(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149360
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】マウント
(51)【国際特許分類】
B60K 5/12 20060101AFI20220929BHJP
F16F 15/08 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
B60K5/12 Z
F16F15/08 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021051475
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大崎 圭二
(72)【発明者】
【氏名】井柳 好貴
【テーマコード(参考)】
3D235
3J048
【Fターム(参考)】
3D235AA04
3D235AA06
3D235BB23
3D235BB24
3D235CC01
3D235CC06
3D235DD08
3D235EE04
3D235EE14
3D235EE33
3D235EE47
3D235FF02
3D235HH61
3J048AA01
3J048AB01
3J048AD05
3J048BA18
3J048CB01
3J048DA01
3J048EA13
(57)【要約】
【課題】固定角度を容易に変更することができるマウントを提供する。
【解決手段】車体に対して起立するように配置される側壁部を有する支持ブラケットと、側壁部に対向して配置される対向壁部を有し、車両の振動装置に固定された角度変更ブラケットと、側壁部に対して対向壁部を固定し、支持ブラケットに対する角度変更ブラケットの角度を変更するように固定位置を変更可能に形成された固定部とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に対して起立するように配置される側壁部を有する支持ブラケットと、
前記側壁部に対向して配置される対向壁部を有し、車両の振動装置に固定された角度変更ブラケットと、
前記側壁部に対して前記対向壁部を固定し、前記支持ブラケットに対する前記角度変更ブラケットの角度を変更するように固定位置を変更可能に形成された固定部とを備えるマウント。
【請求項2】
前記角度変更ブラケットおよび前記支持ブラケットの少なくとも一方に互いに異なる前記固定位置が設定され、
前記固定部は、前記固定位置を変更することで前記支持ブラケットに対する前記角度変更ブラケットの角度を変更する請求項1に記載のマウント。
【請求項3】
前記固定位置は、前記側壁部に対して前記対向壁部を回動させる回動中心と、前記回動中心に対して変更する角度に応じて周方向に並ぶ複数の変更位置とに設定され、
前記固定部は、前記回動中心に対して前記複数の変更位置を変更することで前記支持ブラケットに対する前記角度変更ブラケットの角度を変更する請求項2に記載のマウント。
【請求項4】
前記角度変更ブラケットは、互いに異なる前記固定位置がそれぞれ設定された複数の角度変更ブラケットを有し、
前記固定部は、前記角度変更ブラケットを変更して前記固定位置を固定することで前記支持ブラケットに対する前記角度変更ブラケットの角度を変更する請求項1に記載のマウント。
【請求項5】
前記対向壁部は、前記側壁部に当接するように配置される請求項1~4のいずれか一項に記載のマウント。
【請求項6】
前記側壁部および前記対向壁部は、前記固定位置に固定穴を有し、
前記固定部は、前記固定穴に挿入されることで前記側壁部に対して前記対向壁部を固定し、
前記固定穴は、前記固定部に対応する径より大きく形成される請求項1~5のいずれか一項に記載のマウント。
【請求項7】
前記側壁部は、所定の間隔を空けて配置された一対の側壁部から構成され、
前記対向壁部は、前記一対の側壁部に対応して配置された一対の対向壁部から構成され、
前記一対の側壁部の上部は、互いに離れるように外側に拡張する形状を有する請求項1~6のいずれか一項に記載のマウント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、マウントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えばエンジンなどの振動装置を車体に固定するためのマウントが実用化されている。一般的に、マウントは、弾性体を介してエンジンを車体に固定するように形成されており、エンジンの振動を吸収しつつ車体に固定することができる。ここで、マウントは、エンジンを車体に対して適切な姿勢で固定するために、その固定位置を変更可能に形成することが求められている。
