(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149545
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】パーテーション、及び構造体
(51)【国際特許分類】
F24F 13/02 20060101AFI20220929BHJP
F24F 5/00 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
F24F13/02 Z
F24F5/00 101B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021051754
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000174943
【氏名又は名称】三井住友建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】特許業務法人 インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120237
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 良規
(72)【発明者】
【氏名】池原 基博
(72)【発明者】
【氏名】丸山 信一郎
【テーマコード(参考)】
3L080
【Fターム(参考)】
3L080AA03
3L080AE05
(57)【要約】
【課題】空調効果を部分的に可変できるパーテーション1、及び構造体100を提供すること。
【解決手段】空調空気が供給される内部空間20を有し、内部空間20を形作る外形部材の全体、又は外形部材10の一部分が輻射パネル10Aであり、空調空気による輻射パネル10Aからの輻射熱を部分的に可変できる可変手段を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーテーションであって、
空調空気が供給される内部空間を有し、
前記内部空間を形作る外形部材の全体、又は前記外形部材の一部分が輻射パネルであり、
前記空調空気による前記輻射パネルからの輻射熱を部分的に可変できる可変手段、を備えたパーテーション。
【請求項2】
前記可変手段が、供給された前記空調空気の気流を可変できる気流調整部材である、請求項1に記載のパーテーション。
【請求項3】
前記可変手段が、前記輻射パネルと供給された前記空調空気との接触を遮る遮蔽部材である、請求項1に記載のパーテーション。
【請求項4】
前記可変手段が、外部空間と接する前記輻射パネルの少なくとも一部を覆うことができる遮蔽部材である、請求項1に記載のパーテーション。
【請求項5】
前記内部空間が複数に分割されており、
分割された各前記内部空間は、前記輻射パネルと接し、
前記可変手段が、分割された各前記内部空間への前記空調空気の供給量を個別に制御できる供給量制御手段である、請求項1に記載のパーテーション。
【請求項6】
パーテーション、及び前記パーテーションと接する面を有する構造体であって、
前記パーテーションは、空調空気が供給される内部空間を有し、
前記内部空間を形作る外形部材の全体、又は前記外形部材の一部分が輻射パネルであり、
前記面は、供給可能領域において前記パーテーションの前記内部空間に前記空調空気を供給でき、
前記パーテーションは、前記供給可能領域を移動可能である、構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーテーション、及び構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
簡易的な個別ブースの一形態として、居室空間等をパーテーションで区画することが行われている。一般的に、各個別ブースの温度調節は、パーテーションが設置される建物に付随した空調システムで行われている。ところで、個別ブースの温度調節は、共通する空調システムで一括して管理されており、個別ブースごとに空調温度を制御することは困難となっている。個別ブースごとの空調温度を制御する手段として、個別ブースごとに、つまりは、個別ブースで執務する執務者ごとに空調機を設置する方法もあるが、この方法は多くの空調機を必要とし経済的ではない。また、空調システムとして広く普及している対流式の空調システムを使用した場合には、気流により個別ブースで執務する執務者が不快感を示す場合もある。
【0003】
