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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149509
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】電動ズームカメラ及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/232 20060101AFI20220929BHJP
   G02B 7/04 20210101ALI20220929BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20220929BHJP
   G03B 5/00 20210101ALI20220929BHJP
【FI】
H04N5/232 960
G02B7/04 Z
G03B17/02
G03B5/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021051711
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】特許業務法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥平 将俊
【テーマコード(参考)】
2H044
2H100
5C122
【Fターム(参考)】
2H044BF00
2H100CC07
2H100FF01
5C122EA68
5C122FE02
5C122FE03
5C122FE06
5C122FH11
5C122HA75
5C122HA86
5C122HB01
(57)【要約】
【課題】電動ズームから電子ズームに切り替えるために、ズームレンズの位置がTELE端に達したことを検知する際、ズームレンズの位置をポテンショ電圧によって検知して、電子ズームを起動すると、電動ズームから電子ズームに切り替わる際にタイムラグが生じる。
【解決手段】現在画像記憶部301は、撮像素子から供給された第1の画像を保存し、過去画像記憶部311は、例えば、1フレーム前に現在画像記憶部301に保存されていた第2の画像を保存している。そして、画像比較処理部330は、第1の画像と前記第2の画像を比較して、第1の画像が第2の画像に比較して画角の変化の有無を判定する。
そして、連動制御部340は、ズーム指令が継続中の場合であって、画像比較処理部330において、第1の画像の画角が変化していないと判定したときには、電子ズーム処理への切り替えを指示する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動ズームレンズ及び電子ズーム処理部を有する電動ズームカメラにおいて、
現在画像記憶部、過去画像記憶部、画像比較処理部及び連動制御部を有し、
前記現在画像記憶部は、撮像素子から供給された第1の画像を保存し、
前記過去画像記憶部は、前記第1の画像よりも過去の画像である第2の画像を保存し、
前記画像比較処理部は、前記第1の画像と前記第2の画像を比較して画角の変化の有無を判定し、
前記連動制御部は、ズーム指令が継続中の場合であって、前記画像比較処理部において、前記画角の変化がないと判定されたときは、電子ズーム処理を行う信号を送信する
ことを特徴とする電動ズームカメラ。
【請求項2】
請求項1に記載の電動ズームカメラにおいて、
前記画角の変化の有無の判定は、前記第1の画像と前記第2の画像との一致性によって判定する
ことを特徴とする電動ズームカメラ。
【請求項3】
請求項1に記載の電動ズームカメラにおいて、
前記画像比較処理部は、予測画像生成部と画像比較部を有し、
前記予測画像生成部は、前記第2の画像をズーム指令に応じて拡大した拡大画像を生成し、
前記画像比較部は、前記第1の画像と前記拡大画像のを比較して、前記第1の画像と前記拡大画像との一致性を判定し、
前記連動制御部は、ズーム指令が継続中の場合であって、前記画像比較部において、前記第1の画像が前記拡大画像と一致していないと判定されたときは、電子ズーム処理を行う信号を送信する
ことを特徴とする電動ズームカメラ。
【請求項4】
現在画像記憶部、過去画像記憶部、画像比較処理部、連動制御部、電動ズームレンズ及び電子ズーム処理部を備える電動ズームカメラにおいて、
前記現在画像記憶部が、撮像素子から供給された第1の画像を保存する工程、
前記過去画像記憶部が、前記第1の画像よりも過去の画像である第2の画像を保存する工程、
前記画像比較処理部が、前記第1の画像と前記第2の画像を比較して、前記第1の画像と前記第2の画像との画角の変化の有無を判定する工程、
前記連動制御部が、ズーム指令が継続中の場合であって、前記画像比較処理部において、前記画角の変化がないと判定したときは、電子ズーム処理を行う信号を送信する工程
