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  • 特開-ドライバー異常時対応システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149707
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】ドライバー異常時対応システム
(51)【国際特許分類】
   B60T 17/20 20060101AFI20220929BHJP
   B60T 17/18 20060101ALI20220929BHJP
   B60T 8/96 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
B60T17/20
B60T17/18
B60T8/96
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021051975
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大下 ワサンタ
(72)【発明者】
【氏名】前川 康之
【テーマコード(参考)】
3D049
3D246
【Fターム(参考)】
3D049BB02
3D049HH38
3D049HH51
3D049HH52
3D049QQ02
3D049RR12
3D246DA01
3D246GA01
3D246GC16
3D246HA57A
3D246JA03
3D246JA12
3D246JB11
3D246LA01Z
3D246MA06
3D246MA16
3D246MA38
(57)【要約】
【課題】ドライバー異常時に、より安全性を高めることができるドライバー異常時対応システムを提供すること。
【解決手段】ドライバー異常時対応システムは、ドライバーの異常時に操作されるスイッチと、自動ブレーキを実行可能な電子制御ブレーキシステムと、ドライバー異常時対応システムが作動していることを車外に知らせる車外出力部と、少なくとも前記スイッチが操作されたときに、前記電子制御ブレーキシステム及び前記車外出力部をオン動作させる制御部と、を有し、前記制御部は、前記ドライバー異常時対応システムの作動中に前記ドライバー異常時対応システムに関連する部分が故障した場合に、前記電子制御ブレーキシステムのオン動作を継続させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライバーの異常時に操作されるスイッチと、
自動ブレーキを実行可能な電子制御ブレーキシステムと、
ドライバー異常時対応システムが作動していることを車外に知らせる車外出力部と、
少なくとも前記スイッチが操作されたときに、前記電子制御ブレーキシステム及び前記車外出力部をオン動作させる制御部と、
を有し、
前記制御部は、前記ドライバー異常時対応システムの作動中に前記ドライバー異常時対応システムに関連する部分が故障した場合に、前記電子制御ブレーキシステムのオン動作を継続させる、
ドライバー異常時対応システム。
【請求項2】
前記制御部は、
自車停車後に、前記電子制御ブレーキシステムに減速時よりも大きなブレーキ圧を発生させることを指示する制御信号を出力する、
請求項1に記載のドライバー異常時対応システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、EDSS(Emergency Driving and Stop System)と呼ばれるドライバー異常時対応システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バス等の車両では、EDSSと呼ばれるドライバー異常時対応システムが搭載されている。EDSSは、走行中、ドライバーが急病などで安全に運転できない状態に陥ったことがカメラで監視され、又は、乗客や乗務員によって非常ブレーキスイッチが操作された場合に、自動ブレーキが作動し、車両が減速して停止する。
【0003】
EDSSについては、例えば特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-57134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来のEDSSにおいては、EDSSにより自動ブレーキが作動した後に衝突などによって車両が故障した場合については、十分な配慮がなされていなかった。
【0006】
本開示は、以上の点を考慮してなされたものであり、ドライバー異常時に、より安全性を高めることができるドライバー異常時対応システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のドライバー異常時対応システムの一つの態様は、
ドライバーの異常時に操作されるスイッチと、
自動ブレーキを実行可能な電子制御ブレーキシステムと、
ドライバー異常時対応システムが作動していることを車外に知らせる車外出力部と、
少なくとも前記スイッチが操作されたときに、前記電子制御ブレーキシステム及び前記車外出力部をオン動作させる制御部と、
を有し、
前記制御部は、前記ドライバー異常時対応システムの作動中に前記ドライバー異常時対応システムに関連する部分が故障した場合に、前記電子制御ブレーキシステムのオン動作を継続させる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、ドライバー異常時に、より安全性を高めることができるドライバー異常時対応システムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態に係るドライバー異常時対応システムの構成例を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0010】
まず、実施の形態を説明する前に、本発明に至った経緯について説明する。
【0011】
EDSSが搭載された車両では、走行中、ドライバーが急病などで安全に運転できない状態に陥ったことがカメラで監視され、又は、乗客や乗務員によって非常ブレーキスイッチが操作された場合に、自動ブレーキが作動し、車両が減速して停止する。
【0012】
