(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149392
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】ブックメーカシステム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/34 20120101AFI20220929BHJP
G06Q 10/00 20120101ALI20220929BHJP
【FI】
G06Q50/34
G06Q10/00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021051523
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】598098526
【氏名又は名称】株式会社ユニバーサルエンターテインメント
(74)【代理人】
【識別番号】110001531
【氏名又は名称】特許業務法人タス・マイスター
(72)【発明者】
【氏名】富士本 淳
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC15
5L049CC54
(57)【要約】
【課題】システムの継続的な運用を確保しつつ、メンテナンスの報告義務を順守し得るブックメーカシステムを提供する。
【解決手段】時間経過によりオッズが変化するイベントに対して、任意のタイミングでユーザ端末を介してベット可能なブックメーカシステムであって、前記ブックメーカシステムの少なくとも一部の機能を担うサーバと、前記サーバに関連する保守対象の識別子に関連付けて保守内容及び保守日時を含む保守履歴情報と、保守タイミングを表す保守タイミング情報とを記憶する履歴記憶部と、前記保守タイミング情報に基づいて、保守実行アラートを出力するアラート出力部と、出力された前記保守実行アラートに関連する前記保守履歴情報が前記履歴記憶部に記憶されたことに応じて、保守実行結果を含む情報を生成して格納する実行結果生成部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
時間経過によりオッズが変化するイベントに対して、任意のタイミングでユーザ端末を介してベット可能なブックメーカシステムであって、
前記ブックメーカシステムの少なくとも一部の機能を担うサーバと、
前記サーバに関連する保守対象の識別子に関連付けて保守内容及び保守日時を含む保守履歴情報と、保守タイミングを表す保守タイミング情報とを記憶する履歴記憶部と、
前記保守タイミング情報に基づいて、保守実行アラートを出力するアラート出力部と、
出力された前記保守実行アラートに関連する前記保守履歴情報が前記履歴記憶部に記憶されたことに応じて、保守実行結果を含む情報を生成して格納する実行結果生成部と
を備えることを特徴とするブックメーカシステム。
【請求項2】
前記アラート出力部は、
前記イベントのベット可能期間中は前記保守実行アラートの出力を中止する
ことを特徴とする請求項1に記載のブックメーカシステム。
【請求項3】
前記イベントのベット履歴を記憶するベット記憶部と、
前記イベントのベット可能期間中に前記保守が実行される場合、前記ベット履歴を前記ベット記憶部に代えて記憶する代替記憶部を備える
ことを特徴とする請求項1に記載のブックメーカシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブックメーカシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、スマートフォンやデスクトップマシン等の端末を利用して、ブックメーカがオッズを設定したスポーツや選挙等のイベントに資金をベットするための技術が開示されている。
例えば、特許文献1のブックメーカシステムには、イベントの進行状況に応じて各ベット対象のオッズを変動させることで、イベント開始前だけでなくイベントの実施中においてもベットを行うことを可能とした構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開番号WO2011/007462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようにイベントの実施中においてもベットを行うことを可能としたシステムでは、そのベット対象となるイベントの内容によっては、イベントの結果がでるまでに、例えば、数か月に及ぶ長期間を要するものある。このようなイベントに対してもイベントの実施中いつでもベットを可能とするためには、保守点検等のメンテナンスであっても不用意にシステムを止めることはできない。
しかしながら、係るシステムでは、システムを構成するサーバ等のメンテナンスを行い、当該メンテナンスの結果を報告する義務を順守する必要もあった。
【0005】
