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特開2022-149565医療被ばく線量管理装置及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149565
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】医療被ばく線量管理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/60 20180101AFI20220929BHJP
   A61B 6/03 20060101ALI20220929BHJP
   A61B 6/10 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
G16H10/60
A61B6/03 360T
A61B6/10 303
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021051781
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】富山 勇輝
【テーマコード(参考)】
4C093
5L099
【Fターム(参考)】
4C093AA01
4C093AA22
4C093AA26
4C093CA17
4C093CA33
4C093FH03
4C093FH07
4C093FH09
5L099AA22
(57)【要約】
【課題】ユーザーの負担を軽減しつつ患者の医療被ばく線量をより高精度に管理することができるようにする。
【解決手段】医用画像は、第1線量情報を有する第1領域と、第1線量情報よりも認識精度の高い第2線量情報(医療被ばく量)を有する第2領域と、を有し、第1領域及び第2領域から各々情報を読み取る読取部(制御部31)と、第1領域から読み取られた情報と第1線量情報に係る正解情報を関連付けて記憶部35に記憶させる記憶制御部(制御部31)と、第1領域から読み取られた情報と一致する、過去に記憶された第1領域から読み取られた情報があるか否かを判断する判断部(制御部31)と、一致する第1領域から読み取られた情報がある場合、当該第1領域から読み取られた情報に関連付けて記憶された正解情報を第1線量情報とし、第2領域から読み取られた情報を第2線量情報として登録する登録部(制御部31)と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被ばくに係る線量情報が含まれる医用画像から線量情報を読み取って管理する医療被ばく線量管理装置であって、
前記医用画像は、第1線量情報を有する第1領域と、前記第1線量情報よりも認識精度の高い第2線量情報を有する第2領域と、を有し、
前記医用画像の前記第1領域及び前記第2領域から各々情報を読み取る読取部と、
前記第1領域から読み取られた情報と前記第1線量情報に係る正解情報を関連付けて記憶部に記憶させる記憶制御部と、
前記第1領域から読み取られた情報と一致する、過去に記憶された前記第1領域から読み取られた情報があるか否かを判断する判断部と、
一致する前記第1領域から読み取られた情報がある場合、当該第1領域から読み取られた情報に関連付けて記憶された前記第1線量情報に係る正解情報を第1線量情報とし、前記第2領域から読み取られた情報を第2線量情報として登録する登録部と、
を備える医療被ばく線量管理装置。
【請求項2】
前記第1線量情報に係る正解情報の入力を受け付ける受付部を備え、
前記記憶制御部は、前記受付部により受け付けた前記第1線量情報に係る正解情報を前記記憶部に記憶させる請求項1に記載の医療被ばく線量管理装置。
【請求項3】
前記判断部により、前記医用画像の前記第1領域から読み取られた情報と一致する、過去に記憶された前記第1領域から読み取られた情報がないと判断された場合、前記正解情報の入力を受け付ける受付画面を表示部に表示させる第1表示制御部を備える請求項2に記載の医療被ばく線量管理装置。
【請求項4】
前記判断部により、前記医用画像の前記第1領域から読み取られた情報と一致する、過去に記憶された前記第1領域から読み取られた情報があると判断された場合に、当該第1領域から読み取られた情報に関連付けて記憶された前記正解情報が表示された確認画面を表示部に表示させる第2表示制御部を備える請求項1から3のいずれか一項に記載の医療被ばく線量管理装置。
【請求項5】
