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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149311
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】端末装置、方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20220929BHJP
   G06Q 20/40 20120101ALI20220929BHJP
【FI】
G06T7/00 300F
G06Q20/40
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021051397
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】397077955
【氏名又は名称】株式会社三井住友銀行
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】篠崎 祐一
【テーマコード(参考)】
5L055
5L096
【Fターム(参考)】
5L055AA73
5L096CA02
5L096DA02
5L096FA14
5L096FA59
5L096HA08
5L096JA03
5L096JA11
(57)【要約】
【課題】ユーザの作業負担を軽減することが可能な、プラスチックカードの真正性を判定する端末装置、方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】プラスチックカードの真正性を判定する端末装置は、プラスチックカードがフラッシュ撮影された撮像画像の画像データを取得する取得手段と、撮像画像の明度に基づいて、プラスチックカードの真正性を判定する判定手段であって、真正性は、撮像画像が本物のプラスチックカードを撮像した画像であるかどうかを意味する、判定手段と、を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチックカードの真正性を判定する端末装置であって、
前記プラスチックカードがフラッシュ撮影された撮像画像の画像データを取得する取得手段と、
前記撮像画像の明度に基づいて、前記プラスチックカードの真正性を判定する判定手段であって、前記真正性は、前記撮像画像が本物の前記プラスチックカードを撮像した画像であるかどうかを意味する、判定手段と、
を備えることを特徴とする端末装置。
【請求項2】
前記判定手段は、前記撮像画像に白飛び領域が存在するかどうかを判定することを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記白飛び領域は、所定の大きさの領域であることを特徴とする請求項2に記載の端末装置。
【請求項4】
前記判定手段は、前記白飛び領域を除くその他の領域の明度が所定の範囲内にあるかどうか判定することを特徴とする請求項2または3に記載の端末装置。
【請求項5】
前記フラッシュ撮影を行うフラッシュモードを自動で設定する設定手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の端末装置。
【請求項6】
前記プラスチックカードは、本人確認書類の原本であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の端末装置。
【請求項7】
前記取得された画像データ及び前記真正性の判定結果を記憶装置から削除する削除手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の端末装置。
【請求項8】
プラスチックカードの真正性を判定する方法であって、前記方法は端末装置により実行され、
前記プラスチックカードがフラッシュ撮影された撮像画像の画像データを取得する取得ステップと、
前記撮像画像の明度に基づいて、前記プラスチックカードの真正性を判定する判定ステップであって、前記真正性は、前記撮像画像が本物の前記プラスチックカードを撮像した画像であることを意味する、判定ステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法を端末装置に実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プラスチックカードの真正性を判定することが可能な端末装置、方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
2018年11月に改正された犯罪収益移転防止法により、オンライン上で本人確認を完結させること(いわゆる、eKYC(electronic Know Your Computer))が認められるようになった。eKYCでは、写真付き本人確認書類(例えば、免許証、マイナンバーカード等)の画像は、本人確認書類の「厚みその他の特徴」を確認できるものである必要がある。「厚みその他の特徴」は、本人確認書類の外形等の特徴からその真正性(すなわち、本人確認書類が本物であるかどうか)を確認するためのものである。例えば、本人確認書類の厚みを確認できるようにするためには、本人確認書類を斜めの角度から撮影した画像が用いられる。
【0003】
