(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149303
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】半導体装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/28 20060101AFI20220929BHJP
H01L 23/50 20060101ALI20220929BHJP
H01L 21/301 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
H01L23/28 J
H01L23/50 B
H01L21/78 F
H01L21/78 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021051387
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エイブリック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】市田 智也
(72)【発明者】
【氏名】秋野 勝
【テーマコード(参考)】
4M109
5F063
5F067
【Fターム(参考)】
4M109AA01
4M109BA01
4M109DA07
4M109DA10
5F063AA04
5F063AA35
5F063BA17
5F063BA48
5F063BB04
5F063BB11
5F063CA02
5F063CA04
5F063CB03
5F063CB05
5F063CB22
5F063CB25
5F067AA09
5F067BA01
5F067BB16
5F067BC11
5F067CA07
5F067DB01
(57)【要約】
【課題】リード間ショートを抑制する半導体装置を提供する。
【解決手段】隣接するリード2間の封止樹脂1の表面に、封止樹脂1が窪むように樹脂凹部4を設けることで、ダイシングによる個片化によってリード2間に発生する金属バリ3が分断され、金属バリ起因でリード2aとリード2bの間、あるいは、リード2bとリード2cの間で電気的にショートすることを抑制する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子と、
前記半導体素子の周囲に離間して設けられ、前記半導体素子と電気的に接続された複数のリードと、
前記半導体素子及び前記複数のリードを封止する封止樹脂と、を備え、
前記封止樹脂の一側面に露出して隣接する前記複数のリード間に樹脂凹部が設けられていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記一側面において、前記樹脂凹部の高さが前記複数のリードの高さよりも高いことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記一側面において、前記樹脂凹部が複数の前記リードに接して設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記樹脂凹部が前記一側面に面するすべての前記封止樹脂の表面に設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置
【請求項5】
前記樹脂凹部の奥行き方向の断面が直角三角形の斜辺部を円弧状とした形状であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記樹脂凹部の奥行き方向の断面が矩形であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記一側面において、前記樹脂凹部の高さが前記封止樹脂の上表面まで至ることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
半導体素子と、
前記半導体素子の周囲に離間して設けられ、前記半導体素子と電気的に接続された複数のリードと、
前記半導体素子及び前記複数のリードを封止する封止樹脂と、を備え、
前記封止樹脂の一側面に露出して隣接する前記複数のリード間に樹脂凹部が設けられる半導体装置の製造方法であって、
ダイパッドと前記ダイパッドの周囲に離間して設けられた前記複数のリードとからなる単位リードフレームが複数個格子状に配列されてなる多面付リードフレームを準備する工程と、
前記多面付リードフレーム上に前記半導体素子を載置する工程と、
前記半導体素子と前記複数のリードとを電気的に接続する工程と、
前記半導体素子と前記複数のリードを前記封止樹脂で封止して封止体を形成する工程と、
前記封止体の裏面側からレーザー照射して前記複数のリード間の前記封止樹脂を除去する工程と、
前記封止体をブレードダイシングによって個片化する工程と、
を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
半導体素子と、
前記半導体素子の周囲に離間して設けられ、前記半導体素子と電気的に接続された複数のリードと、
前記半導体素子及び前記複数のリードを封止する封止樹脂と、を備え、
前記封止樹脂の一側面に露出して隣接する前記複数のリード間に樹脂凹部が設けられる半導体装置の製造方法であって、
ダイパッドと前記ダイパッドの周囲に離間して設けられた前記複数のリードとからなる単位リードフレームが複数個配列され、上段の前記単位リードフレームの前記複数のリードと下段の前記単位リードフレームの前記複数のリードとが互いに平行に配置され、前記上段の前記単位リードフレームに対し前記下段の前記単位リードフレームがずれてなる多面付リードフレームを準備する工程と、
前記多面付リードフレーム上に前記半導体素子を載置する工程と、
前記半導体素子と前記複数のリードとを電気的に接続する工程と、
前記半導体素子と前記複数のリードを前記封止樹脂で封止して封止体を形成する工程と、
前記封止体をブレードダイシングによって個片化するとともに、前記複数のリード間の前記封止樹脂を除去する工程と、
を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
半導体素子と、
前記半導体素子の周囲に離間して設けられ、前記半導体素子と電気的に接続された複数のリードと、
前記半導体素子及び前記複数のリードを封止する封止樹脂と、を備え、
前記封止樹脂の一側面に露出して隣接する前記複数のリード間に樹脂凹部が設けられる半導体装置の製造方法であって、
ダイパッドと前記ダイパッドの周囲に離間して設けられた前記複数のリードとからなる単位リードフレームが複数個格子状に配列されてなる多面付リードフレームを準備する工程と、
前記多面付リードフレーム上に前記半導体素子を載置する工程と、
前記半導体素子と前記複数のリードとを電気的に接続する工程と、
前記多面付リードフレームを封止する金型であって、前記樹脂凹部を形成するための金型凸部を有する金型を準備する工程と、
前記金型を用いて、前記半導体素子を載置した多面付リードフレームを封止樹脂で封止して封止体を形成する工程と、
