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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149678
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/22 20060101AFI20220929BHJP
【FI】
E06B7/22 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021051938
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110319
【弁理士】
【氏名又は名称】根本 恵司
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 大輔
【テーマコード(参考)】
2E036
【Fターム(参考)】
2E036AA01
2E036AA02
2E036AA08
2E036BA01
2E036CA06
2E036DA02
2E036DA04
2E036EB05
2E036FA10
2E036FB01
2E036GA02
2E036HA01
2E036HB04
(57)【要約】
【課題】2つの障子の互いに突き合わされる突合せ框の下端部で、光又は風が障子の室内側に漏れるのを抑制する。
【解決手段】2つの障子は、突合せ框25の下端部に、レール14に沿って移動する摺動部材60を有する。第1縦タイト材44は、一方の障子3の突合せ框25Aに設けられて、他方の障子の突合せ框25と当接する。第2縦タイト材52は、一方の障子3の摺動部材60Aに設けられて、第1縦タイト材44の下方に配置され、他方の障子の摺動部材60と当接する。一方の障子3の摺動部材60Aは、第1縦タイト材44と第2縦タイト材52の間の隙間に対して室内外方向Tの一方側に配置される壁部66Aを有する。
【選択図】 図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レールを有する下枠と、同一の前記レールに沿って移動して突合せ框同士が突き合わされる2つの障子と、を備えた建具であって、
前記2つの障子は、それぞれ、前記突合せ框の下端部に設けられて、前記レールに沿って移動する摺動部材を有し、
一方の前記障子は、前記突合せ框に設けられて上下方向に延び、前記2つの障子の前記突合せ框同士が突き合わされた状態で、他方の前記障子の前記突合せ框と当接する第1縦タイト材と、前記摺動部材に設けられて前記第1縦タイト材の下方に配置され、前記2つの障子の前記突合せ框同士が突き合わされた状態で、前記他方の障子の前記摺動部材と当接する第2縦タイト材と、を有し、
前記一方の障子の前記摺動部材は、前記第1縦タイト材と前記第2縦タイト材の間の隙間に対して室内外方向の一方側に配置される壁部を有する建具。
【請求項2】
請求項1に記載された建具において、
前記壁部は、前記一方の障子の前記摺動部材から前記他方の障子の前記摺動部材の室内外方向の一方側の位置まで張り出す建具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された建具において、
前記壁部は、前記一方の障子の前記突合せ框から前記第2縦タイト材の上端位置よりも下側の位置まで突出する建具。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載された建具において、
前記壁部は、前記第1縦タイト材と前記第2縦タイト材の間の隙間に対して室外側に配置される建具。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載された建具において、
前記2つの障子は、それぞれ、前記レールに沿って配置される下框と、前記下框に設けられて左右方向に延び、前記下枠と当接する第1横タイト材と、前記摺動部材に設けられて前記第1横タイト材と連続し、前記下枠と当接する第2横タイト材と、を有する建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下枠の同一のレールに沿って移動する2つの障子を備えた建具に関する。
【背景技術】
【0002】