【0003】
そこで、エンジンの固定位置を変更する技術として、例えば、特許文献1には、パワーユニットが車両ボデーに対して適正な上下位置に支持されるエンジンマウントが開示されている。このエンジンマウントは、パワーユニット側に締結板部が突出しているため、所定の上下位置に配置されたパワーユニットに締結板部を固定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のエンジンマウントは、固定角度を容易に変更することが困難であった。
【0006】
本開示は、固定角度を容易に変更することができるマウントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係るマウントは、車体に対して起立するように配置される側壁部を有する支持ブラケットと、側壁部に対向して配置される対向壁部を有し、車両の振動装置に固定された角度変更ブラケットと、側壁部に対して対向壁部を固定し、支持ブラケットに対する角度変更ブラケットの角度を変更するように固定位置を変更可能に形成された固定部とを備えるものである。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、固定角度を容易に変更することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係るマウントを備えた車両の構成を示す図である。
【
図3】支持ブラケットを車体フレームに固定する様子を示す図である。
【
図4】弾性部および角度変更ブラケットをエンジンに固定する様子を示す図である。
【
図5】エンジンがマウントにより車体フレームに固定された様子を示す図である。
【
図6】角度変更ブラケットの角度を変更する様子を示す図である。
【
図7】実施の形態2に係るマウントの構成を示す図である。
【
図8】実施の形態2の角度変更ブラケットの角度を変更する様子を示す図である。
【
図9】実施の形態3に係るマウントの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示に係る実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0011】
(実施の形態1)
図1に、本開示の実施の形態1に係るマウントを備えた車両の構成を示す。車両は、一対の車体フレーム1aおよび1bと、エンジン2と、一対のマウント3aおよび3bとを有する。なお、車両としては、例えば、トラックなどの商用車が挙げられる。
【0012】
一対の車体フレーム1aおよび1bは、車体を支持するもので、車幅方向D1に並んで配置され、車両前後方向に延びるように形成されている。車体フレーム1aおよび1bは、例えば、はしご状に形成されたシャシフレームから構成することができる。
【0013】
エンジン2は、車両を駆動するためのもので、例えば、吸気行程、圧縮行程、膨張行程および排気行程の4つの行程を繰り返す、いわゆる4ストローク機関から構成されている。エンジン2は、車体フレーム1aと車体フレーム1bとの間に配置され、その両側部に一対のエンジンブラケット4aおよび4bが固定されている。エンジンブラケット4aおよび4bは、エンジン2の両側部から側方に突出するように形成され、その基端部が溶接などによりエンジン2に固定されている。
なお、エンジン2は、本開示における振動装置を構成するものである。
【0014】
一対のマウント3aおよび3bは、それぞれ、支持ブラケット5と、弾性部6と、角度変更ブラケット7と、固定部8aおよび8bとを有する。
【0015】
次に、マウント3aの構成について詳細に説明する。
【0016】
図2に示すように、支持ブラケット5は、車体フレーム1aに対してエンジン2を支持するもので、車両前後方向D2に所定の間隔を空けて配置された一対の側壁部9aおよび9bを有する。側壁部9aおよび9bは、車幅方向D1に幅広に形成された板形状を有し、車体フレーム1aに対して上方に起立するように配置されている。そして、側壁部9aおよび9bの底部が、車体フレーム1aに溶接部10で固定されている。また、側壁部9aおよび9bの上部は、互いに離れるように外側に緩やかに湾曲して拡張する形状を有する。
【0017】
弾性部6は、エンジン2の振動を吸収するためのもので、上板部6aと、下板部6bと、弾性体6cとを有する。上板部6aは、円盤形状を有し、エンジンブラケット4aに固定されている。下板部6bは、矩形の板形状を有し、角度変更ブラケット7に固定されている。弾性体6cは、上下方向D3に延びる柱状に形成され、上板部6aと下板部6bとの間に配置されて、上端部が上板部6aに固定されると共に下端部が下板部6bに固定されている。弾性体6cとしては、例えば、ゴムなどから構成することができる。
