(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149469
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】紙製包装材料
(51)【国際特許分類】
B65D 65/40 20060101AFI20220929BHJP
D21H 19/82 20060101ALI20220929BHJP
D21H 19/40 20060101ALI20220929BHJP
D21H 19/58 20060101ALI20220929BHJP
D21H 19/60 20060101ALI20220929BHJP
B32B 27/10 20060101ALI20220929BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
B65D65/40 D
D21H19/82
D21H19/40
D21H19/58
D21H19/60
B32B27/10
B32B27/30 102
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021051647
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005980
【氏名又は名称】三菱製紙株式会社
(72)【発明者】
【氏名】門間 憲司
(72)【発明者】
【氏名】廣田 展章
(72)【発明者】
【氏名】丸山 量子
【テーマコード(参考)】
3E086
4F100
4L055
【Fターム(参考)】
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4L055GA05
(57)【要約】
【課題】酸素バリア性及び水蒸気バリア性を有し、離解性に優れ、並びにヒートシールによる封止加工性が良好な紙製包装材料を提供する。
【解決手段】課題は、紙支持体と、前記紙支持体の片面に第一塗工層と、紙支持体を基準として前記第一塗工層の外側に第二塗工層と、及び紙支持体を基準として前記第二塗工層の外側に第三塗工層とを有し、前記紙支持体がISO8791-4:1992に準拠するパーカープリントサーフ表面粗さ2μm以上4μm以下であり、前記第一塗工層がエチレン変性ポリビニルアルコール及びベントナイトを含有し、前記第二塗工層がエチレンと不飽和カルボン酸系単量体との共重合体から成るアイオノマー樹脂及びベントナイトを含有し、前記第三塗工層がヒートシール層である紙製包装材料によって解決できる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙支持体と、前記紙支持体の片面に第一塗工層と、紙支持体を基準として前記第一塗工層の外側に第二塗工層と、及び紙支持体を基準として前記第二塗工層の外側に第三塗工層とを有し、前記紙支持体がISO8791-4:1992に準拠するパーカープリントサーフ表面粗さ2μm以上4μm以下であり、前記第一塗工層がエチレン変性ポリビニルアルコール及びベントナイトを含有し、前記第二塗工層がエチレンと不飽和カルボン酸系単量体との共重合体から成るアイオノマー樹脂及びベントナイトを含有し、前記第三塗工層がヒートシール層である紙製包装材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸素バリア性及び水蒸気バリア性を有し、ヒートシールによる封止加工性が良好な紙製包装材料に関する。
【背景技術】
【0002】
包装では、食品及び工業製品の酸化による劣化及び変質、並びに水分の吸湿若しくは乾燥による劣化及び変質を防止するために、酸素バリア性及び水蒸気バリア性を有する包装材料を用いる。従来の包装材料は、プラスチックフィルムから成る積層体又は金属蒸着膜を有するプラスチックフィルムが主である。一方、プラスチック製品は、適切に廃棄処分されずに自然界に流出するという環境汚染の問題から、削減が必要である。包装材料の分野では、支持体又は基材としてプラスチックフィルムの代替に紙が有力である。紙支持体又は紙基材を用いる紙製包装材料では、例えば、紙基材層、接着性塩化ビニリデン樹脂層、オレフィン系樹脂層の順に積層した構造のガスバリア性複合材料(例えば、特許文献1参照)、及び紙基材上に単一のバリア層を有し、前記バリア層がスチレンブタジエン系重合体、スチレンアクリル系重合体、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル及びポリエチレンビニルアルコールのうちから選択される1つ以上の重合体又は共重合体を含むバリア性積層体(例えば、特許文献2参照)などが公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭61-11246号公報