本発明は、以上の点を考慮してなされたものであり、システムの継続的な運用を確保しつつ、メンテナンスの報告義務を順守し得るブックメーカシステムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のブックメーカシステムは、
時間経過によりオッズが変化するイベントに対して、任意のタイミングでユーザ端末を介してベット可能なブックメーカシステムであって、
前記ブックメーカシステムの少なくとも一部の機能を担うサーバと、
前記サーバに関連する保守対象の識別子に関連付けて保守内容及び保守日時を含む保守履歴情報と、保守タイミングを表す保守タイミング情報とを記憶する履歴記憶部と、
前記保守タイミング情報に基づいて、保守実行アラートを出力するアラート出力部と、
出力された前記保守実行アラートに関連する前記保守履歴情報が前記履歴記憶部に記憶されたことに応じて、保守実行結果を含む情報を生成して格納する実行結果生成部と
を備えることを特徴とする。
【0007】
この構成においては、ブックメーカシステムの機能を担うサーバの保守を行うタイミングでアラートを出力することにより、イベントの実施中などを予め回避したタイミングに保守を充てられるため、円滑な保守が可能となり、保守が行われたことに応じて保守実行結果を含む情報を生成して格納するため、メンテナンスの報告義務を円滑に順守することができる。
【0008】
また、本発明のブックメーカシステムは、上記構成において、
前記アラート出力部は、
前記イベントのベット可能期間中は前記保守実行アラートの出力を中止することを特徴とする。
【0009】
この構成においては、イベントのベット可能期間中に保守実行アラートの出力を中止することにより、ベット期間中にメンテナンスのためにイベントを中断させることを防止することができる。これにより、ブックメーカシステムの継続的な運用を確保することができる。
【0010】
また、本発明のブックメーカシステムは、上記構成において、
前記イベントのベット履歴を記憶するベット記憶部と、
前記イベントのベット可能期間中に前記保守が実行される場合、前記ベット履歴を前記ベット記憶部に代えて記憶する代替記憶部を備えることを特徴とする。
【0011】
この構成においては、ベット可能期間中に保守を行う場合、ベット情報を代替記憶部に記憶することにより、ベット動作を含めたイベントの実施を中断することなく、メンテナンスを実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係るブックメーカシステムの全体構成を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るサーバの構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る保守管理の説明に供するブロック図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るアラート出力処理を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の一実施形態に係る保守項目記憶部に記憶される保守履歴及び保守タイミング情報を示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る保守レポート作成・提出処理を示すフローチャートである。
【
図7】本発明の一実施形態に係る保守レポート作成処理の説明に供する図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る代替記憶処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[全体構成]
図1は、ブックメーカシステム1の全体概要図である。ブックメーカシステム1は、ユーザ端末11と、WEBサーバ12と、ユーザ管理サーバ13と、オッズ管理サーバ14と、コンテンツ管理サーバ15と、資金管理サーバ16と、保守管理サーバ17とを有する。ユーザ管理サーバ13、オッズ管理サーバ14、コンテンツ管理サーバ15、資金管理サーバ16は、全体として、ユーザがイベントへのベット(イベントへの参加)を受け付けるサーバとして機能するものであり、各々がブックメーカシステム1の少なくとも一部の機能を担うサーバである。
【0014】
ユーザ端末11は、ブックメーカシステム1が提供する各種の手続きを利用するための装置である。ユーザは、ユーザ端末11により、通信網2を介して、WEBサーバ12へTCP/IP通信により接続することで、ベット、コンテンツ視聴、口座管理、入出金等の各種の手続きを行うことが可能にされている。
【0015】
