(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149642
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】捕虫シート及び捕虫器
(51)【国際特許分類】
A01M 1/14 20060101AFI20220929BHJP
A01M 1/04 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
A01M1/14 S
A01M1/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021051886
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】594063670
【氏名又は名称】株式会社SHIMADA
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100193839
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 周平
(72)【発明者】
【氏名】西堀 美智雄
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA12
2B121BA03
2B121BA08
2B121BA11
2B121DA34
2B121EA01
(57)【要約】
【課題】シンプルな構成で捕獲率を向上させることができる捕虫シート1及び捕虫器2を提供すること。
【解決手段】捕虫シート1は、角筒状に形成される本体部10と、少なくとも本体部10の外側面に形成される粘着部11と、を備える。また、本体部10は、偶数角形の角筒状である。本体部10の少なくとも一部が透光性を有する材料により形成される。また、捕虫器2は、捕虫シート1と、捕虫シート1の本体部10の内側に挿入される支持柱220と、支持柱220が固定され、第1開口部204及び第2開口部205が形成される筐体20と、を備える。また、捕虫器2は、捕虫シート1の本体部10の内側に配置され、蓄光性を持つ蓄光部23を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
角筒状に形成される本体部と、
少なくとも前記本体部の外側面に形成される粘着部と、
を備える捕虫シート。
【請求項2】
前記本体部は、偶数角形の角筒状である請求項1に記載の捕虫シート。
【請求項3】
前記本体部の少なくとも一部が透光性を有する材料により形成される請求項1又は2に記載の捕虫シート。
【請求項4】
請求項1から3の何れかに記載の捕虫シートと、
前記捕虫シートの前記本体部の内側に挿入される支持柱と、
前記支持柱が固定され、開口部が形成される筐体部と、
を備える捕虫器。
【請求項5】
前記捕虫シートの前記本体部の内側に配置され、蓄光性を持つ蓄光部を備える請求項4に記載の捕虫器。
【請求項6】
前記支持柱は、平面部を有する板状部材であり、
前記蓄光部は、前記平面部に固定される請求項5に記載の捕虫器。
【請求項7】
前記捕虫シートの前記本体部の内側に配置され、電力により虫を誘引する誘引光を照射する誘引光照射装置を備える請求項4から6の何れかに記載の捕虫器。
【請求項8】
前記開口部は正面側に形成され、
前記支持柱は、前記捕虫シートの角部のうち、少なくとも1つが前記開口部の正面側に位置する請求項4から7の何れかに記載の捕虫器。
【請求項9】
請求項1から3の何れかに記載の捕虫シートと、
前記捕虫シートの前記本体部の内側に挿入される支持柱と、
前記支持柱に配置され、前記捕虫シートの下部が固定される固定部と、
を備える捕虫器。
【請求項10】
前記固定部は、
横方向の長さが前記支持柱の横幅よりも長く形成されるとともに、上下方向の長さが前記支持柱の横幅よりも短く形成され、前記支持柱に対して回転可能に支持される請求項9に記載の捕虫器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、捕虫シート及び捕虫器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、粘着部によって虫等の捕獲対象を捕獲する捕虫シートが知られる。この種の技術が記載されているものとして特許文献1がある。
【0003】
特許文献1には、基材シートの表面に粘着層が設けられており、粘着層に害虫を付着して捕獲するように構成された害虫捕獲粘着シートについて記載されている。特許文献1の害虫捕獲粘着シートは、基材シートの両側に、粘着剤の付着されない非粘着部が設けられており、この非粘着部に所定の間隔で多数の連結孔が設けられており、連結孔に紐やロッドを挿通して筒状に湾曲して取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されるような従来の捕虫シートは、設置スペースが大きく必要になるわりに、虫を効果的に捕獲できているとは言い難く、捕獲率の向上という点で改善の余地があった。