【特許文献2】特表2020-530409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1及び特許文献2のように紙製包装材料は、紙基材又は紙支持体(以下、「紙支持体」と記す)に対してバリア性を発現する樹脂を主体として含有する樹脂層を有する場合が多い。通常、紙支持体は再生紙としてリサイクルが可能である。よって、紙のリサイクルの観点から、樹脂層を有する紙製包装材料では、廃棄に際して紙支持体と樹脂層とが容易に分離できて紙支持体が水中に離解し易いことが大切である。上記接着性塩化ビニリデン樹脂を含めポリ塩化ビニリデンは、他の汎用樹脂に比べて酸素バリア性及び水蒸気バリア性に優れる数少ない樹脂である。しかしながら、ポリ塩化ビニリデンは、紙に対する接着性が強く紙支持体から分離し難いために紙支持体の水中への離解し易さが劣る。
また、包装材料は包装袋に使用される。例えば、包装材料は、化粧品、食品及び医薬品など物品を収容してからヒートシールによって袋状に封止される。袋の形状としては、四方袋、三方袋、合掌袋(ピロー袋)及びスタンディング袋などのガゼット袋がある。例えば、ピロー袋及びスタンディング袋では、その形成過程において包装材料を折り込むなどしてヒートシールを施す。紙製包装材料は、プラスチックフィルムから成る積層体又は金属蒸着膜を有するプラスチックフィルムのような包装材料に比べて前記形成過程においてヨレ及び/又はシワを発生し易い。故に、紙製包装材料は、前記形成過程においてヨレ及び/又はシワを発生しないヒートシールによる封止加工性を向上する必要がある。
【0005】
本発明の目的は、酸素バリア性及び水蒸気バリア性を有し、紙支持体と第一塗工層とが容易に分離できて紙支持体の水中への離解し易さ(以下、「離解性」と記す)に優れ、並びにヒートシールによる封止加工性が良好な紙製包装材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、以下によって解決できる。
【0007】
[1]紙支持体と、前記紙支持体の片面に第一塗工層と、紙支持体を基準として前記第一塗工層の外側に第二塗工層と、及び紙支持体を基準として前記第二塗工層の外側に第三塗工層とを有し、前記紙支持体がISO8791-4:1992に準拠するパーカープリントサーフ表面粗さ2μm以上4μm以下であり、前記第一塗工層がエチレン変性ポリビニルアルコール及びベントナイトを含有し、前記第二塗工層がエチレンと不飽和カルボン酸系単量体との共重合体から成るアイオノマー樹脂及びベントナイトを含有し、前記第三塗工層がヒートシール層である紙製包装材料。
【発明の効果】
【0008】
本発明の紙製包装材料は、酸素バリア性及び水蒸気バリア性を有し、離解性に優れ、並びにヒートシールによる封止加工性が良好である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において実施形態に適宜変更を加えて実施することができる。
【0010】
本発明の紙製包装材料は、紙支持体と、前記紙支持体の片面に第一塗工層と、紙支持体を基準として前記第一塗工層の外側に第二塗工層と、及び紙支持体を基準として前記第二塗工層の外側に第三塗工層とを有する。また、紙製包装材料は、前記第一塗工層、第二塗工層及び第三塗工層を有する側に対する紙支持体の反対面において、オフセット印刷又はグラビア印刷に対する印刷適性を向上する目的又は紙支持体の寸法安定性を向上する目的のために印刷用塗工層又はバックコート層を有することができる。印刷用塗工層及びバックコート層は塗工紙分野で従来公知のものである。さらに、紙製包装用紙は、印刷用塗工層又はバックコート層と紙支持体との間に第一塗工層、第二塗工層及び/又は第三塗工層を有することができる。紙製包装材料の実施形態として、収容物と対向する紙製包装用紙の面は、包装用紙の第一塗工層、第二塗工層及び第三塗工層を有する側の面である。
【0011】
紙支持体は、LBKP(広葉樹晒クラフトパルプ)、LUKP(広葉樹未晒クラフトパルプ)、NBKP(針葉樹晒クラフトパルプ)及びNUKP(針葉樹未晒クラフトパルプ)等の化学パルプ、GP(砕木パルプ)、PGW(加圧式砕木パルプ)、RMP(リファイナーメカニカルパルプ)、TMP(サーモメカニカルパルプ)、CTMP(ケミサーモメカニカルパルプ)及びCMP(ケミメカニカルパルプ)等の機械パルプ、並びにDIP(脱インキパルプ)等の古紙パルプから成る群から選択されるセルロースパルプの少なくとも一種と、填料と、サイズ剤と、さらに必要に応じて定着剤、歩留まり向上剤、紙力剤等の各種添加剤とを含有する紙料から、酸性、中性又はアルカリ性の条件で従来公知の方法によって抄造された抄造紙である。さらに、紙支持体には、前記抄造紙をサイズプレス液でサイズプレス処理した上質紙、前記抄造紙を表面処理液で表面処理した上質紙、並びに前記抄造紙若しくは前記上質紙に対してカレンダー処理を施した上質紙が含まれる。カレンダー処理装置の例としては、マシンカレンダー、ソフトニップカレンダー、スーパーカレンダー、多段カレンダー、マルチニップカレンダー、及び実験室用の弾性ロールと金属ロールから成るラボソフトカレンダー等を挙げることができる。
【0012】