線量情報が含まれる医用画像は、サマリー画像である請求項1から4のいずれか一項に記載の医療被ばく線量管理装置。
【請求項6】
前記第1線量情報は、撮影プロトコルの属性に関する情報であり、
前記第2線量情報は、医療被ばく線量に関する数値である請求項1から5のいずれか一項に記載の医療被ばく線量管理装置。
【請求項7】
被ばくに係る線量情報が含まれる医用画像から線量情報を読み取って管理する医療被ばく線量管理装置コンピューターを、
前記医用画像は、第1線量情報を有する第1領域と、前記第1線量情報よりも認識精度の高い第2線量情報を有する第2領域と、を有し、
前記医用画像の前記第1領域及び前記第2領域から各々情報を読み取る読取部、
前記第1領域から読み取られた情報と前記第1線量情報に係る正解情報を関連付けて記憶部に記憶させる記憶制御部、
前記第1領域から読み取られた情報と一致する、過去に記憶された前記第1領域から読み取られた情報があるか否かを判断する判断部、
一致する前記第1領域から読み取られた情報がある場合、当該第1領域から読み取られた情報に関連付けて記憶された前記第1線量情報に係る正解情報を第1線量情報とし、前記第2領域から読み取られた情報を第2線量情報として登録する登録部、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療被ばく線量管理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療の分野では、被検体に放射線を照射して医用画像としての放射線画像を生成するCT(Computed Tomography)装置等の検査装置(モダリティー)が利用されている。
線量管理実施義務化に伴い、医療の現場では被ばく線量情報をDICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)規格としてRDSR(Radiation Dose SR)という文書形式にて出力可能な装置が増えてきているが、依然として線量情報を画像情報としてしか出力できない旧式の装置が多く存在している。このような旧式の装置においては、線量情報を画像情報から読み取る必要がある。画像情報から線量情報を取得する手段として、OCR(Optical Character Recognition)技術による文字列の読取がある。
【0003】
これに関連して、特許文献1には、X線の検査において撮影条件が表示された画像をOCR処理することで、当該撮影条件を取得して、撮影に使用した電圧・電流を読み込む被曝線量演算装置が開示されている。
また、特許文献2には、所定の入力フォーマットに従って書類のデータを入力するデータエントリシステムにおいて、OCRの入力フォーム作成及び入力場所ごとにバイト数や文字列等の読み取り方法を設定可能であることが開示されている。
また、特許文献3には、複数のOCRエンジンを搭載し、画像の取得手段に応じて、最適なOCRエンジンを選択する機能を有する文書OCR実行装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-115592公報
【特許文献2】特開2002-150219公報
【特許文献3】特開2007-65994公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載の発明では、OCR処理によって読み取りを行った情報をユーザーが確認して登録を行うものであり、ユーザーの業務負担が大きい。
また、特許文献2に記載の発明では、OCR処理によって読み取りを行う領域ごとに、入力内容の制限を付ける動作となっており、読み込みの精度向上には寄与するが、誤認識の可能性は残る。
また、特許文献3に記載の発明では、読み込む文書のタイプに応じて適切な精度の高いOCRエンジンを提供するが、それでも誤認識する可能性は残る。
特に、検査装置が生成するサマリー画像では、線量の数値情報と撮影プロトコルの文字列情報が混在している。この文字列情報は、文字の間隔が狭くフォントの種類が古いために、サマリー画像から線量情報を読み取る場合、文字列情報部分の正確な読み取りが困難である。
よって、特許文献1から3に記載の発明では、OCR処理によって読み取りに誤りがあった場合に、被ばく線量の管理を正確に行うことが難しく、被ばく線量の管理を正確に行うためには、依然としてユーザーの確認が不可欠であり、ユーザーの業務負担となっていた。
【0006】
