(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022014941
(43)【公開日】2022-01-21
(54)【発明の名称】把手掴み具
(51)【国際特許分類】
E05B 1/00 20060101AFI20220114BHJP
【FI】
E05B1/00 311N
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020117467
(22)【出願日】2020-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】516280842
【氏名又は名称】株式会社大和化学工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(72)【発明者】
【氏名】大谷 正樹
(57)【要約】
【課題】何時でも何処でも片手で簡便かつ安全にドアの把手を掴んで操作することのできる把手掴み具を提供すること。
【解決手段】この把手掴み具1は、ドアノブを収容可能な袋体3として形成された把手収容体2と、一対の帯状のバネ鋼板10の両端部が一対の蝶番で連結されていて把手収容体2の一端開口6に取り付けられる口金材9とを備えて成り、口金材9は、外力が付与されない状態で一対のバネ鋼板10が近接して把手収容体2の一端開口6を閉止し、一対の蝶番を近づける向きの外力が付与されると一対のバネ鋼板10が離間して把手収容体2の一端開口6を開くように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアの把手を収容可能な少なくとも筒状に形成された把手収容体と、一対の帯状のバネ鋼板の両端部が一対の蝶番で連結されていて前記把手収容体の一端開口に取り付けられる口金材と、を備えて成り、前記口金材は、外力が付与されない状態で前記一対のバネ鋼板が近接して前記把手収容体の一端開口を閉止し、前記一対の蝶番を近づける向きの外力が付与されると前記一対のバネ鋼板が離間して前記把手収容体の一端開口を開くように構成されていることを特徴とする把手掴み具。
【請求項2】
前記把手収容体が、当該他端部を閉じられた袋体に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の把手掴み具。
【請求項3】
前記袋状の把手収容体が、前記ドアの把手を収容していない状態で前記口金材により前記一端開口が閉止されたときに前記袋体内が気密状となるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の把手掴み具。
【請求項4】
前記把手収容体の内面に、滑り止め材が配されていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の把手掴み具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新型コロナウイルスなどに対して安全にドアの把手を操作することのできる把手掴み具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の把手掴み具としては、例えば下記の特許文献1に記載されたものが知られている。この文献記載の把手掴み具は、薄手ビニール製のカバーシートを複数重ねた積重物をドアノブやドアレバーなどのドア把手に被せて置き、ドア把手の根元に留め具で取り付けたものである。使用に際しては、最上層のカバーシートの上からドア把手をつかんでドアを開閉し、用済み後は最上層のカバーシートをミシン目で切り取ってゴミ箱に捨てるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の把手掴み具は、複数シートを重ねた積重物を全てのドア把手に個々に取り付けなければならないし、全てのカバーシートを使い切ってしまった後は取替えを待たなければならない。そうは言っても、家庭や職場の全てのドア把手に積重物を備えることは、コストの面や取替えの手間の面で現実的でない。
【0005】
また、上記の把手掴み具において、使用後はカバーシートをミシン目で切り取る動作が必要であり、カバーシートを裏返すときは両手で行なわなければならない。使用後のカバーシートはゴミ箱に貯めておかれるので、用済みカバーシートの処分やゴミ箱の清浄保守が厄介である。更には、複数重ねたカバーシートを介してドア把手を掴むので、カバーシートが滑ってドア把手をうまく回せないことがある。
【0006】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたものであって、何時でも何処でも片手で簡便かつ安全にドア把手を掴んで操作することのできる把手掴み具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る把手掴み具は、ドアの把手を収容可能な少なくとも筒状に形成された把手収容体と、一対の帯状のバネ鋼板の両端部が一対の蝶番で連結されていて把手収容体の一端開口に取り付けられる口金材と、を備えて成り、口金材は、外力が付与されない状態で一対のバネ鋼板が近接して把手収容体の一端開口を閉止し、一対の蝶番を近づける向きの外力が付与されると一対のバネ鋼板が離間して把手収容体の一端開口を開くように構成されていることを特徴とする構成にしてある。
【0008】
また、前記構成において、把手収容体が、当該他端部を閉じられた袋体に形成されていることを特徴とするものである。
【0009】
