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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149543
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】情報報知装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/18 20060101AFI20220929BHJP
【FI】
H04N7/18 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021051752
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】望月 綾子
(72)【発明者】
【氏名】高橋 悠生
(72)【発明者】
【氏名】河村 健
(72)【発明者】
【氏名】井筒 裕也
(72)【発明者】
【氏名】三原 真哉
【テーマコード(参考)】
5C054
【Fターム(参考)】
5C054CA04
5C054CC02
5C054FC12
5C054HA19
(57)【要約】
【課題】車両の周辺への物体の侵入又は脱出をより適切に報知する。
【解決手段】本発明の情報報知装置は、車両の周辺の様子を示す車両周辺情報を取得する周辺情報取得部32と、車両周辺情報に基づいて、車両の周辺への物体の侵入又は車両の周辺からの物体の脱出を検出する検出部34と、車両の利用状態に基づく報知態様によって検出結果の報知情報を出力する報知部38と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周辺の様子を示す車両周辺情報を取得する周辺情報取得部と、
前記車両周辺情報に基づいて、前記車両の周辺への物体の侵入又は前記車両の周辺からの物体の脱出を検出する検出部と、
前記車両の利用状態に基づく報知態様によって前記検出結果の報知情報を出力する報知部と、
を備えることを特徴とする情報報知装置。
【請求項2】
前記利用状態が、前記車両の走行状態の場合に、
前記報知部は、前記車両のユーザからの入力に応答して、前記検出結果の報知情報を出力する、請求項1に記載の情報報知装置。
【請求項3】
前記報知部は、前記入力を行った前記ユーザの種別にさらに基づく報知態様によって前記検出結果の報知情報を出力する、請求項2に記載の情報報知装置。
【請求項4】
前記報知部は、前記入力を行った前記ユーザの種別が前記車両の運転操作を行うドライバーではない場合、前記侵入又は前記脱出の際の前記車両周辺情報に基づく画像を用いて、前記検出結果の報知情報を出力する、請求項3に記載の情報報知装置。
【請求項5】
前記報知部は、前記入力を行った前記ユーザの種別が前記車両の運転操作を行うドライバーである場合、音声メッセージ、報知音、テキストメッセージ及びインジケータのうちの少なくとも1つを用いて、前記検出結果の報知情報を出力する、請求項3又は4に記載の情報報知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報報知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
子供や動物が車の下に入り込んでしまった場合、車両を発進させると危険であるため、車両の周辺の状況を確認する必要がある。車両の周辺の状況を確認するために、例えば、車両にカメラなどを設けることが一般的となっている。例えば、特許文献1には、停車中に車両周辺に物体が侵入した場合、走行開始前に警告を発生する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-56984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
状況に応じて、車両の周辺への物体の侵入又は脱出についてユーザが知りたい情報が異なる場合がある。そのため、車両の周辺への物体の侵入又は脱出をより適切に報知する技術が望まれている。
【0005】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、物体の車両の周辺への侵入又は脱出をより適切に報知する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様の情報報知装置は、車両の周辺の様子を示す車両周辺情報を取得する周辺情報取得部と、前記車両周辺情報に基づいて、前記車両の周辺への物体の侵入又は前記車両の周辺からの物体の脱出を検出する検出部と、前記車両の利用状態に基づく報知態様によって前記検出結果の報知情報を出力する報知部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
