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特開2022-149370電子部品ケース、電子部品ケースユニット、電子機器本体および電子機器ユニット
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  • 特開-電子部品ケース、電子部品ケースユニット、電子機器本体および電子機器ユニット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149370
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】電子部品ケース、電子部品ケースユニット、電子機器本体および電子機器ユニット
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20220929BHJP
   G06F 1/16 20060101ALI20220929BHJP
   G06F 1/20 20060101ALI20220929BHJP
   H01L 23/467 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
H05K7/20 E
H05K7/20 G
G06F1/16 312M
G06F1/20 B
G06F1/20 C
H01L23/46 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021051494
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129012
【弁理士】
【氏名又は名称】元山 雅史
(72)【発明者】
【氏名】川添 祐大
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA03
5E322AA11
5E322AB01
5E322BA01
5E322BA03
5F136CA12
5F136DA41
(57)【要約】
【課題】電子部品を収容するケースの周辺に発熱部品が配置されていても、ケース内の電子部品を熱から保護する。
【解決手段】スロットケース5が、筐体1の内部空間2内にて、通電によって熱を発生させる外部発熱部品3と隣接して配置される。スロットケース5は、複数の側壁21~24で囲まれたケース内空間6を形成し、通電によって熱を発生させる内部発熱部品9を収容する。スロットケース5は、左側壁21、第1開口部31、右側壁22および第2開口部32を備える。第1開口部31および第2開口部32は、左側壁21および右側壁22をそれぞれ貫通するように形成される。右側壁22は、左側壁21よりも外部発熱部品3から離れた位置に配置される。第2開口部32の開口総面積は、第1開口部31の開口総面積よりも大きい。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器が収容される装置本体の内部空間内にて、通電によって熱を発生させる外部発熱部品と隣接して配置され、複数の側壁で囲まれたケース内空間を形成する電子部品ケースと、
前記ケース内空間に収容され、通電によって熱を発生させる内部発熱部品と、
前記電子部品ケースの前記複数の側壁に含まれる第1側壁と、
前記第1側壁を貫通するように形成された第1開口部と、
前記電子部品ケースの前記複数の側壁に含まれ、前記第1側壁よりも前記外部発熱部品から離れた位置に配置された第2側壁と、
前記第2側壁を貫通するように形成され、前記第1開口部よりも開口総面積が大きい第2開口部と、
を備える、電子部品ケースユニット。
【請求項2】
前記第1側壁が、前記第1開口部が形成された開口形成領域と、前記開口形成領域よりも前記外部発熱部品に近い領域であって開口を有さない障壁部とを有する、
請求項1に記載の電子部品ケースユニット。
【請求項3】
前記第1側壁と前記第2側壁とが、前記ケース内空間を介して対向配置される、
請求項1または2に記載の電子部品ケースユニット。
【請求項4】
前記第1側壁および前記第2側壁の内面に設けられ、前記内部発熱部品を支持する一対の支持部を、さらに備え、
前記第1開口部および前記第2開口部が、前記一対の支持部の外側に形成されている、
請求項3に記載の電子部品ケースユニット。
【請求項5】
前記内部発熱部品が実装される第1面および前記第1面の反対側にある第2面を有する基板を、さらに備え、
前記ケース内空間が、前記基板により、前記第1面に面し前記内部発熱部品が配置される第1空間と、前記第2面に面する第2空間とに仕切られ、
前記第1開口部および前記第2開口部が、前記第1空間に開放されている、
請求項1から4のいずれか1項に記載の電子部品ケースユニット。
【請求項6】
前記電子部品ケースに設けられ、前記ケース内空間と連通するコネクタ嵌合部と、
前記基板に取り付けられ、前記コネクタ嵌合部に内嵌され、前記内部空間の前記電子機器に接続されるコネクタと、
をさらに備える、
請求項5に記載の電子部品ケースユニット。
【請求項7】
前記内部発熱部品は、前記ケース内空間に着脱可能に収容される、
請求項1から6のいずれか1項に記載の電子部品ケースユニット。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の電子部品ケースユニットと、
電子機器が収容される内部空間を形成する装置本体と、
前記電子機器の一部として前記内部空間に収容され、前記電子部品ケースと隣接して配置され、通電によって熱を発生させる外部発熱部品と、
を備える、電子機器ユニット。
【請求項9】