前記封止体をブレードダイシングによって個片化する工程と、
を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体パッケージの形態の一つとしてDFN(Dual Flat Nonleaded)パッケージがある。DFNパッケージは一般的に、樹脂封止されたリードフレーをダイシングブレードによって個片化することで製造され、封止樹脂の側面からリードが露出し、リード端面と封止樹脂とが面一になる構造を持つものである。
【0003】
図21は、一般的なDFNパッケージの個片化後の側面を示したものであるが、DFNパッケージは上記の通りダイシングブレードによって個片化を行うため、パッケージ側面のリード端面に金属バリ3が発生する。金属バリ3が発生すると実質的なリード間距離D2は、設計上のリード間距離D1よりも短くなる。実質的なリード間距離D2が短くなると、特に高湿下での製品動作テストなどにおいて、リード間でショートに至り、目的とする電気特性を得ることが出来ないことがある。この問題を解決するために、リード先端を細くする半導体装置が提案されている。(例えば、特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、リード先端を細くすることで、基板実装時の半導体装置に対する半田接合面積が減少することになるため、実装信頼性が低下することになる。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたもので、実装信頼性を損なうことなくリード間ショートを抑制する半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の半導体装置は、半導体素子と、前記半導体素子の周囲に離間して設けられ、前記半導体素子と電気的に接続された複数のリードと、前記半導体素子及び前記複数のリードを封止する封止樹脂と、を備え、前記封止樹脂の一側面に露出して隣接する前記複数のリード間に樹脂凹部が設けられていることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の半導体装置の製造方法は、半導体素子と、前記半導体素子の周囲に離間して設けられ、前記半導体素子と電気的に接続された複数のリードと、前記半導体素子及び前記複数のリードを封止する封止樹脂と、を備え、前記封止樹脂の一側面に露出して隣接する前記複数のリード間に樹脂凹部が設けられる半導体装置の製造方法であって、ダイパッドと前記ダイパッドの周囲に離間して設けられた前記複数のリードとからなる単位リードフレームが複数個格子状に配列されてなる多面付リードフレームを準備する工程と、前記多面付リードフレーム上に前記半導体素子を載置する工程と、前記半導体素子と前記多面付リードフレームを構成する前記複数のリードを電気的に接続する工程と、前記半導体素子と前記複数のリードを封止樹脂で封止して封止体を形成する工程と、前記封止体の裏面側からレーザー照射して前記複数のリード間の前記封止樹脂を除去する工程と、前記封止体をブレードダイシングによって個片化する工程と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の半導体装置の製造方法は、半導体素子と、前記半導体素子の周囲に離間して設けられ、前記半導体素子と電気的に接続された複数のリードと、前記半導体素子及び前記複数のリードを封止する封止樹脂と、を備え、前記封止樹脂の一側面に露出して隣接する前記複数のリード間に樹脂凹部が設けられる半導体装置の製造方法であって、ダイパッドと前記ダイパッドの周囲に離間して設けられた前記複数のリードとからなる単位リードフレームが複数個配列され、上段の前記単位リードフレームの前記複数のリードと下段の前記単位リードフレームの前記複数のリードとが互いに平行に配置され、前記上段の前記単位リードフレームに対し前記下段の前記単位リードフレームがずれてなる多面付リードフレームを準備する工程と、前記多面付リードフレーム上に前記半導体素子を載置する工程と、前記半導体素子と前記多面付リードフレームを構成する前記複数のリードを電気的に接続する工程と、前記半導体素子と前記複数のリードを封止樹脂で封止して封止体を形成する工程と、前記封止体をブレードダイシングによって個片化するとともに、前記複数のリード間の前記封止樹脂を除去する工程と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の半導体装置の製造方法は、半導体素子と、前記半導体素子の周囲に離間して設けられ、前記半導体素子と電気的に接続された複数のリードと、前記半導体素子及び前記複数のリードを封止する封止樹脂と、を備え、前記封止樹脂の一側面に露出して隣接する前記複数のリード間に樹脂凹部が設けられる半導体装置の製造方法であって、ダイパッドと前記ダイパッドの周囲に離間して設けられた前記複数のリードとからなる単位リードフレームが複数個格子状に配列されてなる多面付リードフレームを準備する工程と、前記多面付リードフレーム上に前記半導体素子を載置する工程と、前記半導体素子と前記複数のリードとを電気的に接続する工程と、前記多面付リードフレームを封止する金型であって、前記樹脂凹部を形成するための金型凸部を有する金型を準備する工程と、前記金型を用いて、前記半導体素子を載置した多面付リードフレームを封止樹脂で封止して封止体を形成する工程と、前記封止体を個片化する工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
上記手段を用いることで、リード間ショートを抑制する半導体装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1実施形態にかかる半導体装置の構造図である。
【
図2】本発明の第2実施形態にかかる半導体装置おける構造図である。
【
図3】本発明の第3実施形態にかかる半導体装置おける構造図である。
【
図4】本発明の第4実施形態にかかる半導体装置おける構造図である。
【
図5】本発明の第5実施形態にかかる半導体装置おける構造図である。
【
図6】本発明の第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法を示す図である。
【
図7】本発明の第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法を示す図である。
【
図8】本発明の第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法を示す図である。
【
図9】本発明の第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法を示す図である。
【
図10】本発明の第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法を示す図である。
【
図11】本発明の第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法を示す図である。
【
