(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149541
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】粘着テープ
(51)【国際特許分類】
C09J 7/29 20180101AFI20220929BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20220929BHJP
B32B 5/00 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
C09J7/29
B32B27/00 M
B32B5/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021051750
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】595027549
【氏名又は名称】アラム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒木 利一
(72)【発明者】
【氏名】吉富 進吾
【テーマコード(参考)】
4F100
4J004
【Fターム(参考)】
4F100AK01
4F100AK01C
4F100AR00C
4F100AT00A
4F100BA03
4F100BA07
4F100CB05
4F100CB05B
4F100DB20
4F100DB20C
4F100DE01
4F100DE01C
4F100DG12
4F100DG12A
4F100GB66
4F100JB16
4F100JB16C
4F100JG06
4F100JG06C
4F100JL13
4F100JL13B
4J004CC03
4J004CE01
4J004FA09
(57)【要約】
【課題】本発明は、検知装置で検知可能であり、基材が有する柔軟性および通気性の低下を抑制しつつ、基材の端縁の欠損が抑制された粘着テープを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の粘着テープ1は、柔軟性および通気性を有するシート状基材2と、シート状基材2の表面に設けられる粘着剤層3と、シート状基材2の表面に設けられる複数の検知対象膜4とを備え、シート状基材2が、第1の方向X1に沿って延びる第1の端縁21を有し、複数の検知対象膜4が、シート状基材2の表面上で互いに間隔を空けて分散して配置され、検知対象膜4が、結合材および検知対象材を含み、複数の検知対象膜4のうち少なくとも1つが、シート状基材2の第1の端縁21に隣接して配置されていることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟性および通気性を有するシート状基材と、
前記シート状基材の表面に設けられる粘着剤層と、
前記シート状基材の表面に設けられる複数の検知対象膜と
を備える粘着テープであって、
前記シート状基材が、第1の方向に沿って延びる第1の端縁を有し、
前記複数の検知対象膜が、前記シート状基材の表面上で互いに間隔を空けて分散して配置され、
前記検知対象膜が、結合材および検知対象材を含み、
前記複数の検知対象膜のうち少なくとも1つが、前記シート状基材の前記第1の端縁に隣接して配置されている、
粘着テープ。
【請求項2】
前記第1の方向における前記シート状基材の略全長に亘る、前記第1の方向に沿った任意の線上に、前記複数の検知対象膜のうち少なくとも1つが存在するように、前記複数の検知対象膜が前記シート状基材の表面上に配置されている、
請求項1記載の粘着テープ。
【請求項3】
前記シート状基材が、前記第1の方向に略直交する第2の方向に沿って延びる第2の端縁を有し、
前記複数の検知対象膜のうち少なくとも1つが、前記シート状基材の前記第2の端縁に隣接して配置されている、
請求項1または2記載の粘着テープ。
【請求項4】
前記第1の方向に略直交する第2の方向における前記シート状基材の略全長に亘る、前記第2の方向に沿った任意の線上に、前記複数の検知対象膜のうち少なくとも1つが存在するように、前記複数の検知対象膜が前記シート状基材の表面上に配置されている、
請求項1~3のいずれか1項に記載の粘着テープ。
【請求項5】
前記複数の検知対象膜は、
前記第2の方向に沿って複数の検知対象膜が互いに第1の間隙を挟んで並んで配置される少なくとも1つの第1の列と、
前記第2の方向に沿って複数の検知対象膜が互いに第2の間隙を挟んで並んで配置される少なくとも1つの第2の列と
を備え、
前記第1および第2の列は、前記第1の方向に沿って互いに間隔を空けて交互に配列され、
前記第1および第2の列は、前記第1の列における全ての前記第1の間隙の前記第1の方向の延長線上に前記第2の列における検知対象膜が存在し、前記第2の列における全ての前記第2の間隙の前記第1の方向の延長線上に前記第1の列における検知対象膜が存在するように、前記第2の方向で互いに対してオフセットされて配置されている、
請求項1~3のいずれか1項に記載の粘着テープ。
【請求項6】
前記複数の検知対象膜は、
前記第1の方向X1に対して傾斜する第3の方向に沿って複数の検知対象膜が互いに第3の間隙を挟んで並んで配置される少なくとも1つの第3の列と、
前記第3の方向に沿って複数の検知対象膜が互いに第4の間隙を挟んで並んで配置される少なくとも1つの第4の列と
を備え、
前記第3および第4の列は、前記第3の方向に略直交する第4の方向に沿って互いに間隔を空けて交互に配列され、
前記第3および第4の列は、前記第3の列における全ての前記第3の間隙の前記第4の方向の延長線上に前記第4の列における検知対象膜が存在し、前記第4の列における全ての前記第4の間隙の前記第4の方向の延長線上に前記第3の列における検知対象膜が存在するように、前記第3の方向で互いに対してオフセットされて配置されており、