【0006】
本発明は、シンプルな構成で捕獲率を向上させることができる捕虫シート及び捕虫器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、筒状に形成される本体部と、少なくとも前記本体部の外側面に形成される粘着部と、を備える捕虫シートに関する。
【0008】
前記本体部は、偶数角形の角筒状であることが好ましい。
【0009】
前記本体部の少なくとも一部が透光性を有する材料により形成されることが好ましい。
【0010】
また、本発明は、前記捕虫シートと、前記捕虫シートの前記本体部の内側に挿入される支持柱と、前記支持柱が固定され、開口部が形成される筐体部と、を備える捕虫器に関する。
【0011】
前記捕虫器は、前記捕虫シートの前記本体部の内側に配置され、蓄光性を持つ蓄光部を備えることが好ましい。
【0012】
前記支持柱は、平面部を有する板状部材であり、前記蓄光部は、前記平面部に固定されることが好ましい。
【0013】
前記捕虫器は、前記捕虫シートの前記本体部の内側に配置され、電力により虫を誘引する誘引光を照射する誘引光照射装置を備えることが好ましい。
【0014】
前記開口部は正面側に形成され、前記支持柱は、前記捕虫シートの角部のうち、少なくとも1つが前記開口部の正面側に位置することが好ましい。
【0015】
また、本発明は、前記捕虫シートと、前記捕虫シートの前記本体部の内側に挿入される支持柱と、前記支持柱に配置され、前記捕虫シートの下部が固定される固定部と、を備える捕虫器に関する。
【0016】
前記固定部は、横方向の長さが前記支持柱の横幅よりも長く形成されるとともに、上下方向の長さが前記支持柱の横幅よりも短く形成され、前記支持柱に対して回転可能に支持されることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の捕虫シート及び捕虫器によれば、シンプルな構成で捕獲率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係る捕虫シートを備える捕虫器の斜視図である。
【
図5】本実施形態の捕虫器を斜め下から見た斜視図である。
【
図6】本実施形態の捕虫器の連結状態を示す斜視図である。
【
図10】第4変形例の捕虫器の底部を示す正面図である。
【
図11】畳まれた捕虫シートの束から捕虫シートを取り出す様子を示した説明図である。
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、正面、背面、左右は、捕虫器の置き方に基づくものである。置き方によっては正面、背面、左右の関係が変わっても良い。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係る捕虫シート1を備える捕虫器2の斜視図である。
図1では、正面側を右斜め上から見た捕虫器2が示されている。
図2は、本実施形態の捕虫器2の正面図である。
図3は、本実施形態の捕虫器2の分解斜視図である。
図4は、本実施形態の捕虫器2の分解平面図である。
図5は、本実施形態の捕虫器2の背面側を斜め下から見た斜視図である。
図6は、本実施形態の捕虫器2の連結状態を示す斜視図である。
【0021】
図1~6に示すように、捕虫器2は、その内部に捕虫用の粘着シートである捕虫シート1をセット可能である。捕虫器2には、正面側に第1開口部204が形成されるとともに背面側に第2開口部205が形成されており、第1開口部204及び第2開口部205が虫が入り込む誘引口として機能する。第1開口部204や第2開口部205から捕虫器2の内部に入り込んだ虫は、捕虫シート1の粘着力によって捕捉される。
【0022】
<捕虫シート>
まず、本実施形態に係る捕虫シート1について、
図1~6を用いて説明する。捕虫シート1は、透明な樹脂で形成され、角筒状に折られた本体部10と、本体部10の角筒の外側の面に形成された粘着部11と、を備える。
【0023】
捕虫シート1は、本体部10の外側の面に形成された粘着部11によって虫を捕捉する。また、捕虫シート1は、1枚の粘着シートを折れ線が平行となるように5か所折り曲げ、できた5か所の折れ線のうち両端側の折れ線を重ねるようにしてシートの両端側を合わせつつ接着することで、断面形状が略正方形の4角筒状に形成される。これにより、捕虫シートの折り曲げ部であるエッジ100aが形成される。エッジ100aは、虫を引き寄せる効果があり、効率的に虫を捕捉できる。
【0024】
