(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149314
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】電子機器、電子機器の制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/0245 20060101AFI20220929BHJP
A61B 5/11 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
A61B5/0245 Z
A61B5/0245 B
A61B5/11 230
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021051401
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】彦坂 直孝
【テーマコード(参考)】
4C017
4C038
【Fターム(参考)】
4C017AA10
4C017AB02
4C017AC28
4C017BC11
4C017DD14
4C017EE01
4C017FF05
4C017FF17
4C038VA04
4C038VB12
4C038VB31
(57)【要約】
【課題】装着状態に係る判定を好適に行う電子機器、電子機器の制御方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】ユーザに装着される電子機器は、ユーザの肌に光を射出する発光部と、自機器がユーザに装着されているとき、且つ発光部が光を射出しているときに当該ユーザの肌により反射した光を受光可能な位置に設けられた受光部と、制御部と、を備え、制御部は、受光部による受光量に基づいて、ユーザの肌が所定の暗さ条件を満たしているか否かを判定する肌判定を行い、少なくとも受光部による受光量に基づいて、自機器がユーザに装着されているか否かを判定する装着判定を行い、肌判定において暗さ条件を満たしていると判定した場合には、装着判定を行わない。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに装着される電子機器であって、
前記ユーザの肌に光を射出する発光部と、
自機器が前記ユーザに装着されているとき、且つ前記発光部が前記光を射出しているときに前記ユーザの肌により反射した前記光を受光可能な位置に設けられた受光部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記受光部による受光量に基づいて、ユーザの肌が所定の暗さ条件を満たしているか否かを判定する肌判定を行い、
少なくとも前記受光部による受光量に基づいて、自機器がユーザに装着されているか否かを判定する装着判定を行い、
前記肌判定において前記暗さ条件を満たしていると判定した場合には、前記装着判定を行わない
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記制御部は、前記肌判定において前記暗さ条件を満たしていないと判定した場合に前記装着判定を行うことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記制御部は、前記受光部による受光量の変化に基づいて脈拍を検出することを特徴とする請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記制御部は、前記脈拍を検出しているときの前記受光部による受光量に基づいて前記肌判定を行うことを特徴とする請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記制御部は、前記肌判定において、前記受光部による受光量が第1の基準値以下である場合に前記暗さ条件を満たすと判定することを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記制御部は、前記装着判定において、前記受光部による受光量が第2の基準値より大きい場合に、自機器がユーザに装着されていると判定し、
前記第1の基準値は、前記第2の基準値より大きい
ことを特徴とする請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
自機器の加速度を検出する加速度センサを備え、
前記制御部は、前記加速度センサにより検出された加速度の変化が所定の判定基準以上である場合に前記肌判定を行う
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項8】
ユーザの肌に光を射出する発光部と、自機器が前記ユーザに装着されているとき、且つ前記発光部が前記光を射出しているときに前記ユーザの肌により反射した前記光を受光可能な位置に設けられた受光部と、を備えた、前記ユーザに装着される電子機器の制御方法であって、
前記受光部による受光量に基づいて、ユーザの肌が所定の暗さ条件を満たしているか否かを判定する肌判定ステップと、
少なくとも前記受光部による受光量に基づいて、自機器がユーザに装着されているか否かを判定する装着判定ステップと、
を含み、
前記肌判定ステップにおいて前記暗さ条件を満たしていると判定した場合には、前記装着判定ステップを行わない
ことを特徴とする電子機器の制御方法。
【請求項9】
ユーザの肌に光を射出する発光部と、自機器が前記ユーザに装着されているとき、且つ前記発光部が前記光を射出しているときに前記ユーザの肌により反射した前記光を受光可能な位置に設けられた受光部と、を備えた、前記ユーザに装着される電子機器に設けられたコンピュータにより実行されるプログラムであって、
前記コンピュータを制御手段として機能させ、
前記制御手段は、
前記受光部による受光量に基づいて、ユーザの肌が所定の暗さ条件を満たしているか否かを判定する肌判定を行い、
少なくとも前記受光部による受光量に基づいて、自機器がユーザに装着されているか否かを判定する装着判定を行い、
前記肌判定において前記暗さ条件を満たしていると判定した場合には、前記装着判定を行わない