この発明の目的は、ユーザーの負担を軽減しつつ患者の医療被ばく線量をより高精度に管理することができる医療被ばく線量管理装置及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の医療被ばく線量管理装置の発明は、
被ばくに係る線量情報が含まれる医用画像から線量情報を読み取って管理する医療被ばく線量管理装置であって、
前記医用画像は、第1線量情報を有する第1領域と、前記第1線量情報よりも認識精度の高い第2線量情報を有する第2領域と、を有し、
前記医用画像の前記第1領域及び前記第2領域から各々情報を読み取る読取部と、
前記第1領域から読み取られた情報と前記第1線量情報に係る正解情報を関連付けて記憶部に記憶させる記憶制御部と、
前記第1領域から読み取られた情報と一致する、過去に記憶された前記第1領域から読み取られた情報があるか否かを判断する判断部と、
一致する前記第1領域から読み取られた情報がある場合、当該第1領域から読み取られた情報に関連付けて記憶された前記第1線量情報に係る正解情報を第1線量情報とし、前記第2領域から読み取られた情報を第2線量情報として登録する登録部と、
を備える。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の医療被ばく線量管理装置において、
前記第1線量情報に係る正解情報の入力を受け付ける受付部を備え、
前記記憶制御部は、前記受付部により受け付けた前記第1線量情報に係る正解情報を前記記憶部に記憶させる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の医療被ばく線量管理装置において、
前記判断部により、前記医用画像の前記第1領域から読み取られた情報と一致する、過去に記憶された前記第1領域から読み取られた情報がないと判断された場合、前記正解情報の入力を受け付ける受付画面を表示部に表示させる第1表示制御部を備える。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の医療被ばく線量管理装置において、
前記判断部により、前記医用画像の前記第1領域から読み取られた情報と一致する、過去に記憶された前記第1領域から読み取られた情報があると判断された場合に、当該第1領域から読み取られた情報に関連付けて記憶された前記正解情報が表示された確認画面を表示部に表示させる第2表示制御部を備える。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の医療被ばく線量管理装置において、
前記線量情報が含まれる医用画像は、サマリー画像である。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の医療被ばく線量管理装置において、
前記第1線量情報は、撮影プロトコルの属性に関する情報であり、
前記第2線量情報は、医療被ばく線量に関する数値である。
【0013】
また、上記目的を達成するため、請求項7に記載のプログラムの発明は、
被ばくに係る線量情報が含まれる医用画像から線量情報を読み取って管理する医療被ばく線量管理装置のコンピューターを、
前記医用画像は、第1線量情報を有する第1領域と、前記第1線量情報よりも認識精度の高い第2線量情報を有する第2領域と、を有し、
前記医用画像の前記第1領域及び前記第2領域から各々情報を読み取る読取部、
前記第1領域から読み取られた情報と前記第1線量情報に係る正解情報を関連付けて記憶部に記憶させる記憶制御部、
前記第1領域から読み取られた情報と一致する、過去に記憶された前記第1領域から読み取られた情報があるか否かを判断する判断部、
一致する前記第1領域から読み取られた情報がある場合、当該第1領域から読み取られた情報に関連付けて記憶された前記第1線量情報に係る正解情報を第1線量情報とし、前記第2領域から読み取られた情報を第2線量情報として登録する登録部、
として機能させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ユーザーの負担を軽減しつつ患者の医療被ばく線量をより高精度に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】医療情報管理システムのシステム構成例を示す図である。
図2】線量管理装置の機能的構成を示すブロック図である
図3】サマリー画像の例を示す図である。
図4】線量情報登録処理の制御手順を示すフローチャートである。
図5】線量情報を自動登録した場合の確認画面の例を示す図である。
