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特開2022-149494印刷装置、印刷方法、及び印刷プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149494
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】印刷装置、印刷方法、及び印刷プログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20220929BHJP
   B41J 2/175 20060101ALI20220929BHJP
   B41J 2/14 20060101ALI20220929BHJP
   B41J 2/21 20060101ALI20220929BHJP
   B41J 2/165 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
B41J2/01 201
B41J2/01 107
B41J2/01 203
B41J2/175 503
B41J2/01 451
B41J2/14
B41J2/21
B41J2/165 201
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021051689
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森川 彰太
(72)【発明者】
【氏名】近藤 智哉
【テーマコード(参考)】
2C056
2C057
【Fターム(参考)】
2C056EB25
2C056EB41
2C056EB47
2C056EB59
2C056EC80
2C056EE08
2C056FA11
2C057AG29
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ヘッドの色再現の個体差による色再現性の低下を防止する。
【解決手段】印刷装置は、インクを吐出するノズルを有する第1ヘッドと、第1ヘッドと同じ色のインクを吐出するノズルを有する第2ヘッドと、第1ヘッド及び第2ヘッドを支持し、往復移動可能であるキャリッジと、記憶装置と、制御装置71と、を備え、制御装置は、第1モード及び第1モードに比べて高い色再現性を有する画像印刷を実行するための第2モードを含む複数の動作モードのうち1の動作モードに設定し、第1ヘッド及び第2ヘッドのうち一方のヘッドを、第2モードにおいて用いる使用ヘッドとして選択し、第1モードに設定されている状態では、第1ヘッド及び第2ヘッドにインクを吐出させて印刷を実行し、第2モードに設定されている状態では、使用ヘッドにインクを吐出させ、使用ヘッド以外のヘッドからインクを吐出させずに印刷を実行する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出するノズルを有する第1ヘッドと、
前記第1ヘッドと同じ色のインクを吐出するノズルを有する第2ヘッドと、
前記第1ヘッド及び前記第2ヘッドを支持し、往復移動可能であるキャリッジと、
記憶装置と、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
第1モード及び前記第1モードに比べて高い色再現性を有する画像印刷を実行するための第2モードを含む複数の動作モードのうち1の前記動作モードに設定する動作モード設定処理と、
前記第1ヘッド及び前記第2ヘッドのうち一方のヘッドを、前記第2モードにおいて用いる使用ヘッドとして選択する使用ヘッド選択処理と、
前記第1モードに設定されている状態では、前記第1ヘッド及び前記第2ヘッドに前記インクを吐出させて印刷を実行し、前記第2モードに設定されている状態では、前記使用ヘッドに前記インクを吐出させると共に前記使用ヘッド以外のヘッドから前記インクを吐出させずに印刷を実行する印刷処理と、
を実行する、印刷装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記第1ヘッド及び前記第2ヘッドの制御履歴を前記記憶装置に記憶させる制御履歴格納処理を更に実行し、
前記制御装置は、前記使用ヘッド選択処理において、前記制御履歴に基づいて、前記第1ヘッド及び前記第2ヘッドのうち一方のヘッドを前記使用ヘッドとして選択する第1選択処理を実行する、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記第1ヘッド及び前記第2ヘッドは交換可能であり、
前記制御装置は、
前記ノズルの前記インクを排出するクリーニング処理を更に実行し、
前記制御履歴格納処理において、前記クリーニング処理の実行履歴、前記第1ヘッド及び前記第2ヘッドの交換後の経過時間を算出するためのヘッド交換時特定情報、及び前記インクの総吐出量を算出するためのインク総吐出量特定情報を、前記記憶装置に記憶させ、
前記第1選択処理において、前記クリーニング処理の実行回数が少ないヘッド、前記経過時間が少ないヘッド、前記総吐出量が少ないヘッドの順に優先して前記第1ヘッド及び前記第2ヘッドのうち一方のヘッドを前記使用ヘッドとして選択する、請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記記憶装置は、前記ノズルの前記インクの吐出特性を示す吐出特性情報を記憶し、
前記制御装置は、前記使用ヘッド選択処理において、前記吐出特性情報に基づいて、前記第1ヘッド及び前記第2ヘッドのうち一方のヘッドを前記使用ヘッドとして選択する第2選択処理を実行する、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記第1ヘッド及び前記第2ヘッドは、前記ノズルを複数有し、
前記吐出特性情報は、前記ノズルの径のばらつきを示す情報であり、
前記制御装置は、前記第2選択処理において、前記第1ヘッド及び前記第2ヘッドのうち前記ばらつきが少ないヘッドを前記使用ヘッドとして選択する請求項4に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記第1ヘッド及び前記第2ヘッドは、前記ノズルを複数有し、
前記吐出特性情報は、前記ノズルから吐出される前記インクの最小液滴量を示す情報であり、
前記制御装置は、前記第2選択処理において、前記第1ヘッド及び前記第2ヘッドのうち前記ノズルから吐出される前記最小液滴量が多い前記ヘッドを前記使用ヘッドとして選択する、請求項4に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記記憶装置は、前記第1ヘッド内の所定の第1特徴量の第1代表値、前記第2ヘッド内の所定の第2特徴量の第2代表値、前記第1ヘッドの前記第1特徴量の第1個別値及び前記第2ヘッドの前記第2特徴量の第2個別値を記憶し、
前記制御装置は、前記使用ヘッド選択処理において、前記第1個別値の前記第1代表値からの乖離が前記第2個別値の前記第2代表値からの乖離より小さい場合、前記第1ヘッドを前記使用ヘッドとして選択し、前記第2個別値の前記第2代表値からの乖離が前記第1個別値の前記第1代表値からの乖離より小さい場合、前記第2ヘッドを前記使用ヘッドとして選択する第3選択処理を実行する、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記特徴量は、前記ノズルの径、前記ノズルにインクを供給するインク流路の幅、又は前記インク流路の経路長である、請求項7に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記記憶装置は、前記印刷装置における前記第1ヘッド及び前記第2ヘッドの配置に基づく優先度を記憶し、
前記制御装置は、前記使用ヘッド選択処理において、前記優先度の高さに基づいて、前記第1ヘッド及び前記第2ヘッドのうち一方のヘッドを前記使用ヘッドとして選択する第4選択処理を実行する、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項10】
インクタンクと、
前記インクタンクと前記第1ヘッドとの間の前記インクの流路である第1インクチューブと、
前記インクタンクと前記第2ヘッドとの間の前記インクの流路である第2インクチューブと、を更に有し、
