(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149695
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】貨物自動車に用いられるシステム
(51)【国際特許分類】
B62D 33/04 20060101AFI20220929BHJP
B65G 1/137 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
B62D33/04 Z
B65G1/137 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021051960
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下沢 智啓
(72)【発明者】
【氏名】松下 真矢
(72)【発明者】
【氏名】水師 由佳
(72)【発明者】
【氏名】下中 淳史
【テーマコード(参考)】
3F522
【Fターム(参考)】
3F522AA10
3F522BB01
3F522BB29
3F522CC05
3F522CC06
3F522DD03
3F522DD22
3F522DD32
3F522EE02
3F522EE19
3F522FF02
3F522FF12
3F522FF35
3F522FF36
3F522GG45
3F522HH03
3F522HH18
3F522HH19
3F522HH34
3F522KK03
3F522LL41
3F522LL57
3F522LL58
(57)【要約】 (修正有)
【課題】荷積み及び荷下ろしの作業性向上、負担軽減、及び、誤配送の防止を実現できる、貨物自動車に用いられるシステムを提供すること。
【解決手段】本開示のシステムは、荷室20に設けられた複数の発光部21,22,23,24と、複数の発光部のうち、荷物を積み込む場所に対応する発光部、又は、積み下ろす荷物の場所に対応する発光部を発光させる発光制御部80と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨物自動車に用いられるシステムであって、
荷室に設けられた複数の発光部と、
前記複数の発光部のうち、荷物を積み込む場所に対応する発光部、又は、積み下ろす荷物の場所に対応する発光部を発光させる発光制御部と、
を備えるシステム。
【請求項2】
各荷物に付された識別情報を取得する識別情報取得部と、
前記荷室内への各荷物の配置場所を示す配置場所情報を記憶する記憶部と、
さらに備え、
前記発光制御部は、荷積み時には、前記識別情報取得部によって取得した識別情報に対応する配置場所の情報を前記配置場所情報から抽出し、抽出した配置場所に対応する発光部を発光させる、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
少なくとも各荷物の識別情報と配送場所とが関連付けられた配送場所情報を記憶する記憶部と、
現在位置情報取得部と、
をさらに備え、
前記発光制御部は、荷下ろし時には、前記配送場所情報を参照して、現在位置に対応する荷下ろし荷物の識別情報を特定し、特定した荷物の配置場所に対応する発光部を発光させる、
請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記発光制御部は、前記荷室の扉が開いているときに前記発光部を発光させるのに対して、前記荷室の扉が閉じているときには前記発光部を発光させない、
請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記発光制御部は、荷積み地点及び荷下ろし地点で前記発光部を表示させるのに対して、荷積み地点及び荷下ろし地点以外では前記発光部を表示させない、
請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、貨物自動車に用いられるシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から効率的な配送を実現するために、電子機器及び通信機器を用いた種々の配送システムが提案されている(例えば特許文献1等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、配送ルートや配送スケジュールについては従来から多くの検討がなされているが、荷室への荷物の荷積み及び荷下ろしについては、ドライバーのスキルや記憶に委ねられている。
【0005】
具体的には、従来の配送では、ドライバーは、車両への荷積み時に、再送順序などを考慮して荷物の積載場所を決めて荷物を積載するとともに積載場所を記憶しておき、荷下ろし時に、記憶した積載場所から荷物を見つけ出していた。
【0006】