引き違い障子を備えた建具では、下枠の安全性を高めるため、上面部をフラット化したフラットタイプの下枠が用いられている。フラットタイプの下枠では、レールの上端の位置が下枠の上面部の位置に合わせて設定されて、レールの室内外方向の両側に溝部が形成される。また、下枠の溝部の幅を狭くするため、障子の下框の下側部分は、下框の上側部分よりも薄く形成され、レールを跨いでレールの両側の溝部内に配置される。障子の縦框の下端部には、レールに沿って移動する摺動部材が設けられて、摺動部材がレールの両側の溝部内に配置される。ところが、縦框の下端部に摺動部材を設けることで、縦框の下端部での気密性能と水密性能に影響が生じることがある。これに対し、従来、下框と枠側縦框の連結部分に取り付けられたコーナー部材にタイト連続部を設けた下枠フラットサッシが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された従来の下枠フラットサッシでは、下框の横タイト材と連続するコーナー部材の横タイト連続部と、枠側縦框の縦タイト材と連続するコーナー部材の縦タイト連続部により、障子のコーナー部の気密性能を確保する。しかしながら、従来の下枠フラットサッシのコーナー部材では、2つの障子の互いに突き合わされる突合せ框の下端部における気密性能と水密性能を安定して確保するのは難しい。突合せ框を有する2つの障子は、例えば、4つの障子を備えた建具に設けられ、下枠の同一のレールに沿って移動して、それぞれの突合せ框同士が突き合わされる。2つの障子の突合せ框の下端部では、2つのコーナー部材のみが対向するため、気密性能と水密性能が不安定になることが懸念される。また、2つのコーナー部材の間から、光又は風が障子の室内側に漏れる虞もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-299433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記従来の問題に鑑みなされたもので、その目的は、2つの障子の互いに突き合わされる突合せ框の下端部で、気密性能と水密性能を安定して確保しつつ、光又は風が障子の室内側に漏れるのを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、レールを有する下枠と、同一の前記レールに沿って移動して突合せ框同士が突き合わされる2つの障子と、を備えた建具であって、
前記2つの障子は、それぞれ、前記突合せ框の下端部に設けられて、前記レールに沿って移動する摺動部材を有し、
一方の前記障子は、前記突合せ框に設けられて上下方向に延び、前記2つの障子の前記突合せ框同士が突き合わされた状態で、他方の前記障子の前記突合せ框と当接する第1縦タイト材と、前記摺動部材に設けられて前記第1縦タイト材の下方に配置され、前記2つの障子の前記突合せ框同士が突き合わされた状態で、前記他方の障子の前記摺動部材と当接する第2縦タイト材と、を有し、
前記一方の障子の前記摺動部材は、前記第1縦タイト材と前記第2縦タイト材の間の隙間に対して室内外方向の一方側に配置される壁部を有する建具である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、2つの障子の互いに突き合わされる突合せ框の下端部で、気密性能と水密性能を安定して確保しつつ、光又は風が障子の室内側に漏れるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の建具を示す正面図である。
図2】本実施形態の建具を示す縦断面図である。
図3】本実施形態の建具を示す横断面図である。
図4】本実施形態の建具の下枠と障子の下框側の部分を示す縦断面図である。
図5】本実施形態の建具の第1障子と第2障子の突合せ框側の部分を示す横断面図である。
図6】本実施形態の建具の第1障子と第2障子を示す斜視図である。
図7】本実施形態の建具の第1障子と下枠を示す斜視図である。
図8】本実施形態の建具の第1障子の摺動部材を示す斜視図である。
図9】本実施形態の建具の第2障子の摺動部材を示す斜視図である。
図10】本実施形態の建具の下枠と障子の突合せ框に設けられた摺動部材を示す縦断面図である。
図11図7の矢印X2方向からみた第1障子の第1突合せ框と第1摺動部材を示す側面図である。
図12図2のX3-X3線で切断した建具の断面での摺動部材の周辺部分を示す横断面図である。
図13図12の横断面図から摺動部材を抜き出して示す底面図である。
図14図2のX4-X4線で切断した建具の断面での突合せ框の周辺部分を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の建具の一実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態の建具は、スライドにより移動するスライド式の障子を備えた建具である。建具は、建物の開口部に取り付けられて、建物の室内(屋内)と室外(屋外)の間に設置される。以下では、建具が4つのスライド式の障子を備えた引き違い窓である場合を例にとり、本実施形態の建具について説明する。
【0010】
