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  • 特開-計量機構 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149609
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】計量機構
(51)【国際特許分類】
   B01J 4/02 20060101AFI20220929BHJP
【FI】
B01J4/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021051838
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000219314
【氏名又は名称】東レエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】特許業務法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河崎 喜代司
【テーマコード(参考)】
4G068
【Fターム(参考)】
4G068AA02
4G068AA06
4G068AB15
4G068AC16
4G068AD40
4G068AE05
4G068AF18
4G068AF29
4G068AF31
(57)【要約】
【課題】計量容器における洗浄可能範囲を従来よりも拡大させる。
【解決手段】計量機構15は、複数種類の液体を入れ替えて反応させる装置に用いられる。計量機構15は、底壁31及び側壁32を有し上部が開口していて液体が溜められる計量容器7と、計量容器7を収容している外側容器(密閉容器29)と、洗浄溶液を計量容器7に供給するための洗浄用配管34と、洗浄用配管34から計量容器7に供給され計量容器7の内壁全体を満たした洗浄溶液を前記外側容器の外へ送るためのドレン流路51を有する排液機構50とを備える。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の液体を入れ替えて反応させる装置に用いられる計量機構であって、
底壁及び側壁を有し上部が開口していて液体が溜められる計量容器と、
前記計量容器を収容している外側容器と、
洗浄溶液を前記計量容器に供給するための洗浄用配管と、
前記洗浄用配管から前記計量容器に供給され当該計量容器の内壁全体を満たした洗浄溶液を受ける排液機構と、
を備える、計量機構。
【請求項2】
前記外側容器に加圧ガスを供給するための加圧ガス用配管と、
前記計量容器の前記底壁と接続され液体を流出させる流出管と、
前記洗浄用配管及び前記外側容器それぞれと前記計量容器とを非接触の状態として当該計量容器を支持する支持部材と、
前記支持部材を通じて前記計量容器における重量を測定する重量センサと、
を更に備える、請求項1に記載の計量機構。
【請求項3】
前記外側容器内に供給された前記加圧ガスの圧力が維持された状態で、前記計量容器に洗浄溶液が供給される、請求項2に記載の計量機構。
【請求項4】
前記排液機構は、洗浄溶液を前記外側容器の外へ送るためのドレン流路を有し、
前記ドレン流路の洗浄溶液を検出するセンサと、
前記センサの検出信号に基づいて前記洗浄用配管から前記計量容器への洗浄溶液の供給を停止する制御を行う制御部と、更に、備える請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の計量機構。
【請求項5】
前記液体を供給する配管及び前記洗浄用配管が保持されると共に前記計量容器の側壁との間に全周にわたって隙間を有して設けられるカバーを、更に備える、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の計量機構。
【請求項6】
前記カバーは、
筒状である前記側壁の上部の内周側に、当該上部との間に第一の隙間を有して設けられている下カバー部と、
前記側壁の上端の上方に、当該上端との間に第二の隙間を有して設けられ、前記下カバー部よりも外周輪郭形状の大きい上カバー部と、
を有する、請求項5に記載の計量機構。
【請求項7】
前記第二の隙間を通って前記計量容器を溢れる洗浄溶液が前記上カバー部の下面に触れる高さ位置に、当該上カバー部が設けられている、請求項6に記載の計量容器。
【請求項8】
前記カバーの下面は、当該下面の外側に向かうにしたがって高くなる斜面を有する、請求項6又は請求項7に記載の計量機構。
【請求項9】
前記排液機構は、前記計量容器と非接触であって前記計量容器を溢れた洗浄溶液を受けるドレンパンと、洗浄溶液を前記外側容器の外へ送るためのドレン流路と、を有し、
前記ドレンパンから前記ドレン流路に前記洗浄溶液が流れる、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の計量機構。
【請求項10】
前記計量容器は、
筒状である前記側壁の上端から径方向外側に広がるように設けられていて溢れる洗浄溶液が上面を流れる環状部と、
前記環状部の外周側から下に延びて設けられている筒部と、
を有し、
前記排液機構は、前記筒部よりも径方向内側に設けられている内周壁と、前記筒部よりも径方向外側に設けられている外周壁と、前記内周壁と前記外周壁とを繋ぐ環状の底壁と、を有し、前記計量容器と非接触であって前記計量容器を溢れた洗浄溶液を受けるドレンパンを有する、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の計量機構。
【請求項11】