図6】正解情報を手動入力する場合の受付画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る線量管理装置及びプログラムの実施の形態について説明する。なお、本発明は、図示例に限定されるものではない。
【0017】
図1に、医療情報管理システム100のシステム構成例を示す。
図1に示すように、医療情報管理システム100は、検査装置10、医用画像保管装置20、医療被ばく線量管理装置としての線量管理装置30、クライアント端末40等から構成され、各装置は、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークNを介してデータ送受信可能に接続されている。医療情報管理システム100を構成する各装置は、HL7(Health Level Seven)やDICOM規格に準じており、各装置間の通信は、HL7やDICOMに則って行われる。なお、医療情報管理システム100は、検査装置10、クライアント端末40を複数備えていてもよい。
【0018】
検査装置10は、CT装置、X線撮影装置(DR、CR)等のモダリティーである。検査装置10は、図示略のコンソールに対する操作者の操作に応じて動作する。検査装置10は、患者(被験者、被検体)に放射線を照射し、当該放射線の検出結果に基づいて医用画像としての放射線画像(例えば、CT画像)の画像データを生成する。
また、検査装置10は、DICOM規格に則って、サマリー画像を生成する。サマリー画像には、患者情報、検査情報、照射情報等が含まれる。また、検査装置10は、サマリー画像のDICOMヘッダーに付帯情報を書き込む。
【0019】
患者情報は、患者に関する情報である。患者情報には、患者ID、患者名、生年月日、性別、身長、体重、年齢、BMI等が含まれる。患者IDは、患者を特定するための識別情報である。
検査情報は、検査に関する情報である。検査情報には、検査ID、検査日付、検査時刻、検査記述、検査インスタンスUID等が含まれる。検査インスタンスUIDは、検査を特定するための識別情報であり、DICOM規格でユニーク性が保証されている。
照射情報は、検査装置10において患者に照射した放射線に関する情報である。照射情報には、撮影プロトコル(第1線量情報)、照射条件、照射時に発生した線量情報(第2線量情報)が含まれる。第2線量情報は、放射線検査において、被検体に照射した放射線の照射線量(医療被ばく線量)に係る情報である。第2線量情報には、DLP(Dose Length Product)、CTDIvolといった照射線量を表す指標の他、放射線の照射のために印加された電圧、電流、及び放射線の照射時間といった、照射線量と相関を有する量の情報も含まれ得る。検査装置10は、検査インスタンスUIDごとに患者情報、検査情報、照射情報がまとめられたサマリー画像を生成する。
付帯情報は、付帯されている画像がサマリー画像であることを表す情報を含む。
【0020】
医用画像保管装置20は、患者ごと、検査ごとに、検査装置10において生成された放射線画像の画像データ及びサマリー画像に含まれる線量情報を保存・管理する。医用画像保管装置20として、例えば、PACS(Picture Archiving and Communication System)等が挙げられる。
【0021】
線量管理装置30は、放射線画像の撮影時における線量情報を管理するコンピューター装置である。
図2は、線量管理装置30の機能的構成を示すブロック図である。
図2に示すように、線量管理装置30は、制御部31(コンピューター)、通信部32、表示部33、操作部34、記憶部35等を備えて構成されており、各部はバスにより接続されている。
【0022】
制御部31は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等から構成され、線量管理装置30の各部の処理動作を統括的に制御する。具体的には、CPUは、記憶部35に記憶されているプログラム354を読み出してRAMに展開し、当該プログラム354に従って各種処理を行う。
【0023】
また、制御部31は、OCR処理によって、医用画像の後述する第1領域及び第2領域から各々情報を読み取る。このとき、制御部31は、読取部として機能する。
また、制御部31は、第1領域から読み取られた情報と第1線量情報に係る正解情報を関連付けて記憶部35(後述する正解情報データベース(DB)352)に記憶させる。このとき、制御部31は、記憶制御部として機能する。