前記記憶装置は、前記第1インクチューブが前記第2インクチューブよりも長さが短い場合、前記第1ヘッドが前記第2ヘッドよりも優先度の高いヘッドとして記憶し、前記第2インクチューブが前記第1インクチューブよりも長さが短い場合、前記第2ヘッドが前記第1ヘッドよりも優先度の高いヘッドとして記憶する、請求項9に記載の印刷装置。
【請求項11】
被記録媒体を前記第1ヘッド及び前記第2ヘッドの移動方向である主走査方向に交差する副走査方向へ搬送し、前記被記録媒体を排出口から排出する媒体搬送機構を更に有し、
前記第1ヘッド及び前記第2ヘッドは、前記副走査方向において、互いに異なった位置に配置され、
前記記憶装置は、前記第1ヘッド及び前記第2ヘッドのうち前記被記録媒体の搬送方向下流側に位置するヘッドを優先度の高いヘッドとして記憶する、請求項9に記載の印刷装置。
【請求項12】
被記録媒体を前記第1ヘッド及び前記第2ヘッドの移動方向である主走査方向に交差する副走査方向へ搬送し、前記被記録媒体を排出口から排出する媒体搬送機構を更に有し、
前記第1ヘッド及び前記第2ヘッドは、前記副走査方向において、互いに異なった位置に配置され、
前記記憶装置は、前記排出口から遠くに位置するヘッドを優先度の高いヘッドとして記憶する、請求項9に記載の印刷装置。
【請求項13】
前記記憶装置は、前記ノズルの前記インクの吐出特性を示す吐出特性情報を記憶し、
前記制御装置は、前記第1ヘッド及び前記第2ヘッドの制御履歴を前記記憶装置に記憶させる制御履歴格納処理を更に実行し、
前記制御装置は、前記使用ヘッド選択処理において、
前記制御履歴に基づいて、前記第1ヘッド及び前記第2ヘッドのうち一方のヘッドを前記使用ヘッドとして選択する第1選択処理と、
前記吐出特性情報に基づいて、前記第1ヘッド及び前記第2ヘッドのうち一方のヘッドを前記使用ヘッドとして選択する第2選択処理と、を実行し、
前記第1選択処理を前記第2選択処理に優先して前記使用ヘッドの選択に用いる、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項14】
前記記憶装置は、前記第1ヘッド内の所定の第1特徴量の第1代表値、前記第2ヘッド内の所定の第2特徴量の第2代表値、前記第1ヘッドの前記第1特徴量の第1個別値及び前記第2ヘッドの前記第2特徴量の第2個別値を記憶し、
前記制御装置は、前記第1ヘッド及び前記第2ヘッドの制御履歴を前記記憶装置に記憶させる制御履歴格納処理を更に実行し、
前記制御装置は、前記使用ヘッド選択処理において、
前記制御履歴に基づいて、前記第1ヘッド及び前記第2ヘッドのうち一方のヘッドを前記使用ヘッドとして選択する第1選択処理と、
前記第1個別値の前記第1代表値からの乖離が前記第2個別値の前記第2代表値からの乖離よりも小さい場合、前記第1ヘッドを前記使用ヘッドとして選択し、前記第2個別値の前記第2代表値からの乖離が前記第1個別値の前記第1代表値からの乖離より小さい場合、前記第2ヘッドを前記使用ヘッドとして選択する第3選択処理と、を実行し、
前記第1選択処理を前記第3選択処理に優先して前記使用ヘッドの選択に用いる、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項15】
前記記憶装置は、前記印刷装置における前記第1ヘッド及び前記第2ヘッドの配置に基づく優先度を記憶し、
前記制御装置は、前記第1ヘッド及び前記第2ヘッドの制御履歴を前記記憶装置に記憶させる制御履歴格納処理を更に実行し、
前記制御装置は、前記使用ヘッド選択処理において、
前記制御履歴に基づいて、前記第1ヘッド及び前記第2ヘッドのうち一方のヘッドを前記使用ヘッドとして選択する第1選択処理と、
前記優先度の高さに基づいて、前記第1ヘッド及び前記第2ヘッドのうち一方のヘッドを前記使用ヘッドとして選択する第4選択処理と、を実行し、
前記第1選択処理を前記第4選択処理に優先して前記使用ヘッドの選択に用いる、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項16】
前記記憶装置は、前記ノズルの前記インクの吐出特性を示す吐出特性情報、前記第1ヘッド内の所定の第1特徴量の第1代表値、前記第2ヘッド内の所定の第2特徴量の第2代表値、前記第1ヘッドの前記第1特徴量の第1個別値及び前記第2ヘッドの前記第2特徴量の第2個別値を記憶し、
前記制御装置は、前記使用ヘッド選択処理において、
前記吐出特性情報に基づいて、前記第1ヘッド及び前記第2ヘッドのうち一方のヘッドを前記使用ヘッドとして選択する第2選択処理と、
前記第1個別値の前記第1代表値からの乖離が前記第2個別値の前記第2代表値の乖離よりも小さい場合、前記第1ヘッドを前記使用ヘッドとして選択し、前記第2個別値の前記第2代表値からの乖離が前記第1個別値の前記第1代表値からの乖離より小さい場合、前記第2ヘッドを前記使用ヘッドとして選択する第3選択処理と、を実行し、
前記第2選択処理を前記第3選択処理に優先して前記使用ヘッドの選択に用いる、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項17】
前記記憶装置は、前記ノズルの前記インクの吐出特性を示す吐出特性情報と、前記印刷装置における前記第1ヘッド及び前記第2ヘッドの配置に基づく優先度と、を記憶し、
前記制御装置は、前記使用ヘッド選択処理において、
前記吐出特性情報に基づいて、前記第1ヘッド及び前記第2ヘッドのうち一方のヘッドを前記使用ヘッドとして選択する第2選択処理と、
前記優先度の高さに基づいて、前記第1ヘッド及び前記第2ヘッドのうち一方のヘッドを前記使用ヘッドとして選択する第4選択処理と、を実行し、
前記第2選択処理を前記第4選択処理に優先して前記使用ヘッドの選択に用いる、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項18】
前記記憶装置は、前記第1ヘッド内の所定の第1特徴量の第1代表値、前記第2ヘッド内の所定の第2特徴量の第2代表値、前記第1ヘッドの前記第1特徴量の第1個別値、前記第2ヘッドの前記第2特徴量の第2個別値、及び前記印刷装置における前記第1ヘッド及び前記第2ヘッドの配置に基づく優先度を記憶し、
前記制御装置は、前記使用ヘッド選択処理において、
前記第1個別値の前記第1代表値からの乖離が前記第2個別値の前記第2代表値からの乖離よりも小さい場合、前記第1ヘッドを前記使用ヘッドとして選択し、前記第2個別値の前記第2代表値からの乖離が前記第1個別値の前記第1代表値からの乖離より小さい場合、前記第2ヘッドを前記使用ヘッドとして選択する第3選択処理と、
前記優先度の高さに基づいて、前記第1ヘッド及び前記第2ヘッドのうち一方のヘッドを前記使用ヘッドとして選択する第4選択処理と、を実行し、
前記第3選択処理を前記第4選択処理に優先して前記使用ヘッドの選択に用いる、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項19】
インクを吐出するノズルを有する第1ヘッドと、前記第1ヘッドと同じ色のインクを吐出するノズルを有する第2ヘッドと、前記第1ヘッド及び前記第2ヘッドを支持し、往復移動可能であるキャリッジと、を備える印刷装置を用いた印刷方法であって、
第1モード及び前記第1モードに比べて高い色再現性を有する画像印刷を実行するための第2モードを含む複数の動作モードのうち1の前記動作モードに設定する動作モード設定工程と、
前記第1ヘッド及び前記第2ヘッドのうち一方のヘッドを、前記第2モードにおいて用いる使用ヘッドとして選択する使用ヘッド選択工程と、
前記第1モードに設定されている状態では、前記第1ヘッド及び前記第2ヘッドに前記インクを吐出させて印刷を実行し、前記第2モードに設定されている状態では、前記使用ヘッドに前記インクを吐出させると共に、前記使用ヘッド以外のヘッドから前記インクを吐出させずに印刷を実行する印刷工程と、
を備える、印刷方法。
【請求項20】
インクを吐出するノズルを有する第1ヘッドと、前記第1ヘッドと同じ色のインクを吐出するノズルを有する第2ヘッドと、前記第1ヘッド及び前記第2ヘッドを支持し、往復移動可能であるキャリッジとを備える印刷装置におけるコンピュータに実行させる印刷プログラムであって、
前記コンピュータを、
第1モード及び前記第1モードに比べて高い色再現性を有する画像印刷を実行するための第2モードを含む複数の動作モードのうち1の前記動作モードに設定する動作モード設定部、