尚、本実施形態のユーザ端末11は、ディスプレイ1117を有するスマートフォンを例示するが、携帯型および据置型のいずれであってもよい。ディスプレイ1117には、ユーザインターフェースとして、入力装置であるタッチパネル1118が設けられる。携帯型のユーザ端末11としては、ポータブルコンピュータやラップトップコンピュータ、タブレット型パソコン、ハンドヘルド型パソコン、PDA(Personal Data Assistant)、スマートウォッチ等の携帯情報機器が例示される。
【0016】
また、本実施形態のユーザ端末11には、ホテルやカジノ施設等の施設に設置されている端末も含まれる。この場合、ユーザ端末11は、ユーザ端末11が設置された施設が管理するLAN(Local Area Network)に接続されており、当該施設のゲートウェイを経由してWEBサーバ12へ接続する。
【0017】
WEBサーバ12は、受信部1201と、判定部1202と、ベット受付画面送信制御部1203とを有する。WEBサーバ12は、ユーザがユーザ端末11を用いてブックメーカシステム1を利用する際に、ユーザ端末11に表示される各種の画面情報を生成する。また、WEBサーバ12は、ユーザ管理サーバ13、オッズ管理サーバ14、コンテンツ管理サーバ15、及び資金管理サーバ16と連携し、ユーザの画面操作内容に基づいた処理を実行する。ユーザは、WEBサーバ12が生成する画面情報に基づいてユーザ端末11に表示される画面を操作することにより、ベット、コンテンツ視聴、口座管理、入出金等のサービスを利用すること可能となる。
【0018】
尚、本実施形態のWEBサーバ12は、スマートフォン専用のアプリケーションを提供するが、デスクトップマシン専用のアプリケーションを提供してもよい。また、WEBアプリケーションを提供してもよい。
【0019】
受信部1201は、ユーザ識別情報を記憶するユーザ識別情報記憶装置の位置情報を受信する。ユーザ識別情報記憶装置の一例として、ユーザ端末11が挙げられる。ユーザ端末11の位置情報として、ユーザ管理端末11の緯度経度情報やIPアドレス情報が挙げられる。この場合、受信部1201は、ユーザ端末11がWEBサーバ12へ接続する際に送信される電文から、緯度経度情報やIPアドレス等の位置情報を取得する。
【0020】
また、ユーザ識別情報記憶装置として、IC(Integrated Circuit)タグが用いられていてもよい。この場合、ICタグは、ユーザ端末11に備えられていてもよいし、会員カードのような樹脂製のカードに備えられていてもよい。ICタグに記憶されているユーザ識別情報は、RFID(Radio Frequency IDentifier)のテクノロジーに基づき、ICタグから送信される電波をICタグリーダが読み取り、WEBサーバ12へユーザ識別情報及びICタグリーダの識別子を送信することにより、受信部1201は、ユーザ識別情報及びそれに紐づくICタグリーダの識別子、即ち、位置情報を受信する。本実施形態では、ICタグリーダの設置場所の具体例として、ホテルやカジノ施設のベットが許可された所定の区画に入室するためのゲート等が挙げられる。
【0021】
尚、ユーザ端末11は、Bluetooth(登録商標)等の近距離通信回路を用いて、ユーザ識別情報を含んだビーコン信号を送信してもよい。この場合、ビーコン信号を受信した装置がWEBサーバ12へユーザ識別情報及び当該装置の位置情報を送信することにより、受信部1201は、ユーザ識別情報及びそれに紐づく位置情報を受信する。本実施形態では、ビーコン信号を受信し、WEBサーバ12へ連携する装置の具体例として、ホテルやカジノ施設の所定の区画に設置されたゲーミングマシンやベット用端末等が挙げられる。以下の説明において、RFIDや近距離通信回路により受信したユーザ識別情報をWEBサーバ12へ送信する装置を、『ユーザ識別情報送信装置』と称することがある。
【0022】
判定部1202は、WEBサーバ12へ接続したユーザ端末11が、ベットが許可された地域から接続しているか否かを判定する。具体的には、WEBサーバ12へ接続しているユーザ端末11のユーザ識別情報がベット許可地域情報に含まれているか否かを判定する。
【0023】
ベット受付画面送信制御部1203は、WEBサーバ12へ接続したユーザ端末11が、ベットが許可された地域から接続していないと判定部1202によって判定された場合、ユーザ端末11へベット内容入力画面情報を送信することを制限する。
【0024】
ユーザ管理サーバ13は、記憶部1301を有する。ユーザ管理サーバ13は、ユーザ情報を管理するユーザテーブルを有し、WEBサーバ12からのユーザアカウントの登録/削除、ユーザ情報の更新、ユーザ認証等の要求に応じて、ユーザテーブルのレコードの追加、削除、更新、参照等の処理を実行する。また、ユーザテーブルは、RFID又は近距離通信によりユーザ識別情報を送信したユーザ識別情報送信装置の識別子を記憶する。
【0025】