填料は、製紙分野で従来公知の顔料である。顔料の例としては、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、シリカ、珪酸アルミニウム、珪藻土、活性白土、アルミナ、アルミナ水和物、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の無機顔料を挙げることができる。さらにスチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン系プラスチックピグメント、尿素樹脂、メラミン樹脂及びマイクロカプセル等の有機顔料を挙げることができる。填料は、これらから成る群から選ばれる一種又は二種以上である。
【0013】
サイズ剤は、製紙分野で従来公知の内添サイズ剤である。内添サイズ剤の例としては、酸性紙であればロジン系サイズ剤、中性紙であればアルケニル無水コハク酸、アルキルケテンダイマー、中性ロジン系サイズ剤及びカチオン性スチレンアクリル系サイズ剤等を挙げることができる。また、前記サイズプレス液に用いるサイズ剤は、製紙分野で従来公知の表面サイズ剤である。表面サイズ剤の例としては、澱粉系サイズ剤、セルロース系サイズ剤、ポリビニルアルコール系サイズ剤、スチレンアクリル系サイズ剤、オレフィン系サイズ剤、スチレンマレイン酸系サイズ剤、アクリルアミド系サイズ剤等を挙げることができる。サイズプレスは、製紙分野で従来公知のサイズプレス装置を用いて行う。サイズプレス装置の例としては、インクラインドサイズプレス、ホリゾンタルサイズプレス、フィルムトランスファーとしてロッドメタリングサイズプレス、ロールメタリングサイズプレス及びブレードメタリングサイズプレスを、前記ロッドメタリングサイズプレスとしてシムサイザー、オプティサイザー及びスピードサイザーを、前記ロールメタリングサイズプレスとしてゲートロールコーターを、さらにビルブレードコーター、ツインブレードコーター、ベルバパコーター、タブサイズプレス、並びにカレンダーサイズプレス等を挙げることができる。
【0014】
いくつかの実施態様において、紙製包装材料は、紙支持体の灰分量が3質量%以上10質量%以下である。この理由は、紙支持体が、柔軟性を得ることができかつ紙力を低下しないからである。ここで、灰分量とは、燃焼処理前の紙支持体の絶乾質量に対する紙支持体を500℃で1時間燃焼処理を行った後の不燃物の質量の比率(質量%)である。灰分量は、抄造紙中の填料含有量を調整する等の従来公知の方法で制御することができる。
【0015】
紙支持体は、ISO8791-4:1992「Paper and board - Determination of roughness/smoothness (air leak methods) - Part 4:Print-surf method」に準拠した、ソフトラバー製バッキングディスクを用いてクランプ圧力1MPaの条件で測定したパーカープリントサーフ表面粗さが2μm以上4μm以下である。少なくとも一つの実施態様において、紙支持体は、前記パーカープリントサーフ表面粗さ3.1μm以上3.5μm以下である。この理由は、封止加工性が良化するからである。紙支持体のパーカープリントサーフ表面粗さは、例えば、ISO8791-4:1992に準拠したMessmer社のパーカープリントサーフラフネステスター(例えば、モデル58-06-00)を用いて測定することができる。紙支持体のパーカープリントサーフ表面粗さは、パルプの種類及びパルプの叩解程度、填料の種類、大きさ及びその添加量、サイズプレス処理の有無及びその条件並びにサイズプレス液の成分、並びにカレンダー処理の有無及びカレンダー処理の条件等によって調整することができる。紙支持体のパーカープリントサーフ表面粗さを2μm以上4μm以下にするためには、カレンダー処理が好適である。
【0016】
パーカープリントサーフ表面粗さを2μm以上4μm以下の範囲にするカレンダー処理は、紙支持体表面を過度に平滑化しない条件であり、例えば、線圧(ニップ圧)を低くしたカレンダー処理、ロール間の通紙回数(ニップ数)を少なくしたカレンダー処理、表面が粗いロールを用いたカレンダー処理等の方法を挙げることができる。パーカープリントサーフ表面粗さは、数十μmの狭い間隔を隔てた領域における紙支持体表面の凹凸(平坦性)を測定するものであり、ベック平滑度等と異なり、紙支持体表面の微細な凹凸を評価できる。紙支持体のパーカープリントサーフ表面粗さを2μm以上4μm以下することによって、紙製包装材料は、離解性及び封止加工性を得ることができる。パーカープリントサーフ表面粗さが2μm未満では、離解性を得ることが難しい。パーカープリントサーフ表面粗さが4μm超では、離解性及び封止加工性を得ることが難しい。
【0017】
第一塗工層は、エチレン変性ポリビニルアルコール及びベントナイトを含有する。第一塗工層は、酸素ガスの透過を抑える酸素バリア層として主に機能する。また、第一塗工層は、紙支持体の水中への離解に際して剥離層としての機能を有する。
