IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エヌパット株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-姿勢保持装置 図1
  • 特開-姿勢保持装置 図2
  • 特開-姿勢保持装置 図3
  • 特開-姿勢保持装置 図4
  • 特開-姿勢保持装置 図5
  • 特開-姿勢保持装置 図6
  • 特開-姿勢保持装置 図7
  • 特開-姿勢保持装置 図8
  • 特開-姿勢保持装置 図9
  • 特開-姿勢保持装置 図10
  • 特開-姿勢保持装置 図11
  • 特開-姿勢保持装置 図12
  • 特開-姿勢保持装置 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022014971
(43)【公開日】2022-01-21
(54)【発明の名称】姿勢保持装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/0047 20190101AFI20220114BHJP
   F16M 13/02 20060101ALI20220114BHJP
   F16M 13/00 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
F24F1/0047
F16M13/02 C
F16M13/00 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020117523
(22)【出願日】2020-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】398034319
【氏名又は名称】エヌパット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117651
【弁理士】
【氏名又は名称】高垣 泰志
(72)【発明者】
【氏名】生野 真
(72)【発明者】
【氏名】石川 将司
(57)【要約】
【課題】空気調和機本体に対するチャンバの姿勢を適切な状態とするための作業を軽減する。
【解決手段】空気調和機本体110の吹出口に対して吹出チャンバ120が装着される空気調和機100に取り付けられ、空気調和機本体110に対する吹出チャンバ120の姿勢を保持する姿勢保持装置1は、吹出チャンバ120の空気調和機本体110に対向する面とは反対側の端面120bの上部に係合する第1係合部11と、空気調和機本体110の吹出口が設けられた面とは反対側の端面116(130b)の上部に係合する第2係合部21と、空気調和機本体110及び吹出チャンバ120の上面側を横断して第1係合部11と第2係合部21とを相互に連結し、第1係合部11と第2係合部21との間に張力を生じさせる連結部4と、を備える構成である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和機本体の吹出口に対して吹出チャンバが装着される空気調和機に取り付けられ、前記空気調和機本体に対する前記吹出チャンバの姿勢を保持する姿勢保持装置であって、
前記吹出チャンバの前記吹出口に対向する面とは反対側の端面の上部に係合する第1係合部と、
前記空気調和機本体の前記吹出口が設けられた面とは反対側の端面の上部に係合する第2係合部と、
前記空気調和機本体及び前記吹出チャンバの上面側を横断して前記第1係合部と前記第2係合部とを相互に連結し、前記第1係合部と前記第2係合部との間に張力を生じさせる連結部と、
を備えることを特徴とする姿勢保持装置。
【請求項2】
前記連結部は、ボルトによって構成され、
前記第1係合部は、前記吹出チャンバの上方に突出して前記ボルトの一端を挿通する孔が形成された第1接続部を有し、
前記第2係合部は、前記空気調和機本体の上方に突出して前記ボルトの他端を挿通する孔が形成された第2接続部を有し、
前記ボルトは、前記第1係合部に設けられた孔と前記第2係合部に設けられた孔との双方に挿通された状態で両端にナットが装着され、前記ナットが締め付けられることによって前記第1係合部と前記第2係合部との間に張力を生じさせることを特徴とする請求項1に記載の姿勢保持装置。
【請求項3】
前記第1係合部と前記第1接続部とを接続し、前記吹出チャンバの上面に沿って配置される第1平板部を有することを特徴とする請求項2に記載の姿勢保持装置。
【請求項4】
前記空気調和機本体は、前記吹出口の周縁部を突出させた吹出スリーブを有し、
