(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149333
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】釣り竿
(51)【国際特許分類】
A01K 87/00 20060101AFI20220929BHJP
A01K 87/04 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
A01K87/00 620Z
A01K87/04 Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021051441
(22)【出願日】2021-03-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-08-16
(71)【出願人】
【識別番号】521125534
【氏名又は名称】井上 博夫
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】特許業務法人あーく特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 博夫
【テーマコード(参考)】
2B019
【Fターム(参考)】
2B019AA04
2B019AA14
2B019BA07
2B019BA08
(57)【要約】
【課題】釣り竿の穂先の柔軟性を損なうことなく使用することができ、釣り糸を痛めることなく上面にリールを取り付けることができる釣り竿を提供する。
【解決手段】リール2が上面に取り付けられる釣り竿本体11を具備し、当該釣り竿本体11に取り付けられたリール2から釣り糸3を繰り出した前方の元竿11aの位置に、釣り竿本体11の上面から下面に貫通するガイド孔10が設けられ、下面に貫通したガイド孔10の開口よりも穂先側には、釣り竿本体11の下面に、適宜の間隔で複数の糸ガイド4が設けられ、釣り竿本体11の上面に設けられたリール2から繰り出された釣り糸3が、ガイド孔10を介して釣り竿本体11の下面に設けられた糸ガイド4に挿通されるようになされた釣り竿1である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リールが上面に取り付けられる釣り竿本体を具備し、
当該釣り竿本体に取り付けられたリールから釣り糸を繰り出した前方の元竿の位置に、釣り竿本体の上面から下面に貫通するガイド孔が設けられ、
下面に貫通したガイド孔の開口よりも穂先側には、釣り竿本体の下面に、適宜の間隔で複数の糸ガイドが設けられ、
釣り竿本体の上面に設けられたリールから繰り出された釣り糸が、ガイド孔を介して釣り竿本体の下面に設けられた糸ガイドに挿通されるようになされたことを特徴とする釣り竿。
【請求項2】
ガイド孔は、上面に貫通したガイド孔の開口の中心から下面に貫通したガイド孔の開口の中心を結ぶ直線と、釣り竿本体の中心を長手方向に沿って手元から穂先側に向かう直線とが交錯する角度が45度未満となるように位置決めされてなる請求項1に記載の釣り竿。
【請求項3】
ガイド孔は、その内周縁のうち、ガイド孔に釣り糸を通した状態で、少なくとも釣り糸と接触する部分がシリコンカーバイドからなる低摩擦抵抗素材によって構成されてなる請求項1または2に記載の釣り竿。
【請求項4】
ガイド孔は、上面の開口と下面の開口との間が筒状部材によって連続するように構成されてなる請求項1ないし3の何れか一に記載の釣り竿。
【請求項5】
筒状部材は、上面の開口と一体化した上部材と、下面の開口と一体化した下部材とからなり、これら上部材と下部材とが釣り竿本体に対して着脱自在に接続できるようになされた請求項4に記載の釣り竿。
【請求項6】
上部材と下部材とは、筒状部材の略全長に渡って受け挿し接続されてなる請求項5に記載の釣り竿。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣り竿本体の上面にリールを取り付けるようになされた釣り竿に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、釣り竿本体の上面にリールを取り付けるようになされた釣り竿は、当該リールから繰り出される釣り糸を、同じく釣り竿本体の上面に適宜の間隔で設けられた複数の糸ガイドを通して出し入れするようになされた上ガイド方式で構成されている。
【0003】