いくつかの実施態様において、第一塗工層は、第一塗工層中のエチレン変性ポリビニルアルコール及びベントナイトの合計含有量が第一塗工層を形成する乾燥固形分に対して80質量%以上である。この理由は、紙製包装材料の酸素バリア性が良化するからである。また、いくつかの実施態様において、第一塗工層は、第一塗工層におけるエチレン変性ポリビニルアルコールの含有量がベントナイト100質量部に対して20質量部以上500質量部以下である。少なくとも一つの実施態様において、第一塗工層は、第一塗工層におけるエチレン変性ポリビニルアルコールの含有量がベントナイト100質量部に対して50質量部以上200質量部以下である。これらの理由は、紙製包装材料の酸素バリア性が特に良化するからである。また、いくつかの実施態様において、第一塗工層は、塗工量が乾燥固形分で2g/m2以上10g/m2以下である。この理由は、紙製包装材料の酸素バリア性が良化するからである。
少なくとも一つの実施態様において、第一塗工層は、第一塗工層中のエチレン変性ポリビニルアルコール及びベントナイトの合計含有量が第一塗工層を形成する乾燥固形分に対して80質量%以上、第一塗工層中のエチレン変性ポリビニルアルコールの含有量が第一塗工層中のベントナイト100質量部に対して50質量部以上200質量部以下、及び塗工量が乾燥固形分で2g/m2以上10g/m2以下である。
【0018】
第一塗工層は、本発明の効果を損なわない範囲において、塗工紙分野で従来公知の各種添加剤を含有することができる。添加剤の例としては、消泡剤、分散剤、濡れ剤、ベントナイト以外の顔料、エチレン変性ポリビニルアルコール以外の樹脂及び着色剤等を挙げることができる。
【0019】
ベントナイトは、粘土鉱物モンモリロナイトを主成分として、石英、α-クリストバライト及びオパール等の珪酸鉱物を副成分として、長石、マイカ及びゼオライト等の珪酸塩鉱物、カルサイト、ドロマイト及びジプサム等の炭酸塩鉱物、硫酸塩鉱物、並びにパイライト等の硫化鉱物を随伴する弱アルカリ性粘土岩である。
主成分であるモンモリロナイトは、薄い板状の単位結晶が複数積層した構造を有する。
モンモリロナイトの単位結晶は、ケイ素原子と酸素原子とから成る四面体がシート状に連なった四面体シートが、アルミニウム原子と水酸基とから成る八面体がシート状に連なった八面体シートを挟むサンドウィッチ構造を有する。モンモリロナイトは、単位結晶の層間に陽イオンを含有する。陽イオンは、例えば、Na+、Ca2+、K+及びMg2+を挙げることができる。一般的に、ベントナイトは、モンモリロナイトが含有する層間の陽イオンによって分類できる。ベントナイトの例としては、Na型ベントナイトとCa型ベントナイトを挙げることができる。
いくつかの実施態様において、ベントナイトは、主成分であるモンモリロナイトの含有率が90質量%以上99.5質量%以下である。少なくとも一つの実施態様において、ベントナイトは、主成分であるモンモリロナイトの含有率が90質量%以上99.5質量%以下であり及びNa型である。この理由は、膨潤性が高く、並びに水系塗工において薄い板状の結晶が層状構造を形成して、酸素及びや水蒸気の透過を妨げ、結果、高いバリア性が得られるからである。
ベントナイトは、例えば、ホージュン社、水澤化学工業社及びクニミネ工業社等から市販される。
【0020】
エチレン変性ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコールの主鎖にエチレン基を導入することによって変性したポリビニルアルコールである。いくつかの実施態様において、エチレン変性ポリビニルアルコール分子中のエチレン基の含有量は1モル%以上10モル%以下である。いくつかの実施態様において、エチレン変性ポリビニルアルコールの数平均重合度は、200以上4000以下である。いくつかの実施態様において、エチレン変性ポリビニルアルコールの鹸化度は90モル%以上99.5モル%以下である。これらの理由は、紙製包装材料の酸素バリア性が良化すると共に耐水性を得ることができるからである。少なくとも一つの実施態様において、エチレン変性ポリビニルアルコールは、エチレン基の含有量が1モル%以上10モル%以下、数平均重合度が200以上4000以下及び鹸化度が90モル%以上99.5モル%以下である。
エチレン変性ポリビニルアルコールは、例えば、クラレ社等から市販される。
【0021】
第二塗工層は、エチレンと不飽和カルボン酸系単量体との共重合体から成るアイオノマー樹脂及びベントナイトを含有する。第二塗工層は、水蒸気バリア層として主に機能する。いくつかの実施態様において、第二塗工層は、第二塗工層中のエチレンと不飽和カルボン酸系単量体との共重合体から成るアイオノマー樹脂及びベントナイトの合計含有量が第二塗工層を形成する乾燥固形分に対して80質量%以上である。この理由は、紙製包装材料の水蒸気バリア性が良化するからである。また、いくつかの実施態様において、第二塗工層は、第二塗工層における前記アイオノマー樹脂の含有量がベントナイト100質量部に対して20質量部以上500質量部以下である。少なくとも一つの実施態様において、第二塗工層は、第二塗工層における前記アイオノマー樹脂の含有量がベントナイト100質量部に対して50質量部以上200質量部以下である。これらの理由は、紙製包装材料の水蒸気バリア性が特に良化するからである。また、いくつかの実施態様において、第二塗工層は、塗工量が乾燥固形分で3g/m2以上15g/m2以下である。この理由は、紙製包装材料の水蒸気バリア性が良化するからである。