記憶部1301は、ブックメーカシステム1を利用したベットが許可されている地域に関する情報を記憶する。地域に関する情報の具体例として、ホテルやカジノ施設のベットが許可された区画に設置されたICタグリーダやゲーミングマシン、ベット端末等のユーザ識別情報送信装置の識別子、ベットが許可された区画に設置された無線ブロードバンドルータを経由してWEBサーバ12へ送信される電文に含まれる送信元IPアドレス、及びベットが許可された国名等が挙げられる。記憶部1301は、後述するベット許可地域テーブルとして構成される。
【0026】
オッズ管理サーバ14は、ブックメーカシステム1でベット可能なイベント、及びそのイベントの結果等のイベント情報を管理する。また、オッズ管理サーバ14は、イベントで起こり得る結果、及びその結果が成立した場合に適用されるオッズ等のオッズ情報を管理する。オッズは、ベット状況及びイベント状況に応じてリアルタイムに変動する。オッズ管理サーバ14は、WEBサーバ12及び資金管理サーバ16からの要求に応じて、イベント情報及びオッズ情報を送信する。尚、オッズ管理サーバ14は、イベントテーブル及びオッズテーブルを有し、イベント情報及びオッズ情報は、それぞれイベントテーブル及びオッズテーブルにおいて管理される。
【0027】
ここで、ベット可能なイベントには、サッカーやテニス等のスポーツ以外にも、チェスや選挙等のイベントも含まれる。イベントとしては、サッカーやテニス等の比較的短時間に決着するイベントの他に、例えば大統領選等、結果が得られるまで長期間にわたるものもある。また、誕生予定の王子の子供の性別等の、勝敗を伴わないイベントも、ベット可能なイベントに含まれてもよい。
【0028】
尚、本実施形態のブックメーカシステム1は、開始前のイベントだけでなく、進行中のイベントにベットすることも可能である。この場合、オッズ管理サーバ14は、開始前のイベントに付与されるオッズ情報に加え、進行中のイベントに付与されるオッズ情報を管理する。
【0029】
コンテンツ管理サーバ15は、コントローラ151と、コンテンツ記憶部153とを有する。コントローラ151は、コンテンツ配信事業者3から配信されるコンテンツを受信し、コンテンツごと(コンテンツA、コンテンツB、…)にコンテンツ記憶部153に記憶すると共に、各種変換処理を施した後、WEBサーバ12へ送信する。コンテンツは、ライブストリーミング形式またはビデオ・オン・デマンド形式により、WEBサーバ12へ送信される。コンテンツの具体例としては、サッカーの中継映像や大統領選挙の投票状況等が挙げられる。WEBサーバ12がコンテンツ管理サーバ15と連携することで、ユーザは、ユーザ端末11でコンテンツを視聴することが可能となる。
【0030】
資金管理サーバ16は、コントローラ161と、ベット記憶部162と、資金記憶部163とを有する。コントローラ161は、WEBサーバ12、ユーザ管理サーバ13、及びオッズ管理サーバ14等と連携し、各種の演算処理を行い、演算処理の結果に基づき、ベット記憶部162及び資金記憶部163の状態を更新する。
【0031】
ベット記憶部162は、ユーザがイベントにベットした内容に関する情報を記憶する。ベット記憶部162は、ベット内容テーブルにより構成される。
【0032】
資金記憶部163は、ユーザがイベントにベットするための資金に関する情報を記憶する。資金記憶部163は、ユーザがイベントにベットするための資金に関する情報を、通貨種別単位で記憶する。即ち、ユーザがブックメーカシステム1に登録する口座情報を、通貨種別毎に管理する。通貨種別には、日本円や米国ドル等の法定通貨、及び仮想通貨が含まれる。以下の説明において、ブックメーカシステム1で管理される口座情報を、『ベット口座』と称することがある。資金記憶部163は、ベット口座テーブルにより構成される。
【0033】
資金管理サーバ16は、金融機関41、カード決済事業者42、仮想通貨取引事業者43、及び電子財布事業者44のシステムと通信網2を介して連携し、ベット口座への入出金処理を実行する。本実施形態において、金融機関41とは、実口座を有し、現金の入出金、振込、振替、外貨の売買等の手続きを行うことが可能な機関、及び、実口座を有さず、仮想口座を有し、振込、振替、及び外貨の売買等の手続きを行うことが可能な機関(所謂、ネット銀行)を指す。ブックメーカシステム1と連携する金融機関41のシステムは、アプリケーションユーザインターフェース(API)を有し、資金管理サーバ16は、このAPIに対して制御信号を送信することで、金融機関41の口座からベット口座への入金処理、及びベット口座から金融機関41の口座への出金処理を実行する。以下の説明において、金融機関41、仮想通貨取引事業者43、及び電子財布事業者44をペイメント事業者と称することがある。
【0034】
本実施形態において、カード決済事業者42とは、クレジットカードの利用者が所定の期間に利用した金額を、クレジットカード番号に紐づけられた金融機関41の口座から引き落とすことが可能な事業者を指す。ブックメーカシステム1と連携するクレジットカード事業者のシステムは、APIを有し、資金管理サーバ16は、このAPIに対して制御信号を送信することで、ベット口座への入金処理を実行する。