しかし、上ガイド方式で構成された釣り竿の場合、魚が掛かって釣り竿の穂先がしなった際、釣り糸は、糸ガイドだけでなく、釣り竿に接触し易くなり、それが原因で、当該釣り糸が切れ易くなってしまうことが懸念される。
【0004】
そこで、従来より、このような釣り竿がしなった場合であっても、釣り糸と釣り竿との接触を防止することができる釣り竿として、釣り竿の穂先部分に、釣り糸が貫通するガイド孔を設け、このガイド孔よりも手元側は上面に糸ガイドが設けられて上ガイドとなされ、このガイド孔よりも先端側は下面に糸ガイドが設けられて下ガイドとなされた釣り竿が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、通常、釣り竿の穂先は、適度にしなって掛かった魚の動きを察知することができるように細く柔軟に形成されているが、上記従来の釣り竿のように、穂先部分に貫通するガイド孔を設けた釣り竿の場合、強度を確保できなくなってしまうため、穂先部分を細く柔軟に形成するには限界を生じることになってしまう。
【0007】
また、穂先を細く柔軟に形成できたとしても、穂先は、元竿と違って魚が掛かった際のしなりが大きくなるのに加え、このように大きくしなって変形してしまうと、ガイド孔は、通常の糸ガイドを通過する釣り糸のようにリールから穂先までが連続した円弧状の釣り糸の流れにはならず、どうしてもこのガイド孔の部分を屈折して釣り糸が通過することとなるので、釣り糸の抵抗が増してしまうこととなり、魚を釣り上げる際の魚の動きを察知し難くなるとともに釣り糸を痛めることになってしまう。
【0008】
本発明は、係る実情に鑑みてなされたものであって、釣り竿の穂先の柔軟性を損なうことなく使用することができ、かつ、釣り糸を痛めることなく上面にリールを取り付けることができる釣り竿を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明の釣り竿は、リールが上面に取り付けられる釣り竿本体を具備し、当該釣り竿本体に取り付けられたリールから釣り糸を繰り出した前方の元竿の位置に、釣り竿本体の上面から下面に貫通するガイド孔が設けられ、下面に貫通したガイド孔の開口よりも穂先側には、釣り竿本体の下面に、適宜の間隔で複数の糸ガイドが設けられ、釣り竿本体の上面に設けられたリールから繰り出された釣り糸が、ガイド孔を介して釣り竿本体の下面に設けられた糸ガイドに挿通されるようになされたものである。
【0010】
上記釣り竿において、ガイド孔は、上面に貫通したガイド孔の開口の中心から下面に貫通したガイド孔の開口の中心を結ぶ直線と、釣り竿本体の中心を長手方向に沿って手元から穂先側に向かう直線とが交錯する角度が45度未満となるように位置決めされてなるものであってもよい。
【0011】
上記釣り竿において、ガイド孔は、その内周縁のうち、ガイド孔に釣り糸を通した状態で、少なくとも釣り糸と接触する部分がシリコンカーバイドからなる低摩擦抵抗素材によって構成されてなるものであってもよい。
【0012】
上記釣り竿において、ガイド孔は、上面の開口と下面の開口との間が筒状部材によって連続するように構成されてなるものであってもよい。
【0013】
上記釣り竿において、筒状部材は、上面の開口と一体化した上部材と、下面の開口と一体化した下部材とからなり、これら上部材と下部材とが釣り竿本体に対して着脱自在に接続できるようになされたものであってもよい。
【0014】
上記釣り竿において、上部材と下部材とは、筒状部材の略全長に渡って受け挿し接続されてなるものであってもよい。
【発明の効果】
【0015】
以上述べたように、本発明によると、釣り竿本体に取り付けられたリールから釣り糸を繰り出した元竿の位置に、釣り竿本体の上面から下面に貫通するガイド孔を設け、下面に貫通したガイド孔の開口よりも穂先側には、釣り竿本体の下面に、適宜の間隔で複数の糸ガイドを設け、釣り竿本体の上面に設けられたリールから繰り出された釣り糸を、ガイド孔を介して釣り竿本体の下面に設けられた糸ガイドに挿通するようにしているので、魚が掛かって穂先がしなるような柔軟性を有する釣り竿であっても、穂先は下ガイド方式となっているので、釣り糸が釣り竿と干渉することにならない。また、ガイド孔は、リールから釣り糸を繰り出した前方の元竿の位置に設けているが、この位置は、元々リールを取り付けたり、竿を握ったりするために魚が掛かってもしなることなく、十分な強度が確保されているため、釣り糸が釣り竿と干渉することも防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る釣り竿の全体構成の概略を示す側面図である。