そして、請求項2の構成において、袋状の把手収容体が、ドアの把手を収容していない状態で口金材により一端開口が閉止されたときに袋体内が気密状となるように構成されているものである。
【0010】
更に、前記した各構成において、把手収容体の内面に、滑り止め材が配されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る把手掴み具によれば、外力が付与されない状態では把手収容体の一端開口が閉止されているが、一対の蝶番を片手で掴んでそれらを近づける向きの力を付与すると把手収容体の一端開口が開く。従って、把手収容体の開口の開閉、ドア把手の掴持およびドア開閉操作を行なううえで、これら一連の操作を両手でなく片手で簡単に行なうことができる。しかも、かかる操作は、この把手掴み具を持参するだけで、家庭、職場あるいは出先といった随所かつ随時に行なえるので簡便であり費用もかからない。また、ドア把手およびそれに付着していたウイルスなどは把手収容体内に閉じ込められるから、衛生的で安全である。因みに、使用後に把手収容体を裏返すといった操作は必要でないので、把手収容体の内面に移着したウイルスが手にうつるおそれもない。因みに、口金に替えて、把手収容体の一端開口にチャックを配備して開閉するようにしたものも考えられるが、開閉に両手が必要になるし、ドア把手の出し入れ時にウイルスがチャックに移着し、延いてはチャックから手にうつるおそれがある。
【0012】
また、把手収容体が当該他端部を閉じられた袋体に形成されているものでは、使用後に把手収容体からドア把手を抜き出して一端開口を閉じると、ドア把手に付着していたウイルスが把手収容体の内面に移着したとしても、そのウイルスは袋体内に閉じ込められたままであるので安全である。因みに、袋体である把手収容体は、他端開口を有する筒状体のように他端開口から把手収容体の内面に触れたりするおそれがない。
【0013】
そして、袋状の把手収容体がドアの把手を収容していない状態で口金材により一端開口が閉止されたときに袋体内が気密状となるように構成されているものでは、ドア把手から把手収容体の内面に移着したウイルスを把手収容体内に確実に閉じ込めておくことができる。
【0014】
更に、把手収容体の内面に、滑り止め材が配されているものでは、一端開口を開いて把手収容体内に収容したドア把手を、滑らせることなく、把手収容体の外側からしっかりと把持することでき、そのままドアを確実に開閉することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る把手掴み具を示す図であって、(a)は平面図、(b)は(a)におけるA-A線矢視端面図、(c)は(b)におけるB-B線矢視端面図である。
【
図3】前記把手掴み具に用いられる口金材を示す図であって、(a)は一対のバネ部材を開いた状態を示す正面図、(b)は(a)におけるC-C線矢視端面図、(c)は(a)におけるD-D線矢視端面図である。
【
図4】前記把手掴み具の一端開口を開いてドアノブに差し込む直前の状態を示す使用態様図である。
【
図5】前記把手掴み具に収容したドアノブをつまんだ状態を示す使用態様図である。
【
図6】前記把手掴み具でつまんだドアノブを回した状態を示す使用態様図である。
【
図7】前記把手掴み具を開いてドアレバーに差し込む直前の状態を示す使用態様図である。
【
図8】本発明の別の実施形態に係る把手掴み具を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、以下に述べる実施形態は本発明を具体化した一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものでない。ここに、
図1は本発明の一実施形態に係る把手掴み具を示す図であって、(a)は平面図、(b)は(a)におけるA-A線矢視端面図、(c)は(b)におけるB-B線矢視端面図、
図2は前記把手掴み具の正面図である。
各図において、この実施形態に係る把手掴み具1は、ドアノブN(把手の例、
図4他参照)を収容可能な大きさの把手収容体2と、把手収容体2の一端開口6に取り付けられる口金材9と、を備えている。
【0017】
前記の把手収容体2は、他端部4が折り返しにより閉じられるとともに両側辺部が縫目12のように縫着されて、内部に収容空間16を有する袋体3として構成されている。把手収容体2を構成するシート材13は、例えば塩化ビニルシートなどの表シート14の内面がゴムフィルムなどの滑り止め層15で被われて積層されている。滑り止め層15は、ドアノブNに対する滑り止め機能と、把手収容体2の気密性向上機能を奏する。尚、滑り止め層15としては、前記のゴムフィルムに替えて、粘着材層でもよいし、縞鋼板パターンなどの凹凸形状でも構わない。一端開口6のシート材13は一端縁5で折り返されて縫目8のように縫着されることにより、一端開口6に沿った袋部7が形成される。そして、把手収容体2の縫目12は接着剤などの塗布により目止めされ、縫い代13A,13Aの合せ面も接着剤で封着されている。これらにより、把手収容体2全体が気密状の構成になる。
【0018】
前記の口金材9は、
図3に示すように、一対のバネ鋼板10,10の両端部が一対の蝶番17,17で連結されたものである。この場合、各蝶番17は、一方のバネ鋼板10に固定ピン19で接続された接続金具18の軸受部20,20と、他方のバネ鋼板10に固定ピン19で接続された接続金具18の軸受部21と、に枢支軸11が差し通されて揺動自在に構成される。そして、一対のバネ鋼板10,10は、長尺帯状に形成されていて、
