11において、閉鎖姿勢にある第3扉体4の戸尻側見込面43が近接対向する見込面110の第2空間側には、第1空間に向かって開口する溝部が開口高方向に亘って形成されており、溝部には気密部材Sが設けてあり、閉鎖姿勢にある第3扉体4の戸尻側の第2側角部が、気密部材Sに当接するようになっている。
【0039】
図6に示すように、ドア枠1の第2縦枠12において、閉鎖姿勢にある第2扉体3の戸尻側見込面37が近接対向する見込面120の第2空間側には、第1空間に向かって開口する溝部が開口高方向に亘って形成されており、溝部には気密部材Sが設けてあり、閉鎖姿勢にある第2扉体3の戸尻側の第2側角部が、気密部材Sに当接するようになっている。
【0040】
図5に示すように、上枠10において、閉鎖姿勢にある第1扉体2及び第2扉体3の戸先側上面24、上端面38が近接対向する下面100の第2空間側には、第1空間に向かって開口する溝部が開口幅方向に亘って形成されており、溝部には気密部材Sが設けてあり、閉鎖姿勢にある第1扉体2及び第2扉体3の上端の第2側角部が、気密部材Sに当接するようになっている。
【0041】
図5に示すように、第1扉体2、第2扉体3の下方部位には、主扉が全閉姿勢となった時に、第1扉体2の戸先側下面27、第2扉体3の下端面39を越えて下方に突出する気密部材Sが設けてあり、開口部全閉時において、気密部材Sが、下枠13の上面130に密着するようになっている。
【0042】
図6に示すように、第3扉体4の戸先側見込面42の見込方向の第1側は凹状の段部となっており、第2側部位には第1空間に向かって開口する溝部が高さ方向に亘って形成されており、溝部には気密部材Sが設けてある。第1扉体2の戸先側見込面22の見込方向の第1側は戸先側突片220が形成されており、第2側には凹状の段部が形成されており、第1扉体2、第3扉体4が閉鎖姿勢にある時に、第1扉体2の戸先側見込面22と第3扉体4の戸先側見込面42が近接し、第1扉体2の戸先側突片220が第3扉体の第1側の段部に位置し、第1扉体2の第2側の段部の角部が第3扉体4の溝部に設けた気密部材Sに密着するようになっている。
【0043】
第1扉体2が第2扉体3に対して閉鎖姿勢にある時には、第1扉体2の上方中間見込面26と第2扉体3の上方戸先側見込面32、第1扉体2の下方中間見込面29と第2扉体3の下方戸先側見込面33、第1扉体2の凸状部の周面(戸尻側上面25、戸尻側見込面23、戸尻側下面28)と第2扉体3の凹状部の周面(上側水平面35、戸先側見込部34、下側水平面36)が、それぞれ、隙間を存して近接対向している。
【0044】
図6上図に示すように、第1扉体2の上方中間見込面26と第2扉体3の上方戸先側見込面32との隙間に位置して、上方中間見込面26の第2側部位には、垂直方向に延びる溝部が形成されており、溝部には気密部材Sが高さ方向に亘って設けてあり、第2扉体3の上方戸先側見込面32の第2側部位が気密部材Sに密着するようになっている。
【0045】
第1扉体2の下方中間見込面29と第2扉体3の下方戸先側見込面33との隙間に位置して、下方中間見込面29の第2側部位には、垂直方向に延びる溝部が形成されており、溝部には気密部材が高さ方向に亘って設けてあり、第2扉体3の下方戸先側見込面33の第2側部位が気密部材に密着するようになっている(
図6上図に示す構成と同様である)。
【0046】
図5に示すように、第1扉体2の戸尻側上面25と第2扉体3の上側水平面35との隙間に位置して、水平方向に延びる溝部が形成されており、溝部には気密部材Sが水平方向に亘って設けてある。第2扉体3の上側水平面35の第2空間側部位は、水平面350と垂直面351からなる凹み部となっており、開口部全閉時には、前記溝部が凹み部に位置しており、気密部材Sが垂直面351に密着することで、第1扉体2の戸尻側上面25と第2扉体3の上側水平面35との隙間の第2側部位を塞ぐようになっている。