前記外部発熱部品が、前記第1側壁から見て前記第2側壁とは反対側に配置される、
請求項8に記載の電子機器ユニット。
【請求項10】
前記第2側壁は、前記装置本体の壁の内面と近接して配置される、
請求項8または9に記載の電子機器ユニット。
【請求項11】
前記装置本体の前記壁には、前記電子部品ケースと近接する部位において、複数の貫通孔が設けられている、
請求項10に記載の電子機器ユニット。
【請求項12】
電子機器が収容される内部空間を形成する装置本体と、
複数の側壁で囲まれたケース内空間を形成し、通電によって熱を発生させる内部発熱部品を前記ケース内空間に収容する電子部品ケースと、
前記電子機器の一部として前記内部空間に収容され、前記電子部品ケースと隣接して配置され、通電によって熱を発生させる外部発熱部品と、
前記電子部品ケースの前記複数の側壁に含まれる第1側壁と、
前記第1側壁を貫通するように形成された第1開口部と、
前記電子部品ケースの前記複数の側壁に含まれ、前記第1側壁よりも前記外部発熱部品から離れた位置に配置された第2側壁と、
前記第2側壁を貫通するように形成され、前記第1開口部よりも開口総面積が大きい第2開口部と、
を備える、電子機器本体。
【請求項13】
電子機器が収容される装置本体の内部空間内にて、通電によって熱を発生させる外部発熱部品と隣接して配置され、複数の側壁で囲まれたケース内空間を形成し、通電によって熱を発生させる内部発熱部品を前記ケース内空間に収容する電子部品ケースであって、
前記複数の側壁に含まれる第1側壁と、
前記第1側壁を貫通するように形成された第1開口部と、
前記複数の側壁に含まれ、前記第1側壁よりも前記外部発熱部品から離れた位置に配置された第2側壁と、
前記第2側壁を貫通するように形成され、前記第1開口部よりも開口総面積が大きい第2開口部と、
を備える、電子部品ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品ケース、電子部品ケースおよびこれに収容される内部発熱部品を備えた電子部品ケースユニット、電子部品ケースおよびこれを外部発熱部品とともに収容する装置本体を備えた電子機器本体、並びに電子部品ケースユニットおよびこれを外部発熱部品とともに収容する装置本体を備えた電子機器ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、電子部品が実装された基板が筐体に収容された電子機器が開示されている。電子部品は、通電によって発熱する一方で熱に弱いものも多く、高温に晒されると劣化が加速する。
そこで、特許文献1に開示される電子機器においては、空気導入口が筐体の端子側に設けられ、空気排出口がその反対側に設けられている。電子機器は、端子を介して他の機器に接続される。この機器の内部は、冷却装置によって冷却されている。電子機器がこの機器に接続されると、機器内の冷気が、空気導入口を介して電子機器の筐体内に流入され、電子部品と熱交換を行う。熱交換後のエアは、空気排出口を介して筐体外へ流出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7-36571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記公報に開示された構成では、電子機器が接続される機器に、常に冷気が充満しているとは限らない。そして、電子機器が他の機器に接続された状態において、電子機器が、当該他の機器に設けられている発熱部品と近接配置される場合も考えられる。この場合、冷気が供給されない状況下で、筐体外部の発熱部品で発生された熱が、冷気導入口を介して筐体内に流入して、筐体内の温度上昇を招くおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、電子部品を収容するケースの周辺に発熱部品が配置されていても、ケース内の電子部品を熱から保護することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態に係る電子部品ケースユニットは、電子部品ケース、内部発熱部品、第1側壁、第1開口部、第2側壁および第2開口部を備える。電子部品ケースは、電子機器が収容される装置本体の内部空間内にて、通電によって熱を発生させる外部発熱部品と隣接して配置される。また、電子部品ケースは、複数の側壁で囲まれたケース内空間を形成する。内部発熱部品は、ケース内空間に収容され、通電によって熱を発生させる。
【0007】
第1側壁、第1開口部、第2側壁および第2開口部は、電子部品ケースに設けられる。第1側壁は、電子部品ケースの複数の側壁に含まれる。第1開口部は、第1側壁を貫通するように形成される。第2側壁は、電子部品ケースの複数の側壁に含まれ、第1側壁よりも外部発熱部品から離れた位置に配置される。第2開口部は、第2側壁を貫通するように形成される。第2開口部の開口総面積は、第1開口部の開口総面積よりも大きい。
【0008】
これにより、電子部品ケース外から第1開口部、ケース内空間および第2開口部を介して電子部品ケース外への空気の流れ、またはこれと逆向きの空気の流れを形成することができる。よって、内部発熱部品で発生した熱(自己熱)を放熱しやすい。
一方で、空気の流れの形成に必要な2つの開口部は、外部発熱部品で発生した熱をケース内空間に流入させるおそれがある。そこで、外部発熱部品に対して第2側壁よりも近い位置にある第1側壁の第1開口部が、外部発熱部品から第1側壁よりも遠い位置にある第2側壁の第2開口部よりも、その開口総面積が小さく形成されている。よって、外部発熱部品からの受熱を抑制しながら、自己熱を放熱するための空気の流れを形成することができる。