このような状況下、特許文献1には、床の下から空調空気を取り込む取込口と、取込口により取り込まれた空調空気を内部に流通させることにより、空調空気による放射空調を行う本体部と、本体部により流通させた空調空気を居室に吹き出す吹出口と、を備えたパーテーションが提案されている。特許文献1に提案がされているパーテーションによれば、放射空調を行うための配管等の専用の設備が不要になり、また、居室内の温度分布にむらが発生することを抑制できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に提案がされている方法では、パーテーションを介して対面、又は、隣接等する執務者ごとに、異なった空調効果を付与することはできない。つまり、1つのパーテーションで、複数の執務者に異なった空調効果を付与することができない。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、複数の執務者に異なった空調効果を付与できるパーテーション、及び構造体を提供することを主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るパーテーションは、空調空気が供給される内部空間を有し、前記内部空間を形作る外形部材の全体、又は前記外形部材の一部分が輻射パネルであり、前記空調空気による前記輻射パネルからの輻射熱を部分的に可変できる可変手段を備える。
【0008】
本発明に係るパーテーションにおいて、前記可変手段を、供給された前記空調空気の気流を可変できる気流調整部材としてもよい。
【0009】
本発明に係るパーテーションにおいて、前記可変手段を、前記輻射パネルと供給された前記空調空気との接触を遮る遮蔽部材としてもよい。
【0010】
本発明に係るパーテーションにおいて、前記可変手段を、外部空間と接する前記輻射パネルの少なくとも一部を覆うことができる遮蔽部材としてもよい。
【0011】
本発明に係るパーテーションにおいて、前記内部空間を複数に分割し、分割した各前記内部空間を前記輻射パネルと接しさせ、前記可変手段を、分割された各前記内部空間への前記空調空気の供給量を個別に制御できる供給量制御手段としてもよい。
【0012】
また、本発明に係る構造体は、パーテーション、及び前記パーテーションと接する面を有し、前記パーテーションは、空調空気が供給される内部空間を有し、前記内部空間を形作る外形部材の全体、又は前記外形部材の一部分が輻射パネルであり、前記面は、供給可能領域において前記パーテーションの前記内部空間に前記空調空気を供給でき、前記パーテーションは、前記供給可能領域を移動可能である。
【0013】
上記発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた発明となり得る。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るパーテーションは、複数の執務者に異なった空調効果を付与できる。本発明に係る構造体は、執務者に付与される空調効果を可変できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施形態に係るパーテーションの一例を示す水平断面図である。
【
図2】本実施形態に係るパーテーションにおける輻射パネルの配置の一例を示す部分展開図である。
【
図4】気流調整板の角度を変化させた状態を示す模式図である。
【
図5】気流調整板の配置の一例を示す水平断面図である。
【
図9】本実施形態に係る構造体の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0017】
<<パーテーション>>
本実施形態に係るパーテーション1は、空調空気が供給される内部空間20を有する。本実施形態に係るパーテーション1は、内部空間20を形作る外形部材10の全体、又は外形部材10の一部分が輻射パネル10Aである。本実施形態に係るパーテーション1は、空調空気による輻射パネル10Aからの輻射熱を部分的に可変できる可変手段を備える。
【0018】
本実施形態に係るパーテーション1によれば、輻射パネル10Aによる空調効果(輻射効果)を部分的に可変できる。例えば、本実施形態に係るパーテーション1を介した箇所に位置する複数の執務者に異なった空調効果を付与できる。
【0019】
本実施形態に係るパーテーション1の形状に限定はなく、空調空気が供給される内部空間20を有すればよい。内部空間20は、パーテーション1を構成する外形部材10によって形作られている。なお、内部空間20は、外形部材10のみで形作られたものでもよく、外形部材10と、パーテーション1と接する床、壁、又は天井とで形作られたものでもよい。本実施形態に係る一例としてのパーテーション1は、底面を有しておらず、外形部材10と、パーテーション1が設置される床とで内部空間20が形作られる。外形部材10と壁、又は外形部材10と天井とで内部空間20が形作られてもよい。