このように、ドライバーの荷積みスキルや記憶に頼って荷室内の荷物を見つけ出していたため、荷下ろし時の荷物の発見が効率的に行われてはいなかった。また、十分なスキルを持った配送ドライバーを育成するのに時間がかかり、初心者には難しい仕事となっている。
【0007】
さらに、荷物を積み込む人と荷下ろしをする人が別々になると荷物の発見が非常に難しくなるので、荷積み荷下ろし作業の分業化ができず、その結果、ドライバーに負担が集中してしまうという問題が生じる。
【0008】
本開示は、以上の点を考慮してなされたものであり、荷積み及び荷下ろしの作業性向上、負担軽減、及び、誤配送の防止を実現できる、貨物自動車に用いられるシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の貨物自動車に用いられるシステムの一つの態様は、
荷室に設けられた複数の発光部と、
前記複数の発光部のうち、荷物を積み込む場所に対応する発光部、又は、積み下ろす荷物の場所に対応する発光部を発光させる発光制御部と、
を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、荷積み及び荷下ろしの作業性向上、負担軽減、及び、誤配送の防止を実現できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】荷室への荷積み時のシステムの動作の説明に供するフローチャート
【
図3】荷室からの荷下ろし時のシステムの動作の説明に供するフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1は、本実施の形態の貨物自動車に用いられるシステム10の全体構成を示す図である。
【0014】
図1において、20は貨物自動車の荷室を示している。荷室20の天井には複数の発光部21~24が設けられている。なお、発光部の数及び配置位置は、
図1の例に限らない。要は、発光部は荷室20の天井に複数設けられていればよい。さらには、発光部は、天井に限らず、荷室20の側面や床に複数設けられていてもよい。
【0015】
また、荷室20内にはRFIDアンテナ30が設けられている。なお、
図1の例では、荷室20の側壁に複数のRFIDアンテナ30を設けた例を示したが、RFIDアンテナ30の数及び配置位置は、
図1の例に限らない。RFIDアンテナ30は、各荷物40に付されたRFIDタグ41を、荷物40が荷室20のどの位置に置かれても読み取ることができる位置に配設されていることが好ましい。
【0016】
さらに、システム10は、RFIDリーダーライター60と、記憶部70と、発光制御部80と、を有する。これらは、荷室20を有する貨物自動車に搭載されてもよいし、タブレット端末等の携帯端末に搭載されてもよい。ただし、RFIDリーダーライター60、記憶部70及び発光制御部80が携帯端末に搭載される場合、この携帯端末は荷積み及び荷下ろし時に、荷積み及び荷下ろしする場所で利用されるものとする。
【0017】
RFIDリーダーライター60はRFIDアンテナ30と有線又は無線にて接続されている。発光制御部80は発光部21~24と有線又は無線にて接続されている。
【0018】
荷物40に付されたRFIDタグ41の情報がRFIDアンテナ30及びRFIDリーダーライター60を介して発光制御部80に入力される。また、発光制御部80には、GPS(Global Positioning System)により取得された現在位置情報が入力される。
【0019】
記憶部70には、配送スケジュール情報及び配置場所情報が予め記憶されている。配送スケジュール情報とは、各荷物40をどの順序でどの場所に配送するかを示す情報である。配置場所情報とは、荷室20内への各荷物40の配置場所を示す情報である。配送スケジュール情報及び配置場所情報は、例えば配送の管理を行う管理センターによって予め作成されて記憶部70に記憶される。ただし、配置場所情報は、例えば、配送スケジュール情報に基づいて発光制御部80が決めてもよい。
【0020】
次に、本実施の形態のシステム10の動作について説明する。
【0021】
図2は、荷室20への荷積み時のシステム10の動作の説明に供するフローチャートである。
【0022】
先ず、ステップS11において、これから積み込まれる荷物40のRFIDタグ41がRFIDアンテナ30及びRDリーダーライター60を介して発光制御部80に入力されることで、発光制御部80はこれから積み込まれる荷物40のIDを認識する。
【0023】
続くステップS12において、発光制御部80は、記憶部70に記憶された配置場所情報を参照して、こらから積み込まれる荷物40のIDに対応する配置場所を抽出する。
【0024】
続くステップS13において、発光制御部80は、抽出した配置場所に対応する発光部21~24を発光させる。
図1の例では、発光部22が発光されている。
【0025】
図3は、荷室20からの荷下ろし時のシステム10の動作の説明に供するフローチャートである。