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、電子機器の制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザが装着して使用する電子機器において、ユーザの肌に照射した光の反射光を受光部で受光し、その受光量の変化に基づいて脈拍を検出する技術が知られている(例えば、特許文献1)。また、電子機器がユーザに装着されていないときには受光部による受光量が小さくなることを利用して、ユーザに装着されているか否かを受光量の大きさに基づいて判定する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、電子機器がユーザに装着されているときにユーザの肌で反射して受光部に入射する光の量(すなわち、受光部による受光量)は、肌が暗いほど小さくなる。このため、ユーザの肌の暗さによっては、電子機器がユーザに装着されていても、受光量が小さくなることで非装着であると誤判定されてしまうという課題がある。
【0005】
この発明の目的は、装着状態に係る判定を好適に行う電子機器、電子機器の制御方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の電子機器は、
ユーザに装着される電子機器であって、
前記ユーザの肌に光を射出する発光部と、
自機器が前記ユーザに装着されているとき、且つ前記発光部が前記光を射出しているときに前記ユーザの肌により反射した前記光を受光可能な位置に設けられた受光部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記受光部による受光量に基づいて、ユーザの肌が所定の暗さ条件を満たしているか否かを判定する肌判定を行い、
少なくとも前記受光部による受光量に基づいて、自機器がユーザに装着されているか否かを判定する装着判定を行い、
前記肌判定において前記暗さ条件を満たしていると判定した場合には、前記装着判定を行わない
ことを特徴とする。
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の電子機器の制御方法は、
ユーザの肌に光を射出する発光部と、自機器が前記ユーザに装着されているとき、且つ前記発光部が前記光を射出しているときに前記ユーザの肌により反射した前記光を受光可能な位置に設けられた受光部と、を備えた、前記ユーザに装着される電子機器の制御方法であって、
前記受光部による受光量に基づいて、ユーザの肌が所定の暗さ条件を満たしているか否かを判定する肌判定ステップと、
少なくとも前記受光部による受光量に基づいて、自機器がユーザに装着されているか否かを判定する装着判定ステップと、
を含み、
前記肌判定ステップにおいて前記暗さ条件を満たしていると判定した場合には、前記装着判定ステップを行わない
ことを特徴とする。
【0008】
上記課題を解決するため、本発明のプログラムは、
ユーザの肌に光を射出する発光部と、自機器が前記ユーザに装着されているとき、且つ前記発光部が前記光を射出しているときに前記ユーザの肌により反射した前記光を受光可能な位置に設けられた受光部と、を備えた、前記ユーザに装着される電子機器に設けられたコンピュータにより実行されるプログラムであって、
前記コンピュータを制御手段として機能させ、
前記制御手段は、
前記受光部による受光量に基づいて、ユーザの肌が所定の暗さ条件を満たしているか否かを判定する肌判定を行い、
少なくとも前記受光部による受光量に基づいて、自機器がユーザに装着されているか否かを判定する装着判定を行い、
前記肌判定において前記暗さ条件を満たしていると判定した場合には、前記装着判定を行わない
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、装着状態に係る判定を好適に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図3】電子時計の機能構成を示すブロック図である。
【
図4】肌の暗さによる受光量の違いの例を示す図である。
【
図5】脈拍数計測処理の制御手順を示すフローチャートである。
【
図6】脈拍数計測開始処理の制御手順を示すフローチャートである。
【
図7】肌判定処理の制御手順を示すフローチャートである。
【
図8】装着判定処理の制御手順を示すフローチャートである。
【
図9】脈拍数計測再開処理の制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の電子機器、電子機器の制御方法及びプログラムに係る実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
(電子時計の構成)
図1は、電子時計1の外観を示す斜視図である。
電子時計1(電子機器)は、ユーザの手首に装着されて使用される腕時計である。電子時計1は、表示画面121及び操作ボタン131などが設けられた本体部2と、当該本体部2に取り付けられたベルト3とを備える。表示画面121は、ドットマトリクス形式でデジタル表示を行う。電子時計1は、表示画面121において、時刻や日付等の基本情報の他、ユーザの脈拍数(心拍数)の計測結果などを表示する。
【0013】
図2は、電子時計1の側面図である。
電子時計1は、本体部2の内部に、脈拍の検出に用いられる発光部15及び受光部17を備える。発光部15及び受光部17は、本体部2の裏面、すなわち装着時にユーザの手首に触れる面の近傍に設けられている。発光部15は、本体部2の裏面から外部に向かって光を射出する。電子時計1がユーザに装着されているときには、発光部15から射出された光がユーザの手首の肌により反射する。受光部17は、このユーザの肌により反射した光を受光可能な位置に設けられている。ユーザの肌に照射された光の一部は、血管内の血液により吸収される。このため、肌からの反射光の受光部17による受光量は、心臓の脈動に伴う血流量の変化に応じて経時変化する。この受光量の変化に基づいて脈拍が検出され、検出された脈拍に基づいて脈拍数が計測される。
【0014】
図3は、電子時計1の機能構成を示すブロック図である。