【
図2】本発明に係る釣り竿の元竿の部分を示す部分破断拡大側面図である。
【
図3】本発明に係る釣り竿のガイド孔の部分を示す拡大断面図である。
【
図4】(a)は本発明に係る釣り竿のガイド孔の他の実施の形態を示す部分平面図、(b)は同部分側面図である。
【
図5】本発明に係る釣り竿のガイド孔の形状の他の実施の形態を示す部分平面図である。
【
図6】本発明に係る釣り竿のガイド孔に筒状部材を設けた実施の形態を示す部分拡大断面図である。
【
図7】(a)ないし(d)は本発明に係る釣り竿のガイド孔に着脱式の筒状部材を設けて釣り糸を通す工程を説明する工程図である。
【
図8】(a)ないし(c)は本発明に係る釣り竿のガイド孔に筒状部材を設けた他の実施の形態を示す部分拡大断面図である。
【
図9】本発明に係る釣り竿であって、振り出し竿タイプの実施の形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0018】
図1および
図2は本発明に係る釣り竿1を示している。
【0019】
この釣り竿1は、リール2が上面に取り付けられる釣り竿本体11を具備し、釣り竿本体11に取り付けられたリール2から釣り糸3を繰り出した前方の元竿11aの位置に、釣り竿本体11の上面から下面に貫通するガイド孔10,10が設けられ、このガイド孔10,10を介して、釣り竿本体11の下面に設けられた糸ガイド4に釣り糸3が挿通されるようになされている。
【0020】
釣り竿本体11は、元竿11aと穂先11bとの2本を接続するものであってもよいし、元竿11aと穂先11bとの間に2番、3番といった中間竿11cを接続して3本~8本を接続するものであってもよい。接続する本数は特に限定されるものではない。また、このような接続タイプの釣り竿本体11に限定されるものではなく、元竿11aから穂先11bまでが一体成形された一本物の釣り竿本体11であってもよい。また、元竿11a、穂先11b、中間竿11cは、個別になったものを接続するものに限定されるものではなく、中心が穂先11bで一番外が元竿11aとなるように入れ子式になっており、引き延ばすことでこれら各パーツが接続されるように構成された振り出し竿であってもよい。
【0021】
この釣り竿本体11の元竿11aに該当する部分は、上面にリール2を取り付けるリール取付部12が設けられている。このリール取付部12よりも末端側は、釣り竿1を握る際のグリップ部13が設けられている。このグリップ部13は、リール取付部12よりも前側にも設けられている。
【0022】
ガイド孔10,10は、釣り竿本体11の元竿11aの上面から下面に貫通するように設けられており、上面のガイド孔10は、グリップ部13の前端部から20cm~60cmの位置P1に設けられている。このガイド孔10,10は、
図3に示すように、釣り竿本体11の元竿11aの上面に設けられたガイド孔10の中心から釣り竿本体11の元竿11aの下面に設けられたガイド孔10の中心を結ぶ直線Aと、釣り竿本体11の中心を長手方向に沿って手元から穂先側に向かう直線Bとの交錯する角度αが、鋭角、好ましくは45度未満、より好ましくは30度未満で交錯するように、さらにより好ましくは、リール2に巻回された釣り糸3の外周と、このリール2に一番近い糸ガイド4の内周とに接する接線と一致するように、上面のガイド孔10の位置P1に対して下面のガイド孔10の位置P2が前方に位置決めされている。したがって、好ましくは、釣り竿本体11の元竿11aのグリップ部13の前端部から20~60cmの上面の位置P1に上面のガイド孔10が設けられ、当該グリップ部13の前端部から22cm~70cmの下面の位置P2に下面のガイド孔10が設けられることとなる。
【0023】
ガイド孔10,10は、
図3に示すように、釣り糸3とガイド孔10,10とが接触し難いように、当該ガイド孔10,10の内周縁に、釣り糸3の挿通方向と平行して傾斜するテーパ面10a,10aが形成されたものであってもよい。
【0024】
ガイド孔10,10は、
図3に示すように、釣り竿本体11の元竿11aそのものに穿孔したものであってもよいが、場合によっては、釣り糸3を出し入れする際に、当該釣り糸3がガイド孔10,10と接触して傷つくことが懸念されるので、
図4に示すように、穿孔したガイド孔10,10の周囲の一部または全部を、金属やシリコンカーバイド等の低摩擦抵抗素材からなるガイド部材5によって形成して釣り糸3とガイド孔10,10との接触を防止するようにしたものであってもよい。