【0035】
本実施形態において、仮想通貨取引事業者43とは、仮想口座を有し、仮想通貨の売買、振込、振替等の手続きを行うことが可能な事業者を指す。仮想通貨の購入は、クレジットカード又は他口座からの振替によって行われ、仮想通貨の売却は、売却により得られた通貨を他口座へ入金することによって行われる。尚、金融機関41が仮想通貨事業者を兼ねることもある。ブックメーカシステム1と連携する仮想通貨取引事業者43のシステムは、APIを有し、資金管理サーバ16は、このAPIに対して制御信号を送信することで、仮想通貨取引事業者43の口座からベット口座への入金処理、ベット口座から仮想通貨取引事業者43の口座への出金処理を実行する。
【0036】
本実施形態において、電子財布事業者44とは、仮想口座を有し、法定通貨及び仮想通貨の売買、振込、振替等の手続きを行うことが可能な事業者を指す。法定通貨及び仮想通貨の購入は、クレジットカード又は他口座からの振替によって行われ、法定通貨及び仮想通貨の売却は、売却した通貨を他口座へ入金することによって行われる。ブックメーカシステム1と連携する電子財布事業者44のシステムは、APIを有し、資金管理サーバ16は、このAPIに対して制御信号を送信することで、電子財布事業者44の口座からベット口座への入金処理、ベット口座から電子財布事業者44の口座への出金処理を実行する。
【0037】
また、資金管理サーバ16は、為替情報提供事業者5のシステムと通信網2を介して連携することで、通貨種別が異なる口座間の資金の移動を可能としている。具体的に、資金管理サーバ16は、ペイメント事業者の口座から通貨種別が異なるベット口座へ入金すること、及びベット金額の払戻金をベット金額とは異なる通貨種別のベット口座へ入金することを可能としている。通貨種別が異なる口座間の資金の移動の際、資金管理サーバ16は、為替報提供事業者5のシステムに為替レートを問い合わせ、為替情報提供事業者5のシステムから取得した為替レートに基づいて、為替換算処理を実行する。
【0038】
尚、本実施形態の通信網2はインターネット回線を例示するが、通信する装置や情報の特性に応じて、他の通信網2を選択してもよい。例えば、コンテンツ配信事業者3及びブックメーカシステム1間の通信網2は、CATV(Common Antenna Televsion)網や衛星通信網であってもよいし、金融機関41及びブックメーカシステム1間の通信網2は、閉域網である銀行間ネットワークシステムであってもよい。また、通信網2や通信する情報の特性に応じて、TLS(Transport Layer Security)等を利用した暗号化処理が、通信する情報に施されている。
【0039】
以下の説明において、WEBサーバ12、ユーザ管理サーバ13、オッズ管理サーバ14、コンテンツ管理サーバ15、及び資金管理サーバ16を『ブックサーバ』と称することがある。
【0040】
保守管理サーバ17は、コントローラ171と、サーバごとの保守項目記憶部173とを有する。コントローラ171は、サーバごとに設けられた保守項目記憶部173に、保守項目(内容)、保守履歴(過去の保守日時)、次回保守期限及び次回保守期限前に発するアラートの出力タイミング情報(例えば、保守期限前1か月、等)を記憶する。コントローラ171は、アラート出力のタイミングになると、表示装置に当該サーバ名、保守項目、保守期限を表示する。該当項目の保守が実行されると、履歴情報として保守項目記憶部173に記憶すると共に、次回保守期限及びアラート出力タイミング情報を更新する。また、コントローラ171は、各サーバの保守レポートを所定期間ごとに作成して保守項目記憶部173に格納し、レポート提出タイミングになると、これを通信網2を介して、保守管理事業者7へ送信(提出)する。
【0041】
図2は、ブックメーカシステムの各サーバ12~17の具体的な構成を示すブロック図である。各サーバは、CPU1601、ROM1602、RAM1603、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ等の記憶装置1604、表示装置1605、バスライン1607、ネットワークI/F1608を備える所謂コンピュータである。
【0042】
図3に示すように、保守管理サーバ17は、ブックメーカシステム1の各サーバ(WEBサーバ12、ユーザ管理サーバ13、オッズ管理サーバ14、コンテンツ管理サーバ15及び資産管理サーバ16)との間で通信を行うことにより、各サーバの保守項目についてオンラインで保守点検を行う。なお、保守点検については、保守点検作業者が各サーバに対して手作業で行う場合もあり、この場合には、保守点検作業者が保守管理サーバ17に保守点検結果を入力することになる。
【0043】