図12】本発明の第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法を示す図である。
【
図13】本発明の第3実施形態にかかる半導体装置の製造方法を示す図である。
【
図14】本発明の第3実施形態にかかる半導体装置の製造方法を示す図である。
【
図15】本発明の第3実施形態にかかる半導体装置の製造方法を示す図である。
【
図16】本発明の第3実施形態にかかる半導体装置の製造方法を示す図である。
【
図17】本発明の第5実施形態にかかる半導体装置の製造方法を示す図である。
【
図18】本発明の第5実施形態にかかる半導体装置の製造方法を示す図である。
【
図19】本発明の第5実施形態にかかる半導体装置の製造方法を示す図である。
【
図20】本発明の第5実施形態にかかる半導体装置の製造方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の半導体装置の実施形態について図を用いて説明する。
【0013】
図1は、本発明の第1実施形態にかかる半導体装置の構造図である。
図1(a)は、半導体装置の裏面図である。半導体装置21の中央には半導体素子搭載部であるダイパッド5が配置され、ダイパッド5の左右の短辺には吊りリード9が設けられている。図示していないが、ダイパッド5の裏面と反対側の表面には半導体素子6が搭載されている。また、ダイパッド5と離間してその周囲に一定幅のリード2が複数配置され、リード2と半導体素子6は電気的に接続されている。ダイパッド5とリード2と半導体素子6は封止樹脂1で封止され、半導体装置21の外形は矩形形状である。そして、隣接するリード2の間の封止樹脂1には樹脂凹部4が設けられている。具体的には、樹脂凹部4は3つのリード2の間にのみに設けられ、リード2aとリード2bの間と、リード2bとリード2cの間にのみ樹脂凹部4が設けられている。
封止樹脂1の側面とリード2の端面は面一に形成されているが、隣接するリード2の間に位置する樹脂凹部4の部分においては封止樹脂1の表面が窪んだ凹形状をなしている。
【0014】
図1(b)は、
図1(a)におけるA-A線に沿った断面図である。リード2はA-A断面内には存在しないが破線で位置を示してある。半導体装置21の底面にはダイパッド5の裏面が露出し、ダイパッド5の表面上に半導体素子6が載置されている。また、ダイパッド5と離間する一定幅のリード2は半導体装置21の底面と側面に位置している。そして、ダイパッド5と半導体素子6とリード2は封止樹脂1によって矩形形状に一括封止されている。半導体装置21の底面と側面がなす隅部に樹脂凹部4が位置しており、その奥行き方向の断面形状は、1/4円の一部を除去した形状であり、直角三角形の斜辺部を外側に凸の円弧状とした形状である。これは半導体装置を個片化する際のダイシングブレードによって樹脂凹部4を形成するためであるが、その詳細は後述する製造工程の説明にて明らかにする。
【0015】
樹脂凹部4の樹脂凹部高さH2はリード高さH1よりも高い必要がある。仮に、樹脂凹部高さH2よりもリード高さH1の方が高い場合、リード2の上部においては樹脂凹部4が無く、金属バリ3によるリード間ショートが発生する可能性があるためである。他方、樹脂凹部奥行長さL2については特に制約はない。また、リード奥行長さL1の方が樹脂凹部奥行長さL2よりも長くなっているが、リード奥行長さL1よりも樹脂凹部奥行長さL2の方が長くなってもよく、樹脂凹部形成に使用するダイシングブレードの口径や半導体装置自体の大きさを加味して自由に選択できる。
【0016】
樹脂凹部4は隣接するすべてのリード間に必ず存在しなくてはならないということはなく、金属バリ3を加味しても十分なリード間距離を保てる場合には樹脂凹部は必須ではなく、必要なリード間のみに樹脂凹部を設置することでも構わない。例えば、隣接するリード間の電位差が大きい場合やリード間ショートが許されない場合は樹脂凹部4を設置し、製品特性上リード間ショートが許される場合や十分なリード間距離を有するデザインの場合には樹脂凹部4を設置しない構造とすることで、樹脂凹部を設置する手間を省くことができる。また、隣接するリード間に設置される樹脂凹部4は一つでなくてもよく、複数の樹脂凹部4が存在していてもよい。樹脂凹部の数が増えるほど効果的にリード間の沿面距離を大きくすることができる。
【0017】
図1(c)は、本発明の半導体装置のリードの露出する面からの側面図である。リード2は封止樹脂1から露出し、リード2の露出する面と封止樹脂1の表面は面一になっている。離間して設置されている複数のリード2の間に存在している封止樹脂1には樹脂凹部4が形成されている。リード2からは一定の方向に向かって金属バリ3が延びている。金属バリ3は意図して設置されたものではなく、パッケージダイシング工程によって半導体装置が個片化される際にリード2の金属がダイシングブレードの回転によって延び、封止樹脂1上に金属バリ3として発生したものである。そして、金属バリ3は隣接するリード2間に設けられた樹脂凹部4によって分断されている。
【0018】
仮に、樹脂凹部4が存在していない場合、隣接するリード間の実質的な距離は金属バリ3の長さ分だけ短くなる。実質的なリード間距離(
図21の「D2」に相当)が短くなると、隣接するリード2間にかかる電圧差が大きい場合や、高湿下での製品動作時に意図せずリード間ショートが発生することがある。金属バリ3はいつも一定の長さで存在するわけではなく、製造上のばらつきなどでその長さが変化する可能性があるが、樹脂凹部4を設置することで金属バリ3が分断されるだけでなく、一定以上の沿面距離を確保することができるため、リード間ショートを防ぐことができる。また、リード2は先端が細くなることもない一定幅であって、十分な実装面積を有するため実装信頼性を損なうこともない。一定以上の沿面距離を確保するためには樹脂凹部4を所定の奥行長さとする必要がある。
【0019】
以上の実施形態においては6つのリードを有するDFNパッケージを例に説明したが、発明の趣旨を逸脱しない範囲で自由に変更を加えることができる。例えば、ダイパッドが存在しないCOL(Chip on Lead)タイプなどのダイパッドレス構造のパッケージ、金属製の細線を使用せずリードと半導体素子とを金スタッドバンプなどを用いて電気的に接続するフリップチップ構造のパッケージ、複数の半導体素子を搭載したMCP(Multi Chip Package)、半導体素子に加えて受動部品を搭載した2in1タイプのパッケージ、半導体装置の実装信頼性と基板実装時の半田フィレット視認性を上げるためのウェッタブルフランク構造を併用したパッケージ、等にも本発明の実施形態を適用することができる。
【0020】
図2は、本発明の第2実施形態にかかる半導体装置の構造図である。
図1の半導体装置21との違いは隣接するリード2の間に設けた樹脂凹部4の形状が異なる点である。
図2(a)の裏面図に示すように、ダイパッド5と離間した一定幅のリード2が半導体装置22の両側面に配置され、3つのリード2の間にのみ樹脂凹部4が設けられている。そして、樹脂凹部4はリード2aの右端からリード2bの左端までのすべての領域にかけて設けられ、同様に、リード2bの右端からリード2cの左端にかけて設けられている。つまり、一方の樹脂凹部4はリード2aとリード2bにかけてリード2aとリード2bに接して設けられ、他方の樹脂凹部4はリード2bとリード2cにかけてリード2bとリード2cと接して設けられている。