を有する電動ズームカメラの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動ズームカメラ及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今の監視カメラ、中でも屋外用監視カメラには、遠方の画像を鮮明に取得するために電動ズームレンズを搭載しているものがある。しかしながら、電動ズームレンズは、光学レンズを移動させてズーム機能を実現するため、電動ズームレンズだけで大きなズーム比を得ようとするとレンズの大型化および重量増を招くこととなる。このため、所望のズーム倍率を得るために、電動ズーム(光学ズーム)と電子ズームを併用した監視カメラが採用されている。
例えば、電動ズームレンズのズーム倍率がTELE端に到達した後に、電子ズームを併用することによって、所望のズーム倍率を得る方法が採用されている。
【0003】
特許文献1においては、光学ズーム(電動ズーム)と電子ズームを併用するカメラにおいて、「ズーム時に電子ズーム倍率を上限倍率CEZに変更するとともに、光学ズーム倍率を変更前の倍率OZ1から最終の光学倍率OZ2まで変更させる処理を行い、総合ズーム倍率Z2になったときに、倍率Z2を保ったまま電子ズーム倍率を最終状態のズーム倍率EZ2に向けて低減させる」カメラ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-319499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電動ズームから電子ズームに切り替える場合は、ズームレンズの位置がTELE端に達したことを検知し、その後電子ズームを起動することとなる。しかし、ズームレンズの位置がTELE端に達したことをズームレンズの制御値であるポテンショ電圧の変動によって検知するためには、ズームレンズから送信されるポテンショ電圧をアナログ/デジタル変換器(ADC)によってサンプリングを行ってデジタルデータに変換し、ズームレンズの位置がTELE端に達したとの判定を行う必要がある。
このため、ズームレンズの位置がTELE端に達してから、電子ズームが起動するまでには、数十msecから数百msecの時間を要する。
その結果、ズームの指令を出し続けているユーザから見ると、電動ズームから電子ズームに切り替わる際にタイムラグが生じ、ズーム処理が一旦停止したように見えることとなる。
【0006】
しかし、特許文献1は、画像の解像度の劣化を許容範囲に抑えながら、光学ズームと電子ズームを併用することを開示しているものの、電動ズームから電子ズームへの切替え時に発生するタイムラグについては検討されていない。
そこで、本発明では、電動ズームから電子ズームへの切替え時に発生するタイムラグを抑制し、電動ズームから電子ズームへのスムーズな切替えを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、代表的な本発明の電動ズームカメラの一つは、電動ズームレンズ及び電子ズーム処理部、現在画像記憶部、過去画像記憶部、画像比較処理部及び連動制御部を有している。そして、前記現在画像記憶部は、撮像素子から供給された第1の画像を保存し、前記過去画像記憶部は、前記第1の画像よりも過去の画像である第2の画像を保存している。また、前記画像比較処理部は、前記第1の画像と前記第2の画像を比較して、画角の変化の有無を判定し、前記連動制御部は、ズーム指令が継続中の場合であって、前記画像比較処理部において、前記画角の変化がないと判定されたときは、電子ズーム処理を行う信号を送信するものである。
【0008】
また、上記の課題を解決するために、代表的な本発明の電動ズームカメラの制御方法の一つは、
前記現在画像記憶部が、撮像素子から供給された第1の画像を保存する工程、
前記過去画像記憶部が、前記第1の画像よりも過去の画像である第2の画像を保存する工程、
前記画像比較処理部が、前記第1の画像と前記第2の画像を比較して、前記第1の画像と前記第2の画像との画角の変化の有無を判定する工程、
前記連動制御部が、ズーム指令が継続中の場合であって、前記画像比較処理部において、前記画角の変化がないと判定したときには、電子ズーム処理を行う信号を送信する工程を有している。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電動ズームから電子ズームへの切替えで発生するタイムラグを抑制し、電動ズームから電子ズームへのスムーズな切替えを実現することができる。
上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施をするための形態における説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】電動ズームカメラの構成の概略図である。
図2】電動ズームカメラシステムの概略図である。
図3】実施例1における画像処理・制御部の構成の概略図である。
図4】実施例1における画像処理・制御部の処理のフローチャートである。
図5】実施例2における画像処理・制御部の構成の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態について説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付して示している。
【0012】