前記吹出チャンバは、前記吹出スリーブの外側又は内側に装着される接続スリーブを有し、前記接続スリーブを前記吹出スリーブに重ね合わせた状態でビス止めされることによって前記空気調和機本体に装着され、
前記姿勢保持装置は、
前記吹出スリーブと前記接続スリーブとが重なった部分の上面側に配置されるスペーサを更に備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の姿勢保持装置。
【請求項5】
空気調和機本体の一方の端部に設けられる吹出口に対して吹出チャンバが装着されると共に、前記一方の端部とは反対側の他方の端部に設けられる吸気口に対して吸気チャンバが装着される空気調和機に取り付けられ、前記空気調和機本体に対する前記吹出チャンバ及び前記吸気チャンバの姿勢を保持する姿勢保持装置であって、
前記吹出チャンバの前記吹出口に対向する面とは反対側の端面の上部に係合する第1係合部と、
前記吸気チャンバの前記吸気口に対応する面とは反対側の端面の上部に係合する第2係合部と、
前記空気調和機本体の上面側を横断して前記第1係合部と前記第2係合部とを相互に連結し、前記第1係合部と前記第2係合部との間に張力を生じさせる連結部と、
を備えることを特徴とする姿勢保持装置。
【請求項6】
前記連結部は、ボルトによって構成され、
前記第1係合部は、前記吹出チャンバの上方に突出して前記ボルトの一端を挿通する孔が形成された第1接続部を有し、
前記第2係合部は、前記吸気チャンバの上方に突出して前記ボルトの他端を挿通する孔が形成された第2接続部を有し、
前記ボルトは、前記第1係合部に設けられた孔と前記第2係合部に設けられた孔との双方に挿通された状態で両端にナットが装着され、前記ナットが締め付けられることによって前記第1係合部と前記第2係合部との間に張力を生じさせることを特徴とする請求項5に記載の姿勢保持装置。
【請求項7】
前記第1係合部と前記第1接続部とを接続し、前記吹出チャンバの上面に沿って配置される第1平板部を有することを特徴とする請求項6に記載の姿勢保持装置。
【請求項8】
前記空気調和機本体は、前記吹出口の周縁部を突出させた吹出スリーブと、前記吸気口の周縁部を突出させた吸気スリーブとを有し、
前記吹出チャンバは、前記吹出スリーブに装着される第1接続スリーブを有し、前記第1接続スリーブを前記吹出スリーブに重ね合わせた状態でビス止めされることによって前記空気調和機本体に装着され、
前記吸気チャンバは、前記吸気スリーブに装着される第2接続スリーブを有し、前記第2接続スリーブを前記吸気スリーブに重ね合わせた状態でビス止めされることによって前記空気調和機本体に装着され、
前記姿勢保持装置は、
前記吹出スリーブと前記第1接続スリーブとが重なった部分、及び、前記吸気スリーブと前記第2接続スリーブとが重なった部分のそれぞれの上面側に配置されるスペーサを更に備えることを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の姿勢保持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機本体の端部に吹出チャンバなどのチャンバが装着される空気調和機において、空気調和機本体に対するチャンバの姿勢を保持する姿勢保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、天井空間に隠蔽された状態で設置される空気調和機が知られている(例えば、特許文献1)。この種の空気調和機には、天井スラブなどの天井構造から垂下する吊りボルトなどによって支持される空気調和機本体と、その空気調和機本体の一側面に設けられた吹出部に装着される吹出チャンバとを備えるものが存在する。例えば、空気調和機本体は吹出口の周縁部を突出させた吹出スリーブを有しており、吹出チャンバには吹出スリーブに装着される接続スリーブが設けられる。吹出チャンバは、吹出スリーブの内側又は外側に接続スリーブを嵌め込むことにより、空気調和機本体の側面に対して一体的に装着される。
【0003】
空気調和機が運転を開始すると、空気調和機本体の内部に設けられているファンが作動するため、吹出口から吹出チャンバに対して空調された空気が吹き出される。空気調和機本体から吹き出される風圧が高いことから、吹出スリーブと接続スリーブとが重なった部分には周方向に多数のビスが打ち付けられ、空気調和機本体から吹出チャンバが離脱しないように固定される。
【0004】