図3(b)に示すように、互いに閉じた状態で、対向する断面円弧状に形成されている。そのような特徴形状により、バネ鋼板10,10は、外力が付与されない状態で矢印P,P方向のように近接して把手収容体2の一端開口6を閉止し、一対の蝶番17,17を近づける向き(矢印T,T方向)の外力が付与されると矢印H,H方向のように離間して把手収容体2の一端開口6を開くようになっている。前記のバネ鋼板10,10は把手収容体2の袋部7,7内に収容されており、袋部7,7から露出した蝶番17,17は化粧シート24,24で被われている。また、口金材9のバネ鋼板10,10が閉じたとき、一端縁5,5のシート材13,13も密着して一端開口6を封止している。すなわち、この把手収容体2は、ドアノブNを収容していない状態で口金材9により一端開口6が閉止されると袋体3内が気密状になる。
【0019】
上記のように構成された把手掴み具1の作用を次に説明する。先ず、利用者は口金材9の外方に相当する位置の把手収容体2を片手で掴み、
図4に示すように、両方の蝶番17,17を互いに近づける方向(矢印T,T方向)に力を入れる。すると、一対のバネ鋼板10,10が開かれて一端開口6が開放される。そこで、把手収容体2をドアノブNに矢印Sのように被せていく。そして、ドアノブNは一端開口6から収容空間16内に装入される。このとき、一端開口6は十分に広く開いているので、支障なくドアノブNを装入することができる。
【0020】
続いて、利用者は、
図5に示すように、収容空間16内に装入したドアノブNを把手収容体2の外側から掴む。この場合、シート材13の内面には滑り止め層15が存在しているので、ドアノブNに対して把手収容体2が滑らない。従って、利用者は、
図6に示すように、何ら支障なくドアノブNを矢印Rのように回すことができ、簡便にドアを開閉できる。
その後、利用者は、少し力を緩めてドアノブNから把手収容体2を離し、一端開口6を開いた状態のままで把手掴み具1全体を矢印Qのように引き抜く。その後、力を抜くと、バネ鋼板10,10のバネ復元力により、バネ鋼板10,10が近接して一端開口6が封止される。
【0021】
尚、この把手掴み具1は、
図7に示すように、ドアレバーL(把手の別例)に対しても、ドアノブNのときと同様に有用に使用することができる。この場合、把手収容体2はドアレバーLを十分に収容できる長さにしておくと良い。
【0022】
上記したように、この実施形態の把手掴み具1によれば、把手収容体2の一端開口6の開放、ドアノブNへの差込み、ドアノブNの掴持、ドアの開閉(ドアノブN回し)、ドアノブNの手放し、ドアノブNからの抜取りおよび一端開口6の閉止といった一連の操作を、片手で簡単に、費用をかけずに、何時でも何処でも実行することができる。また、ドアノブNおよびそれに付着していた新型コロナウイルスなどは把手収容体2内に閉じ込められるから、ウイルスが手にうつるおそれはなく衛生的で安全である。
また、把手収容体2は袋体3として形成されているので、例えドアノブNに付着していたウイルスが袋体3の内面に移着したとしても、そのウイルスは袋体3内に閉じ込められたままになるので、いっそう安全である。
【0023】
そして、袋状の把手収容体2がドアノブNを収容していない状態で口金材9により一端開口6が閉止されたときに袋体3内が気密状となるように構成されているので、ドアノブNから把手収容体2の内面にウイルスが移着しても把手収容体2内に確実に閉じ込めておくことができる。更に、この把手掴み具1は把手収容体2が薄型に形成されているので、ポケットに携帯できるから便利である。但し、把手収容体2を立体的に形成しても構わない。
【0024】
尚、上記の実施形態では、袋体3である把手収容体2を例示したが、本発明の把手掴み具はそれに限定されるものでない。例えば、
図8に示すような把手掴み具1aも本発明に含まれる。この把手掴み具1aでは、把手収容体2aが、一端開口6と他端開口23を有し、筒内に収容空間16を有する筒体22として構成されている。他端開口23の他端縁25,25は自由端となっている。
この把手掴み具において、一端開口6を開いてドア把手を収容して開閉操作した後に抜き出すことは、既述した把手掴み具1と同様である。但し、把手収容体2aの他端側が他端開口23であるので、他端部の折り返しや縫着を必要としないから、そのぶん製造コストを下げることができる。
【0025】
また、上記した実施形態の把手掴み具1,1aは、把手収容体2,2aの一端縁5から他端部4または他端縁25までの長さを比較的長くして、一端開口6から収容空間16内に入れたドア把手を十分な余裕で収容できるようにしている。しかしながら、収容したドア把手がはみ出して手に触れることがない程度まで、把手収容体のその長さを極力短かくしてもよい。そのような構成であると、ポケットなどに入れて随時携帯するうえで好都合になる。
【0026】
そして、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではない。すなわち、本発明の分野における通常の知識を有する者であれば想到し得る、各種変形、修正を含む、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても、本発明に含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0027】
1,1a 把手掴み具
2,2a 把手収容体
3 袋体
4 他端部
6 一端開口
9 口金材
10 バネ鋼板
13 シート材
15 滑り止め層
17 蝶番
22 筒体
23 他端開口
H 矢印
L ドアレバー
N ドアノブ
P 矢印
T 矢印