なお、本開示において、ズームレンズの「レンズ位置」とは、ズームレンズに含まれるフォーカス、ズームなどのレンズ群の位置を総称するものである。
また、「ズーム倍率」とは、電動ズームレンズの倍率を意味し、レンズ位置が原点の場合のズームレンズの焦点距離を1とした場合に、ズーム撮影時のズームレンズの焦点距離を比で表したものである。
また、「制御値」とは、レンズ位置を電動制御する際のパラメータであって、例えば、ポテンショメータのポテンショ電圧を用いることができる。
また、「入力画像」とは、撮像素子であるセンサから供給される画像データを意味する。
【0013】
<電動ズームカメラの構成>
図1は、本開示における電動ズームカメラ100の構成図である。図1に示されたズームレンズ101は、フォーカスレンズ、ズームレンズ、アイリスなどから構成されるとともに、これらをモータで制御することが可能となっている。このため、モータの駆動によってレンズの焦点距離を変えれば、所望の画角の画像を撮影することができる。ズームレンズの構成は上記したものに限らず、多種多様な構成を採用することができる。
【0014】
また、モータの制御は、図1に示されるようにカメラに付属された画像処理・制御部102からモータドライバ105に制御信号が送られることによって実現される。画像処理・制御部の構成としては、例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)103を用いることができるが、これに限定されるものではない。FPGAの一部または全部については、汎用の機械学習マシン、DSP(Digital Signal Processor)、ISP(Image Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)、PLD(programmable logic device)などで代替してもよい。また、ハードウェアの一部または全部をネットワーク上のサーバに集中または分散してクラウド配置することによって、複数の制御端末201がネットワークを介して画像処理・制御部102を共同使用してもよい。
また、フォーカス、ズームなどの各レンズ群には、ポテンショメータが備え付けられており、ポテンショ電圧によって、それぞれの各レンズの位置を知ることが可能となっている。
【0015】
なお、ズームレンズの制御値としては、レンズ位置を示すポテンショ電圧が一般的であるが、制御値はポテンショ電圧に限られるものではない。
また、ズームレンズやフォーカスレンズのポテンショメータのポテンショ電圧106は、ズームレンズからアナログ/デジタル変換器(ADC)107を経て、デジタル情報の画像データとしてFPGA103に送信される。
【0016】
ズームレンズによって得られた光学像は、撮像素子であるセンサ108の受光面に投影され、電気信号に変換されて、画像データとして画像処理を行うFPGA103に供給される。撮像素子としてのセンサ108は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などから構成される。
また、画像処理・制御部には、画像記憶部104が含まれており、FPGA103における画像処理に必要な画像を保存することができる。画像記憶部104及びこれに含まれる現在画像記憶部301、過去画像記憶部311は不揮発性メモリーやその他の記憶デバイスで構成することができる。
【0017】
<電動ズームカメラシステムの構成>
図2は、本開示における電動ズームレンズ付きの電動ズームカメラ100を、電動ズームカメラシステム200に適用した場合の実施形態を示している。
電動ズームカメラシステムは、電動ズームカメラと、画像モニタ機能を兼ねた制御端末201から構成される。
【0018】
制御端末201としては、デスクトップコンピュータ、携帯型コンピュータ、ノートパソコン、タブレットコンピュータ、ポケットコンピュータ、スマートフォン、又は任意の他の適切な電子機器を使用することができるである。
そして、電動ズームカメラ100と制御端末201の間は、一般的にはLANケーブル250で接続され、画像データや制御情報を送受信することができる。
なお、電動ズームカメラ100と制御端末201の間の通信経路は、例えば、無線通信を経たものであってもよいし、ネットワークであってもよい。
【0019】
電動ズームカメラ100は、通常は、雲台などに設置され、雲台を動作させることによって、一定の方向や範囲を撮影することが可能となっている。また、雲台に備えられたプリセット機能などを用いると、電動ズームカメラを自動的に一定の方向にセットすることも可能である。
【0020】
このような電動ズームカメラシステム200においては、ユーザ210は、制御端末201を通じて、電動ズームカメラ100の画像を確認することができると共に、必要に応じて、画像を記録したり、記録した画像を再生することができる。
また、電動ズームカメラ100の撮影範囲を変更するために、ユーザ210は制御端末201を操作して撮影方向、撮影倍率などを変更することができる。そして、ユーザ210は、電動ズームカメラ100に対するズーム指令を、制御端末を介して電動ズームカメラ100に送信することができる。