図1は、本実施形態の建具1を示す正面図であり、室内側からみた建具1を示している。図2は、本実施形態の建具1を示す縦断面図である。図3は、本実施形態の建具1を示す横断面図であり、図1のX1-X1線で切断した建具1を示している。
図示のように、建具1は、開口部2Aを形成する枠体2と、枠体2の開口部2Aに配置された開閉可能な4つの障子3~6(第1障子3、第2障子4、第3障子5、第4障子6)と、2つの網戸7を備えている。引き違い障子である障子3~6により、枠体2の開口部2Aが開閉される。
【0011】
なお、建物に設けた建具1を正面からみたときに(図1参照)、上下となる方向が上下方向Rであり、左右となる方向が左右方向Sである。図1では、上下方向Rは鉛直方向であり、左右方向Sは水平方向である。室内外方向T(図2図3参照)は、建物に設けた建具1における室内外方向(屋内外方向)である。このように、建具1に関する方向は、建具1を建物に設けた状態での方向で特定する。また、建具1に関して室内側、室外側とは、建具1を建物に設けた状態での室内側、室外側である。
【0012】
枠体2は、方形状の開口枠(窓枠)であり、建物の開口部に設置される。また、枠体2は、互いに組み合わされた4つの枠10~13(上枠10、下枠11、一対の縦枠12、13)を有し、4つの枠10~13により、方形状の開口部2Aを形成する。上枠10と下枠11は、枠体2の上下の横枠であり、枠体2の上部と下部で左右方向S(横方向)に沿って延びる。一対の縦枠12、13は、枠体2の左右の側部で上下方向R(縦方向)に沿って延びる。上枠10、下枠11、及び、左右の縦枠12、13の端部同士が接続されて、枠10~13が枠組みされている。
【0013】
障子3~6は、スライドにより移動するパネル状の可動障子(パネル体)であり、枠体2の開口部2Aに移動可能(スライド可能)に配置されている。障子3~6は、枠体2の開口部2A内で、左右方向Sにスライドして引き違い状に移動する。障子3~6のそれぞれの移動により、枠体2の開口部2Aが開閉される。第1障子3と第2障子4は、室内側に位置する室内側障子であり、第3障子5と第4障子6は、室外側に位置する室外側障子である。網戸7は、障子3~6の室外側で、左右方向Sにスライドして移動する。
【0014】
第1障子3と第2障子4は、それぞれ、方形状の框体20と、框体20内に配置されたパネル21を有している。また、第3障子5と第4障子6は、それぞれ、方形状の框体30と、框体30内に配置されたパネル31を有している。パネル21、31は、例えば、複数のガラス板を有する複層ガラスであり、それぞれ框体20、30に嵌め込まれている。
【0015】
第1障子3と第2障子4では、框体20は、互い組み合わされた4つの框22~25(上框22、下框23、召合せ框24、突合せ框25)を有している。上框22と下框23は、框体20の上下の横框であり、框体20の上部と下部で左右方向S(横方向)に沿って延びる。召合せ框24と突合せ框25は、框体20の左右の縦框であり、框体20の左右の側部で上下方向R(縦方向)に沿って延びる。框22~25の端部同士が接続されて、框22~25が枠組みされている。
【0016】
第3障子5と第4障子6では、框体30は、互い組み合わされた4つの框32~35(上框32、下框33、召合せ框34、戸先框35)を有している。上框32と下框33は、框体30の上下の横框であり、框体30の上部と下部で左右方向S(横方向)に沿って延びる。召合せ框34と戸先框35は、框体30の左右の縦框であり、框体30の左右の側部で上下方向R(縦方向)に沿って延びる。框32~35の端部同士が接続されて、框32~35が枠組みされている。
【0017】
障子3~6により枠体2の開口部2Aが閉鎖されて、障子3~6が閉じ位置に配置されたときに、第3障子5と第4障子6の戸先框35は、それぞれ、枠体2の縦枠12、13に隣接して配置される。また、第1障子3の召合せ框24と第3障子5の召合せ框34は、室内外方向Tにおいて互いに重なり合い、第2障子4の召合せ框24と第4障子6の召合せ框34は、室内外方向Tにおいて互いに重なり合う。第1障子3と第2障子4は、左右方向Sに並べて配置されて、それぞれの突合せ框25が互いに突き合わされる。
【0018】
図4は、本実施形態の建具1の下枠11と障子3~6の下框23、33側の部分を示す縦断面図である。
図示のように、建具1は、上面部をフラット化したフラットタイプの下枠11を備えている。下枠11は、2つのレール14、15(第1レール14、第2レール15)と、レール14、15のそれぞれの室内外方向T(下枠11の見込み方向)の両側に位置する凹状の溝部16~19(第1室内側溝部16、第1室外側溝部17、第2室内側溝部18、第2室外側溝部19)を有している。
【0019】