【0020】
図1(a)~
図1(e)は、本実施形態に係るパーテーション1の一例を示す水平断面図である。外形部材10、及び内部空間20以外の記載は省略している。
図1に示す形態のパーテーション1は、上面、底面、側面を有している。本実施形態に係るパーテーション1の形状は、当該パーテーション1で区画される領域等に応じて適宜決定すればよく、その形状についていかなる限定もされない。本実施形態に係るパーテーション1は、図示する形態を適宜組合せてもよく、図示する形態を連続させてもよい。本実施形態に係るパーテーション1の外形形状は、一部が曲率を有してもよく、角を有しない形状でもよい。
【0021】
(外形部材)
本実施形態に係るパーテーション1の内部空間20を形作る外形部材10は、輻射パネル10A(輻射部材と称してもよい)を含む。外形部材10は、輻射パネル10Aのみで構成してもよく、輻射パネル10Aと、一般部材10Bとで構成されたものでもよい。
【0022】
輻射パネル10Aの位置に限定はなく、少なくとも2つの方向に輻射熱を放出できるように位置させればよい。例えば、本実施形態に係るパーテーション1により2つの領域に区画される場合、当該2つの領域のそれぞれに、輻射熱を放出できるように輻射パネル10Aを位置させればよい。
【0023】
図2(a)、
図2(b)は、輻射パネル10Aの配置の一例を示す部分展開図である。同図は、上面、底面、前面、背面、右側面、左側面を有するパーテーション1における側面の展開図である。
図2(a)に示す形態では、左側面、及び右側面のそれぞれに、帯状に伸びる輻射パネル10Aが配置されている。帯状の輻射パネル10Aは、前面、及び背面の何れか一方、又は双方を跨ぐように伸びてもよい。つまり、左側面と、右側面の輻射パネル10Aは繋がっていてもよい。
図2(b)に示す形態では、左側面、及び右側面に、それぞれ複数の輻射パネル10Aが配置されている。複数の輻射パネル10Aは、パーテーション1の接地面に対し鉛直方向に並べて配置してもよく、水平方向に並べて配置してもよい。また、鉛直方向、及び水平方向に配置してもよい。複数の輻射パネル10Aは規則的に配置してもよく、ランダムに配置してもよい。
【0024】
本実施形態に係るパーテーション1において、輻射パネル10Aは、内部空間20、及び外部空間と接している。内部空間20において空調空気と接触した輻射パネル10Aは、外部空間に輻射熱を放出する。内部空間20と輻射パネル10Aが接する面積は、外部空間と輻射パネル10Aが接する面積と同じでもよく、異なってもよい。例えば、外部空間と接する輻射パネル10Aの一部分を他の部材でマスキングし、外部空間と輻射パネル10Aが接する面積を、内部空間20と輻射パネル10Aが接する面積よりも小さくしてもよい。また、内部空間20と接する輻射パネル10Aの一部分を他の部材でマスキングし、内部空間20と輻射パネル10Aが接する面積を、外部空間と輻射パネル10Aが接する面積よりも小さくしてもよい。
【0025】
輻射パネル10Aの材料に限定はなく、輻射効果を奏する従来公知の材料を適宜選択して使用できる。輻射パネル10Aの材料としては、樹脂材料、及び金属材料等を例示できる。金属材料としては、アルミニウム等を例示できる。樹脂材料としては、プラスチック等を例示できる。輻射パネル10Aは、複数の金属製のパネルを積層した積層構造でもよく、複数の樹脂製のパネルを積層した積層構造でもよい。また、1つ、又は複数の金属製のパネルと、1つ、又は複数の樹脂製のパネルを積層した積層構造でもよい。
【0026】
一般部材10Bの材料に限定はなく、いかなる材料も使用できる。一例としての一般部材10Bは、輻射効果を奏しない部材を含む。一例としての一般部材10Bは、輻射パネル10Aよりも輻射効果が低い部材を含む。一般部材10Bの材料としては、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、及びスチレン等の樹脂材料等、金属材料、ガラス材料、紙材料等を例示できる。これらの材料からなる部材の1つ、又は複数を積層したものでもよい。好ましい形態の一般部材10Bは、断熱材を含む。
【0027】
輻射パネル10Aの厚みに限定はなく、一例としての輻射パネル10Aの厚みは、1mm以上50mm以下である。一例としての輻射パネル10Aの厚みは、1mm以上30mm以下である。一例としての輻射パネル10Aの厚みは、10mm以上20mm以下である。
【0028】