複数種類の液体を入れ替えて反応させる装置に用いられる計量機構であって、
底壁及び側壁を有し上部が開口していて液体が溜められる計量容器と、
洗浄溶液を前記計量容器に供給するための洗浄用配管と、
前記洗浄用配管が保持されると共に前記計量容器の上部を覆うカバーと、
を備え、
前記カバーは、前記計量容器の内壁面と対向する一部として、当該計量容器内に延びて設けられている下カバー部を有しており、
前記下カバー部と前記側壁との間に全周にわたって隙間が形成されている、計量機構。
【請求項12】
前記カバーは、
前記側壁の上部の内周側に、当該上部との間に第一の隙間を有して設けられている前記下カバー部と、
前記側壁の上端の上方に、当該上端との間に第二の隙間を有して設けられ、前記下カバー部よりも外周輪郭形状の大きい上カバー部と、
を有する、請求項11に記載の計量機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、タンパク質、ペプチド、核酸等を化学合成するための合成装置等に用いられる計量機構に関する。
【背景技術】
【0002】
タンパク質、ペプチド、核酸等を化学合成する方法として、反応容器に複数種類の溶液(試薬)を順に供給し、この反応容器内において反応を進める方法がある。例えば、核酸を合成する場合、反応容器内にビーズを多数設け、この反応容器に溶液を順次供給しながら、脱トリチル化、カップリング、酸化、及びキャッピングの処理を繰り返し行い、ビーズから塩基を次々と結合させる。
【0003】
用いられる溶液は数十種類とされることもあり、これら溶液を選択的に反応容器へ送り、溶液に含まれる分子材料により合成物(例えば核酸)が生成される。このような化学合成を行うための装置として例えば特許文献1に記載の装置が知られている。特許文献1に、前記のような合成装置に用いられる計量機構が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-167161号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記のように反応容器に溶液を送る前に、溶液毎の計量が必要であり、特許文献1に開示の計量機構は、複数種類の溶液の中から選択的に送られる溶液を溜めることのできる計量容器を備える。つまり、複数種類の溶液のために計量容器は共用されている。また、計量容器では、計量の対象とする溶液の種類が変更される毎に、洗浄が必要となる。
【0006】
容器の洗浄に関する一般的な技術として、スプレーノズルにより洗浄液を容器の内面に吹き付ける技術が知られている。しかし、この場合、噴出帯電が生じるおそれがあり、溶液が可燃性である場合、スプレーノズルによる洗浄技術は採用できない。
そこで、特許文献1では、計量容器内に洗浄液を配管から流出させて供給し、洗浄液を容器内に溜めて洗浄を行うことが開示されている。
【0007】
この場合、洗浄液の液面が計量容器の上端よりも低くなるように設定して、洗浄液を供給する必要がある。そのため、計量容器の上部において洗浄不足が生じる可能性がある。
なお、計量容器における溶液の供給量が少なく、その液面が低い場合であっても、計量容器にノズルから溶液を供給する際に、そのノズルから溶液が飛び散ることで計量容器の上部に溶液が付着する可能性がある。また、溶液の揮発性が高いと容器の上部に溶液が付着する。このような溶液についても洗浄する必要がある。
【0008】
以上のように、従来の洗浄方法では、計量容器において洗浄可能となる範囲が狭く、洗浄が不十分となる可能性がある。
そこで、本開示では、計量容器における洗浄可能範囲を従来よりも拡大させることが可能となる計量機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本開示の計量機構は、複数種類の液体を入れ替えて反応させる装置に用いられる計量機構であって、底壁及び側壁を有し上部が開口していて液体が溜められる計量容器と、前記計量容器を収容している外側容器と、洗浄溶液を前記計量容器に供給するための洗浄用配管と、前記洗浄用配管から前記計量容器に供給され当該計量容器の内壁全体を満たした洗浄溶液を受ける排液機構とを備える。
【0010】
前記計量機構によれば、洗浄用配管から供給された洗浄溶液は、計量容器に溜められ、計量容器の内壁全体まで満たした状態となることで、計量容器が有する側壁の内面を余すことなく洗浄することが可能となる。計量容器における洗浄可能範囲を従来よりも拡大させることが可能となる。洗浄溶液が計量容器の内壁全体まで満たされ、その洗浄溶液が計量容器から溢れても、その溢れた洗浄溶液を受けることができる。
【0011】
(2)また、好ましくは、前記外側容器に加圧ガスを供給するための加圧ガス用配管と、前記計量容器の前記底壁と接続され液体を流出させる流出管と、前記洗浄用配管及び前記外側容器それぞれと前記計量容器とを非接触の状態として当該計量容器を支持する支持部材と、前記支持部材を通じて前記計量容器における重量を測定する重量センサと、を更に備える。
【0012】
前記構成によれば、外側容器に供給された加圧ガスが、計量容器に溜められている液体に作用して、その液体を流出管から流出させることができる。つまり、計量後の液体を圧送することが可能となる。
計量容器における液体の計量は、重量を測定することで行われる。計量容器における重量は支持部材にのみ作用し、重量センサがその重量を測定する。よって、計量容器における重量の測定は、外側容器などのその他の部品の影響を受けない構成が得られ、測定精度が高まる。
【0013】