レール14、15は、上方に向かって突出する突片であり、室内外方向Tに離隔して形成されている。また、レール14、15は、下框23、33よりも下側の位置から下框23、33内の位置まで突出する。溝部16~19は、下方に向かって窪む凹部であり、室内外方向Tに離隔して形成されて、上方に向かって開放されている。レール14、15と溝部16~19は、互いに並列して形成されて、それぞれ左右方向S(下枠11の長手方向)に延びる。
【0020】
第1レール14は、室内側に位置する室内側レールであり、第1室内側溝部16と第1室外側溝部17の間に位置する。第1室内側溝部16は、第1レール14の室内側に位置し、第1室外側溝部17は、第1レール14の室外側に位置する。第1室内側溝部16と第1室外側溝部17は、互いの間に第1レール14を挟んで、第1レール14に沿って延びる。第2レール15は、室外側に位置する室外側レールであり、第2室内側溝部18と第2室外側溝部19の間に位置する。第2室内側溝部18は、第2レール15の室内側に位置し、第2室外側溝部19は、第2レール15の室外側に位置する。第2室内側溝部18と第2室外側溝部19は、互いの間に第2レール15を挟んで、第2レール15に沿って延びる。
【0021】
障子3~6は、下框23、33に取り付けられた戸車26、36及び横タイト材(第1横タイト材27、37)を有している。戸車26、36は、下框23、33内に配置されて、下枠11のレール14、15に載置され、レール14、15に移動可能に支持されている。障子3~6は、戸車26、36により、下框23、33内でレール14、15に移動可能に連結され、レール14、15に沿って左右方向Sに移動する。下框23、33は、それぞれ下方に向かって垂下する室内側垂下片28、38及び室外側垂下片29、39を有している。室内側垂下片28、38と室外側垂下片29、39は、室内外方向T(下框23、33の見込み方向)に離隔して、互いに並列して形成され、それぞれ左右方向Sに延びる。
【0022】
第1障子3と第2障子4の下框23は、第1レール14の長手方向(左右方向S)に延び、第1レール14に沿って移動する。下框23の室内側垂下片28は、戸車26及び第1レール14の室内側に位置して、第1室内側溝部16内に配置される。下框23の室外側垂下片29は、戸車26及び第1レール14の室外側に位置して、第1室外側溝部17内に配置される。第1レール14の上側部分及び戸車26の下側部分は、下框23の室内側垂下片28と室外側垂下片29の間に配置される。
【0023】
第1横タイト材27、37は、下框23、33に設けられた下框タイト材であり、例えば、気密材(エアタイト材)である。第1障子3と第2障子4の第1横タイト材27は、下框23の長手方向の一端部から他端部まで、左右方向S(下框23の長手方向)に延びる。また、第1横タイト材27は、下框23の室外側垂下片29に取り付けられて、第1室外側溝部17内に配置される。第1室外側溝部17内で、第1横タイト材27は、第1レール14の室外側に配置されて、室外側垂下片29と第1レール14の間に位置する。第1横タイト材27は、室外側垂下片29から第1レール14に向かって突出し、第1レール14と当接して、第1レール14に沿って配置される。
【0024】
第3障子5と第4障子6の下框33は、第2レール15の長手方向(左右方向S)に延び、第2レール15に沿って移動する。下框33の室内側垂下片38は、戸車36及び第2レール15よりも室内側に位置して、第2室内側溝部18内に配置される。下框33の室外側垂下片39は、戸車36及び第2レール15よりも室外側に位置して、第2室外側溝部19内に配置される。第2レール15の上側部分及び戸車36の下側部分は、下框33の室内側垂下片38と室外側垂下片39の間に配置される。
【0025】
第3障子5と第4障子6の第1横タイト材37は、下框33の長手方向の一端部から他端部まで、左右方向S(下框33の長手方向)に延びる。また、第1横タイト材37は、下框33の室外側垂下片39に取り付けられて、第2室外側溝部19内に配置される。第2室外側溝部19内で、第1横タイト材37は、第2レール15の室外側に配置されて、室外側垂下片39と第2レール15の間に位置する。第1横タイト材37は、室外側垂下片39から第2レール15に向かって突出し、第2レール15と当接して、第2レール15に沿って配置される。
【0026】
図5は、本実施形態の建具1の第1障子3と第2障子4の突合せ框25側の部分を示す横断面図である。
