(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022014933
(43)【公開日】2022-01-21
(54)【発明の名称】フェイスガード
(51)【国際特許分類】
G02C 7/16 20060101AFI20220114BHJP
A61B 90/00 20160101ALI20220114BHJP
A61F 9/02 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
G02C7/16
A61B90/00
A61F9/02 310
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020117451
(22)【出願日】2020-07-08
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】597116252
【氏名又は名称】村山 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】村山哲夫
(57)【要約】 (修正有)
【課題】フェイスガードを頭部に装着した状態で透明シールド板を上方に跳ね上げることができるフェイスガードを提供する。
【解決手段】フェイスガード10は、機械的要素を含まない透明シールド板20と、カチューシャフレーム30と、クッション部材40と、で構成され、該透明シールド板は、所定の厚さを有する透明なフィルムシートを用いて顔面の前面と側面領域を覆う略矩形の形状に形成し、上端部の両側におけるカチューシャフレームとの装着境界下方位置にカチューシャフレームのテンプル部31を狭持可能とする凹部25を形成し、カチューシャフレームは、所定の形状を有して内側に付勢する略C字形の金属又は合成樹脂素材で形成し、該略C字形に開口する先端部には耳に掛けられる先セル部32を形成し、クッション部材は、所定の形状を有してカチューシャフレームの前面内側に装着して成る手段を採る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械的要素を含まない透明シールド板と、カチューシャフレームと、クッション部材と、で構成され、
前記透明シールド板は、所定の厚さを有する透明なフィルムシートを用いて顔面の前面と側面領域を覆う略矩形の形状に形成し、上端部の両側における前記カチューシャフレームとの装着境界下方位置にカチューシャフレームのテンプル部を狭持可能とする凹部を形成して成り、
前記カチューシャフレームは、所定の形状を有して内側に付勢する略C字形の金属又は合成樹脂素材で形成し、該略C字形に開口する先端部には耳に掛けられる先セル部を形成して成り、
前記クッション部材は、所定の形状を有して前記カチューシャフレームの前面内側に装着して成り、
使用時において、前記カチューシャフレームのテンプル部の両側を掴んで拡げることにより、前記フェイスガードを頭部に装着した状態で透明シールド板を上方に跳ね上げることができることを特徴とするフェイスガード。
【請求項2】
前記透明シールド板が、所定の厚さを有する透明なフィルムシートを用いて顔面の前面と側面領域を覆う略矩形の形状に形成すると共に、前記カチューシャフレームのテンプル部に狭持可能な突起部を形成して成ることを特徴とする請求項1記載のフェイスガード。
【請求項3】
前記透明シールド板が、顔面の眼部領域を覆う略矩形の形状に形成すると共に、下辺部中央には鼻頭が当接する鼻掛け凹部を形成して成ることを特徴とする請求項1または請求項2記載のフェイスガード。
【請求項4】
前記カチューシャフレームのテンプル部にスライド可能な突起状の耳掛け補助キャップを装着して成ることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか記載のフェイスガード。
【請求項5】
前記カチューシャフレームの先セル部の後端に頭部を締め付ける弾性体を連結して成ることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか記載のフェイスガード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カチューシャフレームのテンプル部の両側を掴んで拡げることにより、フェイスガードを頭部に装着した状態で透明シールド板を上方に跳ね上げることができるフェイスガードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、咳、くしゃみによる飛沫やウイルス、血液、分泌液、唾液、汗、おう吐物,痰等の感染飛散物質から顔全体を保護する医療用のフェイスガードや、製造段階で発生する水分、薬液、塵埃等の飛散から顔全体を保護する製造業用のフェイスガードや、天ぷら油の飛び跳ねから顔面を保護する家庭用のフェイスガードなど多種多様のフェイスガードが商品化され提供されている。そして、それらのフェイスガードは、主に伸縮バンド式、メガネフレーム式、カチューシャ式等によって頭部に装着される手段を採用している。