前記第1ヘッド及び前記第2ヘッドのうち一方のヘッドを、前記第2モードにおいて用いる使用ヘッドとして選択する使用ヘッド選択部、及び、
前記第1モードに設定されている状態では、前記第1ヘッド及び前記第2ヘッドに前記インクを吐出させて印刷を実行し、前記第2モードに設定されている状態では、前記使用ヘッドに前記インクを吐出させると共に、前記使用ヘッド以外のヘッドから前記インクを吐出させずに印刷を実行する印刷部、
として機能させる、印刷プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置、印刷方法、及び印刷プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から媒体に印刷を行うインクジェットプリンター等の液体噴射装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この液体噴射装置は、第1噴射ヘッド及び第2噴射ヘッドが設けられ、操作方向に往復移動可能なキャリッジと、媒体を搬送方向に移動させる紙送り機構とを有する。そして、印刷実行時には、媒体を搬送方向に間欠搬送しつつ、噴射ヘッドからインクを媒体に向けて噴射させながらキャリッジを走査方向に往復移動させる。
【0004】
そして、第1噴射ヘッド及び第2噴射ヘッドは、媒体の搬送方向において異なる位置に配置され、一回の移動によって、搬送方向にインクを噴射できる範囲を広くすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-66836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、噴射ヘッドには製造ばらつき等に起因して色再現にばらつきがある。したがって、特許文献1に記載の液体噴射装置は、複数の噴射ヘッドの色再現性を揃えることは困難であり、高い色再現性が求められる画像印刷には適さないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明のある態様に係る印刷装置は、インクを吐出するノズルを有する第1ヘッドと、前記第1ヘッドと同じ色のインクを吐出するノズルを有する第2ヘッドと、前記第1ヘッド及び前記第2ヘッドを支持し、往復移動可能であるキャリッジと、記憶装置と、制御装置と、を備え、前記制御装置は、第1モード及び前記第1モードに比べて高い色再現性を有する画像印刷を実行するための第2モードを含む複数の動作モードのうち1の前記動作モードに設定する動作モード設定処理と、前記第1ヘッド及び前記第2ヘッドのうち一方のヘッドを、前記第2モードにおいて用いる使用ヘッドとして選択する使用ヘッド選択処理と、前記第1モードに設定されている状態では、前記第1ヘッド及び前記第2ヘッドに前記インクを吐出させて印刷を実行し、前記第2モードに設定されている状態では、前記使用ヘッドに前記インクを吐出させると共に前記使用ヘッド以外のヘッドから前記インクを吐出させずに印刷を実行する印刷処理と、を実行するよう構成されている。
【0008】
この構成によれば、ヘッドの色再現の個体差による色再現性の低下を防止することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、ヘッドの色再現の個体差による色再現性の低下を防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る印刷装置の構成例を示す斜視図である。
図2図1の印刷装置のキャリッジに搭載された吐出ヘッド及びこの吐出ヘッドにインクを供給する機構の構成例を示す平面図である。
図3図1の印刷装置の制御系統の構成例を概略的に示すブロック図である。
図4図1の印刷装置の制御装置の構成例を概略的に示すブロック図である。
図5図1の印刷装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図6図1の印刷装置のパッチ用画像データの印刷処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図7図1の印刷装置の使用ヘッド選択処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図8図1の印刷装置の第1選択処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図9図1の印刷装置の第2選択処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図10図1の印刷装置の第3選択処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図11図1の印刷装置の第4選択処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図12図1の印刷装置の色校正処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図13図1の印刷装置の本印刷データ生成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図14図1の印刷装置の本印刷画像の印刷処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図15図1の印刷装置の動作例における本印刷画像の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、以下では、全ての図を通じて、同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0012】
本明細書で開示する要素の機能は、開示された機能を実行するよう構成又はプログラムされた汎用プロセッサ、専用プロセッサ、集積回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)、従来の回路、及び/又は、それらの組み合わせ、を含む回路又は処理回路を使用して実行できる。プロセッサは、トランジスタやその他の回路を含むため、処理回路又は回路と見なされる。本開示において、回路、ユニット、又は手段は、列挙された機能を実行するハードウェアであるか、又は、列挙された機能を実行するようにプログラムされたハードウェアである。ハードウェアは、本明細書に開示されているハードウェアであってもよいし、あるいは、列挙された機能を実行するようにプログラム又は構成されているその他の既知のハードウェアであってもよい。ハードウェアが回路の一種と考えられるプロセッサである場合、回路、手段、又はユニットはハードウェアとソフトウェアの組み合わせであり、ソフトウェアはハードウェア及び/又はプロセッサの構成に使用される。
【0013】
図1は一実施形態に係る液体吐出装置20を備える印刷装置1を示す斜視図である。図1において、互いに直交する方向を、上下方向、左右方向、及び前後方向とする。なお、左右方向が主走査方向Dsであり、前後方向が当該主走査方向Dsに直交する方向である副走査方向(搬送方向に相当)Dfである。副走査方向Dfは、主走査方向Dsに交差する方向であっても良い。この印刷装置1は、印刷用紙等の被記録媒体Wへの印刷のみならず、例えば樹脂や金属等の非浸透媒体の被記録媒体Wにも印刷を行うことが可能なものであってもよい。
【0014】
図1に示すように、本実施形態の印刷装置1は、筐体2と、操作キー4と、表示入力部5と、トレイ7と、上部カバー8と、液体吐出装置20とを備える。本実施形態では、液体吐出装置20は、キャリッジ3と、ステージ6を含む媒体搬送機構9(図3)と、2つの吐出ヘッド10(第1ヘッド10A,第2ヘッド10B)と、制御装置71(図3図4)とを有している。
【0015】
