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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149332
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】遠隔作業装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 3/00 20060101AFI20220929BHJP
   G01N 29/07 20060101ALI20220929BHJP
   G01N 29/11 20060101ALI20220929BHJP
   G01N 29/48 20060101ALI20220929BHJP
   B25J 13/08 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
B25J3/00 Z
G01N29/07
G01N29/11
G01N29/48
B25J13/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021051438
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】長井 隆浩
(72)【発明者】
【氏名】三木 将裕
(72)【発明者】
【氏名】北澤 聡
(72)【発明者】
【氏名】大島 佑己
(72)【発明者】
【氏名】松井 祐二
(72)【発明者】
【氏名】小林 亮介
(72)【発明者】
【氏名】平野 克彦
(72)【発明者】
【氏名】上野 克宜
【テーマコード(参考)】
2G047
3C707
【Fターム(参考)】
2G047AA05
2G047BC02
2G047BC03
2G047BC18
2G047GA21
2G047GG20
2G047GG28
2G047GG30
2G047GG33
3C707CS08
3C707ES03
3C707ET02
3C707EV14
3C707JU12
3C707KS09
3C707KT01
3C707KT05
3C707LV10
3C707WA17
(57)【要約】
【課題】ロボットの動作によって対象物を破損することなく、ロボットの動作を行わせることができる遠隔作業装置を提供する。
【解決手段】遠隔作業装置は、把持部材13A,13Bの間隔を可変して対象物101を把持する把持機構11、柔軟材15A,15B、超音波センサ16A,16B、及び画像センサ12を備えた作業ロボット1と、把持機構11を制御する作業ロボット制御装置2及び支援制御装置8とを備える。支援制御装置8は、柔軟材15A,15Bと対象物101との接触状態を検知したときに、超音波センサ16Aから送信され柔軟材15A、対象物101、及び柔軟材15Bを透過し超音波センサ16Bで受信された超音波の伝播時間と、画像センサ12を用いて取得された対象物101の幅寸法とに基づいて、対象物101の音速を演算し、これに基づいて対象物101の材質を弁別し、これに基づいて把持機構11の把持力の目標値を設定する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の把持部材と第2の把持部材の間隔を可変して対象物を把持する把持機構と、前記第1の把持部材及び前記第2の把持部材にそれぞれ設けられ、前記対象物と接触する第1の柔軟材及び第2の柔軟材と、前記第1の把持部材及び前記第2の把持部材にそれぞれ設けられた第1の超音波センサ及び第2の超音波センサとを備えたロボットと、
前記第1の超音波センサ及び前記第2の超音波センサを用いて取得された超音波の伝播情報に基づいて、前記ロボットの前記把持機構を制御する制御装置と、を備えた遠隔作業装置であって、
前記ロボットは、前記対象物の幅寸法を取得するための画像センサを更に備え、
前記制御装置は、
前記第1の超音波センサから送信され前記第1の柔軟材の対象物側表面で反射され前記第1の超音波センサで受信された超音波の受信強度に基づいて、前記第1の柔軟材と前記対象物との接触状態を検知し、
前記第2の超音波センサから送信され前記第2の柔軟材の対象物側表面で反射され前記第2の超音波センサで受信された超音波の受信強度に基づいて、前記第2の柔軟材と前記対象物との接触状態を検知し、
前記第1の柔軟材と前記対象物との接触状態並びに前記第2の柔軟材と前記対象物との接触状態を検知したときに、前記第1の超音波センサから送信され前記第1の柔軟材、前記対象物、及び前記第2の柔軟材を透過し前記第2の超音波センサで受信された超音波の伝播時間と、前記画像センサを用いて取得された前記対象物の幅寸法とに基づいて、前記対象物の音速を演算し、
前記対象物の音速に基づいて、前記対象物の材質を弁別し、
前記対象物の材質に基づいて、前記把持機構の把持力の目標値を設定し、
前記把持機構の把持力が前記目標値となるように前記把持機構を制御することを特徴とする遠隔作業装置。
【請求項2】
請求項1に記載の遠隔作業装置において、
前記制御装置は、