電子時計1は、CPU10(Central Processing Unit)と、メモリ11(記憶部)と、表示部12と、操作受付部13と、発振回路141と、分周回路142と、計時回路143と、発光部15と、発光駆動部16と、受光部17と、加速度センサ18と、A/Dコンバータ19などを備える。
【0015】
CPU10は、各種演算処理を行い、電子時計1の各部の動作を統括制御するプロセッサである。CPU10は、メモリ11に記憶されたプログラム111を読み出して実行することで、各種制御動作を行う制御部(制御手段)として機能する。
【0016】
例えば、CPU10は、計時回路143が計数している日時を表示部12に表示させる。また、CPU10は、受光部17による受光量の変化に基づいて脈拍を検出し、脈拍数(1分当たりの脈拍の数)の計測結果を表示部12に表示させる。また、CPU10は、受光部17による受光量に基づいて、ユーザの肌が所定の暗さ条件を満たしているか否かを判定する肌判定を行う。また、CPU10は、受光部17による受光量及び加速度センサ18による加速度の検出結果に基づいて、電子時計1(自機器)がユーザに装着されているか否かを判定する装着判定を行う。肌判定及び装着判定については、後に詳述する。
【0017】
メモリ11は、CPU10に作業用のメモリ空間を提供し、各種データを記憶する。メモリ11は、例えば、RAM(Random Access Memory)と不揮発性メモリとを含む。RAMは、CPU10の演算処理に用いられ、また、一時データを記憶する。不揮発性メモリは、例えば、フラッシュメモリであり、プログラム111の他、各種データを記憶する。プログラム111には、電子時計1の基本動作の制御を行うための制御プログラムの他、脈拍数を計測して結果を表示部12に表示させるためのアプリケーションプログラム(以下、「脈拍数計測アプリ」と記す)などが含まれる。メモリ11に記憶されるデータとしては、装着判定実行フラグ112がある。装着判定実行フラグ112は、後述する装着判定処理を実行するか否かの判定に用いられる。装着判定実行フラグ112は、例えば1ビットデータである。
【0018】
表示部12は、表示画面121を備え、CPU10による制御下で表示画面121にデジタル表示を行う。ここでは、表示画面121は、ドットマトリクス形式で表示を行うことのできるものであって、例えば、液晶表示画面である。
【0019】
操作受付部13は、複数の操作ボタン131を備える。操作受付部13は、操作ボタン131に対するユーザの入力操作(例えば、押下操作)を受け付けて入力信号としてCPU10に出力する。CPU10は、入力操作がなされた操作ボタン131の機能に対応する処理を実行する。各操作ボタン131に割り当てられる機能は、電子時計1の動作モードに応じて切り替えられてもよい。操作ボタン131には、りゅうずが含まれていてもよい。また、操作受付部13は、表示画面121に重ねられて設けられたタッチパネルを有していてもよい。
【0020】
発振回路141は、所定の発振周波数のクロック信号を発生して分周回路142に出力する。分周回路142は、発振回路141から入力されたクロック信号を分周して、電子時計1の各部の動作に必要な周波数に変換して出力する。分周回路142で分周された信号の出力先には、計時回路143が含まれる。
【0021】
計時回路143は、分周回路142から入力された所定の周波数の信号を計数して現在日時を計数、保持する。計時回路143が保持する日時のフォーマットは、年月日時分秒で表されるものに限られず、CPU10などの処理にとって適切な適宜なフォーマットであってよい。
【0022】
発光部15は、LED(Light Emitting Diode)等の光を射出する発光素子を備える。本実施形態の発光部15は、血液中のヘモクロビンに吸収されやすい緑色の光、例えばピーク波長が520nm~530nmの光を射出するLEDを備える。発光部15のLEDは、発光駆動部16から供給される駆動電流に応じて発光する。
【0023】
発光駆動部16は、CPU10からの制御信号に従って発光部15への駆動電流の出力を制御することで、発光部15のLEDを発光させ、また消灯させる。
【0024】
受光部17は、光を検出してその受光量に応じた電気信号を出力する受光素子を備える。ここで、受光量は、例えば入射光の強度である。受光素子としては、例えばフォトダイオード又は照度センサ等を用いることができる。
【0025】
加速度センサ18は、ユーザの動作等に応じて生じる電子時計1の加速度を検出し、当該加速度に応じた電気信号を出力する。加速度センサ18は、例えば直交座標系の3軸方向の各々についての加速度を検出する。
【0026】
A/Dコンバータ19は、受光部17及び加速度センサ18から出力された電気信号をデジタルデータに変換してCPU10に出力する。よって、受光部17による受光量を表すデジタルデータが、A/Dコンバータ19からCPU10に出力される。また、加速度センサ18による加速度の検出結果を表すデジタルデータが、A/Dコンバータ19からCPU10に出力される。A/Dコンバータ19は、受光部17及び加速度センサ18の各々について別個に設けられていてもよい。
【0027】
(電子時計の動作)
次に、電子時計1の動作について、脈拍数の計測に係る動作を中心に説明する。
【0028】
上述のとおり、電子時計1における脈拍数の計測(したがって、脈拍の検出)は、発光部15のLEDの発光(以下、単に発光部15の発光と記す)を伴う。このため、脈拍数の計測中に電子時計1がユーザの手首から外された場合には、発光部15を消灯させて脈拍数の計測を停止することが、外観上からも、電力消費の観点からも好ましい。
【0029】
このため、本実施形態の電子時計1では、脈拍数の計測が開始された後に、自機器がユーザに装着されているか否かを判定する装着判定が行われる。この装着判定は、受光部17からの受光量が所定の基準値(