【0047】
図5に示すように、第1扉体2の戸尻側下面28と第2扉体3の下側水平面36との隙間に位置して、水平方向に延びる溝部が形成されており、溝部には気密部材Sが水平方向に亘って設けてある。第2扉体3の下側水平面36の第2空間側部位は、水平面360と垂直面361からなる凹み部となっており、開口部全閉時には、前記溝部が凹み部に位置しており、気密部材Sが垂直面361に密着することで、第1扉体2の戸尻側下面28と第2扉体3の下側水平面36との隙間の第2側部位を塞ぐようになっている。
【0048】
図3、
図6に示すように、第1扉体2の第1見付面20は、上方中間見込面26、下方中間見込面29を越えて戸尻側に突出する突片260、290となっており、開口部全閉時には、突片260、290の先端が、第2扉体3の上方戸先側見込面32、下方戸先側見込面33に近接するようになっている。
【0049】
図4、
図6に示すように、第2扉体3の上方戸先側見込面32、下方戸先側見込面33は、見付方向に突出する回動規制部材8を備えており、第1扉体2の上方中間見込面26、下方中間見込面29には、回動規制部材8を受け入れ、回動規制部材8の移動範囲を制限する開口9が形成されている。回動規制部材8と開口9から回動角度規制手段が構成されており、回動角度規制手段は、差圧を解消可能な程度の第1扉体2の回動を許容し、開口部全閉時から第1扉体2のみが所定角度回動した時に第2扉体3に対する第1扉体2の回動を規制するようになっている。
【0050】
図6中図、
図8、
図9に示すように、第1扉体2の第2見付面21は、戸尻側見込面23を越えて戸尻側に突出する突片210となっており、突片210の先端側の内面には、高さ方向に亘って気密部材211が設けてある。
【0051】
第1扉体2の戸尻側見込面23の上端部位には、連結装置の第1部材を構成するラッチ錠6が設けてある。第1扉体2の戸尻側見込面23の上端部位には凸部が形成されており、凸部の端面23´からラッチ錠6のラッチLが突出するように付勢されている。後述するように、第2扉体3の戸先側見込部34の上端部位には、ラッチ錠6に対向して、連結装置の第2部材を構成する電気ストライク7が設けてある。
【0052】
図9に示すように、第2扉体3の戸先側見込部34は、断面視コ字形状の枠体からなる戸先側見込面34´を備え、第2扉体3の第1見付面30は、戸先側見込面34´を越えて戸先側に突出する突片300を備えている。
図9下図に示すように、突片300の先端には、平面視において、先端から第2側かつ戸尻側に傾斜状に延びる第1傾斜面340が形成されている。
【0053】
図9に示すように、第2扉体3の第2見付面31は、戸先側見込面34´まで延びており、戸先側見込面34´の端部には、平面視において、戸先側見込面34´を越えて第1側かつ戸先側に傾斜状に延びる第2傾斜面341が形成されている。第2傾斜面341は、戸先側見込部34の全高に亘って延びており、上側水平面35の凹み部の水平面350、及び、下側水平面36の凹み部の水平面360と共に、正面視コ字状の周縁を形成している。
【0054】
戸先側見込面34´には、上端部位を除いて、凸部16が高さ方向に亘って設けてある。
図9下図に示すように、凸部16は、第1側に位置する第1見付面160と、第2側に位置する第2見付面161と、を備え、第1見付面160の幅寸法は第2見付面161の見付幅寸法よりも大きい。凸部16は、さらに、第1見付面160の戸先側から第2側に延びる見込面162と、見込面162から第2見付面161に向かって戸尻側に傾斜状に延びる傾斜面163を備えている。
【0055】