しかしながら、接続スリーブに打ち付けられた多数のビスによって吹出チャンバを支持するだけでは、吹出チャンバの端部がその重みによって垂れ下がった状態となってしまう。これを防止するため、従来は、空気調和機本体と同様に、吹出チャンバの側面や端部に吊りボルトなどを取り付けて吹出チャンバを吊り下げた状態に支持することにより、吹出チャンバの端部が垂れ下がることを防止して空気調和機本体に対する適切な姿勢を保持するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-207095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、吹出チャンバを吊りボルトなどで支持する構造は、次のような問題点がある。
【0007】
第1に、吹出チャンバを支持する吊りボルトを天井スラブなどの天井構造に設置する際には、天井構造にアンカーを設置して吊りボルトを取り付ける必要がある。このとき、吹出チャンバのサイズや天井空間における吹出チャンバの設置位置に応じてアンカーを適切な位置に設置する必要があり、作業効率が悪い。また、アンカーの設置作業やアンカーに対する吊りボルトの取り付け作業は、高所作業となることからも作業効率が悪いという問題がある。
【0008】
第2に、空気調和機本体には、吹出チャンバの他に、吸気チャンバが装着されることもある。吸気チャンバは、空気調和機本体において吹出チャンバが取り付けられた側面とは反対側の側面に取り付けられる。この場合、吸気チャンバも端部が垂れ下がった状態となることを防止するために、吹出チャンバと同様に、吊りボルトなどによって吊り下げた状態に支持される。空気調和機本体に吹出チャンバ及び吸気チャンバが装着される場合、吹出チャンバ及び吸気チャンバはいずれも空気調和機本体に対して略水平な状態に取り付けることが好ましい。ところが、吹出チャンバ及び吸気チャンバのそれぞれの姿勢を空気調和機本体に適合させようとすると、吹出チャンバ及び吸気チャンバのそれぞれに対して個別に姿勢調整を行わなければならない。そのため、空気調和機本体に対して吹出チャンバと吸気チャンバとが装着される場合には特に作業効率が低下するという問題がある。
【0009】
第3に、吹出チャンバが吊りボルトによって支持されると、天井構造と吹出チャンバとの間に吊りボルトが設置されることになり、天井構造と吹出チャンバとの間の空間を有効活用することができない。そのため、吹出チャンバの上方空間に各種配管などを配置することができないという問題がある。
【0010】
第4に、吹出チャンバの側面には、フレキシブルダクトなどのダクトを接続するためのダクト接続部が設けられる。このダクト接続部の近傍位置に吊りボルトが取り付けられると、ダクト接続部に対してダクトを取り付ける際に吊りボルトが邪魔になる。これを防止するため、ダクト接続部の近傍位置に吊りボルトを取り付けることが規制されており、吊りボルトを取り付ける位置が制限される。そのため、吹出チャンバに吊りボルトを取り付ける際には、ダクト接続部の近傍を避けるように吊りボルトを取り付けなければならず、作業効率が悪いという問題がある。
【0011】
そこで本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、空気調和機本体に対するチャンバの姿勢を適切な状態とするための作業を軽減することが可能な姿勢保持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、第1に、本発明は、空気調和機本体(110)の吹出口に対して吹出チャンバ(120)が装着される空気調和機(100)に取り付けられ、前記空気調和機本体(110)に対する前記吹出チャンバ(120)の姿勢を保持する姿勢保持装置(1)であって、前記吹出チャンバ(120)の前記吹出口に対向する面とは反対側の端面(120b)の上部に係合する第1係合部(11)と、前記空気調和機本体(110)の前記吹出口が設けられた面とは反対側の端面(116,130b)の上部に係合する第2係合部(21)と、前記空気調和機本体(110)及び前記吹出チャンバ(120)の上面側を横断して前記第1係合部(11)と前記第2係合部(21)とを相互に連結し、前記第1係合部(11)と前記第2係合部(21)との間に張力を生じさせる連結部(4)と、を備えることを特徴とする構成である。
【0013】
