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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149672
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20220929BHJP
   G07C 5/00 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G07C5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021051932
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 勝
【テーマコード(参考)】
3E138
5H181
【Fターム(参考)】
3E138AA07
3E138MA02
3E138MB08
3E138MC14
3E138MD05
3E138ME04
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB11
5H181BB15
5H181CC04
5H181MC04
5H181MC19
5H181MC27
(57)【要約】
【課題】危険運転のきっかけとなった事象を記録することができる情報処理装置を提供する。
【解決手段】情報処理装置100は、第一の車両以外の危険運転の前歴がある第二の車両を特定する情報である車両特定情報を取得する危険運転情報取得部102と、前記第一の車両の周辺を撮影する撮像装置からの撮影データを取得する撮影データ取得部101と、前記車両特定情報を用いて、前記第二の車両を前記撮影データから検出する前歴車両検出部106と、前記第二の車両の検出時点からの前記撮影データをイベント記録データとして保存する記録制御部107とを有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の車両以外の危険運転の前歴がある第二の車両を特定する情報である車両特定情報を取得する危険運転情報取得部と、
前記第一の車両の周辺を撮影する撮像装置からの撮影データを取得する撮影データ取得部と、
前記車両特定情報を用いて、前記第二の車両を前記撮影データから検出する前歴車両検出部と、
前記第二の車両の検出時点からの前記撮影データをイベント記録データとして保存する記録制御部と
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記危険運転情報取得部は、さらに、前記車両特定情報で特定される前記第二の車両により行われた危険運転についての評価情報を取得し、
前記記録制御部は、前記評価情報に応じて、前記イベント記録データの画質を変更する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第二の車両が前記撮影データから検出された場合に、運転者に通知を行う通知部をさらに有する
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記撮影データ取得部は、異なる方向を撮影する複数の前記撮像装置からの撮影データを取得し、
前記情報処理装置は、複数の前記撮像装置のうちの第一の撮像装置からの前記第二の車両が検出された前記撮影データに基づいて、複数の前記撮像装置のうちの第二の撮像装置の撮影範囲に前記第二の車両が入ることを予測する予測部をさらに有し、
前記記録制御部は、前記第二の撮像装置からの前記撮影データの前記イベント記録データとしての保存において、前記第二の撮像装置の撮影範囲に前記第二の車両が入ると予測される時点からの前記撮影データを前記イベント記録データとして保存する
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記撮影データ取得部は、異なる方向を撮影する複数の前記撮像装置からの撮影データを取得し、
前記記録制御部は、複数の前記撮像装置の同時刻に撮影された撮影データについて、前記第二の車両が映されているかに応じて設定された画質で、それぞれ前記イベント記録データとして保存する
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
危険運転についての情報の取得に関し、さまざまな技術が提案されている。例えば、特許文献1に開示された装置は、危険な運転を行う車両に関する情報を収集するための情報処理装置について開示している。この情報処理装置は、車両が備える撮像部により撮像された車両の周辺の映像に基づき、映像に含まれる他の車両を特定する車両特定情報を取得し、他の車両の走行状態に基づき、他の車両の運転危険度を評価する制御部と、他の車両の車両特定情報および運転危険度を含む危険車両情報を、車両の外部のデータベースに送信する通信部と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-126355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、危険運転を検知し、それをトリガーに危険運転を行った車両の映像を記録するドライブレコーダが実用化されている。しかしながら、危険運転がどのような経緯で発生したかを解明するためには、危険運転の発生時の映像のみならず、危険運転が発生する前の映像も記録することが必要である。
【0005】
そこで、本発明の目的は、危険運転のきっかけとなった事象を記録することができる情報処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様にかかる情報処理装置は、
第一の車両以外の危険運転の前歴がある第二の車両を特定する情報である車両特定情報を取得する危険運転情報取得部と、
前記第一の車両の周辺を撮影する撮像装置からの撮影データを取得する撮影データ取得部と、
前記車両特定情報を用いて、前記第二の車両を前記撮影データから検出する前歴車両検出部と、
前記第二の車両の検出時点からの前記撮影データをイベント記録データとして保存する記録制御部と
を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、危険運転のきっかけとなった事象を記録することができる情報処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態にかかる情報処理システムの構成の一例を示す模式図である。