(3)前記(2)の構成において、更に、前記外側容器内に供給された前記加圧ガスの圧力が維持された状態で、前記計量容器に洗浄溶液が供給されるのが好ましい。外側容器内の圧力が維持されている状態では、計量容器を外側から洗浄することができないが、前記構成によれば、洗浄が可能となる。
【0014】
(4)また、好ましくは、前記排液機構は、洗浄溶液を前記外側容器の外へ送るためのドレン流路を有し、前記計量機構は、前記ドレン流路の洗浄溶液を検出するセンサと、前記センサの検出信号に基づいて前記洗浄用配管から前記計量容器への洗浄溶液の供給を停止する制御を行う制御部と、更に、備える。
前記構成によれば、計量容器から洗浄溶液が溢れたことの検出が行われる。つまり、側壁の内面が余すことなく洗浄されたと判断することができ、次の処理に進むことが可能となる。
【0015】
(5)また、好ましくは、前記液体を供給する配管及び前記洗浄用配管が保持されると共に前記計量容器の側壁との間に全周にわたって隙間を有して設けられるカバーを、更に備える。
前記構成によれば、カバーによって異物が計量容器内に侵入し難くなる。計量容器内の液体が揮発し、揮発成分が外側容器に付着するのを防ぐことができる。また、前記隙間を通じて洗浄溶液が流れて計量容器から溢れることができる。計量容器から溢れる洗浄溶液によってカバーの下面を洗浄することが可能となる場合がある。
【0016】
(6)また、好ましくは、前記カバーは、筒状である前記側壁の上部の内周側に、当該上部との間に第一の隙間を有して設けられている下カバー部と、前記側壁の上端の上方に、当該上端との間に第二の隙間を有して設けられ、前記下カバー部よりも外周輪郭形状の大きい上カバー部と、を有する。
前記構成によれば、計量容器の側壁とカバーとの間に形成される隙間は、第一の隙間と第二の隙間とによって折れ曲がり形状(つまり、ラビリンス形状)を有する。このため、異物が計量容器内により一層侵入し難くなる。
洗浄溶液によって下カバー部の下面が洗浄される。
【0017】
(7)また、好ましくは、前記第二の隙間を通って前記計量容器を溢れる洗浄溶液が前記上カバー部の下面に触れる高さ位置に、当該上カバー部が設けられている。前記構成によれば、計量容器から溢れる洗浄溶液によって、上カバー部の下面も洗浄される。
【0018】
(8)また、好ましくは、前記カバーの下面は、当該下面の外側に向かうにしたがって高くなる斜面を有する。計量容器に洗浄溶液が供給されると、その液面が徐々に高くなり、その液面がカバーの下面に到達し、更に上昇する。その際、前記構成によれば、カバーの下面にエア溜まりが生じず、下面の洗い残しが防止される。
【0019】
(9)また、好ましくは、前記排液機構は、前記計量容器と非接触であって前記計量容器を溢れた洗浄溶液を受けるドレンパンと、洗浄溶液を前記外側容器の外へ送るためのドレン流路と、を有し、前記ドレンパンから前記ドレン流路に前記洗浄溶液が流れる。前記構成によれば、計量容器を溢れた洗浄溶液を、外側容器が受けるのではなく、ドレンパンが受ける。ドレンパンは計量容器と非接触であるため、計量容器における液体の計量はドレンパンの影響を受けない。
【0020】
(10)また、好ましくは、前記計量容器は、筒状である前記側壁の上端から径方向外側に広がるように設けられていて溢れる洗浄溶液が上面を流れる環状部と、前記環状部の外周側から下に延びて設けられている筒部と、を有し、前記排液機構は、前記筒部よりも径方向内側に設けられている内周壁と、前記筒部よりも径方向外側に設けられている外周壁と、前記内周壁と前記外周壁とを繋ぐ環状の底壁と、を有し、前記計量容器と非接触であって前記計量容器を溢れた洗浄溶液を受けるドレンパンを有する。
前記構成によれば、計量容器を溢れ環状部の上面を流れた洗浄溶液を、外側容器が受けるのではなく、ドレンパンが受ける。計量容器が有する前記筒部により、溢れた洗浄溶液を確実にドレンパンが受けることが可能となる。
【0021】
(11)また、本開示の計量機構は、複数種類の液体を入れ替えて反応させる装置に用いられる計量機構であって、底壁及び側壁を有し上部が開口していて液体が溜められる計量容器と、洗浄溶液を前記計量容器に供給するための洗浄用配管と、前記洗浄用配管が保持されると共に前記計量容器の上部を覆うカバーと、を備え、前記カバーは、前記計量容器の内壁面と対向する一部として、当該計量容器内に延びて設けられている下カバー部を有しており、前記下カバー部と前記側壁との間に全周にわたって隙間が形成されている。
【0022】
前記計量機構によれば、洗浄用配管から供給された洗浄溶液は、計量容器に溜められる。洗浄用配管から計量容器に供給した洗浄溶液の液面高さが、前記カバーの下面以上となるように洗浄溶液を供給すれば、計量容器の側壁を洗浄すると共に、カバーの下面を洗浄することが可能となる。計量容器における洗浄可能範囲を従来よりも拡大させることが可能となる。
【0023】
(12)また、好ましくは、前記カバーは、前記側壁の上部の内周側に、当該上部との間に第一の隙間を有して設けられている前記下カバー部と、前記側壁の上端の上方に、当該上端との間に第二の隙間を有して設けられ、前記下カバー部よりも外周輪郭形状の大きい上カバー部と、を有する。
前記構成によれば、筒状の側壁とカバーとの間に形成される隙間は、第一の隙間と第二の隙間とによって折れ曲がり形状(つまり、ラビリンス形状)を有する。このため、異物が計量容器内に侵入し難くなる。計量容器における洗浄溶液の液面が下カバー部の下面を上に越えて、洗浄溶液が供給されることで、計量容器の側壁を洗浄すると共に、カバーの下面を洗浄することが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