図4に示すガイド部材5は、釣り竿本体11の元竿11aに対してビス固定しているが、ビス固定するものに限定されるものではなく、例えば、接着するものであってもよいし、縛り付けるものであってもよいし、嵌合するものであってもよい。
【0025】
ガイド孔10,10は、リール2による釣り糸3の出し入れに影響せず、かつ、このガイド孔10,10が設けられた部分の元竿11aの十分な強度を確保することができる大きさであれば、特に限定されるものではなく、0.2cm
2~5cm
2程度の範囲で適宜の大きさに形成されたものが使用される。このガイド孔10,10の形状は、円形であってもよいし、楕円形であっても良い。また、ガイド孔10,10は、釣り糸3との接触をできるだけ避けることができるように形成されたものであってもよい。例えば、釣り糸3は、リール2からの釣り糸3を出し入れする際、釣り糸3を巻き取っているリール2のドラム幅の分だけ左右に振れることとなる。したがって、
図5に示すように、このように左右に振れても、上面のガイド孔10と釣り糸3とが接触しないように、上面のガイド孔10は、釣り竿本体11の長手方向に対して直交する方向つまりリール2のドラム幅の方向に長く形成された長孔であってもよい。逆に下面のガイド孔10は、釣り糸3に魚が掛かった場合等、釣り糸3に係るテンションによって、リール2から繰り出された釣り糸3の角度が変化するので、この角度が変化しても、ガイド孔10が釣り糸3と接触しないように、下面のガイド孔10は、釣り竿本体11の長手方向に沿って長く形成された長孔であってもよい。
【0026】
リール2からガイド孔10,10を介して釣り竿本体11の下面側に導かれた釣り糸3は、釣り竿本体11の下面に設けられた糸ガイド4に挿通されて使用状態となる。この際、上面のガイド孔10に対して、下面のガイド孔10は穂先11b側である前方に設けられており、ガイド孔10,10の位置がずれているため、釣り糸3を通し難くなる。したがって、
図6に示すように、上面のガイド孔10と下面のガイド孔10との間に、硬質の筒状部材6を挿通して通路を確保してから、この筒状部材6に釣り糸3を通すようにしてもよい。この際、筒状部材6は、そのままにしておいても良いし、
図7に示すように、釣り糸3を通した後、筒状部材6を外すことができるように着脱式にしてもよい。なお、筒状部材6を着脱式にした場合、この筒状部材6は、
図6に示すような上面のガイド孔10と下面のガイド孔10との間に納まる長さではなく、着脱が容易なように、余分にはみ出す長さに形成されたものであってもよい。このように着脱式にした筒状部材6は、前記した
図4に示すようなガイド部材5を有するガイド孔10,10に適用するものであってもよいし、前記した
図5に示すような長孔のガイド孔10,10に適用するものであってもよい。
【0027】
また、この筒状部材6に相当するものを上面のガイド孔10と下面のガイド孔10との間に連続するように、常に設けておいてもよい。この場合、筒状部材6は、上面のガイド孔10と下面のガイド孔10との間に連続するように設けられるものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、
図8(a)に示すように、上面のガイド孔10と下面のガイド孔10との間に挿通させた筒状部材6の両端部を拡径させてカシメ止めすることで、ガイド孔10,10の間に止め付けるようにしたものであってもよいし、
図8(b)に示すように、上面のガイド孔10からは、当該ガイド孔10の周囲に当接するフランジ部61aを有するとともに前記筒状部材6に相当する筒状部61bを有する上部材61を接続し、下面のガイド孔10からは、当該ガイド孔10の周囲に当接されるフランジ部62aを有するとともに前記筒状部材6に相当する筒状部62bを有する下部材62を接続し、これらに上部材61と下部材62との筒状部61b,62b同士を嵌合させることによってガイド孔10,10の間に筒状部材6を設けるようにしたものであってもよい。この
図8(b)に示す嵌合部分は、前記上部材61の筒状部61bと、前記下部材62の筒状部62bとによって受け挿し接続するようになされた筒状部材6であってもよい。この際、筒状部材6は、釣り竿本体11の内部で筒状部61b,62b同士の一部が受け挿し接続するようになされたものであってもよいし、
図8(c)に示すように、釣り竿本体11の内部で筒状部61b,62b同士の全体が受け挿し接続するように構成されて、当該釣り竿本体11自体を補強するようになされたものであってもよい。