第2に、本発明は、上記第1の構成を有する姿勢保持装置(1)において、前記連結部(4)は、ボルトによって構成され、前記第1係合部(11)は、前記吹出チャンバ(120)の上方に突出して前記ボルトの一端を挿通する孔(14)が形成された第1接続部(12)を有し、前記第2係合部(21)は、前記空気調和機本体(110)の上方に突出して前記ボルトの他端を挿通する孔(24)が形成された第2接続部(22)を有し、前記ボルトは、前記第1係合部(11)に設けられた孔(14)と前記第2係合部(21)に設けられた孔(24)との双方に挿通された状態で両端にナット(5,5)が装着され、前記ナット(5)が締め付けられることによって前記第1係合部(11)と前記第2係合部(21)との間に張力を生じさせることを特徴とする構成である。
【0014】
第3に、本発明は、上記第2の構成を有する姿勢保持装置(1)において、前記第1係合部(11)と前記第1接続部(12)とを接続し、前記吹出チャンバ(120)の上面に沿って配置される第1平板部(15)を有することを特徴とする構成である。
【0015】
第4に、本発明は、上記第1乃至第3のいずれかの構成を有する姿勢保持装置(1)において、前記空気調和機本体(110)は、前記吹出口の周縁部を突出させた吹出スリーブ(117)を有し、前記吹出チャンバ(120)は、前記吹出スリーブ(117)の外側又は内側に装着される接続スリーブ(127)を有し、前記接続スリーブ(127)を前記吹出スリーブ(117)に重ね合わせた状態でビス止めされることによって前記空気調和機本体(110)に装着され、前記姿勢保持装置(1)は、前記吹出スリーブ(117)と前記接続スリーブ(127)とが重なった部分の上面側に配置されるスペーサ(30)を更に備えることを特徴とする構成である。
【0016】
第5に、本発明は、空気調和機本体(110)の一方の端部に設けられる吹出口に対して吹出チャンバ(120)が装着されると共に、前記一方の端部とは反対側の他方の端部に設けられる吸気口に対して吸気チャンバ(130)が装着される空気調和機(100)に取り付けられ、前記空気調和機本体(110)に対する前記吹出チャンバ(120)及び前記吸気チャンバ(130)の姿勢を保持する姿勢保持装置(1)であって、前記吹出チャンバ(120)の前記吹出口に対向する面とは反対側の端面(120b)の上部に係合する第1係合部(11)と、前記吸気チャンバ(130)の前記吸気口に対応する面とは反対側の端面(130b)の上部に係合する第2係合部(21)と、前記空気調和機本体(110)の上面側を横断して前記第1係合部(11)と前記第2係合部(21)とを相互に連結し、前記第1係合部(11)と前記第2係合部(21)との間に張力を生じさせる連結部(4)と、を備えることを特徴とする構成である。
【0017】
第6に、本発明は、上記第5の構成を有する姿勢保持装置(1)において、前記連結部(4)は、ボルトによって構成され、前記第1係合部(11)は、前記吹出チャンバ(120)の上方に突出して前記ボルトの一端を挿通する孔(14)が形成された第1接続部(12)を有し、前記第2係合部(21)は、前記吸気チャンバ(130)の上方に突出して前記ボルトの他端を挿通する孔(24)が形成された第2接続部(22)を有し、前記ボルトは、前記第1係合部(11)に設けられた孔(14)と前記第2係合部(22)に設けられた孔(24)との双方に挿通された状態で両端にナット(5,5)が装着され、前記ナット(5)が締め付けられることによって前記第1係合部(11)と前記第2係合部(21)との間に張力を生じさせることを特徴とする構成である。
【0018】
第7に、本発明は、上記第6の構成を有する姿勢保持装置(1)において、前記第1係合部(11)と前記第1接続部(12)とを接続し、前記吹出チャンバ(120)の上面に沿って配置される第1平板部(15)を有することを特徴とする構成である。
【0019】
第8に、本発明は、上記第5乃至第7のいずれかの構成を有する姿勢保持装置(1)において、前記空気調和機本体(110)は、前記吹出口の周縁部を突出させた吹出スリーブ(117)と、前記吸気口の周縁部を突出させた吸気スリーブ(118)とを有し、前記吹出チャンバ(120)は、前記吹出スリーブ(117)に装着される第1接続スリーブ(127)を有し、前記第1接続スリーブ(127)を前記吹出スリーブ(117)に重ね合わせた状態でビス止めされることによって前記空気調和機本体(110)に装着され、前記吸気チャンバ(130)は、前記吸気スリーブ(118)に装着される第2接続スリーブ(138)を有し、前記第2接続スリーブ(138)を前記吸気スリーブ(118)に重ね合わせた状態でビス止めされることによって前記空気調和機本体(110)に装着され、前記姿勢保持装置(1)は、前記吹出スリーブ(117)と前記第1接続スリーブ(127)とが重なった部分、及び、前記吸気スリーブ(118)と前記第2接続スリーブ(138)とが重なった部分のそれぞれの上面側に配置されるスペーサ(30)を更に備えることを特徴とする構成である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、空気調和機本体に対するチャンバの姿勢を適切な状態とするための作業を軽減することが可能であり、空気調和機を天井空間に設置する作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1実施形態の姿勢保持装置を組み付けた状態の空気調和機を示す斜視図である。