前記第1の方向に対する前記第3の方向の角度は、
前記第1の方向における前記シート状基材の略全長に亘る、前記第1の方向に沿った任意の線上に、前記複数の検知対象膜のうち少なくとも1つが存在し、
前記第1の方向に略直交する第2の方向における前記シート状基材の略全長に亘る、前記第2の方向に沿った任意の線上に、前記複数の検知対象膜のうち少なくとも1つが存在するように、
画定される、
請求項1~4のいずれか1項に記載の粘着テープ。
【請求項7】
前記シート状基材が、前記第1の方向に延びる経糸と、前記第1の方向に略直交する第2の方向に延びる緯糸とで織成される織物である、
請求項1~6のいずれか1項に記載の粘着テープ。
【請求項8】
前記結合材が、熱可塑性樹脂であり、
前記検知対象材が、磁性粉またはタングステン粉である、
請求項1~7のいずれか1項に記載の粘着テープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば絆創膏などに用いられる粘着テープは、粘着性および柔軟性を有するために、たとえば人体の皮膚などの貼付対象に容易に貼り付けることができるとともに、貼付対象の動きに追従して容易に変形するので、貼付対象に対する貼付状態を比較的に良好に維持しやすい。ところが、そのような粘着テープであっても、長時間の使用などによって粘着力が低下して、貼付対象から剥がれて脱落してしまうことがある。粘着テープは、たとえば、食品の製造や加工などを行なう食品工場において用いられると、貼付対象から脱落した場合に、食品に異物として混入する可能性がある。
【0003】
食品の製造や加工などを行なう食品工場において、粘着テープなどの異物が食品に混入することは、衛生上の問題から、回避すべき重要な課題である。したがって、食品工場においては、まず、食品に異物が混入するのを回避することが求められるが、たとえ食品に異物が混入したとしても、食品の出荷前に異物を検出することができれば、異物が混入した食品の流通を回避することができる。そのような観点から、貼付対象から脱落して食品に混入したとしても容易に検出することができるように、たとえば特許文献1には、タングステン含有粉が含まれる粘着テープが開示されている。特許文献1の粘着テープは、食品に混入したとしても、タングステン含有粉がX線検査装置に反応することを利用して、X線検査装置により検知することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、さまざまな形態でタングステン含有粉を粘着テープに含有させることが可能であることが記載されている。たとえば、ある粘着テープでは、タングステン含有粉が含まれるタングステン含有層が基材の表面の全面に設けられている。この場合、基材全面がタングステン含有層で覆われることで、粘着テープの強度は増加する一方で、基材が有する柔軟性や通気性が損なわれてしまう可能性がある。また、別の粘着テープでは、タングステン含有粉が含まれるタングステン含有層が基材の表面に分散されている。この場合、基材表面が部分的にタングステン含有層に覆われることなく露出されることで、基材が有する柔軟性や通気性の低下が抑制される。しかし、基材の端縁にまでタングステン含有層が及んでいないので、基材の端縁が欠損する可能性がある。特に、基材が布地により形成されている場合には、端縁から糸が解れる可能性がある。
【0006】
本発明は、上述した問題に鑑みなされたもので、検知装置で検知可能であり、基材が有する柔軟性および通気性の低下を抑制しつつ、基材の端縁の欠損が抑制された粘着テープを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の粘着テープは、柔軟性および通気性を有するシート状基材と、前記シート状基材の表面に設けられる粘着剤層と、前記シート状基材の表面に設けられる複数の検知対象膜とを備える粘着テープであって、前記シート状基材が、第1の方向に沿って延びる第1の端縁を有し、前記複数の検知対象膜が、前記シート状基材の表面上で互いに間隔を空けて分散して配置され、前記検知対象膜が、結合材および検知対象材を含み、前記複数の検知対象膜のうち少なくとも1つが、前記シート状基材の前記第1の端縁に隣接して配置されていることを特徴とする。
【0008】
また、前記第1の方向における前記シート状基材の略全長に亘る、前記第1の方向に沿った任意の線上に、前記複数の検知対象膜のうち少なくとも1つが存在するように、前記複数の検知対象膜が前記シート状基材の表面上に配置されていることが好ましい。
【0009】
また、前記シート状基材が、前記第1の方向に略直交する第2の方向に沿って延びる第2の端縁を有し、前記複数の検知対象膜のうち少なくとも1つが、前記シート状基材の前記第2の端縁に隣接して配置されていることが好ましい。
【0010】
また、前記第1の方向に略直交する第2の方向における前記シート状基材の略全長に亘る、前記第2の方向に沿った任意の線上に、前記複数の検知対象膜のうち少なくとも1つが存在するように、前記複数の検知対象膜が前記シート状基材の表面上に配置されていることが好ましい。
【0011】
また、前記複数の検知対象膜は、前記第2の方向に沿って複数の検知対象膜が互いに第1の間隙を挟んで並んで配置される少なくとも1つの第1の列と、前記第2の方向に沿って複数の検知対象膜が互いに第2の間隙を挟んで並んで配置される少なくとも1つの第2の列とを備え、前記第1および第2の列は、前記第1の方向に沿って互いに間隔を空けて交互に配列され、前記第1および第2の列は、前記第1の列における全ての前記第1の間隙の前記第1の方向の延長線上に前記第2の列における検知対象膜が存在し、前記第2の列における全ての前記第2の間隙の前記第1の方向の延長線上に前記第1の列における検知対象膜が存在するように、前記第2の方向で互いに対してオフセットされて配置されていることが好ましい。