この場合、ユーザ210はズーム指令として、特定のズーム倍率を数値等で指定してよいし、制御端末の画像モニタを見ながらズーム指令を発信し続けてもよい。
また、電動ズームカメラのズームアップの速度を、高、中、低などと選択してズーム指令を発信してもよい。
このため、電動ズームカメラ100では、ユーザ210からズーム指令が発信されているか否か、どのようなズーム指令の内容かを常に把握できることとなっている。
その他、撮影した画像に画像処理を施したり、特定の被写体を自動追尾して記録することが可能な場合もある。
【0021】
<実施例1>
次に、図3を用いて、実施例1の画像処理・制御部102の構成について説明する。
【0022】
<現在画像記憶部及び過去画像記憶部>
図3に示す実施例1の構成においては、現在画像記憶部301は、センサ108から逐次供給される画像(入力画像)のフレーム画像データを保存し、過去画像記憶部311、画像比較処理部330及び電子ズーム処理部360に画像データを供給することができる。
また、過去画像記憶部311は、現在画像記憶部301から、1フレーム前のフレーム画像データの供給を受け、これを保存する。
現在画像記憶部301及び過去画像記憶部311は、いずれも基本的には1フレーム単位で画像データを保持するが、必ずしも1フレームに限定されるものではなく、1フレーム以下のデータで保持してもよい。
【0023】
<画像比較処理部>
画像比較処理部330は、過去画像記憶部311と現在画像記憶部から供給された画像の比較を行い、現在画像記憶部301から供給された画像が、過去画像記憶部311から供給された画像と比較して、画角が狭まっているるか否かを検知する。これによって、電動ズームが有効に機能しているか否かを判断することが可能となる。
具体的な画像比較の手法としては、様々な手法を採用することが可能であるが、2つの画像(例えば、現在画像記憶部301と過去画像記憶部311)について、一方の画像の特定領域に対応する他方の画像の特定領域との整合度を計算するSAD(Sum of Absolute Difference)等のテンプレートマッチング手法を用いてもよいし、その他の画像データの異同を検知するパターンマッチング手法等を用いてもよい。そして、これらの手法はソフトウエアで実現されてもよいし、ハードウェアの回路によって実現されてもよい。
【0024】
画像比較処理部330における処理が、現在画像記憶部301から供給された画像が、過去画像記憶部311から供給された画像と比較して、画角が狭まっているか否かを判断する場合には、判断の処理にテンプレートマッチング技術を適用することが可能である。この場合には、現在画像記憶部301に保存された画像が、過去画像記憶部311に保存された画像の内側の部分と比較した際に、テンプレートマッチングの類似性が最も高い場合には、画角が狭まっている、つまり、画角が変化していると判断することができる。
一方、現在画像記憶部301に保存された画像が、過去画像記憶部311に保存された画像の全体とテンプレートマッチングの類似性が最も高い場合には、画角は狭まっておらず、画角が変化していないと判断することができる。
【0025】
さらに、画像比較処理部330における簡略な別の判断手法として、現在画像記憶部301に保存された画像と過去画像記憶部311に保存された画像の一致性、すなわち画像の異同のみを判定して、電動ズームが有効に機能しているか否かを判断することも可能である。
つまり、ズーム指令110が送信されているときは、現在画像記憶部301に保存される画像データは、過去画像記憶部311に保存された画像データをズームアップしたものとなるので、ズーム処理が通常に実施されていれば、現在画像記憶部301に保存される画像データと過去画像記憶部311に保存された画像データは一致しない。そして、現在画像記憶部301に保存される画像データが、過去画像記憶部311に保存された画像データと一致している場合は、ズーム処理がなされておらず、電動ズームレンズのズーム倍率がTELE端に到達した状態であると考えられる。
【0026】
このため、画像比較処理部330においては、現在画像記憶部301に保存された画像と過去画像記憶部311に保存された画像が一致した場合のみ画角が変化していないと判断し、連動制御部340によって電子ズーム処理を開始させることが可能である。
そして、現在画像記憶部301から供給された画像と過去画像記憶部311から供給された画像の一致性のみを検知する場合には、画像比較処理部330の判断手法には、テンプレートマッチング以外にも様々な手法を用いることが可能である。
【0027】
<連動制御部>
連動制御部340は、画像比較処理部330によって判断された、画角が狭まっているか否かの情報、画角が変化しているか否かの情報又は画像の一致性についての情報と、ズーム指令110が送信されているか否かの情報とに基づき、電動ズーム制御部350及び電子ズーム処理部360に対する処理を送信する。
【0028】
例えば、(1)画像比較処理部330が画角が変化していると判定し、かつ、ズーム指令110が送信されているときは、電動ズーム制御部350に対して、電動ズーム操作を所定のズーム倍率に達するまで継続するように制御信号を送信する。