これにより、ケース内部温度の上昇を抑制することができ、電子部品ケースに収容された電子部品を熱から保護することができる。
【0009】
第1側壁が、第1開口部が形成された開口形成領域と、開口形成領域よりも外部発熱部品に近い領域であって開口を有さない障壁部とを有してもよい。
障壁部は、外部発熱部品の熱を遮蔽し、外部発熱部品の熱がケース内空間に流入することを抑制する。第1開口部は、障壁部よりも外部発熱部品から離れている。よって、受熱抑制効果が高くなり、ケース内部温度の上昇が一層抑制される。
【0010】
第1側壁と第2側壁とが、ケース内空間を介して対向配置されてもよい。
これにより、第1開口部と第2開口部との間の空気の流れが、ケース内空間の広範囲にわたって形成される。よって、高い放熱効果が得られる。
【0011】
電子部品ケースユニットが、第1側壁および第2側壁の内面に設けられ、内部発熱部品を支持する一対の支持部を、さらに備えてもよい。第1開口部および第2開口部が、一対の支持部の外側に形成されていてもよい。
これにより、側壁に開口部を設けても内部発熱部品の安定支持を阻害することなく、自己熱を放熱するための空気の流れを形成することができる。
【0012】
電子部品ケースユニットが、内部発熱部品が実装される第1面とその反対側の第2面とを有する基板を、さらに備えてもよい。ケース内空間が、基板により、第1面に面し内部発熱部品が配置される第1空間と、第2面に面する第2空間とに仕切られてもよい。第1開口部および第2開口部が、第1空間に開放されていてもよい。
内部発熱部品が配置される第1空間は、第2空間よりも熱がこもりやすい。第1開口部および第2開口部は、この第1空間に開放されているので、第1空間の放熱が促進される。これにより、電子部品ケースに収容された電子部品を熱から保護することができる。
【0013】
電子部品ケースユニットが、コネクタ嵌合部およびコネクタをさらに備えてもよい。コネクタ嵌合部は、電子部品ケースに設けられ、ケース内空間と連通してもよい。コネクタは、コネクタ嵌合部に内嵌され、内部空間の電子機器に接続されてもよい。
ここでは、基板に実装された電子部品を装置本体内の電子機器に接続するために、コネクタが基板に取り付けられている。電子部品ケースは、このコネクタによる接続を実現するため、ケース内空間と連通する空間または開口(すなわち、コネクタ嵌合部)を有している必要がある。コネクタは、このコネクタ嵌合部に内嵌されている。
この内嵌により、コネクタとコネクタ嵌合部との間のクリアランスが、小さくなり、空気の流れにとって第1開口部および第2開口部よりも大きな抵抗となる。よって、電子部品ケースにコネクタ嵌合部を設けていても、空気の流れが第1開口部または第2開口部からコネクタ嵌合部へ抜けるのを抑止することができる。第1開口部と第2開口部との間の空気の流れを円滑に形成することができ、電子部品ケースに収容された電子部品を熱から保護することができる。
【0014】
内部発熱部品は、ケース内空間に着脱可能に収容されてもよい。
内部発熱部品が電子部品ケースに着脱可能である場合において、電子部品ケースに収容された電子部品を熱から保護することができる。
【0015】
本発明の一形態に係る電子機器ユニットは、上記の電子部品ケースユニット、装置本体および外部発熱部品を備える。装置本体は、電子機器が収容される内部空間を形成する。外部発熱部品は、電子機器の一部として内部空間に収容され、電子部品ケースと隣接して配置され、通電によって熱を発生させる。
上記の電子機器ユニットは、上記の電子部品ケースユニットの技術的特徴と同一のまたは対応する技術的特徴を具備する。よって、外部発熱部品からの受熱を抑制しながら、自己熱を放熱するための空気の流れを形成することができる。これにより、ケース内部温度の上昇を抑制することができ、電子部品ケースに収容された電子部品を熱から保護することができる。
【0016】
外部発熱部品が、第1側壁から見て第2側壁とは反対側に配置されてもよい。
これにより、開口総面積が相対的に大きい第2開口部が設けられている第2側壁が、外部発熱部品からなるべく遠ざけられる。受熱抑制効果が高くなり、ケース内部温度の上昇が抑制される。
【0017】
第2側壁は、装置本体の壁の内面と近接して配置されてもよい。
第2側壁の内面への近接により、第2側壁を外部発熱部品からなるべく遠ざけることができる。また、電子機器ケースが、装置本体の内部空間において端部に配置される。よって、装置本体の内部空間に、電子機器ケース以外の電子部品を配置するためのスペースをなるべく広く確保することができる。
【0018】
ここで、第2側壁が内面に近接すると、第2側壁と装置本体の側壁との間の空間が狭隘となる。そのため、空気の流れが第2開口部を抜けにくくなるおそれ、あるいは、この狭隘な空間内で熱がこもるおそれがある。
【0019】
そこで、装置本体の壁には、電子部品ケースと近接する部位において、複数の貫通孔が設けられていてもよい。
これにより、ケース内空間から第2開口部を抜けた空気の流れは、第2側壁と近接して設けられている貫通孔を介し、装置本体外へと円滑に抜けることができる。したがって、第2側壁を外部発熱部品からなるべく遠ざけることと、ケース内空間から第2開口部を介して流出する空気の流れの円滑化とを両立することができる。
【0020】
本発明の一形態に係る電子機器本体は、装置本体、電子部品ケース、外部発熱部品、第1側壁、第1開口部、第2側壁および第2開口部を備える。装置本体は、電子機器が収容される内部空間を形成する。電子部品ケースは、複数の側壁で囲まれたケース内空間を形成し、通電によって熱を発生させる内部発熱部品をケース内空間に収容する。外部発熱部品は、電子機器の一部として内部空間に収容され、電子部品ケースと隣接して配置され、通電によって熱を発生させる。