また、制御部31は、第1領域から読み取られた情報と一致する、過去に記憶された第1領域から読み取られた情報があるか否かを判断する。このとき、制御部31は、判断部として機能する。
また、制御部31は、一致する第1領域から読み取られた情報がある場合、当該第1領域から読み取られた情報に関連付けて記憶された第1線量情報に係る正解情報を第1線量情報とし、第2領域から読み取られた情報を第2線量情報として登録する。このとき、制御部31は、登録部として機能する。
また、制御部31は、操作部34を介して、第1線量情報に係る正解情報の入力を受け付ける。このとき、制御部31は、受付部として機能する。
また、制御部31は、判断部により、医用画像の第1領域から読み取られた情報と一致する、過去に記憶された第1領域から読み取られた情報がないと判断された場合、正解情報の入力を受け付ける受付画面334を表示部33に表示させる。このとき、制御部31は、第1表示制御部として機能する。
また、制御部31は、判断部により、医用画像の第1領域から読み取られた情報と一致する、過去に記憶された第1領域から読み取られた情報があると判断された場合に、当該第1領域から読み取られた情報に関連付けて記憶された正解情報が表示された確認画面331を表示部33に表示させる。このとき、制御部31は、第2表示制御部として機能する。
【0024】
通信部32は、ネットワークインターフェース等により構成され、通信ネットワークNを介して接続された外部装置との間でデータの送受信を行う。例えば、通信部32は、検査装置10から、患者を撮影して得られた放射線画像の画像データ及びサマリー画像を受信する。また、通信部32は、医用画像保管装置20から放射線画像の画像データ及びサマリー画像を受信することとしてもよい。
【0025】
表示部33は、LCD(Liquid Crystal Display)等のモニターを備えて構成されており、制御部31から入力される表示信号の指示に従って、各種画面を表示する。
また、表示部33は、制御部31の制御の下、確認画面331(図5参照)及び受付画面334(図6参照)を表示する。
【0026】
操作部34は、カーソルキー、文字・数字入力キー及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、キーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された操作信号を制御部31に出力する。操作部34は、表示部33のモニターに重ねられて設けられたタッチパネルを有していてもよい。
【0027】
記憶部35は、HDD(Hard Disk Drive)や不揮発性の半導体メモリー等により構成され、各種データを記憶している。例えば、記憶部35は、読取領域情報351と、正解情報DB352と、線量情報領域353と、プログラム354を有する。なお、プログラム354は、制御部31のROMに記憶されていてもよい。
【0028】
読取領域情報351には、サマリー画像の線量情報において、第1領域と第2領域の位置が記憶される。
第1領域は、サマリー画像の線量情報における日本語の文字列のようなOCR処理において認識精度が第2領域よりも低い領域である。例えば、第1領域は、撮影プロトコルが表示される領域である。
撮影プロトコルにかかる属性には、例えば、撮影方向、被写体の部位、側性、被写体サイズ、被写体の姿勢、切出しサイズ、放射線(X線等)の照射条件、画像処理条件の少なくともいずれかが含まれるが、これに限られない。
また、第2領域は、サマリー画像の線量情報におけるアルファベットの文字列、あるいは数字のようなOCR処理において認識精度が第1領域よりも高い領域である。例えば、第2領域は、DLP、CTDIvolといった照射線量を表す指標、放射線の照射のために印加された電圧、電流、及び放射線の照射時間における数値が表示される領域である。
サマリー画像における第1領域の位置と第2領域の位置は、検査装置10の装置ごとに予め定められている。
図3に、サマリー画像の例を示す。図3に示す例において、領域Aが第1領域であり、領域Bが第2領域である。
【0029】
正解情報DB352には、サマリー画像において第1領域を読取部により読み取った情報(第1領域読取情報)と第1線量情報に係る正解情報が関連付けて記憶される。例えば、当該第1線量情報に係る正解情報は、撮影プロトコルであり、図3に示す例においては、「胸部 単純」、「胸部 造影」という文字列である。
【0030】