また、本実施形態に係るパーテーション1は、内部空間20を形作る外形部材10と、内部空間20を形作らない補助部材とが一体をなすものでもよい(図示しない)。
【0029】
本実施形態に係るパーテーション1は、内部空間20に空調空気を供給するための供給孔50、内部空間20に供給された空調空気を外部空間に排出するための排出孔55を有してもよい(
図3参照)。一例としての排出孔55は、空調空気の流れ方向の下流に位置している。また、本実施形態に係るパーテーション1が、何れかの面を有しない構成とする場合、当該面を有しない部分を供給孔50としてもよい。例えば、空調空気が床下から供給され、当該床に設置される本実施形態に係るパーテーション1が底面を有しない場合、当該底面に相当する部分を供給孔50としてもよい。供給孔50は排出孔55を兼ねてもよい。供給孔50、及び排出孔55は、1つでもよく、複数でもよい。
【0030】
供給孔50、及び排出孔55の位置に限定はなく、空調空気の供給位置に応じて適宜決定すればよい。一例としての空調空気は、導入した外気を空調機で温度調整したものである。温度調整は、外気を冷却したものでもよく、外気を加熱したものでもよい。空調機で調整された空調空気は、給気配管等を通じて供給位置において本実施形態に係るパーテーション1の内部空間20に供給できる。一例としての空調機は、温度、及び湿度を調整できる。一例としての空調空気は、給気配管と連通した二重床構造の内部を通って、本実施形態に係るパーテーション1の内部空間20に供給される。
図3、
図4、
図6~
図8に示す形態では、本実施形態に係るパーテーション1が設置される構造物の床下から空調空気を供給しているが、構造物の壁、或いは天井から空調空気を供給してもよい。また、これ以外の箇所から空調空気を供給してもよい。一例としての供給孔50は、本実施形態に係るパーテーション1の底面、上面、及び側面の何れかに設けられている。
【0031】
内部空間20に空調空気を供給できる一例としての空調機は、移動式空調機(スポットエアコン等と称される場合もある)である。移動式空調機は、例えば、展示場のような移動撤去が頻繁に行われる場所で本実施形態に係るパーテーション1を使用する場合に好適である。一例としての移動式空調機は、本実施形態に係るパーテーション1の供給孔50と連結されており、移動式空調機の吹出口から吹き出された空調空気を、パーテーション1の内部空間20に供給できる。移動式空調機としては、日本ピーマック(株)製の床置型ドレンレススポットエアコン(ASC40BA型)等を使用できる。
【0032】
(可変手段)
図3、
図4、
図6~
図8は、本実施形態に係るパーテーション1の一例を示す模式図であり、
図1(a)のA-A断面図である。
図4、
図6~
図8では、本実施形態に係るパーテーション1で区画された2つの領域に、それぞれ執務者が作業するための机、及び椅子を配置した例を示している。
図4、
図6~
図8に示す形態では、執務者が対面するように本実施形態に係るパーテーション1を配置しているが、執務者が横並びとなるように本実施形態に係るパーテーション1を配置しても同様の効果を奏する。
図4、
図6~
図8における矢印は、内部空間20に供給された空調空気の流れを模式的に示している。
【0033】
(第1実施形態の可変手段)
第1実施形態の可変手段は、内部空間20に供給された空調空気の気流を可変できる気流調整部材である。換言すれば、内部空間20に供給された空調空気の流れを変化させる気流調整部材である。一例としての気流調整部材は、その角度を可変できる気流調整板30である。一例としての気流調整部材は、内部空間に供給された気流の流れを可変できるファンである。一例としてのファンは、回転方向を可変できる。一例としてのファンは、送風方向を可変できる。以下、気流調整部材が気流調整板30である場合を例に挙げて説明する。
【0034】
気流調整板30は、内部空間20に供給された空調空気の気流の流れを可変できるように任意の方向に角度を変化できる。一例としての気流調整板30は、任意の位置を回転中心軸として任意の角度で回転できる。
図3は、角度変化をさせる前の気流調整板30の状態を示している。気流調整板30は、全体が一体として角度変化するものでもよく、その一部分が角度変化するものでもよい。気流調整板30を複数の部材から構成し、それぞれの部材が独立して角度変化するように構成してもよい。
図3に示す形態では、気流調整板30が、第1気流調整板30A、第2気流調整板30Bから構成されており、第1気流調整板30A、及び第2気流調整板30Bは、独立して角度調整が可能となっている。