第1傾斜面340の先端は、見込面162に当接ないし近接しており、見込面162の第2側部位1620が露出面となっている。第2傾斜面341は、戸先側見込面34´の全高に亘って延びており、第2傾斜面341の先端は、第2見付面161に当接ないし近接しており、第2見付面161の戸先側部位1610が露出面となっている。
【0056】
本実施形態では、第2扉体3の戸先側見込部34は、第1傾斜面340と、第2傾斜面341と、見込面162の第2側部位1620と、第2見付面161の戸先側部位1610と、傾斜面163と、からなり、平面視において、全体として、第2側から第1側に向かって戸先側に延びる傾斜部となっている。
【0057】
本実施形態では、第1傾斜面340と第2傾斜面341は、平面視において、同一の傾斜面上で延びており、第2扉体3の戸先側見込部34は、前記傾斜面と、前記傾斜面から突出する平面視台形状の凸部(見込面162の第2側部位1620と、第2見付面161の戸先側部位1610と、傾斜面163と、からなる部位)と、からなり、傾斜面163は、第1傾斜面340、第2傾斜面341からなる前記傾斜面に対して段違いで平行状に延びている。
【0058】
戸先側見込面34´の上端部位には、平面視方形状の凸部17が設けてある。凸部17は、第1見付面170と、第2見付面171と、見込面172を備えており、第1見付面170は、突片300の内面に当接しており、第2見付面171には、第2傾斜面341の先端が当接ないし近接している。見込面172は、突片300の先端より内側に位置しており、第1傾斜面340は、凸部17が形成された高さ位置までは延びていない(
図7右図参照)。
図4、
図7に示すように、第1傾斜面340の上端3400と、傾斜面163の上端は同じ高さに位置している。凸部16の第1見付面160と凸部17の第1見付面170は、同一垂直面上に位置しており、凸部16の第2見付面161と凸部17の第2見付面171は、同一垂直面上に位置しており、凸部16の見込面162と凸部17の見込面172は、同一垂直面上に位置している。
【0059】
第2扉体3の戸先側見込部34の上端部位に設けた凸部17には電気ストライク7が設けてあり、第1扉体2の戸尻側見込面23の上端部位に設けたラッチ錠6と共に連結装置を構成している。ラッチ錠6と電気ストライク7からなる連結装置は、停電時解錠タイプ(通電時施錠タイプ)として作動するものでも、あるいは、停電時施錠タイプ(通電時解錠タイプ)として作動するものでもよい。連結装置は、第1扉体2に設けたストライクプレート(図示せず)と、第2扉体3に設けた電磁式ロック(図示せず)と、からなるものでもよい。
【0060】
本実施形態では、連結装置を、第1扉体1の戸尻側見込面23及び第2扉体3の戸先側見込部34の上端部位に位置させて設けることで、第2扉体3の戸先側見込部34において、主扉(第1扉体2+第2扉体3)の高さ方向の中央部位(すなわち、操作者の手が位置し易い高さ位置)を含む部位に凸部16(すなわち、傾斜面163)が形成されることになる。連結装置を、例えば、第1扉体2の戸尻側上面25と第2扉体3の上側水平面35との間に設けることで、第2扉体3の戸先側見込部34において、主扉(第1扉体2+第2扉体3)の高さ方向の中央部位(すなわち、操作者の手が位置し易い高さ位置)を含む戸尻側見込面23、戸先側見込面34の全高に凸部16(すなわち、傾斜面163)を形成するようにしてもよい。
【0061】
図10に示すように、第1扉体2と第2扉体3が一体化された状態では、第1扉体2の突片210の先端が、第2扉体3の第2傾斜面341の基端部位にクリアランスc2を介して近接しており、突片210の内面に設けた気密部材211が、第2扉体3の凸部16の第2見付面161の戸先側部位1610に密着しており、第2扉体3の突片300の先端は、第1扉体2の戸尻側見込面23の第1側部位にクリアランスc1を介して近接している。本実施形態では、第1傾斜面340と第2傾斜面341は共通の傾斜面上に位置しているが、第1傾斜面340と第2傾斜面341の間には、第1傾斜面340及び第2傾斜面341に対して段違い状に平行して延びる傾斜面163が設けてあり、クリアランスc1とクリアランスc2が直線状に連通することがなく、防火上有利である。