なお、以上の構成要素の任意の組合せや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本発明のある態様によれば、車両の周辺への物体の侵入又は脱出をより適切に報知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態に係る車両を模式的に示す図である。
図2図1の制御装置の機能構成を模式的に示すブロック図である。
図3】第1実施形態の情報報知装置における報知処理を示す図である。
図4】第2実施形態の情報報知装置における報知処理を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0011】
実施の形態を詳細に説明する前に概要を述べる。本実施形態は、車両の利用状態に基づく報知態様によって、車両の周辺への物体の侵入又は脱出の検出結果を報知する情報報知装置である。利用状態の一例は、車両の駐車状態、信号待ちなどの一時的な走行停止を含む停車状態、走行状態などである。車両の利用状態に基づく報知態様によって侵入又は脱出の検出結果を報知することで、車両の利用状態に応じて検出結果をより適切に報知することが可能となる。以下、実施の形態について詳細に説明する。
【0012】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態に係る車両50を模式的に示す図である。車両50には、周辺情報生成装置12と、入力装置14と、出力装置16と、制御装置18と、が設けられる。本実施形態の車両50は、ドライバーによる運転操作によって走行可能な車両である。図1の例では、周辺情報生成装置12、入力装置14、出力装置16及び制御装置18は、簡略化の目的で車両50の一箇所にそれぞれ設けられているが、複数箇所に設けられてもよい。また、これら装置の設置場所は図1の例に限定されない。本実施形態の制御装置18は、情報報知装置の一例である。
【0013】
周辺情報生成装置12は、車両50の周辺の様子を示す車両周辺情報を生成して、制御装置18に供給する。本実施形態の周辺情報生成装置12は、車両50の前後左右の周辺を撮影するカメラなどで構成される。このカメラは、例えば、1つまたは複数のステレオカメラ、広角カメラ、全周カメラ及びこれらの組み合わせ等である。周辺情報生成装置12は、車両周辺情報としてカメラの撮影画像を生成する。この撮影画像は、動画、静止画のいずれであってもよい。
【0014】
入力装置14は、車両50のユーザからの入力を受け付ける装置である。入力装置14は、受け付けた入力を制御装置18に供給する。入力装置14は、車両50に設けられる入力ボタン、ナビゲーションシステムのタッチパネルティスプレイ、車内のユーザを撮影するカメラ、車内のユーザから発せられた音声を受け付けるマイク等やこれらの組み合わせで構成される。入力装置14は、スマートフォン等の可搬型の装置によって実現されてもよい。
【0015】
出力装置16は、車両50の周辺への物体の侵入又は脱出に関する報知を行うために、表示出力及び音声出力の少なくとも一方を出力し、それによりユーザに車両50の周辺への物体の侵入又は脱出を報知する。この報知態様については後述する。出力装置16は、制御装置18から供給される後述の報知情報等を受け付ける。本実施形態の出力装置16は、車両50に設けられるメータパネル、ナビゲーションシステムのタッチパネルティスプレイ、スピーカー、ヘッドアップディスプレイなどを用いて構成される。出力装置16は、スマートフォン等の可搬型の装置のディスプレイやスピーカーで実現されてもよい。
【0016】
図2は、実施の形態に係る制御装置18の機能構成を模式的に示すブロック図である。図示する各機能ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUやメモリをはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックとして描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組み合わせによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0017】
図2に示すように、制御装置18は、周辺情報取得部32と、検出部34と、判断部36と、報知部38と、記憶部40と、を含む。制御装置18は、車両に搭載される装置であり、車両に設けられる電子制御ユニット(ECU;Electronic Control Unit)などによって構成される。制御装置18は、車両50に備えられるナビゲーションシステムなどを用いて構成されてもよい。制御装置18は、スマートフォン等の可搬型の装置で実現されてもよい。
【0018】