図2は、印刷装置1のキャリッジ3に搭載された吐出ヘッド10及びこの吐出ヘッド10にインクを供給する機構の構成例を示す平面図である。図1及び図2に示すように、第1ヘッド10Aは、例えばカラーインクと総称されることがあるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の各色のインクに対応する複数のノズル列が設けられている。複数のノズル列は、主走査方向Ds方向に一定間隔で並んで配置されている。また、各ノズル列は副走査方向Dfに沿って一定間隔で並んで配置された複数のノズル11を含み、ノズル11は対応する色のインクを吐出する。第2ヘッド10Bは、第1ヘッド10Aと同様に構成され、第1ヘッド10Aと同じ色のインクを吐出する複数のノズル11を有する。また、第1ヘッド10A及び第2ヘッド10Bは、副走査方向Dfにおいて、互いに異なった位置に配置されている。例えば、第1ヘッド10Aは、副走査方向Dfにおいて、第2ヘッド10Bよりも上流側に配置されている。そして、第1ヘッド10Aのノズル列の下流側の端部と、第2ヘッド10Bのノズル列の上流側の端部とは副走査方向Dfにおいて重なるように配置されている。
【0016】
そして、キャリッジ3の1回の移動で第1ヘッド10Aが印刷する領域の副走査方向Df方向の寸法と、第2ヘッド10Bが印刷する領域の副走査方向Df方向の寸法とが同一となるように、第1ヘッド10A及び第2ヘッド10Bの一部のノズル11からは印刷時にインクを吐出しないように制御される。具体的には、第1ヘッド10Aのノズル列を構成するノズル11のうち、第1ヘッド10Aが印刷する領域の下流側の端に対応するノズル11よりも更に下流側のノズル11、及び第2ヘッド10Bのノズル列を構成するノズル11のうち、第2ヘッド10Bが印刷する領域の上流側の端に対応するノズル11よりも更に上流側のノズル11からは、印刷時にインクを吐出しないように制御される。これによって、容易に第1ヘッド10Aが印刷する領域の副走査方向Df方向の寸法と、第2ヘッド10Bが印刷する領域の副走査方向Df方向の寸法とを一致させることができる。また、第1ヘッド10Aが印刷する領域と第2ヘッド10Bが印刷する領域との間に隙間が生じることを防止することができる。また、第1ヘッド10A及び第2ヘッド10Bは、キャリッジ3に着脱可能に設けられ、交換可能である。
【0017】
筐体2は例えば箱状に形成されている。筐体2は前面に開口部2aを有すると共に背面に図略の開口部を有している。筐体2の右側前方の位置には操作キー4が設けられている。また、操作キー4の後方の位置には表示入力部5が設けられている。操作キー4はユーザによる操作入力を受け付ける。表示入力部5は例えばタッチパネル式ディスプレイであり、所定情報を表示する。また、表示入力部5は所定のタイミングで操作キーとしても機能する。制御装置71は、操作キー4及び表示入力部5からの入力又は後述のネットワークインターフェース70を介した外部入力に基づき印刷機能を実現すると共に、表示入力部5の表示を制御する。
【0018】
キャリッジ3は主走査方向Dsに沿って往復移動可能に構成されている。ヘッド10はキャリッジ3に支持され搭載されている。これにより、ヘッド10は主走査方向Dsに沿って往復動可能となっている。
【0019】
また、液体吐出装置20は、インクタンク51を有する。インクタンク51は例えばキャリッジ3の外部に設けられている。インクタンク51はイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の各色のインクタンクを有する。そして、各色のインクタンクと第1ヘッド10Aの対応する色のインクを吐出するノズル11とをそれぞれインクの流路である第1インクチューブ52が接続している。また、各色のインクタンクと第2ヘッド10Bの対応する色のインクを吐出するノズル11とをそれぞれインクの流路である第2インクチューブ53が接続している。第1インクチューブ52及び第2インクチューブ53は柔軟性を有し、インクタンク51のインクが各ノズルに供給され、吐出される。
【0020】
媒体搬送機構9は、被記録媒体Wを載置可能であるステージ6を有する。ステージ6は所定の厚みを有し、例えば副走査方向Dfを長手方向とする矩形状の板材により構成される。ステージ6は媒体搬送機構9により副走査方向Df方向へ搬送され、被記録媒体Wへの印刷を実行する印刷位置と被記録媒体Wをステージ6から取り出す着脱位置との間で移動可能に構成されている。印刷位置とはステージ6がヘッド10に対向する位置であり、着脱位置とはステージ6が筐体2の外側に配置される位置であって被記録媒体Wをステージ6上に載置可能な位置である。印刷時には、媒体搬送機構9がステージ6を副走査方向Df(つまり搬送方向)に移動させるので、ステージ6上に載置された被記録媒体Wも搬送方向に搬送されるようになっている。そして、印刷が完了すると、媒体搬送機構9は、ステージ6を移動させ、被記録媒体Wを排出口12から排出する。
【0021】
トレイ7はステージ6の下方に設けられている。トレイ7は所定の厚みを有し、例えば副走査方向Dfを長手方向とする矩形状の板材により構成される。また、上部カバー8は、その前部を持ち上げると、回動可能に構成された基端を支点として上方へ回動するように構成されている。これにより、筐体2の内部が露出するようになっている。
【0022】
次に、本実施形態の液体吐出装置20を備える印刷装置1の他の構成についてブロック図を参照しつつ説明する。
【0023】
図3は、印刷装置1の構成例を概略的に示すブロック図である。なお、図3図15において、主走査方向Ds及び副走査方向Dfの矢印の向きは、上流側から下流側に向けている。本実施形態の印刷装置1は、上記の構成要素の他に、図3に示すように、ネットワークインターフェース(I/F)70、CPU等で構成される制御装置71、RAM、ROM等のメモリを有する記憶装置75、ヘッドドライバIC74、記録媒体読取り装置77、モータドライバIC30,32、搬送モータ31、及びキャリッジモータ33を備えている。搬送モータ31は、搬送装置に相当するステージ6を動作させることで、被記録媒体Wをキャリッジ3の移動する方向(つまり主走査方向Ds)と直交する方向である搬送方向(つまり副走査方向Df)に搬送する。なお、制御装置71はコンピュータに相当する。
【0024】
図4は、制御装置71の構成例を概略的に示すブロック図である。制御装置71は、その機能的構成として、動作モード設定実行部81、使用ヘッド選択実行部82、印刷実行部83、制御履歴格納実行部84、クリーニング実行部85、色校正実行部86、及び本印刷データ生成実行部87を有している。制御装置71が所定のプログラムを実行することによって、上記の動作モード設定実行部81、使用ヘッド選択実行部82、印刷実行部83、制御履歴格納実行部84、クリーニング実行部85、色校正実行部86、及び本印刷データ生成実行部87が機能的に実現される。
【0025】
そして、動作モード設定実行部81は、第1モード、及び第2モードを含む複数の動作モードのうち1の動作モードに設定する動作モード設定処理を実行する。第2モードは、第1モードに比べて高い色再現性を有する画像印刷を実行するための動作モードである。具体的には、例えば、動作モード設定実行部81が現在の動作モードを記憶装置75に記憶させる。動作モード設定実行部81は、色校正の結果に応じて1の動作モードに設定する(詳細は後述)。しかし、これに限られるものではなく、動作モード設定実行部81は、ユーザが表示入力部5又はコンピュータ200に入力した動作モード選択指示において指示した1の動作モードに設定してもよい。
【0026】
使用ヘッド選択実行部82は、第1ヘッド10A及び第2ヘッド10Bのうち一方のヘッド10を、第2モードにおいて用いる使用ヘッドとして選択する使用ヘッド選択処理を実行する。また、使用ヘッド選択実行部82は、第1選択処理を実行する第1選択実行部82a、第2選択処理を実行する第2選択実行部82b、第3選択処理を実行する第3選択実行部82c、及び第4選択処理を実行する第4選択実行部82dを有する。
【0027】
印刷実行部83は、印刷処理を実行し、インク吐出実行部83a、搬送実行部83c、及びキャリッジ移動実行部83dを有している。
【0028】
インク吐出実行部83aはヘッド10に上記のカラーインクを吐出させる吐出処理を実行する。具体的には、インク吐出実行部83aは、被記録媒体Wに形成される画像に対応してインクの液滴を吐出させるためのラスタデータに基づき、ヘッドドライバIC74にヘッド10のアクチュエータの動作を制御させる。これにより、ヘッド10によってカラーインクが吐出される。そして、インク吐出実行部83aは、動作モードが第1モードに設定されている状態では、第1ヘッド10A及び第2ヘッド10Bにインクを吐出させて印刷を実行する。また、インク吐出実行部83aは、動作モードが第2モードに設定されている状態では、使用ヘッドにインクを吐出させると共に使用ヘッド以外のヘッド10からインクを吐出させずに印刷を実行する。