【0012】
また、前記複数の検知対象膜は、前記第1の方向X1に対して傾斜する第3の方向に沿って複数の検知対象膜が互いに第3の間隙を挟んで並んで配置される少なくとも1つの第3の列と、前記第3の方向に沿って複数の検知対象膜が互いに第4の間隙を挟んで並んで配置される少なくとも1つの第4の列とを備え、前記第3および第4の列は、前記第3の方向に略直交する第4の方向に沿って互いに間隔を空けて交互に配列され、前記第3および第4の列は、前記第3の列における全ての前記第3の間隙の前記第4の方向の延長線上に前記第4の列における検知対象膜が存在し、前記第4の列における全ての前記第4の間隙の前記第4の方向の延長線上に前記第3の列における検知対象膜が存在するように、前記第3の方向で互いに対してオフセットされて配置されており、前記第1の方向に対する前記第3の方向の角度は、前記第1の方向における前記シート状基材の略全長に亘る、前記第1の方向に沿った任意の線上に、前記複数の検知対象膜のうち少なくとも1つが存在し、前記第1の方向に略直交する第2の方向における前記シート状基材の略全長に亘る、前記第2の方向に沿った任意の線上に、前記複数の検知対象膜のうち少なくとも1つが存在するように、画定されることが好ましい。
【0013】
また、前記シート状基材が、前記第1の方向に延びる経糸と、前記第1の方向に略直交する第2の方向に延びる緯糸とで織成される織物であることが好ましい。
【0014】
また、前記結合材が、熱可塑性樹脂であり、前記検知対象材が、磁性粉またはタングステン粉であることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、検知装置で検知可能であり、基材が有する柔軟性および通気性の低下を抑制しつつ、基材の端縁の欠損が抑制された粘着テープを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る粘着テープの斜視図である。
【
図3】
図2の粘着テープのIII-III線断面図である。
【
図4】本発明の第2実施形態に係る粘着テープの一部の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明のいくつかの実施形態に係る粘着テープを説明する。
図1~
図3は、本発明の第1実施形態に係る粘着テープ1を示し、
図4は、本発明の第2実施形態に係る粘着テープ10を示す。これらの図では、同一の機能を有する要素には同一の符号が付されている。なお、これらの図面とともに以下で説明する実施形態はあくまで例示に過ぎず、本発明の粘着テープは以下の例に限定されることはない。
【0018】
第1および第2実施形態の粘着テープ1、10は、
図1~
図4に示されるように、柔軟性および通気性を有するシート状基材2と、シート状基材2の表面に(直接または間接的に)設けられる粘着剤層3と、シート状基材2の表面に(直接または間接的に)設けられる複数の検知対象膜4とを備えている。粘着テープ1、10は、人体の皮膚などの貼付対象に粘着剤層3が粘着することにより、貼付対象に貼り付けられて使用される。粘着テープ1、10は、たとえば、粘着剤層3に吸収パットが貼り付けられて、絆創膏として使用することができる。粘着テープ1、10は、通気性を良くするために、複数の通気孔(図示せず)が設けられてもよい。粘着テープ1、10は、貼付対象に貼り付けられて使用される用途であれば、絆創膏としての用途に限定されることはなく、たとえば、人体の関節の動きを制限するためのテーピングや構造物の破損個所の補修などの他の用途にも用いることができる。粘着テープ1、10は、特に、貼付対象から脱落した際にX線検査装置や金属検知器などの検知装置により検知する必要のある、食品の製造や加工などを行なう食品工場などにおいて、貼付対象に貼り付ける必要のある用途に好適に用いられる。なお、第1および第2実施形態では、粘着剤層3は、シート状基材2の一方の面に設けられ、複数の検知対象膜4は、シート状基材2の他方の面に設けられている。以下では、その配置に基づいて第1および第2実施形態の粘着テープ1、10を説明する。しかし、粘着剤層3および複数の検知対象膜4は、シート状基材2のいずれか一方の同じ表面に設けられてもよく、その場合、互いに積層されてもよく、互いに重ならないように分散して配置されてもよい。
【0019】
粘着テープ1、10は、第1および第2実施形態では、
図1~
図4に示されるように、第1の方向X1に沿って延び、第1の方向X1に対して略直交する第2の方向X2に幅を有する長尺状に形成されている。粘着テープ1、10は、第1の方向X1に対して交差する方向(たとえば第2の方向X2)に沿って切断することで、第1の方向X1で所望の長さを有する粘着テープに形成することができる。ただし、粘着テープ1、10は、あらかじめ切断されて、第1の方向X1で所望の長さを有するテープ片として形成されてもよい。第1の方向X1は、
図1~
図4では略直線状に延びる方向として示されているが、略直線状に限定されることはなく、湾曲線状など他の線状に延びる方向であっても構わない。
【0020】
シート状基材2は、第1および第2の方向X1、X2に沿って拡張するシート状に形成され、柔軟性および通気性を有する部材である。シート状基材2は、表面(第1および第2実施形態では一方の面)に設けられる粘着剤層3と、表面(第1および第2実施形態では他方の面)に設けられる複数の検知対象膜4とを支持する。シート状基材2は、
図1、
図2および