図示のように、建具1は、互いに突き合わされる少なくとも2つの障子(突合せ障子)を備えている。ここでは、2つの障子3、4(第1障子3、第2障子4)が建具1に設けられた突合せ障子である。2つの障子3、4は、下枠11の同一のレール(第1レール14)に沿って移動して、それぞれの突合せ框25(25A、25B)同士が突き合わされて当接する。第1障子3の突合せ框25である第1突合せ框25Aと第2障子4の突合せ框25である第2突合せ框25Bは、それぞれ、突き合わされる相手の突合せ框25A、25Bに向かって突出する当接片40、41及び突片42、43を有している。
【0027】
当接片40、41は、突合せ框25A、25Bの室内外方向T(見込み方向)の中間部に形成され、突片42、43は、当接片40、41の室外側に位置している。突合せ框25A、25B同士が突き合わされた状態で、当接片40、41は、室内外方向Tに重ねて配置されて、互いに当接する。また、突片42、43は、互いの間に隙間をあけて、室内外方向Tに重ねて配置される。第1突合せ框25Aの当接片40は、第2突合せ框25Bの当接片41の室内側に配置され、第1突合せ框25Aの突片42は、第2突合せ框25Bの突片43の室外側に配置される。第2突合せ框25Bの当接片41と突片43は、室内外方向Tにおいて、第1突合せ框25Aの当接片40と突片42の間に配置される。
【0028】
互いに突き合わされる2つの障子3、4のうち、いずれか一方の障子3、4は、当該障子3、4の突合せ框25A、25Bに取り付けられた縦タイト材(第1縦タイト材44)を有している。第1縦タイト材44は、一方の障子3、4の突合せ框25A、25Bに設けられた突合せ框タイト材であり、2つの障子3、4の突合せ框25A、25B同士が突き合わされた状態で、他方の障子3、4の突合せ框25A、25Bと当接する。ここでは、一方の障子3、4は、第1障子3であり、他方の障子3、4は、第2障子4である。
【0029】
第1障子3の第1縦タイト材44は、例えば、気密材(エアタイト材)であり、第1突合せ框25Aの長手方向の一端部から他端部まで、上下方向R(第1突合せ框25Aの長手方向)に延びる。また、第1縦タイト材44は、第1突合せ框25Aの突片42に取り付けられて、突片42の室内側に配置される。突合せ框25A、25B同士が突き合わされた状態で、第1縦タイト材44は、第2突合せ框25Bの突片43と当接して、第2突合せ框25Bの突片43に沿って配置される。
【0030】
図6は、本実施形態の建具1の第1障子3と第2障子4を示す斜視図であり、互いに突き合わされる第1障子3の下コーナー部3Aと第2障子4の下コーナー部4Aを含む第1障子3と第2障子4の一部を斜め下側からみて示している。図7は、本実施形態の建具1の第1障子3と下枠11を示す斜視図であり、第1障子3の下コーナー部3Aを含む部分と下枠11の長手方向の一部を斜め上側からみて示している。
【0031】
図示のように、第1障子3と第2障子4は、それぞれ、下枠11の第1レール14に沿って配置される下框23と、下枠11と当接する第1横タイト材27と、中空状の突合せ框25A、25Bの下端部に取り付けられたキャップ50及び摺動部材60と、摺動部材60に取り付けられた横タイト材(第2横タイト材51)を有している。キャップ50と摺動部材60は、下框23と突合せ框25A、25Bが接続された障子3、4の下コーナー部3A、4Aに設けられている。キャップ50は、突合せ框25A、25Bの下端部に設けられて、摺動部材60の室内側に配置される。摺動部材60は、第1レール14を摺動する摺動部品であり、突合せ框25A、25Bの下端部に設けられて、第1レール14に沿って左右方向Sに移動する。
【0032】
図8図9は、本実施形態の建具1の摺動部材60(60A、60B)を示す斜視図である。図8は、第1障子3の摺動部材60である第1摺動部材60Aを示し、図9は、第2障子4の摺動部材60である第2摺動部材60Bを示している。図8A図9Aは、摺動部材60A、60Bを斜め下側からみて示し、図8B図9Bは、摺動部材60A、60Bを斜め上側からみて示している。
【0033】
図示のように、摺動部材60A、60Bは、それぞれ、取付部61A、61B、対向部62A、62B、室内側垂下部63A、63B、室外側垂下部64A、64B、及び、溝部65A、65Bを有している。取付部61A、61Bは、上方に突出して、突合せ框25A、25Bの下端部内に挿入され、突合せ框25A、25Bの下端部に取り付けられる。対向部62A、62Bは、2つの障子3、4の摺動部材60A、60Bの互いに対向する部分である。
【0034】
室内側垂下部63A、63Bと室外側垂下部64A、64Bは、室内外方向Tに離隔して、それぞれ下方に向かって垂下する。溝部65A、65Bは、上方に向かって窪む凹部であり、室内側垂下部63A、63Bと室外側垂下部64A、64Bの間に凹状に区画されて、下方に向かって開放されている。室内側垂下部63A、63B、室外側垂下部64A、64B、及び、溝部65A、65Bは、互いに並列して形成されて、それぞれ左右方向S(下框23の長手方向)に延びる。