【0028】
ただし、釣り竿本体11が振り出し竿の場合、元竿11aに穂先11bや中間竿11cを収納した際に、これら穂先11bや中間竿11cに筒状部材6が干渉してしまい、収納できないことになってしまう。したがって、
図9に示すように、このような振り出し竿の場合は、収納時に受け挿し接続を解除して、元竿11aの外側に上部材61と下部材62とを取り外すことができるようにしておいてもよい。上部材61と下部材62とを元竿11aの外側に取り外しても、リール2に設けられた釣り糸3は、その先端に設けられたサルカン31が穂先11bの糸ガイド4に引っかかって、釣り糸3自体がリール2に巻き取られずに釣り竿本体11に残った状態となるので、上部材61と下部材62とは、無くすようなことにはならない。この場合、釣り糸3も、元竿11aに収納された穂先11bや中間竿11cに干渉しないように元竿11a内に十分な間隙を設けておくことが好ましい。
【0029】
あるいは、このような振り出し竿の場合は、元竿11a内に、穂先11bや中間竿11cが収納されるのを妨げないように、
図3ないし
図5に示すようなガイド孔10,10のみを有する釣り竿本体11としてもよい。この場合、釣り糸3は、上記したように釣り竿本体11に残したまま収納するものであってもよいし、リール2に全て巻き取って収納するものであってもよい。リール2に全て巻き取った場合であっても、前記した着脱式の筒状部材6を用いれば、容易に釣り糸3を通すことができる。
【0030】
このようにして構成される釣り竿1は、釣り竿本体11に取り付けられたリール2から釣り糸3を繰り出した前方の元竿11aの位置に、釣り竿本体11の上面から下面に貫通するガイド孔10を設け、下面に貫通したガイド孔10の開口よりも穂先11b側には、釣り竿本体11の下面に、適宜の間隔で複数の糸ガイド4を設け、釣り竿本体11の上面に設けられたリール2から繰り出された釣り糸3を、ガイド孔10を介して釣り竿本体11の下面に設けられた糸ガイド4に挿通するようにしているので、魚が掛かって穂先11bが大きくしなるような柔軟性を有する釣り竿1であっても、穂先11bは下ガイド方式となっているので、釣り糸3が釣り竿1と干渉することにならない。また、ガイド孔10は、リール2から釣り糸3を繰り出したすぐ手元の元竿11aの位置に設けているが、この位置は、元々リール2を取り付けたり、竿を握って力を加えて引いたりするために魚が掛かってもしなることなく、十分な強度が確保されているため、釣り糸3が釣り竿1と干渉することも防止することができる。
【0031】
ガイド孔10にテーパ面10aを形成したり、ガイド孔10を長孔にしたりした場合、魚が掛かったりして釣り糸3に係るテンションが変化し、リール2から繰り出された釣り糸3の角度変化があっても、当該ガイド孔10と釣り糸3とが接触することを避けて釣り糸3が傷むのを防止することができる。
【0032】
また、ガイド孔10と釣り糸3とが接触することがあっても、ガイド孔10や筒状部材6として、金属やシリコンカーバイドからなる低摩擦抵抗素材を使用しておけば、糸ガイド4を釣り糸3が通過する場合と同じような低摩擦抵抗にすることができるため、リール2からの釣り糸3の出し入れによって釣り糸3が損傷することも避けることができる。
【0033】
さらに、上面のガイド孔10と下面のガイド孔10との間に筒状部材6を設けておくことで、ガイド孔10を設けることによって強度低下することもなく、逆に釣り竿本体11を補強することができる。
【0034】
このようにして構成される釣り竿1としては、落とし込み釣り(縦釣り)用のものであってもよいし、投げ釣り用のものであってもよい。
【0035】
なお、ガイド孔10は、リール2から釣り糸3を繰り出した前方の元竿11aの位置に設けられるが、釣り竿本体11が一体化された一本物の場合、元竿11aの位置が不明となる。この元竿11aの位置とは、リール2に一番近い糸ガイド4までの位置、具体的には、グリップ部13の前端部から30cm~90cmまでの位置を言う。
【0036】
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施例はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0037】
1 釣り竿
10 ガイド孔
11 釣り竿本体
11a 元竿
2 リール
3 釣り糸
4 糸ガイド
6 筒状部材
【手続補正書】