図4に示されるように、第1の方向X1に沿って延びる第1の端縁21を有している。図示された例では、一対の第1の端縁21、21の両方が第1の方向X1に沿って延びるように形成されている。ただし、シート状基材2は、少なくとも1つの端縁が第1の方向X1に沿って延びていればよく、他の端縁が、他の方向に沿って延びるように形成されていてもよい。また、シート状基材2は、図示されるように、第1の方向X1に対して略直交する第2の方向X2に沿って延びる第2の端縁22を有していてもよい。ただし、第2の端縁22は、必ずしも第2の方向X2に沿うように形成されていなくてもよく、略半円弧状など、他の形態で延びるように形成されてもよい。
【0021】
シート状基材2は、柔軟性および通気性を有し、粘着剤層3および複数の検知対象膜4を支持する強度を有していれば、特に限定されることはなく、たとえばフィルムや、織物、編物、不織布などの布帛、またはそれらの組み合わせにより形成することができる。シート状基材2は、柔軟性および通気性を有するように形成されるので、人体の皮膚など、貼り付けられた後に形状が変化する貼付対象に貼り付けられたとしても、貼付対象の形状変化に追従して容易に変形することができ、また、貼付面の湿度上昇が抑制されることで、貼付対象に対する貼付状態を比較的長時間に亘って良好に維持することができる。
【0022】
シート状基材2に用いられるフィルムとしては、特に限定されることはなく、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル、オレフィン、ポリカーボネート、ポリサルフィン、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミド、エラストマーなどの合成樹脂、および/または、ウレタンゴム、シリコンゴム、エチレンプロピレンゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、スチレンプロピレンゴム、天然ゴムなどのゴムを成分とするフィルムを用いることができる。
【0023】
シート状基材2に用いられる布帛としては、特に限定されることはなく、ポリエステル繊維、ポリアクリル繊維、ポリウレタン繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維などの合成繊維、および/または、毛、綿、麻、絹などの天然繊維からなる織物、編物、または不織布を用いることができる。
【0024】
シート状基材2は、第1および第2実施形態では、第1の方向X1に延びる経糸と、第1の方向X1に略直交する第2の方向X2に延びる緯糸とで織成される織物である。シート状基材2は、たとえば互いに異なる特性を有する経糸と緯糸とを用いて織成することで、第1の方向X1と第2の方向X2とで異方性を持たせることができる。たとえば、シート状基材2は、経糸より伸長率の大きい緯糸を用いることで、第1の方向X1と比べて第2の方向X2における伸長率を大きくすることができる。そうすることで、粘着テープ1、10の第2の方向X2の伸長率を大きくすることができ、粘着テープ1、10は、たとえば人間の指に巻くような際に、指にフィットして馴染みやすくなる。このような経糸および緯糸の好適な組み合わせとして、綿100%の経糸、および、綿に1~5%、好ましくは1~3%、さらに好ましくは2%のポリウレタンを加えた緯糸の組み合わせが例示される。織物は、特に限定されることはないが、たとえば公知の平織などにより形成することができる。なお、第1および第2の方向X1、X2に延びる端縁を有するシート状基材2を上述した織物とすることで、その端縁において経糸および/または緯糸が解れやすくなるが、後述するように、検知対象膜4がシート状基材2の端縁に隣接して配置されることで、経糸および/または緯糸の解れが抑制される。
【0025】
粘着剤層3は、シート状基材2の表面(第1および第2実施形態では一方の面)上に設けられ、貼付対象に粘着し、シート状基材2を貼付対象に貼り付ける層である。粘着剤層3は、第1および第2実施形態では、
図3に示されるように、シート状基材2の表面の略全体に亘って連続的に設けられている。しかし、粘着剤層3は、シート状基材2を貼付対象に貼り付けることができればよく、シート状基材2の表面上に部分的に、または分散して設けられてもよい。粘着剤層3を構成する粘着剤としては、特に限定されることはなく、天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤などの公知の粘着剤を用いることができる。
【0026】
検知対象膜4は、シート状基材2の表面(第1および第2実施形態では他方の面)上に設けられ、X線検査装置や金属検知器などの検知装置により検知され得る膜である。粘着テープ1、10は、検知装置により検知可能な検知対象膜4を備えることで、たとえば食品の製造や加工などを行なう食品工場において、貼付対象から脱落したとしても、X線検査装置や金属検知器などの検知装置により検知することができるので、食品への混入を抑制することができる。
【0027】
検知対象膜4は、以下に詳しく述べるようにシート状基材2の表面に分散して配置されていれば、その形状や大きさは特に限定されない。検知対象膜4は、たとえば、
図1、
図2および
図4に示されるように、上面視で略四角形状に形成することができる。ただし、検知対象膜4は、以下でも述べるように、上面視で略三角形状や略円形状など他の形状に形成されてもよい。また、検知対象膜4の大きさは、たとえば、製造上の容易さの観点から、上面視の面積で、0.025mm
2以上が好ましく、1mm
2以上がさらに好ましく、4mm
2以上がよりさらに好ましい。検知対象膜4の大きさは、たとえば、粘着テープ1、10の柔軟性の観点から、100mm
2以下が好ましく、36mm
2以下がさらに好ましく、16mm
2以下がよりさらに好ましい。
【0028】
検知対象膜4は、