周辺情報取得部32は、周辺情報生成装置12から車両50の周辺の様子を示す車両周辺情報を取得する。本実施形態の車両周辺情報は、車両周辺を撮影したカメラの撮影画像である。
【0019】
検出部34は、車両周辺情報に基づいて、車両50の周辺への物体の侵入又は車両50の周辺からの物体の脱出を検出する。本実施形態の検出部34は、車両周辺情報としての車両周辺の画像に基づいて、画像処理技術を用いて物体の侵入又は脱出を検出する。例えば、検出部34は、車両周辺の画像をエッジ検出などの画像処理を行いフレーム毎の画像の差分を検出して移動している物体を検出する。検出部34は、車両50が静止している場合は移動している物体とその移動方向を抽出する。また、検出部34は、車両50が移動している場合には移動に伴う移動方向とは異なる固有の動きをする物体とその移動方向を抽出する。移動に伴う移動方向とは異なる固有の動きをする物体を抽出することで、例えば、縁石などの道路上の固定された地物は移動する物体ではないとし、飛び出してくる小動物や道路に捨てられたビニール袋などの浮遊物などは移動する物体として適切に抽出できる。検出部34は、抽出した物体とその移動方向に基づいて、物体が車両50から所定の距離範囲の外側から内側に移動した場合に物体が侵入したことを検出する。ここでの所定の距離範囲は、例えば、車両本体の外縁部から0.5m以内の領域である。また、検出部34は、抽出した物体とその移動方向に基づいて、物体が車両50から所定の距離範囲の内側から外側に移動した場合に物体が脱出したことを検出する。これに限定されず、公知の画像認識技術を用いて物体の侵入又は脱出が検出されてもよい。検出部34は、画像認識技術等を用いることにより、車両50から降りて離れていく人物や、車両50の持ち主であるユーザや子供、猫などの小動物を識別可能な物体として侵入又は脱出を検出でき、好適である。
【0020】
判断部36は、車両50の利用状態を判断する。ここでの車両50の利用状態は、車両50の走行状態、停車状態、駐車状態である。例えば、判断部36は、車両50の車速センサの情報やエンジン状態の情報を不図示の車載ネットワーク等を介して取得し、車速が0よりも大きい場合には走行状態と判断し、車両50のエンジンが動作している状態で車速が0である場合には停車状態と判断し、車両50のエンジンが始動していない状態では駐車状態であると判断する。しかし、これに限定されず、車両周辺情報の画像に基づいて車両50の利用状態(走行状態、停車状態、駐車状態)が判断されてもよいし、公知の技術を用いて、車両50の利用状態が判断されてもよい。
【0021】
報知部38は、車両50の利用状態に基づく報知態様によって検出結果を車両50のユーザに報知する。具体的には、報知部38は、利用状態に基づく報知態様によって検出結果を出力装置16に出力させるための簡易報知情報又は詳細報知情報を生成する。報知部38は、これらの報知情報を出力装置16に供給して出力装置16に出力させることにより、検出結果をユーザに報知する。具体的な報知の報知態様については、後述する。
【0022】
記憶部40は、周辺情報取得部32が取得した車両周辺情報を記憶する。記憶部40は、報知部38で生成した詳細報知情報など制御装置18の制御に関わる各種情報を履歴データや制御データとして記憶部40に記憶してもよい。
【0023】
図3を用いて、第1実施形態の制御装置18における報知処理S100について説明する。報知処理S100は、制御装置18によって所定の時間間隔で繰り返し実行される。
【0024】
ステップS101で、周辺情報取得部32は、車両周辺情報を取得する。周辺情報取得部32は、取得した車両周辺情報を検出部34に供給するとともに、記憶部40に記憶させる。また、周辺情報取得部32は、車両周辺情報を取得した旨の取得信号を判断部36に供給する。
【0025】
ステップS102で、判断部36は、車両50の利用状態が駐車状態であるかどうかを判断する。車両50の利用状態が駐車状態であると判断された場合(ステップS102のY)、判断部36は駐車状態である旨の判断結果を検出部34に供給し、報知処理S100はステップS103に進む。
【0026】
ステップS103で、検出部34は、駐車状態である旨の判断結果及び車両周辺情報に基づいて、車両50の周辺への物体の侵入又は車両の周囲からの物体の脱出を検出したかどうかを判定する。侵入又は脱出が検出された場合(ステップS103のY)、検出部34は検出結果を報知部38に供給し、報知処理S100はステップS104に進む。侵入又は脱出が検出されない場合(ステップS103のN)、検出部34は発進判断命令を判断部36に供給し、報知処理S100はステップS105に進む。
【0027】