【0018】
角度変更ブラケット7は、弾性部6を介してエンジン2に固定され、車体に対するエンジン2の固定角度を変更するものである。具体的には、角度変更ブラケット7は、一対の対向壁部11aおよび11bと、天板部12とを有する。
【0019】
対向壁部11aおよび11bは、車幅方向D1に幅広に形成された板形状を有し、側壁部9aおよび9bの内面に当接して対向するように配置されている。天板部12は、板形状を有し、その前縁部が側壁部9aに接続されると共に後縁部が側壁部9bに接続されている。このように、角度変更ブラケット7は、U字状の横断面を有するように形成されている。
【0020】
固定部8aおよび8bは、側壁部9aおよび9bに対して対向壁部11aおよび11bを固定する。このとき、固定部8aおよび8bは、支持ブラケット5に対する角度変更ブラケット7の角度を変更するように固定位置を変更可能に形成されている。
すなわち、角度変更ブラケット7には、互いに異なる複数の固定位置が設定され、固定部8aおよび8bが、その複数の固定位置を変更して固定されることで、支持ブラケット5に対する角度変更ブラケット7の角度が変更される。
【0021】
具体的には、固定位置は、角度変更ブラケット7の角度を変更する際に側壁部9aおよび9bに対して対向壁部11aおよび11bを回動させる回動中心P1と、回動中心P1に対して変更する角度に応じて周方向に並ぶ2つの変更位置P2aおよびP2bとに設定される。例えば、変更位置P2aと変更位置P2bは、回動中心P1に対して周方向に15度の角度で異なる位置に設定することができる。
【0022】
そして、対向壁部11aおよび11bには、回動中心P1に固定穴13が形成されると共に、変更位置P2aおよびP2bにそれぞれ固定穴14aおよび14bが形成される。また、側壁部9aおよび9bには、対向壁部11aおよび11bの固定穴13に対応して固定穴13が形成されると共に、固定穴14aおよび14bに対応して固定穴14が形成されている。
【0023】
固定部8aおよび8bは、棒形状を有し、固定部8aが固定穴13に挿入されると共に固定部8bが固定穴14および固定穴14aに挿入される。これにより、対向壁部11aおよび11bが、側壁部9aおよび9bに対して所定の角度で固定される。例えば、対向壁部11aおよび11bは、天板部12が水平面内に位置するような角度で側壁部9aおよび9bに固定される。
【0024】
そして、固定部8bの固定位置を変更、すなわち固定部8bを固定穴14および固定穴14bに挿入することにより、支持ブラケット5に対する角度変更ブラケット7の固定角度が所定の角度から約15度だけ下方に変更される。これにより、天板部12が、水平面に対して約15度だけ車両内側に傾斜するように姿勢が変更されることになる。
固定部8aおよび8bは、例えば、ボルトとナットなどから構成することができる。
【0025】
なお、マウント3bは、マウント3aと同様の構成のため説明を省略する。
【0026】
次に、マウントの取り付け方法について説明する。
【0027】
まず、
図3に示すように、支持ブラケット5が、車体フレーム1aに対して溶接部10で固定される。このとき、側壁部9aおよび9bが、車両前後方向D2に所定の間隔を空けて、車体フレーム1aに対して上方に起立するように固定される。
また、車体フレーム1bについても同様に、支持ブラケット5を固定する。
【0028】
一方、
図4に示すように、弾性部6の上板部6aが、エンジン2に固定されたエンジンブラケット4aにボルトなどで固定される。また、弾性部6の下板部6bが、角度変更ブラケット7の天板部12にボルトなどで固定される。これにより、天板部12は、弾性部6が固定されるエンジンブラケット4aの下面と平行な姿勢で固定されることになる。すなわち、天板部12は、エンジンブラケット4aの下面に対して、弾性部6を挟んで、正面から対向するように固定される。なお、エンジンブラケット4aは、エンジン2から水平方向に突出して、弾性部6を固定する下面が鉛直下方を向くように設けられているものとする。このため、天板部12は、水平面内に位置する姿勢で固定されることになる。
また、エンジンブラケット4bについても同様に、弾性部6および角度変更ブラケット7を固定する。
【0029】
そして、
図2に示すように、弾性部6および角度変更ブラケット7が、エンジン2と共に、車体フレーム1aに固定された支持ブラケット5に向かって上方から下ろされて、角度変更ブラケット7の対向壁部11aおよび11bが、支持ブラケット5の側壁部9aおよび9bの内側に位置される。
【0030】