線量情報領域353には、第1線量情報ごとに、サマリー画像からOCR処理によって読み取った文字情報を線量情報として記憶される。当該文字情報は、第2領域を読取部により読み取った情報(第2領域読取情報)である。
【0031】
クライアント端末40は、医師により使用されるPC(Personal Computer)等のコンピューター装置である。医師は、クライアント端末40において、検査に関する放射線画像や線量情報等の閲覧を行う。
【0032】
次に、医療情報管理システム100における各装置の動作について説明する。
医療情報管理システム100では、検査装置10において検査を実施し、放射線画像、及びその検査に係るサマリー画像が生成されると、当該放射線画像の画像及びサマリー画像の画像データが医用画像保管装置20及び線量管理装置30に送信される。
線量管理装置30では、サマリー画像に含まれる情報を記憶部35の線量情報領域353に登録する線量情報登録処理が実行される。
【0033】
図4は、線量情報登録処理の制御部31による制御手順を示すフローチャートである。
検査装置10において、被検者に対してX線CT検査等の検査が行われると、検査装置10からCT画像(断層画像)等の放射線画像及びサマリー画像の画像データが線量管理装置30に送信される。
【0034】
まず、制御部31は、通信部32を介して放射線画像及びサマリー画像を受信する(ステップS1)。
次に、制御部31は、ステップS1において受信した画像が、対象検査装置からの画像か否かを判断する(ステップS2)。対象検査装置は、サマリー画像を作成する装置であり、予め定められている。
対象検査装置からの画像である場合(ステップS2;YES)、制御部31は、受信した画像はサマリー画像であるか否かを判断する(ステップS3)。具体的には、制御部31は、サマリー画像のDICOMヘッダー部分を解析し、当該DICOMヘッダーに書き込まれた付帯情報に基づいて判断する。
【0035】
受信した画像がサマリー画像である場合(ステップS3;YES)、制御部31は、受信したサマリー画像からOCR用画像を作成する。(ステップS4)。具体的には、制御部31は、受信したサマリー画像からOCR処理する領域を抽出する。抽出する領域は、例えば、図3に示す領域Cである。さらに、当該領域を二値化処理などの階調調整処理等をすることでOCR処理しやすい鮮明な画像を作成する。
次に、制御部31は、ステップS4において作成したOCR用画像をOCR処理し、第1領域に表示された情報、及び第2領域に表示された情報を読み取り、第1領域読取情報及び第2領域読取情報を取得する(ステップS5)。
次に、制御部31は、ステップS5において取得した第1領域読取情報は、記憶部35の正解情報DB352に登録されているか否か、つまり、正解情報DB352に過去に記憶された第1領域読取情報に一致するか否かを判断する(ステップS6)。
【0036】
過去に記憶された第1領域読取情報に一致する場合(ステップS6;YES)、制御部31は、線量情報を自動登録する(ステップS7)。具体的には、制御部31は、ステップS5において取得した第1領域読取情報に一致する、過去に記憶された第1領域読取情報に関連付けて記憶された第1線量情報に係る正解情報を参照する。そして、制御部31は、参照した第1線量情報に係る正解情報を第1線量情報とし、ステップS5において取得した第2領域読取情報を第2線量情報として、当該第1線量情報ごとに、記憶部35の線量情報領域353に記憶することで、線量情報を登録する。
第1領域読取情報とは、例えば、図3の領域Aに表示される「胸部 単純」等の第1領域に表示される文字列を読み取った情報である。「胸部 単純」等の文字列は、OCR処理において認識精度が低いため、OCR処理によって読み取った場合、文字化け等の不完全な状態の情報(第1領域読取情報)となる可能性がある。しかし、OCR処理による文字認識が不完全である第1領域読取情報でも、当該文字認識が不完全である第1領域読取情報と一致する過去に記憶された第1領域読取情報に関連付けて記憶された、第1線量情報に係る正解情報を参照することで、OCR処理による文字認識が不完全であっても、正確な第1線量情報である第1線量情報に係る正解情報を取得することができる。
【0037】
次に、制御部31は、ステップS7において自動登録を行った線量情報に、自動登録を行ったことを判別できる情報(自動登録情報)を付与する(ステップS8)。
次に、制御部31は、表示部33に図5に示すような確認画面331を表示して、ユーザーによる確認を受け付ける(ステップS9)。