図3に示されるように、X線検査装置や金属検知器などの検知装置により検知可能とするために、結合材41および検知対象材42を含んでいる。検知対象膜4は、たとえば結合材41および検知対象材42の混合物をシルクスクリーン方式やインクジェット方式でシート状基材2の表面に塗布して、加熱して乾燥させることにより形成することができる。あるいは、検知対象膜4は、結合材41および検知対象材42の混合物を膜状に形成したものを熱融着や接着剤などの公知の接着手段によりシート状基材2の表面に接着することにより形成することもできる。検知対象膜4は、顔料などの他の材料を含んでいてもよい。
【0029】
結合材41は、シート状基材2の表面に固定されて、シート状基材2に対して検知対象材42を保持し、固定する部材である。結合材41は、シート状基材2の表面に固定されることで、シート状基材2の表面を保護し、強化する機能も有する。結合材41としては、シート状基材2に対して検知対象材42を保持し、固定することができれば、特に限定されることはなく、たとえば樹脂材料など、より具体的には熱硬化性樹脂を採用することができる。熱硬化性樹脂としては、たとえばアクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂などが例示され、たとえばアクリル酸アルキルエステル・スチレン共重合体が、高堅牢度および高伸縮性を有するという点で、好適に用いられる。
【0030】
検知対象材42は、X線検査装置や金属検知器などの検知装置により検知可能な材料である。検知対象材42としては、検知装置により検知可能であれば、特に限定されることはなく、たとえば金属検知器により好適に検知可能な磁性粉や、X線検査装置により好適に検知可能なタングステン含有粉を用いることができる。
【0031】
磁性紛は、磁性材料を含む粉体(粒子)であり、たとえば、酸化鉄系磁性材料や合金系磁性材料などを含む粉体である。その中でも、合金系磁性材料を含む粉体は、検知対象膜4を磁性紛の色以外の他の色に着色しやすいという点で、好適に用いられ、たとえば鉄系合金、特に8%Cr鋼が好適に用いられる。磁性粉は、検知対象膜4内に含ませることができれば、その大きさ、形状、含有量などは特に限定されることはなく、金属検知器の検知能力、検知対象膜4内での分散性、シート状基材2の変形に対する追従性などに応じて適宜設定することができる。
【0032】
タングステン含有粉は、タングステンを含む粉体(粒子)であり、たとえば、金属タングステン粉、酸化タングステン(WO3など)粉、炭化タングステン粉、窒化タングステン粉、またはそれらの混合粉などである。その中でも、金属タングステン粉または酸化タングステン粉、特に酸化タングステン粉が好適に用いられる。タングステン含有粉は、検知対象膜4内に含ませることができれば、その大きさ、形状、含有量などは特に限定されることはなく、X線検査装置の検知能力、検知対象膜4内での分散性、シート状基材2の変形に対する追従性などに応じて適宜設定することができる。
【0033】
検知対象膜4は、
図1、
図2および
図4に示されるように、シート状基材2の表面に複数設けられているが、その複数の検知対象膜4は、シート状基材2の表面の少なくとも一部が露出するように、シート状基材2の表面上で互いに間隔を空けて分散して配置されている。このように複数の検知対象膜4がシート状基材2の表面上で分散して配置されることで、シート状基材2の表面の全面に検知対象膜が設けられる場合と比べて、シート状基材2が有する柔軟性および通気性の低下を抑制することができる。さらに、複数の検知対象膜4のうち少なくとも1つが、シート状基材2の第1の端縁21に隣接して配置されている。これにより、シート状基材2の第1の端縁21が、検知対象膜4の結合材41によって保護・強化されて、第1の端縁21の欠損が抑制される。特に、第1および第2実施形態のように、第1の方向X1に沿って延びる経糸および第2の方向X2に沿って延びる緯糸により織成された織物によりシート状基材2が構成されている場合には、第1の端縁21における経糸の解れが抑制される。
【0034】
ここで、「第1の端縁21に隣接して配置される」とは、第2の方向X2の所定の長さ以下まで第1の端縁21に近接して、シート状基材2の表面上に配置されることを意味する。第1の端縁21からの第2の方向X2の所定の長さは、第1の端縁21で欠損が生じる可能性のある第1の端縁21からの第2の方向X2における範囲に応じて適宜設定することができる。たとえば、第1の端縁21からの第2の方向X2の所定の長さは、1mm以下が好ましく、0.5mm以下がさらに好ましく、0.1mm以下がよりさらに好ましく、0mmが最も好ましい。なお、図示された例では、第1の端縁21からの第2の方向X2の所定の長さは0mmである。
【0035】
検知対象膜4は、シート状基材2の第1の端縁21に隣接して少なくとも1つ設けられていればよく、第1の端縁21に隣接して配置される検知対象膜4の数や配置は特に限定されない。第1および第2実施形態では、
図2および
図4に示されるように、複数の検知対象膜4がそれぞれ、シート状基材2の第1の端縁21に隣接して、第1の方向X1に沿って間隔(
図2の第1実施形態の粘着テープ1では略等しい間隔)を空けて並んで配置されている。このように複数の検知対象膜4が第1の方向X1に沿って間隔を空けて並んで配置されることで、第1の端縁21におけるシート状基材2の柔軟性の低下を抑制しながら、隣り合う検知対象膜4、4間の間隔以上の長さに亘る第1の端縁21の欠損を抑制することができる。
【0036】
複数の検知対象膜4はそれぞれ、第1の方向X1に沿って互いに間隔を空けて並んで配置されていればよく、第1の端縁21に隣接する検知対象膜4の大きさや隣り合う検知対象膜4、4間の間隔は特に限定されない。たとえば、検知対象膜4の第1の方向X1における長さや、隣り合う検知対象膜4、4間の間隔は、第1の端縁21におけるシート状基材2の柔軟性の低下を抑制するという観点や、第1の端縁21の欠損を抑制するという観点から、適宜設定することができる。たとえば、