【0003】
上記における伸縮バンド式のフェイスガードの提案としては、例えば、構造が簡単で軽量であり、保管時に嵩張ることがなく、また使用者にとってより快適に顔面を保護することができる「顔面保護シールド」(特許文献1)が提案され、公知技術となっている。
【0004】
しかしながら、係る「顔面保護シールド」の提案は、人の頭部に固定して使用する顔面保護シールドであって、頭部周囲に装着するための装着バンドと、頭部装着時に顔面を覆うように、装着バンドの長さの一部に亘って取り付けられた透明または半透明の可撓性シールド部材と、頭部装着時に前頭部に接するように装着バンドの内側に取り付けられる帯状の間隔部材であって、該間隔部材は、その長さ方向に亘って装着バンドとの間に隙間を生じるように、その両端部のみが前記装着バンドの内側に連結されており、それによって装着バンドと協働して可撓性シールド部材を顔面の左右方向に湾曲した状態で顔面から離間して支持する間隔部材とを有する顔面保護シールドにおいて、間隔部材の少なくとも一方の端部が、装着バンドの内側から取り外し可能であり、したがって取り外した時に全体として実質的に平坦に維持できる構造を有する手段を採用していることによって、可撓性シールド部材の上方に空間が存在するためその空間から感染飛散物質が浸入する恐れがあると共に、装着した状態で可撓性シールド部材の側端部が耳株付近まで拡張されていることによって、事務作業などを行う場合、顔面保護シールドを頭部に装着した状態で装着バンドを捩じることにより可撓性シールド部材を上方に跳ね上げることができない構造となっている。
【0005】
すなわち、上記の可撓性シールド部材を上方に跳ね上げるためには、一旦顔面保護シールドを頭部から取り外し、凹部状に湾曲している可撓性シールド部材の前面を裏返しして凸部状に湾曲させた後、再び被り直さなければならないといった面倒を要するものであり、さらに可撓性シールド部材を裏返す際には、感染飛散物質が付着している可能性がある前面が頭髪や手術用の帽子等に付着して二次感染を発生させる可能性があるものであった。
【0006】
また、一般に市販されている伸縮バンド式のフェイスガードの提案としては、可撓性シールド部材の上端部にクッション部材が装着されていることによって、感染飛散物質が上方から浸入することは防ぐことはできるが、前述の「顔面保護シールド」と同様な理由で可撓性シールド部材を上方に跳ね上げることができない構造となっている。
【0007】
また、メガネフレーム式のフェイスガードの提案としては、例えば、取り付けるときの指紋の付着を防止すると共に、使用前に傷や埃がつくことを防止し、クリーンな視界を得ることが可能な「フェイスガード用シールド及びフェイスガード」(特許文献2)が提案され、公知技術となっている。
【0008】
しかしながら、係る「フェイスガード用シールド及びフェイスガード」の提案は、フェイスガードに取り付けられ、装着者の眼を保護するフェイスガード用シールであって、透明なプラスチックフィルムから成り、前記フェイスガードのフレーム部と係合する係合穴が形成されたシールド本体と、係合穴が露出するように、シールド本体の下端部側の表面及び裏面を覆う保護カバーと、を備え、保護カバーは、使用時にシールド本体から取外し可能に設けられている手段を採用していることによって、メガネフレーム状のフェイスガードの額の上方と、耳株付近まで拡張されていない側方に隙間が存在することで、その隙間から感染飛散物質が浸入する恐れがあるものであった。
一方、事務作業などを行う場合に、フェイスガードに設けられる機械的な回動機構によって保護カバーを上方に跳ね上げることができる構造となっているが、該機械的な回動機構を構成するには、構造的に複雑であると共に、重量的に重くなり、さらに製造原価のコストアップに繋がるといった問題点があるものであった。
【0009】
また、一般に市販されているメガネフレーム式のフェイスガードの提案としては、一体成型されたメガネフレームの前面に透明シールド板を着脱自在に装着したものが提案されているが、そのメガネフレーム式のフェイスガードは機械的要素を備えてはいないが、メガネフレーム状のフェイスガードの額の上方と、耳株付近まで拡張されていない透明シールド板の側方に隙間が存在することでその隙間から感染飛散物質が浸入する恐れがあるものだった。
【0010】
また、カチューシャ式のフェイスガードの提案としては、例えば、油を使用した調理時における油飛沫の顔面への付着を防止できる「油調理用顔面保護具」(特許文献3)が提案され、公知技術となっている。
【0011】
しかしながら、係る「油調理用顔面保護具」の提案は、任意形状の透明板による保護板を設けるとともに、その上部に一対の取り付け孔を設け、弾力を有する挟持体を設けるとともに挟持体前部に一対の凸部を設け、以上の保護板と挟持体との組み合わせにより成る手段を採用していることによって、保護具自体をカチューシャ状の弾力を有する挟持体によってのみ頭部を狭持して固定する手段を採用しているため、保護具自体の取り付け状態が不安定であると共に、保護板の上面に隙間が形成されると共に、保護板の側端部が耳株付近まで拡張されていないことによって、その隙間から感染飛散物質が浸入する恐れがあるものであった。