また、筒状に構成されるので捕虫シート1の内側には空間が形成されることになる。この空間内に構造物を挿入することができる。なお、本実施形態に係る捕虫シート1の断面形状は、略正方形に限らず、略平行四辺形でも良い。また、捕虫シート1の形状は、4角筒状に限られない。捕虫シート1は、例えば、6角筒状、8角筒状等の他の偶数角形でも良いし、奇数角形でも良い。
【0025】
また、捕虫シート1は、
図3に示すように、本体部10の外側面に虫を引き寄せる効果のある黒線部100bが略等間隔に形成されており、効率的に捕虫できる構成となっている。なお、黒線部100bが形成される間隔は略等間隔に限らない。
【0026】
粘着部11は、本体部10における上端と下端を除く外側の面に粘着剤を塗布することで形成される。また、捕虫シート1は、消耗品であり、所定の使用を行う毎に交換する。使用前の捕虫シート1の粘着部11は、ほこり等の異物の付着やユーザの身体に付着することを防ぐため、剥離紙に覆われている。粘着部11は、使用前にユーザによって剥離紙が取り除かれることで、虫を捕捉できる状態となる。
【0027】
<捕虫器>
次に、捕虫器2の全体構成について説明する。本実施形態の捕虫器2は、筐体20と、捕虫シート1を保持するホルダー部22と、捕虫シート1の側方部を支持する側方支持プレート21と、光を蓄えて蓄えた光を発する蓄光部23と、を備える。
【0028】
筐体20は、非透光性の材料によって構成される。ホルダー部22、ホルダー部22に保持される捕虫シート1及び側方支持プレート21は、筐体20の内側に収容される。本実施形態では、筐体20は、穴あけ加工等を施した板状の金属部材を折り曲げ加工することにより、箱状に形成される。筐体20には、ねじ穴201と、ねじ穴202と、係止穴203と、第1開口部204と、第2開口部205と、が形成されている。
【0029】
ねじ穴201は、
図6に示すように、後述する連結プレート240を固定するためのねじ241を締め付けることができる。これにより、本実施形態に係る捕虫器2は、複数の捕虫器2を連結させてまとめることができ、広い現場で捕虫器2を使用する際に、取り扱いが容易になる。
【0030】
ねじ穴202は、
図1~4に示すように、後述するフック保持部200cを固定するためのねじ200bを締め付けることができる。ここで、フック保持部200cは、フック200aを回動可能に支持する部品であり、フック200aと、フック保持部200cと、ねじ200bと、により係止部200を構成する。係止部200は、フック200aに紐等をかけることで捕虫器2を係止することができる。また、ねじ穴202は、後述する支持ピン200Bbのねじ部200Bcを締め付けることができる。支持ピン200Bbについては、後述する。
【0031】
係止穴203は、フックやねじの頭等に掛けることで捕虫器2を係止させるための穴である。第1開口部204は、後述するホルダー部22を筐体20の内部への出し入れを行うための開口部である。また、第1開口部204は、外部に捕虫シート1を晒すことで虫を外部から内部に引き入れるための開口部である。第2開口部205は、外部に捕虫シート1を晒すことで虫を外部から内部に引き入れるための開口部である。また、
図5に示されるように、第2開口部205には係止形状205aが形成されている。係止形状205aは、係止穴203と同様に、フックやねじの頭等に掛けることで捕虫器2を係止させるための形状である。
【0032】
次に、ホルダー部22について説明する。ホルダー部22は、捕虫シート1を保持する。本実施形態のホルダー部22は、筐体20の内部から外部に引き出すことが可能に構成される。捕虫器2は、
図3に示すように、外部に出した状態のホルダー部22に捕虫シート1を被せて保持させた状態で、ホルダー部22を捕虫器2の内部に入れることで、捕虫シート1がセットされる。
【0033】
ホルダー部22の構成について説明する。ホルダー部22は、捕虫シート1を被せて支持可能な支持柱220と、支持柱220の一端部が固定されたベース部221とを有する。支持柱220は、板状部材220aと、上部板状部材220bと、下部板状部材220cとで構成される。
【0034】
板状部材220aは、長方形の板形状の金属部材である。また、板状部材220aは、長手方向の両端部且つ短手方向の中央部において、両端部の向かい合う方向に切り欠き加工が施されている。更に、板状部材220aは、長手方向の一方端側に折り曲げ加工が施されている。
【0035】
なお、板状部材220aの長手方向に関する折り曲げ位置は、板状部材220aに切り欠き加工が施されている位置である。即ち、板状部材220aにおいて、切り欠き加工による切り口は、折り曲げにより形成される角部を挟んだ両側に形成される。以下、板状部材220aの折り曲げた板の外側の面のうち、一方端側の面を接地面220a3、他端側の面を平面220a2、平面220a2に対して反対側にある面を平面220a1として説明する。
【0036】