図6Aは、第1扉体2と第2扉体3が一体化された状態における施錠部分の横断面図を示し、第1扉体2のラッチ錠6と第2扉体3の電気ストライク7が施錠状態にある。第1扉体2の突片210の先端が、第2扉体3の第2傾斜面341の基端部位にクリアランスc2を介して近接しており、突片210と第2扉体3の凸部17の第2見付面171が対向しており、突片210の内面に設けた気密部材211が、凸部17の第2見付面171に密着している。第2扉体3の突片300の先端は、第1扉体2の戸尻側見込面23の第1側部位にクリアランスc1を介して近接しており、突片300の内面は、第1扉体2の戸尻側見込面23の上端部位に形成した凸部の見付面23´´に対向している。第1扉体2の戸尻側見込面23の上端部位に形成した凸部の端面23´は、第2扉体3の凸部17の見込面172と近接対向している。
図6Aに示すように、施錠部分においても、クリアランスc1とクリアランスc2が直線状に連通することがなく、防火上有利である。
【0062】
図11を参照しつつ、他の実施形態に係る第2扉体3の戸先側見込部34´を説明する。上述の実施形態と同一の要素については同一の参照番号が付してあり、同一の参照番号が付された要素については、既述の説明を援用することができる。戸先側見込面34´には、上端部位を除いて、凸部16´が高さ方向に亘って設けてある。
図11下図に示すように、凸部16´は、第1側に位置する第1見付面160´と、第2側に位置する第2見付面161´と、を備えている。凸部16´は、さらに、第1見付面160´の戸先側から第2側に延びる見込面162´と、見込面162´から第2見付面161´に向かって戸尻側に傾斜状に延びる傾斜面163´を備えている。傾斜面341´は、戸先側見込面34´の全高に亘って延びており、傾斜面341´の先端は、第2見付面161´に当接ないし近接しており、第2見付面161´の戸先側部位1610´が露出面となっている。
【0063】
図11に示す本実施形態では、第2扉体3の戸先側見込部34´は、傾斜面341´と、第2見付面161´の戸先側部位1610´と、見込面162´と、傾斜面163´と、からなり、平面視において、全体として、第2側から第1側に向かって戸先側に延びる傾斜部となっている。傾斜面163´と傾斜面341´は、段違いで平行状に延びている。
【0064】
図11に示すように、第1扉体2と第2扉体3が一体化された状態では、第1扉体2の突片210の先端が、第2扉体3の傾斜面341´の基端部位にクリアランスc2を介して近接しており、突片210の内面に設けた気密部材211が、第2扉体3の凸部16´の第2見付面161´の戸先側部位1610´に密着しており、第2扉体3の突片300´の先端は、第1扉体2の戸尻側見込面23の第1側部位にクリアランスc1を介して近接している。傾斜面163´と傾斜面341´は、段違いで平行状に延びており、クリアランスc1とクリアランスc2が直線状に連通することがなく、防火上有利である。
【0065】
本実施形態において、開口部全閉姿勢において、火災時等の非常時に生成される信号に基づいて連結装置のロック状態が解除されると(すなわち、第2扉体3に対する第1扉体2の固定状態が解除されると)、第2扉体3に対して第1扉体2の回動が可能となり、差圧が発生している場合には、第1扉体2は、回動軸芯Pを中心として、戸先側部位が第1側に移動し、戸尻側部位が第2側に移動するように、回動する。このように差圧発生時には、開口部全閉姿勢からの扉の開放初動時に、第1扉体2のみが所定角度回動するが、差圧が解消されると、ヒンジクローザの付勢力によって、第1扉体2は第2扉体3と一体化する方向に回動する。