このとき、側壁部9aおよび9bの上部は、互いに離れるように外側に拡張する形状を有する。このため、角度変更ブラケット7が支持ブラケット5に対して位置ずれした状態で下ろされた場合でも、角度変更ブラケット7を側壁部9aおよび9bの上部に沿って案内することができ、対向壁部11aおよび11bを側壁部9aおよび9bの内側に容易に位置させることができる。
【0031】
また、対向壁部11aおよび11bが側壁部9aおよび9bの内面に当接する幅で形成されているため、角度変更ブラケット7を支持ブラケット5に対して車両前後方向D2に確実に位置合わせすることができる。
【0032】
このようにして、対向壁部11aおよび11bが、側壁部9aおよび9bの内側に位置されると、対向壁部11aおよび11bの固定穴13および固定穴14aが、側壁部9aおよび9bの固定穴13および固定穴14に対して位置合わせされる。そして、位置合わせされた固定穴13に固定部8aを挿入すると共に固定穴14および14aに固定部8bを挿入して、角度変更ブラケット7が支持ブラケット5に固定される。
【0033】
このとき、固定穴13、14、14aおよび14bは、固定部8aおよび8bに対応する径より大きな径で形成することができる。これにより、角度変更ブラケット7が支持ブラケット5に対して位置ずれした場合でも、固定部8aおよび8bを固定穴13、14および14aに挿入することができ、角度変更ブラケット7を支持ブラケット5に容易に固定することができる。
【0034】
このようにして、
図5に示すように、エンジン2が、車体フレーム1aにマウント3aにより固定される。このとき、固定部8aおよび8bで固定された固定穴13、14および14aは、角度変更ブラケット7が支持ブラケット5に対して所定の固定角度、すなわち天板部12が水平面内に位置する角度となるように設定されている。これにより、天板部12が、エンジンブラケット4aの下面に正面から対向した状態で固定されるため、エンジン2をマウント3aで確実に支持することができる。
【0035】
なお、固定角度は、天板部12がエンジンブラケット4aの下面と正面から対向した状態となる角度に限定されるものではなく、エンジン2の振動特性などに応じて適切な角度に設定することができる。
【0036】
同様にして、マウント3bが、車体フレーム1aに対してエンジン2を固定するように設置される。
これにより、
図1に示すように、マウント3aおよび3bが、エンジン2の振動特性などに応じた固定角度で固定されるため、車体フレーム1aおよび1bに対してエンジン2を確実に支持することができる。また、角度変更ブラケット7とエンジンブラケット4aおよび4bとの間に配置された弾性部6により、エンジン2の振動を確実に吸収することができる。
【0037】
一方、
図6に示すように、エンジンブラケット4aの下面が、例えば水平面に対して約15度の角度で傾斜するように設けられている場合には、角度変更ブラケット7は、弾性部6と共に傾斜した状態でエンジンブラケット4aに固定される。これにより、天板部12は、水平面に対して約15度の角度で車両内側に傾斜した姿勢となる。
【0038】
続いて、角度変更ブラケット7は、傾斜した状態で支持ブラケット5の側壁部9aおよび9bの内側に位置される。そして、固定穴13に固定部8aを挿入すると共に固定穴14および14bに固定部8bを挿入して、角度変更ブラケット7が支持ブラケット5に固定される。
【0039】
このとき、固定穴13、14および14bは、角度変更ブラケット7の固定角度を上記の所定の固定角度から変更する、すなわち天板部12が水平面に対して約15度だけ車両内側に傾斜するように設定されている。これにより、天板部12が、エンジンブラケット4aの下面に正面から対向した状態で固定されるため、エンジン2をマウント3aで確実に支持することができる。
同様にして、マウント3bが、車体フレーム1aに対してエンジン2を固定するように設置される。
【0040】
このように、固定部8aおよび8bが、支持ブラケット5に対する角度変更ブラケット7の角度を変更するように固定穴14aと固定穴14bとの間で固定位置を変更可能に形成されている。このため、角度変更ブラケット7の固定角度を容易に変更することができる。
【0041】
これにより、複数のエンジン2の固定環境が異なる場合、例えば種類の異なるエンジン2を車体フレーム1aおよび1bに設置する場合でも、マウント3aおよび3bを共通に使用することができ、エンジン2を固定する労力を低減することができる。
【0042】
また、マウント3aおよび3bは、エンジン2を車体フレーム1aおよび1bに実装する前の評価に使用することもできる。例えば、マウント3aおよび3bの固定角度を変えてエンジン2の振動特性などを評価する。これにより、適切な固定角度を容易に検証することができ、その固定角度のマウントを実装することでエンジン2を適切に支持することができる。