上部板状部材220bは、長方形の板形状の金属部材である。また、上部板状部材220bは、短手方向の一端部且つ長手方向の中央部において、短手方向に切り欠き加工が施されている。
【0037】
ここで、板状部材220aの長手方向に関する他端部の切り口の幅は、上部板状部材220bの板厚よりも大きく、上部板状部材220bの切り口の幅は、板状部材220aの板厚よりも大きい。これにより、上部板状部材220bは、
図3に示すように、短手方向の一端部を板状部材220aの他端部の切り口に差し込みつつ、板状部材220aの切り口の終端から先の部位を上部板状部材220bの切り口で挟み込むことができる。本実施形態に係る捕虫器2では、上部板状部材220bは、上部板状部材220bの切り口の終端と板状部材220aの切り口の終端とが略接するように、板状部材220aに差し込ませた状態で溶接固定する。
【0038】
なお、本実施形態では、上部板状部材220bの短手方向における上部板状部材220bの切り口の終端と他端との距離と、板状部材220aの長手方向における板状部材220aの他端側の切り口の終端と他端との距離とは、略同一の設定としている。しかし、これに限らない。
【0039】
また、下部板状部材220cは、長方形の板形状の金属部材である。また、下部板状部材220cは、短手方向の一端部且つ長手方向の中央部において、短手方向に切り欠き加工が施されている。
【0040】
ここで、板状部材220aの長手方向に関する一端部の切り口の幅は、下部板状部材220cの板厚よりも大きく、下部板状部材220cの切り口の幅は、板状部材220aの板厚よりも大きい。これにより、下部板状部材220cは、
図3に示すように、短手方向の一端部を板状部材220aの一端部の切り口に差し込みつつ、板状部材220aの切り口の終端から先の部位を下部板状部材220cの切り口で挟み込むことができる。本実施形態に係る捕虫器2では、下部板状部材220cは、下部板状部材220cの切り口の終端と板状部材220aの切り口の終端とが略接するように、板状部材220aに差し込ませる。なお、本実施形態では、溶接固定をしないが溶接固定しても良い。
【0041】
なお、本実施形態では、下部板状部材220cの短手方向における下部板状部材220cの切り口の終端と他端との距離は、板状部材220aの長手方向における板状部材220aの他端側の切り口の終端と接地面220a3との距離と同等以下の設定としている。これにより、接地面220a3に対して下部板状部材220cの他端が突出しないようにしている。しかし、これに限らない。
【0042】
以上から、板状部材220aは、上部板状部材220bと下部板状部材220cとが差し込まれることで、支持柱220を構成する。構成された支持柱220は、接地面220a3を後述するベース部221の受け面221aに設置させた状態で、溶接で固定する。
【0043】
また、本実施形態では、これらの板状部材は同じ非透光性の材料によって構成され、同じ板厚の部材である。また、本実施形態では、板状部材220a、上部板状部材220b、下部板状部材220cの切り欠き部の切り口の幅は、それらの板状部材の板厚よりも大きい設定である。しかし、これに限らない。
【0044】
また、板状部材220aの長手方向から見た場合の板状部材220aの幅は、平面視における捕虫シート1の角筒の対角線の長さと同等以下の長さに設定される。また、上部板状部材220bと下部板状部材220cとをそれぞれ短手方向から見た場合のそれぞれの幅は、捕虫シート1の対角線の長さと同等以下の長さに設定される。これにより、支持柱220は、捕虫シート1を被せた時に板状部材220a、上部板状部材220b、下部板状部材220cが捕虫シート1の角筒の対角線上に位置し、捕虫シート1の形状を角筒状に維持できる。
【0045】
次に、ベース部221を説明する。ベース部221は、板状の金属部材を折り曲げ加工することにより形成される。ベース部221は、ユーザにより把持可能な把持部221bと、支持柱220を固定する面である受け面221aと、を有する。
【0046】
この受け面221aには、支持柱220の平面220a1又は平面220a2の向きが、第1開口部204又は第2開口部205が開口する方向と略同等となるように、支持柱220が固定される。即ち、支持柱220に捕虫シート1をセットした時、上部板状部材220bの側面220b1、及び捕虫シート1のエッジ100aは、支持柱220の出し入れ方向から見た場合、第1開口部204又は第2開口部205の幅方向略中央の位置にある。また、ベース部221は把持部221bを正面から見た場合の幅の長さが、第1開口部204の両端の内壁の距離よりも小さい。従って、ベース部221は、筐体20内に入れることができ、筐体20の底面部を摺動させて出し入れ可能である。
【0047】