図4に示す第2の基準値V2)より大きいか否かに基づいて行われる。電子時計1がユーザの手首に装着されている場合には、発光部15から射出された光が肌において反射して受光部17に入射する。一方、電子時計1がユーザの手首から外されている場合には、発光部15から射出された光は肌において反射せずに拡散するため、ほとんど受光部17には戻ってこない。よって、電子時計1がユーザに装着されていない場合には、装着されている場合と比較して受光部17による受光量が大きく低下する。このため、受光部17による受光量が第2の基準値V2より大きいか否かに基づいて、電子時計1がユーザに装着されているか否かを判定することができる。第2の基準値V2は、電子時計1がユーザに装着されているときの受光量と、電子時計1がユーザに装着されていないときの受光量との間の値に設定される。電子時計1がユーザに装着されていないと判定されると、脈拍数の計測が停止される。
【0030】
しかしながら、発光部15から射出された光のうち、ユーザの肌で反射して受光部17に入射する光の割合は、肌が暗いほど(例えば、肌の色が濃いほど)小さくなる。よって、受光部17による受光量は、電子時計1を装着しているユーザの肌の暗さによって大きく異なる。このため、肌の暗さによっては、電子時計1がユーザに装着されていても、受光量が小さくなることで非装着であると誤判定されてしまうことがある。このような誤判定が生じると、電子時計1を装着中に、意図しないタイミングで脈拍数の計測が停止してしまう。ここで、肌の暗さは、地肌の色に起因する暗さのほか、肌に塗られている化粧品等によって光の反射率や拡散状態が変化することに起因する暗さなどを含む。
【0031】
図4は、肌の暗さによる受光量の違いの例を示す図である。
図4(a)は、明るい肌のユーザが電子時計1を使用した場合の受光部17による受光量の例を示す。
図4(b)は、暗い肌のユーザが電子時計1を使用した場合の受光部17による受光量の例を示す。詳しくは、
図4(a)は、フィッツパトリックのスキンタイプにおいてタイプIに分類される肌のユーザが電子時計1を使用した場合を示す。一方、
図4(b)は、フィッツパトリックのスキンタイプにおいてタイプVIに分類される肌のユーザが電子時計1を使用した場合を示す。
【0032】
図4(a)及び
図4(b)において、タイミングt0からタイミングt1までの期間では、電子時計1がユーザに装着されている。また、タイミングt1において電子時計1がユーザの手首から外され、タイミングt2において電子時計1が卓上に静置されている。
【0033】
このような状況において、
図4(a)に示すように、明るい肌の場合には、装着時(タイミングt0~t1)には受光量が第2の基準値V2より大きくなるため、装着されている旨の適切な判定が行われる。また、電子時計1が外されて静置された状態(タイミングt2以降)では、受光量が第2の基準値V2以下となるため、装着されていない旨の適切な判定が行われる。
【0034】
一方、
図4(b)に示すように、暗い肌の場合には、装着時(タイミングt0~t1)においても受光量が第2の基準値V2以下となるため、電子時計1がユーザに装着されていても、装着されていない旨の不適切な判定が行われてしまう。
【0035】
そこで、本実施形態の電子時計1では、装着時における受光部17による受光量に基づいて、ユーザの肌が所定の暗さ条件を満たしているか否かを判定する肌判定が行われる。そして、暗さ条件を満たしていないと判定された場合(すなわち、明るい肌であると判定された場合)に、装着判定が行われる。一方、暗さ条件を満たしていると判定された場合(すなわち、暗い肌であると判定された場合)には、装着判定が行われない。これにより、肌の暗さに起因して、装着しているにも関わらず非装着であると誤判定される不具合の発生が抑制される。肌判定の対象であるユーザの肌は、地肌であってもよいし、化粧品等が塗られている状態の肌であってもよい。
【0036】
肌判定では、受光部17による受光量が第1の基準値V1以下である場合に暗さ条件を満たすと判定される。ここで、第1の基準値V1は、
図4(a)及び
図4(b)に示すように、第2の基準値V2より大きくすることが好ましい。装着時における受光部17による受光量は、同一のユーザであっても、電子時計1の装着の態様や環境の明るさなどによって変動し得る。このため、第2の基準値V2を用いて肌判定を行うと、暗さ条件を満たさない(すなわち、明るい肌である)と判定されても、装着判定を行う際の受光量が第2の基準値V2以下となって、非装着であるとの誤判定が生じる場合がある。第2の基準値V2に対して所定のマージンを付加した第1の基準値V1を用いて肌判定を行うことで、このような誤判定を低減させることができる。
【0037】
肌判定の方法は、以下のように言い換えることもできる。すなわち、肌判定では、装着時における受光部17による受光量に基づいて、ユーザの肌が所定の明るさ条件を満たしているか否かを判定する。そして、明るさ条件を満たしていると判定された場合(すなわち、明るい肌であると判定された場合)に、装着判定が行われる。一方、明るさ条件を満たしていないと判定された場合(すなわち、暗い肌であると判定された場合)には、装着判定が行われない。この場合の肌判定では、受光部17による受光量が第1の基準値V1より大きい場合に明るさ条件を満たすと判定される。
【0038】
なお、
図4(b)のように、暗さ条件を満たし、装着時にも受光量が第2の基準値V2より小さくなる場合であっても、血流量の変化に応じた受光量の変動は検出されるため、脈拍の検出及び脈拍数の計測は可能である。
【0039】
次に、上述の肌判定及び装着判定を含む脈拍数の計測動作を電子時計1に行わせるための脈拍数計測処理について説明する。
図5は、脈拍数計測処理のCPU10による制御手順を示すフローチャートである。
脈拍数計測処理が開始されると、CPU10は、脈拍数計測開始処理を実行する(ステップS101)。
【0040】
図6は、脈拍数計測開始処理のCPU10による制御手順を示すフローチャートである。
脈拍数計測開始処理が開始されると、CPU10は、脈拍数計測の開始要求があるか否かを判定する(ステップS201)。例えば、脈拍数計測アプリ上で、脈拍数の計測を開始させるためのユーザの入力操作が受け付けられた場合に、脈拍数計測の開始要求があると判定される。脈拍数計測の開始要求がないと判定された場合には(ステップS201で“NO”)、CPU10は、再度ステップS201の処理を実行する。