また、(2)画像比較処理部330が画角が変化していないと判断し、かつ、ズーム指令110が送信されているときは、電子ズーム処理部360に対して、電子ズーム処理を実行する制御信号を送信する。
さらに、(3)ズーム指令110がない場合には、電動ズーム制御部350及び電子ズーム処理部360に対して、電動ズーム制御、電子ズーム処理を止める制御信号を送信する。
【0029】
<電動ズーム制御部>
電動ズーム制御部350は、連動制御部340から電動ズームを継続する信号が送信された場合には、電動ズーム操作が所定のズーム倍率まで達するように制御信号を送信する。
【0030】
<電子ズーム処理部>
電子ズーム処理部360は、連動制御部340から電子ズーム処理を行う信号が送信された場合には、現在画像記憶部301に保存された画像データに対して電子ズーム処理を適用し、所定のズーム倍率となるように画像処理を行い、画像処理を行った画像データをを操作端末に送信する。
【0031】
<フローチャート>
図4では、本実施例で示した構成を採用した場合の処理手順をフローチャートとして記載している。以下工程ごとに説明する。
(ステップ401)現在画像記憶部301に、撮像素子から供給された第1の画像を保存する。
(ステップ402)過去画像記憶部311に、例えば、現在画像記憶部301に1フレーム前に保存されていた画像を第2の画像として保存する。この第2の画像は第1の画像よりも過去の画像であればよい。
(ステップ403)画像比較処理部330において、第1の画像と前記第2の画像を比較する。
(ステップ404)第1の画像が第2の画像と比較して画角の変化があるか否を判定する。
(ステップ405)ステップ404において画角の変化があると判定された場合には、その時点でのズーム指令の有無を判定する。
(ステップ406)ステップ405において、ズーム指令が継続していると判定された場合には、連動制御部340は、電動ズーム処理を継続する信号を送信する。
(ステップ407)ステップ404において画角の変化があると判定された場合にも、その時点でのズーム指令の有無を判定する。
(ステップ408)ステップ405又はステップ407において、ズーム指令が継続していないと判定された場合には、連動制御部340は、電動ズーム処理を停止する信号を送信する。
(ステップ409)ステップ407において、ズーム指令が継続していると判定された場合には、連動制御部340は、電子ズーム処理を実施する信号を送信する。
【0032】
このような画像処理・制御部102の構成によれば、例えば、撮像素子から供給された第1の画像が現在画像記憶部301に保存され、第1の画像の1フレーム前の画像データが第2の画像として過去画像記憶部311に保存される。そして、画像比較処理部330及び連動制御部340における、電子ズーム処理部360への信号の送信、及び、電動ズーム制御部350への電動ズーム操作の継続処理の信号の送信は、1フレーム以内つまり、約16.6msec程度で行うことができる。
このため、ズームレンズ位置をポテンショ電圧によって検知し、ズームレンズの位置がTELE端に達したことを検知し、その後に電子ズームを起動する従来の場合に比較すると格段に早期に電子ズームへの切り替えを行うことができる。
その結果、1フレームの時間内で、電動ズームから電子ズームへの切り替えが行われることから、ユーザは、ズーム制御中に電動ズームから電子ズームへの切り替えのタイムラグを感知することなく、スムーズなズーム操作実感することができる。
【0033】
<実施例2>
次に、図5を用いて、実施例2の画像処理・制御部102の構成について説明する。
実施例2における現在画像記憶部301及び過去画像記憶部311の構成は実施例1と同様であるので、説明は省略する。
実施例2においては、画像比較処理部330を予測画像生成部410と画像比較部420によって構成している。画像比較部420は、現在画像記憶部301から供給された画像と予測画像生成部410から供給された画像との比較を行うこととなる。
【0034】
<予測画像生成部>
予測画像生成部410は、過去画像記憶部311に保存された第2の画像から、電動ズームが適正に駆動している場合に、例えば、1フレーム後に撮影される画像を予測して生成する。
電動ズームのズームアップの速度は、目標となるズーム倍率を指定する場合や所望のズームアップの速度が選択されている場合に応じて、ズーム指令110の信号内容を参照して算出し、これに基づいて1フレーム後の予測画像、つまり、拡大画像を生成する。
なお、予測画像生成部410が生成する予測画像は、1フレーム後の予測画像に限定されるものではなく、過去画像記憶部311に保存された画像から2フレーム後、3フレーム後などの複数の予測画像を生成してもよい。
予測画像は、過去画像記憶部から供給された画像に対して、ズーム指令に応じた拡大画像を作成するものであるから、様々な画像処理技術を用いて作成することができる。
【0035】
<画像比較部>
画像比較部420における画像比較の手法は、実施例1で説明した画像比較処理部330と同様であるので、説明は省略する。
