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特開2022-149445情報提供装置、歩行者支援プログラム、及び歩行者支援方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149445
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】情報提供装置、歩行者支援プログラム、及び歩行者支援方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20220929BHJP
   G08G 1/005 20060101ALI20220929BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20220929BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20220929BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20220929BHJP
   G16Y 40/10 20200101ALI20220929BHJP
【FI】
G08G1/09 D
G08G1/005
G08G1/16 A
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021051613
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(72)【発明者】
【氏名】近藤 礼子
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181AA21
5H181BB04
5H181BB05
5H181CC04
5H181CC12
5H181DD01
5H181FF05
5H181FF32
5H181FF40
5H181LL01
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL15
5H181MB01
5H181MB11
(57)【要約】
【課題】横断歩道に通信装置を備えた歩行者用信号機が設置されていない場合であっても、歩行者に横断歩道の信号機の交通信号の変化を通知することができる情報提供装置を提供する。
【解決手段】情報取得部231は、車両の位置情報及び速度情報を取得し、歩行者の位置情報を取得する。周囲走行車両特定部232は、車両の位置情報に基づいて、横断歩道の周囲を走行する周囲走行車両を特定する。信号待ち歩行者特定部233は、歩行者の位置情報に基づいて、横断歩道で信号待ちをしている歩行者を特定する。判定部235は、周囲走行車両の位置情報及び速度情報に基づいて車両用信号機の交通信号の変化を判定し、車両用信号機の交通信号の変化に基づいて横断歩道の信号機の交通信号の変化を判定する。送信部236は、信号待ちをしている歩行者が所持する携帯端末に、横断歩道の信号機の交通信号が変化したことを示す通知信号を送信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両から送信される前記車両の位置情報及び速度情報を取得し、歩行者が所持する携帯端末から送信される前記歩行者の位置情報を取得する情報取得部と、
前記車両の位置情報に基づいて、横断歩道の周囲を走行する周囲走行車両を特定する周囲走行車両特定部と、
前記歩行者の位置情報に基づいて、前記横断歩道で信号待ちをしている歩行者を特定する信号待ち歩行者特定部と、
前記周囲走行車両の位置情報及び速度情報に基づいて車両用信号機の交通信号の変化を判定し、前記車両用信号機の交通信号の変化に基づいて前記横断歩道の信号機の交通信号の変化を判定する判定部と、
前記信号待ちをしている歩行者が所持する携帯端末に、前記横断歩道の信号機の交通信号が変化したことを示す通知信号を送信する送信部と
を備える情報提供装置。
【請求項2】
前記情報取得部は、前記周囲走行車両から送信される前記周囲走行車両の周囲を撮像した撮像画像をさらに取得し、
前記撮像画像から、前記周囲走行車両の進行方向の車両用信号機を検出し、検出した前記車両用信号機の表示色を検出する信号機検出部をさらに備え、
前記判定部は、前記周囲走行車両の位置の変化、速度の変化及び前記車両用信号機が表示する表示色に基づいて、前記車両用信号機の交通信号の変化を判定する
請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記情報取得部は、前記周囲走行車両から送信される前記周囲走行車両の方向指示器の情報をさらに取得し、
前記送信部は、前記周囲走行車両が右折又は左折する場合に、前記周囲走行車両に、前記周囲走行車両が右折又は左折する先の横断歩道で信号待ちをしている歩行者に関する情報を送信し、
前記周囲走行車両が右折又は左折する先の横断歩道で信号待ちをしている歩行者が所持するユーザ端末に、前記周囲走行車両が右折又は左折することを注意喚起するための情報を送信する
請求項1又は2に記載の情報提供装置。
【請求項4】
サーバに搭載されているコンピュータに、
車両から送信される前記車両の位置情報及び速度情報を取得するステップと、
歩行者が所持する携帯端末から送信される前記歩行者の位置情報を取得するステップと、
前記車両の位置情報に基づいて、横断歩道の周囲を走行する周囲走行車両を特定するステップと、
前記歩行者の位置情報に基づいて、前記横断歩道で信号待ちをしている歩行者を特定するステップと、
前記周囲走行車両の位置情報及び速度情報に基づいて車両用信号機の交通信号の変化を判定し、前記車両用信号機の交通信号の変化に基づいて前記横断歩道の信号機の交通信号の変化を判定するステップと、
前記信号待ちをしている歩行者が所持する携帯端末に、前記横断歩道の信号機の交通信号が変化したことを示す通知信号を送信するステップとを実行させる歩行者支援プログラム。
【請求項5】
車両から送信される前記車両の位置情報及び速度情報を取得し、
歩行者が所持する携帯端末から送信される前記歩行者の位置情報を取得し、
前記車両の位置情報に基づいて、横断歩道の周囲を走行する周囲走行車両を特定し、