【0026】
先ず、ステップS21において、発光制御部80が現在位置情報を取得する。
【0027】
続くステップS22において、発光制御部80が記憶部70に記憶された配送スケジュール情報を参照して、現在位置に対応する荷下ろし荷物のIDを特定する。
【0028】
続くステップS23において、発光制御部80は、記憶部70に記憶された配置場所情報を参照して、これから荷下ろしされる荷物40のID(ステップS22で特定されたID)に対応する配置場所を抽出する。
【0029】
続くステップS24において、発光制御部80は、抽出した配置場所に対応する発光部21~24を発光させる。
図1の例では、発光部22が発光されている。なお、発光制御部80は、ステップS22で荷下ろし荷物のIDを特定したら、ステップS23の処理を行わずに、RFIDアンテナ30及びRFIDリーダーライター60からの情報に基づいて特定した荷物の実際の位置を求めて、その位置に対応する発光部21~24を発光させるようにしてもよい。
【0030】
このようにして、荷積み時において積み込むべき場所が発光部21~24によって指示されるとともに、荷下ろし時において荷下ろしすべき荷物40の場所が発光部21~24によって指示される。
【0031】
以上説明したように、本実施の形態によれば、荷室20に設けられた複数の発光部21~24と、複数の発光部21~24のうち、荷物40を積み込む場所に対応する発光部21~24、又は、積み下ろす荷物40の場所に対応する発光部21~24を発光させる発光制御部80と、を設けたことにより、荷積み及び荷下ろしの作業性向上、負担軽減、及び、誤配送の防止を実現できるようになる。
【0032】
つまり、ドライバーは素早く荷積み及び荷下ろしの位置を把握できるため、作業性が向上する。また、荷積みする人と荷下ろしする人の間で荷物位置の引継ぎをする必要がなくなるので、荷積み荷下ろし作業の分業化が可能となり、この結果、ドライバーの負担が軽減する。また、誤配送を防止できる。
【0033】
上述の実施の形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することの無い範囲で、様々な形で実施することができる。
【0034】
上述の実施の形態に加えて、以下の1)~4)のような処理を行うことで、消費電力を抑制することが好ましい。
【0035】
1)発光制御部80は、荷室20の扉が開いているときに発光部21~24を発光させるのに対して、荷室20の扉が閉じているときには発光部21~24を発光させない。荷室20の扉の開閉は、例えば、荷室20内の光量又はバックカメラの差分画像で判断できる。
【0036】
2)発光制御部80は、荷積み地点及び荷下ろし地点で発光部21~24を表示させるのに対して、荷積み地点及び荷下ろし地点以外では発光部21~24を表示させない。このような制御は、予め荷積み地点及び荷下ろし地点を登録しておき、GPSと連動することで実現できる。
【0037】
3)発光制御部80は、ドライバーの音声指示に従って、発光部21~24を発光及び消灯制御する。
【0038】
4)発光制御部80は、スマートフォンからの指示に従って、発光部21~24を発光及び消灯制御する。
【0039】
なお、上述の実施の形態では、識別情報としてRFIDを用いた場合について述べたが、識別情報はこれに限らず、例えばバーコード等であってもよい。この場合、RFIDアンテナ30やRFIDリーダーライター60に代えてバーコードリーダーを用いればよい。
【0040】
ところで、このようにRFIDをバーコードに代えても荷積み時には、上述の実施の形態と同様の効果が得られる。ただし、荷下ろし時のことを考慮すると、RFIDを用いる方が好ましい。何故なら、荷積み時に指示された場所に荷物40が置かれた場合には、荷下ろしする荷物40の位置は予め決められた配置場所情報と同じなので正しい位置の発光部21~24を発光させることができるので、バーコードを用いた場合でも十分対応できる。しかし、荷積み時に指示された場所とは異なる場所に荷物40が置かれた場合には、荷下ろしする荷物40の位置は予め決められた配置場所情報と異なるので、正しい位置の発光部21~24を発光させることができなくなる。このような場合でも、RFIDを用いれば、各荷物40の実際の積載場所を把握できるので、荷下ろし対象の荷物40に対応する位置の発光部21~24を発光させることができるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本開示の技術は、例えば宅配業者が所有する貨物自動車に用いられるシステムに適用可能である。
【符号の説明】
【0042】
10 システム
20 荷室
21~24 発光部
30 RFIDアンテナ
40 荷物
41 RFIDタグ
60 RFIDリーダーライター
70 記憶部
80 発光制御部