また、該提案は、単純に保護板を上方に跳ね上げることはできるが、保護具自体の頭部への取り付け状態が不安定であることから、複雑な且つ確実な動きが要求される医療業務や長時間下向きになる事務作業においては不向きな構造となっている。
【0012】
また、上記のカチューシャ式のフェイスガードの提案としては、例えば、頭部の大きさ等に関わらず、装着安定性を確実に確保でき、良好なはめ心地が実現できる「顔面保護具及び顔面保護具用フレーム」(特許文献4)が提案され、公知技術となっている。
【0013】
しかしながら、係る「顔面保護具及び顔面保護具用フレーム」の提案は、頭部に装着する本体フレームと、本体フレームの外側に配置され、装着者の顔面を保護するシールドを保持するシールドフレームとを具備し、本体フレームは、前頭部から両側後頭部まで延びるブリッジアームと、ブリッジアームの両端部に設けた後頭部を支持する第1支持部と、ブリッジアームの側頭部対応部分から前頭部方向に分岐し、ブリッジアームの内側に配置した一対のヘッドアームと、ヘッドアームの先端部に設けた前頭部を支持する第2支持部とを具備し、ブリッジアームの前頭部対応部分が前頭部から離間して配置され、第1支持部の後頭部への押圧力を調整する第1押圧力調整部となり、ヘッドアームが、第2支持部の前頭部への押圧力を調整する第2押圧力調整部になる手段を採用していることによって、シールドが本体フレームの額の上方と耳株付近まで拡張されていないことによって、上方と側方に隙間が存在することでその隙間から感染飛散物質が浸入する恐れがあるものであった。
また、本体フレームに設けられる機械的要素によって構成される回動機構によって事務作業などを行う場合には、シールドを上方に跳ね上げることができるが、該機械的要素の回動機構を構成するには、構造的に複雑であると共に、重量的に重くなり、さらに製造原価のコストアップに繋がるといった問題点があるものであった。
【0014】
本出願人は、従来におけるフェイスガードの透明シールド板を上方に回動させる構造に着目し、カチューシャフレームのテンプル部の両側を掴んで拡げることにより、フェイスガードを頭部に装着した状態で透明シールド板を上方に跳ね上げることができるフェイスガードを開発し、本発明における「フェイスガード」の提案に至るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2005-287561号公報
【特許文献2】特開2018-149295号公報
【特許文献3】特開2006-305271号公報
【特許文献4】特開2018-158119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は上記問題点を鑑み、カチューシャフレームのテンプル部の両側を掴んで拡げることにより、フェイスガードを頭部に装着した状態で透明シールド板を上方に跳ね上げることができるフェイスガードの提供を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は上記課題を解決するためになされるもので、本発明におけるフェイスガードは、機械的要素を含まない透明シールド板と、カチューシャフレームと、クッション部材と、で構成され、前記透明シールド板は、所定の厚さを有する透明なフィルムシートを用いて顔面の前面と側面領域を覆う略矩形の形状に形成し、上端部の両側における前記カチューシャフレームとの装着境界下方位置にカチューシャフレームのテンプル部を狭持可能とする凹部を形成して成り、前記カチューシャフレームは、所定の形状を有して内側に付勢する略C字形の金属又は合成樹脂素材で形成し、該略C字形に開口する先端部には耳に掛けられる先セル部を形成して成り、前記クッション部材は、所定の形状を有して前記カチューシャフレームの前面内側に装着して成り、使用時において、前記カチューシャフレームのテンプル部の両側を掴んで拡げることにより、前記フェイスガードを頭部に装着した状態で透明シールド板を上方に跳ね上げることができる手段を採る。
【0018】
また、本発明におけるフェイスガードは、前記透明シールド板が、所定の厚さを有する透明なフィルムシートを用いて顔面の前面と側面領域を覆う略矩形の形状に形成すると共に、前記カチューシャフレームのテンプル部に狭持可能な突起部を形成して成る手段を採る。
【0019】
また、本発明におけるフェイスガードは、前記透明シールド板が、顔面の眼部領域を覆う略矩形の形状に形成すると共に、下辺部中央には鼻頭が当接する鼻掛け凹部を形成して成る手段を採る。
【0020】
また、本発明におけるフェイスガードは、前記カチューシャフレームのテンプル部にスライド可能な突起状の耳掛け補助キャップを装着して成る手段を採る。
【0021】
また、本発明におけるフェイスガードは、前記カチューシャフレームの先セル部の後端に頭部を締め付ける弾性体を連結して成る手段を採る。