前記第1の柔軟材と前記対象物との接触状態を検知した場合の、前記第1の超音波センサから送信され前記第1の柔軟材の対象物側表面で反射され前記第1の超音波センサで受信された超音波の受信強度と、前記第1の柔軟材と前記対象物との接触状態を検知しない場合の、前記第1の超音波センサから送信され前記第1の柔軟材の対象物側表面で反射され前記第1の超音波センサで受信された超音波の受信強度との比率により、前記対象物の表面の反射率を演算し、
前記対象物の音速と前記反射率に基づいて、前記対象物の材質を弁別することを特徴とする遠隔作業装置。
【請求項3】
請求項1に記載の遠隔作業装置において、
前記制御装置は、
前記第1の柔軟材と前記対象物との接触状態並びに前記第2の柔軟材と前記対象物との接触状態を検知した後に、前記第1の超音波センサから送信され前記第1の柔軟材の対象物側表面で反射され前記第1の超音波センサで受信された超音波の伝播時間の変化に基づいて、前記第1の柔軟材の変形量を演算し、前記第2の超音波センサから送信され前記第2の柔軟材の対象物側表面で反射され前記第2の超音波センサで受信された超音波の伝播時間の変化に基づいて、前記第2の柔軟材の変形量を演算し、前記第1の柔軟材の変形量及び前記第2の柔軟材の変形量に基づいて、前記把持機構の把持力を演算することを特徴とする遠隔作業装置。
【請求項4】
請求項1に記載の遠隔作業装置において、
前記制御装置は、
前記第1の柔軟材と前記対象物との接触状態並びに前記第2の柔軟材と前記対象物との接触状態を検知した後に、前記第1の超音波センサから送信され前記対象物内の空隙で反射され前記第1の超音波センサで受信された超音波の伝播情報に基づいて、前記対象物の空隙率を演算することを特徴とする遠隔作業装置。
【請求項5】
第1の把持部材と第2の把持部材の間隔を可変して対象物を把持する把持機構と、前記第1の把持部材及び前記第2の把持部材にそれぞれ設けられ、前記対象物と接触する第1の柔軟材及び第2の柔軟材と、前記第1の把持部材及び前記第2の把持部材にそれぞれ設けられた第1の超音波センサ及び第2の超音波センサとを備えたロボットと、
前記第1の超音波センサ及び前記第2の超音波センサを用いて取得された超音波の伝播情報に基づいて、前記ロボットの前記把持機構を制御する制御装置と、を備えた遠隔作業装置であって、
前記制御装置は、
前記第1の超音波センサから送信され前記第1の柔軟材の対象物側表面で反射され前記第1の超音波センサで受信された超音波の受信強度に基づいて、前記第1の柔軟材と前記対象物との接触状態を検知し、
前記第1の柔軟材と前記対象物との接触状態を検知したときに、前記超音波の受信強度に基づいて、前記対象物の表面の反射率を演算し、
前記反射率に基づいて、前記対象物の材質を弁別し、
前記対象物の材質に基づいて、前記把持機構の把持力の目標値を設定し、
前記把持機構の把持力が前記目標値となるように前記把持機構を制御することを特徴とする遠隔作業装置。
【請求項6】
複数の脚を駆動して対象物上を歩行する歩行機構と、前記複数の脚にそれぞれ設けられ、前記対象物と接触する複数の柔軟材と、前記複数の脚にそれぞれ設けられた複数の超音波センサとを備えたロボットと、
前記複数の超音波センサを用いて取得された超音波の伝播情報に基づいて、前記ロボットの前記歩行機構を制御する制御装置と、を備えた遠隔作業装置であって、
前記制御装置は、
前記超音波センサから送信され前記柔軟材の対象物側表面で反射され前記超音波センサで受信された超音波の受信強度に基づいて、前記柔軟材と前記対象物との接触状態を検知し、
前記柔軟材と前記対象物との接触状態を検知したときに、前記超音波の受信強度に基づいて、前記対象物の表面の反射率を演算し、
前記反射率に基づいて、前記対象物の材質を弁別し、
前記対象物の材質に基づいて、前記脚の踏込み力の目標値を演算し、
前記脚の踏込み力が前記目標値となるように前記歩行機構を制御することを特徴とする遠隔作業装置。
【請求項7】
請求項6に記載の遠隔作業装置において、
前記制御装置は、
前記柔軟材と前記対象物との接触状態を検知した後に、前記超音波センサから送信され前記柔軟材の対象物側表面で反射され前記超音波センサで受信された超音波の伝播時間の変化に基づいて、前記柔軟材の変形量を演算し、前記柔軟材の変形量に基づいて、前記脚の踏込力を演算することを特徴とする遠隔作業装置。
【請求項8】
請求項6に記載の遠隔作業装置において、
前記制御装置は、
前記柔軟材と前記対象物との接触状態を検知した後に、前記超音波センサから送信され前記対象物の底面で反射され前記超音波センサで受信された縦波の伝播時間と、前記超音波センサから送信され前記対象物の底面で反射され前記超音波センサで受信された横波の伝播時間との比に基づいて、前記対象物の弾性係数を演算することを特徴とする遠隔作業装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔作業装置に関する。
【背景技術】
【0002】