【0043】
また、固定部8aおよび8bは、角度変更ブラケット7の固定位置を固定穴14aと固定穴14bとの間で変更するだけで角度変更ブラケット7の角度を変更することができ、角度変更ブラケット7の固定角度をより容易に変更することができる。
【0044】
また、固定部8aおよび8bは、回動中心P1に対して2つの変更位置P2aおよびP2bを変更する、すなわち固定穴13に対して固定穴14aおよび14bを変更することで角度を変えるように形成されている。このため、異なる角度に対して固定穴13を共通して用いることができ、支持ブラケット5および角度変更ブラケット7の構成を簡単化することができる。
【0045】
本実施の形態によれば、固定部8aおよび8bが、支持ブラケット5に対する角度変更ブラケット7の角度を変更するように固定位置を変更可能に形成されているため、マウント3aおよび3bの固定角度を容易に変更することができる。
【0046】
(実施の形態2)
以下、本開示の実施の形態2について説明する。ここでは、上記の実施の形態1との相違点を中心に説明し、上記の実施の形態1との共通点については、共通の参照符号を使用して、その詳細な説明を省略する。
【0047】
上記の実施の形態1では、固定部8aおよび8bは、1つの角度変更ブラケット7に設けられた互いに異なる固定位置を変更することで角度変更ブラケット7の角度を変更したが、角度変更ブラケット7の角度を変更するように固定位置が変更可能に形成されていればよく、これに限られるものではない。
【0048】
例えば、
図7に示すように、実施の形態1の角度変更ブラケット7に換えて角度変更ブラケット21を配置することができる。ここで、エンジンブラケット4aは、弾性部6が固定される下面が水平面内に位置するようにエンジン2に固定されているものとする。
【0049】
角度変更ブラケット21は、回動中心P1に固定穴13が形成されると共に変更位置P2aに固定穴14aが形成されている。すなわち、角度変更ブラケット21は、実施の形態1の角度変更ブラケット7において固定穴14bを除いたものである。固定穴13および14aは、天板部12が水平面内に位置するような角度で固定部8aおよび8bにより固定されるように形成されている。これにより、エンジン2に応じた適切な固定角度で角度変更ブラケット21を支持ブラケット5に固定することができる。
【0050】
一方、
図8に示すように、エンジンブラケット4aの下面が傾斜するように設けられている場合には、角度変更ブラケット21に換えて角度変更ブラケット22を配置することができる。
【0051】
角度変更ブラケット22は、回動中心P1に固定穴13が形成されると共に変更位置P2bに固定穴14bが形成されている。すなわち、角度変更ブラケット22は、実施の形態1の角度変更ブラケット7において固定穴14aを除いたものである。固定穴13および14bは、天板部12が水平面に対して傾斜した状態で固定部8aおよび8bにより固定されるように形成されている。これにより、エンジン2に応じた適切な固定角度で角度変更ブラケット22を支持ブラケット5に固定することができる。
【0052】
このように、角度変更ブラケット21および22には、互いに異なる固定位置P2aおよびP2bがそれぞれ設定されている。そして、固定部8aおよび8bが、角度変更ブラケット21と角度変更ブラケット22とを変更して、固定位置P2aまたは固定位置P2bを固定することにより、支持ブラケット5に対する角度変更ブラケット21および22の角度を容易に変更することができる。このとき、角度変更ブラケット21および22は、それぞれ、エンジン2に応じた適切な形状、例えば適切な高さに形成することができ、マウント3aおよび3bでエンジン2を確実に支持することができる。
【0053】
本実施の形態によれば、固定部8aおよび8bが、角度変更ブラケット21と角度変更ブラケット22とを変更して固定位置P2aまたは固定位置P2bを固定するため、マウント3aおよび3bでエンジン2を確実に支持することができる。
【0054】
(実施の形態3)
以下、本開示の実施の形態3について説明する。ここでは、上記の実施の形態1および2との相違点を中心に説明し、上記の実施の形態1および2との共通点については、共通の参照符号を使用して、その詳細な説明を省略する。
【0055】
上記の実施の形態1では、変更位置P2aおよびP2bに対応する固定穴14aおよび14bが、角度変更ブラケット7に形成されたが、角度変更ブラケット7および支持ブラケット5の少なくとも一方に変更位置P2aおよびP2bを設定して固定位置を変更できればよく、これに限られるものではない。