【発明の効果】
【0022】
本発明におけるフェイスガードによれば、カチューシャフレームのテンプル部を掴んで透明シールド板を容易に上方に跳ね上げられる構造を有していることによって、フェイスガードを頭部に装着した状態で医療業務ならびに事務業務を同時に遂行することができる、といった優れた効果を奏する。
【0023】
また、本発明におけるフェイスガードによれば、機械的要素を含まない透明シールド板と、カチューシャフレームと、クッション部材と、の最小限の部品点数ならびに簡単・軽量構造の部品で構成されることによって、商品単価のコストダウンが図れると共に、製造段階での組み立て工程を必要としない、といった優れた効果を奏する。
【0024】
また、本発明におけるフェイスガードによれば、透明シールド板と、カチューシャフレームと、クッション部材の簡単構造で構成できることから、医療現場ではもとより、製造現場、工事現場、飲食店、接待業、行楽施設等のあらゆる分野で利用することができるもので、さらにカチューシャフレームをデザイン化ならびにカラー化することで使用する現場の雰囲気を損なうことがない個性豊かなフェイスガードの提供が可能になる、といった優れた効果を奏する。
【0025】
また、本発明におけるフェイスガードによれば、透明シールド板が、所定の厚さを有する透明なフィルムシートを用いて顔面の前面と側面領域を覆う略矩形の形状に形成すると共に、カチューシャフレームのテンプル部に狭持可能な突起部を形成して成ることによって、該突起部を掴んでカチューシャフレームのテンプル部を拡げることでフェイスガードを装着した状態で透明シールド板を容易に上方に跳ね上げることができる、といった優れた効果を奏する。
【0026】
また、本発明におけるフェイスガードによれば、透明シールド板が、顔面の眼部領域を覆う略矩形の形状に形成すると共に、下辺部には鼻頭が当接する鼻掛け凹部を形成していることによって、マスクを着用した状態で顔面の眼部領域をシールドできる、といった優れた効果を奏する。
【0027】
また、本発明におけるフェイスガードによれば、カチューシャフレームのテンプル部にスライド可能な突起状の耳掛け補助キャップを装着して成ることによって、フェイスガードを跳ね上げた状態であっても、耳介外縁の根元部分とカチューシャフレームのテンプル部分と頭部の頂点の二点支持で安定的に装着固定することができる、といった優れた効果を奏する。
【0028】
また、本発明におけるフェイスガードによれば、カチューシャフレームの先セル部の後端に頭部を締め付ける弾性体を連結していることによって、フェイスガードを頭部にワンタッチで取り付けることができ、さらに複雑で確実な動きを必要とする医療業務においても安定的に装着できる、といった優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明におけるフェイスガードの実施形態を示す説明図である。 (実施例1)
【
図2】本発明におけるフェイスガードの別の実施形態を示す説明図である。 (実施例2)
【
図3】本発明におけるフェイスガードの別の実施形態を示す説明図である。 (実施例3)
【
図4】本発明におけるフェイスガードの別の実施形態を示す説明図である。 (実施例4)
【
図5】本発明におけるフェイスガードの別の実施形態を示す説明図である。 (実施例5)
【
図6】従来のフェイスガードの実施形態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明におけるフェイスガード10は、機械的要素を含まない透明シールド板20と、カチューシャフレーム30と、クッション部材40と、で構成され、使用時において、カチューシャフレーム30のテンプル部31の両側を掴んで拡げることにより、フェイスガード10を頭部に装着した状態で透明シールド板20を上方に跳ね上げることができる手段を採ったことを最大の特徴とする。以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0031】
尚、本発明のフェイスガード10は、以下に述べる実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内、すなわち同一の作用効果を発揮できる形状及び寸法の範囲内で、適宜変更することができる。
【実施例0032】
図1は、本発明におけるフェイスガードの実施形態を示す説明図である。
図1(a)は、本発明におけるフェイスガード10の全体斜視図である。
図1(b)は、本発明におけるフェイスガード10の分解斜視図である。
本発明のフェイスガード10は、機械的要素を含まない透明シールド板20と、カチューシャフレーム30と、クッション部材40と、で構成され、使用時において、カチューシャフレーム30のテンプル部31の両側を掴んで拡げることにより、フェイスガード10を頭部に装着した状態で透明シールド板20を上方に跳ね上げることができる構造を有して形成される。
【0033】
図1(c)は、本発明におけるフェイスガード10の透明シールド板20の形状を示す説明図である。