本開示の発明によれば、計量容器における洗浄可能範囲を従来よりも拡大させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】計量機構を備える合成装置の一例を示す構成図である。
図2】計量機構の説明図であり、密閉容器及び計量容器を断面で示す図である。
図3】計量機構の一部を示す断面図である。
図4】計量機構の一部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
〔合成装置の全体構成について〕
図1は、計量機構を備える合成装置の一例を示す構成図である。合成装置は、複数種類の溶液を入れ替えて反応させる装置である。本実施形態の合成装置は、タンパク質、ペプチド、核酸等を化学合成するための装置であり、反応容器9に複数種類の溶液(試薬)を順に供給し、この反応容器9内において化学合成を進める。核酸を合成する場合、反応容器9内にビーズを多数設け、この反応容器9に溶液を順次供給しながら、脱トリチル化、カップリング、酸化、及びキャッピングの処理を繰り返し行い、ビーズから例えば塩基のような分子材料を次々と結合させる。複数種類の溶液を選択的に反応容器9へ送り、溶液に含まれる分子材料により合成物(核酸)が生成される。
【0027】
用いられる溶液の数は化学合成する生成物に応じて変更される。溶液の種類と同数以上の収容容器(試薬瓶)2-1、2-2、・・・を設ける領域を合成装置3は備える。収容容器2-1、2-2・・・それぞれに各溶液が溜められている。なお、図1では、二つの収容容器(2-1と2-2)のみを示しており、その他の収容容器については省略している。合成装置3は、洗浄溶液を溜める収容容器2-20を更に備える。以下において、収容容器に付する参照符号を単に「2」とする場合もある。各収容容器2は、密閉容器であるが、導入管5及び導出管6が繋がっている。本開示における洗浄溶液は、化学合成するための材料を含まない洗浄液の他に、化学合成するための材料そのものであってもよく、次工程(次の溶液(試薬))に影響しないように先の溶液(試薬)を置換できる液を含む。
【0028】
合成装置3は、加圧ガスを溜めているタンク4、上流側配管10、導入管5、導出管6、中間配管8、排出側の配管19、反応容器9、計量機構15、及び、各バルブの開閉の制御などを行う制御装置16を備える。
【0029】
タンク4には大気よりも高圧のガスが充填されており、本開示では、不活性ガスとしてアルゴンガス又は窒素ガスが充填されている。不活性ガスの代わりに無菌化されたガスまたはエアであってもよい。複数の収容容器2と同数の導入管5は、共通する上流側配管10から分岐した配管であり、この上流側配管10にレギュレータ(電空レギュレータ)11及びバルブ12が設けられている。上流側配管10は、タンク4と接続されており、加圧ガスが各収容容器2に供給され、レギュレータ11により各収容容器2の内圧が調整される。加圧ガスにより各収容容器2の内圧が高まり、収容容器2の溶液は導出管6を通じて圧送される。
【0030】
タンク4と、計量機構15が有する後述の密閉容器29との間には、加圧ガス用配管17が設けられている。加圧ガス用配管17には、第二のレギュレータ(電空レギュレータ)18が設けられている。タンク4のガスが、密閉容器29に供給される。
【0031】
導出管6それぞれにはバルブ14が設けられている。各バルブ14の下流側(計量容器7側)の配管部分が、計量機構15が有する入口管20となる。開状態とするバルブ14が選択されることで、複数の収容容器2の溶液の中から所定の溶液を選択的に導出管6及び入口管20を通じて計量容器7へ送る(圧送する)ことができる。開状態とするバルブ14の選択は制御装置16によって行われる。また、洗浄溶液を溜める収容容器2-20と繋がる導出管6のバルブ14が開状態になると、その収容容器2-20から洗浄を計量容器7へ入口管20を通じて送る(圧送する)ことができる。
【0032】
計量機構15は、収容容器2からの供給により複数種類の溶液を選択的に取得して計量する。計量機構15は、計量容器7に溜められる溶液を計量する機能を有する。計量機構15による計量結果は、制御装置16に送信され、制御装置16は、計量結果に基づいてバルブ14の開閉動作制御を行い、規定量の溶液が計量容器7において取得される。規定量の溶液が中間配管8を通じて反応容器9へ送られる。
【0033】
以上より、複数の収容容器2の内の少なくとも一つから溶液が選択的に計量容器7へ送られ、この計量容器7で計量が行われると、反応容器9へ送られる。反応容器9への溶液の供給が、溶液の種類を変更しながら繰り返し行われ、複数種類の溶液が反応容器9に順に供給され、反応容器9内において化学合成が進められる。反応容器9を溶液が通過すると、その溶液は排出側の配管19を通じて排出される。
【0034】
〔計量機構15について〕
図2は、計量機構15の説明図であり、密閉容器29及び計量容器7を断面で示している。計量機構15は、前記ガス(加圧ガス)が供給される密閉容器29と、複数の入口管20と、計量容器7と、重量センサ26と、カバー35と、流出管37と、排出管38と、排液機構50とを備える。
【0035】
計量容器7は、底壁31及び筒状の側壁32を有する有底筒状の容器であり、上部7uが開口している。計量容器7に、溶液及び洗浄溶液が溜められる。密閉容器29は、計量容器7を収容している外側容器となる。密閉容器29は、その外部と遮断されていて、その内部は外部の空気と非接触に保たれる。