【0041】
脈拍数計測の開始要求があると判定された場合には(ステップS201で“YES”)、CPU10は、加速度センサ18による加速度の検出結果を取得する(ステップS202)。
【0042】
CPU10は、取得した加速度の検出結果において、加速度の変化が所定の判定基準以上であるか否かを判定する(ステップS203)。加速度変化が判定基準以上である場合には、ユーザが電子時計1を装着しているとみなされ、以降、脈拍数計測に係る処理が進行する。判定基準は、電子時計1がユーザに装着されているときの加速度が当該判定基準以上となりやすいように定められる。すなわち、判定基準は、電子時計1がユーザに装着されているときにユーザの動作に応じて生じる加速度変化の範囲内のうち、下限近傍となるように定められる。加速度の変化が判定基準未満であると判定された場合には(ステップS203で“NO”)、電子時計1がユーザに装着されておらず、脈拍数計測を開始させるのが適切でないと判断できるため、CPU10は、ステップを先に進めずに再度ステップS203の処理を実行する。
【0043】
加速度の変化が判定基準以上であると判定された場合には(ステップS203で“YES”)、CPU10は、脈拍数の計測を開始する。すなわち、発光部15を点灯させ(ステップS204)、受光部17による受光量の検出結果を定期的に取得し(ステップS205)、取得した受光量の変化から脈拍を検出する。受光部17による受光量を取得する頻度は、特には限られないが、例えば10msecごととすることができる。CPU10は、脈拍の検出結果に基づいて脈拍数を算出し、得られた脈拍数を出力する(表示部12に表示させる)(ステップS206)。
ステップS206が終了すると、CPU10は、脈拍数計測開始処理を終了させて、処理を
図5の脈拍数計測処理に戻す。
【0044】
図5において脈拍数計測開始処理(ステップS101)が終了すると、CPU10は、肌判定処理を実行する(ステップS102:肌判定ステップ)。
【0045】
図7は、肌判定処理のCPU10による制御手順を示すフローチャートである。
肌判定処理が開始されると、CPU10は、受光部17による受光量が第1の基準値V1以下であるか否かを判定する(ステップS301)。ここでは、脈拍の検出のために取得している受光部17の受光量のうちいずれか一つのデータを用いて判定すればよい。
【0046】
受光量が第1の基準値V1以下であると判定された場合には(ステップS301で“YES”)、CPU10は、肌が暗さ条件を満たすと判定し(ステップS302)、装着判定実行フラグの値を「0」とする(ステップS303)。
【0047】
受光量が第1の基準値V1よりも大きいと判定された場合には(ステップS301で“NO”)、CPU10は、肌が暗さ条件を満たさないと判定し(ステップS304)、装着判定実行フラグの値を「1」とする(ステップS305)。
【0048】
この肌判定処理は、
図6の脈拍数計測開始処理において加速度の変化が判定基準以上であると判定され(ステップS203で“YES”)、かつ脈拍数の計測(ステップS206)が開始された場合に行われる。すなわち、脈拍を検出しているときの受光部17による受光量に基づいて肌判定が行われる。これにより、電子時計1がユーザに装着されている状態で、肌の明るさを反映した受光量に基づいて適切に肌判定を行うことができる。
ステップS303又はS304が終了すると、CPU10は、肌判定処理を終了させて、処理を
図5の脈拍数計測処理に戻す。
【0049】
図5において肌判定処理(ステップS102)が終了すると、CPU10は、装着判定実行フラグが「1」であるか否かを判定する(ステップS103)。装着判定実行フラグが「1」であると判定された場合には(ステップS103で“YES”)、CPU10は、装着判定処理を実行する(ステップS104:装着判定ステップ)。
【0050】
図8は、装着判定処理のCPU10による制御手順を示すフローチャートである。
装着判定処理が開始されると、CPU10は、非装着検出回数を表す変数Nに「0」を代入する(ステップS401)。
【0051】
CPU10は、受光部17による受光量の検出結果、及び加速度センサ18による加速度の検出結果を取得する(ステップS402)。また、CPU10は、取得した加速度の検出結果において、加速度の変化が上述した判定基準以上であるか否かを判定する(ステップS403)。
【0052】
加速度の変化が判定基準未満であると判定された場合には(ステップS403で“NO”)、CPU10は、受光部17による受光量が第2の基準値V2より大きいか否かを判定する(ステップS404)。ここで受光量が第2の基準値V2以下であると判定された場合には(ステップS404で“NO”)、加速度の変化が判定基準未満であり、かつ受光量が装着判定の第2の基準値V2以下である状態のため、電子時計1がユーザに装着されていない可能性がある。そこで、CPU10は、非装着検出回数を表す変数Nをカウントアップする(ステップS405)。
【0053】
CPU10は、変数Nが基準回数以上であるか否かを判定する(ステップS406)。変数Nが基準回数以上であると判定された場合には(ステップS406で“NO”)、CPU10は、処理をステップS402に戻し、ステップS402~S406の処理ループを再度実行する。変数Nが基準回数以上であると判定された場合には(ステップS406で“YES”)、CPU10は、電子時計1がユーザに装着されていないと判定する(ステップS407)。このように、変数Nが基準回数となるまでステップS402~S406の処理ループが繰り返された場合、言い換えると、当該処理ループにおいて、所定時間、非装着の可能性があると判定され続けた場合に、ステップS407に進んで非装着であると判定される。基準回数は、変数Nが基準回数となるのに要する時間が、上記の所定時間となるように定められる。所定時間は、任意に設定することができ、例えば5秒程度とすることができる。
【0054】