【提出日】2021-08-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リールが上面に取り付けられる釣り竿本体を具備し、
当該釣り竿本体に取り付けられたリールから釣り糸を繰り出した前方の元竿の位置に、釣り竿本体の上面から下面に貫通するガイド孔が設けられ、
下面に貫通したガイド孔の開口よりも穂先側には、釣り竿本体の下面に、適宜の間隔で複数の糸ガイドが設けられ、
リールとこのリールに一番違い糸ガイドとの間にガイド孔が設けられ、
釣り竿本体の上面に設けられたリールから繰り出された釣り糸が、ガイド孔を介して釣り竿本体の下面に設けられた糸ガイドに挿通されるようになされたことを特徴とする釣り竿。
【請求項2】
ガイド孔は、上面に貫通したガイド孔の開口の中心から下面に貫通したガイド孔の開口の中心を結ぶ直線と、釣り竿本体の中心を長手方向に沿って手元から穂先側に向かう直線とが交錯する角度が45度未満となるように位置決めされてなる請求項1に記載の釣り竿。
【請求項3】
ガイド孔は、その内周縁のうち、ガイド孔に釣り糸を通した状態で、少なくとも釣り糸と接触する部分がシリコンカーバイドからなる低摩擦抵抗素材によって構成されてなる請求項1または2に記載の釣り竿。
【請求項4】
ガイド孔は、上面の開口と下面の開口との間が筒状部材によって連続するように構成されてなる請求項1ないし3の何れか一に記載の釣り竿。
【請求項5】
筒状部材は、上面の開口と一体化した上部材と、下面の開口と一体化した下部材とからなり、これら上部材と下部材とが釣り竿本体に対して着脱自在に接続できるようになされた請求項4に記載の釣り竿。
【請求項6】
上部材と下部材とは、筒状部材の略全長に渡って受け挿し接続されてなる請求項5に記載の釣り竿。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
上記課題を解決するための本発明の釣り竿は、リールが上面に取り付けられる釣り竿本体を具備し、当該釣り竿本体に取り付けられたリールから釣り糸を繰り出した前方の元竿の位置に、釣り竿本体の上面から下面に貫通するガイド孔が設けられ、下面に貫通したガイド孔の開口よりも穂先側には、釣り竿本体の下面に、適宜の間隔で複数の糸ガイドが設けられ、リールとこのリールに一番違い糸ガイドとの間にガイド孔が設けられ、釣り竿本体の上面に設けられたリールから繰り出された釣り糸が、ガイド孔を介して釣り竿本体の下面に設けられた糸ガイドに挿通されるようになされたものである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
以上述べたように、本発明によると、釣り竿本体に取り付けられたリールから釣り糸を繰り出した元竿の位置に、釣り竿本体の上面から下面に貫通するガイド孔を設け、下面に貫通したガイド孔の開口よりも穂先側には、釣り竿本体の下面に、適宜の間隔で複数の糸ガイドを設け、釣り竿本体の上面に設けられたリールから繰り出された釣り糸を、リールとこのリールに一番違い糸ガイドとの間に設けられたガイド孔を介して釣り竿本体の下面に設けられた糸ガイドに挿通するようにしているので、魚が掛かって穂先がしなるような柔軟性を有する釣り竿であっても、穂先は下ガイド方式となっているので、釣り糸が釣り竿と干渉することにならない。また、ガイド孔は、リールとこのリールに一番違い糸ガイドとの間であって、リールから釣り糸を繰り出した前方の元竿の位置に設けているが、この位置は、元々リールを取り付けたり、竿を握ったりするために魚が掛かってもしなることなく、十分な強度が確保されているため、釣り糸が釣り竿と干渉することも防止することができる。
【手続補正書】
【提出日】2022-06-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リールが上面に取り付けられる釣り竿本体を具備し、
当該釣り竿本体は、中心が穂先で一番外が元竿でその間に中間竿となるように入れ子式になっており、元竿から中間竿および穂先を引き延ばすことでこれら各パーツが接続されるように構成された振り出し竿となされており、
この接続状態で、釣り竿本体の下面に、適宜の間隔で複数の糸ガイドが設けられ、
リールと、このリールに一番近い糸ガイドとの間の元竿の位置には、上面から下面に貫通するガイド孔が設けられ、このガイド孔は、その中心が、リールに巻回された釣り糸の外周と、このリールに一番近い糸ガイドの内周とに接する接線と一致するように位置決めされ、