【0029】
また、搬送実行部83cは、搬送モータ31を駆動することで媒体搬送機構9にステージ6及び被記録媒体Wを搬送させる搬送処理を実行する。被記録媒体Wは、搬送モータ31が駆動することにより副走査方向Dfの上流側から下流側に向けて搬送されるようになっている。そして、印刷処理の実行時には、被記録媒体Wの搬送と、キャリッジ3の移動とは交互に実行される。そして、搬送実行部83cは、第1モードに設定されている状態では、キャリッジ3の1回の移動で第1ヘッド10A及び第2ヘッド10Bの2つのヘッド10が印刷する領域の副走査方向Df方向の寸法に対応する距離(2ヘッド分の距離)被記録媒体Wを搬送する。また、搬送実行部83cは、第2モードに設定されている状態では、キャリッジ3の1回の移動で第1ヘッド10A及び第2ヘッド10Bの何れか一方のヘッド10が印刷する領域の副走査方向Df方向の寸法に対応する距離(単ヘッド分の距離)被記録媒体Wを搬送する。
【0030】
更に、キャリッジ移動実行部83dは、キャリッジ3を主走査方向Dsに移動させるキャリッジ移動処理を実行する。キャリッジ3は、上記の吐出処理が行われるときに主走査方向Dsに移動される。これにより、キャリッジ3に搭載されたヘッド10は上記の吐出処理の際に主走査方向Dsに移動するようになっている。
【0031】
制御履歴格納実行部84は、第1ヘッド10A及び第2ヘッド10Bの制御履歴を記憶装置75に記憶させる制御履歴格納処理を実行する。クリーニング実行部85は、ノズル11のインクを排出するクリーニング処理を実行する。具体的には、クリーニング実行部85は、クリーニング処理において、吸引処理又はフラッシング処理を実行する。吸引処理において、まず、制御装置71は、ノズル11にキャップを被せる。制御装置71がノズル11にキャップを被せるときは、例えば、ヘッド10がキャップの上方に位置するようにキャリッジ3を移動させ、キャップをキャップ昇降機構によって上昇させる。そして、制御装置71は、キャップと廃液タンクとを接続するチューブに設けられたポンプによってキャップ内を負圧にする。これによって、ノズル11からキャップに向けてインクが吸引され、ノズル11からインクが排出され、ノズル11のつまりを除去することができる。また、クリーニング実行部85は、フラッシング処理において、ヘッド10がフラッシング受けの上方に位置するようにキャリッジ3を移動させ、フラッシング受けに向けてインクを排出する。排出されたインクはフラッシング受けから廃液タンクに送られる。
【0032】
色校正実行部86は、校正用LUT(Look Up Table)を生成する色校正処理を実行する。本印刷データ生成実行部87は、印刷ジョブに含まれる設定情報に基づき、印刷媒体に応じた校正用LUTを決定する。そして、本印刷データ生成実行部87は、印刷ジョブに含まれる印刷画像データの階調値から画素毎のドットデータをインク色毎に作成する。ドットデータは、ドット位置情報及びドットサイズ情報を有し、たとえば、ハーフトーンである。
【0033】
記憶装置75は、本実施形態のプログラムや各種データ処理を行うための制御プログラムを記憶する。また、記憶装置75は、外部のパーソナルコンピュータ等のコンピュータ200からネットワークインターフェース70を介して受信した印刷ジョブを一時的に記憶する。また、記憶装置75はパスごとの印刷データを一時的に記憶する。なお、パスとは、キャリッジ3が主走査方向Dsに移動し、この移動中にヘッド10からインクを吐出する動作である。更に、記憶装置75は、使用ヘッド選択処理において、使用ヘッドの選択の判断に用いる各種データを記憶する。
【0034】
ヘッドドライバIC74は制御装置71からの指示を受けてヘッド10にインクを吐出させる。同様に、モータドライバIC30は制御装置71からの指示を受けて搬送モータ31の駆動制御を行い、モータドライバIC32は制御装置71からの指示を受けてキャリッジモータ33の駆動制御を行う。
【0035】
記録媒体読取り装置77は、例えば、フレキシブルディスク、CD(CD-ROM,CD-R,CD-RW等)、DVD(DVD-ROM,DVD-RAM,DVD-R,DVD+R,DVD-RW,DVD+RW等)、ブルーレイディスク、磁気ディスク、光ディスク、及び光磁気ディスク等のコンピュータ読取可能な記録媒体KBから液体吐出プログラムを読み出す装置である。この記録媒体読取り装置77は、例えばUSBフラッシュメモリ等の記録媒体から液体吐出プログラムを読み出す装置であってもよい。読み出された液体吐出プログラムは記憶装置75に保存され、制御装置71により実行される。なお、本実施形態の液体吐出プログラムは、外部のコンピュータ200からネットワークインターフェース70を介して記憶装置75に保存してもよいし、或いはインターネットからダウンロードして記憶装置75に保存してもよい。
【0036】
以下、本実施形態の印刷装置1による印刷処理の流れについてフローチャートを参照しつつ説明する。以下の印刷処理は、高い色再現性を有する画像印刷を実行するため、色校正を行った後で本印刷を行う印刷処理である。
【0037】
まず、図5に示すように、制御装置71は、最初にパッチ用画像データの印刷を実行する(ステップS1)。図6に示すように、制御装置71は、パッチ用画像データの印刷処理において、まず、校正を行う対象色を受信し、取得する(ステップS11)。そして、制御装置71は、取得した対象色のサンプルと、対象色のパラメータを若干変化させた対象色に近い複数の色のサンプルを含むパッチ用の画像データを生成する(ステップS12)。また、対象色に近い複数の色のサンプルには、それぞれ対応するパッチナンバーが表される。パッチナンバーは、サンプル色の特定に用いられる。
【0038】
次に、制御装置71は、動作モード設定処理を実行し、印刷モードを第2モードに設定する(ステップS13)。次に、制御装置71は、使用ヘッド選択処理を実行し、第1ヘッド10A及び第2ヘッド10Bのうち一方のヘッド10を、第2モードにおいて用いる使用ヘッドとして選択する(ステップS14)。このとき、制御装置71は、第1ヘッド10A及び第2ヘッド10Bのうち、より高い色再現性を有する画像印刷を実行するために適した、吐出特性が良好なヘッド10を選択するように使用ヘッド選択処理を行う。このとき、制御装置71は図7に示すように第1乃至第4選択処理の少なくとも何れかを実行する。以下、第1乃至第4選択処理の各内容について先に説明する。
【0039】
図8に示すように、制御装置71は、第1選択処理において、まず、ヘッド10の制御履歴を記憶装置75より読み込んで取得する(ステップS211)。この制御履歴は、制御履歴格納実行部84が記憶装置75に格納した制御装置71による制御履歴である。具体的には、制御履歴は、例えば、クリーニング処理の実行履歴、第1ヘッド10A及び第2ヘッド10Bの交換後の経過時間を算出するためのヘッド交換時特定情報、及びインクの総吐出量を算出するためのインク総吐出量特定情報である。
【0040】
次に、制御装置71は、第1ヘッド10A及び第2ヘッド10Bの制御履歴に基づいて、第1ヘッド10A及び第2ヘッド10Bのうち一方のヘッド10を使用ヘッドとして選択する。具体的には、制御装置71は、クリーニング処理の実行回数が少ないヘッド10、交換後の経過時間が少ないヘッド10、インクの総吐出量が少ないヘッド10の順に優先して第1ヘッド10A及び第2ヘッド10Bのうち一方のヘッド10を使用ヘッドとして選択する。
【0041】