特許文献1には、本人確認書類の厚さの判断精度を向上させるために、本人確認書類が方向転換する動画像を取得して、その厚さを解析し、その厚さが所定の条件を満たすか否かを判断する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-201693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した方法では、本人確認書類の厚みを確認できるようにするための画像をユーザが撮影する必要があり、端末装置の操作に不慣れなユーザにとって負担となっていた。
【0006】
本開示は、このような問題に鑑みてなされたものであり、ユーザの作業負担を軽減することが可能な、プラスチックカードの真正性を判定する端末装置、方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態によると、プラスチックカードの真正性を判定する端末装置は、前記プラスチックカードがフラッシュ撮影された撮像画像の画像データを取得する取得手段と、前記撮像画像の明度に基づいて、前記プラスチックカードの真正性を判定する判定手段であって、前記真正性は、前記撮像画像が本物の前記プラスチックカードを撮像した画像であるかどうかを意味する、判定手段と、を備える。
【0008】
また、一実施形態によると、プラスチックカードの真正性を判定する方法は、端末装置により実行され、前記プラスチックカードがフラッシュ撮影された撮像画像の画像データを取得する取得ステップと、前記撮像画像の明度に基づいて、前記プラスチックカードの真正性を判定する判定ステップであって、前記真正性は、前記撮像画像が本物の前記プラスチックカードを撮像した画像であることを意味する、判定ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、ユーザの作業負担を軽減することが可能な、プラスチックカードの真正性を判定する端末装置、方法、及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係る真正性判定システムの概要を説明する図である。
図2】一実施形態に係る端末装置の背面図及び前面図である。
図3】一実施形態に係る真正性判定処理を説明する図である。
図4】一実施形態に係る撮像画像の例を示す図である。
図5】一実施形態に係る端末装置のハードウェア構成例を示す図である。
図6】一実施形態に係る端末装置の機能構成例を示す図である。
図7】一実施形態に係る真正性判定処理のフローチャートである。
図8】一実施形態に係る真正性判定処理の詳細を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付の図面を参照して、本開示の実施形態について詳細に説明する。本明細書及び添付の図面を通して同じ要素には同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
【0012】
(システムの概要)
図1は、一実施形態に係る真正性判定システムの概要を説明する図である。
【0013】
真正性判定システムでは、ユーザはまず、端末装置101を用いて、写真付き本人確認書類(例えば、免許証、マイナンバーカード等)の原本であるプラスチックカード102を撮影する。その際、端末装置101は、撮影の際にフラッシュが発光するフラッシュモードで動作し、プラスチックカード102のフラッシュ撮影を行う。尚、端末装置101は、フラッシュなしの撮影も併せて行い、フラッシュありの撮像画像とフラッシュなしの撮像画像を取得するようにしてもよい。また、撮影の際に端末装置101がフラッシュモードに設定されていない場合には、端末装置101上で実行されているアプリケーションにより自動でフラッシュモードに設定してもよい。プラスチックカード102にはユーザの顔写真等が印刷されており、カメラのフラッシュ等の強い光を反射する素材で形成されている。以下では、写真付き本人確認書類を単に本人確認書類とも称する。
【0014】
次いで、端末装置101は、フラッシュ撮影された撮像画像の画像データを用いて、プラスチックカード102の真正性判定処理を行う。真正性とは、撮像画像が本物のプラスチックカードを撮像した画像であるかどうかを意味する。真正性判定処理の詳細は、後述する。
【0015】
次いで、端末装置101は、フラッシュ撮影された撮像画像の画像データと真正性の判定結果を、ネットワーク104を介して所定のサーバ103(すなわち、eKYCの利用企業が管理するサーバ)に送信する。所定のサーバ103は、送信先を限定するものではなく、利用企業と協力関係にある事業者が管理するサーバであってもよい。端末装置101は、不図示の小型アンテナ及び通信モジュールを備え、無線通信によってネットワーク104にアクセスし、データを送受信することができる。無線通信は、LAN(Local Area Network)を介して行ってもよいし、3G、4G(LTE)又は5G(NR)などの携帯電話回線を介して行ってもよい。ネットワーク104は、例えばインターネットすることができる。尚、端末装置101は、真正性の判定結果を所定のサーバ103に送信しなくてもよく、真正性の判定結果を表示装置に表示して、ユーザに通知するだけでもよい。ユーザは、判定結果がOKとなるまで(すなわち、本物のプラスチックカード102を撮影した撮像画像であると判定されるまで)、プラスチックカード102の撮影を繰り返し行ってもよい。
【0016】
図2は、一実施形態に係る端末装置101の(a)背面図及び(b)前面図を示す。図2(a)に示されるように、端末装置101は、撮像装置である背面カメラ201及びフラッシュとして動作可能な発光装置であるLEDライト202を有する。また、図2(b)に示されるように、端末装置101は、スピーカ211、ディスプレイ212、及び操作ボタン213を有する。端末装置101は、その他に、不図示の前面カメラ、マイク、音量ボタン、コネクタ等を備えてよい。図2では、端末装置101をスマートフォン、またはタブレット端末として示したが、これに限定されるものではなく、ノートPC(Personal Computer)等の他の装置であってもよい。