災害現場等の作業場は人間の立ち入りが困難である場合があり、このような場合に遠隔作業装置を用いて作業を行う。特許文献1の遠隔作業装置は、作業場に配置されたロボットと、作業場から離れた場所にいるオペレータが操作する操作装置と、操作装置の操作に応じてロボットを制御する制御系とを備える。ロボットは、例えば、ロボットが移動するための移動機構と、多関節型のアーム機構と、アーム機構の先端側に設けられ、対象物を把持する把持機構とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-202541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したロボットの把持機構で把持される対象物は、不定形で且つ材質が未知である場合がある。対象物が不定形であるから、柔軟材を把持機構に設け、柔軟材が対象物と接触するように構成することが考えられる。しかし、対象物の材質が未知であるから、把持機構の把持力の適正範囲が未知である。そのため、把持機構の把持力が大きすぎて対象物を破損する可能性が生じる。
【0005】
本発明の目的は、ロボットの動作によって対象物を破損することなく、ロボットの動作を行わせることができる遠隔作業装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、代表的な本発明は、第1の把持部材と第2の把持部材の間隔を可変して対象物を把持する把持機構を備えたロボットと、前記第1の把持部材及び前記第2の把持部材にそれぞれ設けられ、前記対象物と接触する第1の柔軟材及び第2の柔軟材と、前記第1の把持部材及び前記第2の把持部材にそれぞれ設けられた第1の超音波センサ及び第2の超音波センサと、前記第1の超音波センサ及び前記第2の超音波センサを用いて取得された超音波の伝播情報に基づいて、前記把持機構を制御する制御装置とを備えた遠隔作業装置であって、前記対象物の幅寸法を取得する画像センサを更に備え、前記制御装置は、前記第1の超音波センサから送信され前記第1の柔軟材の対象物側表面で反射され前記第1の超音波センサで受信された超音波の受信強度に基づいて、前記第1の柔軟材と前記対象物との接触状態を検知し、前記第2の超音波センサから送信され前記第2の柔軟材の対象物側表面で反射され前記第2の超音波センサで受信された超音波の受信強度に基づいて、前記第2の柔軟材と前記対象物との接触状態を検知し、前記第1の柔軟材と前記対象物との接触状態並びに前記第2の柔軟材と前記対象物との接触状態を検知したときに、前記第1の超音波センサから送信され前記第1の柔軟材、前記対象物、及び前記第2の柔軟材を透過し前記第2の超音波センサで受信された超音波の伝播時間と、前記画像センサで取得された前記対象物の幅寸法とに基づいて、前記対象物の音速を演算し、前記対象物の音速に基づいて、前記対象物の材質を弁別し、前記対象物の材質に基づいて、前記把持機構の把持力の目標値を設定し、前記把持機構の把持力が前記目標値となるように前記把持機構を制御する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ロボットの動作によって対象物を破損することなく、ロボットの動作を行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1の実施形態における遠隔作業装置の構成を表すブロック図である。
図2】本発明の第1の実施形態における遠隔作業装置の構成を表す概略図である。
図3】本発明の第1の実施形態における作業ロボットの把持機構及び画像センサを表す部分拡大図であり、画像センサで対象物の画像を取得している状態を示す。
図4】本発明の第1の実施形態における作業ロボットの画像センサで取得された対象物の画像を表す図である。
図5】本発明の第1の実施形態における作業ロボットの把持機構及び画像センサを表す部分拡大図であり、把持機構で対象物を把持している状態を示す。
図6】本発明の第1の実施形態における作業ロボットの把持機構の制御にわる処理手順を表すフローチャートである。
図7】本発明の第1の実施形態における波形データの具体例を表す図である。
図8】本発明の第1の実施形態における波形データの具体例を表す図である。
図9】本発明の第1の実施形態における材質弁別マップの具体例を表す図である。
図10】本発明の第1の実施形態における波形データの具体例を表す図である。
図11】本発明の一変形例における作業ロボットの把持機構及び画像センサを表す部分拡大図であり、空隙を有する対象物を把持機構で把持している状態を示す。
図12】本発明の一変形例における波形データの具体例を表す図である。
図13】本発明の第2の実施形態における遠隔作業装置の構成を表すブロック図である。
図14】本発明の第2の実施形態におけるロボットの構造を表す上面図である。
図15】本発明の第2の実施形態におけるロボットの構造を表す側面図である。
図16】本発明の第2の実施形態におけるロボットの脚の先端部を表す部分拡大図である。
図17】本発明の第2の実施形態におけるロボットの歩行機構の制御にわる処理手順を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の第1の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0010】