ガイド孔は、上面の開口と下面の開口との間を連続する着脱式の筒状部材を設けるように構成されており、
釣り竿本体の上面に設けられたリールから繰り出された釣り糸が、上面のガイド孔、筒状部材、下面のガイド孔を介して釣り竿本体の下面に設けられた糸ガイドに挿通されるようになされ、
収納時には、ガイド孔から筒状部材を外して元竿内に中間竿および穂先を入れ子式に収納するようになされたことを特徴とする釣り竿。
【請求項2】
ガイド孔は、上面に貫通したガイド孔の開口の中心から下面に貫通したガイド孔の開口の中心を結ぶ直線と、釣り竿本体の中心を長手方向に沿って手元から穂先側に向かう直線とが交錯する角度が45度未満となるように位置決めされてなる請求項1に記載の釣り竿。
【請求項3】
ガイド孔は、その内周縁のうち、ガイド孔に釣り糸を通した状態で、少なくとも釣り糸と接触する部分がシリコンカーバイドからなる低摩擦抵抗素材によって構成されてなる請求項1または2に記載の釣り竿。
【請求項4】
筒状部材は、ガイド孔の上面の開口から挿通される上部材と、下面の開口から挿通される下部材とによって受け挿し接続するようになされた請求項1ないし3の何れか一に記載の釣り竿。
【請求項5】
上部材と下部材とは、筒状部材の略全長に渡って受け挿し接続されてなる請求項4に記載の釣り竿。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
上記課題を解決するための本発明の釣り竿は、リールが上面に取り付けられる釣り竿本体を具備し、当該釣り竿本体は、中心が穂先で一番外が元竿でその間に中間竿となるように入れ子式になっており、元竿から中間竿および穂先を引き延ばすことでこれら各パーツが接続されるように構成された振り出し竿となされており、この接続状態で、釣り竿本体の下面に、適宜の間隔で複数の糸ガイドが設けられ、リールと、このリールに一番近い糸ガイドとの間の元竿の位置には、上面から下面に貫通するガイド孔が設けられ、このガイド孔は、その中心が、リールに巻回された釣り糸の外周と、このリールに一番近い糸ガイドの内周とに接する接線と一致するように位置決めされ、ガイド孔は、上面の開口と下面の開口との間を連続する着脱式の筒状部材を設けるように構成されており、釣り竿本体の上面に設けられたリールから繰り出された釣り糸が、上面のガイド孔、筒状部材、下面のガイド孔を介して釣り竿本体の下面に設けられた糸ガイドに挿通されるようになされ、収納時には、ガイド孔から筒状部材を外して元竿内に中間竿および穂先を入れ子式に収納するようになされたものである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
以上述べたように、本発明によると、釣り竿本体に取り付けられたリールから釣り糸を繰り出した元竿の位置に、釣り竿本体の上面から下面に貫通するガイド孔を設け、下面に貫通したガイド孔の開口よりも穂先側には、釣り竿本体の下面に、適宜の間隔で複数の糸ガイドを設け、釣り竿本体の上面に設けられたリールから繰り出された釣り糸を、リールとこのリールに一番違い糸ガイドとの間に設けられたガイド孔を介して釣り竿本体の下面に設けられた糸ガイドに挿通するようにしているので、魚が掛かって穂先がしなるような柔軟性を有する釣り竿であっても、穂先は下ガイド方式となっているので、釣り糸が釣り竿と干渉することにならない。また、ガイド孔は、リールとこのリールに一番違い糸ガイドとの間であって、リールから釣り糸を繰り出した前方の元竿の位置に設けているが、この位置は、元々リールを取り付けたり、竿を握ったりするために魚が掛かってもしなることなく、十分な強度が確保されているため、釣り糸が釣り竿と干渉することも防止することができる。
また、元竿の上面と下面とに設けられたガイド孔の中心は、リールに巻回された釣り糸の外周と、このリールに一番近い糸ガイドの内周とに接する接線と一致するように位置決めしているので、ガイド孔および筒状部材と、釣り糸との接触を避けて釣り糸が傷むのを防止したり、魚を釣り上げる際の魚の動きを察知し易くしたりすることができる。
さらに、ガイド孔は、リールと、このリールに一番近い糸ガイドとの間の元竿の位置に設けており、上面の開口と下面の開口との間を連続する着脱式の筒状部材を設けるように構成しているので、元竿から中間竿および穂先を引き延ばしてからガイド孔に筒状部材を取り付けて釣り竿を組み立てたり、この組み立てた釣り竿のガイド孔から筒状部材を取り外して、元竿内に中間竿および穂先を入れ子式に収納したりすることができる。