保守管理サーバ17は、取得した保守点検結果を各々のサーバに対応付けて点検日時と共に記憶し、保守点検期限が迫る項目については、当該保守管理サーバ17の表示装置にアラートを表示することにより、保守点検を促す。保守点検期限が迫っている保守点検項目について保守点検が行われると、アラートの表示を停止し、点検済の情報を用いて、保守点検レポートを作成して記憶部に格納する。
【0044】
図4は、保守管理サーバ17におけるアラート処理を示すフローチャートである。保守管理サーバ17のコントローラ171は、各サーバの保守(点検)項目記憶部173に格納されている各保守点検項目の前回点検日時(点検結果の記録日時)と、各保守点検項目ごとに設定された保守点検タイミングとに基づいて、アラート表示タイミングを判断する(S101)。保守点検タイミングとは、ブックメーカシステム1の各サーバに対して設定された保守点検を行うタイミングを表す情報であり、本実施形態では、少なくとも1年に2回、実施することとしている。従って、保守管理サーバ17では、予め、各サーバの各保守点検項目に対して、1年に2回の実施タイミングを設定している。
【0045】
コントローラ171は、この実施タイミングの設定情報に基づいて、各保守点検項目の保守点検実施期限を把握し、当該期限の所定期間前(例えば1か月前)から、表示装置にアラート表示を行って、保守点検を促すようになっている。
【0046】
コントローラ171は、処理ステップS101においてアラート表示タイミングを判定し、計時手段(図示せず)から得られた現在日時とアラート表示タイミングとを比較して、アラート表示を行うタイミングであるか否かを判断する(S102)。
【0047】
アラート表示タイミングでないと判断すると、コントローラ171は、上述の処理ステップS101へ処理を移して、同様の処理を繰り返す。これに対して、アラート表示タイミングであると判断すると、コントローラ171は、処理ステップS102において肯定結果を得ることにより、処理ステップS103へ処理を移して、ベット可能判定を行う。ベット可能判定とは、このときの保守点検項目であるサーバがブックメーカシステム1の運用上、プレーヤのベットを受け付けることができるタイミングであるか否かを判定することを意味する。具体的には、コンテンツ管理サーバ15の各コンテンツ記憶部153に記憶されたコンテンツAがサッカーの勝敗に対するベットを行うものであり、コンテンツBが野球の勝敗に対するベットを行うものであるとすると、コンテンツAについては、サッカーの試合前所定時間からサッカー終了までベットを行うことができる期間であり、コンテンツBについては、野球の試合前所定時間から終了までベットを行うことができる期間となる。各々の試合の日時は異なるため、ベット可能期間も異なることになる。プレーヤがこれらのベット可能期間にベットを行うことを可能とするためには、ベット可能期間に当該サーバやそのコンテンツに係る構成の動作を止めることができず、保守点検を行うことができない。そこで、本実施形態では、コンテンツがベット可能となっている間を把握し、この間にはアラート表示を中止しなければならない。
【0048】
コントローラ171は、処理ステップS103においてコンテンツ管理サーバ15の各コンテンツ記憶部153に記憶されているコンテンツのスケジュールに基づいて、ベット可能期間を把握し、続く処理ステップS104において、計時部(図示せず)から取得した現在日時がベット可能期間であるか否かを判断する。
【0049】
処理ステップ104において、ベット可能であると判断すると、コントローラ171は、処理ステップS104において肯定結果を得ることにより、処理ステップS105へ処理を移して、該当するサーバ及び保守点検項目のアラート表示を中止する。これにより、アラート表示によって保守点検が促されることはなくなり、保守点検することを回避すべきタイミングにおいて保守点検を促すことを避けることができる。
なお、アラート表示を単に中止するだけでなく、アラート禁止表示としてもよい。
【0050】
一方、処理ステップS104において、ベット可能ではないと判断すると、コントローラ171は、処理ステップS104からS106へ処理を移して、アラート表示を行うと共に、続く処理ステップS107において保守内容・日時の記録をチェックする。具体的には、アラート表示されたサーバ、保守点検項目についての保守点検結果及び点検済日時が保守管理サーバ17の該当する保守項目記憶部173に新たに記憶されたか否かを判断する。そして、新たな保守点検済情報が記憶されていない場合、コントローラ171は、処理ステップS108において否定結果を得ることにより、上述の処理ステップS107、S108を繰り返す。
【0051】
これに対して、新たな保守点検済情報が記憶されている場合、このことは、保守点検が実施されことを意味しており、コントローラ171は、処理ステップS108において肯定結果を得ることにより、処理ステップS108からS109へ処理を移して、該当するサーバ、保守点検項目のアラート表示を中止する。そして、処理ステップS110において、保守レポートを作成、格納、提出に係る処理を実行する。詳細は後述する。