より具体的には、制御装置71は、まず、クリーニング処理の実行回数の差が所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS212)。そして、制御装置71は、第1ヘッド10A及び第2ヘッド10Bのクリーニング処理の実行回数の差が所定の閾値以上である場合には(ステップS212においてYes)、クリーニング処理の実行回数が少ないヘッド10を使用ヘッドとして選択する(ステップS213)。また、第1ヘッド10A及び第2ヘッド10Bのクリーニング処理の実行回数の差が所定の閾値未満である場合には(ステップS212においてNo)、ヘッド10の交換後の経過時間の差が所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS214)。そして、制御装置71は、ヘッド10の交換後の経過時間の差が所定の閾値以上である場合には(ステップS214においてYes)、ヘッド10の交換後の経過時間が少ないヘッド10を使用ヘッドとして選択する(ステップS215)。また、制御装置71は、ヘッド10の交換後の経過時間の差が所定の閾値未満である場合には(ステップS214においてNo)、インクの総吐出量の差が所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS216)。そして、制御装置71は、インクの総吐出量の差が所定の閾値以上である場合には(ステップS216においてYes)、インクの総吐出量が少ないヘッド10を使用ヘッドとして選択する(ステップS217)。また、制御装置71は、インクの総吐出量の差が所定の閾値未満である場合には(ステップS216においてNo)、第1選択処理においては使用ヘッドの選択を行わずに第1選択処理を終了する。なお、クリーニング処理の実行履歴、ヘッド交換時特定情報、及びインク総吐出量特定情報の少なくとも何れかの制御履歴に基づいて使用ヘッドを選択してもよい。
【0042】
ところで、クリーニングは、主としてノズル11のつまりが発生した場合に、ユーザからのクリーニング実行指令を受けて実行される。したがって、クリーニングの実行回数が少ない程、吐出特性がより良好なヘッドであると定義できる。また、使用によってヘッドの吐出特性が劣化するため、交換後の経過時間が少ないヘッドやインクの総吐出量が少ないヘッドは吐出特性がより良好なヘッドであると定義できる。よって、吐出特性に影響を与えうる制御履歴に基づいて使用ヘッドを選択することにより、吐出特性が良好なヘッドを選択することができる。
【0043】
また、図9に示すように、制御装置71は、第2選択処理において、ノズル11のインクの吐出特性を示す吐出特性情報を記憶装置75より読み込んで取得する(ステップS231)。吐出特性情報は、例えば、ノズル11の径のばらつきを示す情報である。ノズル11のインクの吐出特性は、印刷装置1の製造時に測定され、記憶装置75に吐出特性情報として格納される。
【0044】
次に、制御装置71は、吐出特性情報に基づいて、第1ヘッド10A及び第2ヘッド10Bのうち一方のヘッド10を使用ヘッドとして選択する。具体的には、制御装置71は、ノズル11の径のばらつきの差が所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS232)。そして、制御装置71は、ノズル11の径のばらつきの差が所定の閾値以上である場合には(ステップS232においてYes)、例えば、第1ヘッド10A及び第2ヘッド10Bのうちノズル11の径のばらつきが少ないヘッド10を使用ヘッドとして選択する(ステップS233)。また、制御装置71は、ノズル11の径のばらつきの差が所定の閾値未満である場合には(ステップS232においてNo)、第2選択処理においては使用ヘッドの選択を行わずに第2選択処理を終了する。なお、上記に代えて、第2選択実行部82bは、ステップS231において、吐出特性情報としてノズル11から吐出される最小液滴量を取得し、ステップS232において、ノズル11から吐出される最小液滴量の差が所定の閾値以上であるか否かを判定し、ステップS233において、ノズル11から吐出される最小液滴量が多いヘッド10を使用ヘッドとして選択してもよい。
【0045】
ところで、各ノズルのアクチュエータに付与する駆動波形を調整し、ヘッド10のノズル11から吐出される液滴サイズのばらつきを解消する場合がある。しかし、ヘッド10のノズル11の径のばらつきが大きかったり、最小液滴量が小さかったりすると、調整幅が小さくなり、吐出特性が良好でないヘッド10と定義できる。よって、上記の通り、ノズル11のインクの吐出特性を示す吐出特性情報に基づいて使用ヘッドを選択することにより、吐出特性が良好なヘッド10を選択することができる。
【0046】
更に、図10に示すように、制御装置71は、第3選択処理において、第1ヘッド10A内の所定の第1特徴量の第1代表値、第2ヘッド10B内の所定の第2特徴量の第2代表値、第1ヘッド10Aの第1特徴量の第1個別値及び第2ヘッド10Bの第2特徴量の第2個別値を記憶装置75より読み込んで取得する(ステップS251)。第1特徴量及び第2特徴量は、同じ種類の特徴量であってもよい。この場合、第1代表値及び第2代表値は、同一の値であってもよい。そして、具体的には、第1特徴量及び第2特徴量は、例えば、インクの流路の形状であり、より具体的には、ノズル11の径、ノズル11にインクを供給するインク流路の幅、又はインク流路の経路長である。これらの特徴量の個別値は、印刷装置1の製造時に測定され、記憶装置75に格納される。また、これらの特徴量の代表値は、統計データから導出される値であり、平均値、中央値、最頻値、設計値等である。インクの流路には、供給マニホールド、帰還マニホールド、並びに供給マニホールド及び帰還マニホールドに接続された複数の個別流路(チャネル)が含まれる。
【0047】
次に、制御装置71は、取得したヘッドの特徴量に基づき使用ヘッドを選択する。具体的には、制御装置71は、第1個別値の第1代表値からの乖離度及び第2個別値の第2代表値からの乖離度の少なくとも何れか一方が所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS252)。そして、制御装置71は、第1個別値の第1代表値からの乖離度及び第2個別値の第2代表値からの乖離度の少なくとも何れか一方が所定の閾値以上である場合には(ステップS252においてYes)、個別値の代表値からの乖離が小さいヘッドを使用ヘッドとして選択する。すなわち、第1個別値の第1代表値からの乖離が第2個別値の第2代表値からの乖離より小さい場合、第1ヘッド10Aを使用ヘッドとして選択する。反対に、第2個別値の第2代表値からの乖離が第1個別値の第1代表値からの乖離より小さい場合、第2ヘッド10Bを使用ヘッドとして選択する(ステップS253)。これによって、設計値等に近い吐出特性が良好なヘッド10を選択することができる。一方、制御装置71は、第1個別値の第1代表値からの乖離度及び第2個別値の第2代表値からの乖離度の何れもが所定の閾値未満である場合には(ステップS252においてNo)、第3選択処理においては使用ヘッドの選択を行わずに第3選択処理を終了する。
【0048】
また、図11に示すように、制御装置71は、第4選択処理において、印刷装置1における第1ヘッド10A及び第2ヘッド10Bの配置に基づく優先度を記憶装置75より読み込んで取得する(ステップS271)。優先度は、何れのヘッド10が他のヘッド10より優先されるかを示す情報である。優先度は、例えば、制御装置71の製造者によって予め定められ、記憶装置75に記憶される。そして、優先度は、例えばインクチューブの長さに基づいて定められてもよい。具体的には、第1インクチューブ52が第2インクチューブ53よりも長さが短い場合、第1ヘッド10Aが第2ヘッド10Bよりも優先度が高くなるように定められてもよい。反対に、第2インクチューブ53が第1インクチューブ52よりも長さが短い場合、第2ヘッド10Bが第1ヘッド10Aよりも優先度が高くなるように定められてもよい。また、これに代えて、優先度は、被記録媒体Wの搬送方向におけるヘッド10の配置に基づいて定められてもよい。具体的には、第1ヘッド10A及び第2ヘッド10Bのうち被記録媒体Wの搬送方向下流側に位置するヘッド10が他のヘッド10よりも優先度が高いヘッドと定められてもよい。更に、これに代えて、優先度は、排出口12から遠くに位置するヘッド10が他のヘッド10よりも優先度が高いヘッドとして定められてもよい。本実施形態においては、第2ヘッド10Bが優先度が高いヘッドとして定められる。
【0049】
次に、制御装置71は、優先度の高さに基づいて、第1ヘッド10A及び第2ヘッド10Bのうち一方のヘッド10を使用ヘッドとして選択する(ステップS272)。ところで、インクタンク51からヘッド10までのインクチューブが短い方がインクの供給が円滑であり吐出特性が良好であると定義できる。また、被記録媒体Wの搬送方向下流側に位置するヘッドの方が印刷に使用される機会が少なく、ヘッドのヘタリが少なく吐出特性が良好なヘッド10であると定義できる。また、排出口12から遠くに位置するヘッドの方が、被記録媒体Wとヘッド10との接触機会が少ないので、吐出特性が良好なヘッド10であると定義できる。よって、印刷装置1における第1ヘッド10A及び第2ヘッド10Bの配置に基づく優先度に基づいて使用ヘッドを選択することにより、吐出特性が良好なヘッド10を選択することができる。