前記歩行者の位置情報に基づいて、前記横断歩道で信号待ちをしている歩行者を特定し、
前記周囲走行車両の位置情報及び速度情報に基づいて車両用信号機の交通信号の変化を判定し、前記車両用信号機の交通信号の変化に基づいて前記横断歩道の信号機の交通信号の変化を判定し、
前記信号待ちをしている歩行者が所持する携帯端末に、前記横断歩道の信号機の交通信号が変化したこと示す通知信号を送信する
歩行者支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供装置、歩行者支援プログラム、及び歩行者支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
歩行中にスマートフォン等の携帯端末を操作する人が増加している。これに伴い、信号待ちをしている際にも携帯端末を操作している人が、信号が青に変わったことに気が付かず、横断歩道の手前で立ち止まっている場合がある。このような場合、他の歩行者の進行が妨げられ、混雑時には立ち止まっている人と対向者又は後方から来る人が衝突する事故が発生するおそれがある。
【0003】
事故を未然に防ぐために、歩行者が所持する携帯端末に横断歩道の信号が変わったことを通知する方法として、日本信号株式会社は次のようなスマートフォン用アプリケーションプログラムを提供している。そのアプリケーションプログラムは、歩行者用信号機からの無線信号により歩行者用信号機の表示色信号を受信し、スマートフォンに歩行者用信号が青になったことを通知する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、既存の技術では、歩行者用信号機からの無線信号により歩行者用信号機の表示色信号を受信し、歩行者の携帯端末に歩行者用信号の変化を通知することができる。
【0005】
しかしながら、既存の技術は、横断歩道に通信装置を備えた歩行者用信号機が設置されている場合にしか適用することができない。
【0006】
本発明は、横断歩道に通信装置を備えた歩行者用信号機が設置されていない場合であっても、歩行者に横断歩道の信号機の交通信号の変化を通知することができる情報提供装置、歩行者支援プログラム、及び歩行者支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、車両から送信される車両の位置情報及び速度情報を取得し、歩行者が所持する携帯端末から送信される歩行者の位置情報を取得する情報取得部と、車両の位置情報に基づいて、横断歩道の周囲を走行する周囲走行車両を特定する周囲走行車両特定部と、歩行者の位置情報に基づいて、横断歩道で信号待ちをしている歩行者を特定する信号待ち歩行者特定部と、周囲走行車両の位置情報及び速度情報に基づいて車両用信号機の交通信号の変化を判定し、車両用信号機の交通信号の変化に基づいて横断歩道の信号機の交通信号の変化を判定する判定部と、信号待ちをしている歩行者が所持する携帯端末に、横断歩道の信号機の交通信号が変化したことを示す通知信号を送信する送信部とを備える情報提供装置を提供する。
【0008】
本発明は、サーバに搭載されているコンピュータに、車両から送信される車両の位置情報及び速度情報を取得するステップと、歩行者が所持する携帯端末から送信される歩行者の位置情報を取得するステップと、車両の位置情報に基づいて、横断歩道の周囲を走行する周囲走行車両を特定するステップと、歩行者の位置情報に基づいて、横断歩道で信号待ちをしている歩行者を特定するステップと、周囲走行車両の位置情報及び速度情報に基づいて車両用信号機の交通信号の変化を判定し、車両用信号機の交通信号の変化に基づいて横断歩道の信号機の交通信号の変化を判定するステップと、信号待ちをしている歩行者が所持する携帯端末に、横断歩道の信号機の交通信号が変化したことを示す通知信号を送信するステップとを実行させる歩行者支援プログラムを提供する。
【0009】
本発明は、車両から送信される車両の位置情報及び速度情報を取得し、歩行者が所持する携帯端末から送信される歩行者の位置情報を取得し、車両の位置情報に基づいて、横断歩道の周囲を走行する周囲走行車両を特定し、歩行者の位置情報に基づいて、横断歩道で信号待ちをしている歩行者を特定し、周囲走行車両の位置情報及び速度情報に基づいて車両用信号機の交通信号の変化を判定し、車両用信号機の交通信号の変化に基づいて横断歩道の信号機の交通信号の変化を判定し、信号待ちをしている歩行者が所持する携帯端末に、横断歩道の信号機の交通信号が変化したことを示す通知信号を送信する歩行者支援方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、横断歩道に通信装置を備えた歩行者用信号機が設置されていない場合であっても、歩行者に横断歩道の信号機の交通信号の変化を通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る情報提供装置を含む情報提供システムの構成例を示す機能ブロック図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る情報提供装置の各機能を説明するための図である。
図3A図3Aは、本発明の一実施形態に係る情報提供装置による横断歩道の信号機の交通信号の判定条件の一例を示す図である。
図3B図3Bは、本発明の一実施形態に係る情報提供装置による横断歩道の信号機の交通信号の判定条件の一例を示す図である。
図3C図3Cは、本発明の一実施形態に係る情報提供装置による横断歩道の信号機の交通信号の判定条件の一例を示す図である。
図3D図3Dは、本発明の一実施形態に係る情報提供装置による交通状況の判定条件の一例を示す図である。
図4図4は、歩車分離式の信号機の例を説明するための図である。
図5図5は、交差点の信号機が歩車分離式の信号機である場合の、横断歩道の信号機の交通信号の判定条件の一例を示す図である。
図6図6は、本発明の一実施形態に係る情報提供装置の一動作例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、一実施形態の情報提供装置、歩行者支援プログラム、及び歩行者支援方法について、添付図面を参照して説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0013】