【0035】
第2横タイト材51は、例えば、モヘアであり、摺動部材60A、60Bのそれぞれに設けられて、左右方向Sに延びる。第2横タイト材51は、摺動部材60A、60Bの室外側垂下部64A、64Bに取り付けられて、溝部65A、65B内に配置され、室外側垂下部64A、64Bから室内側垂下部63A、63Bに向かって室内外方向Tに突出している。
【0036】
第1障子3と第2障子4のそれぞれで(図6参照)、摺動部材60A、60Bの第2横タイト材51は、左右方向Sにおいて、下框23の第1横タイト材27と連続して配置される。第2横タイト材51は、第1横タイト材27と当接し、又は、第1横タイト材27と隣接して、第1横タイト材27と左右方向Sに連続する位置に配置される。左右方向Sにおいて、摺動部材60A、60Bの室内側垂下部63A、63Bは、下框23の室内側垂下片28に連続して配置され、摺動部材60A、60Bの室外側垂下部64A、64Bは、下框23の室外側垂下片29に連続して配置される。第1横タイト材27と第2横タイト材51は、障子3、4と下枠11の間で、左右方向S(横方向)に延びる横タイトラインを構成する。
【0037】
図10は、本実施形態の建具1の下枠11と障子3、4の突合せ框25A、25Bに設けられた摺動部材60A、60Bを示す縦断面図である。
図示のように、第1障子3と第2障子4のそれぞれで、第2横タイト材51は、下枠11の第1室外側溝部17内に配置されて、下枠11と当接する。また、摺動部材60A、60Bは、突合せ框25A、25Bの下端部から下方に向かって下枠11の第1室内側溝部16及び第1室外側溝部17内の位置まで突出する。摺動部材60A、60Bの室内側垂下部63A、63Bは、下枠11の第1レール14の室内側に位置して、第1室内側溝部16内に配置される。摺動部材60A、60Bの室外側垂下部64A、64Bは、下枠11の第1レール14の室外側に位置して、第1室外側溝部17内に配置される。
【0038】
第1レール14の上側部分は、摺動部材60A、60Bの室内側垂下部63A、63Bと室外側垂下部64A、64Bの間に配置されるとともに、摺動部材60A、60Bの溝部65A、65B内に配置される。第1室外側溝部17内で、第2横タイト材51は、第1レール14の室外側に配置されて、室外側垂下部64A、64Bと第1レール14の間に位置する。第2横タイト材51は、室外側垂下部64A、64Bから第1レール14に向かって突出し、第1レール14と当接して、第1レール14に沿って配置される。
【0039】
第1障子3(図8参照)は、第1障子3の第1摺動部材60Aに取り付けられた縦タイト材(第2縦タイト材52)を有している。第2縦タイト材52は、例えば、モヘアであり、第1摺動部材60Aに設けられて、上下方向Rに延びる。第2縦タイト材52は、第1摺動部材60Aの対向部62Aに取り付けられて、第1摺動部材60Aの対向部62Aから第2摺動部材60Bの対向部62Bに向かって左右方向Sに突出している。
【0040】
第1障子3の第1摺動部材60Aは、第2障子4の第2摺動部材60Bに向かって左右方向Sに張り出す壁部66Aを有している。壁部66Aは、第2縦タイト材52よりも室外側に位置して、第1摺動部材60Aの対向部62Aよりも第2摺動部材60B側の位置まで張り出す。第2縦タイト材52は、室外側垂下部64Aの端部に設けられて、室内外方向Tにおいて、溝部65Aと壁部66Aの間の位置に配置される。
【0041】
第1摺動部材60Aの壁部66A(図7参照)は、下枠11から上方に離隔して、下枠11と第1突合せ框25Aの下端部の間に配置される。第1障子3の第2縦タイト材52は、下枠11及び第1室外側溝部17よりも上側の位置から第1室外側溝部17内の位置まで配置される。第1室外側溝部17内で、第2縦タイト材52は、下枠11の第1レール14の室外側に配置されて、室内外方向Tにおいて、第1レール14に隣接する。第1障子3の第1縦タイト材44は、下枠11から上方に離隔して、第2縦タイト材52の上方に配置される。
【0042】
図11は、図7の矢印X2方向からみた第1障子3の第1突合せ框25Aと第1摺動部材60Aを示す側面図であり、第1突合せ框25Aの下側部分を示している。
図示のように、第1突合せ框25Aの下端部で、第2縦タイト材52は、第1縦タイト材44との間に隙間8をあけて、第1縦タイト材44の上下方向Rの下方に配置されている。第1縦タイト材44と第2縦タイト材52は、第1障子3の第1突合せ框25Aと第2障子4の第2突合せ框25Bの間で、上下方向R(縦方向)に延びる縦タイトラインを構成する。
【0043】