ステップS104で、報知部38は、駐車状態での侵入又は脱出の履歴を示す履歴データを生成又は更新する。例えば、報知部38は、その侵入又は脱出を詳細に示す詳細報知情報を生成する。報知部38は、駐車を開始してから最初に侵入又は脱出が検出された場合にはその詳細報知情報を履歴データとして記憶部40に記憶させる。報知部38は、2回目以降の検出の場合にはその2回目以降の侵入又は脱出に関する詳細報知情報を履歴データに追加するように履歴データを更新する。ここでの詳細報知情報は、その侵入又は脱出の日時情報と、その侵入又は脱出の前後のカメラの撮影画像とを含む。駐車状態での侵入又は脱出が検出される毎に、その詳細報知情報が履歴データとして記憶部40に蓄積される。報知部38は、履歴データの生成又は更新後、発進判断命令を判断部36に供給する。
【0028】
ステップS105で、判断部36は、車両50が発進するかどうかを判断する。例えば、判断部36は、車両50のエンジンが始動したか否かに基づいて、車両50が発進するかどうかを判断する。発進すると判断された場合(ステップS105のY)、判断部36は報知指示を報知部38に供給し、報知処理S100はステップS106に進む。発進しないと判断された場合(ステップS105のN)、報知処理S100は終了する。
【0029】
ステップS106で、報知部38は、駐車状態における物体の侵入又は脱出をまとめてユーザに詳細に報知する。例えば、報知部38は、駐車状態における物体の侵入又は脱出の履歴データを記憶部40から読み出して、出力装置16に供給することにより、駐車中に生成された詳細報知情報の履歴を一覧表示させる。これにより、例えば、駐車中における物体の侵入又は脱出の日時とそのときのカメラの撮影画像との組が一覧表示される。これに限定されず、侵入又は脱出の日時の項目だけを一覧表示し、入力装置14を介してユーザによる日時の項目の選択入力を受け付けた場合に、その日時に対応する侵入又は脱出前後のカメラの撮影画像がコマ送りやショート動画などの形式で表示されてもよい。ステップS106の後、報知処理S100は終了する。
【0030】
ステップS102に戻って、車両50の利用状態が駐車状態ではないと判断された場合(ステップS102のN)、判断部36は駐車状態ではない旨の判断結果を検出部34に供給し、報知処理S100はステップS107に進む。
【0031】
ステップS107で、検出部34は、車両周辺情報に基づいて、車両50の周辺への物体の侵入又は車両の周囲からの物体の脱出を検出したかどうかを判定する。侵入又は脱出が検出された場合(ステップS107のY)、検出部34は検出結果を報知部38に供給し、報知処理S100はステップS108に進む。侵入又は脱出が検出されない場合(ステップS107のN)、報知処理S100は終了する。
【0032】
ステップS108で、判断部36は、車両50の利用状態が停車状態及び走行状態のいずれに該当するかを判断する。判断部36は、利用状態の判断結果を報知部38に供給する。車両50の利用状態が停車状態であると判断された場合、判断部36は詳細報知指示を報知部38に供給して、報知処理S100はステップS109に進む。車両50の利用状態が走行状態であると判断された場合、判断部36は簡易報知指示を報知部38に供給して、報知処理S100はステップS110に進む。
【0033】
ステップS109で、報知部38は、停車状態の判断結果に基づいて、停車状態における物体の侵入又は脱出の検出結果をユーザに詳細に報知する。例えば、報知部38は、侵入又は脱出の検出前後のカメラの撮影画像とその日時を含む詳細報知情報を生成し、この詳細報知情報を出力装置16に供給して出力装置16に表示させる。ステップS109の後、報知処理S100は終了する。
【0034】
ステップS110で、報知部38は、走行状態の判断結果に基づいて、走行中における物体の侵入又は脱出の検出結果をユーザに簡易的に報知する。走行中は、ドライバー(ユーザ)は安全を考慮して運転に集中しなければいけない。そのため、例えば、報知部38は、侵入又は脱出があった旨の簡易表示や音声出力のみによってユーザに簡易的に報知するための簡易報知情報を生成して、出力装置16に供給する。例えば、上記の簡易表示としては、「物体が侵入しました」、「物体が脱出しました」等のテキストメッセージや侵入又は脱出があった旨をそれぞれ示すインジケータ等が挙げられる。これらのテキストメッセージやインジケータ等は、車両50に設けられたメータパネル、タッチパネルティスプレイ、ヘッドアップディスプレイ等に表示される。上記の音声出力としては、例えば、「物体が侵入しました」、「物体が脱出しました」等の音声メッセージや侵入及び脱出をそれぞれ示す報知音等が挙げられる。ステップS110の後、報知処理S100は終了する。
【0035】
本実施形態によると、車両の利用状態に基づく報知態様によって、車両の周辺への物体の侵入又は脱出の検出結果を報知することが可能となる。それにより、車両の利用状態に応じて検出結果をより適切に報知することが可能となる。
【0036】