【0021】
本発明の一形態に係る電子部品ケースは、電子機器が収容される装置本体の内部空間内にて、通電によって熱を発生させる外部発熱部品と隣接して配置される。電子部品ケースは、複数の側壁で囲まれたケース内空間を形成し、通電によって熱を発生させる内部発熱部品をケース内空間に収容する。電子部品ケースは、第1側壁、第1開口部、第2側壁および第2開口部を備える。
【0022】
上記の電子部品ケースユニットと同様、上記の電子機器本体および電子部品ケースにおいても、第1側壁は、電子部品ケースの複数の側壁に含まれる。第1開口部は、第1側壁を貫通するように形成される。第2側壁は、電子部品ケースの複数の側壁に含まれ、第1側壁よりも外部発熱部品から離れた位置に配置される。第2開口部は、第2側壁を貫通するように形成される。第2開口部の開口総面積は、第1開口部の開口総面積よりも大きい。
【0023】
上記の電子機器本体および電子部品ケースはいずれも、上記の電子部品ケースユニットの技術的特徴と同一のまたは対応する技術的特徴を具備する。よって、外部発熱部品からの受熱を抑制しながら、自己熱を放熱するための空気の流れを形成することができる。これにより、ケース内部温度の上昇を抑制することができ、電子部品ケースに収容された電子部品を熱から保護することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、電子部品を収容するケースの周辺に発熱部品が配置されていても、ケース内の電子部品を熱から保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施形態に係る電子機器ユニットの一例としての無停電電源装置(UPS装置)の分解斜視図である。
図2】UPS装置の平面図である。
図3】本発明の実施形態に係る電子部品ケースの一例としてのスロットケースの斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係る内部発熱部品を実装したネットワークカードの下面図である。
図5】本発明の実施形態に係る電子部品ケースユニットの一例としてのケースユニットの一部を破断して示す左側面図である。
図6】ケースユニットの右側面図である。
図7】UPS装置の底面視断面図である。
図8】UPS装置の背面視断面図である。
図9】変形例に係るケースユニットの右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。全図を通じて同一のまたは対応する要素には同一の符号を付して詳細説明の重複を省略する。
(UPS装置、UPS本体、ケースユニットの概要構成)
図1および図2は、実施形態に係る電子機器ユニットの一例として、無停電電源装置(以下、UPS装置)100を示す。UPS装置100は、高い可用性を求められる電力消費体(例えば、データサーバ等)の設置現場に導入され、商用電源と電力消費体との間に電気的に介在する。UPS装置100は、商用電源から受ける電力を蓄電するバッテリ(図示せず)を有する。商用電源に障害が発生した場合においても、UPS装置100は、バッテリで蓄えた電力を電力消費体に供給し続けることができ、電力消費体は、稼働し続けることができる。
【0027】
UPS装置100は、内部空間2を形成する筐体(「装置本体」の一例)1と、内部空間2に収容される電子部品とを備えている。内部空間2に収容される電子部品には、上記のバッテリのほか、ケースユニット4(「電子部品ケースユニット」の一例)や、ケースユニット4の外側でケースユニット4と隣接して配置される外部発熱部品3(図2図7および図8を参照)等が含まれる。
【0028】
ケースユニット4は、ケース内空間6を形成するスロットケース5(「電子部品ケース」の一例)と、ケース内空間6に収容されるネットワークカード7とを備えている。ネットワークカード7は、ネットワークアダプタ、ネットワークインタフェースカードあるいはネットワークインタフェースコントローラとも称される。ネットワークカード7は、基板8、基板8に実装された内部発熱部品9(図4図7および図8を参照)、基板8に取り付けられたプレート41等を備えている。
【0029】
別の側面から言えば、筐体1と、内部空間2に収容された電子部品(外部発熱部品3を含む)と、筐体1に装着されて内部空間2に収容されたスロットケース5とにより、UPS本体10(「電子機器本体」の一例)が構成される。
ネットワークカード7は、UPS本体10に着脱可能に装着される。これにより、ケースユニット4およびUPS装置100が構成される。プレート41は、筐体1とともにUPS装置100の外観を形成する。
【0030】
ネットワークカード7のプレート41には、通信用コネクタ43が設けられている。上記の電力消費体を管理する管理者によって取り扱われる管理者端末(図示せず)が、通信用コネクタ43を介してUPS装置100と接続される。管理者は、管理者端末が電力消費体およびUPS装置100の設置現場に設置されていなくても、管理者端末においてUPS装置100の動作を遠隔で監視および操作することができる。
【0031】
スロットケース5が筐体1に装着された状態且つネットワークカード7がスロットケース5に収容された状態(すなわち、UPS装置100の組立状態)において、スロットケース5内の内部発熱部品9で発生される熱や、スロットケース5外の外部発熱部品3で発生される熱の影響により、ケース内空間6の温度が上昇するおそれがある。スロットケース5をはじめとして、UPS装置100を構成する要素には、スロットケース5内に収容される電子部品を熱から保護するための構成が設けられる。