【0066】
第2扉体3に対して第1扉体2が回動する時には、第1扉体2の戸尻側見込面23の第1側部位が第2扉体3の戸先側見込部34から第2側に離隔するが、差圧が解消されると、第2扉体3に対して回動した第1扉体2は、戸尻側見込面23の第1側部位が、第2扉体3の戸先側見込部34に接近するように回動する。第2扉体3に対して第1扉体2が閉鎖状態となる少し前には、第1扉体2の戸尻側見込面23の第1側部位と第2扉体3の戸先側見込部34との間に指が挟まれる程度の狭さの隙間が形成される。より具体的には、第2扉体3に対して回動した第1扉体2の戸尻側見込面23の第1側の角部が、第2扉体3の戸先側見込部34に接近した時に、前記第1側の角部と戸先側見込部34の傾斜部(第1傾斜面340、第2傾斜面341、傾斜面163)が対向して、その間に隙間が形成されるようになっている。仮に、この隙間に操作者の指が位置した場合であっても、隙間を形成する一方の部位は傾斜部(第1傾斜面340、第2傾斜面341、傾斜面163)となっているので、指が挟まれた場合であっても、衝撃が緩和される。第2扉体3の戸先側見込部34の上端部位には電気ストライク7を設けるスペースを確保することで、傾斜部(第1傾斜面340、傾斜面163)は形成されていないが、電気ストライク7は、手が届き難い高さ位置にあるため、誤って指が挟まれる可能性は極めて低いものとなっている。
【0067】
このことを、
図12と
図13を対比しつつ説明する。
図12、
図13に示す態様では、ドア装置は片開きドアであって、枠体によって形成される開口部は、第1扉体と第2扉体からなる扉によって開閉されるようになっている。扉は、ピボットヒンジ14´によって第2縦枠12に対して回動可能となっている。
図13は、扉を第1扉体と第2扉体から構成してなる差圧緩和機構を備えた従来のドア装置において、第1扉体2´と第2扉体3´との間に生じる隙間に指が位置した場合を示す。第2扉体3´に対して第1扉体2´が閉鎖状態となる少し前には、第1扉体2´の戸尻側部位と第2扉体3´の戸先側部位との間に指が挟まれる程度の狭さの隙間が形成されるが、この隙間は、第1扉体の戸尻側部位の角部と、第2扉体の戸先側部位の角部の間に形成されるため、この隙間に置かれた指は角部間に挟まれることになる。
【0068】
これに対して、本実施形態では、
図12に示すように、第2扉体3に対して第1扉体2が閉鎖状態となる少し前には、第1扉体2の戸尻側部位と第2扉体3の戸先側部位との間に指が挟まれる程度の狭さの隙間が形成されるが、この隙間は、第1扉体2の第1扉体2の戸尻側見込面23の第1側の角部と、第2扉体3の戸先側見込部34の傾斜部(第1傾斜面340、第2傾斜面341、傾斜面163)の間に形成されるため、この隙間に置かれた指には第2扉体3の戸先側見込部34の傾斜部が接触するため、両側から角部で挟まれる場合に比べて衝撃が緩和され、また、当該隙間から指を抜く時の衝撃も緩和される。
【符号の説明】
【0069】
1 ドア枠
2 第1扉体
23 戸尻側見込面(第1部位)
210 突片
3 第2扉体
16 凸部
34 戸先側見込部(第2部位)
340 第1傾斜面(傾斜部、第1傾斜部、指挟み衝撃緩和手段)
341 第2傾斜面(傾斜部、第2傾斜部、指挟み衝撃緩和手段)
163 傾斜面(傾斜部、第3傾斜部、指挟み衝撃緩和手段)
341´ 傾斜面(傾斜部、指挟み衝撃緩和手段)
163´ 傾斜面(傾斜部、指挟み衝撃緩和手段)
6 ラッチ錠(連結手段の要素)
7 電気ストライク(連結手段の要素)