【0021】
図2(b)は、
図2(a)におけるB-B線に沿った断面図である。半導体装置22の底面と側面がなす隅部に樹脂凹部4が位置しており、その奥行き方向の断面形状は矩形である。樹脂凹部高さH2はリード高さH1よりも高く設ける必要がある。他方、樹脂凹部奥行長さL2については、一定以上の沿面距離を確保するために所定の樹脂凹部奥行長さL2とする必要があり、樹脂凹部奥行長さL2をリード奥行長さL1の半分以上であることが好ましい。
【0022】
図2(c)は、本発明の半導体装置のリードの露出する面からの側面図である。リード2は封止樹脂1から露出し、リード2の露出する面と封止樹脂1の表面は面一になっている。樹脂凹部4はリード2aの右端からリード2bの左端までのすべての領域にかけて設けられ、同様に、リード2bの右端からリード2cの左端にかけて設けられている。さらに樹脂凹部4の高さはリード2の高さよりも高く設けられることでリード2aとリード2b間、およびリード2bとリード2c間に金属バリ3は見られない。リード2cの右端には樹脂凹部4が設けられていないため金属バリ3が存在しているが、リード2cの右側には他のリードが無く、この金属バリ3によってリード間ショートが起こる可能性は無い。
以上のように、本例の半導体装置22においては、隣接するリード2間に金属バリ3がなく、リード間ショートを抑制できる。また、リード2は一定の幅を持ち、十分な実装面積を有するため実装信頼性を損なうこともない。
【0023】
図3は、本発明の第3実施形態にかかる半導体装置の構造図である。
図2の半導体装置22との違いは隣接するリード2の間に設けた樹脂凹部4の配置領域が異なる点である。
図3(a)の裏面図においては、樹脂凹部4はリード2aの右端からリード2bの左端までのすべての領域にかけて設けられ、同様に、リード2bの右端からリード2cの左端にかけて設けられ、さらに、封止樹脂1の左側面からリード2aまでのすべての領域、封止樹脂1の右側面からリード2cまでのすべての領域にかけて設けられている。すなわち、半導体装置23の長辺側の封止樹脂1が露出する面のすべての領域に樹脂凹部4が設けられている。
【0024】
図3(b)は、本発明の半導体装置のリードの露出する面からの側面図である。リード2は封止樹脂1から露出し、リード2の露出する面と封止樹脂1の表面は面一になっている。樹脂凹部4はリード2aとリード2bまでの間、およびリード2bとリード2cまでの間のすべての領域だけでなく、リード2a、2cから封止樹脂1の側面までのすべての領域にかけて設けられている。さらに樹脂凹部4の高さはリード2の高さよりも高く設けられることで、リード2aとリード2b間、およびリード2bとリード2c間だけでなく、リード2cの右端やリード2aの左端にも金属バリ3は存在していない。
【0025】
図4は、本発明の第4実施形態にかかる半導体装置の構造図である。
図4(a)の裏面図においては、樹脂凹部4はリード2aの右端からリード2bの左端までのすべての領域にかけて設けられ、同様に、リード2bの右端からリード2cの左端にかけて設けられ、さらに、封止樹脂1の左側面からリード2aまでのすべての領域、封止樹脂1の右側面からリード2cまでのすべての領域にかけて設けられている。すなわち、半導体装置24の長辺側の封止樹脂1が露出する面のすべての領域に樹脂凹部4が設けられている。
【0026】
図4(b)は、半導体装置のリードの露出する面からの側面図である。
図3に示す半導体装置23との違いは樹脂凹部4の左右の上端部に庇領域41を設けた点である。庇領域41を設けたことで極めて効率的にリード簡の金属バリの発生を抑制することができる。
【0027】
図5は、本発明の第5実施形態にかかる半導体装置の構造図である。
図2の半導体装置22との違いは隣接するリード2の間に設けた樹脂凹部4の配置領域が異なる点である。
図5(a)の裏面図においては、樹脂凹部4はリード2aとリード2bの間、同様に、リード2bとリード2cの間に設けられ、さらに、封止樹脂1の左側面からリード2aの間、封止樹脂1の右側面とリード2cの間にも設けられている。
【0028】
図5(b)は、
図5(a)におけるT-T線に沿った断面図である。半導体装置25の側面端部に樹脂凹部4が設けられており、その奥行き方向の断面形状は矩形である。樹脂凹部高さH2は封止樹脂1の底面から上表面まで至り、リード高さH1よりも高いものである。他方、樹脂凹部奥行長さL2については、一定以上の沿面距離を確保するために所定の樹脂凹部奥行長さL2とする必要があり、樹脂凹部奥行長さL2をリード奥行長さL1の半分以上とすることが好ましい。
【0029】
図5(c)は、本発明の半導体装置のリードの露出する面からの側面図である。リード2は封止樹脂1から露出し、リード2の露出する面と封止樹脂1の表面は面一になっている。樹脂凹部4はリード2aとリード2bの間、リード2bとリード2cの間に設けられ、さらに、封止樹脂1の左側面とリード2aの間、封止樹脂1の右側面とリード2cの間にも設けられている。リード2からは一定の方向に向かって金属バリ3が延びているが、金属バリ3は隣接するリード2間に設けられた樹脂凹部4によって分断されている。そのため、本例の半導体装置25においては、隣接するリード2間のショートを抑制できる。また、リード2は一定の幅を持ち、十分な実装面積を有するため実装信頼性を損なうこともない。
【0030】
本例では、樹脂凹部4を封止樹脂1の左側面とリード2aの間、封止樹脂1の右側面とリード2cの間にも設けているが、樹脂凹部4はリード2aとリード2bの間、リード2bとリード2cの間のみに設ける形状としても良い。
【0031】
図6は、本発明の第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法を示す図である。まず、
図6(a)に示す銅合金もしくは鉄ニッケル合金などからなる多面付リードフレーム7を準備する。多面付リードフレーム7は、横方向(x方向)のフレーム枠7xと縦方向(y方向)のフレーム枠7yを備え、半導体素子搭載部となるダイパッド5はその横に設けられた吊りリード9を介してフレーム枠7yに接続され、ダイパッド5と上下方向に離間して配置された一定幅のリード2はフレーム枠7xに接続されている。フレーム枠7x、7yに囲われる最小領域である単位リードフレーム17には、1つのダイパッド5と6つのリード2が含まれるという構成である。
【0032】