[情報提供システムの構成例]
図1を参照して、本実施形態に係る情報提供装置を含む情報提供システム10の構成例を説明する。図1に示すように、情報提供システム10は、サーバ20と、車両40と、ユーザ端末60とを主体に構成されている。本実施形態では、情報提供装置は、サーバ20に搭載されるプロセッサ、すなわちCPU(Central Prosessing Unit)23として実装される。
【0014】
サーバ20は、ネットワーク30を介して車両40及びユーザ端末60と通信する。サーバ20は、通信装置21と、記憶装置22と、CPU23と、メモリ(図示せず)とを備え、これらの構成要素が図示しないバスなどを介して電気的に接続されている。サーバ20の設置場所は特に限定されないが、例えばサーバ20は、ユーザ端末60を所持する歩行者を支援するための情報提供サービスを提供する事業者の管理センタに設置される。
【0015】
本実施形態では、サーバ20、車両40、及びユーザ端末60は、無線通信方式によってネットワーク30と接続されている。
【0016】
[サーバ20の構成例]
サーバ20の通信装置21は、ネットワークアダプタなどのハードウェア、各種の通信用ソフトウェア、及びこれらの組み合わせとして実装され、ネットワーク30などを介した有線又は無線の通信を実現できるように構成されている。
【0017】
通信装置21は、ネットワーク30を介して車両40及びユーザ端末60との間で互いに通信する。なお、通信装置21は、例えば、4G/LTEなどのモバイル通信機能を備えたデバイスであってもよいし、無線LAN通信機能を備えたデバイスであってもよい。
【0018】
記憶装置22は、情報提供サービスに必要な各種の情報やデータベースを格納する。記憶装置22は、HDD(Hard Disk Drive)などの記憶媒体である。記憶装置22は、例えば、地図データベース221と、顧客データベース222とを備える。
【0019】
地図データベース221は、地図情報が記憶されているデータベースである。地図情報には、道路の位置情報、交差点及び分岐点の位置情報、車線数、及び横断歩道の有無が含まれる。
【0020】
顧客データベース222は、情報提供サービスのユーザである歩行者のIDなどのアカウント情報等が格納されているデータベースである。アカウント情報には、歩行者の年齢や、障がいの有無などの身体情報が含まれる。IDと身体情報は紐付けられて格納される。
【0021】
CPU23は、ユーザ端末60を所持する歩行者に後述する情報を提供するための処理を実行する。CPU23は、記憶装置22などに記憶されている様々なプログラムをメモリに読み込んで、プログラムに含まれる各種の命令を実行する。メモリは、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などの記憶媒体である。CPU23は、例えば記憶装置22に記憶されている歩行者支援用プログラムを読みこんで実行することにより、ユーザ端末60を所持する歩行者に後述する情報を提供するための各機能を実現する。
【0022】
CPU23は、機能的な構成例として、情報取得部231と、周囲走行車両特定部232と、信号待ち歩行者特定部233と、信号機検出部234と、判定部235と、送信部236とを備える。CPU23の各機能の詳細については、図2図5を参照して後述する。
【0023】
[車両の構成]
車両40は、通信装置41と、車速センサ42と、GPS受信機43と、カメラ44と、通知装置45と、車両ECU(Electronic Control Unit)46とを備える。
【0024】
通信装置41は、通信装置21と同様の構成を備えており、ネットワーク30を介してサーバ20との間で互いに通信する。
【0025】
車速センサ42は、車両40の走行速度を検出する。車速センサ42は、例えば車輪と共に回転し円周に突起部(ギヤパルサ)が形成されたセンサロータと、このセンサロータの突起部に対向して設けられたピックアップコイルを有する検出回路とを備える。車速センサ42によって検出された車両40の速度情報は、任意のタイミングでサーバ20に送信される。
【0026】
GPS受信機43によって取得された車両40の位置情報は、任意のタイミングでサーバ20に送信される。
【0027】
カメラ44は、車両40の外部を撮像する撮像機器である。カメラ44は、車両に搭載され、車両40の周囲を撮像する。カメラ44は、例えば車両のフロントガラスの裏側に設けられ、車両40の進行方向(前方)を撮像する。カメラ44によって撮像された、車両40の進行方向を撮像した撮像画像は、任意のタイミングでサーバ20に送信される。なお、カメラ44は、車両のリアガラスの裏側にさらに設けられ、車両40の後方を撮像してもよく、カメラ44の設置台数及び設置場所は特に限定されない。
【0028】
通知装置45は、車両40の運転者に向けて情報を視覚的又は聴覚的に通知するための装置である。通知装置45は、例えば、車両40の運転者に対して情報を表示する表示部として機能するディスプレイ、車両40の運転者に対して情報を警告音や音声等により報知する報知部として機能するスピーカなどを含む。ディスプレイは、ナビゲーションシステムの液晶ディスプレイや、ヘッドアップディスプレイなどの表示デバイスであり、車両40のセンターコンソールやダッシュボードに取り付けられる。
【0029】
車両ECU46は、車両40の走行を制御するためのコンピュータである。車両ECU46は、各種のアクチュエータ(ブレーキアクチュエータ、アクセルアクチュエータ、ステアリングアクチュエータなど)を制御する。
【0030】
[ユーザ端末の構成]
ユーザ端末60は、通信装置61と、GPS受信機62と、CPU63と、歩行者支援プログラムを記憶している非一時的な記憶媒体64と、通知装置65とを備える。ユーザ端末60は、例えば、スマートフォン、タブレットなどの携帯端末である。また、ユーザ端末60は、ウェアラブル型の装置であってもよい。
【0031】
通信装置61は、通信装置21、通信装置41と同様の構成を備えており、ネットワーク30を介してサーバ20と通信する。
【0032】
GPS受信機62によって取得されたユーザ端末60の位置情報は、任意のタイミングでサーバ20に送信される。すなわち、ユーザ端末60を所持する歩行者の位置情報がサーバ20に送信される。