第1縦タイト材44と第2縦タイト材52は、上下方向Rにおいて、隙間8を挟んで互いに隣接する。第2縦タイト材52は、第1縦タイト材44と接触せずに、上下方向Rにおいて、第1縦タイト材44の下端部と対向する。第2縦タイト材52は、第1縦タイト材44の下端部と対向する位置から下枠11の第1レール14に隣接する位置(第1室外側溝部17内の位置)まで、上下方向R(第1突合せ框25Aの長手方向)に延びる。
【0044】
図12は、図2のX3-X3線で切断した建具1の断面での摺動部材60A、60Bの周辺部分を示す横断面図である。図13は、図12の横断面図から摺動部材60A、60Bを抜き出して示す底面図である。図14は、図2のX4-X4線で切断した建具1の断面での突合せ框25A、25Bの周辺部分を示す横断面図である。
図示のように、2つの障子3、4の突合せ框25A、25B同士が突き合わされた状態で、第1障子3の第2縦タイト材52は、第2障子4の第2摺動部材60Bと当接する。また、第1摺動部材60Aの対向部62Aと第2摺動部材60Bの対向部62Bは、左右方向Sにおいて互いに対向して配置される。第2縦タイト材52は、対向部62A、62Bの間に配置され、第1摺動部材60Aの対向部62Aから第2摺動部材60Bの対向部62Bに向かって突出して、第2摺動部材60Bの対向部62Bと当接する。
【0045】
第1摺動部材60Aの壁部66A(図11図13参照)は、2つの障子3、4の突合せ框25A、25B同士が突き合わされた状態で、第1縦タイト材44と第2縦タイト材52の間の隙間8に対して室内外方向Tの一方側に配置されて、隙間8を室内外方向Tの一方側から覆う。壁部66Aを室内外方向Tの一方側からみたときに、壁部66Aが隙間8を遮蔽する位置に配置されて、隙間8が壁部66Aにより遮蔽される。また、壁部66Aは、第1障子3の第1摺動部材60Aから第2障子4の第2摺動部材60Bの室内外方向Tの一方側の位置まで張り出す。ここでは、室内外方向Tの一方側は、室外側である。そのため、壁部66Aは、隙間8に対して室外側に配置されて、障子3、4の室外側から隙間8に向かう光又は風を遮る。
【0046】
壁部66Aは、第1縦タイト材44よりも室外側に位置し、第2縦タイト材52及び第2摺動部材60Bとの間に隙間をあけて配置される。また、壁部66Aは、第2縦タイト材52、対向部62A、62Bの間の箇所、及び、第2摺動部材60Bに対して室外側に配置される。壁部66Aは、第1摺動部材60Aから、第2縦タイト材52、対向部62A、62Bの間の箇所、及び、隙間8の室外側の位置を越えて、第2摺動部材60Bの室外側の位置まで張り出す。壁部66Aは、第1障子3の第1突合せ框25Aから下枠11に向かって下方に突出し、第1突合せ框25Aの下端部に沿って配置される。壁部66Aは、第1縦タイト材44よりも下側の位置に配置され、第2縦タイト材52の室外側で、第1突合せ框25Aから第2縦タイト材52の上端位置及び隙間8よりも下側の位置まで突出する。
【0047】
以上説明したように、本実施形態の建具1では、上下方向Rに連なる第1縦タイト材44と第2縦タイト材52により、2つの障子3、4の突合せ框25A、25Bの下端部で、気密性能と水密性能を安定して確保することができる。また、第1摺動部材60Aの壁部66Aにより、第1縦タイト材44と第2縦タイト材52の間の隙間8を通って、光又は風が障子3、4の室内側に漏れるのを抑制することができる。左右方向Sに連なる第1横タイト材27と第2横タイト材51によっても、障子3、4の突合せ框25A、25Bの下端部での気密性能と水密性能を安定して確保することができる。
【0048】
第1摺動部材60Aの壁部66Aは、第1縦タイト材44と第2縦タイト材52の間の隙間8に対して室外側に配置される。そのため、壁部66Aにより、障子3、4の室外側からの光又は風を遮り、光又は風が隙間8に達するのを抑制することができる。壁部66Aが第2摺動部材60Bの室外側の位置まで張り出すことで、壁部66Aによる光又は風を遮る効果を向上させることができる。また、壁部66Aが第2縦タイト材52の上端位置よりも下側の位置まで突出することで、壁部66Aによる光又は風を遮る効果を向上させることができる。
【0049】
なお、摺動部材60A、60Bは、本実施形態の形状に限定されず、様々な形状に変更することができる。摺動部材60A、60Bの形状を変更して、第2縦タイト材52を第1縦タイト材44と接触するように第1摺動部材60Aに設けて、第2縦タイト材52を第1縦タイト材44と接触させてもよい。この場合でも、障子3、4の移動時のガタツキや変形により、第1縦タイト材44と第2縦タイト材52の間に隙間8が生じることがある。第1摺動部材60Aの壁部66Aは、そのような隙間8に対しても効果を奏し、光又は風が隙間8を通って障子3、4の室内側に漏れるのを抑制する。