図2】実施の形態にかかる記録システムの構成の一例を示す模式図である。
図3】実施の形態にかかる情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図4】実施の形態にかかるデータサーバの構成の一例を示す模式図である。
図5】実施の形態にかかる情報処理装置におけるイベント記録の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
図6】実施の形態にかかるデータサーバの動作の流れの一例を示すフローチャートである。
図7】変形例1にかかる記録システムの構成の一例を示す模式図である。
図8】変形例3にかかる記録システムの構成の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、説明の明確化のため、以下の記載および図面は、適宜、省略、および簡略化がなされている。また、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0010】
<実施の形態>
図1は、実施の形態にかかる情報処理システム1の構成の一例を示す模式図である。図1に示すように、情報処理システム1は、複数の車両5と、データサーバ20とを含むシステムであり、各車両5とデータサーバ20とがネットワーク3を介して通信可能に接続されている。
【0011】
各車両5は、記録システム10を搭載している。なお、車両は、例えば四輪以上の車輪で走行する自動車であるが、自動二輪車であってもよい。記録システム10は、ドライブレコーダとも称される。
【0012】
図2は、実施の形態にかかる記録システム10の構成の一例を示す模式図である。記録システム10は、情報処理装置100と、撮像装置200と、記録部300とを含む。
【0013】
撮像装置200は、例えばカメラである。撮像装置200は、車両5の周辺を撮影し、撮影された映像のデータである撮影データを生成する。撮像装置200は、例えば、車両5の前方を撮影するカメラであってもよいし、車両5の後方を撮影するカメラであってもよいし、車両5の側方を撮影するカメラであってもよい。また、撮像装置200は、複数設けられていてもよい。撮像装置200は、撮影データを情報処理装置100に出力する。
【0014】
記録部300は、撮影データを格納する記憶装置である。記録部300は、例えばフラッシュメモリを含むメモリカードや、SSD(Solid State Drive)またはHDD(Hard Disk Drive)等の不揮発性の記憶装置である。記録部300は、情報処理装置100の制御に従って、撮影データを記録する。なお、記録部300は、撮影データとともに、記録システム10が備えるマイク(不図示)によって収集された音声の音声データを記録してもよい。また、本実施の形態では、記録部300は、情報処理装置100とともに車両5に搭載されるが、記録部300は、情報処理装置100と無線通信により接続される機器であってもよい。例えば、記録部300は、スマートフォン等の携帯端末であってもよいし、外部サーバであってもよい。
【0015】
記録部300は、通常記録部310と、イベント記録部320とを有する。通常記録部310は、撮影データを上書き可能に記録する。つまり、通常記録部310は、記憶容量が不足したときに、例えば古い撮影データから順にデータを削除し、その結果空いた記憶領域に新たな撮影データを記憶し得る。イベント記録部320は、撮影データをイベント記録データとして記録する。イベント記録データとは、検出されたイベントに関する撮影データであって、上書きが禁止されたデータである。つまり、イベント記録データは、時間が経過したとしても、ユーザが意図的に削除操作等を行わない限り、削除されない。本実施の形態では、イベントは、具体的には、車両5の周辺を走行する他の車両による危険運転などである。通常記録部310は、上書き可能な記憶領域として予め定められた記録領域であってもよく、イベント記録部320は、上書きを禁止する記憶領域として予め定められた記録領域であってもよい。しかしながら、記憶領域に対し、そのような定めが予めされていなくてもよい。上書きを禁止すべきデータに対して、上書き禁止を示すフラグを付加して記憶することにより、上書きを禁止してもよい。この場合、記録部300は、通常記録部310とイベント記録部320という区別を有さなくてもよい。
【0016】
情報処理装置100は、撮影データ取得部101、危険運転情報取得部102、危険運転検出部103、危険車両特定部104、情報送信部105、前歴車両検出部106、記録制御部107、及び通知部108を有する。情報処理装置100の各構成要素の処理は、例えば、プログラムの実行により実現される。この場合、情報処理装置100は、例えば、図3に示すようなハードウェア構成を備えており、プロセッサ150が、メモリ151からソフトウェア(コンピュータプログラム)を読み出して実行することで、図2に示した情報処理装置100の各構成要素の処理を行う。
【0017】
メモリ151は、例えば、揮発性メモリ及び不揮発性メモリの組み合わせによって構成される。メモリ151は、プロセッサ150により実行される、1以上の命令を含むソフトウェア(コンピュータプログラム)、及び情報処理装置100の各種処理に用いるデータなどを格納するために使用される。
【0018】
プロセッサ150は、例えば、マイクロプロセッサ、MPU(Micro Processor Unit)、又はCPU(Central Processing Unit)などであってもよい。プロセッサ150は、複数のプロセッサを含んでもよい。
【0019】
ネットワークインタフェース152は、他の装置と通信するためのインタフェースである。この他の装置には、データサーバ20が含まれるが、他の車両5が含まれてもよい。すなわち、車両5は、データサーバ20との通信の他に、他の車両5と通信してもよい。ネットワークインタフェース152は、例えば、ネットワークインタフェースカード(NIC)を含んでもよい。
【0020】
このように、情報処理装置100は、コンピュータとしての機能を備えていてもよい。
また、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0021】
以下、情報処理装置100の各構成要素について説明する。