【0017】
図3は、一実施形態に係る真正性判定処理を説明する図である。図3(a)は、端末装置101が取得した撮像画像301の例を示し、図3(b)は、撮像画像301の模式図303を示す。真正性判定処理は、以下に説明するように、白飛び領域判定処理及び四角判定処理を含む。
【0018】
(白飛び領域判定処理)
図3(a)の撮像画像301は、本人確認書類として運転免許証をフラッシュ撮影した画像である。図示されるように、撮像画像301は、フラッシュによる白飛び領域302が生じている。白飛びとは、明度が255(最大値)となり、階調を失って、その領域が白く表示されてしまうことを指す。白飛びは、強い光を照射するフラッシュなどを用いて撮影を行った場合などに生じやすい。図3(b)の模式図303は、白飛び領域304を示す。
【0019】
具体的には、端末装置101は、撮像画像301の画像データから各画素の明度を取得して、明度の値が所定の値以上(例えば、最大値)となる白飛び領域302が存在するかどうか判定する。ここで、端末装置101は、所定の大きさ(面積)の白飛び領域302が存在するかどうか判定してもよい。
【0020】
(四角判定処理)
また、端末装置101は、図3(b)の模式図303に示したように、撮像画像に含まれる運転免許証の画像の四角305を確認できるかどうか判定する。具体的には、撮像画像の画像データから取得した、上記白飛び領域を除く画像の明度が、所定の範囲内にあるかどうか判定する。判定には、例えば、白飛び領域を除く領域の画素の明度の平均値を用いてもよい。白飛び領域を除く画像の明度が明る過ぎる場合、または暗過ぎる場合は、撮像画像は本人確認書類の四角(すなわち、外形)を確認できる状態になく、本人確認書類の原本であるプラスチックカードを撮影した画像ではないと判定する。
【0021】
このように、端末装置101は、撮像画像内に白飛び領域が存在し、当該白飛び領域を除く画像の明度が所定の範囲内にある場合は、撮像画像が本人確認書類の原本であるプラスチックカードを撮影した画像であると判定する。そのように判定できた撮像画像は、eKYCにおける「厚みその他の特徴」が確認できたものとして取り扱う。
【0022】
端末装置101は、上述した真正性の判定結果と画像データを利用企業のために所定のサーバに送信する。また、端末装置101は、真正性の判定結果と画像データを所定のサーバに送信した後、それらを端末装置101の記憶装置から削除し、端末装置101には残らないようにする。特に画像データにはユーザの個人情報が含まれるため、記憶装置から削除することで個人情報の漏洩を防止する。尚、端末装置101は、真正性の判定結果を所定のサーバ103に送信しなくてもよく、真正性の判定結果を表示装置に表示して、ユーザに通知するだけでもよい。ユーザは、判定結果がOKとなるまで(すなわち、本物のプラスチックカード102を撮影した撮像画像であると判定されるまで)、プラスチックカード102の撮影を繰り返し行ってもよい。
【0023】
(撮像画像の具体例)
図4は、一実施形態に係る撮像画像の例を示す。図4(a)は、運転免許証の原本であるプラスチックカードを撮影した画像の例(すなわち、本物)を示し、図4(b)は、紙に印刷された運転免許証を撮影した画像の例(すなわち、偽装)を示し、図4(c)は、モニタに映された運転免許証を撮影した画像の例(すなわち、偽装)を示す。
【0024】
図4(a)のように、運転免許証の原本であるプラスチックカードを撮影した画像には、白飛び領域が存在し、四角が確認できるため、本物(プラスチックカード)を撮影した画像であると判定される。
【0025】
図4(b)のように、紙に印刷された運転免許証を撮影した画像には、白飛び領域が存在しないため、本物(プラスチックカード)の運転免許証を偽装した画像であると判定される。
【0026】
図4(c)のように、モニタに映された運転免許証を撮像した画像には、白飛び領域が存在するものの、白飛び領域を除く画像の明度は暗く、運転免許証の四角が確認できないため、本物(プラスチックカード)を偽装した画像であると判定される。
【0027】
(端末装置のハードウェア構成)
図5は、一実施形態に係る端末装置のハードウェア構成例を示す。端末装置101は、プロセッサ501と、メモリ502と、入力装置503と、表示装置504と、撮像装置505と、発光装置506と、通信インタフェース(I/F)507とを備える。
【0028】
プロセッサ501は、CPU(Central Processing Unit)であって、バス508を介して接続された各構成要素を制御し、データを処理する。また、プロセッサ501は、メモリ502に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、本実施形態に係る各種処理を実行する。
【0029】
メモリ502は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SDD(Solid State Drive)などの記憶装置を含んでよく、本実施形態に係る各種処理を実行するためのプログラム及びデータを記憶する。本実施形態では、メモリ502は、撮像画像の画像データや真正性の判定結果などを記憶することができる。
【0030】