【0032】
なお、以下の説明における方向は、組立状態のUPS装置100が適正に水平に設置された状態での方向を基準とする。筐体1の正面側を前とする。左右方向は、図1の紙面左右と同様、筐体1の背面側から正面側を見たときの左右方向を基準とする。下記の方向は、組立状態でのUPS装置100の対地の姿勢に応じて、あるいは分解状態での各要素の対地の姿勢に応じて、適宜変更される。
【0033】
(筐体)
図1および図2に示すように、筐体1(「装置本体」の一例)は、複数の壁11~16を有している。筐体1の内部空間2は、これら壁11~16で囲まれている。
筐体1は、例えば、全体として略直方体の箱形状に形成されており、上記の壁11~16には、上壁11、下壁12(図8を参照)、前壁13(図2を参照)、後壁14、一対の側壁15,16が含まれる。本実施形態では、筐体1が、扁平であり、上下方向において相対的に短尺に形成され、前後方向および左右方向において相対的に長尺に形成されている。
【0034】
本実施形態では、筐体1の後壁14に、スロットケース5が挿通されるケース挿通口17が開口している。ケース挿通口17は、後壁14の右端部に形成されている。筐体1の後壁14には、ケース挿通口17の外周部に、2つの雌ねじ穴14aが設けられている。
筐体1の壁11~16の複数の領域に、複数の貫通孔18が形成されている。一例として、右側壁16の前領域16aおよび後領域16bの2つの領域内に、多数の貫通孔18が配列されている。
【0035】
(外部発熱部品)
図2に示すように、スロットケース5は、内部空間2の後右隅部に配置される。内部空間2では、スロットケース5の少なくとも左方に隣接して、複数の電子部品が配置されている。
本実施形態に係るUPS装置100は、商用電源から入力された交流を直流に変換して、内蔵のバッテリ(DC28V)を充電する。そのため、内部空間2には、交流の入力部とバッテリとの間に介在して交流を直流に変換する整流器3aが収容されている。整流器3aは、通電によって熱を発生させる外部発熱部品3の一例である。整流器3aは、内部空間2内においてスロットケース5と左右方向に隣接している。
【0036】
(スロットケース)
図3は、スロットケース5を示す。図1および図3に示すように、スロットケース5は、複数の側壁21~24を有している。ケース内空間6は、これら側壁21~24で囲まれている。
スロットケース5は、例えば、略長方形の断面を有した箱形状に形成されている。複数の側壁21~24には、左側壁21(「第1側壁」の一例)、右側壁22(「第2側壁」の一例)、上側壁23および下側壁24が含まれる。
【0037】
スロットケース5の材料および成形法は、特に限定されない。材料は、樹脂、ゴムあるいは金属でもよい。熱可塑性エラストマは、耐衝撃性や成形容易性の高さから好適な材料の一つであり、そのなかでもポリエステル系は、使用可能温度領域が広く難燃性を有するため、特に好適である。
左側壁21および右側壁22は、互いに略平行である。左側壁21および右側壁22は、ケース内空間6を介し、左右方向に対向配置されている。上側壁23および下側壁24は、互いに略平行である。上側壁23および下側壁24は、ケース内空間6を介し、上下方向に対向配置されている。
【0038】
スロットケース5の後端部には、ネットワークカード7を抜き挿しするためのカード挿入口25が開口している。ケース内空間6は、カード挿入口25において後方へ開放されている。スロットケース5は、カード挿入口25の周縁において、側壁21~24に対して外側へ突出するフランジ26を有している。フランジ26は、カード挿入口25を取り囲む閉ループ状に形成されている。2つのビス挿通口26aが、フランジ26を貫通するように形成されている。
【0039】
スロットケース5の前端部には、前壁27(図5も参照)から突出する係合部28が設けられている(図1では図示省略)。係合部28は、一例として、正面視U字状に形成されており、前壁27の左右方向中央部かつ上部から前方へ突出する。また、係合部28には、ケース内空間6と連通するコネクタ嵌合部34(図5を参照)が設けられている。
スロットケース5は、ネットワークカード7を受容するため、左側壁21および右側壁22の内面それぞれに設けられた一対の支持部29,30を有している。各支持部29,30は、前後方向に延びている。各支持部29,30は、対応する側壁21,22の内面に凹設された溝を形成する。この溝の形成のため、各支持部29,30は、対応する側壁21,22の外面の上下中央部よりもやや上寄りの部位にて、左右外側へ突出している。
【0040】
スロットケース5は、左側壁21を貫通するように形成された第1開口部31と、右側壁22を貫通するように形成された第2開口部32とを有している。
第1開口部31は、前後方向に並ぶ複数のスリット31aによって構成される。第2開口部32は、前後方向に並ぶ複数の開口32aによって構成される。
第1開口部31は、左側壁21において支持部29の外側の領域に配置され、第2開口部32は、右側壁22において支持部30の外側の領域に配置されている。本実施形態では、第1開口部31および第2開口部32が、支持部29に対して同じ下外側に配置されている。
【0041】
左側壁21は、第1開口部31が形成された開口形成領域と、開口を有さない障壁部33とを有する。UPS装置100あるいはUPS本体10の組付状態において、障壁部33は、開口形成領域よりも外部発熱部品3よりも近い領域である。障壁部33は、外部発熱部品3から発せられた熱を遮蔽する機能を果たす。