図5に、自動登録を行った線量情報の確認画面331の一部を示す。図5に示す例において、制御部31は、自動登録情報を付与された線量情報に、表示332のように「自動登録」と表示する。ユーザーは、確認画面331において、確認を行うと操作部34を介して確認済みであることを入力する。
次に、制御部31は、ユーザーによって確認された線量情報に付与されている自動登録情報を、確認済みであることが判別できる情報に変更し、さらに、制御部31は、図5に示す表示333のように「確認済み」と表示する(ステップS10)。そして、制御部31は、処理を終了する。
【0038】
一方、過去に記憶された第1領域読取情報に一致しない場合(ステップS6;NO)、制御部31は、表示部33に、図6に示すような受付画面334を表示して、操作部34を介してユーザーによる第1線量情報に係る正解情報の入力処理を受け付ける(ステップS11)。
図6に、第1線量情報に係る正解情報を入力する場合の受付画面334の例を示す。図6に示す例において、ユーザーは、欄335に第1線量情報に係る正解情報である撮影プロトコルを入力する。ユーザーによる入力処理において、ユーザーが欄335にキーボードを操作して直接入力してもよいし、候補が表示されたプルダウンメニューから選択できるようにしてもよい。または、ステップS5で取得した第1領域読取情報を欄335に表示させて、ユーザーがそれを修正できるようにしてもよい。
次に、制御部31は、ステップS11において入力された第1線量情報に係る正解情報と、ステップS5において取得した第1領域読取情報とを関連付けて、記憶部5の正解情報DB352に記憶することで登録を行う(ステップS12)。
次に、制御部31は、ステップS11において入力された第1線量情報に係る正解情報を第1線量情報とし、ステップS5において取得した第2領域読取情報を第2線量情報として、当該第1線量情報ごとに、記憶部5の線量情報領域353に記憶することで、線量情報を登録(ステップS13)し、処理を終了する。
【0039】
また、対象検査装置からの画像でない場合(ステップS2;NO)、あるいは受信した画像がサマリー画像でない場合(ステップS3;NO)、制御部31は、処理を終了する。
【0040】
以上のように、本実施形態に係る線量管理装置30は、被ばくに係る線量情報が含まれる医用画像から線量情報を読み取って管理する線量管理装置30であって、医用画像は、第1線量情報を有する第1領域と、第1線量情報よりも認識精度の高い第2線量情報を有する第2領域と、を有し、医用画像の第1領域及び第2領域から各々情報を読み取る読取部(制御部31)と、第1領域から読み取られた情報と第1線量情報に係る正解情報を関連付けて記憶部35に記憶させる記憶制御部(制御部31)と、第1領域から読み取られた情報と一致する、過去に記憶された第1領域から読み取られた情報があるか否かを判断する判断部(制御部31)と、一致する第1領域から読み取られた情報がある場合、当該第1領域から読み取られた情報に関連付けて記憶された第1線量情報に係る正解情報を第1線量情報とし、第2領域から読み取られた情報を第2線量情報として登録する登録部(制御部31)と、を備える。
これにより、OCR処理の認識精度が低い第1線量情報について、OCR処理による文字認識が不完全な場合であっても、第1線量情報に係る正解情報を取得することができるので、ユーザーの負担を軽減しつつ患者の医療被ばく線量をより高精度に管理することができる。
【0041】
また、本実施形態に係る線量管理装置30は、第1線量情報に係る正解情報の入力を受け付ける受付部(制御部31)を備え、記憶制御部は、受付部により受け付けた第1線量情報に係る正解情報を、記憶部35に記憶させる。
これにより、予め記憶されていない第1線量情報は、ユーザーによって正解情報が入力されるので、その正解情報に基づいて第1線量情報を識別することができるため、ユーザーの負担を軽減しつつ患者の医療被ばく線量をより高精度に管理することができる。
【0042】
また、本実施形態に係る線量管理装置30において、判断部により、医用画像の第1領域から読み取られた情報と一致する、過去に記憶された第1領域から読み取られた情報がないと判断された場合、正解情報の入力を受け付ける受付画面334を表示部33に表示させる第1表示制御部(制御部31)を備える。
これにより、予め記憶されていない第1線量情報については、ユーザーによって正解情報を入力することができる。
【0043】