図3に示す形態では、鉛直方向、及び水平方向の略中心を起点として、第1気流調整板30A、及び第2気流調整板30Bが角度変化するように構成しているが、角度変化の起点位置は、輻射パネル10Aの位置等に応じて適宜決定すればよい。
【0035】
図4(a)、
図4(b)は、
図3に示す形態の気流調整板30の角度を変化させた状態の例を示す。
図4(a)では、本実施形態に係るパーテーション1で区画された1の領域側(図中の左側)に位置する輻射パネル10Aにおける輻射効果が、他の1の領域側(図中の右側)に位置する輻射パネル10Aにおける輻射効果よりも高くなるように気流調整板30の角度を調整している。換言すれば、
図4(a)に示す形態では、1の領域側に位置する輻射パネル10Aに空調空気の気流が流れ込むように気流調整板30を傾斜させている。
【0036】
図4(b)では、本実施形態に係るパーテーション1で区画された他の1の領域側(図中の右側)に位置する輻射パネル10Aにおける輻射効果が、1の領域側(図中の左側)に位置する輻射パネル10Aにおける輻射効果よりも高くなるように気流調整板30の角度を変化させている。換言すれば、
図4(b)に示す形態では、他の1の領域側に位置する輻射パネル10Aに空調空気の気流が流れ込むように気流調整板30を傾斜させている。
【0037】
内部空間20に配置される気流調整板30は、1つでもよく、複数でもよい。
図5(a)~(c)は、本実施形態に係るパーテーション1の一例を示す水平断面図である。
図5(a)に示す形態では、幅方向の略中央に、長手方向に伸びる1つの気流調整板30が配置されている。
図5(b)に示す形態では、長手方向に伸びる気流調整板30が、幅方向に複数並んで配置されている。
図5(c)に示す形態では、幅方向略中央に位置する気流調整板30が、長手方向に複数並んで配置されている。複数の気流調整板30は、規則的に配置されてもよく、ランダムに配置されてもよい。各図に示す形態において、パーテーション1の接地面に対し鉛直方向に、複数の気流調整板30を配置してもよい(図示しない)。複数の気流調整板30は、1の操作により連動して、同一の方向に傾斜するものでもよく、それぞれ独立して傾斜するものでもよい。
【0038】
また、本実施形態に係るパーテーション1の外形部材10が、複数の輻射パネル10Aを含む場合、輻射パネル10Aごとに、対応する気流調整板30を配置してもよい。
【0039】
気流調整板30の作動方法に限定はない。一例としての気流調整板30は、モーターの駆動等で角度の変化が可能となっている。一例としての気流調整板30は、当該気流調整板30と連動したハンドル等の回転で角度の変化が可能となっている。一例としての気流調整板30は、リモコン、スマートフォン、及びタブレット等の操作で角度の変化が可能となっている。
【0040】
一例としての気流調整板30は、角度変化が可能であり、且つ、内部空間20内を自在に移動できる移動機構を有する。この形態の気流調整板30は、空調空気の気流をより細かく調整できる。
【0041】
気流調整板30の材料に限定はなく、いかなる材料も使用できる。気流調整板30の大きさ等の限定もなく、輻射パネル10Aの大きさ、面積等に応じて適宜決定すればよい。
【0042】
(第2実施形態の可変手段)
第2実施形態の可変手段は、輻射パネル10Aと内部空間20に供給された空調空気との接触を遮る遮蔽部材35である。
図6(a)は、遮蔽部材35の作動前の状態を示し、
図6(b)は、遮蔽部材35を作動した状態を示している。
【0043】
図6に示す形態の遮蔽部材35は、内部空間20内に配置され伸縮自在となっている。
図6に示す形態では、上面側から底面側に向かって伸びるように遮蔽部材35を配置しているが、底面側から上面側に向かって伸びるように遮蔽部材35を配置してもよい。また、輻射パネル10Aに沿って水平方向に伸びるように遮蔽部材35を配置してもよい。
図6(b)では、伸縮部材を作動させ、本実施形態に係るパーテーション1で区画された1の領域側(図中の左側)に位置する輻射パネル10Aのみを覆うように遮蔽部材35を伸ばしている。この形態では、他の1の領域側(図中の右側)に位置する輻射パネル10Aにおいては輻射効果を発現でき、一方で、1の領域側に位置する輻射パネル10Aにおいては輻射効果を抑制できる。
図6(b)では、1の領域側(図中の左側)に位置する輻射パネル10Aの全体を遮蔽部材35で覆っているが、遮蔽部材35の伸びを調整して、輻射パネル10Aの一部分を遮蔽部材35で覆ってもよい。つまり、遮蔽部材35は、内部空間20と接する輻射パネル10Aの少なくとも一部分を覆うことができるものであればよい。
【0044】
また、