本実施形態では、左側壁21のうち、支持部29の下外側の領域の前側略半分の領域が、開口形成領域を形成する。左側壁21のうち、支持部29の後側略半分の領域が、障壁部33を形成する。また、支持部29の上外側の領域の全体が、障壁部33を形成する。
【0042】
これに対し、右側壁22のうち、支持部30の下外側の領域の略全体が、第2開口部32を形成する。このため、第2開口部32の開口総面積は、第1開口部31の開口総面積よりも大きい。
本実施形態では、スリット31aも開口32aも、上下方向において略同じ寸法、具体的には下側壁22から支持部29,30の下縁部までの寸法を有する。第1開口部31において、スリット31aの前後方向の幅が、隣接するスリット31aの間の壁部分の前後方向の幅と略等しい。そのため、第1開口部31の開口総面積は、開口形成領域の約半分、左側壁21のうち支持部29の下外側の領域の約4分の1である。第2開口部32は、5つの壁部分の間に配置された4つの開口32aによって構成され、各開口32aの前後方向の幅が、各壁部分の前後方向の幅の概ね5倍である。そのため、第2開口部32の開口総面積は、右側壁22のうち支持部30の下外側の領域の約5分の4である。第2開口部32は、第1開口部31の約3倍の開口総面積を有している。
【0043】
(ネットワークカード)
図4は、ネットワークカード7の下面図を示す。図1および図4に示すように、プレート41は、基板8の後端部に取り付けられ、基板8に対して垂直に延びている。ネットワークカード7は、基板8の前端部に取り付けられたコネクタ42を有している。コネクタ42は、基板8よりも左右方向の幅が小さいフィルム状に形成され、その表面には端子が設けられている。
【0044】
基板8は、下面(「第1面」の一例)8aおよび上面(「第2面」の一例)8bを有する。電子部品は、基板8の下面8a上に実装され、その端子(ピン)の先端が下面8aおよび上面8b上で半田付けされる。なお、これら電子部品の電源は、UPS装置100に本来的に内蔵されているバッテリ、および商用電源から入力された交流電力を直流電力に変換したものである。それらは、コネクタ42を介してネットワークカード7上の電子部品に給電する。
【0045】
図4に示すように、基板8に実装される電子部品には、複数の半導体チップが含まれる。半導体チップは、略矩形状の外周器に集積回路を封入することにより構成される。図示の例では、基板8には、半導体チップとして、CPU(Central Processing Unit)51、DRAM(Dynamic Random Access Memory)52、フラッシュメモリ53、トランシーバ54、PWM(Pulse Width Modulation)コントローラ55、およびその他のチップ群56が実装される。なお、PWMコントローラ55は、降圧回路を含み、DC/DCコンバータとして機能する。チップ群56には、例えば、ドライバ、電圧レギュレータあるいはコンデンサ等が含まれ、ドライバは、例えば、プレート41に取り付けられたUSB(登録商標)機器(例えば、メモリ等)を駆動する。
【0046】
この中で、CPU51、DRAM52、トランシーバ54およびPWMコントローラ55は、通電によって熱を発生させる内部発熱部品9である。内部発熱部品9には、チップ群56の一部も含まれる。
なお、CPU51の発熱量(W51)は、最大消費電力(W)と、CPU負荷率(%)との積に応じた値となる(例えば、W51=0.7W(=J/s))。DRAM52の発熱量(W52)およびトランシーバ54の発熱量(W54)は、入力電圧(V)と、使用中の電流の代表値(A)との積に応じた値となる(例えば、W52=0.144W、W54=0.155W)。その他のチップ群56の発熱量(W56)も、これと同様である(例えば、W56=0.5W)。PWMコントローラ55の発熱量(W55)は、降圧時の電力損失に基づく値となる(例えば、W55=0.375W)。
【0047】
基板8には、内部発熱部品9とともに、熱に弱く高温に晒されると劣化が加速する電子部品が実装されている。例えば、基板8には、半導体チップの他、電解液が封入された円筒状の外周器を有するアルミ電解コンデンサ59が実装されている。アルミ電解コンデンサ59の周辺温度が高いと、電解液が外周器から漏れ出しやすくなる。これにより、静電容量の低下(すなわち、アルミ電解コンデンサ59の劣化)を招き、アルミ電解コンデンサ59ひいてはネットワークカード7の寿命が短くなる。
【0048】
(組立)
ここで、図1を参照してUPS本体10およびUPS装置100の組立について説明する。スロットケース5は、係合部28が前に向いてカード挿入口25が後に向く姿勢で、カード挿入口25を介して内部空間2に挿入される。係合部28が内部空間2内の部品に係合され、また、フランジ26が後壁14に当接する。これにより、スロットケース5が筐体1に対して前後方向に位置決めされる。2つのビス挿通口26aは、2つの雌ねじ穴14aとそれぞれ整合される。
【0049】
ネットワークカード7の不使用時には、不図示の蓋部材でカード挿入口25が閉塞される。ビス61が、この蓋部材とビス挿通口26aに挿通されて雌ねじ穴14aに螺合される。これにより、スロットケース5が筐体1に組み付けられ、UPS本体10が構成される。
ネットワークカード7の使用時には、この蓋部材が取り外される。代わりに、コネクタ42が前に向き、プレート41が後に向き、下面8aが下に向き且つ上面8bが上に向く姿勢で、ネットワークカード7がカード挿入口25を介してケース内空間6に挿入される。