(イ)は、透明シールド板20の凹部25が略コの字状にくり抜かれた形態を示す。
(ロ)は、透明シールド板20の凹部25が略L字状にくり抜かれた形態を示す。
透明シールド板20は、例えば、所定の厚さを有する透明なフィルムシートを用いて顔面の前面と側面領域を覆う略矩形の形状に形成され、上端部21の両側におけるカチューシャフレーム30との装着境界下方位置にカチューシャフレーム30のテンプル部31を狭持可能とする凹部25を形成して成るもので、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニールなどの静電気の帯電防止が可能なプラスチックシートから構成され、厚みが略0.1~0.5mm(限定されない)、幅が略330mm(耳株K付近まで延長されている)、高さが略220mm(顎の下まで延長されている)の略矩形状に形成される。また周縁部は隅取り、縁の丸味付けなどの仕上加工が施され、内側面は曇り防止加工が施されている。
【0034】
凹部25は、本発明の要旨となるもので、透明シールド板20が、顔面の側面領域を覆うには透明シールド板20の側端部24が使用者の耳株K位置付近まで領域が拡張されていなければならないが、側面領域を拡張することに伴って凹部25を形成することができない(
図6(b)参照)ものであり、反対に透明シールド板20の側端部24が顔面の前方位置付近までしか領域を拡張されていない場合は、その隙間から感染飛散物質が浸入する恐れがある(
図6(a)参照)ものであり、相反する形状と効果が交錯することから、この凹部25が設けられることによって両方の目的を達成することができるものである。よって、凹部25の形状は限定されるものではなく、カチューシャフレーム30との装着境界下方位置にカチューシャフレーム30のテンプル部31を狭持可能とする形状であればよい。
【0035】
カチューシャフレーム30は、所定の形状を有して内側に付勢する略C字形の金属又は合成樹脂素材で一体成型され、該略C字形に開口する先端部には耳に掛けられる先セル部32を形成して成る。
【0036】
クッション部材40は、例えば、所定の形状を有した発泡樹脂素材等を利用したクッション素材で形成され、カチューシャフレーム30の前面内側に装着されるもので、該クッション部材40の装着手段としては、例えば、両面テープ等で透明シールド板20の上端内側に貼着される。
【0037】
また、クッション部材40の役割としては、装着時の頭部への装着感を緩和する役割と、額の汗を吸収する役割と、カチューシャフレーム30の支持支点が額の前面下方位置となる役割を果たすことで、透明シールド板20が頭部に安定的に装着固定されるものである。
【0038】
図1(d)は、本発明におけるフェイスガード10の使用状態を示す説明図である。
本発明のフェイスガード10は、カチューシャフレーム30の支持支点が額の前面位置(正確には眉部のやや上)と、テンプル部31の耳掛け作用点と、透明シールド板20の一部が鼻頭に当接する点の三点支持(図示の黒矢印参照)と、カチューシャフレーム30の狭持作用(図示の白矢印参照)と、で支持されることでフェイスガード10全体が頭部に安定的に装着固定されるものである。
【0039】
図1(e)は、本発明におけるフェイスガード10を跳ね上げた状態を示す説明図である。
本発明のフェイスガード10は、カチューシャフレーム30の支持支点が頭部の頂点と、テンプル部31のこめかみ位置付近ならびに頭部全体を狭持する点の二点支持(図示の黒矢印参照)と、カチューシャフレーム30の狭持作用(図示の白矢印参照)と、で支持されることで、フェイスガード10全体が頭部に安定的に装着固定されるものである。
【0040】
以上で構成される本発明のフェイスガード10は、フェイスガード10を頭部に装着した状態で医療業務ならびに事務業務を同時に遂行することができ、また、機械的要素を含まない透明シールド板20と、カチューシャフレーム30と、クッション部材40と、の最小限の部品点数ならびに簡単・軽量構造の部品で構成されることで、商品単価のコストダウンが図られ、さらに、製造段階での組み立て工程を必要としないと共に、医療現場ではもとより、製造現場、工事現場、飲食店、接待業、行楽施設等のあらゆる分野で利用することができるもので、またさらにカチューシャフレーム30をデザイン化ならびにカラー化することで使用する現場の雰囲気を損なうことがない個性豊かなフェイスガード10の提供を可能にするものである。
突起部33は、カチューシャフレーム30のテンプル部31に指先で狭持可能な形状を有して設けられるもので、カチューシャフレーム30の上面または側面に一体成型されて形成される。
尚、突起部33が、カチューシャフレーム30の側面に設けられた場合は、透明シールド板20は突起部33を回避した逃げ部を設けた形状に形成される。
以上で構成される本発明のフェイスガード10は、カチューシャフレーム30のテンプル部31に設けられた突起部33を掴んで拡げることでフェイスガード10を容易に上方に跳ね上げることができるものである。