図6に示す形態では、遮蔽部材35を伸ばしたときに、輻射パネル10Aと遮蔽部材35が接するように遮蔽部材35を配置しているが、遮蔽部材35を伸ばしたときに輻射パネル10Aと遮蔽部材35との間に所定の隙間ができるように遮蔽部材35を配置してもよい。また、遮蔽部材35を伸ばしたときの輻射パネル10Aと遮蔽部材35の間隔を調整できるように、遮蔽部材35を移動可能に構成してもよい。
【0045】
また、伸縮不可の遮蔽部材35を使用してもよい。この場合の遮蔽部材35は、輻射パネル10Aの少なくとも一部分を覆う位置まで移動できる移動機構を有する。
【0046】
遮蔽部材35の材料に限定はなく、輻射パネル10Aによる輻射効果よりも、輻射効果が小さい部材を適宜選択して使用できる。好ましい形態の遮蔽部材35は、断熱材である。
【0047】
図7は、第2実施形態の可変手段の変形形態である。
図7(a)は、遮蔽部材35の作動前の状態を示し、
図7(b)は、遮蔽部材35を作動した状態を示している。
図7に示す形態の遮蔽部材35は、外部空間と接する輻射パネル10Aの少なくとも一部分を覆うことができるものである。
図7に示す形態では、外部空間側に伸縮自在な遮蔽部材35を配置している。この遮蔽部材35にかえて、着脱可能な遮蔽部材35を使用してもよい。また、扉型の遮蔽部材35を使用してもよい。扉型の遮蔽部材35としては、スライド式、及び開閉式の遮蔽部材35を例示できる。また、これ以外の形態の遮蔽部材35も使用できる。
【0048】
図7(b)では、本実施形態に係るパーテーション1で区画された1の領域側(図中の左側)の外部空間と接する輻射パネル10Aを覆うように遮蔽部材35を作動させている。この形態では、1の領域側に位置する輻射パネル10Aの輻射効果を抑制できる。
図7(b)では、1の領域側(図中の左側)の外部空間と接する輻射パネル10Aの全体を遮蔽部材35で覆っているが、遮蔽部材35の伸びを調整して、輻射パネル10Aの一部分を遮蔽部材35で覆ってもよい。
【0049】
(第3実施形態の可変手段)
図8に示す形態では、仕切り板40、及び保持板41で、内部空間20が複数に分割されている。
図8に示す形態では、内部空間20が、第1内部空間20A、第2内部空間20Bの2つの空間に分割されている。分割された内部空間は、それぞれ、輻射パネル10Aと接している。
【0050】
第3実施形態の可変手段は、分割された内部空間への空調空気の供給量を個別に制御できる供給量制御手段である。一例としての供給量制御手段は、開閉調整部45であり、開閉調整部45の操作で、分割された内部空間ごとに空調空気の供給を可能としている。一例としての開閉調整部45は、分割された内部空間ごとに設けられている。
【0051】
図8(a)は、第1内部空間20A、及び第2内部空間20Bに対応する開閉調整部45の作動前の状態を示している。
図8(a)では、第1内部空間20A、及び第2内部空間20Bへの空調空気の供給が止められている。
図8(b)は、第1内部空間20Aに対応する開閉調整部45のみ作動させた状態を示している。
図8(b)では、第1内部空間20Aと接する輻射パネル10Aにおいては空調空気による輻射効果を発現でき、一方で、第2内部空間20Bと接する輻射パネル10Aにおいては空調空気による輻射効果を発現できない。
【0052】
開閉調整部45としては、開閉弁、及びシャッター等を例示できる。
図8に示す形態では、保持板41が、分割された各内部空間に空調空気を供給するための孔を有しており、開閉調整部45の作動前の状態において、当該孔は閉じた状態となっている。
【0053】
一例としての開閉調整部45は、保持板41が有する孔の開閉面積を可変できるように構成されている。例えば、
図8に示す形態において、第1内部空間20A、及び第2空間に空調空気を供給するための開閉調整部45を作動させるとともに、第1内部空間20Aに対応する孔、及び第2内部空間20Bに対応する孔の開口面積が異なるように、それぞれの開閉調整部45を作動させることで、第1内部空間20Aと接する輻射パネル10A、及び第2内部空間20Bと接する輻射パネル10Aからの輻射効果を異ならせることができる。
【0054】
また、仕切り板40は、保持板41上を移動できる移動機構を有してもよい。換言すれば、仕切り板40で分割された内部空間の容積を可変できるように構成してもよい。例えば、第1内部空間20A、及び第2内部空間20Bに対応する開閉調整部45をそれぞれ操作し、第1内部空間20A、及び第2内部空間20Bのそれぞれに空調空気を供給するとともに、仕切り板40を、第1内部空間20A側、又は第2内部空間20B側に移動させることで、第1内部空間20Aと接する輻射パネル10A、及び第2内部空間20Bと接する輻射パネル10Aからの輻射効果をそれぞれ異ならせることができる。