なお、合成に用いられる溶液は、計量容器7(側壁32)から溢れることはないが、洗浄溶液は、計量容器7の内壁面7a及びカバー35の下面を洗浄するために計量容器7(側壁32)から溢れる。計量容器7の洗浄については、後に説明する。
【0036】
複数の入口管20には、複数の溶液用配管33と、1本の洗浄用配管34とが含まれる。溶液用配管33は、溶液を溜める収容容器(例えば収容容器2-1)と繋がっていて、前記のとおり圧送により溶液が溶液用配管33を流れる。溶液用配管33は、計量容器7の上部7u側から溶液を流出させて計量容器7に供給するための配管である。洗浄用配管34は、洗浄溶液を溜める収容容器2-20と繋がっていて、前記のとおり圧送により洗浄溶液が洗浄用配管34を流れる。洗浄用配管34は、計量容器7の上部7u側から洗浄溶液を流出させて計量容器7に供給するための配管である。
【0037】
複数の溶液用配管33及び1本の洗浄用配管34は、束となって密閉容器29の上部29uの壁を貫通している。計量容器7の上部7uにある入口領域(開口部)に、複数の溶液用配管33及び1本の洗浄用配管34が、カバー35によって集約された状態となって設けられている。複数の溶液用配管33及び1本の洗浄用配管34、並びに、カバー35は、計量容器7と非接触の状態(縁が切れた状態)で密閉容器29内に設けられている。
【0038】
計量容器7の下部7bには、バルブ36付きの流出管37が接続されている。バルブ36が閉の状態で、溶液または洗浄溶液が計量容器7に導入され、計量容器7に溜められる。バルブ36が開の状態で、流出管37は計量容器7内の溶液または洗浄溶液を流出させる。流出管37は、排出管38と繋がっている。流出管37から流出した溶液は、排出管38及び更にその下流側で繋がる中間配管8(図1参照)を通じて、反応容器9へ流れる。
【0039】
重量センサ26は、計量容器7における重量を測定する。本開示の重量センサ26は、ひずみ式のロードセルにより構成されている。重量センサ26は、密閉容器29内に設けられている支持部材(第一の指示部材)27に設置されている。計量容器7は、重量センサ26付きの支持部材27を介して密閉容器29に支持されている。計量容器7は、重量センサ26付きの支持部材27を介して下から支持された状態で設けられている。このため、計量容器7及びこの計量容器7に溜められる溶液の重量は、重量センサ26が受ける構成となる。重量センサ26によって、計量容器7に溜められる溶液の重量が測定される。重量センサ26は、他の形式によるセンサであってもよく、例えば、電磁式、圧電素子式、静電容量型、磁歪式、ジャイロ式等のロードセルにより構成される。
【0040】
計量機構15は、密閉容器29(外側容器)に加圧ガスを供給するための加圧ガス用配管17と、計量容器7の底壁31と接続され溶液または洗浄溶液を流出させる流出管37とを備える。このため、密閉容器29に供給された加圧ガスが、計量容器7に溜められている液体(溶液または洗浄溶液)に作用して、その液体を流出管37から流出させることができる。つまり、計量後の液体についても圧送することが可能となる。
【0041】
計量機構15は、溶液用配管33、洗浄用配管34及び密閉容器29それぞれと、計量容器7とを非接触の状態として、その計量容器7を支持する支持部材27を備える。更に、計量機構15は、支持部材27を通じて計量容器7における重量を測定する重量センサ26を備える。計量容器7における液体(溶液または洗浄溶液)の計量は、その重量を測定することで行われる。計量容器7における重量は支持部材27にのみ作用し、重量センサ26がその重量を測定する。よって、計量容器7における重量の測定は、密閉容器29及びカバー35などのその他の部品の影響を受けない構成が得られ、測定精度が高まる。
【0042】
〔計量容器7について〕
計量容器7について更に説明する。計量容器7は、底壁31及び筒状の側壁32を有する他に、図3及び図4に示すように、環状部22及び筒部23を有する。図3は、計量機構15の一部を示す断面図である。図4は、計量機構15の一部を示す斜視図である。環状部22は、筒状である側壁32の上端32uから径方向外側に広がるように設けられている。なお、「径方向」とは、筒状である計量容器7の中心から水平方向に沿って外に向かう方向である。底壁31(図2参照)及び筒状の側壁32により構成される容器本体21から溢れる洗浄溶液は、環状部22の上面22aを流れることができる。筒部23は、環状部22の外周側の端部から下に延びて設けられている。筒部23は、溢れた洗浄溶液が、環状部22の下面側に流れるのを防ぎ、後述するドレンパン52に流れるようにガイドする。
【0043】
環状部22の上面22aは、外周側に向かうにつれて低くなる斜面となっていてもよい。これにより、側壁32を越えた洗浄溶液が、逆流せず、ドレンパン52側に向かって流れ易い。また、前記逆流を防止するために、側壁32の上端32uが環状部22の上面22aよりも高くなる段差形状を、計量容器7の上端部が有していてもよい。
【0044】
〔カバー35について〕
カバー35は、計量容器7の開口を覆う蓋部材であるが、計量容器7の側壁32との間に全周にわたって隙間eを有して設けられている。カバー35は、溶液用配管33及び洗浄用配管34を保持する部材としての機能も有する。カバー35は、下カバー部42と、下カバー部42よりも外周輪郭形状の大きい上カバー部41とを有する。下カバー部42と上カバー部41とは一体構造である。
【0045】