少なくとも一つの実施態様において、第二塗工層は、第二塗工層中のエチレンと不飽和カルボン酸系単量体との共重合体から成るアイオノマー樹脂及びベントナイトの合計含有量が第二塗工層を形成する乾燥固形分に対して80質量%以上、第二塗工層中の前記アイオノマー樹脂の含有量が第二塗工層中のベントナイト100質量部に対して50質量部以上200質量部以下、及び第二塗工層の塗工量が乾燥固形分で3g/m2以上15g/m2以下である。
【0022】
第二塗工層は、本発明の効果を損なわない範囲において、塗工紙分野で従来公知の各種添加剤を含有することができる。添加剤の例としては、消泡剤、分散剤、濡れ剤、ベントナイト以外の顔料、エチレンと不飽和カルボン酸系単量体との共重合体から成るアイオノマー樹脂以外の樹脂及び着色剤等を挙げることができる。
【0023】
第二塗工層が含有するベントナイトは、第一塗工層が含有するベントナイトと同様であり、ここでは説明を割愛する。
【0024】
エチレンと不飽和カルボン酸系単量体との共重合体から成るアイオノマー樹脂は、エチレンと不飽和カルボン酸系単量体との共重合体に対して、前記共重合体が有するカルボキシ基の少なくとも一部を金属イオンで中和して成る樹脂である。前記金属イオンの例としては、ナトリウムイオン、カリウムイオン及び銀イオン等の1価陽イオン、並びに銅イオン、カルシウムイオン、バリウムイオン、亜鉛イオン及びマグネシウムイオン等の2価陽イオン、並びにアルミニウムイオン等の3価陽イオンを挙げることができる。いくつかの実施態様において、金属イオンは、ナトリウムイオン及びカリウムイオンから成る群から選ばれる一種又は二種である。また、いくつかの実施態様において、アイオノマー樹脂は、不飽和カルボン酸系単量体に対する金属イオンで中和された前記単量体の含有量が30モル%以上である。これらの理由は、紙製包装材料の水蒸気バリア性が良化するからである。
【0025】
不飽和カルボン酸系単量体は、エチレン列炭化水素において少なくとも1つのカルボキシ基を有する単量体であって、前記カルボキシ基の状態からカルボン酸、カルボン酸塩及びカルボン酸エステルがある。不飽和カルボン酸系単量体は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸及びブテントリカルボン酸等の不飽和カルボン酸、これらの塩である不飽和カルボン酸塩、並びにこれらのエステルである不飽和カルボン酸エステルを挙げることができる。
【0026】
エチレンと不飽和カルボン酸系単量体との共重合体から成るアイオノマー樹脂は、前記共重合体が有するカルボキシ基を金属イオンで中和するために、共重合体中の不飽和カルボン酸系単量体において不飽和カルボン酸を少なくとも有する。
【0027】
いくつかの実施態様において、エチレンと不飽和カルボン酸系単量体との共重合体から成るアイオノマー樹脂は、下記一般式で表される化合物である。
【0028】
【0029】
x、y及びzは、共重合体中の各単量体の構成比を表す。R1及びR2は水素原子、無置換アルキル基又は置換アルキル基を表す。R1とR2とは異なって構わない。Mは、カルボキシ基を中和する金属イオンの金属を表す。いくつかの実施態様において、R1及びR2は、水素原子又は炭素数1以上4以下の無置換アルキル基である。また、いくつかの実施態様において、Mは、ナトリウム及びカリウムから選ばれる一種又は二種である。少なくとも一つの実施態様において、R1及びR2が水素原子又は炭素数1以上4以下の無置換アルキル基及びMがナトリウム及びカリウムから選ばれる一種又は二種である。これらの理由は、水蒸気バリア性が良化するからである。
いくつかの実施態様において、エチレンと不飽和カルボン酸系単量体との共重合体から成るアイオノマー樹脂は、不飽和カルボン酸系単量体としてアクリル酸又はメタクリル酸を含む。この理由は、アイオノマー樹脂として入手し易いからである。
エチレンと不飽和カルボン酸系単量体との共重合体から成るアイオノマー樹脂は、例えば、三井化学社等から市販される。
【0030】
紙製包装材料は、紙支持体に対して第一塗工層及び第二塗工層を有することで、ポリ塩化ビニリデンを含有する樹脂層に匹敵する酸素バリア性及び水蒸気バリア性を有することができる。なおかつ紙製包装材料は、上記紙支持体と上記第一塗工層との相乗効果によって離解性に優れる。
【0031】
第三塗工層はヒートシール層である。ヒートシール層は、ヒートシールによって紙製包装材料を袋状に封止できるシール機能を有する。ヒートシール層である第三塗工層は、ヒートシール性を有する熱可塑性樹脂を含有する。いくつかの実施態様において、第三塗工層は、ヒートシール性を有する熱可塑性樹脂が第三塗工層を形成する乾燥固形分に対して70質量%以上である。少なくとも一つの実施態様において、第三塗工層は、ヒートシール性を有する熱可塑性樹脂が第三塗工層を形成する乾燥固形分に対して85質量%以上である。これらの理由は、シール強度が良化するからである。
【0032】