入力装置503は、端末装置101に設けられたボタン、スイッチ、及び、表示装置504を兼ねるタッチパネルディスプレイなどとすることができる。ユーザは、入力装置503を用いて端末装置101を操作することができ、本人確認書類をフラッシュ撮影することができる。
【0031】
表示装置504は、液晶ディスプレイや、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイとすることができる。
【0032】
撮像装置505は、レンズやイメージセンサを含んで構成されるカメラであって、撮像画像を画像データとして生成し、メモリ502に記憶する。
【0033】
発光装置506は、LED(Light Emitting Diode)ライトなどを含んで構成され、撮像装置505と連動して動作して発光し、フラッシュ撮影を可能にする。端末装置101がフラッシュ撮影を行う撮影モードを、フラッシュモードとも称する。また、単なるライトとして使用することもできる。
【0034】
通信インタフェース(I/F)507は、無線LANや携帯電話回線などのネットワークに接続し、データを送受信するためのインタフェースであって、他の端末装置やサーバとの通信を可能にする。通信I/F507には、不図示の小型アンテナ及び通信モジュールを含んでよい。
【0035】
尚、端末装置101のハードウェア構成は上述した構成に限定されるものではなく、その他の要素を含んでよい。
【0036】
(端末装置の機能構成)
図6は、一実施形態に係る端末装置の機能構成例を示す。端末装置101は、撮像部601、取得部602、判定部603、送信部604、削除部605、及び設定部606を備える。各機能部は、端末装置101のプロセッサ501がメモリ502に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより実現される。例えば、各機能部は、端末装置101にインストールされたソフトウェアアプリケーションの機能として実現されてもよい。
【0037】
撮像部601は、撮像装置505によって本人確認書類を撮像し、生成された画像データをメモリ502に記憶する。撮像部601は、端末装置101のフラッシュモードで動作し、発光装置506を用いたフラッシュ撮影を行う。この際、フラッシュなしの撮影も連続して行ってもよい。フラッシュモードとは、端末装置101が備える動作モードであって、撮像部601が撮像を行う場合にフラッシュを発光させる動作モードを意味する。
【0038】
取得部602は、メモリ502に記憶された撮像画像の画像データを取得する。
判定部603は、取得された画像データを用いて、本人確認書類(すなわち、プラスチックカード)の真正性判定処理を行う。具体的には、真正性判定処理として、上述した白飛び領域判定処理と四角判定処理を行う。
【0039】
送信部604は、撮像画像の画像データ611と、真正性の判定結果612を、所定のサーバ103へ送信する。
【0040】
削除部605は、メモリ502に記憶された撮像画像の画像データと真正性の判定結果を削除する。
【0041】
設定部606は、端末装置101が本実施形態による本人確認を行うソフトウェアアプリケーションに従って動作している場合に、端末装置101を自動でフラッシュモードに設定する。そうすることにより、ユーザがフラッシュ撮影の設定を行わずに本人確認書類を撮影したとしても、自動でフラッシュ撮影を行うことができるので、ユーザによる能動的な操作を削減することができる。
【0042】
尚、端末装置101の機能構成は上述した構成に限定されるものではなく、その他の機能を含んでよい。
【0043】
(真正性判定処理)
図7は、一実施形態に係る真正性判定処理のフローチャートを示す。フローチャートの各ステップは、端末装置101のプロセッサ501がメモリ502に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより実施される。以下の説明において、符号「S」は、ステップを意味する。後述する図8のフローチャートについても同様である。
【0044】
まず、S701において、端末装置101の撮像部601は、本人確認書類の原本であるプラスチックカードをフラッシュ撮影する。撮像画像の画像データは、メモリ502に記憶される。
【0045】
次いで、S702において、端末装置101の取得部602は、メモリ502に記憶された撮像画像の画像データを取得する。メモリ502に複数の撮像画像の画像データが記憶されている場合は、入力装置503を介してユーザが取得対象の画像データを選択するようにしてもよい。
【0046】
次いで、S703において、端末装置101の判定部603は、取得した画像データを用いて本人確認書類の真正性判定処理を行う。
【0047】
図8は、一実施形態に係る真正性判定処理の詳細を示すフローチャートである。
【0048】
まず、S801において、判定部603は、画像データの各画素の明度を取得する。明度は一般に、0~255の値で表され、値が大きいほど明るいことを示す。明度が最大値の255である画素は、白く表示され、当該画素で構成される領域の画像の階調は失われる。これを、白飛びと称する。
【0049】
次いで、S802において、判定部603は、明度が所定の値以上(例えば、最大値)である領域(すなわち、白飛び領域)が存在するかどうか判定する。ここでは、判定部603は、撮像画像内に所定の大きさ(面積)の白飛び領域が存在するかどうか判定してよい。白飛び領域が存在する場合は、S804に進み、そうでない場合はS803に進む。S803では、真正性の判定結果をFalseとしてメモリ502に記憶し、判定処理を終了する。