隣接する単位リードフレーム17は最密に配置されず、横方向にスペース部8a、縦方向にスペース部8bが設けられている。多面付リードフレーム7は上下2段の単位リードフレームが配列された形状で、上段の単位リードフレーム17aのダイパッド5の下方に離間した複数のリード2が第1フレーム枠7xと接続され、下段の単位リードフレーム17bのダイパッド5の上方に離間した複数のリード2は第2フレーム枠7xに接続され、第1フレーム枠7xと第2フレーム枠7xはスペース部8bを挟んで平行に配置されている。また、上段の単位リードフレーム17aの複数のリード2と下段の単位リードフレーム17bの複数のリード2はフレーム枠7xを挟んで平行に配置されている。そして、上段の単位リードフレーム17aに対して下段の単位リードフレーム17bが行(横)方向にずれて配列されている。ダイパッド5の裏面の反対側の表面には半導体素子(図示せず)が搭載され、半導体素子とリード2は電気的に接続されている。ダイパッド5と半導体素子とリード2を含む多面付リードフレーム7が封止樹脂1で一括封止されている。
図6(a)は、多面付リードフレーム7が封止樹脂1で一括封止された封止体18を示す裏面図である。
【0033】
図6(b)は、樹脂封止された多面付リードフレーム7を個片化する工程途中図である。多面付リードフレーム7の横方向のフレーム枠7x(図示せず)に沿って裏面側からダイシングし、切削部10aを形成する。これによりリード2を多面付リードフレーム7から切り離す。ここではダイシングにフルカット方式を用いている。図示していないが、このとき切削部10aに露出した封止樹脂1とリード2は面一に形成され、ダイシングによって露出した封止樹脂1の表面には金属バリ(図示せず)が付着している。
【0034】
図7は、
図6(b)に続き、多面付リードフレーム7を個片化する工程を示す図である。多面付リードフレーム7の縦方向のフレーム枠7y(図示せず)に沿って裏面側からダイシングし、切削部10bを形成する。上下2段の単位リードフレーム17a、17bは上段の単位リードフレーム17aに対し下段の単位リードフレーム17bが行(横)方向にずれて配列されており、例えば、下段の単位リードフレーム17bのフレーム枠7yに沿ってダイシングして切削部10bを形成すると同時に、上段の単位リードフレーム17aの隣接するリード2の間の封止樹脂1まで切削して、この領域に切削部10cを形成する。この切削部10cが樹脂凹部4に相当する。
【0035】
図6(b)にて説明したように、横方向の切削を行っただけではリード2間の封止樹脂1の表面に金属バリが付着しているが、
図7に示すように、縦方向の切削を行い、樹脂凹部4を形成した時点で金属バリは分断されることになる。これによりリード間ショートを防ぐことができる。以上の工程を経て、単位リードフレーム17が切り出され個片化が完了する。
以上では、横方向(x方向)の切削を行った後に縦方向(y方向)の切削を行うという手順について説明したが、横縦を入れ替えて、縦方向の切削を行った後に横方向の切削を行うということでも良い。
【0036】
図8は、切削部を形成する工程をさらに詳しく説明するための図であり、
図7のC-C断面において切削部10b、切削部10cを形成する状況(
図6(b)から
図7へ至る状況)を図示している。半導体装置13、14および多面付リードフレーム7の裏面側を上向きとして、半導体装置13、14の表面側がダイシングテープ12に接着、固定されており、ダイシングブレード11によってブレードダイシングされている状態である。なお、
図7のC-C断面にリード2は存在しないが、半導体装置の上下の向き等の理解を助けるため破線でその位置を示している。
【0037】
ダイシングブレード11は図中に記載の左向き矢印の方向に向かって進んでおり、半導体装置13のフレーム枠7y(図示せず)に沿って切削し切削部10bを形成しながら、最後に半導体装置14のリード間に切削部10c(樹脂凹部4)を形成する。ブレードダイシング法による個片化の場合、円形のダイシングブレード11を高速で回転させることによって切削を行うため、切削部10cは断面的に1/4円の一部を除去した形状であり、直角三角形の斜辺部を外側に凸の円弧状とした形状となる。
【0038】
半導体装置13、14の表面側をダイシングテープ12に接着させ、裏面側から切削を行うのはダイシングブレード11が円形であるためであり、仮に、半導体装置の裏面側がダイシングテープ12と接着するように固定されていた場合、半導体装置14の裏面側の側面に切削部10cを形成するとともにダイシングブレード11の下端側に樹脂凹部4を形成しなくてはならなくなり、ダイシングブレード11が半導体装置14内部深くまで切削する必要がある。半導体装置の内部には半導体素子や金属細線などの構造物がありダイシングブレード11によってそれらの構造が破壊されないようにするためには半導体装置自体の大きさを十分大きく、内部構造を小さくする必要があるため、半導体装置全体が不必要に大きくなってしまう。本例のように、半導体装置の表面側をダイシングテープ12に固定させるようにしてダイシングをすることで、半導体装置が不必要に大きくなることを回避することができる。なお、切削部10cの切り込み形状は半導体装置14の厚さ、ダイシングブレード11の口径、ダイシングブレード11の切り込み量、スペース部8bの幅、などを変えることで自在に変更することができる。
【0039】
図9は、本発明の第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法を示す変形例である。本例では樹脂凹部の数を減らしつつ半導体装置間のスペース部を一部減らすことで、多面付リードフレーム一枚当たりの半導体装置の取れ個数を増やし、より生産性の高い製造方法について説明する。
【0040】
図9(a)は、多面付リードフレーム7が封止樹脂1で一括封止された封止体18の裏面図である。
図6(a)との違いは、リード2aとリード2bのリード間距離が十分広く、個片化時に発生する金属バリを考慮しても十分絶縁性が保てる距離とし、リード2bとリード2cのリード間距離を相対的に狭くし、個片化時に発生する金属バリによって絶縁性が保たれない可能性のある距離とした点である。横方向の隣接する単位リードフレーム17間にスペース部を設けない多面付リードフレーム7としている。また、上段の単位リードフレーム17aと下段の単位リードフレーム17bの間にはスペース部8b、8cを設け、上段の単位リードフレーム17aに対し下段の単位リードフレーム17bを行(横)方向にずれて配列している。以上のように、横方向のスペース部がなくなることで多面付リードフレーム7内に設置できる半導体装置の数が増え、生産性の高いものとなっている。
【0041】
図9(b)は、
図9(a)に続き、多面付リードフレーム7を個片化する工程を示す図である。多面付リードフレーム7の横方向のフレーム枠7x(図示せず)に沿って裏面側からダイシングして切削部10aを形成した後に、多面付リードフレーム7の縦方向のフレーム枠7y(図示せず)に沿って裏面側からダイシングして切削部10bを形成する。上段の単位リードフレーム17aに対し下段の単位リードフレーム17bが行(横)方向にずれて配列されており、例えば、下段の単位リードフレーム17bのフレーム枠7yに沿ってダイシングして切削部10bを形成すると同時に、上段の単位リードフレーム17aの隣接するリード2の間の封止樹脂1まで切削して、この領域に切削部10c(樹脂凹部4)を形成する。
図7との違いは切削部10c(樹脂凹部4)を設ける位置である。