図2に示すように、捕虫器2にセットされた状態の捕虫シート1は、その角部としてのエッジ100aの1つがセンターラインCに一致する状態となる。センターラインCは、捕虫器2を正面から見た場合の捕虫器2の中央部を示す線である。
【0048】
以上により、ユーザは、
図3に示すように、捕虫シート1を支持柱220にセットした状態で把持部221bを把持しつつホルダー部22を摺動させることで、支持柱220にセットされた捕虫シート1を筐体20に対して出し入れできる。
【0049】
次に、側方支持プレート21について、説明する。側方支持プレート21は、切り欠き加工等を施した板状の金属部材を折り曲げ加工することにより形成される。側方支持プレート21は、折れ線を挟んで側方支持部211と固定部210とで構成される。
【0050】
固定部210は、曲げ加工した側方支持プレート21の外側の面のうち、一方側の面であり、筐体20の有する被固定面206に固定するための面である固定面210aを有する。側方支持プレート21は、固定面210aを被固定面206に合わせた状態で、溶接等で固定することで、筐体20に固定される。
【0051】
側方支持プレート21は、側方支持部211において一方の面の面直方向から見て、曲げ加工の折れ線とは反対側の端に、折れ線とは反対側の端を底面とした略直角2等辺三角形状に切り欠かれている。この切り口の側壁は、ホルダー部22を筐体20に入れたとき、支持柱220と支持柱220にセットされた捕虫シート1とを側方から支持可能な側方支持壁である。本実施形態では、側方支持プレート21は、捕虫シート1を側方から支持するために、捕虫シート1の断面形状に合わせて略直角三角形状に切り欠いているが、捕虫シート1の断面形状が略正方形以外の場合は、その形状に合わせて切り欠き形状を変える。
【0052】
以上の構成により、筐体20に固定された側方支持プレート21は、捕虫シート1をセットしたホルダー部22を捕虫器2の内部に入れたときに、支持柱220と支持柱220にセットされた捕虫シート1とを側方から支持する。
【0053】
次に、蓄光部23について、説明する。本実施形態に係る蓄光部23は、光を当てることで光を内部に蓄積し、蓄積した光を発光することが可能な蓄光シートである。なお、蓄光部23は、蓄光シート以外でも良い。例えば、蓄光部23は、蓄光塗料を塗布した鉄板でも良い。本実施形態では、蓄光部23は、板状部材220aの平面220a1又は平面220a2又はその両方の面に貼り付けられている。
【0054】
蓄光部23は、捕虫シート1をセットしたホルダー部22を捕虫器2の内部に入れた状態で第1開口部204又は第2開口部205から透明な捕虫シート1を介して、外部に蓄積した光を発光できる。
【0055】
なお、本実施形態に係る捕虫器2は、
図1~6では、係止部200が上になるように描かれているが、置き方は、図に従った置き方だけでなく、例えば第2開口部205を下にして捕虫器2を置くことができる。この場合、捕虫器2は、安定性が増して、乗り物の中等の揺れの多い場所でも倒れにくくなる。
【0056】
次に、連結部24について、説明する。連結部24は、
図6に示すように、1つの連結プレート240と4つのねじ241とを備え、2つの捕虫器2を連結するための構成である。具体的には、連結部24は、一方の捕虫器2の底部のねじ穴201と他方の捕虫器2の天板部のねじ穴201とに共通の連結プレートをねじ241で締め付けることで、2つの捕虫器2を連結する構成である。捕虫器2は、複数の連結部24を用いることで、複数個の捕虫器2と連結可能である。
【0057】
上記実施形態によれば、以下のような効果を奏する。即ち、本実施形態の捕虫シート1は、角筒状に形成される本体部10と、少なくとも本体部10の外側面に形成される粘着部11と、を備える。本体部10が角筒状であることから、本体部10に虫を引き寄せる効果があるエッジ100aが形成される。これにより、本発明は、シンプルな構成で捕獲率を向上させることができる捕虫シート1及び捕虫器2を提供できる。
【0058】
また、本実施形態に係る捕虫シート1の本体部10は、偶数角形の角筒状である。これにより、捕虫シート1を折り畳むことが可能となり、保管性、搬送性が向上できる。
【0059】
また、本実施形態に係る捕虫シート1は、本体部10の少なくとも一部が透光性を有する材料により形成される。これにより、捕虫シート1の内側部分に光源を入れて虫を誘引することができる。
【0060】
また、本実施形態に係る捕虫器2は、捕虫シート1と、捕虫シート1の本体部10の内側に挿入される支持柱220と、支持柱220が固定され、第1開口部204又は第2開口部205が形成される筐体20と、を備える。これにより、捕虫シート1を支持柱220にセットすることで、捕虫器内に捕虫シート1をセットでき、捕虫器2を置くことで捕虫シート1を使用する場所にセットすることができる。また、捕虫器2は、筐体20に形成された第1開口部204又は第2開口部205を介して、内側にセットされた捕虫シート1に虫がアクセスできる。