【0033】
CPU63は、記憶媒体64などに記憶されている様々なプログラムをメモリに読み込んで、プログラムに含まれる各種の命令を実行する。CPU63は、サーバ20から通知信号を受信し、ユーザ端末60を所持する歩行者に横断歩道の信号が変化したことを視覚的又は聴覚的に、又は振動により通知するための処理を実行する。なお、CPU63が実現する機能の詳細については後述する。
【0034】
通知装置65は、ユーザ端末60を所持する歩行者に横断歩道の信号機の交通信号が変化したことを視覚的又は聴覚的に、又は振動により通知するための装置である。通知装置65は、例えば、ユーザ端末60を所持する歩行者に対して横断歩道の信号機の交通信号が変化したことを表示する表示部として機能するディスプレイと、ユーザ端末60を所持する歩行者に対して横断歩道の信号機の交通信号が変化したことを警告音や音声等により報知する報知部として機能するスピーカなどを含む。
【0035】
[サーバのCPUの機能及びユーザ端末のCPUの機能]
図2図5を参照して、サーバ20のCPU23の各機能及びユーザ端末60のCPU63の各機能の詳細について説明する。
【0036】
図2においては、横断歩道Y1~Y4が設けられている交差点を走行する車両40a~40pが存在する。横断歩道Y1~Y4には、歩行者用信号機が設置されている。そして、車両40a~40dの進行方向の車両用信号機の交通信号と、領域A1―A2間の横断歩道Y1及び領域A3-A4間の横断歩道Y2の歩行者用信号機の交通信号が赤であるとする。また、車両40e~40hの進行方向の車両用信号機の交通信号と、領域A1―A4間の横断歩道Y3及び領域A2-A3間の横断歩道Y4の歩行者用信号機の交通信号が青を示しているものとする。そして、領域A1に歩行者50a、領域A2に歩行者50b、領域A3に歩行者50c、領域A4に歩行者50dが存在している。歩行者50a~50dのうち、歩行者50aは、横断歩道Y1で信号待ちをしている。
【0037】
なお、図2の交差点の車両用信号機及び歩行者用信号機は、歩車分離式の信号機ではなく、内蔵のタイムスイッチによって時間や曜日を自動的に判別し、予め入力してある制御パターンのうち、その曜日や時間帯に最適なものを選択して作動する定期式の信号機であるものとする。
【0038】
図2において、車両40a~40pは図1に示す車両40の構成を有し、車両40a~40pの各々の位置情報及び速度情報、車両40a~40pの各々の進行方向を撮像した撮像画像を、ネットワーク30を介してサーバ20に送信する。なお、車両40a~40pは、車両40a~40pの各々の後方を撮像した撮像画像をさらにサーバ20に送信してもよい。
【0039】
図2において、歩行者50a~50dが所持するユーザ端末60の各々のCPU63は、ユーザ端末60を所持する歩行者50a~50dの各々の位置情報を、ネットワーク30を介してサーバ20に送信する。なお、歩行者50a~50dの各々の位置情報とは、歩行者50a~50dの各々が所持するユーザ端末60の各々の位置情報を意味する。
【0040】
図2において、CPU23の情報取得部231は、車両40a~40pから送信される車両40a~40pの位置情報及び速度情報を取得し、歩行者50a~50dの各々が所持するユーザ端末60から送信される、歩行者50a~50dの位置情報を取得する。
【0041】
周囲走行車両特定部232は、車両40a~40pの位置情報に基づいて、横断歩道Y1~Y4の周囲を走行する周囲走行車両を特定する。具体的には、周囲走行車両特定部232は、地図データベース221を参照し、横断歩道Y1~Y4から所定範囲内を走行する車両40a~40pを、周囲走行車両として特定する。以下、車両40a~40pを、周囲走行車両40a~40pという。
【0042】
周囲走行車両特定部232は、周囲走行車両40a~40pの各々の位置情報及び速度情報に基づいて、周囲走行車両40a~40pのうち、交差点で信号待ちをして停止している周囲走行車両40a~40dを特定する。
【0043】
信号待ち歩行者特定部233は、歩行者50a~50dの位置情報に基づいて、横断歩道Y1で信号待ちをしている歩行者を特定する。具体的には、信号待ち歩行者特定部233は、歩行者50a~50dの位置情報に基づいて、横断歩道Y1~Y4から所定範囲内に存在する歩行者50a~50dを特定する。そして、歩行者50a~50dの各々の位置の変化に基づいて、横断歩道Y1~Y4から所定範囲内で所定時間以上停止している歩行者を、交差点において停止している周囲走行車両40a~40dの進行方向と同方向の横断歩道Y1又はY2で信号待ちをしている歩行者として特定する。図2においては、信号待ち歩行者特定部233は、横断歩道Y1~Y4から所定範囲内で所定時間以上停止している歩行者50aを、横断歩道Y1で信号待ちをしている歩行者として特定する。以下、歩行者50aを、信号待ちをしている歩行者50aという。
【0044】
情報取得部231は、周囲走行車両特定部232により特定された周囲走行車両40a~40pから送信される、周囲走行車両40a~40pの周囲を撮像した撮像画像を取得する。図2の例では、情報取得部231は、周囲走行車両40a~40pから送信される、周囲走行車両40a~40pの進行方向を撮像した撮像画像を取得する。なお、情報取得部231は、周囲走行車両40i~40pから送信される、周囲走行車両40i~40pの各々の後方を撮像した撮像画像をさらに取得してもよい。
【0045】
信号機検出部234は、周囲走行車両40a~40pの各々の進行方向を撮像した撮像画像から、周囲走行車両40a~40pの各々の進行方向の車両用信号機を検出し、検出した車両用信号機の表示色を検出する。信号機検出部234は、例えば、信号機形状についてのパターンマッチングや信号発光部分としての高輝度領域顕出などを用いることなどにより、撮像画像内に存在する信号機の種類を判別し、信号機の表示色を検出することができる。信号機及び信号機の表示色の検出方法は既知の技術であるので、詳細な説明を省略する。信号機検出部234は、周囲走行車両40a~40pの各々の進行方向の車両用信号機の各々の表示色を検出する。また、信号機検出部234は、周囲走行車両40i~40pの各々の後方を撮像した撮像画像から、周囲走行車両40i~40pの各々の後方の車両用信号機の表示色を検出してもよい。