下カバー部42は、筒状である側壁32の上部の内周側に、その上部との間に全周にわたって第一の隙間e1を有して設けられている。上カバー部41は、筒状である側壁32の上端32uの上方に、その上端32uとの間に全周にわたって第二の隙間e2を有して設けられている。この隙間eを通じて、洗浄溶液は計量容器7から溢れて流れ出ることができ、また、この隙間eを通じて、密閉容器29の加圧ガスが、計量容器7に溜められている溶液(洗浄溶液)に作用して、溶液(洗浄溶液)を圧送することができる。
【0046】
第二隙間e2が狭くなるように、上カバー部41は側壁32の上端32uに接近して設けられている。具体的に説明すると、第二の隙間e2を通って計量容器7を溢れる洗浄溶液が、上カバー部41の下面41Lに触れる高さ位置に、上カバー部41が設けられている。第二の隙間e2は、第一の隙間e1よりも狭く設定されている。すなわち、第二の隙間e2の開口面積が第一の隙間e1の開口面積より小さいため、第一の隙間e1を通過した洗浄溶液が上カバー部41の下面41Lに接触することができ、環状部22の上面22a及び上カバー41の下面41Lを全周にわたって余すことなく洗浄することができる。
【0047】
カバー35の下面、つまり、下カバー部42の下面42Lは、下面42Lの中央42cから径方向の外側に向かうにしたがって徐々に高くなっている。下カバー部42の下面42Lから、複数の溶液用配管33及び一本の洗浄用配管34が下向きに突出して設けられている。このため、この突出している部分も、洗浄溶液によって洗浄される。
【0048】
〔排液機構50について〕
ここで、前記のとおり、計量容器7の内壁面7a及びカバー35の下面を洗浄するために、洗浄溶液は計量容器7の側壁32の全周から溢れる。そこで、計量機構15は、排液機構50を備える。排液機構50は、洗浄用配管34から計量容器7に供給されその計量容器7から溢れた洗浄溶液を、密閉容器(外側容器)29の外へ送るための機構である。排液機構50は、ドレン流路51及びドレンパン52を有する。ドレンパン52は、計量容器7を溢れた洗浄溶液を受ける。ドレン流路51は、密閉容器29の壁を貫通して設けられている配管である。なお、ドレン流路51と密閉容器29の壁との間はシールされている。ドレンパン52からドレン流路51に洗浄溶液が流れる。
【0049】
ドレンパン52は、計量容器7の上部の周りを囲むように、全体として環状となって設けられている。ドレンパン52は、第二の支持部材56によって密閉容器29に支持されている。ドレンパン52の具体的な構成を説明すると、ドレンパン52は、内周壁53と、外周壁54と、これら内周壁53と外周壁54とを繋ぐ環状の底壁55とを有する。内周壁53は、計量容器7の筒部23よりも径方向内側に設けられている。外周壁54は、筒部23よりも径方向外側に設けられている。内周壁53は、筒部23、環状部22、側壁32と非接触である。つまり、ドレンパン52は、計量容器7と非接触となって設けられている。このため、計量容器7における溶液または洗浄溶液の計量は、ドレンパン52の影響を受けない。
【0050】
底壁55の上面高さは、ドレン流路51の入口51aに向かって低くなっている。計量容器7を溢れドレンパン52の底壁55に落下した洗浄溶液は、ドレン流路51aの入口51aに集められ、ドレン流路51を流れる。
【0051】
図3に示すように、排液機構50は、ドレン流路51の洗浄溶液を検出するセンサ57を有する。センサ57は、ドレン流路51を流れる洗浄溶液を検出することができればよく、様々な形式のセンサを採用可能である。本実施形態では、センサ57は、密閉容器29の外に設けられるが、溶液には可燃性の溶液が含まれていて、計量機構15(合成装置3)は高い防爆性を要するため、電気的な接点を有していない光学式センサが採用される。具体的には、センサ57は、発光素子と受光素子とを有する光センサである。そのために、ドレン流路51は、密閉容器29の外において、壁面の一部が透明である透明配管58を有する。透明配管58を流れる洗浄溶液をセンサ57が検出する。センサ57が洗浄溶液を検出したことは、計量容器7から洗浄溶液が溢れ出たことを意味する。
【0052】
透明配管58の下流側に、排液用バルブ59が設けられている。排液用バルブ59は通常、閉状態にある。このため、ドレン流路51に流入した洗浄溶液は、透明配管58に溜められる。このようにして透明配管58に溜められた洗浄溶液が、センサ57によって検出される。計量容器7の洗浄が完了すると、排液用バルブ59は開状態となり、ドレン流路51の洗浄溶液は排出される。排液用バルブ59の開閉動作は、制御装置16によって行われる。
【0053】
ここで、計量容器7では、計量の対象とする溶液の種類が変更される毎に、洗浄が必要となる。洗浄を開始するためには、洗浄溶液を溜める収容容器2-20(図1参照)を加圧し、その収容容器2-20の洗浄溶液を洗浄用配管34を通じて計量容器7に圧送する。その際、洗浄用配管34と繋がる導出管6のバルブ14が閉状態から開状態となる。このバルブ14の動作は、制御装置16によって行われる。なお、流出管37のバルブ36は閉状態である。
【0054】
制御装置16は、更に、センサ57の検出信号に基づいて、洗浄用配管34から計量容器7への洗浄溶液の供給を停止する制御を行う。つまり、制御装置16は、センサ57が洗浄溶液を検出すると、洗浄用配管34と繋がる導出管6のバルブ14(以下、「洗浄用バルブ14)ともいう。)を、開状態から閉状態とする。
第一の洗浄方法として、センサ57が洗浄溶液を検出すると、洗浄用バルブ14を閉状態とする。計量容器7に洗浄溶液が満液となって溜められた状態で、所定時間(例えば30秒から1分)について放置され、洗浄が行われる。