撮影データ取得部101は、撮像装置200からの撮影データを取得する。すなわち、撮影データ取得部101は、車両5の周辺を撮影する撮像装置200が撮影した映像のデータである撮影データを取得する。
【0022】
危険運転情報取得部102は、データサーバ20が記憶している危険運転情報を取得する。危険運転情報取得部102は、データサーバ20から送信された危険運転情報を受信することにより取得する。なお、危険運転情報取得部102は、他の車両5がデータサーバ20から取得した危険運転情報を、車車間通信により取得してもよい。また、危険運転情報取得部102は、取得した情報を、メモリ151などのなどの記憶装置に記憶してもよい。これにより、通信が不可能な場合であっても、取得した情報を参照することが可能となる。
【0023】
危険運転情報は、危険運転の前歴がある他の車両に関する情報であり、少なくとも、車両特定情報を含む。車両特定情報は、危険運転の前歴がある他の車両を特定する情報である。すなわち、車両特定情報は、車両を特定するための情報である。車両特定情報は、例えば、車両ナンバーであるが、これに限られない。例えば、車両特定情報は、車両の外観の情報であってもよい。具体的には、車両特定情報は、車種の情報及び車両の色の情報であってもよい。本実施の形態では、危険運転情報は、車両特定情報に加え、車両特定情報で特定される車両により行われた危険運転についての評価情報を含む。この評価情報は、車両特定情報で特定される車両により行われた危険運転を所定の評価基準により評価した評価結果を示す情報である。本実施の形態では、この評価はデータサーバ20により行われ、この評価結果は、車両特定情報で特定される車両に対する警戒の必要度合いを表す。
【0024】
このように、本実施の形態では、危険運転情報取得部102は、車両特定情報及び評価情報の組を取得する。なお、危険運転情報取得部102は、車両特定情報だけを取得してもよい。データサーバ20は、危険運転の前歴がある様々な車両についての情報を蓄積しているため、危険運転情報取得部102は、様々な車両についての車両特定情報及び評価情報の組を取得する。
【0025】
危険運転検出部103は、撮影データ取得部101が取得した撮影データに映された車両による危険運転の発生を検出する。すなわち、危険運転検出部103は、車両5の周辺の車両が、車両5の運転を妨害する運転を行ったことを検出する。危険運転検出部103は、具体的には、撮影データに基づいて、車両5の周辺の車両の走行を認識し、認識された走行が、危険運転に該当する所定の走行であるか否かを判定することにより、危険運転の発生を検出する。例えば、危険運転検出部103は、周辺の車両の走行が次のような走行である場合、当該車両が危険運転を行ったと判定する。そのような走行は、例えば、所定の距離以下の車間距離まで車両5に接近する走行であってもよいし、車両5の周辺での蛇行であってもよいし、ヘッドライトによるパッシングをともなう走行であってもよい。なお、パッシングは、ヘッドライトの点滅を繰り返すことであってもよいし、ハイビームとロービームの切り替えを繰り返すことであってもよい。なお、これらは危険運転と判定される走行の例に過ぎず、危険運転検出部103は、他の条件を用いて、危険運転の発生を検出してもよい。また、本実施の形態では、危険運転検出部103は、撮影データに対する画像認識処理により危険運転を検出するが、危険運転検出部103は、他の情報を用いて、危険運転の検出を行ってもよい。例えば、危険運転検出部103は、ミリ波レーダ又はLiDAR(light detection and ranging)などのセンサを用いてもよい。また、危険運転検出部103は、複数のセンサの検知結果を併用して、危険運転の発生を検出してもよい。
危険運転検出部103は、危険運転の発生を検出すると、撮影データをイベント記録データとして保存することを指示するイベント記録指示信号を記録制御部107に出力する。
【0026】
危険車両特定部104は、危険運転検出部103により検出された危険運転を行った車両についての車両特定情報を生成する。危険運転検出部103は、撮影データ取得部101が取得した撮影データを解析して、車両特定情報を生成する。具体的には、撮影データ取得部101は、車両ナンバーを認識し、認識した車両ナンバーを車両特定情報としてもよい。また、撮影データ取得部101は、予め記憶された様々な車種の情報と撮影データから抽出した車両の特徴との比較結果に基づいて車種を特定し、特定した車種の情報を車両特定情報としてもよい。なお、これらは車両の特定方法の例に過ぎず、危険車両特定部104は、他の方法により危険運転を行った車両についての車両特定情報を生成してもよい。
【0027】
情報送信部105は、危険運転検出部103により危険運転の発生が検出された場合、危険車両特定部104が生成した車両特定情報をデータサーバ20に送信する。本実施の形態では、情報送信部105は、危険運転の発生を示す検出結果と関連付けて、車両特定情報をデータサーバ20に送信する。なお、車両特定情報の生成がデータサーバ20で行われる場合には、情報送信部105は、車両特定情報に代えて、危険運転を行った車両が映された撮影データをデータサーバ20に送信してもよい。この場合、情報処理装置100において、危険車両特定部104が省略されてもよい。また、情報送信部105は、危険車両特定部104が生成した車両特定情報とともに、危険運転を行った車両が映された撮影データをデータサーバ20に送信してもよい。このようにして、各車両5から、危険運転の情報がデータサーバ20に送信されるため、データサーバ20は様々な車両の危険運転の情報が蓄積される。
【0028】
前歴車両検出部106は、危険運転情報取得部102が取得した危険運転情報(具体的には、車両特定情報)を用いて、危険運転の前歴がある他の車両を撮影データから検出する。すなわち、前歴車両検出部106は、車両5の周辺に、危険運転の前歴がある他の車両が存在している場合に、そのような他の車両を検出する。危険運転検出部103は、撮影データ取得部101が取得した撮影データを解析して、危険運転情報取得部102が取得した車両特定情報(すなわち、データサーバ20が保持する車両特定情報)に該当する車両を検出する。
前歴車両検出部106は、車両特定情報により示される車両を検出すると、すなわち、危険運転の前歴がある車両を検出すると、撮影データをイベント記録データとして保存することを指示するイベント記録指示信号を記録制御部107に出力する。