図1は、本実施形態における遠隔作業装置の構成を表すブロック図である。図2は、本実施形態における遠隔作業装置の構成を表す概略図である。図3は、本実施形態における作業ロボットの把持機構及び画像センサを表す部分拡大図であり、画像センサで対象物の画像を取得している状態を示す。図4は、本実施形態における作業ロボットの画像センサで取得された対象物の画像を表す図である。図5は、本実施形態における作業ロボットの把持機構及び画像センサを表す部分拡大図であり、把持機構で対象物を把持している状態を示す。
【0011】
本実施形態の遠隔作業装置は、作業ロボット1と、作業ロボット1を制御する作業ロボット制御装置2と、運搬ロボット3と、運搬ロボット3を制御する運搬ロボット制御装置4と、オペレータが操作可能な操作装置5と、オペレータが目視可能な表示装置6(ディスプレイ)と、操作装置5及び表示装置6に接続された操作制御装置7と、作業ロボット制御装置2、運搬ロボット制御装置4、及び操作制御装置7の間に介在する支援制御装置8(データ処理装置)とを備える。なお、作業ロボット制御装置2、運搬ロボット制御装置4、操作制御装置7、及び支援制御装置8の各々は、例えば、プログラムやデータを記憶するメモリと、プログラムに従って処理を実行するプロセッサとを有するものである。
【0012】
作業ロボット1は、作業場100内の対象物101を運搬ロボット3に積込むためのものである。作業ロボット1は、作業ロボット1が移動するための移動機構9(例えばクローラ式の走行装置)と、多関節型のアーム機構10と、アーム機構10の先端側に設けられ、対象物101を把持するための把持機構11と、対象物101の画像を取得する画像センサ12(カメラ)とを備える。
【0013】
把持機構11は、把持部材13A,13Bと、把持部材13A,13Bの間隔を可変する関節部14とを有し、把持部材13A,13Bの間隔を可変して対象物101を把持する。柔軟材15Aが把持部材13Aの内側(図3及び図5の右側)に設けられ、柔軟材15Bが把持部材13Bの内側(図3及び図5の左側)に設けられている。これにより、把持機構11で対象物101を把持する際に、柔軟材15A,15Bが対象物101と接触するようになっている。柔軟材15A,15Bは、例えばゴム又はゲルなどからなり、変形可能な部材である。超音波センサ16Aが把持部材13Aに埋込まれて柔軟材15Aと接触し、超音波センサ16Bが把持部材13Bに埋込まれて柔軟材15Bと接触している。
【0014】
作業ロボット制御装置2は、機能的構成として、データ送受信部17、移動制御部18、アーム制御部19、把持制御部20、画像処理部21、及び信号処理部22を有する。作業ロボット制御装置2のデータ送受信部17は、支援制御装置8を介し操作制御装置7からの作業ロボットの動作指令(詳細には、移動機構の駆動指令、アーム機構の駆動指令、把持機構の駆動指令、画像処理指令、及び信号処理指令)を受信する。
【0015】
作業ロボット制御装置2の移動制御部18は、移動機構の駆動指令に応じて、作業ロボット1の移動機構9を制御する。作業ロボット制御装置2のアーム制御部19は、アーム機構の駆動指令に応じて、作業ロボット1のアーム機構10を制御する。作業ロボット制御装置2の把持制御部20は、把持機構の駆動指令に応じて、作業ロボット1の把持機構11を制御する。
【0016】
作業ロボット制御装置2の画像処理部21は、画像処理指令に応じて、作業ロボット1の画像センサ12で取得された対象物101の画像を処理して対象物101の幅寸法L1(図4参照)を取得し、データ送受信部17を介し支援制御装置8へ送信する。
【0017】
作業ロボット制御装置2の信号処理部22は、信号処理指令に応じて、作業ロボット1の超音波センサ16A,16Bとの間で信号を送受信すると共に、受信した信号を処理する。超音波センサ16A,16Bの各々は、例えば、圧電素子を有する。信号処理部22は、例えば、圧電素子へパルス信号を送信するパルサと、圧電素子から波形信号を受信するレシーバとを有する。圧電素子は、パルサからのパルス信号によって発振し、柔軟材などへ向けて超音波を送信する。そして、反射した超音波又は透過した超音波を受信し、波形信号に変換してレシーバへ出力する。レシーバは、波形信号(アナログ信号)を波形データ(デジタル信号)へ変換し、データ送受信部17を介し支援制御装置8へ送信する。
【0018】
運搬ロボット3は、作業ロボット1によって積込まれた対象物101を撤去場所102へ運搬するためのものである。運搬ロボット3は、運搬ロボット3が移動するための移動機構(例えばクローラ式の走行装置)と、対象物101を積載する荷台と、荷台を傾けて対象物101を放出させるチルト機構とを備える。
【0019】
運搬ロボット制御装置4は、支援制御装置8を介し操作制御装置7からの運搬ロボットの動作指令を受信する。運搬ロボット制御装置4は、運搬ロボットの動作指令に応じて、運搬ロボット3の移動機構及びチルト機構を制御する。
【0020】
操作装置5は、例えば、作業用の操作レバーと、作業用の操作レバーの操作方向及び操作量に応じて作業用の操作信号を出力するポテンションメータと、運搬用の操作レバーと、運搬用の操作レバーの操作方向及び操作量に応じて運搬用の操作信号を出力するポテンションメータとを有する。
【0021】