【0056】
例えば、
図9に示すように、支持ブラケット5に換えて支持ブラケット31を配置すると共に角度変更ブラケット7に換えて角度変更ブラケット32を配置することができる。
【0057】
支持ブラケット31は、回動中心P1に固定穴13が形成されると共に、回動中心P1に対して変更する角度に応じて周方向に並ぶ2つの変更位置P2aおよびP2bに固定穴14および33が形成されている。すなわち、支持ブラケット31は、実施の形態1の支持ブラケット5において固定穴33を新たに形成したものである。
【0058】
角度変更ブラケット32は、回動中心P1に固定穴13が形成されると共に変更位置P2aに固定穴14aが形成されている。すなわち、角度変更ブラケット32は、実施の形態1の角度変更ブラケット7において固定穴14bを除いたものである。
【0059】
このように、支持ブラケット31には、互いに異なる変更位置P2aと変更位置P2bが設定されている。そして、固定部8bが、変更位置P2aと変更位置P2bを変更する、すなわち固定穴14と固定穴33とを変更することで、支持ブラケット31に対する角度変更ブラケット32の角度を変更することができる。このように、固定部8bの固定位置を変更位置P2aと変更位置P2bとの間で変更するだけで角度変更ブラケット32の角度をより容易に変更することができる。
【0060】
なお、本実施の形態において、角度変更ブラケット32は、実施の形態1と同様に、固定穴14bを設けてもよい。これにより、固定部8aおよび8bの固定位置が増えるため、角度変更ブラケット32をより多くの角度に変更することができる。
【0061】
本実施の形態によれば、支持ブラケット31に互いに異なる変更位置P2aと変更位置P2bが設定され、固定部8bが変更位置P2aと変更位置P2bを変更して固定されることで、支持ブラケット31に対する角度変更ブラケット32の角度が変更される。このため、角度変更ブラケット32の角度をより容易に変更することができる。
【0062】
なお、上記の実施の形態1~3では、固定部8aおよび8bは、2つの変更位置P2aと変更位置P2bを変更するように形成されたが、支持ブラケットに対する角度変更ブラケットの角度を変更するように固定位置を変更可能に形成されていればよく、2つに限られるものではない。
【0063】
また、上記の実施の形態1~3では、変更位置P2aと変更位置P2bは、回動中心P1に対して変更する角度に応じて周方向に並ぶように設定されたが、支持ブラケットに対する角度変更ブラケットの角度を変更するように設定されていればよく、これに限られるものではない。
【0064】
また、上記の実施の形態1~3では、固定部8aおよび8bは、固定穴に挿入するように形成されたが、側壁部に対して対向壁部を固定することができればよく、これに限られるものではない。
【0065】
また、上記の実施の形態1~3では、支持ブラケットは、一対の側壁部を有したが、車体に対して起立するように配置される側壁部を有していればよく、これに限られるものではない。例えば、支持ブラケットは、1つの側壁部を有することもできる。
【0066】
また、上記の実施の形態1~3では、角度変更ブラケットは、一対の対向壁部を有したが、側壁部に対向して配置されていればよく、これに限られるものではない。例えば、角度変更ブラケットは、1つの対向壁部を有することもできる。
【0067】
また、上記の実施の形態1~3では、角度変更ブラケットは、エンジン2に固定されたが、車両の振動装置に固定されていればよく、エンジン2に限られるものではない。
【0068】
その他、上記の実施の形態は、何れも本発明の実施をするにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。例えば、上記の実施の形態で説明した各部の形状や個数などについての開示はあくまで例示であり、適宜変更して実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本開示に係るマウントは、車体に対して振動装置を固定するマウントに利用できる。
【符号の説明】
【0070】
1a,1b 車体フレーム
2 エンジン
3a,3b マウント
4a,4b エンジンブラケット
5,31 支持ブラケット
6 弾性部
6a 上板部
6b 下板部
6c 弾性体
7,21,22,32 角度変更ブラケット
8a,8b 固定部
9a,9b 側壁部
10 溶接部
11a,11b 対向壁部
12 天板部
13,14a,14b,33 固定穴
D1 車幅方向
D2 車両前後方向
D3 上下方向
P1 回動中心
P2a,P2b 変更位置