【0029】
記録制御部107は、撮像装置200により撮影された映像についての撮影データを記録部300に記録するように制御を行う。撮像装置200が複数存在する場合には、記録制御部107は、各撮像装置200の撮影データに対して、それぞれ記録処理を行う。
【0030】
記録制御部107は、前歴車両検出部106又は危険運転検出部103からイベント記録指示信号が出力されていない場合は、撮影データを通常記録部310に記録し続ける。つまり、記録制御部107は、危険運転の前歴がある車両が車両5の周辺に存在せず、かつ、車両5の周辺の任意の車両による危険運転の発生が検出されていない場合、撮影データ取得部101によって取得された撮影データを、通常記録部310に上書き可能に記録する。このように上書き可能に撮影データを記録し続けることを、ループ記録又は通常記録と称する。そして、記録制御部107は、前歴車両検出部106又は危険運転検出部103からイベント記録指示信号が出力された場合、撮影データをイベント記録部320に記録する。つまり、記録制御部107は、危険運転の前歴がある車両が車両5の周辺に存在する場合、又は、車両5の周辺の任意の車両による危険運転の発生が検出された場合、撮影データ取得部101が取得した撮影データを、イベント記録データとして保存する。例えば、記録制御部107は、イベント記録指示信号の有無にかかわらず、撮影データを通常記録つまりループ記録し続け、イベント記録指示信号が発生すると、通常記録部310に記憶された撮影データのうち、イベント記録指示信号の発生時点からの撮影データをイベント記録部320にコピーすることにより、イベント記録データの保存を行う。または、イベント記録部320にも撮影データが入力されており、記録制御部107の指示に従い記録開始や記録停止を行うことも可能である。なお、イベント記録データとして映像を保存することを、イベント記録と称する。本実施の形態では、ループ記録(通常記録)が行われるが、ループ記録(通常記録)は省略されてもよい。すなわち、記録制御部107は、イベント記録だけを行うよう制御してもよい。
【0031】
このように、記録制御部107は、危険運転が検出されているか否かに関わらず、危険運転の前歴がある車両の検出時点からの撮影データをイベント記録データとして保存する。また、記録制御部107は、危険運転の前歴がある車両が検出されていない場合であっても、危険運転が検出された場合には、検出時点からの撮影データをイベント記録データとして保存する。なお、記録制御部107は、危険運転の前歴がある車両が検出された後、当該車両による危険運転の発生が検出されたかった場合には、当該車両についてのイベント記録データを破棄してもよい。また、記録制御部107は、危険運転情報取得部102が取得した評価情報に応じて、イベント記録データの画質を変更してもよい。すなわち、記録制御部107は、危険運転の前歴がある車両が検出された場合、当該車両についての評価情報に応じた画質でイベント記録データの保存を行ってもよい。記録制御部107は、解像度を変えることにより画質を変更してもよいし、フレームレートを変更することにより画質を変更してもよい。具体的には、例えば、記録制御部107は、検出された車両についての評価情報が表す、当該車両に対する警戒の必要度合いが高いほど、高画質でイベント記録データの保存を行う。これは、例えば、警戒の必要度合いが高い車両の運転者の情報は重要であるため、運転者の顔の特定などが可能なように高画質な映像を保存することが求められるからである。
【0032】
通知部108は、前歴車両検出部106が危険運転の前歴がある車両を検出した場合に、運転者に所定の通知を行う。例えば、通知部108は、危険運転の前歴がある車両が周辺に存在することを運転者に通知する。なお、通知部108による通知内容はこれに限られない。例えば、通知部108は、そのような車両の評価情報を通知してもよいし、評価情報に応じて異なる内容の通知を行ってもよい。例えば、評価情報に応じて、通知音声の音量を変更したり、警告音を伴う通知としても良い。また、通知部108は、そのような車両が存在する方向を通知してもよいし、そのような車両の車両特定情報を通知してもよい。通知部108は、音声により通知してもよいし、通知部108と連携し表示する表示部(不図示)で表示により通知してもよい。
【0033】
次に、データサーバ20について説明する。図4は、実施の形態にかかるデータサーバ20の構成の一例を示す模式図である。データサーバ20は、情報収集部21、評価部22、危険運転情報記憶部23、及び危険運転情報送信部24を有する。データサーバ20の情報収集部21、評価部22、及び危険運転情報送信部24の処理は、例えば、プログラムの実行により実現される。この場合、データサーバ20は、情報処理装置100と同様、例えば、図3に示すようなハードウェア構成を備えており、プロセッサ150が、メモリ151からソフトウェア(コンピュータプログラム)を読み出して実行することで、図4に示したデータサーバ20の各構成要素の処理を行う。データサーバ20の危険運転情報記憶部23は、例えばデータサーバ20が備えるメモリ151により実現されるが、他の記憶装置により実現されてもよい。
【0034】
情報収集部21は、各車両5の情報送信部105が送信した情報を受信して、各車両5から危険運転についての情報を取得する。本実施の形態では、情報収集部21は、危険運転を行った車両の車両特定情報を収集する。情報収集部21は、収集した情報を危険運転情報記憶部23に保存する。
【0035】
評価部22は、危険運転についての評価情報を、車両特定情報で特定される車両毎に生成する。評価情報は、車両特定情報で特定される車両により行われた危険運転を所定の評価基準により評価した評価結果を示す情報であればよい。本実施の形態では、例えば、評価部22は、危険運転の合計回数又は単位期間における危険運転の頻度などに基づいて、評価情報を生成する。例えば、合計回数が大きいほど、もしくは、頻度が高いほど、警戒の必要度合いが高いことを示す評価情報を生成する。また、1回の危険運転の行為の時間が長いほど、執拗な危険運転を行ったとして、警戒の必要度合いが高いことを示す評価情報を生成してもよい。なお、評価情報は、ランク分けの結果であってもよい。評価部22は、生成した評価情報を車両特定情報と関連付けて、危険運転情報記憶部23に保存する。評価部22は、任意のタイミングで、評価情報を更新する。例えば、評価部22は、定期的に評価情報を更新してもよいし、危険運転についての新たな情報が収集される度に、評価情報を更新してもよい。