第三塗工層は、ヒートシール性を損なわない範囲において、塗工紙分野で従来公知の各種添加剤を含有することができる。添加剤の例としては、澱粉、各種変性澱粉、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース及びカルボキシメチルセルロース等の多糖類、ヒートシール性を有する熱可塑性樹脂以外の樹脂、離型剤、消泡剤、分散剤、濡れ剤、顔料、並びに着色剤等を挙げることができる。
【0033】
第三塗工層の塗工量は、ヒートシール性を発現する範囲において特に限定しない。いくつかの実施態様において、第三塗工層の塗工量は、紙支持体の坪量(g/m2)に対して乾燥固形分として15質量%以上35質量%以下である。この理由は、ヒートシールの加工がし易くなるからである。
【0034】
上記紙支持体に対して、上記第一塗工層、上記第二塗工層及び上記第三塗工層を設けることによって、紙製包装材料は、酸素バリア性及び水蒸気バリア性を有し、離解性に優れ、並びにヒートシールによる封止加工性が良好になる。
【0035】
ヒートシール性を有する熱可塑性樹脂は、包装材料分野で従来公知の樹脂である。ヒートシール性を有する熱可塑性樹脂の例としては、ポリエチレン及びポリプロピレン等のポリオレフィン、酸変性ポリエチレン及び酸変性ポリプロピレン等の酸変性ポリオレフィン、塩素化ポリエチレン及び塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレフィン、さらに不飽和カルボン酸系単量体の重合体、エチレンと不飽和カルボン酸系単量体との共重合体、エチレンと不飽和カルボン酸系単量体との共重合体から成るアイオノマー樹脂、スチレンと不飽和カルボン酸系単量体との共重合体、アクリロニトリルと不飽和カルボン酸系単量体との共重合体、メタクリロニトリルと不飽和カルボン酸系単量体との共重合体、エチレンとアクリロニトリルとの共重合体、エチレンとメタクリロニトリルとの共重合体、エチレンとウレタン系単量体との共重合体から成るアイオノマー樹脂、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体、スチレンとブタジエンとの共重合体、ポリアミド、ポリ乳酸及びその塩、並びにポリブチレンサクシネート及びポリブチレンサクシネートアジペート等の生分解性樹脂を挙げることができる。
【0036】
より具体的なヒートシール性を有する熱可塑性樹脂は、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸ブチル、エチレンアクリル酸共重合体、エチレンメタクリル酸共重合体、エチレンアクリル酸メチル共重合体、エチレンアクリル酸エチル共重合体、エチレンアクリル酸ブチル共重合体、エチレンメタクリル酸メチル共重合体、エチレンメタクリル酸エチル共重合体、エチレンメタクリル酸ブチル共重合体、エチレンアクリル酸アクリル酸メチル共重合体、エチレンアクリル酸アクリル酸エチル共重合体、エチレンアクリル酸アクリル酸ブチル共重合体、エチレンメタクリル酸メタクリル酸メチル共重合体、エチレンメタクリル酸メタクリル酸エチル共重合体、エチレンメタクリル酸メタクリル酸ブチル共重合体、スチレンアクリル酸共重合体、スチレンメタクリル酸共重合体、スチレンアクリル酸メチル共重合体、スチレンアクリル酸エチル共重合体、スチレンアクリル酸ブチル共重合体、スチレンメタクリル酸メチル共重合体、スチレンメタクリル酸エチル共重合体、スチレンメタクリル酸ブチル共重合体、スチレンアクリル酸アクリル酸メチル共重合体、スチレンアクリル酸アクリル酸エチル共重合体、スチレンアクリル酸アクリル酸ブチル共重合体、スチレンメタクリル酸メタクリル酸メチル共重合体、スチレンメタクリル酸メタクリル酸エチル共重合体、スチレンメタクリル酸メタクリル酸ブチル共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、エチレンアクリロニトリル共重合体、エチレンメタクリロニトリル共重合体、スチレンアクリロニトリル共重合体、スチレンメタクリロニトリル共重合体、エチレンアクリル酸共重合体のアイオノマー樹脂、エチレンメタクリル酸共重合体のアイオノマー樹脂、エチレンアクリル酸アクリル酸メチル共重合体のアイオノマー樹脂、エチレンメタクリル酸メタクリル酸メチル共重合体のアイオノマー樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、スチレンブタジエン共重合体、ナイロン、ポリ乳酸及びその塩、並びにポリブチレンサクシネート及びポリブチレンサクシネートアジペート等の生分解性樹脂を挙げることができる。
【0037】
第一塗工層、第二塗工層及び第三塗工層の各層は、各層を形成する塗工液を従来公知の塗工装置及び乾燥装置を用いて紙支持体又は層に対して塗工及び乾燥することによって得ることができる。塗工装置の例としては、フィルムプレスコーター、エアナイフコーター、ロッドコーター、ロッドブレードコーター、バーコーター、ブレードコーター、グラビアコーター、カーテンコーター、Eバーコーター、フィルムトランスファーコーター等を挙げることができる。乾燥装置の例としては、直線トンネル乾燥機、アーチドライヤー、エアループドライヤー、サインカーブエアフロートドライヤー等の熱風乾燥機、赤外線加熱ドライヤー、マイクロ波等を利用した乾燥機を挙げることができる。