【0061】
また、本実施形態に係る捕虫器2は、捕虫シート1の本体部10の内側に配置され、蓄光性を持つ蓄光部23を備える。これにより、本実施形態に係る蓄光部23は、捕虫シート1をセットしたホルダー部22を捕虫器2の内部に入れた時に、第1開口部204又は第2開口部205から透明な捕虫シート1を介して、外部に蓄積した光を発光でき、虫を誘引することができ、虫の捕獲率をより向上できる。
【0062】
また、本実施形態に係る捕虫器2の支持柱220は、平面220a1又は平面220a2を有する板状部材220aであり、蓄光部23は、平面220a1又は平面220a2に固定される。これにより、本実施形態に係る捕虫器2は、蓄光部23を設置する場所として支持柱220と捕虫シート1との間の空間を活用することができ、装置を小型化や軽量化できる。
【0063】
また、本実施形態に係る捕虫器2は、第1開口部204は正面側に形成され、支持柱220は、捕虫シート1のエッジ100aのうち、少なくとも1つが第1開口部204の正面側に位置する。これにより、本実施形態に係る捕虫器2は、第1開口部204の中央に捕虫シート1のエッジ100aを位置させることができ、エッジ100aには虫が付きやすいことから、捕虫効果を高めることができる。
【0064】
次に、上記実施形態の変形例について説明する。なお、以下の説明において上記実施形態と共通又は同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する場合がある。以下に例示するような変形例とすることができる。また、以下に例示するような変形例を組み合わせることもできる。
【0065】
<第1の変形例>
上述した実施形態に係る捕虫器2は、捕虫器2を紐やフック等で係止するための係止部200を備えている。係止部200は、上述のように、2つのねじ200bを用いてフック200aを固定するフック保持部200cを締め付けることで、筐体20に固定される。
【0066】
第1の変形例に係る捕虫器2の係止部200について、
図7を用いて説明する。
図7は、第1の変形例に係る捕虫シート1を備える捕虫器2の斜視図である。
図7では、正面側を右斜め上から見た捕虫器2が示されている。本実施形態に係る係止部200は、2つのねじ200bを用いることで、捕虫器2を複数台連結することで大きくなった重量を支えることができる。本変形例に係る捕虫器2は、捕虫器2の連結台数が少ない、もしくは連結しない場合等で、支える重量が少ない場合に、作業性を改善できる係止部200Bを備える。
【0067】
係止部200Bは、
図7に示すように、リング200Baと、リング200Baを回動且つ摺動可能に支持する支持ピン200Bbとを備える。支持ピン200Bbは、一端側に穴が開口しており、その穴によりリング200Baが回動且つ摺動可能に保持されている。また、支持ピン200Bbの他端側は、ねじが切られたねじ部200Bcである。これにより、支持ピン200Bbは、ねじ部200Bcを筐体20の天板部に開けられたねじ穴202に締め込むことで、筐体20の天板部に固定可能である。
【0068】
このように、本変形例に係る捕虫器2の係止部200Bは、支持ピン200Bbにフックであるリング200Baと、筐体20に固定するためのねじ部200Bcとを有している。これにより、係止部200Bのねじ部200Bcを筐体20のねじ穴202に締めこむことで、筐体20の天板部にフックを設けることができ、フックを設ける作業性を向上できる。
【0069】
<第2の変形例>
第2の変形例に係る捕虫器2について、
図8を用いて説明する。
図8は、第2の変形例の捕虫器2を正面から見た正面図である。上述した実施形態に係る捕虫器2は、蓄光部23を備え、蓄光部23から発光された光によって虫を引き寄せ捕虫している。しかし、虫を引き寄せるための発光手段はこれに限らない。例えば、第2の変形例に係る捕虫器2は、
図8に示すように、蓄光部23の代わりに、捕虫シート1の本体部10の内側に配置され、電力により虫を誘引する誘引光を発光する誘引光照射装置23Bを備えさせても良い。この場合、誘引光照射装置23Bは、電力により虫を誘引する誘引光を発光する不図示の誘引光発光部と、誘引光発光部により照射された光を自身全体で発する導光シート230Bとを備える。
【0070】
誘引光照射装置23Bは、例えば、2つのLED素子を有し、2つのLED素子から虫を誘引する光を出射する。一方のLED素子は波長405nmの波長を多く含む紫外光を虫の誘引光として照射し、他方のLED素子は波長365nmの波長を多く含む紫外光を虫の誘引光として照射する。このように、本実施形態では、複数の波長帯を組み合わせて虫の誘引光を照射できる構成となっている。なお、複数のLED素子を一種類の波長帯のみで構成することも可能である。LED素子は、光学フィルタ等を用いてもよく、LED素子が発する光によって虫が誘引される構成であればよい。