【0050】
この挿入時に、基板8の両側縁部が、一対の支持部29,30の溝内に受容され、溝内で後方へ摺動する。これにより、ネットワークカード7が一対の支持部29,30により支持され、ネットワークカード7がスロットケース5に対して上下方向に位置決めされる。
挿入を進めると、プレート41がフランジ26に当接し、カード挿入口25がプレート41で閉塞される。また、2つのビス挿通口41aが、2つのビス挿通口26aとそれぞれ整合される。ビス61が、ビス挿通口41a,26aに挿通されて雌ねじ穴14aに螺合される。これにより、ネットワークカード7およびスロットケース5が筐体1に組み付けられ、ケースユニット4およびUPS装置100が構成される。プレート41は、フランジ26を介して後壁14の外面上に重ねられ、ケース挿通口17およびカード挿入口25を閉塞し、筐体1とともにUPS装置100の外観を形成する。
【0051】
図5および図6は、ケースユニット4の側面図である。図5では、ケースユニット4の前端部が破断されている。ネットワークカード7の挿入を進める過程で、コネクタ42は、係合部28に設けられたコネクタ嵌合部34に内嵌される。
図5に示すように、一例として、コネクタ嵌合部34は、ケース内空間6を係合部28で囲まれた空間と連通させるスリット孔で実現される。スリット孔は、上下方向に幅狭である。ネットワークカード7を挿入する過程で、コネクタ42は、このスリット孔を通過して係合部28内に受容され、UPS装置100内に配置されたレセプタクル(図示せず)と係合される。上記のように、一対の支持部29,30を利用した基板8の上下方向の位置決めにより、コネクタ42を幅狭のコネクタ嵌合部34へと簡便に内嵌することができる。
【0052】
コネクタ42とコネクタ嵌合部34との間には、ケース内空間6を前外方へ連通させるクリアランスが形成される。ただし、クリアランスは、第1開口部31および第2開口部32と比べて非常に小さく、また、ネットワークカード7と係合されたレセプタクルによって塞がれる。
図7はUPS装置100の底面視断面図(図5のVII-VII矢視断面図)、図8はUPS装置100の背面視断面図(図7のVIII-VIII矢視断面図)である。図8に示すように、ケース内空間6は、一対の支持部29,30により支持されている基板8により、下面8aに面した下空間(「第1空間」の一例)6aと、上面8bに面した上空間6b(「第2空間」の一例)に仕切られる。一対の支持部29,30は、側壁21,22の上下中央部よりもやや上寄りに設けられているので、下空間6aは、上空間6bよりも上下方向に大きい。
【0053】
内部発熱部品9は、下面8a上に実装されているため、下空間6a内に配置される。第1開口部31および第2開口部32は、一対の支持部29,30の下外側に設けられている。このため、第1開口部31および第2開口部32は、内部発熱部品9が収容されている下空間6aに開放される。
ケース挿通口17は、後壁14の右端部に形成されており、スロットケース5のフランジ26は後壁14の外面に当接する。したがって、スロットケース5は、内部空間2の後右隅部に配置される。内部空間2には、スロットケース5以外の電子部品を配置するためのスペースが広く確保される。
【0054】
外部発熱部品3の一例である整流器3aは、スロットケース5の左側壁21の外面と隣接している。特に、整流器3aは、左側壁21の後部、すなわち、障壁部33と左右方向に対向配置される。障壁部33は、第1開口部31が形成されている開口形成領域よりも外部発熱部品3に近い領域となる。また、整流器3aは、左側壁21から見ると左右方向において右側壁22と反対側に配置されている。すなわち、右側壁22および第2開口部32は、開口形成領域よりも外部発熱部品3から遠ざけられている。
スロットケース5の右側壁22は、筐体1の右側壁16の内面と、僅かな間隙をあけて近接している。筐体1の右側壁16には、スロットケース5の右側壁22と対向する前領域16aにおいて、多数の貫通孔18が設けられている。なお、後領域16bの前端部も、スロットケース5の右側壁22の後端部と左右方向に対向している。
【0055】
(作用)
図7および図8は、加熱された空気の流れFを併せて示す。UPS装置100が稼働すると、外部発熱部品3および内部発熱部品9が、通電によって熱を発生させる。スロットケース5は、第1開口部31および第2開口部32を有している。このため、図7および図8に矢印Fで示すように、スロットケース5の左外方から、第1開口部31、ケース内空間6(下空間6a)および第2開口部32を通ってスロットケース5の右外方へ抜ける空気の流れが形成される。そのため、内部発熱部品9で発生した熱(自己熱)が放熱される。
【0056】
第1開口部31が形成されている左側壁21は、第2開口部32が形成されている右側壁22とケース内空間6を介して対向配置されている。そのため、ケース内空間6の広い範囲で空気の流れが形成され、放熱効果が高くなる。
第2開口部32が形成されている右側壁22は、筐体1の右側壁16の内面と近接しているが、この右側壁16には貫通孔18が形成されている。そのため、狭隘な空間が右側壁22と右側壁16との間に形成されていても、空気の流れにとって大きな抵抗とはならず、ケース内空間6内の空気は、第2開口部32および貫通孔18を介して筐体1外に円滑に流れる。
【0057】
なお、コネクタ42とコネクタ嵌合部34との間のクリアランスは、非常に小さいため、空気の流れにとって大きな抵抗となる。そのため、ケース内空間6内の空気は、このクリアランスを介して内部空間2に戻りにくく、筐体1外へと円滑に流れていく。