図2】第1実施形態の姿勢保持装置を組み付けた状態の空気調和機を示す側面図である。
図3】空気調和機に対する第1係合部材の取り付け態様を拡大して示す図である。
図4】空気調和機に対する第2係合部材の取り付け態様を拡大して示す図である。
図5】姿勢保持装置を空気調和機に取り付ける施工手順を示す図である。
図6】姿勢保持装置を空気調和機に取り付ける施工手順を示す図である。
図7】空気調和機本体とチャンバとの接続部の上部にスペーサを取り付けた例を示す図である。
図8】スペーサの一構成例を示す図である。
図9】第2実施形態の姿勢保持装置を組み付けた状態の空気調和機を示す斜視図である。
図10】第2実施形態の姿勢保持装置を組み付けた状態の空気調和機を示す側面図である。
図11】第2実施形態における第1係合部材を拡大して示す図である。
図12】第2実施形態における第2係合部材を拡大して示す図である。
図13】姿勢保持装置のひとつの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下において参照する各図面では互いに共通する部材に同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
【0023】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態である姿勢保持装置1を組み付けた状態の空気調和機100を示す斜視図である。図2は、その空気調和機100の側面図である。これらの図に示すXYZ三次元座標系は、XY平面を水平面とし、Z方向を鉛直方向とする座標系であり、互いに共通する座標系である。空気調和機100は、天井空間に設置される隠蔽式の空気調和機であり、空気調和機本体110と、空気調和機本体110の一側面に対して一体的に装着される吹出チャンバ120と、空気調和機本体110の一側面であって吹出チャンバ120が装着される側面とは反対側の側面に装着される吸気チャンバ130とを備えている。つまり、空気調和機本体110は、吹出チャンバ120と吸気チャンバ130との間に挟まれた状態に配置される。尚、以下においては、便宜上、X方向を空気調和機100の左右方向、Y方向を空気調和機100の前後方向として説明する。
【0024】
空気調和機100は、平面視略矩形状の箱形ユニットであり、空気調和機本体110と、吹出チャンバ120と、吸気チャンバ130とが前後方向(Y方向)に沿って直列に且つ一体的に組み付けられる装置である。空気調和機本体110は、内部に熱交換機やファンなどの機械的動作機構を備えており、吹出チャンバ120や吸気チャンバ130に比べると重量が大きい。空気調和機本体110の吸気側(後方側)には、吸気チャンバ130が装着される。また、空気調和機本体110の吹出側(前方側)には、吹出チャンバ120が接続される。つまり、この空気調和機100は、後方側に設けられている吸気チャンバ130から空気を吸い込み、空気調和機本体110の内部の熱交換機で熱交換を行ってから前方側に設けられている吹出チャンバ120から熱交換された空気を吹き出すように構成される。また、空気調和機本体110は、吸気側(後方側)にフィルタユニット111を備えており、このフィルタユニット111により吸気チャンバ130から吸い込んだ空気を清浄化する機能を有している。
【0025】
尚、空気調和機本体110の吸気側には、吸気チャンバ130が接続されないこともある。その場合、空気調和機100は、空気調和機本体110の吸気側に設けられるフィルタユニット111を介して天井空間の空気を吸い込み、空気調和機本体110の内部の熱交換機で熱交換を行ってから前方側に設けられている吹出チャンバ120から熱交換された空気を吹き出す。
【0026】