図2の第1実施形態の粘着テープ1において、シート状基材2の柔軟性の低下を抑制するという観点から、検知対象膜4の第1の方向X1における長さL1と、隣り合う検知対象膜4、4間の間隔D1との比(L1/D1)は、10/1以下が好ましく、5/1以下がさらに好ましく、2/1以下がよりさらに好ましい。また、第1の端縁21の欠損を抑制するという観点から、長さL1と間隔D1との比(L1/D1)は、1/5以上が好ましく、1/3以上が好ましく、1/1以上がよりさらに好ましい。
【0037】
検知対象膜4は、シート状基材2の第1の端縁21に隣接して少なくとも1つ設けられていればよく、他の検知対象膜4の配置は特に限定されない。たとえば、
図2および
図4に示される第1および第2実施形態の粘着テープ1、10のように、第1の方向X1におけるシート状基材2の全長に亘る、第1の方向X1に沿った任意の線上に、複数の検知対象膜4のうち少なくとも1つが存在するように、複数の検知対象膜4がシート状基材2の表面上に配置されてもよい。そのように検知対象膜4が配置されることで、第1の方向X1に沿って粘着テープ1、10が第2の方向X2のいずれの位置で切断されても、少なくとも1つの検知対象膜4が切断されて、切断端縁に隣接して少なくとも1つの検知対象膜4が配置されることになる。これにより、粘着テープ1、10を第1の方向X1に沿って切断する限り、第2の方向X2のいずれの位置で切断しても、切断端縁に隣接して配置される検知対象膜4によって、切断端縁の欠損が抑制される。したがって、粘着テープ1、10の第2の方向X2の長さを自在に調節することができる。なお、第1の方向X1だけでなく、第1の方向X1から傾斜した任意の方向に沿った任意の線上に、複数の検知対象膜4のうち少なくとも1つが存在するように、複数の検知対象膜4がシート状基材2の表面上に配置されてもよい。
【0038】
検知対象膜4は、シート状基材2の第1の方向X1に沿った任意の線上に少なくとも1つ設けられていればよく、その任意の線上に配置される検知対象膜4の数や配置は特に限定されない。第1および第2実施形態では、
図2および
図4に示されるように、複数の検知対象膜4がそれぞれ、シート状基材2の第1の方向X1に沿った任意の線上で、第1の方向X1に沿って間隔(
図2の第1実施形態の粘着テープ1では略等しい間隔)を空けて並んで配置されている。このように複数の検知対象膜4が第1の方向X1に沿って間隔を空けて並んで配置されることで、第1の方向X1に沿って粘着テープ1、10を第2の方向X2のいずれの位置で切断しても、切断端縁におけるシート状基材2の柔軟性の低下を抑制しながら、隣り合う検知対象膜4、4間の間隔以上の長さに亘る切断端縁の欠損を抑制することができる。
【0039】
複数の検知対象膜4はそれぞれ、第1の方向X1に沿って互いに間隔を空けて並んで配置されていればよく、第1の方向X1に沿った任意の線上における検知対象膜4の大きさや隣り合う検知対象膜4、4間の間隔の長さは特に限定されない。たとえば、検知対象膜4の第1の方向X1における長さや、隣り合う検知対象膜4、4間の間隔は、第1の方向X1に沿った任意の切断端縁におけるシート状基材2の柔軟性の低下を抑制するという観点や、切断端縁の欠損を抑制するという観点から、適宜設定することができる。たとえば、
図2の第1実施形態の粘着テープ1において、シート状基材2の柔軟性の低下を抑制するという観点から、検知対象膜4の第1の方向X1における長さL1と隣り合う検知対象膜4、4間の間隔D1との比(L1/D1)は、10/1以下が好ましく、5/1以下がさらに好ましく、2/1以下がよりさらに好ましい。また、第1の方向X1に沿った任意の切断端縁の欠損を抑制するという観点から、長さL1と間隔D1との比(L1/D1)は、1/5以上が好ましく、1/3以上が好ましく、1/1以上がよりさらに好ましい。
【0040】
第1実施形態の粘着テープ1における複数の検知対象膜4は、
図2に示されるように、第2の方向X2に沿って複数の検知対象膜4が互いに第1の間隙G1を挟んで並んで配置される少なくとも1つの第1の列R1と、第2の方向X2に沿って複数の検知対象膜4が互いに第2の間隙G2を挟んで並んで配置される少なくとも1つの第2の列R2とを備えている。第1および第2の列R1、R2は、図示された例では、第2の方向X2におけるシート状基材2の略全長に亘って延びている。また、第1および第2の列R1、R2は、第1の方向X1に沿って互いに間隔を空けて交互に配列されている。第1および第2の列R1、R2は、図示された例では、第1の方向X1におけるシート状基材2の略全長に亘って、第1の方向X1に沿って互いに間隔を空けて交互に配列されている。第1および第2の列R1、R2は、第1の列R1における全ての第1の間隙G1の第1の方向X1の延長線上に第2の列R2における検知対象膜4が存在し、第2の列R2における全ての第2の間隙G2の第1の方向X1の延長線上に第1の列R1における検知対象膜4が存在するように、第2の方向X2で互いに対してオフセットされて配置されている。第1実施形態の粘着テープ1では、このように複数の検知対象膜4がシート状基材2の表面上に配置されることで、第1の方向X1に沿った任意の線上に検知対象膜4が存在することになる。したがって、第1の方向X1に沿って粘着テープ1が第2の方向X2のいずれの位置で切断されても、検知対象膜4が切断されて、切断端縁に隣接して配置される検知対象膜4によって、切断端縁の欠損が抑制される。
【0041】
第1実施形態の粘着テープ1では、