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態の図面および説明では、第1実施形態と同一または同等の構成要素には、同一の符号を付する。第1実施形態と重複する説明を適宜省略し、第1実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0037】
車両50の走行状態において、ドライバーが物体の侵入や脱出に関する何らかの異変に気付いたとしても、ドライバーが運転に集中するために報知を受けたくない場合など、報知を受ける準備が十分に整っていない場合がある。そのため、本実施形態では、報知を受ける準備が整ったときに報知されるように、報知部38は、ユーザからの入力に応答して、検出結果を報知する。これにより、ドライバーが異変に気付いた後、報知を受ける準備が整ったときに、実際の物体の侵入又は脱出の有無やその状況を確認することができる。そのため、ユーザにとって望ましいタイミングでの報知が可能となる。
【0038】
また、報知を受けるための入力を行ったユーザの種別が車両の運転操作を行うドライバーであれば、上述したように走行中の安全性を考慮して検出結果の簡易的な報知で済ますことが望ましい。しかし、車両の運転操作を行うドライバー以外の者(例えば、助手席の同乗者)は、運転操作には基本的に関与しないため、検出結果の詳細な報知を受けることを望む場合もある。そのため、本実施形態では、報知部38は、入力装置14を介して報知を受けるための入力を行ったユーザの種別にさらに基づく報知態様によって検出結果を報知する。これにより、ユーザの種別に応じて、より適切な報知が可能となる。なお、ここでの「車両の運転操作を行うドライバー」とは、車両50のアクセル操作、ブレーキ操作、ステアリング操作を行う者を指す。
【0039】
図4を用いて、第1実施形態の制御装置18における報知処理S200について説明する。図4のステップS201~S209は、第1実施形態のステップS101~S109と同様であるため、その説明を省略する。
【0040】
ステップS208で走行状態であると判断された場合、判断部36は簡易報知指示を報知部38に供給せずに、報知処理S200はステップS210に進む。ステップS210で、判断部36は、侵入又は脱出が検出されてから所定時間内にユーザから報知を受けるための所定の入力を受け付けたかどうかを判断する。ここでの所定の入力として、例えば、報知に関する特定のキーワードを含む音声入力、報知を受けるための入力ボタンやタッチパネルディスプレイのタッチアイコンの操作入力、報知に関する特定のジェスチャの画像入力、音声入力等が挙げられる。所定の入力を受け付けたと判断された場合(ステップS210のY)、報知処理S200はステップS211に進む。所定の入力を受け付けなかったと判断された場合(ステップS210のN)、報知処理S200は終了する。
【0041】
ステップS211で、判断部36は、入力装置14を介して所定の入力を行ったユーザの種別が車両の運転操作を行うドライバーであるか否かを判断する。例えば、判断部36は、入力装置14を介して特定の操作入力やジェスチャの画像入力を受け付ける場合、車内カメラの画像に基づいて、これらの入力を行ったユーザが運転席に位置するかどうかを公知の画像認識技術を用いて判断する。判断部36は、運転席に位置すると判断した場合、所定の入力を行ったユーザの種別が車両の運転操作を行うドライバーであると判断する。また、例えば、判断部36は、入力装置14を介して音声入力を受け付ける場合、発話者の音声発生方向を検出し、その検出した音声発生方向が運転席である場合、所定の入力を行ったユーザの種別が車両の運転操作を行うドライバーであると判断する。この場合、例えば、複数のマイクを介して音声を入力し、それらの位相差により発話者の音声発声方向を検出する等の公知の音声発生方向の検出技術を用いることができる。報知を受けるための入力ボタン等として、ドライバー用の入力ボタンとドライバー以外のユーザ用の入力ボタンとが設けられている場合には、これらのどちらの入力ボタンについての操作入力を受け付けたかに基づいてユーザの種別が判断されてもよい。車両の運転操作を行うドライバーであると判断された場合(ステップ211のY)、判断部36は簡易報知指示を報知部38に供給して、報知処理S200はステップS212に進む。車両の運転操作を行うドライバーではないと判断された場合(ステップ211のN)、判断部36は詳細報知指示を報知部38に供給して、報知処理S200はステップS209に進む。
【0042】
ステップS212で、報知部38は、物体の侵入又は脱出の検出結果をユーザに簡易的に報知する。簡易的な報知態様は、ステップS110で上述したものと同様であるため、その説明を省略する。ステップS212の後、報知処理S200は終了する。
【0043】