【0046】
判定部235は、周囲走行車両40a~40pの位置情報及び速度情報に基づいて、車両用信号機の交通信号の変化を判定し、車両用信号機の交通信号の変化に基づいて、歩行者用信号機の交通信号の変化を判定する。判定部235は、所定時間内の位置の変化が所定値以下の場合に、位置が変化しないと判定し、所定時間内の位置の変化が所定値より大きい場合に、位置が変化すると判定する。判定部235は、例えば、所定時間内の位置の変化が0の場合に、位置が変化しないと判定し、所定時間内の位置の変化が0より大きい場合に、位置が変化すると判定してもよい。また、判定部235は、速度が所定値以下の場合に、速度が変化しないと判定し、速度が所定値より速い場合に、速度が変化すると判定する。判定部235は、例えば、速度が時速0kmの場合に、速度が変化しないと判定してもよく、速度が時速0kmより速い場合に、速度が変化すると判定してもよい。
【0047】
判定部235は、例えば、周囲走行車両40a~40pのうち、交差点に進入する進行方向の周囲走行車両40a~40hの各々の位置の変化及び速度の変化が、図3Aに示す位置の変化及び速度の変化の条件を満たした場合に、交差点の車両用信号機の交通信号の変化を判定する。
【0048】
なお、判定部235は、周囲走行車両40a~40hの各々の進行方向を撮像した撮像画像をさらに用いて、車両用信号機の交通信号の変化を判定するのがより好ましい。すなわち、判定部235は、周囲走行車両40a~40hの各々の位置の変化、速度の変化と、周囲走行車両40a~40hの各々の進行方向の車両用信号機の各々の表示色(以下、信号機検出結果という)に基づいて、交差点の車両用信号機の交通信号の変化を判定するのがよい。また、判定部235は、周囲走行車両40i~40pの各々の後方を撮像した撮像画像から検出された、周囲走行車両40i~40pの各々の後方の車両用信号機の表示色の情報をさらに用いて、交差点の車両用信号の変化を判定してもよい。これにより、交差点の車両用信号機の交通信号の変化をさらに精度よく判定することができる。
【0049】
例えば判定部235は、周囲走行車両40a~40hの各々の位置の変化、速度の変化と、周囲走行車両40a~40hの各々の信号機検出結果が、図3Aに示す条件を満たした場合に、周囲走行車両40a~40dの進行方向の車両用信号機の交通信号の変化を判定する。そして、周囲走行車両40a~40dの進行方向の車両用信号機の交通信号の変化に基づいて、横断歩道Y1、Y2の歩行者用信号機の交通信号の変化を判定する。
【0050】
具体的には、判定部235は、周囲走行車両40a~40dの位置及び速度が変化し(発進状態)、周囲走行車両40a~40dの信号機検出結果が青信号であり、かつ、周囲走行車両40e~40hの位置及び速度が変化せず(停止状態)、周囲走行車両40e~40hの信号機検出結果が赤信号である場合に、周囲走行車両40a~40dの進行方向の車両用信号機の交通信号が赤から青に変化したと判定する。そして、横断歩道Y1、Y2の歩行者用信号機の交通信号が赤から青に変化したと判定する。
【0051】
なお、判定部235は、周囲走行車両40a~40hのうち少なくとも1台が存在する場合に、周囲走行車両40a~40hの位置情報及び速度情報に基づいて、車両用信号機の交通信号の変化を判定し、車両用信号機の交通信号の変化に基づいて、歩行者用信号機の交通信号の変化を判定してもよい。また、車両用信号機の交通信号の変化をより精度よく判定するために、判定部235は、周囲走行車両40a~40hのうち2台以上が存在する場合に、周囲走行車両の位置情報及び速度情報に基づいて、車両用信号機の交通信号の変化を判定してもよい。
【0052】
送信部236は、判定部235により歩行者用信号機の交通信号が変化したと判定された場合に、信号待ちをしている歩行者50aが所持するユーザ端末60に、横断歩道Y1の歩行者用信号機の交通信号が変化したことを示す通知信号を送信する。
【0053】
歩行者50aが所持するユーザ端末60のCPU63は、サーバ20のCPU23が、歩行者50aが横断歩道Y1で歩行者用信号の信号待ちをしていると判定し、かつ、横断歩道Y1が設けられている交差点を走行する車両の位置及び速度に基づいて歩行者用信号機の交通信号が変化したと判定したときに、CPU23より送信される歩行者用信号機の交通信号が変化したことを示す通知信号を受信する。そして、CPU23から通知信号を受信した場合に、ユーザ端末60を所持する歩行者50aに歩行者用信号機の交通信号が変化したことを視覚的又は聴覚的に、又は振動により通知する。
【0054】
ユーザ端末60のCPU63は、例えば、ユーザ端末60の通知装置65が備えるディスプレイに、歩行者用信号機の交通信号が青信号に変化したことを示すメッセージを表示する。CPU63は、例えば、通知装置65が備えるスピーカに、歩行者用信号機の交通信号が青信号に変化したことを示す警告音や音声を出力する。また、CPU63は、サーバ20のCPU23から通知信号を受信した場合に、通知装置65のディスプレイの表示画面の色を変更したり、ユーザ端末60の通話機能を停止したり、ユーザ端末60の動作を遅くするなどの、ユーザ端末60の操作を制限するような制御を実行してもよい。また、CPU63は、サーバ20のCPU23から通知信号を受信した場合に、ユーザ端末60のバイブレーション機能により、歩行者用信号機の交通信号が変化したことを通知するような制御を実行してもよい。なお、歩行者用信号機の交通信号が変化したことを視覚的又は聴覚的に、又は振動により通知する形態については特に限定されない。
【0055】
また、サーバ20の情報取得部231は、交差点で停止している周囲走行車両40a~40dの各々から送信される、周囲走行車両40a~40dの各々の方向指示器の情報をさらに取得してもよい。上記の方向指示器の情報は、周囲走行車両40a~40dの各々の車両ECU46から送信された、周囲走行車両40a~40dの各々の方向指示器が右折又は左折を示していることを示す情報である。また、情報取得部231は、周囲走行車両40a~40dの各々の後続車両が撮像した撮像画像から、周囲走行車両40a~40dの各々の方向指示器が右折又は左折を示していることを検出することにより、周囲走行車両40a~40dの各々の方向指示器の情報を取得してもよい。