一般に、このEDSSによる自動ブレーキは、周辺の交通や乗客への影響を考慮して、減速度を-2.45m/sよりも小さくできないといった制約条件がある。つまり、EDSSが作動した車両は、急減速することなく、緩やかに減速しながら停止することとなる。
【0013】
したがって、停止前に、車両が道路の側壁などに接触して、車両が故障するおそれがある。
【0014】
本発明の発明者は、故障が生じた際に、自動ブレーキが停止する可能性があると安全性が低下すると考えて、本発明に至った。
【0015】
本発明の一つの特徴は、EDSS作動時にEDSSの関連部品に故障が検出された場合でも、自動ブレーキは稼働させ続けることである。このようにすることで、車両を安全に停車させることができる。
【0016】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
図1は、本開示の一実施の形態に係るドライバー異常時対応システム(以下、EDSSと呼ぶ)100の構成例を示すブロック図である。EDSS100は、例えばバスに搭載されている。
【0018】
EDSS100は、EDSS制御ECU(EECU)110、EBS(Electric Brake System:電子制御ブレーキシステム)120、ECM(Engine Control Module:エンジン制御モジュール)130、TCM(Transmission Control Module:トランスミッション制御モジュール)140、ドライバー監視装置150及びBCM(Body Control Module:車体制御モジュール)160を有する。これらは、既知の構成なのでここでの詳しい説明は省略する。なお、EECU110には、EDSS制御部111が設けられている。
【0019】
ドライバー監視装置150は、例えばカメラを有し、ドライバーの異常を検出して、検出結果をEDSS制御部111に出力する。
【0020】
また、EDSS100は、入力スイッチ11、車内スピーカー12、レーダー13、カメラ14、メーターパネル15、スピーカー16及び車外出力部17を有する。入力スイッチ11は、EDSSを作動開始させるためのボタンであり、車内の複数箇所に設けられている。レーダー13及びカメラ14は、車両の前方を含む周辺情報を取得するために設けられている。メーターパネル15には、インジケーター等が設けられている。スピーカー16は、運転席に設けられており、ドライバーに音声にて警告を出力する。車外出力部17は、EDSS作動時が作動していることを周辺の車両等に知らせることが可能なデバイスで構成され、例えばホーン、ハザード及び制動灯が含まれる。なお、図の例では、ホーンをBCM160により作動させる記載となっているが、ホーンはEECU110で作動させてもよい。
【0021】
ドライバー監視装置150よってドライバーの異常が検出され、又は、入力スイッチ11が操作されると、EDSS制御部111はEDSSを作動させる。EDSS作動時、EDSS制御部111は、EBS120に自動ブレーキを作動させるための制御信号を出力することでEDSS仕様に応じた減速度で車両を減速させる。加えて、EDSS制御部111は、車内スピーカー12からEDSSが作動したことを出力させ、メーターパネル15のインジケーターにEDSSが作動したことを表示させ、車外出力部17のホーンを鳴らし、ハザードを点滅させ及び制動灯を点灯させる。
【0022】
このEDSS作動中に、車両の衝突などにより、EDSSに関連する部品、例えばBCM160が故障したとする。EDSS制御部111は、例えば、BCM160から故障したことを示す信号を入力することで、EDSS関連部品の故障を検知する。
【0023】
ただし、本実施の形態のEDSS制御部111は、EBS120には自動ブレーキを作動し続けることを指示する制御信号を出力する。EDSS制御部111は、車両が停止するまで、自動ブレーキの作動を継続させる。
【0024】
EDSS制御部111は、EDSSをオフにするオフスイッチ20により、EDSSのオフ指令を受付けるまで、自動ブレーキの作動指示制御信号を継続して出力する。これにより、故障があった場合でも、意図的にオフするまで、EDSSをONし続けることで安全性を高めるようになっている。
【0025】
以上説明したように、本実施の形態によれば、ドライバーの異常時に操作される入力スイッチ11と、自動ブレーキを実行可能な電子制御ブレーキシステム(EBS)120と、ドライバー異常時対応システムが作動していることを車外に知らせる車外出力部17と、少なくとも入力スイッチ11が操作されたときに、電子制御ブレーキシステム(EBS)120及び車外出力部17をオン動作させる制御部(EDSS制御部111)と、を有し、制御部(EDSS制御部111)は、ドライバー異常時対応システムの作動中にドライバー異常時対応システムに関連する部分が故障した場合に、電子制御ブレーキシステム(EBS)120のオン動作を継続させる。
【0026】
これにより、故障が起こった場合でも、車両を安全に停車させることができるようになる。
【0027】
上述の実施の形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することの無い範囲で、様々な形で実施することができる。
【0028】
上述の実施の形態に加えて、EDSS制御部111は、自車停車後に、EBS120に減速時よりも大きなブレーキ圧を発生させることを指示する制御信号を出力してもよい。このようにすれば、車両停車位置が坂道だった場合に、車両のずり下がりを防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本開示のドライバー異常時対応システムは、例えばバスに用いて好適である。
【符号の説明】
【0030】
11 入力スイッチ
12 車内スピーカー
13 レーダー
14 カメラ
15 メーターパネル
16 スピーカー
17 車外出力部
100 ドライバー異常対応システム(EDSS)
110 EDSS制御ECU(EECU)
120 EBS(Electric Brake System:電子制御ブレーキシステム)
130 ECM(Engine Control Module:エンジン制御モジュール)
140 TCM(Transmission Control Module:トランスミッション制御モジュール)
150 ドライバー監視装置
160 BCM(Body Control Module:車体制御モジュール)
図1