操作制御装置7は、機能的構成として、作業指令生成部23、運搬指令生成部24、及びデータ送受信部25を有する。操作制御装置7の作業指令生成部23は、操作装置5からの作業用の操作信号に基づき、上述した作業ロボットの動作指令を生成し、データ送受信部25及び支援制御装置8を介し作業ロボット制御装置2へ送信する。操作制御装置7の運搬指令生成部24は、操作装置5からの運搬用の操作信号に基づき、上述した運搬ロボットの動作指令を生成し、データ送受信部25及び支援制御装置8を介し運搬ロボット制御装置4へ送信する。
【0022】
支援制御装置8は、機能的構成として、データ送受信部26、対象物物性演算部27、把持力目標値設定部28、及び把持力演算部29を有する。支援制御装置8のデータ送受信部26は、作業ロボット制御装置2、運搬ロボット制御装置4、及び操作制御装置7との間でデータを送受信するためのものである。支援制御装置8のデータ送受信部26は、作業ロボット制御装置2の信号処理部22で処理された波形データ(言い換えれば、超音波センサ16A,16Bを用いて取得された超音波の伝播情報)と、作業ロボット制御装置2の画像処理部21で取得された対象物101の幅寸法Lを受信する。
【0023】
ここで、本実施形態の最も大きな特徴として、支援制御装置8の対象物物性演算部27は、前述した波形データ(詳細は後述)と対象物101の幅寸法Lに基づいて、対象物101の音速を演算する。また、前述した波形データ(詳細は後述)に基づいて、対象物101の表面の反射率を演算する。そして、対象物101の音速及び反射率に基づいて、対象物101の材質を弁別する。支援制御装置8の把持力目標値設定部28は、対象物101の材質に基づいて、作業ロボット1の把持機構11の把持力の目標値を設定し、データ送受信部26を介し作業ロボット制御装置2へ送信する。
【0024】
支援制御装置8の把持力演算部29は、前述した波形データ(詳細は後述)に基づいて、柔軟材15A,15Bの変形量を演算する。そして、柔軟材15A,15Bの変形量に基づいて、作業ロボット1の把持機構11の把持力を演算し、データ送受信部26を介し作業ロボット制御装置2へ送信する。作業ロボット制御装置2の把持制御部20は、把持機構11の把持力が目標値となるように把持機構11を制御する。
【0025】
次に、本実施形態の作業ロボット1の把持機構11の制御に係わる処理手順を、図6を用いて説明する。図6は、本実施形態における作業ロボットの把持機構の制御に係わる処理手順を表すフローチャートである。
【0026】
ステップS1にて、作業ロボット制御装置2の把持制御部20は、把持機構の駆動指令に応じて、作業ロボット1の把持機構11の把持部材13A,13Bの間隔を短くする。また、作業ロボット制御装置2の信号処理部22は、信号処理指令に応じて(但し、把持機構の駆動指令と連動してもよい)、作業ロボット1の超音波センサ16A,16Bとの間で信号を送受信すると共に、受信した信号を処理する。これにより、超音波センサ16Aの波形データと超音波センサ16Bの波形データを、支援制御装置8へ送信する。
【0027】
ステップS2に進み、支援制御装置8の対象物物性演算部27は、超音波センサ16Aの波形データ(図7参照)のうち、時間t1で受信された超音波(詳細には、超音波センサ16Aから送信され柔軟材15Aの対象物側表面で反射され超音波センサ16Aで受信された超音波)の受信強度が閾値R0より小さいか否かにより、柔軟材15Aと対象物101とが接触しているか否かを判定する。
【0028】
柔軟材15Aと対象物101の接触状態を検知しない場合に、超音波センサ16Aの波形データのうち、時間t1で受信された超音波の受信強度R1aを記憶すると共に、上述のステップS1に戻る。一方、柔軟材15Aと対象物101の接触状態を検知した場合に、超音波センサ16Aの波形データのうち、時間t1で受信された超音波の受信強度R2aを記憶すると共に、ステップS3に移る。
【0029】
ステップS3にて、支援制御装置8の対象物物性演算部27は、超音波センサ16Bの波形データのうち、時間t1で受信された超音波(詳細には、超音波センサ16Bから送信され柔軟材15Bの対象物側表面で反射され超音波センサ16Bで受信された超音波)の受信強度が閾値R0より小さいか否かにより、柔軟材15Bと対象物101とが接触しているか否かを判定する。
【0030】
柔軟材15Bと対象物101の接触状態を検知しない場合に、超音波センサ16Bの波形データのうち、時間t1で受信された超音波の受信強度R1bを記憶すると共に、上述のステップS1に戻る。一方、柔軟材15Bと対象物101の接触状態を検知した場合に、超音波センサ16Bの波形データのうち、時間t1で受信された超音波の受信強度R2bを記憶すると共に、ステップS4及びS5に移る。同時に、把持機構11を一時的に停止する指令を作業ロボット制御装置2へ送信する。作業ロボット制御装置2の把持制御部20は、前述の停止指令に応じて、作業ロボット1の把持機構11を一時的に停止する。
【0031】
ステップS4にて、支援制御装置8の対象物物性演算部27は、超音波センサ16Bの波形データ(図8参照)から、受信強度のピーク値(極大値)が閾値R3より大きくなっている超音波の受信時間t2(但し、t2>(t1×2))、すなわち、超音波センサ16Aから送信され柔軟材15A、対象物101、及び柔軟材15Bを透過し超音波センサ16Bで受信された超音波の伝播時間を取得する。そして、超音波の伝播時間、対象物101の幅寸法L1、柔軟材15A,15Bの幅寸法L2、及び柔軟材15A,15Bの音速に基づいて、対象物101の音速を演算する。