図7ではリード2aとリード2bの間、およびリード2bとリード2cの間の両方に切削部10c(樹脂凹部4)を形成したが、本例ではリード2bとリード2cの間のみに切削部10c(樹脂凹部4)を形成している。これはリード2aとリード2bのリード間距離が十分広く、個片化時に発生する金属バリを考慮しても十分絶縁性が保てる距離とし、リード2bとリード2cのリード間距離を相対的に狭くし、個片化時に発生する金属バリによって絶縁性が保たれない可能性のある距離としているからである。
【0042】
図10は、本発明の第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法を示す変形例である。
図10(a)は多面付リードフレーム7が封止樹脂1で一括封止された封止体18の裏面図である。
図6(a)との違いは、横方向の隣接する単位リードフレーム17間にスペース部8aを設け、縦方向の上下段の単位リードフレーム17a、17b間にはスペース部を設けていない点である。以上のように、縦方向のスペース部がなくなることで多面付リードフレーム7内に設置できる半導体装置の数が増え、生産性の高いものとなっている。
【0043】
図10(b)は、
図10(a)に続き、多面付リードフレーム7を個片化する工程を示す図である。多面付リードフレーム7の横方向のフレーム枠7x(図示せず)に沿って裏面側からダイシングして切削部10aを形成した後に、多面付リードフレーム7の縦方向のフレーム枠7y(図示せず)に沿って裏面側からダイシングして切削部10bを形成する。上下2段の単位リードフレーム17a、17bは上段の単位リードフレーム17aに対し下段の単位リードフレーム17bが行(横)方向にずれて配列されており、例えば、下段の単位リードフレーム17bのフレーム枠7yに沿ってダイシングして切削部10bを形成すると同時に、上段の単位リードフレーム17aの隣接するリード2の間の封止樹脂1まで切削して、この領域に切削部10c(樹脂凹部4)を形成する。
図7と同様、リード2aとリード2bの間、およびリード2bとリード2cの間の両方に切削部10c(樹脂凹部4)を形成している。本例の多面付リードフレーム7の縦方向の単位リードフレーム間にはスペース部を設けていないため、フルカット方式ではなく、ステップカット方式のダイシングを用いるのが良い。すなわち、半導体装置の裏面側からハーフカットし、残りを表面側からダイシングするという手法でダイシングする。その詳細を次に説明する。
【0044】
図11は、
図10(b)のE-E線に沿った断面図であり、切削部10b、切削部10cを形成する状況を図示している。半導体装置13、14および多面付リードフレーム7の裏面側を上向きとして、半導体装置13、14の表面側がダイシングテープ12に接着、固定されており、ダイシングブレード11によって個片化されている状態である。なお、
図10のE-E断面にリード2は存在しないが、半導体装置の上下の向き等の理解を助けるため破線でその位置を示している。
【0045】
ダイシングブレード11は図中に記載の左向き矢印の方向に向かって進んでおり、半導体装置13のフレーム枠7y(図示せず)に沿って切削し切削部10bを形成しながら、最後に半導体装置14のリード間に切削部10c(樹脂凹部4)を形成する。その際、ステップカット方式の様に、半導体装置13側の側面を完全に切り離さず、上部だけをハーフカットして切り残し部15を残してダイシングを行う。
【0046】
フルカット方式でダイシングを行う場合、半導体装置13を完全に個片化するためにはダイシングブレード11がダイシングテープ12にわずかに切り込みを入れながら、半導体装置13が個片化されるまで半導体装置14側へ切削を続ける必要があり、半導体装置14の裏面側に形成される樹脂凹部4aが必要以上に大きくなってしまう。
図8で示した製造方法においては半導体装置13と半導体装置14の間にスペース部8bを設けることで、フルカット方式の切削を行っても、半導体装置14に形成される樹脂凹部4が大きくなりすぎないデザインになっているが、本例の多面付リードフレーム7には上段の単位リードフレーム17aと下段の単位リードフレーム17bの間にスペース部が存在していないため、フルカット方式を用いると樹脂凹部4aの横方向の切り込み幅が大きくなりすぎてしまう。不必要に大きい樹脂凹部4aは半導体装置14の品質低下や機能不全を招く恐れがあるため、樹脂凹部4aはリード間ショートを防ぐことができる必要最低限の大きさが望ましく、そのためには半導体装置13側に切り残し部15を形成するようにダイシングブレード11の切削深さを浅くしてダイシングを行う必要がある。
【0047】
次に、
図11(b)に示すように、半導体装置13、14の裏面側をダイシングテープ12に固着し、半導体装置13、14の表面側からダイシングを行う。これによって、
図11(a)で切削されずに残った切り残し部15を切削し、半導体装置13を完全に個片化することができる。ただし、切り残し部15を切削するために表面側からダイシングを行うと、半導体装置14の表面側に樹脂凹部4bが副次的に形成されるため、樹脂凹部4bの発生によって半導体装置14の内部に存在している半導体素子や金属細線、その他構造を破壊しないように注意をして、半導体装置14および樹脂凹部4bをデザインする必要がある。
【0048】
図12は、本発明の第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法を示す変形例である。
図12(a)は多面付リードフレーム7が封止樹脂1で一括封止された封止体18の裏面図である。
図6(a)との違いは、四リードタイプの単位リードフレーム17とし、隣接する単位リードフレーム17間のスペース部をなくし、単位リードフレーム17a、17bを最密配列した点である。スペース部がなくなることで多面付リードフレーム7内に設置できる半導体装置の数が増え、生産性の高いものとなっている。
【0049】
図12(b)は、
図12(a)に続き、多面付リードフレーム7を個片化する工程を示す図である。多面付リードフレーム7の横方向のフレーム枠7x(図示せず)に沿って裏面側からダイシングして切削部10aを形成した後に、多面付リードフレーム7の縦方向のフレーム枠7y(図示せず)に沿って裏面側からダイシングして切削部10bを形成する。上下2段の単位リードフレーム17a、17bは上段の単位リードフレーム17aに対し下段の単位リードフレーム17bが行(横)方向にずれて配列されており、例えば、下段の単位リードフレーム17bのフレーム枠7yに沿ってダイシングして切削部10bを形成すると同時に、上段の単位リードフレーム17aの隣接するリード2の間の封止樹脂1まで切削して、この領域に切削部10c(樹脂凹部4)を形成する。
図7と同様、リード2aとリード2bの間、およびリード2bとリード2cの間の両方に切削部10c(樹脂凹部4)を形成している。本例の多面付リードフレーム7の縦方向の単位リードフレーム間にはスペース部を設けていないため、フルカット方式ではなく、
図11に示すステップカット方式のダイシングを用いる。すなわち、半導体装置の裏面側からハーフカットし、残りを表面側からダイシングするという手法でダイシングする。
以上のように、四リードタイプとすることで、無駄の少ない生産性の高い半導体装置を得ることができる。