一方、ステップS403において、加速度の変化が判定基準以上であると判定された場合(ステップS403で“YES”)、又は、ステップS404において、受光量が第2の基準値V2より大きいと判定された場合には(ステップS404で“YES”)、CPU10は、電子時計1がユーザに装着されていると判定する(ステップS408)。この判定方法によれば、例えば電子時計1を装着したユーザが腕を静止させているような場合であっても、受光部17による受光量が第2の基準値V2以上であることに基づいて、ユーザに装着されている状態であると適切に判定することができる。よって、加速度センサ18による検出結果のみを用いる判定方法よりも、正確な装着判定が可能である。
ステップS407又はステップS408が終了すると、CPU10は、装着判定処理を終了させて、処理を
図5の脈拍数計測処理に戻す。
【0055】
図5において装着判定処理(ステップS104)が終了すると、CPU10は、装着判定の結果に応じて以降の処理を切り替える(ステップS105)。判定結果が「非装着」である場合には、CPU10は、発光部15を消灯させ、脈拍の検出及び脈拍数の計測を停止させる(ステップS106)。その後、CPU10は、電子時計1が再装着された適切なタイミングで脈拍数の計測を再開させるための脈拍数計測再開処理を実行する。
【0056】
図9は、脈拍数計測再開処理のCPU10による制御手順を示すフローチャートである。
脈拍数計測再開処理が開始されると、CPU10は、加速度センサ18による加速度の検出結果を取得する(ステップS501)。CPU10は、取得した加速度の検出結果において、加速度の変化が上述の判定基準以上であるか否かを判定し(ステップS502)、加速度の変化が判定基準未満であると判定された場合には(ステップS502で“NO”)、処理をステップS501に戻す。
【0057】
加速度の変化が判定基準以上であると判定された場合には(ステップS502で“YES”)、CPU10は、発光部15を点灯させ(ステップS503)、受光部17による受光量の検出結果を定期的に取得する(ステップS504)。ここでの受光量の取得頻度は、脈拍の検出時における検出頻度より低くしてもよく、例えば数十msec程度としてもよい。
【0058】
CPU10は、受光部17による受光量が第2の基準値V2より大きいか否かを判定する(ステップS505)。受光量が第2の基準値V2以下であると判定された場合には(ステップS505で“NO”)、CPU10は、再度加速度センサ18による加速度の検出結果を取得し、加速度の変化が判定基準以上であるか否かを判定する(ステップS506)。加速度の変化が基準値未満であると判定された場合には(ステップS506で“NO”)、この段階では電子時計1がユーザに装着されておらず、脈拍数計測を再開するのは適切でないと判断できる。このため、CPU10は、発光部15を消灯させて(ステップS507)、処理をステップS501に戻す。
【0059】
一方、ステップS506において加速度の変化が判定基準以上であると判定された場合には(ステップS506で“YES”)、CPU10は、処理をステップS504に戻し、ステップS504~ステップS506の処理ループを再度実行する。この処理ループ内で、ステップS505において受光量が第2の基準値V2より大きいと判定された場合には(ステップS505で“YES”)、電子時計1がユーザに装着されている可能性があると判断できる。このため、CPU10は、ユーザに装着されている状態であることをさらに確認した上で脈拍数計測を再開させるためのステップS508~S511の処理を実行する。
【0060】
まず、CPU10は、受光部17による受光量が第2の基準値V2より大きく、かつ所定の安定性条件を満たすか否かを判定する(ステップS508)。ここで、安定性条件は、例えば以下の方法で判定される。すなわち、直近の2回の取得タイミングで取得された2つの受光量のうち、小さい方をR1とし、大きい方をR2とした場合に、(R2-R1)/R1が所定の上限値を下回った場合に、安定性条件を満たすと判定される。上記の上限値は、適宜設定することができるが、当該上限値を小さくするほど、非装着状態で脈拍数の計測が再開される不具合の発生を低減できる。なお、安定性条件の判定方法は、上記に限られない。
【0061】
受光量が第2の基準値V2より大きく、かつ安定性条件を満たすと判定された場合には(ステップS508で“YES”)、CPU10は、脈拍数計測のための定期的な受光量の取得を開始する(ステップS509)。ここでは、ステップS504における取得頻度よりも高頻度で(例えば、10msecごとに)受光量を取得してもよい。CPU10は、取得した受光量に基づいて脈拍の検出を開始する。
【0062】
CPU10は、再度、受光部17による受光量が第2の基準値V2より大きく、かつ所定の安定性条件を満たすか否かを判定する(ステップS510)。ステップS508又はステップS509において、受光量が第2の基準値V2以下であるか、又は受光量が安定性条件を満たさないと判定された場合には(ステップS508、S510で“NO”)、CPU10は、処理ステップS504に戻す。
【0063】
ステップS510において、受光量が第2の基準値V2より大きく、かつ安定性条件を満たすと判定された場合には(ステップS510で“YES”)、CPU10は、脈拍の検出頻度等に基づいて脈拍数を計測し、得られた脈拍数を出力して表示部12に表示させる(ステップS511)。すなわち、脈拍数の計測を再開する。ステップS510においてステップS508と同様の判定を再度行うのは、ステップS508からステップS510までの間にユーザが電子時計1を外していないことを確認した上で脈拍数の計測を再開させるためである。
ステップS511が終了すると、CPU10は、脈拍数計測再開処理を終了させて、処理を
図5の脈拍数計測処理に戻す。
【0064】
図5において脈拍数計測再開処理(ステップS107)が終了すると、CPU10は、処理をステップS103に戻す。
【0065】
ステップS103において、装着判定実行フラグが「0」であると判定された場合には(ステップS103で“NO”)、CPU10は、ステップS104~S107の処理は実行せず、処理をステップS108に移行させる。また、ステップS105において、装着判定処理の判定結果が「装着」であると判定された場合にも、CPU10は、処理をステップS108に移行させる。