第二の洗浄方法として、センサ57が洗浄溶液を検出しても、規定時間(例えば30秒から1分)について、洗浄用バルブ14を開状態のままとし、洗浄溶液の供給を継続させると共に、排液用バルブ59を開状態とし、前記規定時間が経過すると、洗浄用バルブ14及び排液用バルブ59を閉状態とする。この場合、計量容器7から洗浄溶液を規定時間以上について越流させた状態で、しばらくの間、洗浄が行われる。
【0055】
〔本実施形態の計量機構15について〕
以上のように、本実施形態の計量機構15は、複数種類の溶液を入れ替えて反応させる合成装置3に用いられる。このため、各溶液の計量が必要となり、溶液の種類を変更すると計量容器7の洗浄が必要となる。そこで、計量機構15は、計量容器7と、計量容器7を収容している外側容器としての密閉容器29と、溶液を計量容器7に供給するための複数の溶液用配管33と、洗浄溶液を計量容器7に供給するための(少なくとも1本の)洗浄用配管34と、排液機構50とを備える。計量容器7は、底壁31及び側壁32を有していて、上部が開口している。計量容器7に溶液及び洗浄溶液が溜められる。排液機構50は、ドレン流路51を有する。
【0056】
ドレン流路51は、洗浄用配管34から計量容器7に供給され計量容器7の内壁面7a全体まで満たした洗浄溶液を、密閉容器29の外へ送るための流路である。つまり、洗浄溶液が計量容器7の内壁面7a全体まで満たされ、その洗浄溶液が計量容器7から溢れた場合に、その溢れた洗浄溶液はドレン流路51を通じて外側容器の外へ送られ、排液として処理される。本実施形態では、計量容器7から洗浄溶液を溢れさせて洗浄が行われる。このため、ドレン流路51は、計量容器7から溢れた洗浄溶液を密閉容器29の外へ送るため流路となる。
【0057】
図3及び図4に示すように、排液機構50は、計量容器7を溢れた洗浄溶液を受けるドレンパン52を有する。ドレンパン52からドレン流路51に洗浄溶液が流れる。この構成により、計量容器7を溢れた洗浄溶液を、密閉容器29が受けるのではなく、ドレンパン52が受ける。
計量容器7は、側壁32の上端32uから径方向外側に広がるように設けられていて溢れる洗浄溶液が上面22aを流れる環状部22と、その環状部22の外周側から下に延びて設けられている筒部23とを有する。この構成により、計量容器7の側壁32を溢れ環状部22の上面22aを流れた洗浄溶液を、密閉容器29が受けるのではなく、ドレンパン52が受ける。また、前記筒部23によれば、溢れた洗浄溶液を確実にドレンパン52が受けることが可能となる。
【0058】
溶液用配管33から計量容器7に溶液を供給する際、その溶液が溶液用配管33の下端の出口から飛び散ることで、計量容器7の上部に溶液が付着する可能性がある。また、溶液の揮発性が高いと、計量容器7の上部に溶液が付着する。このような場合であっても、本実施形態の計量機構15によれば、洗浄用配管34から供給された洗浄溶液は、計量容器7に溜められ、計量容器7の内壁面7a全体まで満たした状態となることで、更には、洗浄溶液は、計量容器7の側壁32を越流して溢れることで、計量容器7が有する側壁32の内面を余すことなく洗浄することが可能となる。計量容器7における洗浄可能範囲を従来よりも拡大させることが可能となる。
【0059】
なお、計量容器7の洗浄のために、洗浄溶液が計量容器7から溢れないようにしてもよい。例えば、計量容器7の上端(側壁32の上端32u)まで洗浄溶液を供給し、その洗浄溶液を計量容器7の内壁面7a全体まで満たした状態として、洗浄が行われてもよい。この場合、排液機構50(ドレン流路51及びドレンパン52)は、計量容器7から仮に溢れた洗浄溶液を受けるために補助的に用いられる。ただし、洗浄を確実に行うためには、洗浄溶液が計量容器7を溢れるのが好ましい。
【0060】
図3に示すように、排液機構50は、ドレン流路51の洗浄溶液を検出するセンサ57を有する。制御装置16は、センサ57の検出信号に基づいて、洗浄用配管34から計量容器7への洗浄溶液の供給を停止する制御を行う。この構成により、計量容器7から洗浄溶液が溢れたことの検出が行われる。つまり、側壁32の内面が余すことなく洗浄されたと判断することができ、次の処理に進むことが可能となる。
【0061】
前記次の処理としては、計量容器7に残る洗浄溶液の排出処理である。その排出処理は、制御装置16の制御によって、流出管37(図2参照)のバルブ36を閉状態から開状態とし、計量容器7の洗浄溶液を、流出管37及び排出管38を通じて、密閉容器29の外へ排出する。なお、図示しないが、例えば、排出管38は、分岐する分岐流路を有していて、洗浄溶液については、反応容器9ではなく、排液タンクに流れるように構成されるのが好ましい。そして、計量容器7から洗浄溶液の排出が終わると、次の溶液が計量容器7に供給され、計量が行われる。また、ドレン流路51に残る洗浄溶液は、排液用バルブ59が開状態となることで、排出される。
【0062】
計量機構15は、計量容器7の側壁32との間に全周にわたって隙間eを有して設けられるカバー35を備える。このカバー35によって異物が計量容器7内に侵入し難くなる。また、計量容器7内の溶液が揮発し、揮発成分が密閉容器29の内面に付着するのを防ぐことができる。また、前記隙間eを通じて洗浄溶液が流れて計量容器7から溢れることとなる。このように溢れる洗浄溶液によって、カバー35の下面、特に、上カバー部41の下面41Lを洗浄することが可能となる。
【0063】