【0055】
仕切り板40、及び保持板41に限定はなく、内部空間20を複数に分割できればよい。また、複数の仕切り板40を使用して、内部空間20を3つ以上に分割してもよい。
【0056】
本実施形態に係るパーテーション1は、上記第1形態~第3形態の可変手段の複数を組合せてもよい。例えば、流量調整部材(例えば、気流調整板30)と、遮蔽部材35を組合せてもよい。
【0057】
また、本実施形態に係るパーテーション1が、3つ以上の領域に区画できるものである場合、各領域を繋ぐ沿線上に輻射パネル10A、及び可変手段を配置すればよい。例えば、4つの領域に区画できる
図1(b)に示す形態のパーテーションにおいて、A1-A1断面、A2-A2断面、A3-A3断面、A4-A4断面の1つ、又は2つ以上が、
図3、
図4、
図6~
図8で説明したような断面形状になっていてもよい。
【0058】
本実施形態に係るパーテーションは、居室内等の屋内空間のみならず、半屋外空間等においても適用できる。例えば、本実施形態に係るパーテーションを半屋外空間で使用することで、暑熱環境を緩和等できる。また、本実施形態に係るパーテーションは、吹き抜けがあるような建物、展示会会場等の大空間における局所的な空調にも適用できる。
【0059】
以上、本実施形態に係るパーテーションについて説明したが、本実施形態に係るパーテーションの各構成要素を、各種の家具に適用してもよい。
【0060】
<<構造体>>
本実施形態に係る構造体100は、パーテーション1、及びパーテーション1と接する面を有する。本実施形態に係る構造体100を構成するパーテーション1は、空調空気が供給される内部空間20を有し、内部空間20を形作る外形部材10の全体、又は外形部材10の一部分が輻射パネル10Aである。また、本実施形態に係る構造体100を構成する面は、供給可能領域においてパーテーション1の内部空間20に空調空気を供給できる。そして、本実施形態に係る構造体100は、パーテーション1が、供給可能領域を移動可能となっている。
【0061】
本実施形態に係る構造体100を構成するパーテーション1は、本実施形態に係るパーテーション1で説明した各種構成を適宜選択して使用できる。なお、本実施形態に係る構造体100を構成するパーテーション1は、可変手段を備えなくてもよい。また、本実施形態に係るパーテーション1をそのまま使用してもよい。
【0062】
図9(a)は、本実施形態に係る構造体100を構成する面の一例を示す模式図である。
図9に示す形態の面は、上面床、及び下面床からなり、その間を空調機で温度調整された空調空気が流れる二重床の構造となっている。上面床は、パーテーション1に供給空気を供給するための複数の給気孔110を有している。これら複数の給気孔110を含む領域が、パーテーション1の内部空間20に空調空気を供給できる供給可能領域である。
図9(b)に示す形態では、給気孔110が設けられた位置にパーテーション1を移動でき、且つ、移動先において、給気孔110を通じてパーテーション1内に空調空気を供給できる。パーテーション1が設置されてない箇所に位置する給気孔110は、閉じることができる。
【0063】
図9(b)は、椅子から近い距離にパーテーション1を設置した例であり、
図9(c)は、
図9(b)よりも椅子から遠い位置にパーテーション1を設置した例である。本実施形態に係る構造体100によれば、供給可能領域においてパーテーション1の内部空間20に空調空気を供給でき、且つ、パーテーション1は供給可能領域を移動できることから、パーテーション1を移動させることで、当該パーテーション1の輻射パネル10Aからの輻射効果を可変できる。例えば、
図9(b)では、執務者に付与される輻射効果を高くでき、一方で、
図9(c)では、執務者に付与される輻射効果を弱くできる。
【0064】
図9に示す形態では、パーテーション1と接する面を床面としているが、パーテーション1と接する面を壁、又は天井等としてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1・・・パーテーション
10・・・外形部材
10A・・・輻射パネル
10B・・・一般部材
20・・・内部空間
20A・・・第1内部空間
20B・・・第2内部空間
30・・・気流調整板
30A・・・第1気流調整板
30B・・・第2気流調整板
35・・・遮蔽部材
40・・・仕切り板
41・・・保持板
45・・・開閉調整部
50・・・供給孔
55・・・排出孔
100・・・構造体
110・・・給気孔