【実施例0038】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。ここで「質量部」及び「質量%」は、乾燥固形分あるいは実質成分の各々値を表す。塗工量は乾燥固形分の値を表す。
【0039】
(実施例1)
<紙支持体の作製>
叩解処理によって濾水度が450mlcsfとなるように調製したLBKP50質量部と濾水度が480mlcsfとなるように調製したNBKP50質量部とをパルパーを用いて水中に分散して分散体を得た。KPとして100質量部を含む前記分散体に対して硫酸バンド1質量部、軽質炭酸カルシウム7質量部、カチオン化澱粉0.8質量部、ロジン系サイズ剤0.2質量部、歩留まり向上剤0.01質量部を加えてパルパーを用いてさらに分散した。その後、チェストタンクでアジター(登録商標)撹拌して抄紙用の紙料を得た。前記紙料を長網抄紙機で抄造し、坪量60g/m2の原紙を得た。前記原紙に対して、ラボソフトカレンダーを用いて、温度30℃及び処理速度3m/分、線圧23kg/cmの条件でカレンダー処理を施して紙支持体を得た。得られた紙支持体は、Messmer社のパーカープリントサーフラフネステスター、モデル58-06-00を用いて測定したパーカープリントサーフ表面粗さが3.1μmであった。
【0040】
<第一塗工層を形成する塗工液>
ベントナイト(ベンゲル(登録商標)HVP、ホージュン社)を水中に高速ミキサーで粉砕及び分散した分散液を得た。ベントナイトを100質量部含有する前記分散液に対してエチレン変性ポリビニルアルコール(エクセバール(登録商標)AQ-4104、クラレ社)が100質量部となるようにエチレン変性ポリビニルアルコール水溶液を混合し、さらに消泡剤0.2質量部を加えて第一塗工層を形成する塗工液を得た。
【0041】
<第二塗工層を形成する塗工液>
ベントナイト(ベンゲルHVP、ホージュン社)を水中に高速ミキサーで粉砕及び分散した分散液を得た。ベントナイトを100質量部含有する前記分散体に対してエチレンと不飽和カルボン酸系単量体との共重合体から成るアイオノマー樹脂(ケミパール(登録商標)S-300、三井化学社、不飽和カルボン酸系単量体としてメタクリル酸を含む)100質量部を混合し、さらに消泡剤0.2質量部を加えて第二塗工層を形成する塗工液を得た。
【0042】
<第三塗工層を形成する塗工液>
ヒートシール性を有する熱可塑性樹脂としてエチレンと不飽和カルボン酸系単量体との共重合体(ザイクセン(登録商標)A、住友精化社、不飽和カルボン酸系単量体としてアクリル酸を含む)100質量部と消泡剤0.5質量部を水に分散し、第三塗工層を形成する塗工液を得た。
【0043】
<紙製包装材料>
紙支持体の片面に対して、第一塗工層を形成する塗工液をロッドコーターで塗工及び熱風乾燥機で乾燥した。塗工量は4g/m2になるよう塗工液濃度及び/又はコーター条件を調整した。次に、前記第一塗工層に対して、第二塗工層を形成する塗工液をエアナイフコーターで塗工及び熱風乾燥機で乾燥した。塗工量は5g/m2になるように塗工液濃度及び/又はコーター条件を調整した。続いて、前記第二塗工層に対して、第三塗工層を形成する塗工液をエアナイフコーターで塗工及び熱風乾燥機で乾燥した。塗工量は15g/m2になるように塗工液濃度及び/又はコーター条件を調整した。
以上により、紙支持体に対して第一塗工層、第二塗工層及び第三塗工層を有する紙製包装材料を得た。
【0044】
(実施例2)
実施例1において、上記線圧を20kg/cmに変更する以外は実施例1と同様にして紙製包装材料を得た。紙支持体は、Messmer社のパーカープリントサーフラフネステスター、モデル58-06-00を用いて測定したパーカープリントサーフ表面粗さが3.5μmであった。
【0045】
(比較例1)
実施例1において、上記線圧を33kg/cmに変更する以外は実施例1と同様にして紙製包装材料を得た。紙支持体は、Messmer社のパーカープリントサーフラフネステスター、モデル58-06-00を用いて測定したパーカープリントサーフ表面粗さが1.5μmであった。
【0046】
(比較例2)
実施例1において、上記線圧を8.3kg/cmに変更する以外は実施例1と同様にして紙製包装材料を得た。紙支持体は、Messmer社のパーカープリントサーフラフネステスター、モデル58-06-00を用いて測定したパーカープリントサーフ表面粗さが4.6μmであった。
【0047】
(比較例3)
実施例1において、上記線圧を5kg/cmに変更する以外は実施例1と同様にして紙製包装材料を得た。紙支持体は、Messmer社のパーカープリントサーフラフネステスター、モデル58-06-00を用いて測定したパーカープリントサーフ表面粗さが6.2μmであった。
【0048】
(比較例4)
実施例1において、第一塗工層を形成する塗工液のベントナイトをカオリン(ASP(登録商標)200、BASF社)に変更した以外は実施例1と同様にして紙製包装材料を得た。