実施例2においては、画像比較部420は、現在画像記憶部301及び予測画像生成部410から供給される画像データに基づき、両画像の一致性を判断する。
【0036】
<連動制御部>
連動制御部340は、画像比較部420によって判断された、現在画像記憶部301及び予測画像生成部410から供給される画像が一致しているか否か、つまり現在画像記憶部301に保存された画像が、過去画像記憶部311に保存された画像から適正にズームアップされた画像であるか否かの情報と、ズーム指令110が送信されているか否かの情報とに基づき、電動ズーム制御部350及び電子ズーム処理部360に対する処理を送信する。
【0037】
具体的には、(1)画像比較部420が現在画像記憶部301及び予測画像生成部410から供給される画像が一致していると判定し、かつ、ズーム指令110が送信されているときは、電動ズーム制御部350に対して、電動ズームを所定のズーム倍率に達するまで継続するように信号を送信する。
また、(2)画像比較部420が現在画像記憶部301及び予測画像生成部410から供給される画像が一致していないと判断し、かつ、ズーム指令110が送信されているときは、電子ズーム処理部360に対して、電子ズーム処理を実行する信号を送信する。
さらに、(3)ズーム指令110がない場合には、電動ズーム制御部350及び電子ズーム処理部360に対して、電動ズーム制御または電子ズーム処理を止める信号を送信する。
【0038】
実施例2における、ズーム指令及び電動ズーム制御部の構成は実施例1と同様であるので、説明は省略する。
【0039】
実施例2においては、
現在画像記憶部301に、撮像素子から入力された第1の画像データを保存し、
過去画像記憶部は、例えば、1フレーム前に現在画像記憶部301に保存されていた第2の画像データを保存している。そして、予測画像生成部410は、1フレーム前の画像である第2の画像から、その時のズーム指令によって想定されるズーム倍率に応じた拡大画像を生成し、画像比較部420が、前記第1の画像データと拡大画像のデータを比較して、前記第1の画像が前記拡大画像と一致している否かを判定する。
そして、連動制御部340は、ズーム指令が継続中の場合であって、画像比較処理部330において、第1の画像が前記拡大画像と一致していないと判定されたときには、電子ズーム処理を行う信号を発出することとなる。
【0040】
このような画像処理・制御部102の構成によれば、実施例1で説明した電動ズームから電子ズームへのタイムラグを感知させない電子ズームへの切り替えを実現することができる。また、画像比較処理部330における処理は、現在画像記憶部301の画像と予測画像生成部410の画像の一致性のみを判定すればよいことから、画像比較処理部330の構成を簡略化することができる。
【0041】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
例えば、電動ズームカメラにおける画像処理・制御部で実行している機能は、電動ズームカメラシステムの制御端末で行うこととしてもよいし、ネットワークで接続されたその他のデバイスで行うこととしてもよい。
また、上記の実施例では、過去画像記憶部311は、現在画像記憶部301から供給されたフレーム画像データを保存する形態を説明した。しかし、過去画像記憶部311は、現在画像記憶部301に保存されている画像データよりも過去の画像データを保存すればよく、過去画像記憶部311に保存される画像データは、現在画像記憶部301を介さずに過去画像記憶部311に供給さたものであってもよい。
また、上記の実施例では、過去画像記憶部311は1つだけの例を示したが、過去画像記憶部は複数あってもよい。
また、上記の実施例では、過去画像記憶部311に保存された画像は、現在画像記憶部301に保存された画像の1フレーム前の画像であるとして説明した。しかし、過去画像記憶部311は、現在画像記憶部301に保存されている画像データよりも過去の画像データであればよく、1フレーム前の画像に限定されるものではない。過去画像記憶部311に保存された画像と現在画像記憶部301に保存された画像データのフレーム差は、複数フレーム分であってもよい。
また、上記の実施例では、画像比較処理部と連動制御部はそれぞれ別の機能部として説明したが、これらは一体で構成されてもよい。また、別の機能部として構成した場合であっても、それぞれの機能の範囲は適宜変更することも可能であり、一方の機能を他方に移すことも可能である。
さらに、本開示の技術は監視カメラのみに適用されるものではなく、ズーム機能を有する他の光学装置に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0042】
100…電動ズームカメラ、101…ズームレンズ、102…画像処理・制御部、103…FPGA、104…画像記憶部、105…モータドライバ、108…センサ、201…制御端末、301…現在画像記憶部、311…過去画像記憶部、330…画像比較処理部、340…連動制御部、350…電動ズーム制御部、360…電子ズーム処理部、410…予測画像生成部、420…画像比較部
図1
図2
図3
図4
図5