【0056】
そして、判定部235は、周囲走行車両40a~40dの各々の方向指示器の情報に基づいて、周囲走行車両40a~40dの各々が右折又は左折するか否かを判定する。
【0057】
周囲走行車両40a、40bが左折する場合又は、周囲走行車両40c、40dが右折する場合には、送信部236は、周囲走行車両40a、40b又は周囲走行車両40c、40dに、右折又は左折する先の横断歩道Y1で信号待ちをしている歩行者50aに関する情報を送信してもよい。送信部236は、顧客データベース222を参照して、信号待ちをしている歩行者のなかに高齢者や身体障害者がいる場合に、左折する周囲走行車両40a、40b又は右折する周囲走行車両40c、40dに、信号待ちをしている歩行者の中に高齢者や身体障害者がいることを示す情報を送信してもよい。なお、送信部236は、周囲走行車両40a~40dいずれかのみが右折又は左折する場合であっても、右折又は左折する車両に、信号待ちをしている歩行者50aに関する情報を送信する。
【0058】
周囲走行車両40a、40b又は周囲走行車両40c、40dの各々の通知装置45は、CPU23から、右折又は左折する先の横断歩道Y1で信号待ちをしている歩行者50aに関する情報を受信した場合に、ディスプレイに歩行者に関する情報を表示する。通知装置45は、例えば、信号待ちをしている歩行者のなかに高齢者や身体障害者がいることを示すメッセージをディスプレイに表示する。
【0059】
また、送信部236は、周囲走行車両40a、40d又は周囲走行車両40c、40dが右折又は左折する先の横断歩道Y1で信号待ちをしている歩行者50aが所持するユーザ端末60に、周囲走行車両40a、40d又は周囲走行車両40c、40dが右折又は左折することを注意喚起するための情報を送信する。送信部236は、信号待ちをしている歩行者50aが所持するユーザ端末60に、周囲走行車両40a、40bが左折する、又は周囲走行車両40c、40dが右折することを注意喚起するための情報を送信する。なお、送信部236は、周囲走行車両40a~40dいずれかのみが右折又は左折する場合であっても、歩行者50aが所持するユーザ端末60に、周囲走行車両40a、40b又は周囲走行車両40c、40dが右折又は左折することを注意喚起するための情報を送信する。
【0060】
信号待ちをしている歩行者50aが所持するユーザ端末60のCPU63は、サーバ20のCPU23から、周囲走行車両40a、40bが左折する、又は周囲走行車両40c、40dが右折することを注意喚起する情報を受信した場合に、CPU23から受信した情報を、ユーザ端末60を所持する歩行者50aに視覚的又は聴覚的に、又は振動により通知する。
【0061】
なお、判定部235は、周囲走行車両40a~40lの各々の位置の変化、速度の変化及び信号機検出結果が、図3Bに示す条件を満たした場合に、周囲走行車両40a、40bが走行する車道で渋滞が発生していると判定してもよい。判定部235は、周囲走行車両40a~40dの進行方向の車両用信号機の交通信号の変化を判定してもよい。さらに、判定部235は、横断歩道Y1、Y2の歩行者用信号機の交通信号の変化を判定してもよい。
【0062】
具体的には、判定部235は、次の条件で周囲走行車両40a、40bが走行する車道で渋滞が発生していると判定してもよい。周囲走行車両40a、40b、40k、40lの位置及び速度が変化せず(停止状態)、周囲走行車両40a、40b、40k、40lの信号機検出結果が青信号である。かつ、周囲走行車両40c、40dの位置及び速度が変化し(発進状態)、周囲走行車両40c、40dの信号機検出結果が青信号である。さらに加えて、周囲走行車両40e~40hの位置及び速度が変化せず(停止状態)、周囲走行車両40e~40hの信号機検出結果が赤信号である。判定部235は、周囲走行車両40a~40dの進行方向の車両用信号機の交通信号が青に変化したと判定してもよい。さらに、判定部235は、横断歩道Y1、Y2の歩行者用信号機の交通信号が青に変化したと判定してもよい。
【0063】
この場合、送信部236は、信号待ちをしている歩行者50aが所持するユーザ端末60に、横断歩道Y1の歩行者用信号機の交通信号が青に変化したことを示す通知信号を送信する。また、送信部236は、周囲走行車両40bに、渋滞が発生していることを注意喚起する情報を送信してもよい。
【0064】
また、判定部235は、周囲走行車両40a~40hの各々の位置の変化、速度の変化及び信号機検出結果が、図3Cに示す条件を満たした場合に、周囲走行車両40aが、車両用信号機の交通信号の変化に気づかずにすぐに発進していない状態であると判定してもよい。そして、周囲走行車両40a~40dの進行方向の車両用信号機の交通信号の変化を判定してもよい。さらに、横断歩道Y1、Y2の歩行者用信号機の交通信号の変化を判定してもよい。
【0065】
具体的には、判定部235は、次の条件で周囲走行車両40aが、車両用信号機の交通信号が青に変化したことに気づかず停止していると判定してもよい。周囲走行車両40a、40bの位置及び速度が変化せず(停止状態)、周囲走行車両40a、40bの信号機検出結果が青信号である。かつ、周囲走行車両40c、40dの位置及び速度が変化し(発進状態)、周囲走行車両40c、40dの信号機検出結果が青信号である。さらに加えて、周囲走行車両40e~40hの位置及び速度が変化せず(停止状態)、周囲走行車両40e~40hの信号機検出結果が赤信号である。判定部235は、周囲走行車両40a~40dの進行方向の車両用信号機の交通信号が青に変化したと判定してもよい。さらに、判定部235は、横断歩道Y1、Y2の歩行者用信号機の交通信号が青に変化したと判定してもよい。
【0066】
この場合、送信部236は、信号待ちをしている歩行者50aが所持するユーザ端末60に、横断歩道Y1の歩行者用信号機の交通信号が青に変化したことを示す通知信号を送信する。また、送信部236は、周囲走行車両40aに、車両用信号機の交通信号が青に変化したことを示す情報を送信してもよい。
【0067】