【0052】
このようにして、保守管理サーバ17では、各サーバ及びその保守点検項目について、保守項目記憶部173に点検が実施された項目ごとに点検実施結果(点検日時、内容等)を記憶して行くと共に、点検日時に基づいて、次回点検日時(点検期限)を格納する。例えば、
図5は、WEBサーバ12について、保守管理サーバ17の保守項目記憶部173に記憶された点検履歴及び次回点検期限を表す情報DA1を示すものであり、識別子「1111」によって特定されるWEBサーバ12の点検内容aについて、2018年11月1日、15時に点検が行われたこと、及びその点検履歴に基づいて、次回の点検期限が2019年5月1日であることが記憶されている。また、その後の点検履歴が2019年4月12日、9時であり、さらにその後の次回点検期限が2019年11月1日であることが格納されている。
【0053】
このようにして、保守点検サーバ17では、各点検項目について点検履歴及び次回点検期限が格納されていく。
【0054】
そして、保守管理サーバ17は、決められた期間ごとに、これらの点検実績を保守レポートして作成して保守点検管理者7(
図1)へ提出(送信)する。
【0055】
図6は、保守点検サーバ17において保守レポートを作成、提出する処理手順を示すフローチャートである。
保守管理サーバ17のコントローラ171は、計時手段から得られる現在日時と、予め設定されているレポート提出タイミング(例えば、次回保守期限がレポート提出期限として設定される)とを比較することにより、現在日時がレポート提出タイミングであるか否かを判断する(S201)。なお、レポート提出期限は、保守期限の後所定期間(例えば1週間)であってもよい)。
【0056】
レポート提出タイミングであると判断すると、コントローラ171は、処理ステップS201において肯定結果を得ることにより、処理ステップS202へ処理を移して、保守管理サーバ17の各保守項目記憶部173に格納されている点検履歴(点検日時、点検結果)を参照することにより、レポート提出に必要な情報がすべて格納されているか否かを判断する。必要な情報とは、例えば、WEBサーバ12に関する保守レポートであれば、WEBサーバ12に関する点検内容a、b、…及びWEBサーバ12の保守点検部品A、B、…についてすべての点検履歴(点検日時、点検内容)であり、これらの最新の情報(すなわち、レポート提出タイミングにおける最新の情報)が揃っていることが必要となる。最新とは、例えば、今回の保守点検を行う期間(例えば保守点検期限前1か月から保守点検期限までの間)に行われた保守点検履歴の情報(
図5に示した各点検項目についての保守履歴)を意味する。
【0057】
コントローラ171は、これらの情報がすべて格納されているか否かを判断し(S203)、すべて格納されていない場合、このことは、保守期限(レポート提出期限)まで所定期間内であるにも関わらず、保守結果がすべて揃っていないことを意味しており、未だレポート提出に必要な点検結果が揃っていないことをアラート表示する(S204)。
【0058】
これに対して、すべての保守結果が格納されている場合、コントローラ171は、処理ステップS203において肯定結果を得ることにより、処理ステップS205へ処理を移して、該当する保守結果をまとめて保守レポートを通信網2を介して、保守管理者7へ送信(提出)する。そして、コントローラ171は、レポート提出日を保守項目記憶部173に格納して次のレポート提出タイミングを待つ(S201)。
【0059】
このようにして、保守管理サーバ17は、各保守項目について、アラート処理(
図4)及び保守レポート作成・提出処理(
図6)を実行することにより、例えば
図7に示すように、保守項目1について、アラート表示(S301)を行った後、保守を行うことでアラート表示がオフとなり(S302)、保守結果が保守項目記憶部173に格納される(S303)。また、保守項目2について、アラート表示(S311)を行った後、保守を行うことでアラート表示がオフとなり(S312)、保守結果が保守項目記憶部173に格納される(S313)。この場合、保守項目1、2について保守を行うタイミングが異なっていても、コントローラ171は、すべての保守結果が格納されたことを判断した後に(S401),これらをまとめて保守レポートを作成、格納及び提出することができる。
【0060】
なお、上述の実施形態においては、コンテンツによってはベット可能期間等、サーバの動作を止めて保守を行うことができない間はアラート表示を中止する場合について述べたが、これに代えて、保守期間にはベットに係るサーバ(コンテンツ管理サーバ15等)と同様構成のサーバを用意し、当該代替サーバに切り替えてベット処理等を行うようにしてもよい。
【0061】
具体的には、