【0050】
S804では、判定部603は、S801で取得した明度に基づいて、白飛び領域以外のその他の領域の明度が所定の範囲内にあるかどうか判定する。所定の範囲内にある場合は、撮像画像に含まれる本人確認書類の四角が確認できるものと判定する。所定の範囲内にある場合はS805に進み、そうでない場合はS803に進む。S803では、真正性の判定結果をFalseとしてメモリ502に記憶し、判定処理を終了する。
【0051】
S805では、判定部603は、真正性の判定結果をTrueとしてメモリ502に記憶して、処理を終了する。すなわち、撮像画像に含まれた本人確認書類は、本物(プラスチックカード)であると判定する。
【0052】
図7に戻り、S704において、端末装置101の送信部604は、撮像画像の画像データと真正性の判定結果を所定のサーバ103へ送信する。尚、端末装置101は、真正性の判定結果を所定のサーバ103に送信しなくてもよく、真正性の判定結果を表示装置に表示して、ユーザに通知するだけでもよい。ユーザは、判定結果がOKとなるまで(すなわち、本物のプラスチックカード102を撮影した撮像画像であると判定されるまで)、プラスチックカード102の撮影を繰り返し行ってもよい。
【0053】
次いで、S705において、端末装置101の削除部605は、撮像画像の画像データと判定結果をメモリ502から削除する。特に、本人確認書類には個人情報が含まれるため、端末装置101から当該個人情報が漏洩しないように、画像データを削除する。
【0054】
以上説明したように、本開示の実施形態によると、フラッシュ撮影された撮像画像を用いて、本人確認書類の原本であるプラスチックカードの真正性を判定することができる。したがって、本開示の実施形態によると、ユーザの作業負担を軽減することが可能な、プラスチックカードの真正性を判定する端末装置、方法、及びプログラムを提供することができる。
【0055】
また、プラスチックカードの厚みを確認する従来の方法では、端末装置のカメラの解像度が低く、撮像画像から厚みを測定することができない場合には、担当者の目視によって確認する必要があった。そのため、担当者の作業による事務コストがかかり、リアルタイムな本人確認も困難となっていた。本開示の実施形態によると、撮像画像の解像度の影響が小さくなるので、担当者の作業による事務コストを削減し、リアルタイムな本人確認を可能にすることができる。尚、上述した実施形態は、例として、eKYCへの応用を説明したが、本開示の実施形態はこれに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0056】
101 端末装置
103 サーバ
601 撮像部
602 取得部
603 判定部
604 送信部
605 削除部
606 設定部
611 画像データ
612 判定結果
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2022-07-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチックカードの真正性を判定する端末装置であって、
前記プラスチックカードがフラッシュ撮影された撮像画像の画像データを取得する取得手段と、
前記撮像画像の明度に基づいて、前記プラスチックカードの真正性を判定する判定手段であって、前記真正性は、前記撮像画像が本物の前記プラスチックカードを撮像した画像であるかどうかを意味する、判定手段と、
を備え
前記判定手段は、前記撮像画像に白飛び領域が存在するかどうか、および前記白飛び領域を除くその他の領域の明度が所定の範囲内にあるかどうか判定し、前記白飛び領域が存在し、前記その他の領域の明度が所定の範囲内にある場合に、前記プラスチックカードが本物であると判定することを特徴とする端末装置。
【請求項2】
前記白飛び領域は、所定の大きさの領域であることを特徴とする請求項に記載の端末装置。
【請求項3】
前記フラッシュ撮影を行うフラッシュモードを自動で設定する設定手段をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の端末装置。
【請求項4】
前記プラスチックカードは、本人確認書類の原本であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の端末装置。
【請求項5】
前記取得された画像データ及び前記真正性の判定結果を記憶装置から削除する削除手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の端末装置。
【請求項6】
プラスチックカードの真正性を判定する方法であって、前記方法は端末装置により実行され、
前記プラスチックカードがフラッシュ撮影された撮像画像の画像データを取得する取得ステップと、
前記撮像画像の明度に基づいて、前記プラスチックカードの真正性を判定する判定ステップであって、前記真正性は、前記撮像画像が本物の前記プラスチックカードを撮像した画像であることを意味する、判定ステップと、
を含み、
前記判定ステップは、前記撮像画像に白飛び領域が存在するかどうか判定するステップ、および前記白飛び領域を除くその他の領域の明度が所定の範囲内にあるかどうか判定するステップを含み、前記白飛び領域が存在し、前記その他の領域の明度が所定の範囲内にある場合に、前記プラスチックカードが本物であると判定することを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項に記載の方法を端末装置に実行させるためのプログラム。