【0032】
ステップS5にて、支援制御装置8の対象物物性演算部27は、柔軟材15Aと対象物101の接触状態を検知した場合の、超音波センサ16Aの波形データのうちの時間t1で受信された超音波の受信強度R2aと、柔軟材15Aと対象物101の接触状態を検知しない場合の、超音波センサ16Aの波形データのうちの時間t1で受信された超音波の受信強度R1aとの比率(R2a/R1a)により、対象物101の表面の反射率を演算する。
【0033】
ステップS6に進み、支援制御装置8の対象物物性演算部27は、例えば材質弁別マップ(図9参照)を用いて、上述のステップS4及びS5で演算された対象物101の音速及び反射率から、対象物101の材質を弁別する。ステップS7に進み、支援制御装置8の把持力目標値設定部28は、対象物101の材質に基づいて、把持機構11の把持力の目標値を設定し、作業ロボット制御装置2へ送信する。
【0034】
ステップS8に進み、支援制御装置8の把持力目標値設定部28は、把持機構11の駆動を再開する指令を作業ロボット制御装置2へ送信する。作業ロボット制御装置2の把持制御部20は、前述の再開指令に応じて、作業ロボット1の把持機構11の把持部材13A,13Bの間隔を短くする。これに伴い、柔軟材15A,15Bは変形する。
【0035】
ステップS9に進み、支援制御装置8の把持力演算部29は、超音波センサ16Aの波形データ(図10参照)のうち、受信強度R2aとなっている超音波の受信時間(すなわち、超音波センサ16Aから送信され柔軟材15Aの対象物側表面で反射され超音波センサ16Aで受信された超音波の伝播時間)のシフト量(t1-t3)に基づいて、柔軟材15Aの変形量を演算する。超音波センサ16Bの波形データのうち、受信強度R2bとなっている超音波の受信時間(すなわち、超音波センサ16Bから送信され柔軟材15Bの対象物側表面で反射され超音波センサ16Bで受信された超音波の伝播時間)のシフト量に基づいて、柔軟材15Bの変形量を演算する。そして、柔軟材15A,15Bの変形量及び弾性率に基づいて、把持機構11の把持力を演算し、データ送受信部26を介し作業ロボット制御装置2へ送信する。
【0036】
その後、作業ロボット制御装置2の把持制御部20は、前述した把持機構11の把持力が前述した目標値となるように、作業ロボット1の把持機構11を制御する。すなわち、ステップS10の判定が満たされるまで、上述のステップS8及びS9が繰り返される。
【0037】
以上のように本実施形態においては、対象物101の材質を弁別し、対象物101の材質に基づいて作業ロボット1の把持機構11の把持力の目標値を設定する。したがって、作業ロボット1の把持動作によって対象物101を破損することなく、作業ロボット1の把持動作を行わせることができる。
【0038】
なお、第1の実施形態において、支援制御装置8は、対象物101の音速と対象物101の表面の反射率を演算し、これらに基づいて対象物101の材質を弁別する場合を例にとって説明したが、これに限られない。支援制御装置8は、対象物101の音速のみを演算し、これに基づいて対象物101の材質を弁別してもよい。あるいは、支援制御装置8は、対象物101の表面の反射率のみを演算し、これに基づいて対象物101の材質を弁別してもよい。この場合、画像センサ12を不要としてもよい。
【0039】
また、第1の実施形態において、特に説明しなかったが、支援制御装置8の対象物物性演算部27は、柔軟材15A,15Bと対象物101との接触状態を検知した後に、例えば図11で示す対象物101の空隙率を演算してもよい。すなわち、支援制御装置8の対象物物性演算部27は、超音波センサ16Aの波形データ(図12参照)のうち、時間t1以降で受信され且つ受信強度がRa2より低くなっている超音波(詳細には、超音波センサ16Aから送信され対象物101内の空隙103で反射され超音波センサ16Aで受信された超音波)を抽出し、抽出した超音波の数又は受信強度の累積値に基づいて対象物101の空隙率を演算してもよい。そして、対象物101の空隙率を表示装置6に表示させてもよい。また、作業ロボット1は、例えば、対象物101を吸引して保持する吸引機構(図示せず)を有してもよい。オペレータは、対象物101の空隙率が小さい場合に作業ロボット1の把持機構11を用いたほうがよいと判断し、対象物101の空隙率が大きい場合に作業ロボット1の吸引機構を用いたほうがよいと判断してもよい。
【0040】
また、第1の実施形態において、作業ロボット1に係わる制御系は3つの制御装置(詳細には、作業ロボット制御装置2、操作制御装置7、及び支援制御装置8)で構成されており、支援制御装置8が対象物物性演算部27、把持力目標値設定部28、及び把持力演算部29を有する場合を例にとって説明したが、これに限られない。作業ロボット制御装置2又は操作制御装置7が対象物物性演算部27、把持力目標値設定部28、及び把持力演算部29を有してもよい。また、作業ロボット1に係わる制御系は、1つの制御装置で構成されてもよい。