【0050】
図13は、本発明の第3実施形態にかかる半導体装置の製造工程を示す図である。まず、
図13(a)に示すように、多面付リードフレーム7を準備する。多面付リードフレーム7は矩形状のダイパッド5およびダイパッド5から離間して配置された複数のリード2を1つの単位リードフレーム17として、その単位リードフレーム17を格子状に複数配列するものである。破線で囲むように図示する単位リードフレーム17はフレーム枠7x、7yによって囲まれており、リード2はフレーム枠7xに接続され、ダイパッド5は吊りリード9を介してフレーム枠7yに接続されている。なお、多面付リードフレーム7は主に銅材や銅合金材からなるものである。
【0051】
ダイパッド5の裏面の反対側の表面には半導体素子(図示せず)が搭載され、半導体素子とリード2は電気的に接続されている。ダイパッド5とリード2を含む多面付リードフレーム7とダイパッド5上に搭載された半導体素子が封止樹脂1で一括封止されている。このとき、ダイパッド5の裏面とリード2の裏面は封止樹脂1から露出している。また、封止後にダイパッド5の裏面およびリード2の裏面に実装用のメッキ層が形成される。
図13(a)は、多面付リードフレーム7が封止樹脂1で一括封止された封止体18の裏面図である。
【0052】
図13(b)は、
図13(a)に示されるF-F線に沿った断面図である。この段階で隣接する単位リードフレーム17それぞれのリード2はフレーム枠7xを介して繋がっている。
【0053】
また、
図13(c)は、
図13(a)に示されるG-G線に沿った断面図である。この断面にリードは無く、ダイパッド5上の半導体素子6とフレーム枠7xとそれらを被覆する封止樹脂1が図示されている。
【0054】
図14は、
図13に続く、本発明の第3実施形態にかかる半導体装置の製造工程を示す図である。
図14(a)の裏面図に示すように、フレーム枠7xに沿ってレーザー16を照射し、リード2間の封止樹脂1を除去する。ここでは、封止樹脂1を選択的に除去できるレーザー16を用いる。レーザー16はフレーム枠7xに沿って、例えば左から右へ走査しながら照射されるが、一つのフレーム枠7xに対し、その上端側と下端側で2回走査するのが良い。上端側を走査する時は、平面視的にフレーム枠7xの上端部とその上の封止樹脂1の一部に跨るようなビーム径(入射加工径)でレーザー16を照射しながら走査する。同様に、下端側を走査する時はフレーム枠7xの下端部とその下の封止樹脂1の一部に跨るようなビーム径でレーザー16を照射しながら走査することで封止樹脂1を除去する。あるいは、2回走査に代えて1回走査にてフレーム枠7xの上部と下部の封止樹脂1を同時に除去する方法を用いても良い。1回走査の場合は、2回走査時に比べて大きいビーム径を用いる。すなわち、フレーム枠7xおよびその上端側の封止樹脂1の一部と下端側の封止樹脂1の一部を照射できるビーム径とする必要がある。
【0055】
図14(b)は、
図14(a)に示されるK-K線に沿った断面図である。リード2の裏面から照射されるレーザー16はリード2によって遮蔽され、封止樹脂1には照射されない。
【0056】
また、
図14(c)は、
図14(a)に示されるM-M線に沿った断面図である。この断面にリードは無く、フレーム枠7xとそれらを被覆する封止樹脂1に対しレーザー16が照射される。照射されるレーザー16の加工深さ(
図3(b)のH2に相当)はフレーム枠7xの高さ(
図3(b)のH1に相当)よりも大きいものとしている。このとき、必要に応じて焦点深度を変更しても良い、また、焦点深度の異なる走査を複数回行っても良い。レーザー16照射時に封止体18の裏面から垂直にレーザー入射させることで、
図3(b)に示す矩形形状の樹脂凹部4が形成され、封止体18の裏面から斜めにレーザー入射させることで
図4(b)に示すような庇領域41を有する形状の樹脂凹部4が形成される。
【0057】
レーザー16の照射後に、除去しきれなかった封止樹脂の残りがある場合は残留樹脂を除去することが好ましい。残留樹脂を除去する方法としては、研磨剤を封止樹脂1に吹き付けるドライブラスト加工法やウェットブラスト加工法、または、ウォータージェット法がある。封止体18のダメージを抑制しながら残留樹脂を除去するためにはウェットブラスト加工法やウォータージェット法が好適である。
【0058】
図15は、
図14に続く、本発明の第3実施形態にかかる半導体装置の製造工程を示す図である。
図15(a)の裏面図に示すように、ダイシングブレード11を用いて個片化する。ダイシングブレード11を用いてフレーム枠7xに沿って封止体18を切断する。なお、ダイシングブレード11による切断方向は封止体18の横方向(x方向)と縦方向(y方向)の両方向で行う。
【0059】
図15(b)は、
図15(a)に示されるN-N線に沿った断面図である。リード2の間にあるフレーム枠7xに沿ってダイシングブレード11を用いて切断される。ダイシングブレード11の幅をフレーム枠7xの幅よりも大きくすることでフレーム枠7xを完全に除去することができ、ダイシングによってリード2の切断面が形成されることになる。
【0060】
また、
図15(c)は、
図15(a)に示されるP-P線に沿った断面図である。樹脂凹部4の間にあるフレーム枠7xに沿ってダイシングブレード11を用いて切断される。フレーム枠7xの中心を狙ってダイシングしてフレーム枠7xを完全に除去し、隣接する樹脂凹部4を残すようにダイシングを行う。
【0061】
図16は、
図15に続く、本発明の第3実施形態にかかる半導体装置の製造工程を示す図である。
図16(a)は、ダイシングして個片化された半導体装置の裏面図である。ダイシングによって、フレーム枠7xとフレーム枠7yが除去され、個々の半導体装置23となる。
【0062】
図16(b)は、
図16(a)に示されるR-R線に沿った断面図である。リード2の側面は封止樹脂1から露出し、封止樹脂1の側面と面一となっている。
【0063】
図16(c)は、
図16(a)に示されるS-S線に沿った断面図である。リード2が無く、封止樹脂1の側面下部には樹脂凹部4が形成されている。樹脂凹部4は封止樹脂1の側面よりも窪んだ凹部となっているため樹脂凹部4には金属バリは付着しない。
【0064】
従来の半導体装置では、ダイシングによって
図21に示すように隣接するリード2間に金属バリ3が発生していたが、本発明の実施形態にかかる半導体装置では、窪んだ樹脂凹部4が存在するためリード2から金属バリが延びて樹脂凹部4の表面に付着することはない。これにより、半導体装置23は、リード間ショートを抑制する半導体装置とすることができる。また、本例の半導体装置21においては、リードの先端が細くなることがなく実装信頼性を損なうおそれもない。
【0065】
図17は、本発明の第5実施形態にかかる半導体装置の製造工程を示す図である。まず、
図17(a)に示すように、多面付リードフレーム7を準備する。多面付リードフレーム7は矩形状のダイパッド5およびダイパッド5から離間して配置された複数のリード2を1つの単位リードフレーム17として、その単位リードフレーム17を格子状に複数配列するものである。破線で囲むように図示する単位リードフレーム17はフレーム枠7x、7yによって囲まれており、リード2はフレーム枠7xに接続され、ダイパッド5は吊りリード9を介してフレーム枠7yに接続されている。なお、多面付リードフレーム7は主に銅材や銅合金材からなるものである。