【0066】
ステップS108において、CPU10は、脈拍数計測を終了させる指示がなされたか否かを判定する。例えば、脈拍数計測アプリ上で、脈拍数の計測を終了させるためのユーザの入力操作が受け付けられた場合に、脈拍数計測の終了指示がなされたと判定される。当該終了指示がなされていないと判定された場合には(ステップS108で“NO”)、CPU10は、処理をステップS103に戻す。終了指示がなされたと判定された場合には(ステップS108で“YES”)、CPU10は、発光部15を消灯させて脈拍の検出及び脈拍数の計測を停止させ(ステップS109)、脈拍数計測処理を終了させる。
【0067】
(効果)
以上のように、本実施形態に係る、ユーザに装着される電子機器としての電子時計1は、ユーザの肌に光を射出する発光部15と、自機器がユーザに装着されているとき、且つ発光部15が光を照射しているときに当該ユーザの肌により反射した光を受光可能な位置に設けられた受光部17と、制御部として機能するCPU10と、を備える。制御部としてのCPU10は、受光部17による受光量に基づいて、ユーザの肌が所定の暗さ条件を満たしているか否かを判定する肌判定を行う。また、制御部としてのCPU10は、少なくとも受光部17による受光量に基づいて、自機器がユーザに装着されているか否かを判定する装着判定を行い、肌判定において暗さ条件を満たしていると判定した場合には、装着判定を行わない。これにより、装着状態に係る判定を好適に行うことができる。例えば、電子時計1がユーザに装着されているときに非装着であるとの誤判定がなされる不具合を生じにくくすることができる。
【0068】
また、制御部としてのCPU10は、肌判定において暗さ条件を満たしていないと判定した場合に装着判定を行う。これによれば、明るい肌である場合に装着判定が行われるため、肌で反射した光の受光量が小さいことに起因して非装着であるとの誤判定がなされる不具合を生じにくくすることができる。
【0069】
また、制御部としてのCPU10は、受光部17による受光量の変化に基づいて脈拍を検出する。このような構成においては、脈拍検出のための発光部15及び受光部17を用いて肌判定を行うことができる。よって、電子時計1の構成の複雑化、及び製造コストの上昇を避けつつ、肌判定を行って誤判定を生じにくくすることができる。
【0070】
また、制御部としてのCPU10は、脈拍を検出しているときの受光部17による受光量に基づいて肌判定を行う。これにより、電子時計1がユーザに装着されている状態で、肌の明るさを反映した受光量に基づいて適切に肌判定を行うことができる。
【0071】
また、制御部としてのCPU10は、肌判定において、受光部17による受光量が第1の基準値V1以下である場合に暗さ条件を満たすと判定する。これにより、簡易な処理で肌判定を行うことができる。
【0072】
また、制御部としてのCPU10は、装着判定において、受光部17による受光量が第2の基準値V2より大きい場合に、自機器がユーザに装着されていると判定し、第1の基準値V1は、第2の基準値V2より大きい。このように、装着判定に用いられる第2の基準値V2よりも大きな第1の基準値V1を用いて肌判定を行うことで、装着判定における受光量が、装着の態様や環境の明るさなどに起因して第1の基準値V1から低くなっても、直ちに非装着状態であるとの誤判定がなされることのないようにすることができる。
【0073】
また、電子時計1は、自機器の加速度を検出する加速度センサ18を備え、制御部としてのCPU10は、加速度センサ18により検出された加速度の変化が所定の判定基準以上である場合に肌判定を行う。これにより、電子時計1がユーザに装着されている状態で、肌の明るさを反映した受光量に基づいて適切に肌判定を行うことができる。
【0074】
また、本実施形態に係る電子機器としての電子時計1の制御方法は、受光部17による受光量に基づいて、ユーザの肌が所定の暗さ条件を満たしているか否かを判定する肌判定ステップと、少なくとも受光部17による受光量に基づいて、自機器がユーザに装着されているか否かを判定する装着判定ステップと、を含み、肌判定ステップにおいて暗さ条件を満たしていると判定した場合には、装着判定ステップを行わない。これにより、装着状態に係る判定を好適に行うことができる。例えば、電子時計1がユーザに装着されているときに非装着であるとの誤判定がなされる不具合を生じにくくすることができる。
【0075】
また、本実施形態に係るプログラム111は、電子機器としての電子時計1に設けられたコンピュータとしてのCPU10を、制御手段として機能させる。当該制御手段は、受光部17による受光量に基づいて、ユーザの肌が所定の暗さ条件を満たしているか否かを判定する肌判定を行う。また、制御手段は、少なくとも受光部17による受光量に基づいて、自機器がユーザに装着されているか否かを判定する装着判定を行い、肌判定において暗さ条件を満たしていると判定した場合には、装着判定を行わない。このようなプログラム111によって電子時計1を動作させることで、装着状態に係る判定を好適に行うことができる。例えば、電子時計1がユーザに装着されているときに非装着であるとの誤判定がなされる不具合を生じにくくすることができる。
【0076】
(その他)
なお、上記実施形態における記述は、本発明に係る電子機器、電子機器の制御方法及びプログラムの一例であり、これに限定されるものではない。
例えば、電子機器として電子時計1を例示したが、これに限られない。例えば、電子機器は、活動量計などの各種のウェアラブルデバイスであってもよい。また、電子機器は、肌判定及び装着判定に用いる発光部及び受光部を有するものであればよく、脈拍検出が可能なものに限られない。脈拍検出を行わない電子機器では、例えば加速度の変化が上記の判定条件以上である場合に、ユーザに装着されているとみなして肌判定を行えばよい。また、電子機器の装着位置は、手首に限られない。
【0077】
また、電子時計1として、ドットマトリクス形式でデジタル表示を行うものを例示したが、これに限られず、時刻及び脈拍数などの情報のうち少なくとも一部を指針により表示するアナログ方式の電子時計が用いられてもよい。
【0078】