【0071】
即ち、捕虫器2は、捕虫シート1の本体部10の内側に配置され、電力により虫を誘引する誘引光を照射する誘引光照射装置23Bを備える。これにより、第2の変形例に係る捕虫器2は、誘引光照射装置23Bに電力を供給することで、蓄光せずに虫を誘引する誘引光を発光できる。従って、捕虫器2は、日が当たりにくい場所等で長期間使用する場合に、捕虫効率を落とさずに使用可能である。
【0072】
<第3の変形例>
【0073】
上記実施形態、第1変形例及び第2変形例とは異なる構成の第3の変形例に係る捕虫器2Bについて
図9を用いて説明する。
図9は、第3変形例の捕虫器2Bの正面を斜め上から見た斜視図である。捕虫器2Bは、
図9に示すように、ホルダー部22Baとストッパー部22Bbと、を備える。ホルダー部22Baの短手方向の幅は、捕虫シート1の角筒の対角線の長さと同等以下である。これにより、ホルダー部22Baは、捕虫シート1の内部にホルダー部22Baを通すことで、捕虫シート1をセットすることができる。
【0074】
また、ホルダー部22Baは、一端部がストッパー部22Bbと接続されている。ストッパー部22Bbは、ホルダー部22Baの短手方向に関してホルダー部22Baの両端で外側に延設された突起部を有する。ストッパー部22Bbは、ホルダー部22Baの短手方向に関して、捕虫シート1の角筒の対角線の長さよりも両端側の突起部を含めた幅が長い設定となっている。また、ストッパー部22Bbには、ホルダー部22Baの短手方向に関して、突出部の先端とホルダー部22Baとの間に切り欠き部220Bbが形成されている。
【0075】
これにより、ホルダー部22Baに通した捕虫シート1がストッパー部22Bbの切り欠き部220Bbの切り口の端部と接触することで、捕虫シート1がストッパー部22Bb側から抜けることを抑制する。また、捕虫シート1に関してホルダー部22Baと略平行の対角線の長さが大きくなるように捕虫シート1を変形させようとした場合に、ホルダー部22Baの短手方向に関する切り欠き部220Bbの外側の側面に捕虫シート1が接触し、捕虫シート1がストッパー部22Bbよりも平面的に広がることを抑制される。即ち、ストッパー部22Bbは、捕虫シート1が平面的に広がってストッパー部22Bb側から抜けることを抑制できる。また、ホルダー部22Baは、他端部に紐25を通す穴220Baが開口している。また、穴220Baに紐25が通される。これにより、本変形例に係る捕虫器2Bは、紐25を保持することで、係止することができる。
【0076】
以上の構成により、捕虫器2Bは、捕虫シート1と、捕虫シート1の本体部10の内側に挿入される支持柱としてのホルダー部22Baと、ホルダー部22Baに配置され、捕虫シート1の下部が固定されるストッパー部22Bbとを備える。これにより、ユーザは、捕虫シート1の内部に捕虫器2Bをホルダー部22Baの他端部側から、ストッパー部22Bbに突き当てるように通して、ホルダー部22Baの一端部側の穴220Baに通された紐25を係止することで、本変形例に係る捕虫器2Bを保持できる。
【0077】
<第4の変形例>
第3の変形例に係る捕虫器2Bは、ストッパーとしてのストッパー部22Bbは捕虫器2Bに固定されていたが、これに限らない。例えば、第4の変形例に係る捕虫器2Cでは、ストッパー部22Cbは、ホルダー部22Baに回転可能に支持されている。
【0078】
第4の変形例に係る捕虫器2Cについて、
図10を用いて説明する。
図10は、第4変形例の捕虫器2Cの底部であるストッパー部22Cbを正面から見た図である。具体的には、ホルダー部22Baの他端部側には、ピン220Caが設けられている。ピン220Caは、ストッパー部22Cbを回転可能に支持している。また、ストッパー部22Cbは、ホルダー部22Baの長手方向に関して直交するストッパー位置と、ホルダー部22Baの長手方向に関して平行な退避位置とを回転して移動可能である。ストッパー部22Cbがストッパー位置にある場合に、ホルダー部22Baの短手方向に関するストッパー部22Cbの長さは、セットされた捕虫シート1の対角線の長さよりも長い。また、ストッパー部22Cbが退避位置にある場合に、ホルダー部22Baの短手方向に関するストッパー部22Cbの長さは、セットされた捕虫シート1の対角線の長さよりも短い。
【0079】
言い換えると、ストッパー部22Cbは、ストッパー部22Cbの長手方向の長さが支持柱としてのホルダー部22Baの横幅よりも長く形成されるとともに、ストッパー部22Cbの短手方向の長さがホルダー部22Baの横幅よりも短く形成され、ホルダー部22Baに対して回転可能に支持される。これにより、ユーザは、ストッパー部22Cbを回転させて退避位置に移動させることで、一端部からも捕虫シート1を通し、再びストッパー部22Cbを回転させてストッパー位置に移動させることで、捕虫器2Cに捕虫シート1をセットできる。