以上、本発明を上述の実施の形態を参照して説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、各構成を適宜組み合わせたものや置換したものについても本発明に含まれるものである。
【0044】
(変形例)
実施形態では、車両周辺情報は、記憶部40に記憶されたが、これに限定されず、車両50に搭載されるドライブレコーダによってメモリーカード等の記録部に記録されてもよい。
【0045】
実施形態では、周辺情報生成装置12はカメラであり、車両周辺情報は車両周辺を撮影したカメラの撮影画像であり、詳細報知情報はカメラの撮影画像を含むが、これに限定されない。周辺情報生成装置12は、物体との距離を測定するミリ波レーダ、レーザレーダなどのレーダデバイス、超音波ソナー等で構成されてもよい。車両周辺情報は、これらのデバイスを組み合わせて得られるデータであってもよい。詳細報知情報は、例えば、これらのデバイスから得られるデータに基づいて生成された、車両周辺の様子を模式的に示す画像であってもよい。
【0046】
走行中に車両下部を後方に通過した物体の脱出方向が分かると、ドライバーは通過後の物体を戸惑うことなく視認でき有用である。そのため、報知部38は、物体が車両50から脱出した方向をさらに報知してもよい。これにより例えば、飛び出してきた小動物が突然向きを変えて走り去った場合や、道路に捨てられたビニール袋が車両の通過後の風圧により浮遊して離れていった方向などをドライバーは戸惑うことなく認識できる。報知部38は、所定の走行速度未満の、例えば徐行運転中のときは検出結果を詳細に報知し、所定の走行速度以上で車両50が走行しているときは検出結果を簡易的に報知してもよい。
【0047】
物体が車両周辺に侵入した場合には、物体が車両周辺から脱出した場合と比較して事故の危険性がより高まっているため、ユーザに侵入をより確実に気付かせる必要がある。そのため、報知部38は、侵入を検出した場合と脱出を検出した場合とで、報知態様を変えてもよい。例えば、報知部38は、物体が車両周辺に侵入した場合には、物体が車両周辺から脱出した場合と比較して、より大きい画像やインジケータを表示したり、より大きい音量の音声メッセージや報知音を発生させてもよい。また、報知部38は、侵入を検出した場合と脱出を検出した場合とで異なる報知音を発生させてもよい。
【0048】
車両50が自動運転モードと手動運転モードとの間で運転モードを切り替え可能である場合、報知部38は、運転モードが自動運転モードであるか手動運転モードであるかに基づいて、報知態様を変えてもよい。ここで、自動運転モードはドライバーによる運転操作がない状態で車両50を自律走行させる運転モードであり、手動運転モードはドライバーによる運転操作によって車両50を走行させる運転モードである。例えば、自動運転モードの場合、車両50の運転席に座っているユーザであっても、運転操作を基本的に行わない。そのため、報知部38は、自動運転モードの場合には、車両50の利用状態や報知のための所定の入力を行ったユーザの種別に関わらず、検出結果を詳細に報知してもよい。一方で、報知部38は、手動運転モードの場合には、車両50の利用状態や報知のための所定の入力を行ったユーザの種別に応じて、第1及び第2実施形態で上述のような報知を行ってもよい。
【0049】
報知部38は、車内にユーザがいれば上述の各種報知情報を即座に表示させ、車内にユーザがいなければその報知情報を含むメール等によってユーザの所持する携帯端末に通知してもよい。
【0050】
実施形態では、所定の距離範囲は、車両本体の外縁部から0.5m以内の領域としたが、これに限定されない。所定の距離範囲は、外縁部から0.5m以内の領域よりも大きい領域であってもよいし、小さい領域であってもよい。また、所定の距離範囲は、車両本体の外縁部を基準に設定されることに限定されず、例えば車両本体の重心やその他の箇所を基準に設定されてもよい。さらに、車両の利用状態毎に異なる距離範囲が適用されてもよい。例えば、所定の距離範囲は、駐車状態のときは外縁部から0.1m以内、停車状態のときは外縁部から0.5m以内、走行状態のときは1m以内の領域に設定されてもよい。
【0051】
周辺情報生成装置12のカメラは車両下部を撮影する下部カメラを含んで構成してもよい。周辺情報取得部32は、周辺情報生成装置12の下部カメラで撮影した車両下部の地面周辺の領域の撮像画像を含めて車両周辺情報として取得し、検出部32は、車両周辺情報に基づいて、車両の下部にあたる領域に入った物体を侵入したと検出し、車両の下部にあたる領域から出た物体を脱出したと検出してもよい。
【符号の説明】
【0052】
12…周辺情報生成装置、14…入力装置、16…出力装置、18…制御装置、32…周辺情報取得部、34…検出部、36…判断部、38…報知部、40…記憶部、50…車両。
図1
図2
図3
図4