【0041】
本発明の第2の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0042】
図13は、本実施形態における遠隔作業装置の構成を表すブロック図である。図14は、本実施形態におけるロボットの構造を表す上面図である。図15は、本実施形態におけるロボットの構造を表す側面図である。図16は、本実施形態におけるロボットの脚の先端部を表す部分拡大図である。なお、本実施形態において、第1の実施形態と同等の部分は同一の符号を付し、適宜、説明を省略する。
【0043】
本実施形態の遠隔作業装置は、ロボット30と、ロボット30を制御するロボット制御装置31と、オペレータが操作可能な操作装置5と、オペレータが目視可能な表示装置6と、操作装置5及び表示装置6に接続された操作制御装置7と、ロボット制御装置31と操作制御装置7の間に介在する支援制御装置8とを備える。なお、ロボット制御装置31は、例えば、プログラムやデータを記憶するメモリと、プログラムに従って処理を実行するプロセッサとを有するものである。
【0044】
ロボット30は、対象物104上を歩行するための歩行機構32を備える。歩行機構32は、複数の脚33と、複数の脚33を駆動する複数の駆動部(図示せず)とを有し、複数の脚33を駆動して対象物104上を歩行する。複数の柔軟材15が複数の脚33の先端側(図16の下側)にそれぞれ設けられている。これにより、歩行機構32で対象物104上を歩行する際に、柔軟材15が対象物104と接触するようになっている。柔軟材15は、例えばゴム又はゲルなどからなり、変形可能な部材である。複数の超音波センサ16が複数の脚33の先端部にそれぞれ埋込まれて複数の柔軟材15とそれぞれ接触している。
【0045】
ロボット制御装置31は、機能的構成として、データ送受信部17、歩行制御部34、及び信号処理部22を有する。ロボット制御装置31のデータ送受信部17は、支援制御装置8を介し操作制御装置7からのロボットの動作指令(詳細には、歩行機構の駆動指令及び信号処理指令)を受信する。
【0046】
ロボット制御装置31の歩行制御部34は、歩行機構の駆動指令に応じて、ロボット30の歩行機構32を制御する。ロボット制御装置31の信号処理部22は、信号処理指令に応じて、ロボット30の超音波センサ16との間で信号を送受信すると共に、受信した信号を処理する。これにより、波形データを、データ送受信部17を介し支援制御装置8へ送信する。
【0047】
操作装置5は、例えば、操作レバーと、操作レバーの操作方向及び操作量に応じて作業用の操作信号を出力するポテンションメータとを有する。
【0048】
操作制御装置7は、機能的構成として、指令生成部35及びデータ送受信部25を有する。操作制御装置7の指令生成部35は、操作装置5からの操作信号に基づき、上述したロボットの動作指令を生成し、データ送受信部25及び支援制御装置8を介しロボット制御装置31へ送信する。
【0049】
支援制御装置8は、機能的構成として、データ送受信部26、対象物物性演算部27、踏込み力目標値設定部36、及び踏込み力演算部37を有する。支援制御装置8のデータ送受信部26は、ロボット制御装置31及び操作制御装置7との間でデータを送受信するためのものである。支援制御装置8のデータ送受信部26は、ロボット制御装置31の信号処理部22で処理された波形データ(言い換えれば、超音波センサ16を用いて取得された超音波の伝播情報)を受信する。
【0050】
ここで、本実施形態の最も大きな特徴として、支援制御装置8の対象物物性演算部27は、前述した波形データ(詳細は後述)に基づいて、対象物104の表面の反射率を演算する。そして、対象物104の反射率に基づいて、対象物104の材質を弁別する。支援制御装置8の踏込み力目標値設定部36は、対象物104の材質に基づいて、ロボット30の脚33の踏込み力の目標値を設定し、データ送受信部26を介しロボット制御装置31へ送信する。
【0051】
支援制御装置8の踏込み力演算部37は、前述した波形データ(詳細は後述)に基づいて、柔軟材15の変形量を演算する。そして、柔軟材15の変形量に基づいて、ロボット30の脚33の踏込み力を演算し、データ送受信部26を介しロボット制御装置31へ送信する。ロボット制御装置31の歩行制御部34は、脚33の踏込み力が目標値となるように歩行機構32を制御する。
【0052】
次に、本実施形態のロボット30の歩行機構32の制御に係わる処理手順を、図17を用いて説明する。図17は、本実施形態におけるロボットの歩行機構の制御に係わる処理手順を表すフローチャートである。
【0053】
ステップS11にて、ロボット制御装置31の歩行制御部34は、歩行機構の駆動指令に応じて、ロボット30の歩行機構32の脚33を駆動する。また、ロボット制御装置31の信号処理部22は、信号処理指令に応じて(但し、歩行機構の駆動指令と連動してもよい)、ロボット30の超音波センサ16との間で信号を送受信すると共に、受信した信号を処理する。これにより、超音波センサ16の波形データを支援制御装置8へ送信する。
【0054】