【0036】
危険運転情報記憶部23は、危険運転情報を記憶するデータベースである。具体的には、本実施の形態では、危険運転情報記憶部23は、危険運転情報として、車両特定情報と評価情報とを関連付けて記憶する。
【0037】
危険運転情報送信部24は、危険運転情報記憶部23に記憶された危険運転情報を各車両5に送信する。危険運転情報送信部24は、任意のタイミングで、危険運転情報を各車両5に送信する。例えば、危険運転情報送信部24は、定期的に危険運転情報を送信してもよいし、危険運転情報が更新される度に危険運転情報を送信してもよい。
【0038】
なお、上述の通り、車両5の情報処理装置100の危険車両特定部104の処理は、データサーバ20により行われてもよい。
【0039】
次に、情報処理装置100によるイベント記録の動作の流れについて説明する。図5は、イベント記録の動作の流れの一例を示すフローチャートである。以下、図5を参照しつつ動作の流れについて説明する。なお、以下で説明する処理の順序は一例に過ぎず、技術的に可能な限り、適宜、処理の順序を変更することは可能である。
【0040】
ステップS100において、危険運転情報取得部102が、データサーバ20が管理している危険運転情報を取得する。
【0041】
次に、ステップS101において、撮像装置200による撮影が開始されると、撮影データ取得部101は、撮像装置200からの撮影データを取得する。
【0042】
次に、ステップS102において、撮影データの取得が開始されると、前歴車両検出部106が、ステップS100で取得された危険運転情報を用いて、危険運転の前歴がある他の車両が、撮影データに映っているか否かを確認する。危険運転の前歴がある車両が検出されない場合(ステップS102でNo)、処理はステップS103へ移行する。これに対し、危険運転の前歴がある車両が検出された場合(ステップS102でYes)、処理はステップS109へ移行する。
【0043】
ステップS103では、危険運転検出部103が、撮影データに映された車両による危険運転が発生したか否かを確認する。危険運転の発生が検出されない場合(ステップS103でNo)、処理はステップS102へ戻る。これに対し、危険運転の発生が検出された場合(ステップS103でYes)、処理はステップS104へ移行する。
【0044】
ステップS104において、記録制御部107は、イベント記録を開始する。つまり、記録制御部107は、危険運転の発生時点からの撮影データをイベント記録データとして保存する。
【0045】
ステップS104の後、ステップS105において、記録制御部107は、イベント記録の所定の終了条件が満たされたか否かを確認する。ここで、終了条件は、例えば、撮影データの映像に、危険運転を行った車両が映らなくなったことであってもよいし、イベント記録の開始から所定の時間が経過したことであってもよい。なお、これらは終了条件の例に過ぎず、他の条件が終了条件として用いられてもよい。イベント記録の終了条件が満たされていない場合(ステップS105でNo)、本ステップの判定が繰り返される。これに対し、イベント記録の終了条件が満たされると(ステップS105でYes)、処理はステップS106へ移行する。
【0046】
ステップS106において、記録制御部107は、イベント記録を終了する。つまり、記録制御部107は、終了条件が満たされた時点までの撮影データをイベント記録データとして保存する。
【0047】
次に、ステップS107において、危険車両特定部104が、危険運転を行った車両についての車両特定情報を生成する。
【0048】
次に、ステップS108において、情報送信部105が、危険運転の発生を示す検出結果と関連付けて、ステップS107で生成された車両特定情報をデータサーバ20に送信する。
【0049】
一方、ステップS102において危険運転の前歴がある車両が検出された場合、ステップS109で、通知部108は、運転者に所定の通知を行い、注意を促す。
【0050】
次に、ステップS110において、記録制御部107は、イベント記録を開始する。つまり、記録制御部107は、危険運転の前歴がある車両の検出時点からの撮影データをイベント記録データとして保存する。このとき、記録制御部107は、当該車両の評価情報に応じた画質でイベント記録データを保存してもよい。
【0051】
次に、ステップS111において、危険運転検出部103が、危険運転の前歴がある車両による危険運転が発生したか否かを確認する。危険運転の発生が検出された場合(ステップS111でYes)、処理は上述したステップS105へ移行する。以降、上述した動作が行われる。危険運転の発生が検出されない場合(ステップS111でNo)、すなわち、危険運転が発生しないまま、当該車両が撮影データの映像に映らなくなった場合、処理はステップS112へ移行する。
【0052】
ステップS112において、記録制御部107は、危険運転を発生させなかった車両についてのイベント記録データを破棄する。
【0053】
次に、データサーバ20の動作の流れについて説明する。図6は、データサーバ20の動作の流れの一例を示すフローチャートである。以下、図6を参照しつつ動作の流れについて説明する。なお、以下で説明する処理の順序は一例に過ぎず、技術的に可能な限り、適宜、処理の順序を変更することは可能である。
【0054】
ステップS200において、情報収集部21は、危険運転についての情報を収集する。すなわち、情報収集部21は、各車両5の情報送信部105が送信した情報を受信する。そして、情報収集部21は、危険運転情報記憶部23に収集した情報を保存する。
【0055】
次に、ステップS201において、評価部22は、車両毎に、危険運転についての評価情報を生成する。そして、評価部22は、危険運転情報記憶部23に評価情報を保存する。
【0056】
次に、ステップS202において、危険運転情報送信部24は、危険運転情報を配信する。すなわち、危険運転情報送信部24は、危険運転情報記憶部23に記憶された危険運転情報を各車両5に送信する。
【0057】
以上、実施の形態について説明した。本実施の形態によれば、危険運転が検出されているか否かに関わらず、危険運転の前歴がある車両の検出時点からの撮影データがイベント記録データとして保存される。このため、危険運転が発生するまでの経緯を記録することができる。すなわち、本実施の形態によれば、危険運転のきっかけとなった事象を記録することができる。