洗浄用配管34から計量容器7に供給する洗浄溶液の液量は、前記隙間eを通じてドレン流路51側(ドレンパン52側)へ流出可能となる洗浄溶液の液量よりも多い。これにより、洗浄溶液は、隙間eの全体において充満状態となってその隙間eを流れる。このような液量の関係が得られるように、前記隙間eの寸法、特に開口側となる隙間e1の寸法が設定されている。
【0064】
カバー35は、下カバー部42と、下カバー部42よりも外周輪郭形状の大きい上カバー部41とを有する。下カバー部42は、側壁32の上部の内周側に、その上部との間に第一の隙間e1を有して設けられている。上カバー部41は、側壁32の上端32uの上方に、その上端32uとの間に第二の隙間e2を有して設けられている。このカバー35によれば、側壁32との間に形成される隙間eは、第一の隙間e1と第二の隙間e2とによって折れ曲がり形状(つまり、ラビリンス形状)を有する。このため、異物が計量容器7内により一層侵入し難くなる。
【0065】
上カバー部41の高さ位置、つまり、カバー35の設置位置は、次のように設定されている。すなわち、計量容器7を溢れる洗浄溶液が第二の隙間e2を通ることで上カバー部41の下面41Lに触れる高さ位置に、上カバー部41が設けられている。この高さ位置にカバー35が設けられることで、計量容器7から溢れる洗浄溶液によって、下カバー部42の下面42Lはもちろん、上カバー部41の側面41R及び下面41Lも洗浄される。更に、入口管20(溶液用配管33)のうち、下面42Lから下に突出して部分についても、洗浄溶液によって洗浄される。
【0066】
計量容器7に洗浄溶液が供給されると、その液面が徐々に高くなり、その液面が下カバー部42の下面42Lに到達し、更に上昇する。そこで、図3に示すように、カバー35の下面、つまり、下カバー部42の下面42Lは、その下面42Lの中央から外側に向かうにしたがって高くなる斜面を有する。この構成によれば、下カバー部42の下面42Lにエア溜まりが生じず、下面42Lの洗い残しが防止される。
【0067】
また、筒状の側壁32の上端32uは、全周にわたって同じ高さにある。この構成により、洗浄溶液は、筒状の側壁32の全周から溢れる。つまり、筒状の側壁32において、洗い残しが部分的に生じることを防ぐことが可能となる。なお、上端32uは、周方向に沿って一部が低くなっていてもよい。この場合、その一部から優先的に洗浄溶液が側壁32を越流する。
【0068】
前記実施形態では、計量容器7の洗浄のために、洗浄溶液が計量容器7から溢れる場合について説明した。計量容器7における洗浄可能範囲を従来よりも拡大させるためには、前にも説明したが、洗浄溶液を溢れさせなくてもよい場合がある。そのための計量機構15は、次の構成を備える。
すなわち、計量機構15は、底壁31及び側壁32を有し上部が開口していて液体(溶液及び洗浄溶液)が溜められる計量容器7と、洗浄溶液を計量容器7に供給するための洗浄用配管34と、洗浄用配管34が保持されると共に計量容器7の上部を覆うカバー35とを備える。カバー35は、計量容器7の内壁面と対向する一部として、その計量容器7内に延びて設けられている下カバー部42を有する。その下カバー部42と側壁32との間に全周にわたって隙間e2が形成されている。
【0069】
この計量機構15によれば、洗浄用配管34から供給された洗浄溶液は、計量容器7に溜められる。洗浄用配管34から計量容器7に供給した洗浄溶液の液面高さが、カバー35(下カバー部42)の下面42L以上となるように洗浄溶液を供給すれば、計量容器7の側壁32を洗浄すると共に、カバー35(下カバー部42)の下面42Lを洗浄することが可能となる。よって、計量容器7における洗浄可能範囲を従来よりも拡大させることが可能となる。
【0070】
この計量機構15に対して、前記実施形態で説明した各構成を適用可能である。例えば、カバー35は、前記下カバー部42の他に、下カバー部42よりも外周輪郭形状の大きい上カバー部41を有する。下カバー部42は、側壁32の上部の内周側に、その上部との間に第一の隙間e1を有して設けられている。上カバー部41は、側壁32の上端32uの上方に、その上端32uとの間に第二の隙間e2を有して設けられている。
【0071】
〔その他〕
前記実施形態では、計量機構15は、核酸を化学合成するための合成装置3に用いられる場合について説明したが、これに限らずタンパク質またはペプチドなどを化学合成するための合成装置3に用いられてもよい。複数種類の溶液を入れ替えて反応させる合成装置3に用いられる計量機構15であればよい。
【0072】
今回開示した各形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の権利範囲は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された構成と均等の範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0073】
3 合成装置
7 計量容器
15 計量機構
16 制御装置(制御部)
17 加圧ガス用配管
22 環状部
22a 上面
23 筒部
26 重量センサ
27 支持部材
29 密閉容器(外側容器)
31 底壁
32 側壁
33 溶液用配管
34 洗浄用配管
35 カバー
37 流出管
41 上カバー部
41L 下面
42 下カバー部
42L 下面
50 排液機構
51 ドレン流路
52 ドレンパン
53 内周壁
54 外周壁
55 底壁
57 センサ
e 隙間
e1 第一の隙間
e2 第二の隙間
図1
図2
図3
図4