ステップS12に進み、支援制御装置8の対象物物性演算部27は、超音波センサ16の波形データのうち、時間t1で受信された超音波(詳細には、超音波センサ16から送信され柔軟材15の対象物側表面で反射され超音波センサ16で受信された超音波)の受信強度が閾値R0より小さいか否かにより、柔軟材15と対象物104とが接触しているか否かを判定する。
【0055】
柔軟材15と対象物104の接触状態を検知しない場合に、超音波センサ16の波形データのうち、時間t1で受信された超音波の受信強度R1を記憶すると共に、上述のステップS11に戻る。一方、柔軟材15と対象物104の接触状態を検知した場合に、超音波センサ16の波形データのうち、時間t1で受信された超音波の受信強度R2を記憶すると共に、ステップS14に移る。同時に、歩行機構32を一時的に停止する指令をロボット制御装置31へ送信する。ロボット制御装置31の歩行制御部34は、前述の停止指令に応じて、ロボット30の歩行機構32を一時的に停止する。
【0056】
ステップS14にて、支援制御装置8の対象物物性演算部27は、柔軟材15と対象物104の接触状態を検知した場合の時間t1で受信された超音波の受信強度R2と、柔軟材15と対象物104の接触状態を検知しない場合の時間t1で受信された超音波の受信強度R1との比率(R2/R1)により、対象物104の表面の反射率を演算する。
【0057】
ステップS15に進み、支援制御装置8の対象物物性演算部27は、上述のステップS14で演算された対象物104の表面の反射率から、対象物104の材質を弁別する。ステップS16に進み、支援制御装置8の踏込み力目標値設定部36は、対象物104の材質に基づいて、歩行機構32の脚33の踏込み力の目標値を設定し、ロボット制御装置31へ送信する。
【0058】
ステップS16に進み、支援制御装置8の踏込み力目標値設定部36は、歩行機構32の脚33の駆動を再開する指令をロボット制御装置31へ送信する。ロボット制御装置31の歩行制御部34は、前述の再開指令に応じて、ロボット30の歩行機構32の脚33を駆動する。これに伴い、柔軟材15は変形する。
【0059】
ステップS17に進み、支援制御装置8の踏込み力演算部37は、超音波センサ16の波形データのうち、受信強度R2となっている超音波の受信時間(すなわち、超音波センサ16から送信され柔軟材15の対象物側表面で反射され超音波センサ16で受信された超音波の伝播時間)のシフト量に基づいて、柔軟材15の変形量を演算する。そして、柔軟材15の変形量及び弾性率に基づいて、歩行機構32の脚33の踏込み力を演算し、データ送受信部26を介し作業ロボット制御装置2へ送信する。
【0060】
その後、ロボット制御装置31の歩行制御部34は、前述した歩行機構32の脚33の踏込み力が前述した目標値となるように、ロボット30の歩行機構32を制御する。すなわち、ステップS18の判定が満たされるまで、上述のステップS16及びS17が繰り返される。
【0061】
以上のように本実施形態においては、対象物104の材質を弁別し、対象物104の材質に基づいてロボット30の歩行機構32の脚33の踏込み力の目標値を設定する。したがって、ロボット30の歩行動作によって対象物104を破損することなく、ロボット30の歩行動作を行わせることができる。
【0062】
なお、第2の実施形態において、特に説明しなかったが、支援制御装置8の対象物物性演算部27は、柔軟材15と対象物104との接触状態を検知した後に、対象物104の弾性係数を演算してもよい。すなわち、支援制御装置8の対象物物性演算部27は、超音波センサ16の波形データのうち、超音波センサ16から送信され対象物104の底面で反射され超音波センサ16で受信された縦波と、超音波センサ16から送信され対象物104の底面で反射され超音波センサ16で受信された横波とを抽出し、縦波の受信時間(伝播時間)と横波の受信時間(伝播時間)との比に基づいて、対象物104の弾性係数を演算してもよい。そして、対象物104の弾性係数を表示装置6に表示させてもよい。オペレータは、対象物104の弾性係数が高い場合に、ロボット30の歩行場所を変更したほうがよいと判断してもよい。
【0063】
また、第2の実施形態において、ロボット30に係わる制御系は3つの制御装置(詳細には、ロボット制御装置31、操作制御装置7、及び支援制御装置8)で構成されており、支援制御装置8が対象物物性演算部27、踏込み力目標値設定部36、及び踏込み力演算部37を有する場合を例にとって説明したが、これに限られない。ロボット制御装置31又は操作制御装置7が対象物物性演算部27、踏込み力目標値設定部36、及び踏込み力演算部37を有してもよい。また、ロボット30に係わる制御系は、1つの制御装置で構成されてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 作業ロボット
2 作業ロボット制御装置
8 支援制御装置
11 把持機構
12 画像センサ
13A,13B 把持部材
15,15A,15B 柔軟材
16,16A,16B 超音波センサ
30 ロボット
31 ロボット制御装置
32 歩行機構
33 脚
101,104 対象物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17