【0050】
本実施の形態において、図7に示すように、制御装置71は、使用ヘッド選択処理において、第1選択処理、第2選択処理、第3選択処理、第4選択処理の順に優先して使用ヘッドの選択に用いる。言い換えると、制御装置71は、使用ヘッド選択処理において、第1選択処理を第2選択処理よりも優先して使用ヘッドの選択に用い、第1選択処理を第3選択処理よりも優先して使用ヘッドの選択に用い、第1選択処理を第4選択処理よりも優先して使用ヘッドの選択に用いる。また、制御装置71は、使用ヘッド選択処理において、第2選択処理を第3選択処理よりも優先して使用ヘッドの選択に用い、第2選択処理を第4選択処理よりも優先して使用ヘッドの選択に用い、第3選択処理を第4選択処理よりも優先して使用ヘッドの選択に用いる。
【0051】
すなわち、制御装置71は、まず、第1選択処理を実行し(ステップS21)、制御履歴に基づいて、使用ヘッドとして選択するヘッド10の選択を行う。そして、第1選択処理において、使用ヘッドとして選択するヘッド10の選択が完了すると(ステップS22においてYes)、制御装置71は、使用ヘッド選択処理を終了する。一方、第1選択処理において、使用ヘッドとして選択するヘッド10の選択が完了しない場合(ステップS22においてNo)、制御装置71は、第2選択処理を実行し(ステップS23)、吐出特性情報に基づいて、使用ヘッドとして選択するヘッド10の選択を行う。そして、第2選択処理において、使用ヘッドとして選択するヘッド10の選択が完了すると(ステップS24においてYes)、制御装置71は、使用ヘッド選択処理を終了する。一方、第2選択処理において、使用ヘッドとして選択するヘッド10の選択が完了しない場合(ステップS24においてNo)、制御装置71は、第3選択処理を実行し(ステップS25)、ヘッドの特徴量に基づいて、使用ヘッドとして選択するヘッド10の選択を行う。そして、第3選択処理において、使用ヘッドとして選択するヘッド10の選択が完了すると(ステップS26においてYes)、制御装置71は、使用ヘッド選択処理を終了する。一方、第3選択処理において、使用ヘッドとして選択するヘッド10の選択が完了しない場合(ステップS26においてNo)、制御装置71は、優先度に基づいて、第4選択処理を実行し(ステップS25)、使用ヘッドとして選択するヘッド10の選択を行う。
【0052】
このように、制御装置71は、第1選択処理、第2選択処理、第3選択処理、第4選択処理の順に優先して使用ヘッドの選択に用いるので、より高い色再現性を有する画像印刷を実行するために適したヘッド10を適切に選択することができる。なお、制御装置71は、使用ヘッドの選択に第1選択処理、第2選択処理、第3選択処理、第4選択処理の何れか一つの処理のみを用いて使用ヘッドを選択しても良い。また、制御装置71は、使用ヘッドの選択に第1選択処理、第2選択処理、第3選択処理、第4選択処理のうち、任意の複数の処理を用いて使用ヘッドを選択しても良い。このとき、第1選択処理は、第2選択処理、第3選択処理、第4選択処理に優先して使用ヘッドの選択に用いるとより高い色再現性を有する画像印刷を実行するために適したヘッド10を適切に選択することができる。また、第2選択処理は、第3選択処理、第4選択処理に優先して使用ヘッドの選択に用いるとより高い色再現性を有する画像印刷を実行するために適したヘッド10を適切に選択することができる。更に、第3選択処理は、第4選択処理に優先して使用ヘッドの選択に用いるとより高い色再現性を有する画像印刷を実行するために適したヘッド10を適切に選択することができる。
【0053】
このように使用ヘッド選択処理が完了すると、図6に示すように、制御装置71は、パッチ用の画像データの印刷処理を実行する(ステップS15)。上記の通り、動作モードが第2モードに設定されているので、制御装置71は、使用ヘッドにインクを吐出させると共に使用ヘッド以外のヘッド10からインクを吐出させずに印刷を実行する印刷処理を実行する。そして、制御装置71は、パッチ用画像データの印刷処理を終了する。
【0054】
次に、制御装置71は、図5に示すように、色校正処理を実行する(ステップS2)。図12に示すように、色校正処理において、制御装置71は、色置換内容を取得する(ステップS31)。この色置換内容の取得に先立ち、ユーザがパッチ用画像データを印刷した印刷物を確認し、対象色を校正するか否かを判断する。そして、校正すると判断したユーザは、対象色に近い複数の色のサンプルの中から校正後の色を選択し、操作キー4、表示入力部5、コンピュータ200等を介してこの色に対応するパッチナンバーを印刷装置1に入力する。これにより、制御装置71は色置換内容を取得する。
【0055】
次に、制御装置71は、取得した色置換内容に基づき校正用LUT(Look Up Table)を生成する(ステップS32)。校正用LUTは、例えば、入力RGB値と、出力RGB値とを対応付けたデータである。校正を行う色に対応する出力RGB値には、校正後の色に対応するRGB値が格納されている。一方、校正を行わない色に対応する出力RGB値には、値が入力されないか、又は入力RGB値と同じ値が格納される。制御装置71は、校正する対象色に係るRGB値を入力RGB値とする。そして、制御装置71は、パッチナンバーに基づき選択された校正後の色に係るRGB値を特定し、これを入力RGB値に対応付ける出力RGB値とする。また、制御装置71は、校正する対象色に近い色についても、補間計算によって、出力RGB値を算出し、これらの色の入力RGBと対応付ける。そして、制御装置71は、生成した校正用LUTを記憶装置75に格納し、色校正処理を終了する。なお、校正用LUTが対応付ける入力と出力は、RGB値同士に限られない。校正用LUTが対応付ける入力と出力は、RGB値、CMYK値、LCh値、Lab値その他の色を数値化した任意の表現を対応づけることができる。
【0056】
図5に示すように、次に、制御装置71は、本印刷データ生成処理を実行する(ステップS3)。本印刷データ生成処理において、制御装置71は、図13に示すように、まず、本印刷用画像データを含む印刷ジョブを受信する(ステップS41)。更に、制御装置71は、色校正処理において生成した校正用LUT(Look Up Table)を取得する(ステップS42)。
【0057】
次に、制御装置71は、図15に示すように、キャリッジ3の1回の移動で1つのヘッド10が印刷する領域の副走査方向Df方向の寸法(単ヘッド分の寸法)で、印刷画像Gを副走査方向Dfに分割し、まだ処理を行っていないもののうち、印刷順において先頭側から1つ分(単ヘッド分)の印刷領域A(n=1,2,・・・)の印刷画像分割データを取得する(ステップS43)。
【0058】
次に、制御装置71は、校正用LUTを参照し、取得した印刷画像分割データに置換指定色が含まれるか否かを判定する(ステップS44)。そして、置換指定色が含まれると判定すると(ステップS44においてYes)、この印刷画像分割データに係る印刷領域Aを置換対象領域に設定する(ステップS45)。そして、制御装置71は、校正用LUTを参照し、本印刷画像データの色変換処理を行う(ステップS46)。一方、ステップS44において、置換指定色が含まれないと判定すると(ステップS44においてNo)、ステップS45をスキップし、ステップS46に係る色変換処理を行う。
【0059】
次に、制御装置71は、本印刷用画像分割データ全ての色変換が完了したかを判定し(ステップS47)、これが完了していないと判定すると(ステップS47においてNo)、再びステップS43を実行し、次の印刷領域An+1の印刷画像分割データを取得し、更に、再度ステップS44~S46を実行する。そして、制御装置71は、本印刷用画像分割データの全ての色変換が完了したと判定すると(ステップS47においてYes)、色変換結果に基づいて印刷データを生成し(ステップS48)、記憶装置75に格納する(ステップS48)。そして、制御装置71は、色校正処理を終了する。
【0060】