【0050】
第2横タイト材51と第2縦タイト材52は、モヘア以外のタイト材(例えば、気密材)であってもよい。また、2つの障子3、4の突合せ框25A、25B同士が突き合わされた状態で、第1障子3の第2横タイト材51と第2障子4の第2横タイト材51を互いに当接させてもよい。第1横タイト材27と第2横タイト材51は、下枠11の第1レール14以外の部分に当接してもよい。本実施形態の建具1では、室内外方向Tの一方側が室外側であり、室内外方向Tの他方側が室内側である。これに対し、室内外方向Tの一方側が室内側であり、室内外方向Tの他方側が室外側であってもよい。建具1は、互いに突き合わされる2つの障子3、4を少なくとも1組備えていればよく、互いに突き合わされる2つの障子3、4を複数組み備えていてもよい。
【0051】
以上のように、本発明は、レールを有する下枠と、同一の前記レールに沿って移動して突合せ框同士が突き合わされる2つの障子と、を備えた建具であって、
前記2つの障子は、それぞれ、前記突合せ框の下端部に設けられて、前記レールに沿って移動する摺動部材を有し、
一方の前記障子は、前記突合せ框に設けられて上下方向に延び、前記2つの障子の前記突合せ框同士が突き合わされた状態で、他方の前記障子の前記突合せ框と当接する第1縦タイト材と、前記摺動部材に設けられて前記第1縦タイト材の下方に配置され、前記2つの障子の前記突合せ框同士が突き合わされた状態で、前記他方の障子の前記摺動部材と当接する第2縦タイト材と、を有し、
前記一方の障子の前記摺動部材は、前記第1縦タイト材と前記第2縦タイト材の間の隙間に対して室内外方向の一方側に配置される壁部を有する建具である。
従って、2つの障子の互いに突き合わされる突合せ框の下端部で、気密性能と水密性能を安定して確保しつつ、光又は風が障子の室内側に漏れるのを抑制することができる。
【0052】
前記壁部は、前記一方の障子の前記摺動部材から前記他方の障子の前記摺動部材の室内外方向の一方側の位置まで張り出す。
従って、壁部による光又は風を遮る効果を向上させることができる。
【0053】
前記壁部は、前記一方の障子の前記突合せ框から前記第2縦タイト材の上端位置よりも下側の位置まで突出する。
従って、壁部による光又は風を遮る効果を向上させることができる。
【0054】
前記壁部は、前記第1縦タイト材と前記第2縦タイト材の間の隙間に対して室外側に配置される。
従って、壁部により、障子の室外側からの光又は風を遮り、光又は風が第1縦タイト材と第2縦タイト材の間の隙間に達するのを抑制することができる。
【0055】
前記2つの障子は、それぞれ、前記レールに沿って配置される下框と、前記下框に設けられて左右方向に延び、前記下枠と当接する第1横タイト材と、前記摺動部材に設けられて前記第1横タイト材と連続し、前記下枠と当接する第2横タイト材と、を有する。
従って、第1横タイト材と第2横タイト材により、障子の突合せ框の下端部での気密性能と水密性能を安定して確保することができる。
【符号の説明】
【0056】
1・・・建具、2・・・枠体、2A・・・開口部、3・・・第1障子、3A・・・下コーナー部、4・・・第2障子、4A・・・下コーナー部、5・・・第3障子、6・・・第4障子、7・・・網戸、8・・・隙間、10・・・上枠、11・・・下枠、12・・・縦枠、13・・・縦枠、14・・・第1レール、15・・・第2レール、16・・・第1室内側溝部、17・・・第1室外側溝部、18・・・第2室内側溝部、19・・・第2室外側溝部、20・・・框体、21・・・パネル、22・・・上框、23・・・下框、24・・・召合せ框、25・・・突合せ框、25A・・・第1突合せ框、25B・・・第2突合せ框、26・・・戸車、27・・・第1横タイト材、28・・・室内側垂下片、29・・・室外側垂下片、30・・・框体、31・・・パネル、32・・・上框、33・・・下框、34・・・召合せ框、35・・・戸先框、36・・・戸車、37・・・第1横タイト材、38・・・室内側垂下片、39・・・室外側垂下片、40・・・当接片、41・・・当接片、42・・・突片、43・・・突片、44・・・第1縦タイト材、50・・・キャップ、51・・・第2横タイト材、52・・・第2縦タイト材、60・・・摺動部材、60A・・・第1摺動部材、60B・・・第2摺動部材、61A・・・取付部、61B・・・取付部、62A・・・対向部、62B・・・対向部、63A・・・室内側垂下部、63B・・・室内側垂下部、64A・・・室外側垂下部、64B・・・室外側垂下部、65A・・・溝部、65B・・・溝部、66A・・・壁部、R・・・上下方向、S・・・左右方向、T・・・室内外方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14