また、本実施形態に係る線量管理装置30において、判断部により、医用画像の第1領域から読み取られた情報と一致する、過去に記憶された第1領域から読み取られた情報があると判断された場合に、当該第1領域から読み取られた情報に関連付けて記憶された正解情報が表示された確認画面331を表示部33に表示させる第2表示制御部(制御部31)を備える。
これにより、線量情報が自動登録される場合でもユーザーはそれを確認することができるので、患者の医療被ばく線量をより高精度に管理することができる。
【0044】
また、本実施形態に係る線量管理装置30において、線量情報が含まれる医用画像は、サマリー画像である。
これにより、ユーザーの負担を軽減しつつ、サマリー画像に表示された患者の医療被ばく線量をより高精度に管理することができる。
【0045】
また、本実施形態に係る線量管理装置30において、第1線量情報は、撮影プロトコルの属性に関する情報であり、第2線量情報は、医療被ばく線量に関する数値である。
これにより、撮影プロトコルの属性に関する情報ごとに、患者の医療被ばく線量に関する数値をより高精度に管理することができる。
【0046】
なお、上記実施の形態における記述は、本発明に係る線量管理装置の例であり、これに限定されるものではない。装置を構成する各部の細部構成及び細部動作に関しても本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【0047】
例えば、上記実施形態では、線量情報が含まれる医用画像は、サマリー画像であるとしたがこれに限らない。線量情報が含まれる医用画像は、線量情報が含まれる画像であれば、サマリー画像以外の画像であってもよい。
また、線量情報が含まれる医用画像は、DICOM画像であるとしたがこれに限らない。DICOM画像の他、JPEG(Joint Photographic Experts Group)、BITMAP等の汎用形式画像が含まれてもよい。
また、線量情報が含まれる医用画像としてのサマリー画像は、一枚の画像であっても良く、複数枚から構成される画像であっても良い。
【0048】
また、上記実施形態では、線量管理装置30の記憶部35に読取領域情報351、正解情報DB352、及び線量情報領域353が設けられている例を用いて説明したが、これに限られない。例えば、線量管理装置30の外部のデータベースサーバー等に読取領域情報領域、正解情報DB、及び線量情報領域を設けて、必要なデータを都度データベースサーバーから取得してもよい。
【0049】
また、上記実施形態の線量情報登録処理のステップS3において、制御部31は、サマリー画像のDICOMヘッダーに書き込まれた付帯情報に基づいて、受信した画像はサマリー画像であるか否かを判断するとしたがこれに限らない。制御部31は、外部の情報系システムを介して画像を受信することで、画像にサマリー画像であるという情報を付帯させるシステムを使用して、受信した画像がサマリー画像である否かを判断してもよい。
【0050】
また、上記実施形態の線量情報登録処理のステップS9において、制御部31は、自動登録された線量情報について、ユーザーによる確認を受け付けるとしたがこれに限らない。判断部による判断の精度が十分に高ければ、ユーザーによる確認は省いてもよい。この場合、ユーザーの作業負荷をより削減することができる。
【0051】
以上の説明では、各処理を実行するためのプログラムを格納したコンピューター読み取り可能な媒体として記憶部35又はROMを使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピューター読み取り可能な媒体として、フラッシュメモリー等の不揮発性メモリー、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することも可能である。また、プログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)を適用することとしてもよい。
【符号の説明】
【0052】
10 検査装置
20 医用画像保管装置
30 線量管理装置
31 制御部(記憶制御部、読取部、判断部、受付部、第1表示制御部、第2表示制御部)
32 通信部
33 表示部
34 操作部
35 記憶部
351 読取領域情報
352 文字列情報データベース
353 線量情報領域
354 プログラム
40 クライアント端末
100 医療情報管理システム
N 通信ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6