【0066】
ダイパッド5の裏面の反対側の表面には半導体素子(図示せず)が搭載され、半導体素子とリード2は電気的に接続されている。ダイパッド5とリード2を含む多面付リードフレーム7とダイパッド5上に搭載された半導体素子が封止樹脂1で一括封止されている。このとき、ダイパッド5の裏面とリード2の裏面は封止樹脂1から露出している。また、封止後にダイパッド5の裏面およびリード2の裏面に実装用のメッキ層が形成される。
【0067】
図17(a)は、多面付リードフレーム7が封止樹脂1で一括封止された封止体18の裏面図であるが、
図13(a)に示す封止体18と異なるのは、隣接するリード2間の封止樹脂1の表面の一部が除去された樹脂凹部4を設けている点である。ここでは樹脂凹部4は隣接するリード2間だけでなく、フレーム枠7yとリード2の間の封止樹脂1の表面にも設けられている。
【0068】
図17(b)は、
図17(a)に示されるU-U線に沿った断面図である。この段階で上下に隣接する単位リードフレーム17それぞれのリード2はフレーム枠7xを介して繋がっている。
【0069】
また、
図17(c)は、
図17(a)に示されるV-V線に沿った断面図である。この断面にリードは図示されず、ダイパッド5上の半導体素子6とフレーム枠7xとフレーム枠7xの側面に設けられた樹脂凹部4、そして、それらを被覆する封止樹脂1が図示されている。樹脂凹部4は封止体18の底面から上表面に渡って設けられている。
【0070】
図18を用いて、
図17に図示した樹脂凹部4の付いた封止体18の成形について説明する。
図18(a)は、
図17(a)のU―U線に沿った封止体18の成形途中図である。半導体素子6を搭載した多面付リードフレーム7を封止するための金型19を準備する。金型19は上金型19aと下金型19bとから構成され、それらの間にはキャビティ30を有する。図の左側からキャビティ30に封止樹脂1を流入させ、半導体素子6とダイパッド5とリード2等を封止樹脂1にて封止することが図示されている。
【0071】
図18(b)は、
図17(a)のV―V線に沿った封止体16の成形途中図である。図示するように、上金型19aからキャビティ30に向かって突出するように金型凸部20が設けられている。金型凸部20は上金型19aの下表面から下方に突出し、その側面はフレーム枠7xの側面と接し、さらに、金型凸部20の先端は下金型19bの上表面に接している。
【0072】
逆に、金型19が、金型凸部20は下金型19bの上表面から上方に突出し、その側面がフレーム枠7xの側面に接し、さらに、金型凸部20の先端が上金型19aの下表面に接するという構造であっても良い。金型凸部20が下金型19bの上表面から上方に突出する場合、金型凸部20の先端が上金型19aの下表面に接する必要はなく、フレーム枠7xの上表面高さよりも金型凸部20の上表面高さが高くなるような設定となっていれば良い。なお、
図17に示した封止体18に形成された樹脂凹部4は、上述の金型凸部20に相対して形成されるものである。
【0073】
図19は、
図18に続く、本発明の第5実施形態にかかる半導体装置の製造工程を示す図である。
図19(a)の裏面図に示すように、ダイシングブレード11を用いて個片化する。すなわち、ダイシングブレード11を用いてフレーム枠7xに沿って封止体18を切断することで個片化する。なお、ダイシングブレード11による切断方向は封止体18の横方向(x方向)と縦方向(y方向)の両方向である。
【0074】
図示する形状では、隣接するリード2の間だけでなく、樹脂凹部4を封止樹脂1の左側面とリード2aの間、封止樹脂1の右側面とリード2cの間にも設けている。つまり、後に形成される半導体装置の角部となる部位にも樹脂凹部4が設けられている。一般に、横方向(x方向)と縦方向(y方向)のダイシングが交差する部位においては半導体装置の割れ欠けが発生しやすいが、本形状の場合は、該交差する部位が樹脂凹部4となっているため、半導体装置の割れ欠けを防止するという副次的な効果を有する。
【0075】
図19(b)は、
図19(a)に示されるW-W線に沿った断面図である。封止体18はリード2の間にあるフレーム枠7xに沿ってダイシングブレード11を用いて切断される。ダイシングブレード11の幅をフレーム枠7xの幅よりも大きくすることでフレーム枠7xを完全に除去することができ、ダイシングによってリード2の切断面が形成されることになる。
【0076】
また、
図19(c)は、
図19(a)に示されるZ-Z線に沿った断面図である。封止体18は樹脂凹部4の間にあるフレーム枠7xに沿ってダイシングブレード11を用いて切断される。フレーム枠7xの中心を狙ってダイシングしてフレーム枠7xを完全に除去し、隣接する樹脂凹部4を残すようにダイシングを行う。
【0077】
図20は、
図19に続く、本発明の第5実施形態にかかる半導体装置の製造工程を示す図である。
図20(a)は、ダイシングして個片化された半導体装置の裏面図である。ダイシングによって、フレーム枠7xとフレーム枠7yが除去され、個々の半導体装置25となる。
【0078】
図20(b)は、
図20(a)に示されるAA-AA線に沿った断面図である。リード2の側面は封止樹脂1から露出し、封止樹脂1の側面と面一となっている。
【0079】
図20(c)は、
図20(a)に示されるBB-BB線に沿った断面図である。リード2が無く、封止樹脂1の側面には樹脂凹部4が形成されている。樹脂凹部4は封止樹脂1の側面よりも窪んだ凹部となっているため樹脂凹部4には金属バリは付着しない。
【0080】
従来の半導体装置では、ダイシングによって
図21に示すように隣接するリード2間に金属バリ3が発生していたが、本発明の実施形態にかかる半導体装置25の製造方法を用いた場合、
図5に示すように、窪んだ樹脂凹部4が存在するためリード2から金属バリが延びて樹脂凹部4の表面に付着することはない。これにより、リード間ショートを抑制する半導体装置25とすることができる。なお、本例の半導体装置25においては、リードの先端が細くなることがなく実装信頼性を損なうおそれもない。
【符号の説明】
【0081】
1 封止樹脂
2、2a、2b、2c リード
3 金属バリ
4、4a、4b 樹脂凹部
5 ダイパッド
6 半導体素子
7 多面付リードフレーム
7x、7y フレーム枠
8a、8b、8c スペース部
9 吊りリード
10a、10b、10c 切削部
11 ダイシングブレード
12 ダイシングテープ
13、14,21,22,23,24 半導体装置
15 切り残し部
16 レーザー
17、17a、17b 単位リードフレーム
18 封止体
19 金型
19a 上金型
19b 下金型
20 金型凸部
30 キャビティ
41 庇領域
H1 リード高さ
H2 樹脂凹部高さ
L1 リード奥行長さ
L2 樹脂凹部奥行長さ
D1 設計上のリード間距離
D2 実質的なリード間距離