図2に示されるように、第1および第2の列R1、R2の両方において、同じ形状(上面視で略正四角形)および同じ大きさの検知対象膜4が、第2の方向X2に沿ってともに同じ大きさの間隙G1、G2を挟んで並んで配置されている。そして、第1および第2の列R1、R2は、第1の方向X1に沿って互いに同じ間隔を空けて交互に繰り返して配列されている。このような配置では、たとえば、シート状基材2の第2の方向X2の柔軟性の低下を抑制するという観点から、検知対象膜4の第2の方向X2における長さと、間隙G1、G2の第2の方向X2における長さとの比(検知対象膜の長さ/間隙の長さ)は、10/1以下が好ましく、5/1以下がさらに好ましく、2/1以下がよりさらに好ましい。また、シート状基材2の第2の方向X2の強度を高めるという観点から、上記比は、1/5以上が好ましく、1/3以上が好ましく、1/1以上がよりさらに好ましい。また、シート状基材2の第1の方向X1の柔軟性の低下を抑制するという観点から、検知対象膜4の第1の方向X1における長さと、第1の列R1と第2の列R2との間の間隔との比(検知対象膜の長さ/列間の間隔)は、10/1以下が好ましく、5/1以下がさらに好ましく、2/1以下がよりさらに好ましい。また、シート状基材2の第1の方向X1の強度を高めるという観点から、上記比は、1/5以上が好ましく、1/3以上が好ましく、1/1以上がよりさらに好ましい。ただし、複数の検知対象膜4が上述したいくつかの説明のようにシート状基材2の表面上に配置されていれば、検知対象膜4の形状や大きさ、間隙G1、G2の大きさ、第1の列R1と第2の列R2との間の間隔は、特に限定されることはない。たとえば、検知対象膜4の形状は、上面視で略正四角形以外にも、上面視で略三角形や略円形などであってもよい。また、検知対象膜4の大きさは、それぞれの列内で異なっていてもよいし、列間で互いに異なっていてもよい。また、間隙の大きさも、列内で異なっていてもよいし、列間で互いに異なっていてもよい。また、それぞれの列は、互いに異なる間隔を空けて交互に繰り返して配列されても構わない。
【0042】
ここで、
図2に示される第1実施形態の粘着テープ1および
図4に示される第2実施形態の粘着テープ10のように、複数の検知対象膜4のうち少なくとも1つが、シート状基材2の第2の端縁22に隣接して配置されてもよい。これにより、シート状基材2の第2の端縁22が、検知対象膜4の結合材41によって保護・強化されて、第2の端縁22の欠損が抑制される。特に、第1および第2実施形態のように、第1の方向X1に沿って延びる経糸および第2の方向X2に沿って延びる緯糸により織成された織物によりシート状基材2が構成されている場合には、第2の端縁22における緯糸の解れが抑制される。
【0043】
なお、「第2の端縁22に隣接して配置される」とは、第1の方向X1の所定の長さ以下まで第2の端縁22に近接して、シート状基材2の表面上に配置されることを意味する。第2の端縁22からの第1の方向X1の所定の長さは、第2の端縁22で欠損が生じる可能性のある第2の端縁22からの第1の方向X1における範囲に応じて適宜設定することができる。たとえば、第2の端縁22からの第1の方向X1の所定の長さは、1mm以下が好ましく、0.5mm以下がさらに好ましく、0.1mm以下がよりさらに好ましく、0mmが最も好ましい。なお、図示された例では、第2の端縁22からの第1の方向X1の所定の長さは0mmである。
【0044】
検知対象膜4は、シート状基材2の第2の端縁22に隣接して少なくとも1つ設けられていればよく、第2の端縁22に隣接して配置される検知対象膜4の数や配置は特に限定されない。第1および第2実施形態では、
図2および
図4に示されるように、複数の検知対象膜4がそれぞれ、シート状基材2の第2の端縁22に隣接して、第2の方向X2に沿って間隔(
図2の第1実施形態の粘着テープ1では略等しい間隔)を空けて並んで配置されている。このように複数の検知対象膜4が第2の方向X2に沿って間隔を空けて並んで配置されることで、第2の端縁22におけるシート状基材2の柔軟性の低下を抑制しながら、隣り合う検知対象膜4、4間の間隔以上の長さに亘る第2の端縁22の欠損を抑制することができる。
【0045】
複数の検知対象膜4はそれぞれ、第2の方向X2に沿って互いに間隔を空けて並んで配置されていればよく、第2の端縁22に隣接して配置される検知対象膜4の大きさや隣り合う検知対象膜4、4間の間隔は特に限定されない。たとえば、検知対象膜4の第2の方向X2における長さや、隣り合う検知対象膜4、4間の間隔は、第2の端縁22におけるシート状基材2の柔軟性の低下を抑制するという観点や、第2の端縁22の欠損を抑制するという観点から、適宜設定することができる。たとえば、
図2の第1実施形態の粘着テープ1において、シート状基材2の柔軟性の低下を抑制するという観点から、検知対象膜4の第2の方向X2における長さL2と隣り合う検知対象膜4、4間の間隔D2との比(L2/D2)は、10/1以下が好ましく、5/1以下がさらに好ましく、2/1以下がよりさらに好ましい。また、第2の端縁22の欠損を抑制するという観点から、長さL2と間隔D2との比(L2/D2)は、1/5以上が好ましく、1/3以上が好ましく、1/1以上がよりさらに好ましい。
【0046】
複数の検知対象膜4は、たとえば、
図4に示される第2実施形態の粘着テープ10のように、第2の方向X2におけるシート状基材2の全長に亘る、第2の方向X2に沿った任意の線上に、複数の検知対象膜4のうち少なくとも1つが存在するように、シート状基材2の表面上に配置されてもよい。そのように検知対象膜4が配置されることで、第2の方向X2に沿って粘着テープ10が第1の方向X1のいずれの位置で切断されても、少なくとも1つの検知対象膜4が切断されて、切断端縁に隣接して少なくとも1つの検知対象膜4が配置されることになる。これにより、粘着テープ10を第2の方向X2に沿って切断する限り、第1の方向X1のいずれの位置で切断しても、切断端縁に隣接して配置される検知対象膜4によって、切断端縁の欠損が抑制される。したがって、粘着テープ10の第1の方向X1の長さを自在に調節することができる。なお、第2の方向X2だけでなく、第2の方向X2から傾斜した任意の方向に沿った任意の線上に、複数の検知対象膜4のうち少なくとも1つが存在するように、複数の検知対象膜4がシート状基材2の表面上に配置されてもよい。