【0058】
次に、上述した実施の形態について、いくつかの変形例を説明する。なお、以下の説明では、上述した実施の形態と異なる点について説明し、重複する説明は適宜省略する。
【0059】
<変形例1>
上述した危険運転情報は、危険運転発生時の状況を表す情報であるシチュエーション情報を含んでもよい。シチュエーション情報は、例えば、危険運転の発生場所、発生時間帯、危険運転の継続時間、発生時の交通量もしくは渋滞状況、危険運転の被害を受けた車両の挙動、危険運転を行った車両の挙動であってもよい。シチュエーション情報は、これらの組み合わせであってもよい。すなわち、シチュエーション情報は、複数種類の情報の組み合わせであってもよい。
【0060】
図7は、変形例1にかかる記録システム10aの構成の一例を示す模式図である。記録システム10aは、情報処理装置100が情報処理装置100aに置き換わっている点で、図2に示した記録システム10と異なっている。また、情報処理装置100aは、シチュエーション特定部109が追加されている点で、情報処理装置100と異なっている。
【0061】
この変形例では、各車両5の情報送信部105は、危険運転検出部103により危険運転が検出されると、シチュエーション特定部109により生成されたシチュエーション情報もデータサーバ20に送信する。そして、データサーバ20の情報収集部21は、車両5が送信したシチュエーション情報も取得し、危険運転情報記憶部23に保存する。なお、データサーバ20の評価部22は、シチュエーション情報を用いて、警戒の必要度合いを所定の評価基準に基づいて算出して、評価情報を生成してもよい。これにより、様々な観点に基づいて評価情報を生成することができる。
【0062】
シチュエーション特定部109は、車両5の現在の状況を特定し、上述したシチュエーション情報を生成する。その際、シチュエーション特定部109は、公知の任意の技術を用いてシチュエーション情報を生成する。例えば、危険運転の発生場所は、GNSS(Global Navigation Satellite System)モジュールを用いて特定されてもよい。また、危険運転発生時の交通量もしくは渋滞状況は、撮影データを画像解析することにより、検出されてもよい。また、車両5の挙動は、例えば、加速度センサ、GNSSモジュール、及びCAN(Controller Area Network)バスのいずれかから取得した情報を用いて認識されてもよい。また、危険運転を行った車両の挙動は、撮影データを画像解析することにより検出されてもよいし、ミリ波レーダ又はLiDARなどのセンサを用いて認識されてもよい。なお、シチュエーション情報は、データサーバ20により生成されてもよい。この場合、車両5の情報送信部105は、シチュエーション情報の生成に必要な情報(例えば撮影データなど)をデータサーバ20に送信する。
【0063】
本変形例では、危険運転情報取得部102は、危険運転情報として、車両特定情報のみならずシチュエーション情報を取得する。そして、本変形例の通知部108は、車両5の現在の状況が、危険運転情報取得部102が取得したシチュエーション情報により特定される状況と部分的に又は完全に一致する場合、所定の通知を行う。通知部108は、不特定の車両の様々なシチュエーション情報により特定される様々な状況のいずれかと車両5の現在の状況が一致した場合に通知を行ってもよいし、前歴車両検出部106により検出された車両のシチュエーション情報により特定される状況と車両5の現在の状況が一致した場合に通知を行ってもよい。また、所定の通知は、車両5の現在の状況が、危険運転が発生しやすい状況であることを通知するものであってもよいし、危険運転情報取得部102が取得したシチュエーション情報により特定される状況に応じた通知であってもよい。ここで、危険運転情報取得部102が取得したシチュエーション情報により特定される状況に応じた通知は、他の車両による危険運転を誘発してしまう車両5の挙動を控えるようアドバイスする通知であってもよい。例えば、危険運転情報取得部102が取得したシチュエーション情報により特定される状況が、第一の車両の後ろを第二の車両が走行し、第一の車両の急ブレーキにより、第二の車両による危険運転が誘発されたという状況である場合、通知部108は次のような通知を行う。すなわち、通知部108は、車両5の後ろに危険運転の前歴がある車両が走行している場合、急ブレーキを控えるように車両5の運転者に通知する。なお、これは通知の一例に過ぎず、通知部108は、様々な通知を行うことが可能である。このように、本変形例では、運転者に対してより適切な注意喚起を行うことができ、危険運転による被害の発生を抑制することができる。
【0064】
<変形例2>
次に、変形例2について説明する。上述した実施の形態では、情報送信部105は、撮影データに映された車両による危険運転の発生が検出された場合に、危険運転の発生を示す検出結果と関連付けて、当該車両についての車両特定情報又は当該車両が映った撮影データを、データサーバ20に送信した。これに対し、本変形例では、情報送信部105は、危険運転の前歴がある車両による危険運転の発生が検出されなかった場合に、危険運転の不発生を示す検出結果と関連付けて、当該車両についての車両特定情報又は当該車両が映った撮影データの少なくとも一方を、データサーバ20に送信する。すなわち、情報送信部105は、前歴車両検出部106が危険運転の前歴がある車両を検出したにもかかわらず、当該車両による危険運転の検出が行われなかった場合に、当該車両による危険運転の不発生を示す検出結果を送信する。このようにすることで、データサーバ20の評価部22は、危険運転を行わなかったという事実を反映した評価情報を生成することができる。このため、より適切な評価情報を得ることができる。
なお、本変形例において、危険運転の前歴がある車両による危険運転の発生が検出されなかった場合に、情報送信部105は、さらに、変形例1で述べたシチュエーション特定部109により生成されたシチュエーション情報を送信してもよい。これにより、例えば、データサーバ20の評価部22は、ある状況において危険運転を行った車両が同じ状況において危険運転を行わなかったという事実に基づいて、評価値を適切な値へと更新することができる。
【0065】
<変形例3>