さらに、判定部235は、周囲走行車両40a~40hの各々の位置の変化、速度の変化及び信号機検出結果が、図3Dに示す条件を満たした場合に、周囲走行車両40aが、交差方向の車両用信号機の交通信号が赤に変化したことを見て、進行方向の車両用信号機の交通信号が青に変化していないにも関わらず見切り発進していると判定してもよい。
【0068】
具体的には、判定部235は、周囲走行車両40aの位置及び速度が変化し(発進状態)、周囲走行車両40aの信号機検出結果が赤信号であり、かつ、周囲走行車両40b~40hの位置及び速度が変化せず(停止状態)、周囲走行車両40b~40hの信号機検出結果が赤信号である場合に、周囲走行車両40aが見切り発進していると判定してもよい。この場合、送信部236は、信号待ちをしている歩行者50aが所持するユーザ端末60に、周囲走行車両40aが見切り発進していることを注意喚起する情報を送信してもよい。
【0069】
以上の説明では、CPU23の各機能ついて、交差点の信号機が歩車分離式でない定期式の信号機である場合を例に説明した。しかしながら、信号機には、歩車分離式の様々な種類が存在する。そこで、信号機検出部234は、周囲走行車両40a~40pの周囲を撮像した撮像画像から、交差点の信号機の種類を識別してもよい。そして、判定部235は、識別された信号機の種類に応じて、歩行者用信号機の交通信号の変化を判定する条件を変更してもよい。
【0070】
図2及び図4図5を参照して、交差点の信号機が歩車分離式の信号機である場合の、歩行者用信号機の交通信号の変化の判定方法の例を説明する。
【0071】
図4は、歩車分離式の車両用信号機と歩行者用信号機の例を示した図である。図4(a)は、歩行者が道路に設置されているボタンを押した時のみ、車両用信号機の交通信号が赤に変化し、歩行者用信号機の交通信号が青に変化する押しボタン方式の歩行者用信号機の例を示す。図4(b)は、三色信号の下に矢印信号を備え、全ての車両の通行を矢印で制御しているセパレート矢印式の車両用信号機の例を示す。図4(c)は、図4(b)のセパレート矢印式の車両用信号機であって、かつ、対面交通の道路でいずれか一方の通行時間を延長する時差式信号である車両用信号機の例を示す。なお、図4に示す信号機には、歩行者を横断させるときに、横断中の歩行者と車両が交錯しないよう右左折をさせない方式の右左折車両分離方式の信号機は含まれない。
【0072】
なお、図示は省略するが、その他の例として、車両又は横断者が存在する時のみ青に変化する感応式信号や、すべての方向の車両用信号機の交通信号を赤信号にして車両を停止させ、すべての方向の歩行者を同時に横断させるスクランブル方式の信号機などがある。
【0073】
信号機検出部234は、周囲走行車両40a~40pの周囲を撮像した撮像画像から、交差点の車両用信号機又は歩行者用信号機を検出し、検出された車両用信号機又は歩行者用信号機が、図4に示すような、右左折車両分離方式以外の歩車分離式の信号機か否かを判定してもよい。
【0074】
交差点の車両用信号機又は歩行者用信号機が右左折車両分離方式以外の歩車分離式の信号機であると判定された場合には、判定部235は、周囲走行車両40a~40hの各々の位置の変化、速度の変化及び信号機検出結果が、図5に示す条件を満たした場合に、横断歩道Y1、Y2、Y3、Y4の歩行者用信号機の交通信号の変化を判定してもよい。
【0075】
具体的には、判定部235は、周囲走行車両40a~40hの位置及び速度の全てが変化せず(停止状態)、周囲走行車両40a~40hの信号機検出結果が全て赤信号である場合に、横断歩道Y1、Y2、Y3、Y4の歩行者用信号機の交通信号が青に変化したと判定してもよい。
【0076】
この場合、送信部236は、歩行者50a~50dが所持するユーザ端末60の各々に、横断歩道Y1~Y4の歩行者用信号機の交通信号が青に変化したことを示す通知信号を送信してもよい。
【0077】
なお、交差点の車両用信号機又は歩行者用信号機が右左折車両分離方式以外の歩車分離式の信号機であると判定された場合には、サーバ20は、歩車分離式の信号機の位置情報を、記憶装置22に記憶し、次回の処理時に、記憶した歩車分離式の信号機の位置情報を利用してもよい。これにより、信号機検出部234が処理を行うたびに信号機の種類を識別する必要が無くなり、処理にかかる負荷が軽減される。
【0078】
[情報提供装置の処理]
次に、図6のフローチャートを参照して、本実施形態に係るCPU23の処理の流れの例を説明する。図6において、車両40は、車両40の位置情報及び速度情報、車両40の進行方向を撮像した撮像画像を、ネットワーク30を介してサーバ20に送信する。そして、ユーザ端末60のCPU63は、ユーザ端末60を所持する歩行者の位置情報を、ネットワーク30を介してサーバ20に送信する。
【0079】
図6のステップS10において、CPU23の情報取得部231は、車両40から送信される車両40の位置情報及び速度情報を取得する。
【0080】
ステップS11において、周囲走行車両特定部232は、車両40の位置情報に基づいて、横断歩道の周囲を走行する周囲走行車両を特定する。周囲走行車両特定部232は、特定した周囲走行車両の位置の変化及び速度の変化に基づいて、特定した周囲走行車両のうち、車両用信号の信号待ちをして停止している周囲走行車両を特定する。
【0081】
ステップS12において、情報取得部231は、ユーザ端末60から送信される、ユーザ端末60を所持する歩行者の位置情報を取得する。
【0082】
ステップS13において、信号待ち歩行者特定部233は、情報取得部231により取得した歩行者の位置情報に基づいて、横断歩道から所定範囲内に存在する歩行者を特定する。信号待ち歩行者特定部233は、横断歩道から所定範囲内に存在する歩行者の位置の変化に基づいて、横断歩道から所定範囲内で所定時間以上停止している歩行者を、横断歩道の周囲で停止している周囲走行車両の進行方向と同方向の横断歩道で信号待ちをしている歩行者として特定する。
【0083】
ステップS14において、情報取得部231は、周囲走行車両から送信される、周囲走行車両の周囲を撮像した撮像画像を取得する。情報取得部231は、例えば、周囲走行車両から送信される、周囲走行車両の進行方向を撮像した撮像画像を取得する。
【0084】