【0049】
(比較例5)
実施例1において、第二塗工層を形成する塗工液のベントナイトを軽質炭酸カルシウム(カルライト(登録商標)SA、太陽化学工業社)に変更した以外は実施例1と同様にして紙製包装材料を得た。
【0050】
(比較例6)
実施例1において、第一塗工層を形成する塗工液のエチレン変性ポリビニルアルコールを未変性ポリビニルアルコール(ゴーセノール(登録商標)N-300、三菱ケミカル社)に変更した以外は実施例1と同様にして紙製包装材料を得た。
【0051】
(比較例7)
実施例1において、第二塗工層を形成する塗工液のアイオノマー樹脂をスチレンブタジエン共重合体(Nipol(登録商標)LX430、日本ゼオン社)に変更した以外は実施例1と同様にして紙製包装材料を得た。
【0052】
(比較例8)
実施例1において、第三塗工層を形成する塗工液を塗工しない以外は実施例1と同様にして紙製包装材料を得た。
【0053】
(比較例9)
紙支持体の片面に対して、下記の第一塗工層を形成する塗工液をロッドコーターで塗工及び熱風乾燥機で乾燥した。塗工量は9g/m2になるよう塗工液濃度及び/又はコーター条件を調整した。次に、前記第一塗工層に対して、第二塗工層として実施例1の第三塗工層を形成する塗工液をエアナイフコーターで塗工及び熱風乾燥機で乾燥した。塗工量は15g/m2になるように塗工液濃度及び/又はコーター条件を調整した。
以上により、紙支持体に対して2層を有する紙製包装材料を得た。
【0054】
<第一塗工層を形成する塗工液>
ポリ塩化ビニリデン(サランラテックス(登録商標)L411A、旭化成社)100質量部と消泡剤0.2質量部を水に分散し、第一塗工層を形成する塗工液を得た。
【0055】
各実施例及び各比較例の紙製包装材料について、酸素バリア性、水蒸気バリア性、離解性及び封止加工性を評価した。結果は、表1に記載する。
【0056】
【0057】
<酸素バリア性の評価>
酸素バリア性の評価は、ISO15105-2:2003「Plastics-Film and sheeting - Determination of gas-transmission rate - Part2 : Equal-pressure method」(JIS K7126-2:2006「プラスチック -フィルム及びシート- ガス透過度試験方法-第2部:等圧法」)に準じて、酸素透過率測定装置(OX-TRAN-2/22L、MOCON社)を使用した測定結果から行った。測定は、第一塗工層及び第二塗工層を有しない側をガスの供給面として行った。ガス透過度試験のガスには酸素ガスを用いた。温度及び湿度の条件は23±0.5℃及び相対湿度85±2%とした。本発明において、紙製包装材料は、酸素透過度5cc/m2・24h・atm以下であれば酸素バリア性を有するものとする。なお、酸素透過度の値が小さいほど酸素バリア性に優れる。
【0058】
<水蒸気バリア性の評価>
水蒸気バリア性の評価は、JIS Z0208:1976「防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)」に準じて実施した測定結果から行った。測定は、紙支持体に対して第一塗工層及び第二塗工層を有する側を外側にして行った。温度及び湿度の条件は40±0.5℃及び相対湿度90±2%とした。本発明において、紙製包装材料は、透湿度10g/m2・24h以下であれば水蒸気バリア性を有するものとする。なお、透湿度の値が小さいほど水蒸気バリア性に優れる。
【0059】
<離解性>
標準パルプ離解機(容量2L、熊谷理機工業社)を用い、2cm角に裁断した紙製包装材料15gを1.5Lの水に投入し、回転数3000rpmで20分間撹拌した。離解性の評価は、離解物において紙支持体から樹脂の分離状態を目視で観察して下記の基準によって行った。本発明において、紙製包装材料は、Aの評価であれば離解性に優れるものとする。
A:紙支持体の離解物に対して樹脂が分離できている。
B:紙支持体の離解物に対して樹脂が分離できていない。
【0060】
<ヒートシールによる封止加工性>
ヒートシール層である第三塗工層を形成する塗工液を塗工しない比較例8では、ヒートシールによる封止加工性を評価しなかった。
封止加工性の評価は、紙製包装材料の第三塗工層が内側になるようにピロー袋を10部作製し、ピロー袋のヒートシール部においてヨレ及びシワの発生を目視で観察し、下記の基準で行った。ヒートシールには、ヒートシールテスター(TP-701-B、テスター産業社)を使用した。本発明において、紙製包装材料は、Aの評価であれば封止加工性が良好であるものとする。
A:ピロー袋10部にヨレ及びシワの発生が認められない。
B:ピロー袋の少なくとも1部にヨレ及び/又はシワの発生が認められる。
【0061】
本発明に該当する実施例1及び2は、酸素バリア性及び水蒸気バリア性を有し、離解性に優れ、並びにヒートシールによる封止加工性が良好な紙製包装材料であると分かる。一方、本発明の構成を満足しない比較例1~9は、本発明に係る効果の少なくとも一つを満足できない紙製包装材料であると分かる。