次に、変形例3について説明する。上述した実施の形態において、車両5が複数の撮像装置200を搭載している場合、いずれかの撮像装置200の撮影データについてのイベント記録の開始を契機に、全ての撮像装置200の撮影データについてイベント記録を開始する構成としてもよい。しかし、この場合、記録すべき車両、すなわちデータサーバ20から取得した車両特定情報により特定される車両が映っていない撮影データもイベント記録データとして保存されうるため、記憶容量の観点からはそのような構成は好ましくない。これに対し、イベント記録の開始を撮像装置200毎に決定することにより、データサーバ20から取得した車両特定情報により特定される車両が映っていないイベント記録データが保存されることを避けることができる。しかしながら、撮影データに映された車両が、データサーバ20から取得した車両特定情報により特定される車両であるか否か適切に判定できない場合には、その撮影データについてのイベント記録が開始されず、当該車両についての十分な記録ができない恐れがある。具体的には、例えば、車両5の側方を撮影する撮像装置200の撮影データには、車両5の側方を走行する車両の車両ナンバーが映っていなかったり、車両5の側方を走行する車両の全体が映っていなかったりする。このため、車両の側方を撮影する撮像装置200の撮影データを用いて、車両ナンバーの特定を行ったり、車種の特定を行ったりすることが困難な場合がある。そこで、本変形例では、撮影データに映された車両が、データサーバ20から取得した車両特定情報により特定される車両であるか否か適切に判定できない場合であっても、当該車両についてのイベント記録を行うことが可能な構成について示す。
【0066】
図8は、変形例3にかかる記録システム10bの構成の一例を示す模式図である。記録システム10bは、情報処理装置100が情報処理装置100bに置き換わっている点で、図2に示した記録システム10と異なっている。また、情報処理装置100bは、予測部110が追加されている点で、情報処理装置100と異なっている。
【0067】
この変形例では、撮影データ取得部101は、異なる方向を撮影する複数の撮像装置200からの撮影データを取得する。例えば、複数の撮像装置200は、車両5の前方を撮影するカメラ、車両5の後方を撮影するカメラ、車両5の側方を撮影するカメラ、車両5の車室内を撮影するカメラのうちの任意の組み合わせであってもよい。
【0068】
予測部110は、第一の撮像装置200からの、特定車両が検出された撮影データ(以下、予測利用データと称す)に基づいて、第二の撮像装置200の撮影範囲に当該特定車両が入ることを予測する。ここで、特定車両とは、具体的には、危険運転情報取得部102が取得した車両特定情報により特定される車両、すなわち、危険運転の前歴のある車両である。予測部110は、予測利用データに映された特定車両の、車両5に対する相対的な移動を検出することにより、この特定車両が撮影範囲に新たに入ることになる第二の撮像装置200を特定する。これにより、予測部110は、第二の撮像装置200の撮影範囲に特定車両が入ることを予測する。例えば、第一の撮像装置200が車両5の後方を撮影する撮像装置200であるとし、第二の撮像装置200が車両5の右側方を撮影する撮像装置200であるとする。そして、車両5の後ろを走行中の特定車両が、車両5の右側から車両5を追い越す走行を行ったとする。この場合、予測部110は、予測利用データである、車両5の後方を撮影する撮像装置200の撮影データから、特定車両が車両5の後方から右側方へと移動することを検出する。これにより、予測部110は、右側方を撮影する撮像装置200の撮影範囲にこの特定車両が入ることを予測する。なお、この例では、第一の撮像装置200が車両5の後方を撮影する撮像装置200であるとし、第二の撮像装置200が車両5の右側方を撮影する撮像装置200であるとしたが、第一の撮像装置200及び第二の撮像装置200の組み合わせとしては、複数の撮像装置200に含まれる任意の撮像装置200の組み合わせとすることが可能である。
【0069】
本変形例の記録制御部107は、一つの撮像装置200の撮影データのイベント記録において、危険運転の前歴のある車両が撮影データから検出された場合だけでなく、予測部110による予測により、危険運転の前歴のある車両が撮影範囲に入ると予測された場合にも、イベント記録を開始する。これにより、記録制御部107は、上述した第二の撮像装置200からの撮影データのイベント記録データとしての保存においては、この第二の撮像装置200の撮影範囲に特定車両が入ると予測される時点からの撮影データをイベント記録データとして保存する。このように、本変形例では、特定車両を追尾してイベント記録が行われる。これにより、本変形例では、撮影データに映された車両が、特定車両であるか否か適切に判定できない場合であっても、当該車両についてのイベント記録を行うことができる。
【0070】
<変形例4>
次に、変形例4について説明する。上述の通り、記録すべき車両が映っていない撮影データもイベント記録データとして保存することは、記憶容量の観点からは好ましくない。しかしながら、危険運転が発生するに至るまでの経緯を確認するという観点では、記録すべき車両を撮影していない撮像装置200の撮影データも記録しておくことに利点がある。例えば、第一の車両の後ろを第二の車両が走行している際に、第一の車両のブレーキ操作がきっかけで、第二の車両による危険運転が開始されたとする。この場合、このブレーキ操作が、第一の車両がその前方の車両との車間距離がつまったことによるブレーキ操作であることを証明できれば、第一の車両のブレーキ操作の妥当性を主張することが容易となる。したがって、この場合、車両5の後方の第二の車両を撮影した撮像装置200の撮影データだけでなく、車両5の前方の様子を撮影した撮像装置200の撮影データも記録することは有益である。このように、記録すべき車両が映っている撮影データとともに、車両5の周辺を撮影する撮影データを記録することは、有益な記録方法である。そこで、本変形例では、記憶容量を抑えつつ、有益な記録を行うことができる構成について説明する。
【0071】