ステップS15において、信号機検出部234は、撮像画像から、周囲走行車両の進行方向の車両用信号機を検出し、検出した車両用信号機の表示色を検出する。
【0085】
ステップS16において、判定部235は、周囲走行車両の位置の変化、速度の変化と、周囲走行車両の進行方向の車両用信号機の表示色が所定の条件を満たした場合に、周囲走行車両の進行方向の車両用信号機の交通信号の変化を判定する。例えば、判定部235は、横断歩道の周囲で停止している周囲走行車両の位置及び速度が変化し、横断歩道の周囲で停止している周囲走行車両の進行方向の車両用信号機の表示色が青信号である場合に、横断歩道の周囲で停止している周囲走行車両の進行方向の車両用信号機の交通信号が変化したと判定する。
【0086】
ステップS17において、判定部235は、ステップS16で判定された車両用信号機の交通信号の変化に基づいて、歩行者用信号機の交通信号の変化を判定する。判定部235は、ステップS16で、横断歩道の周囲で停止している周囲走行車両の進行方向の車両用信号機の交通信号が変化したと判定した場合に、横断歩道の周囲で停止している周囲走行車両の進行方向と同方向の横断歩道の歩行者用信号機の交通信号が変化したと判定する。
【0087】
ステップS18において、送信部236は、ステップS17で、歩行者用信号機の交通信号が変化したと判定された場合に、信号待ちをしている歩行者が所持するユーザ端末60に、歩行者用信号機の交通信号が変化したことを示す通知信号を送信し、図6の処理を終了する。ユーザ端末60のCPU63は、サーバ20のCPU23が、ユーザ端末60を所持する歩行者が横断歩道で信号待ちをしていると判定し、かつ、横断歩道の周囲を走行する車両の位置及び速度に基づいて、横断歩道の信号機の交通信号が変化したと判定したときに、CPU23より送信される横断歩道の信号機の交通信号が変化したことを示す通知信号を受信する。そして、CPU63は、CPU23から通知信号を受信した場合に、ユーザ端末60を所持する歩行者に横断歩道の信号機の交通信号が変化したことを視覚的又は聴覚的に、又は振動により通知する。
【0088】
[作用効果]
以上説明したように、本実施形態によれば、以下の作用効果が得られる。
【0089】
本実施形態に係る情報提供装置は、情報取得部と、周囲走行車両特定部と、信号待ち歩行者特定部と、判定部と、送信部とを備える。情報取得部は、車両から送信される車両の位置情報及び速度情報を取得する。情報取得部は、歩行者が所持する携帯端末から送信される歩行者の位置情報を取得する。周囲走行車両特定部は、車両の位置情報に基づいて、横断歩道の周囲を走行する周囲走行車両を特定する。信号待ち歩行者特定部は、歩行者の位置情報に基づいて、横断歩道で信号待ちをしている歩行者を特定する。判定部は、周囲走行車両の位置情報及び速度情報に基づいて車両用信号機の交通信号の変化を判定し、車両用信号機の交通信号の変化に基づいて横断歩道の信号機の交通信号の変化を判定する。送信部は、信号待ちをしている歩行者が所持する携帯端末に、横断歩道の信号機の交通信号が変化したことを示す通知信号を送信する。
【0090】
このため、横断歩道の周囲を走行する周囲走行車両を特定でき、横断歩道で信号待ちをしている歩行者を特定でき、周囲走行車両の位置、速度に基づいて車両用信号機の交通信号の変化を判定できる。そして、車両用信号機の交通信号の変化に基づいて横断歩道の信号の信号機の交通信号の変化を判定できる。そして、横断歩道の信号機の交通信号が変化したことを歩行者に通知できる。これにより、横断歩道に通信装置を備えた歩行者用信号機が設置されていない場合であっても、歩行者に横断歩道の信号機の交通信号の変化を通知することができる。
【0091】
また、本実施形態に係る情報提供装置の情報取得部は、周囲走行車両から送信される周囲走行車両の周囲を撮像した撮像画像をさらに取得する。撮像画像から、周囲走行車両の進行方向の車両用信号機を検出し、検出した車両用信号機の表示色を検出する信号機検出部をさらに備える。判定部は、周囲走行車両の位置の変化、速度の変化及び車両用信号機の表示色に基づいて車両用信号機の交通信号の変化を判定する。
【0092】
これにより、周囲走行車両の位置の変化、速度の変化及び周囲走行車両の撮像画像から検出した車両用信号機の表示色の組み合わせに基づいて、車両用信号機の交通信号の変化を判定でき、車両用信号機の交通信号の変化に基づいて、横断歩道の信号機の交通信号の変化を判定できる。これにより、横断歩道の信号機の交通信号の変化の誤判定を抑制できる。
【0093】
また、本実施形態に係る情報提供装置の情報取得部は、周囲走行車両から送信される周囲走行車両の方向指示器の情報をさらに取得する。送信部は、周囲走行車両が右折又は左折する場合に、周囲走行車両に、周囲走行車両が右折又は左折する先の横断歩道で信号待ちをしている歩行者に関する情報を送信する。送信部は、周囲走行車両が右折又は左折する先の横断歩道で信号待ちをしている歩行者が所持するユーザ端末に、周囲走行車両が右折又は左折することを注意喚起するための情報を送信する。
【0094】
これにより、周囲走行車両が右折又は左折する場合に、周囲走行車両に対し、右折又は左折先の横断歩道で信号待ちをしている歩行者に関する情報を送信できる。これにより、右折又は左折する周囲走行車両に対し歩行者の情報を注意喚起できる。また、囲走行車両が右折又は左折する先の横断歩道で信号待ちをしている歩行者が所持するユーザ端末に、周囲走行車両が右折又は左折することを注意喚起するための情報を送信できる。これにより、横断歩道で信号待ちをしている歩行者に対し、横断歩道に向かって右折又は左折する車両について注意喚起することができる。
【0095】
上記のように、本発明の実施形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【符号の説明】
【0096】
23 情報提供装置(CPU)
231 情報取得部
232 周囲走行車両特定部
233 信号待ち歩行者特定部
235 判定部
236 送信部
40 車両
40a~40p 周囲走行車両
50a 信号待ちをしている歩行者
50a~50d 歩行者
60 携帯端末(ユーザ端末)
A1~A4 領域
Y1~Y4 横断歩道
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6