また、脈拍の検出結果を、脈拍数の計測に用いる例を挙げて説明したが、これに限られない。脈拍の検出結果は、例えば、ハートビートパルスを表示させたり、脈動に応じた点滅表示をさせたりする処理などに用いられてもよい。
【0079】
また、脈拍数計測処理のたびに肌判定処理を行って装着判定実行フラグ112を書き換える例を用いて説明したが、これに限られない。電子時計1を使用しているユーザを判別可能な場合や、複数のユーザの使用が想定されない場合などにおいては、初回の脈拍数計測処理における肌判定の結果を、2回目以降の脈拍数計測処理に流用してもよい。この場合には、初回の脈拍数計測処理における肌判定処理で決定した装着判定実行フラグ112の内容を、ユーザに対応付けてメモリ11の設定データに記憶させておき、2回目以降の脈拍数計測処理では、この設定データに基づいて装着判定の実行要否を判定すればよい。
【0080】
また、以上の説明では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体としてメモリ11の不揮発性メモリを使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、HDD、SSD、フラッシュメモリ、CD-ROM等の情報記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も本発明に適用される。
【0081】
また、上記実施形態における電子機器としての電子時計1の各構成要素の細部構成及び細部動作に関しては、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能であることは勿論である。
【0082】
本発明の実施の形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
ユーザに装着される電子機器であって、
前記ユーザの肌に光を射出する発光部と、
自機器が前記ユーザに装着されているとき、且つ前記発光部が前記光を射出しているときに前記ユーザの肌により反射した前記光を受光可能な位置に設けられた受光部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記受光部による受光量に基づいて、ユーザの肌が所定の暗さ条件を満たしているか否かを判定する肌判定を行い、
少なくとも前記受光部による受光量に基づいて、自機器がユーザに装着されているか否かを判定する装着判定を行い、
前記肌判定において前記暗さ条件を満たしていると判定した場合には、前記装着判定を行わない
ことを特徴とする電子機器。
<請求項2>
前記制御部は、前記肌判定において前記暗さ条件を満たしていないと判定した場合に前記装着判定を行うことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
<請求項3>
前記制御部は、前記受光部による受光量の変化に基づいて脈拍を検出することを特徴とする請求項1又は2に記載の電子機器。
<請求項4>
前記制御部は、前記脈拍を検出しているときの前記受光部による受光量に基づいて前記肌判定を行うことを特徴とする請求項3に記載の電子機器。
<請求項5>
前記制御部は、前記肌判定において、前記受光部による受光量が第1の基準値以下である場合に前記暗さ条件を満たすと判定することを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の電子機器。
<請求項6>
前記制御部は、前記装着判定において、前記受光部による受光量が第2の基準値より大きい場合に、自機器がユーザに装着されていると判定し、
前記第1の基準値は、前記第2の基準値より大きい
ことを特徴とする請求項5に記載の電子機器。
<請求項7>
自機器の加速度を検出する加速度センサを備え、
前記制御部は、前記加速度センサにより検出された加速度の変化が所定の判定基準以上である場合に前記肌判定を行う
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の電子機器。
<請求項8>
ユーザの肌に光を射出する発光部と、自機器が前記ユーザに装着されているとき、且つ前記発光部が前記光を射出しているときに前記ユーザの肌により反射した前記光を受光可能な位置に設けられた受光部と、を備えた、前記ユーザに装着される電子機器の制御方法であって、
前記受光部による受光量に基づいて、ユーザの肌が所定の暗さ条件を満たしているか否かを判定する肌判定ステップと、
少なくとも前記受光部による受光量に基づいて、自機器がユーザに装着されているか否かを判定する装着判定ステップと、
を含み、
前記肌判定ステップにおいて前記暗さ条件を満たしていると判定した場合には、前記装着判定ステップを行わない
ことを特徴とする電子機器の制御方法。
<請求項9>
ユーザの肌に光を射出する発光部と、自機器が前記ユーザに装着されているとき、且つ前記発光部が前記光を射出しているときに前記ユーザの肌により反射した前記光を受光可能な位置に設けられた受光部と、を備えた、前記ユーザに装着される電子機器に設けられたコンピュータにより実行されるプログラムであって、
前記コンピュータを制御手段として機能させ、
前記制御手段は、
前記受光部による受光量に基づいて、ユーザの肌が所定の暗さ条件を満たしているか否かを判定する肌判定を行い、
少なくとも前記受光部による受光量に基づいて、自機器がユーザに装着されているか否かを判定する装着判定を行い、
前記肌判定において前記暗さ条件を満たしていると判定した場合には、前記装着判定を行わない
ことを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0083】
1 電子時計(電子機器)
2 本体部
3 ベルト
10 CPU(制御部、制御手段)
11 メモリ
111 プログラム
112 装着判定実行フラグ
12 表示部
121 表示画面
13 操作受付部
131 操作ボタン
141 発振回路
142 分周回路
143 計時回路
15 発光部
16 発光駆動部
17 受光部
18 加速度センサ
19 A/Dコンバータ
V1 第1の基準値
V2 第2の基準値