本変形例でも、撮影データ取得部101は、異なる方向を撮影する複数の撮像装置200からの撮影データを取得する。そして、本変形例の記録制御部107は、複数の撮像装置200の同時刻に撮影された撮影データについて、記録すべき車両が映されているかに応じて設定された画質で、それぞれイベント記録データとして保存する。ここで、記録すべき車両は、前歴車両検出部106により検出された車両であるが、危険車両特定部104により特定された車両であってもよい。具体的には、記録制御部107は、記録すべき車両が映されていない撮影データについては、記録すべき車両が映されている撮影データよりも低い画質でイベント記録を行う。この場合も、記録制御部107は、解像度を変えることにより画質を変更してもよいし、フレームレートを変更することにより画質を変更してもよい。このような構成によれば、記憶容量を抑えつつ、有益な記録を行うことができる。
【0072】
以上、実施の形態及び変形例について説明したが、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。また、各変形例の特徴は、適宜組み合わせてもよい。
【0073】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
(付記1)
第一の車両以外の危険運転の前歴がある第二の車両を特定する情報である車両特定情報を取得する危険運転情報取得部と、
前記第一の車両の周辺を撮影する撮像装置からの撮影データを取得する撮影データ取得部と、
前記車両特定情報を用いて、前記第二の車両を前記撮影データから検出する前歴車両検出部と、
前記第二の車両の検出時点からの前記撮影データをイベント記録データとして保存する記録制御部と
を有する情報処理装置。
(付記2)
前記危険運転情報取得部は、さらに、前記車両特定情報で特定される前記第二の車両により行われた危険運転についての評価情報を取得し、
前記記録制御部は、前記評価情報に応じて、前記イベント記録データの画質を変更する
付記1に記載の情報処理装置。
(付記3)
前記第二の車両が前記撮影データから検出された場合に、運転者に通知を行う通知部をさらに有する
付記1又は2に記載の情報処理装置。
(付記4)
前記撮影データに映された車両による危険運転の発生を検出する危険運転検出部と、
前記撮影データに映された車両についての前記車両特定情報又は当該車両が映った前記撮影データの少なくとも一方を、前記危険運転検出部の検出結果と関連付けて、サーバに送信する情報送信部と
をさらに有する付記1乃至3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(付記5)
前記情報送信部は、前記撮影データに映された車両による危険運転の発生が検出された場合に、危険運転の発生を示す検出結果と関連付けて、当該車両についての前記車両特定情報又は当該車両が映った前記撮影データの少なくとも一方を、前記サーバに送信する
付記4に記載の情報処理装置。
(付記6)
前記情報送信部は、前記第二の車両による危険運転の発生が検出されなかった場合に、危険運転の不発生を示す検出結果と関連付けて、前記第二の車両についての前記車両特定情報又は前記第二の車両が映った前記撮影データの少なくとも一方を、前記サーバに送信する
付記4又は5に記載の情報処理装置。
(付記7)
前記危険運転情報取得部は、危険運転発生時の状況を表す情報であるシチュエーション情報をさらに取得し、
前記通知部は、さらに、前記第一の車両の現在の状況が、前記シチュエーション情報により特定される状況と部分的に又は完全に一致する場合、所定の通知を行う
付記3に記載の情報処理装置。
(付記8)
前記撮影データ取得部は、異なる方向を撮影する複数の前記撮像装置からの撮影データを取得し、
前記情報処理装置は、複数の前記撮像装置のうちの第一の撮像装置からの前記第二の車両が検出された前記撮影データに基づいて、複数の前記撮像装置のうちの第二の撮像装置の撮影範囲に前記第二の車両が入ることを予測する予測部をさらに有し、
前記記録制御部は、前記第二の撮像装置からの前記撮影データの前記イベント記録データとしての保存において、前記第二の撮像装置の撮影範囲に前記第二の車両が入ると予測される時点からの前記撮影データを前記イベント記録データとして保存する
付記1乃至7のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(付記9)
前記撮影データ取得部は、異なる方向を撮影する複数の前記撮像装置からの撮影データを取得し、
前記記録制御部は、複数の前記撮像装置の同時刻に撮影された撮影データについて、前記第二の車両が映されているかに応じて設定された画質で、それぞれ前記イベント記録データとして保存する
付記1乃至8のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(付記10)
第一の車両以外の危険運転の前歴がある第二の車両を特定する情報である車両特定情報を取得し、
前記第一の車両の周辺を撮影する撮像装置からの撮影データを取得し、
前記車両特定情報を用いて、前記第二の車両を前記撮影データから検出し、
前記第二の車両の検出時点からの前記撮影データをイベント記録データとして保存する
情報処理方法。
(付記11)
第一の車両以外の危険運転の前歴がある第二の車両を特定する情報である車両特定情報を取得する危険運転情報取得ステップと、
前記第一の車両の周辺を撮影する撮像装置からの撮影データを取得する撮影データ取得ステップと、
前記車両特定情報を用いて、前記第二の車両を前記撮影データから検出する車両検出ステップと、
前記第二の車両の検出時点からの前記撮影データをイベント記録データとして保存する記録制御ステップと
をコンピュータに実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0074】
1 情報処理システム
3 ネットワーク
5 車両
10 記録システム
10a 記録システム
10b 記録システム
20 データサーバ
21 情報収集部
22 評価部
23 危険運転情報記憶部
24 危険運転情報送信部
100 情報処理装置
100a 情報処理装置
100b 情報処理装置
101 撮影データ取得部
102 危険運転情報取得部
103 危険運転検出部
104 危険車両特定部
105 情報送信部
106 前歴車両検出部
107 記録制御部
108 通知部
109 シチュエーション特定部
110 予測部
150 プロセッサ
151 メモリ
152 ネットワークインタフェース
200 撮像装置
300 記録部
310 通常記録部
320 イベント記録部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8