【0080】
更に、ストッパー部22Cbの長手方向に関する両端側、且つストッパー部22Cbの短手方向に関する一方側に切り欠き220Cbが形成されている。捕虫器2Cに捕虫シート1がセットされると、捕虫シート1は、この切り欠き220Cbの切り口の端部に接触する。この時、捕虫シート1に関してホルダー部22Baと略平行の対角線の長さが大きくなるように捕虫シート1を変形させようとした場合、ホルダー部22Baの短手方向に関する切り欠き220Cbの外側の側面に捕虫シート1が接触し、捕虫シート1がストッパー部22Cbよりも平面的に広がることが抑制される。即ち、ストッパー部22Cbは、捕虫シート1が平面的に広がってストッパー部22Cb側から抜けることを抑制できる。
【0081】
<捕虫シートの使用方法>
次に、捕虫シート1の使用方法について
図11を参照して説明する。
図11は、畳んだ状態の捕虫シート1を複数束ねた束から、1枚の捕虫シート1を取り出している様子を示す図である。
図11には、剥離紙が剥離する前の畳まれた状態の捕虫シート1が束ねられている状態が示されている。
【0082】
捕虫シート1は、畳まれた状態では、捕虫シート1の内側同士が密着して内側の空間がない状態になる。更に、捕虫シート1は、畳まれると凹凸なく平らになるため、
図11に示すように複数の捕虫シート1と共に束ねることができ、コンパクトに保管することが可能である。
【0083】
捕虫シート1を使用する場合は、まず、ユーザは、束ねられた捕虫シート1のうち
図11における一番下側の捕虫シート1について、正面に示される端部のうち下側端の中央部を下方に引っ張る。このようにすることで、ユーザは、
図11に示すように、捕虫シート1の端部が開いた状態で捕虫シート1を束から剥がすことができる。次に、ユーザは、
図11に対して、左右側のエッジ100a部を互いに近づく方向に押す。このようにすることで、ユーザは、捕虫シート1を角筒状にすることができる。次に、ユーザは、捕虫シート1を上記の実施形態や変形例に示す捕虫器にセットする。例えば、一実施形態の捕虫器2を使用する場合は、ユーザは、筐体20内のホルダー部22の把持部221bを引っ張ることで、ホルダー部22を筐体20から引き出す。
【0084】
次に、ユーザは、角筒状に準備された捕虫シート1を引き出されたホルダー部22の支持柱220に被せる。次に、ユーザは、捕虫シート1の粘着部11を覆っている剥離紙が取り外す。これにより、捕虫シート1は、粘着部11により虫を捕捉可能となる。捕虫シート1がホルダー部22の支持柱220に被せられた状態で、ユーザは、ホルダー部22の把持部221bを押すことで、ホルダー部22が筐体20内に収容される。このようにして、ユーザは、捕虫シート1を捕虫器2にセットすることができ、地面に安定して置いたり、フックで吊るしたり、複数の捕虫器2と連結して使用したりすることができる。
【0085】
このように、本実施形態に係る捕虫シート1は、畳むことができ、コンパクトに複数枚重ねることができるため、携行性、保管性及び搬送性に優れる。
【0086】
以上、本発明の実施形態及び変形例について説明したが、本発明は、上記実施形態や変形例に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0087】
例えば、本実施形態では、捕虫シート1の本体部10は、透明な樹脂シートで形成されていたがこの構成に限定されない。捕虫シート1の透明な部分が一部であってもよい。更に、捕虫シート1は、透明でなくても良いし樹脂製でなくても良い。例えば、捕虫シート1は紙のシートであっても良い。また、捕虫シート1の本体部10は、黄色や青色や蛍光色が塗布された紙や樹脂製のシートであっても良い。捕虫したい虫の種類に応じた色を塗布しておくことで、より効果的に虫を捕獲できる。
【0088】
また、捕虫シート1は、すりガラスのような処理がされていても良い。この場合、光を乱反射させるため、少ない光源でも全体的に光を発光させることができ、光源を減らすことができる。
【0089】
本実施形態では、捕虫器2の筐体20やホルダー部22等が金属部材であったが、これに限らない。例えば、樹脂部材でも良い。
【符号の説明】
【0090】
1 捕虫シート
10 本体部
11 粘着部
20 筐体(筐体部)
22Ba ホルダー部(支持柱)
22Bb ストッパー部(固定部)
22Cb ストッパー部(固定部)
23 蓄光部
23B 誘引光照射装置
100a エッジ(角部)
204 第1開口部(開口部)
205 第2開口部(開口部)
220 支持柱
220a 板状部材
220a1 平面(平面部)
220a2 平面(平面部)