【0047】
検知対象膜4は、シート状基材2の第2の方向X2に沿った任意の線上に少なくとも1つ設けられていればよく、配置される検知対象膜4の数や配置は特に限定されない。第2実施形態では、
図4に示されるように、複数の検知対象膜4がそれぞれ、シート状基材2の第2の方向X2に沿った任意の線上で、第2の方向X2に沿って間隔を空けて並んで配置されている。このように複数の検知対象膜4が第2の方向X2に沿って間隔を空けて並んで配置されることで、第2の方向X2に沿って粘着テープ10を第1の方向X1のいずれの位置で切断しても、切断端縁におけるシート状基材2の柔軟性の低下を抑制しながら、隣り合う検知対象膜4、4間の間隔以上の長さに亘る切断端縁の欠損を抑制することができる。
【0048】
第2実施形態の粘着テープ10における複数の検知対象膜4は、
図4に示されるように、第1の方向X1に対して傾斜する第3の方向X3に沿って複数の検知対象膜4が互いに第3の間隙G3を挟んで並んで配置される少なくとも1つの第3の列R3と、第3の方向X3に沿って複数の検知対象膜4が互いに第4の間隙G4を空けて並んで配置される少なくとも1つの第4の列R4とを備えている。第3および第4の列R3、R4は、図示された例では、第3の方向X3におけるシート状基材2の略全長に亘って延びている。また、第3および第4の列R3、R4は、第3の方向X3に略直交する第4の方向X4に沿って互いに間隔を空けて交互に配列されている。第3および第4の列R3、R4は、図示された例では、第4の方向X4におけるシート状基材2の略全長に亘って、第4の方向X4に沿って互いに間隔を空けて交互に配列されている。第3および第4の列R3、R4は、第3の列R3における全ての第3の間隙G3の第4の方向X4の延長線上に第4の列R4における検知対象膜4が存在し、第4の列R4における全ての第4の間隙G4の第4の方向X4の延長線上に第3の列R3における検知対象膜4が存在するように、第3の方向X3で互いに対してオフセットされて配置されている。ここで、第1の方向X1に対する第3の方向X3の角度は、第1の方向X1におけるシート状基材2の略全長に亘る、第1の方向X1に沿った任意の線上に、複数の検知対象膜4のうち少なくとも1つが存在し、第2の方向X2におけるシート状基材2の略全長に亘る、第2の方向X2に沿った任意の線上に、複数の検知対象膜4のうち少なくとも1つが存在するように、画定される。第2実施形態の粘着テープ10では、このように複数の検知対象膜4がシート状基材2の表面上に配置されることで、第1および第2の方向X1、X2のそれぞれに沿った任意の線上に検知対象膜4が存在することになる。したがって、第1の方向X1に沿って粘着テープ10が第2の方向X2のいずれの位置で切断されても、また、第2の方向X2に沿って粘着テープ10が第1の方向X1のいずれの位置で切断されても、検知対象膜4が切断されて、切断端縁に隣接して配置される検知対象膜4によって、切断端縁の欠損が抑制される。
【0049】
第2実施形態の粘着テープ10では、
図4に示されるように、第3および第4の列R3、R4の両方において、同じ形状(上面視で略正四角形)および同じ大きさの検知対象膜4が、第3および第4の方向X3、X4に沿ってともに同じ大きさの間隙G3、G4を挟んで並んで配置されている。そして、第3および第4の列R3、R4は、第4の方向X4に沿って互いに同じ間隔を空けて交互に繰り返して配列されている。このような配置では、たとえば、シート状基材2の第3の方向X3の柔軟性の低下を抑制するという観点から、検知対象膜4の第3の方向X3における長さと、間隙G3、G4の第3の方向X3における長さとの比(検知対象膜の長さ/間隙の長さ)は、10/1以下が好ましく、5/1以下がさらに好ましく、2/1以下がよりさらに好ましい。また、シート状基材2の第3の方向X3の強度を高めるという観点から、上記比は、1/5以上が好ましく、1/3以上が好ましく、1/1以上がよりさらに好ましい。また、シート状基材2の第4の方向X4の柔軟性の低下を抑制するという観点から、検知対象膜4の第4の方向X4における長さと、第3の列R3と第4の列R4との間の間隔との比(検知対象膜の長さ/列間の間隔)は、10/1以下が好ましく、5/1以下がさらに好ましく、2/1以下がよりさらに好ましい。また、シート状基材2の第4の方向X4の強度を高めるという観点から、上記比は、1/5以上が好ましく、1/3以上が好ましく、1/1以上がよりさらに好ましい。ただし、複数の検知対象膜4が上述したいくつかの説明のようにシート状基材2の表面上に配置されていれば、検知対象膜4の形状や大きさ、間隙G3、G4の大きさ、第3の列R3と第4の列R4との間の間隔は、特に限定されることはない。たとえば、検知対象膜4の形状は、上面視で略正四角形以外にも、上面視で略三角形や略円形などであってもよい。また、検知対象膜4の大きさは、それぞれの列内で異なっていてもよいし、列間で互いに異なっていてもよい。また、間隙G3、G4の大きさも、列内で異なっていてもよいし、列間で互いに異なっていてもよい。また、それぞれの列は、互いに異なる間隔を空けて交互に繰り返して配列されても構わない。
【符号の説明】
【0050】
1、10 粘着テープ
2 シート状基材
21 第1の端縁
22 第2の端縁
3 粘着剤層
4 検知対象膜
41 結合材
42 検知対象材
D1、D2 第1の方向における検知対象膜間の間隔
G1~G4 第1~第4の間隙
L1、L2 第1の方向における検知対象膜の長さ
R1~R4 第1~第4の列
X1~X4 第1~第4の方向