次に、制御装置71は、図5に示すように、本印刷画像の印刷処理を実行する(ステップS4)。本印刷画像の印刷処理において、制御装置71は、まず、図14に示すように、記憶装置75に格納されている印刷データを取得する(ステップS51)。
【0061】
次に、制御装置71は、副走査方向Dfにおいて、まだ印刷を行っていないもののうち、印刷順において先頭側から2ヘッド分のデータに係る印刷領域A,An+1図15)の少なくとも何れかが置換対象領域に設定されているか否かを判定する(ステップS52)。そして、置換対象領域に設定されていない(ステップS52においてNo)と判定すると、制御装置71は、動作モード設定処理を実行し、印刷モードを第1モードに設定する(ステップS54)。そして、制御装置71は、読み込んだ2ヘッド分のデータに係る印刷領域A,An+1を印刷するように吐出処理及びキャリッジ移動処理を実行する(ステップS55)。上記の通り、第1モードに設定されている状態では、制御装置71は、第1ヘッド10A及び第2ヘッド10Bにインクを吐出させて印刷を実行する。よって、一回のキャリッジ3の主走査方向Dsへの移動によって、2ヘッド分の印刷領域A,An+1の画像が印刷される。そして、制御装置71は、搬送処理を実行し、副走査方向Dfの下流側に向けて印刷が完了した2ヘッド分被記録媒体Wを搬送する(ステップS56)。
【0062】
一方、制御装置71は、印刷順において先頭側から2ヘッド分のデータに係る印刷領域A,An+1の少なくとも何れかが置換対象領域に設定されている(ステップS52においてYes)と判定すると、制御装置71は、動作モード設定処理を実行し、印刷モードを第2モードに設定する(ステップS57)。そして、制御装置71は、読み込んだ2ヘッド分のデータに係る印刷領域A,An+1のうち印刷順において先頭側の1つ分の印刷領域Aを使用ヘッドで印刷するように吐出処理、キャリッジ移動処理を実行する(ステップS58)。なお、この際、第2ヘッド10Bによって印刷画像処理を実行する場合は、印刷領域Aが第2ヘッド10Bと対峙するように搬送処理を実行する(ステップS59)。上記の通り、第2モードに設定されている状態では、制御装置71は、使用ヘッドにインクを吐出させると共に使用ヘッド以外のヘッド10からインクを吐出させずに印刷を実行する。よって、1回のキャリッジ3の主走査方向Dsへの移動によって、単ヘッド分の印刷領域Aの画像が印刷される。そして、制御装置71は、搬送処理を実行し、副走査方向Dfの下流側に向けて印刷が完了した単ヘッド分について被記録媒体Wを搬送する。
【0063】
次に、制御装置71は、本印刷用画像データの全ての印刷が完了したかを判定し(ステップS60)、印刷が完了していないと判定すると(ステップS60においてNo)、再びステップS52以下の処理を実行する。一方、制御装置71は、本印刷用画像データの全ての印刷が完了したと判定すると(ステップS60においてYes)、制御装置71は、本印刷画像の印刷処理を終了する。このように、置換対象領域に設定されている領域は使用ヘッドを用いて印刷し、置換対象領域に設定されていない領域は2つのヘッド10を用いて印刷するので、ヘッドの色再現の個体差による色再現性の低下を防止しつつ、スループットの低下を抑制することができる。
【0064】
以上のように、本実施形態の印刷装置1は、インクを吐出するノズル11を有する第1ヘッド10Aと、第1ヘッド10Aと同じ色のインクを吐出するノズル11を有する第2ヘッド10Bと、第1ヘッド10A及び第2ヘッド10Bを支持し、往復移動可能であるキャリッジ3と、記憶装置75と、制御装置71と、を備え、制御装置71は、第1モード及び第1モードに比べて高い色再現性を有する画像印刷を実行するための第2モードを含む複数の動作モードのうち1の動作モードに設定する動作モード設定処理と、第1ヘッド10A及び第2ヘッド10Bのうち一方のヘッド10を、第2モードにおいて用いる使用ヘッドとして選択する使用ヘッド選択処理と、第1モードに設定されている状態では、第1ヘッド10A及び第2ヘッド10Bにインクを吐出させて印刷を実行し、第2モードに設定されている状態では、使用ヘッドにインクを吐出させると共に使用ヘッド以外のヘッド10からインクを吐出させずに印刷を実行する印刷処理と、を実行する。これによって、ヘッド10の色再現の個体差による色再現性の低下を防止することができる。
【0065】
(変形例)
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。例えば以下の通りである。
【0066】
上記実施形態では、制御装置71は、本印刷画像の印刷処理において、置換対象データであるか否かによって動作モードを切り替えたが、これに限定されるものではない。これに代えて、ユーザーが印刷設定において動作モードを指定し、制御装置71がこの指定に基づいて動作モードを切り替えてもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、第1ヘッド10Aのノズル列の下流側の端部と、第2ヘッド10Bのノズル列の上流側の端部とは、副走査方向Dfにおいて重なるように配置されているが、これに限定されるものではない。これに代えて、第1ヘッド10Aのノズル列の下流側の端部と、第2ヘッド10Bのノズル列の上流側の端部とは、副走査方向Dfにおいて重なり部分なく連続するように配置されていてもよく、また離して配置されていてもよい。
【0068】
更に、上記実施形態では、印刷装置1は、被記録媒体Wを載置したステージ6を移動させることにより、被記録媒体Wを搬送するがこれに限られるものではない。これに代えて、印刷装置1は、搬送ローラによって被記録媒体Wを搬送しても良い。
【0069】
また、上記実施形態では、制御装置71は、使用ヘッド選択処理において、第1選択処理、第2選択処理、第3選択処理、第4選択処理の順に実行し、選択が完了した時点で、下流の処理を行わないことにより、第1選択処理、第2選択処理、第3選択処理、第4選択処理の順に優先して使用ヘッドを選択していた。しかし、これに限られるものではない。これに代えて、制御装置71は、第1選択処理、第2選択処理、第3選択処理、第4選択処理を同時に、並行して、又は連続して実行し、これらの実行結果に第1選択処理、第2選択処理、第3選択処理、第4選択処理の順に重みを小さくした重み付けを行い、その結果に基づいて使用ヘッドを選択してもよい。制御装置71は、例えば、第1選択処理に基づいて選択した使用ヘッドは第2選択処理に基づいて選択した使用ヘッドよりも2倍重み付けしてもよい。また、制御装置71は、例えば、第1選択処理に基づいて選択した使用ヘッドは第3選択処理に基づいて選択した使用ヘッドよりも2倍重み付けしてもよい。更に、制御装置71は、例えば、第1選択処理に基づいて選択した使用ヘッドは第4選択処理に基づいて選択した使用ヘッドよりも2倍重み付けしてもよい。また、制御装置71は、例えば、第2選択処理に基づいて選択した使用ヘッドは、第3選択処理に基づいて選択した使用ヘッドよりも2倍重み付けしてもよい。更に、制御装置71は、例えば、第2選択処理に基づいて選択した使用ヘッドは、第4選択処理に基づいて選択した使用ヘッドよりも2倍重み付けしてもよい。また、制御装置71は、例えば、第3選択処理に基づいて選択した使用ヘッドは、第4選択処理に基づいて選択した使用ヘッドよりも2倍重み付けしてもよい。
【0070】
また、印刷装置1は、ヘッド10から紫外線硬化型のインクを吐出するよう構成され、また、被記録媒体Wに着弾されたインク液滴に向けて紫外線を照射する紫外線照射装置を備えていてもよい。
【0071】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施の形態が明らかである。したがって、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【符号の説明】
【0072】
1 印刷装置
3 キャリッジ
10 ヘッド
10A 第1ヘッド
10B 第2ヘッド
71 制御装置
75 記憶装置
81 動作モード設定実行部
82 使用ヘッド選択実行部
82a 第1選択実行部
82b 第2選択実行部
82c 第3選択実行部
82d 第4選択実行部
83 印刷実行部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15