図8に示すように、保守管理サーバ17のコントローラ171は、は、保守対象となるイベントのベット可能期間でるか否かを判断し(S501)、ベット可能であると判断されると(S501:YES)、処理ステップS502へ処理を移して、保守が開始されるか否かを判断する。この判断は、オンラインで保守を行う場合は、保守実施情報の送受信結果に基づいて保守が開始されたことを判定し、作業者による手作業の保守が行われた場合は、当該作業者の保守開始に伴う情報入力操作に基づいて、保守の実施が開始されることを判断することができる。また、保守の開始の判断に代えて、保守期限の前所定期間を保守実施期間として把握するようにしてもよい。
【0062】
保守が開始されるものと判断されると、コントローラ171は、処理ステップS502から処理ステップS503へ処理を移して、その後にベットされた内容(ベット情報)を代替サーバへ記憶する。これにより、保守対象サーバへ記憶されるべきベット情報を、代替サーバへ一時的に記憶することができるため、コンテンツを中断することなく、保守点検を実施することができる。
【0063】
そして、コントローラ171は、処理ステップS504において、保守が終了したか否かを判断し、保守が終了するまで、当該処理ステップS503、S504を繰り返す。保守が終了すると、コントローラ171は、処理ステップS505へ処理を移して、ベット可能状態であるか否かを判断し、ベット可能状態の間は当該処理ステップS505を繰り返す。
【0064】
ベット可能状態でないと判断されると、このことは、イベントが終了した場合等、ベット情報を代替サーバから本体記憶すべきベット記憶部162(資金管理サーバ16)へコピーすることができることを意味しており、コントローラ171は、代替サーバに記憶したベット情報を、ベット記憶部162へコピーする。これにより、コンテンツの実施期間中(すなわちベット可能期間中)においても、コンテンツを中断することなく、保守点検を実施することができる。
【0065】
以上、本発明の実施形態を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、各手段等の具体的構成は、適宜設計変更可能である。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
例えば、上述の実施形態においては、本発明を、現実に行われるスポーツ等を対象としたブックメーカシステム1に適用する場合について述べたが、これに限られず、例えば、仮想的に製作されたスポーツ等のイベントをビデオデータとしてストリーミングしつつベットを行うブックメーカシステムにおいても適用することができる。
【0066】
また、上述した詳細な説明では、本発明をより容易に理解できるように、特徴的部分を中心に説明した。本発明は、上述した詳細な説明に記載する実施形態に限定されず、その他の実施形態にも適用することができ、その適用範囲は多様である。また、本明細書において用いた用語および語法は、本発明を的確に説明するために用いたものであり、本発明の解釈を制限するために用いたものではない。また、当業者であれば、本明細書に記載された発明の概念から、本発明の概念に含まれる他の構成、システム、方法等を推考することは容易であると思われる。したがって、請求の範囲の記載は、本発明の技術的思想の範囲を逸脱しない範囲で均等な構成を含むものであるとみなされなければならない。また、要約書の目的は、特許庁および一般的公共機関や、特許、法律用語又は専門用語に精通していない本技術分野に属する技術者等が本出願の技術的な内容およびその本質を簡易な調査で速やかに判定し得るようにするものである。したがって、要約書は、請求の範囲の記載により評価されるべき発明の範囲を限定することを意図したものではない。また、本発明の目的および本発明の特有の効果を十分に理解するために、すでに開示されている文献等を充分に参酌して解釈されることが望まれる。
【0067】
上述した詳細な説明は、コンピュータで実行される処理を含むものである。以上での説明および表現は、当業者が最も効率的に理解することを目的として記載している。本明細書では、1の結果を導き出すために用いられる各ステップは、自己矛盾がない処理として理解されるべきである。また、各ステップでは、電気的又は磁気的な信号の送受信、記憶等が行われる。各ステップにおける処理では、このような信号を、ビット、値、シンボル、文字、用語、数字等で表現しているが、これらは単に説明上便利であるために用いたものであることに留意する必要がある。また、各ステップにおける処理は、人間の行動と共通する表現で記載される場合があるが、本明細書で説明する処理は、原則的に各種の装置により実行されるものである。また、各ステップを行うために要求されるその他の構成は、以上の説明から自明になるものである。
【符号の説明】
【0068】
1 ブックメーカシステム
2 通信網
7 保守管理者
11 ユーザ端末
12 WEBサーバ
13 ユーザ管理サーバ
14 オッズ管理サーバ
15 コンテンツ管理サーバ
16 資金管理サーバ
17 保守管理サーバ