また、スロットケース5の上側壁23と筐体1の上壁11との間のクリアランス、および、スロットケース5の下側壁24と筐体1の下壁12との間のクリアランスも小さいため、空気の流れがスロットケース5の上下外側を通過することも抑止でき、下空間6aの放熱効果が高い。
【0058】
内部発熱部品9は下空間6aに配置されているため、自己熱は下空間6a内でこもりやすく、下空間6aは上空間6bよりも高温になりやすい。第1開口部31および第2開口部32は、この下空間6aに開口し、空気の流れが下空間6a内に形成される。そのため、自己熱を効果的に放出することができる。
また、第1開口部31および第2開口部32が、一対の支持部29,30の外側に形成される。そのため、側壁21,22に開口部31,32を設けても内部発熱部品9の安定支持を阻害することなく、自己熱を放熱するための空気の流れを形成することができる。
【0059】
上記の空気の流れの形成に必要な2つの開口部31,32は、外部発熱部品3で発生した熱をケース内空間6に流入させるおそれがある。そこで、外部発熱部品3に対して右側壁22よりも近い位置にある左側壁21の第1開口部31が、外部発熱部品3から左側壁21よりも遠い位置にある右側壁22の第2開口部32よりも、その開口総面積が小さく形成されている。よって、外部発熱部品3からの受熱を抑制しながら、自己熱を放熱するための空気の流れを形成することができる。
【0060】
左側壁21は、障壁部33を有している。障壁部33は、外部発熱部品3の熱を遮蔽し、外部発熱部品3の熱(破線矢印Hを参照)がケース内空間6に流入することを抑制する。第1開口部31は、障壁部33よりも外部発熱部品3から離れている。よって、受熱抑制効果が高くなり、ケース内部温度の上昇が一層抑制される。
特に、本実施形態では、左から見たときに、アルミ電解コンデンサ59が障壁部33で隠される。よって、アルミ電解コンデンサ59が外部発熱部品3から放射熱を直接的に受けるのを抑止することができ、アルミ電解コンデンサ59を外部熱から保護することができる。
【0061】
外部発熱部品3は、左側壁21から見て右側壁22とは反対側に配置されている。右側壁22には、開口総面積が相対的に大きい第2開口部32が形成されている。この右側壁22が外部発熱部品3からなるべく遠ざけられるので、受熱抑制効果が高くなり、ケース内部温度の上昇が抑制される。
以上のとおり、本実施形態によれば、電子部品を収容するケースの周辺に発熱部品が配置されていても、ケース内の電子部品を熱から保護することができる。スロットケース5に収容される電子部品として、使用可能温度帯の上限値がより低いものを採用可能になるので、ネットワークカード7の設計自由度が高くなる。
【0062】
(変形例)
これまで実施形態について説明したが、上記構成は一例であり、本発明の範囲内で適宜変更、追加または削除可能である。
【0063】
(A)第2開口部32が4つの開口32aで構成されるとしたが、要求される強度に応じて、開口の個数(および隣接する開口間の壁部分の個数)は増減してもよい。
図9は変形例に係るケースユニット4Aを示す。スロットケース5Aの右側壁22の第2開口部32Aが、前後方向に長尺の単一の長孔32Aaによって構成されていてもよい。
【0064】
(B)第1開口部31が左側壁21に設けられ、第2開口部32が右側壁22に設けられ、スロットケース5が内部空間2の後右隅部に配置されるとしたが、これは単なる一例である。
第1開口部31および第2開口部32を左右いずれの側壁21,22に設けられるのかについては、内部空間2内の外部発熱部品3との位置関係に応じて適宜変更可能である。
【0065】
(C)第1開口部31および第2開口部32が支持部29,30の下外側に形成されて下空間6aに開放され、内部発熱部品9がケース内空間6の下空間6a内に配置されるとしたが、これは単なる一例である。
第1開口部31および第2開口部32が上下どちらに形成されるのかについては、内部発熱部品9の配置に応じて適宜変更可能である。
【0066】
(D)第1開口部31および第2開口部32が、対向配置された一対の側壁21,22に設けられるとしたが、直交する側壁に設けられていてもよい。また、3以上の側壁に開口部が設けられていてもよい。
【0067】
(E)内部発熱部品9がスロットケース5に対して着脱可能に装着されるとしたが、スロットケース5に対して固定的に装着されていてもよい。
【0068】
(F)上記実施形態では、着脱可能に装着されるネットワークカード7を着脱可能に装着可能なUPS装置100を例示したが、本発明は、その他の電子機器にも適用可能である。
【符号の説明】
【0069】
1 筐体(装置本体の一例)
2 内部空間
3 外部発熱部品
4,4A ケースユニット(電子部品ケースユニットの一例)
5,5A スロットケース(電子部品ケースの一例)
6 ケース内空間
6a 下空間(第1空間の一例)
6b 上空間(第2空間の一例)
7 ネットワークカード
8 基板
8a 下面(第1面の一例)
8b 上面(第2面の一例)
9 内部発熱部品
11~16 (筐体1の)壁
18 貫通孔
21 左側壁(第1側壁の一例)
22 右側壁(第2側壁の一例)
23 上側壁(複数の側壁の一例)
24 下側壁(複数の側壁の一例)
29,30 支持部
31 第1開口部
32,32A 第2開口部
33 障壁部
34 コネクタ嵌合部
42 コネクタ
10 UPS本体(電子機器本体の一例)
100 UPS装置(電子機器ユニットの一例)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9