空気調和機本体110は、平面視略矩形状の箱形ユニットであり、その左右両側面に、天井スラブなどの天井構造から垂下する吊りボルト101の下端部を接続するための接続片112,112が2つずつ設けられる。空気調和機本体110の左右両側面に設けられる接続片112,112に対して合計4本の吊りボルト101が接続され、天井空間に吊り下げられた状態で支持される。また、空気調和機本体110の前方側の端面には、吹出チャンバ120を装着するための接続部113が設けられており、その接続部113に対して吹出チャンバ120が装着される。さらに、空気調和機本体110の後方側の端面には接続部114が設けられており、その接続部114に対して吸気チャンバ130が装着される。
【0027】
吹出チャンバ120は、平面視略矩形状であり、空気調和機本体110よりも小さい箱形ユニットである。吹出チャンバ120は、空気調和機本体110の前方側の端面に設けられる接続部113に装着される。図2に示すように、空気調和機本体110と吹出チャンバ120との接続部113には、周方向に沿って多数のビス140が打ち込まれる。これらのビス140により、吹出チャンバ120は、空気調和機本体110から離脱しないように一体装着される。
【0028】
吹出チャンバ120は、周囲側面に少なくとも1つのダクト接続部121を有している。図1では、吹出チャンバ120の周囲の側面に合計5つのダクト接続部121が設けられる例を示している。例えば、ダクト接続部121は、円筒状のスリーブ形状を有している。このダクト接続部121には、空調された空気を室内へ供給するためのフレキシブルダクトなどのダクトが接続される。吹出チャンバ120は、その内部が中空であり、空気調和機本体110から流入する空気をダクト接続部121に接続されるダクトに供給する機能と、消音機能とを有している。そのため、吹出チャンバ120は、空気調和機本体110と比較すると極めて軽量である。
【0029】
また、吸気チャンバ130も、平面視略矩形状であり、空気調和機本体110よりも小さい箱形ユニットである。吸気チャンバ130は、空気調和機本体110の後方側の端面に設けられる接続部114に装着される。図2に示すように、空気調和機本体110と吸気チャンバ130との接続部114にも、周方向に沿って多数のビス140が打ち込まれる。これらのビス140により、吸気チャンバ130は、空気調和機本体110から離脱しないように一体装着される。
【0030】
吸気チャンバ130は、周囲側面に少なくとも1つのダクト接続部131が設けられ、例えば外気を空気調和機本体110へ供給するためのフレキシブルダクトなどのダクトが接続される。吸気チャンバ130も吹出チャンバ120と同様に、その内部が中空であり、ダクト接続部131に接続されるダクトから外気を取り込み、空気調和機本体110に供給する機能と、消音機能とを有している。そのため、吸気チャンバ130の重量も、空気調和機本体110と比較すると極めて軽量である。
【0031】
本実施形態の姿勢保持装置1は、上記のような空気調和機100に取り付けられ、空気調和機本体110に対する吹出チャンバ120及び吸気チャンバ130の姿勢を保持する。この姿勢保持装置1は、例えば空気調和機100の上面に沿って前後方向(Y方向)に配置され、空気調和機100の前後方向両端部(すなわち、吹出チャンバ120の端部と吸気チャンバ130の端部)に係合することで吹出チャンバ120及び吸気チャンバ130のそれぞれの姿勢を保持するように構成される。以下、姿勢保持装置1について詳しく説明する。
【0032】
図1では、空気調和機100に対して2つの姿勢保持装置1a,1bが配置される場合を例示している。これら2つの姿勢保持装置1a,1bは、同一の構成であり、同一の機能を有している。これら2つの姿勢保持装置1a,1bは、空気調和機100の左右方向に所定間隔を隔てた位置に取り付けられ、空気調和機本体110に対して片持ち状態で支持される吹出チャンバ120及び吸気チャンバ130のそれぞれの端部が垂れ下がらないようにして姿勢を保持する。尚、空気調和機100に取り付けられる姿勢保持装置1の数は2つに限られず、1つであっても良いし、3つ以上であっても良い。
【0033】
姿勢保持装置1は、吹出チャンバ120の空気調和機本体110に対向する面120aとは反対側の端面120bの上部に係合する第1係合部材2と、吸気チャンバ130の空気調和機本体110に対応する面130aとは反対側の端面130bの上部に係合する第2係合部材3と、空気調和機本体110の上面側を前後方向に横断して第1係合部材2と第2係合部材3とを相互に連結し、第1係合部材2と第2係合部材3との間に張力を生じさせる連結部4と、を備える。
【0034】
第1係合部材2及び第2係合部材3は、例えば金属プレートによって構成される。これら第1係合部材2及び第2係合部材3はいずれも同じ構造を有している。また、連結部4は、例えば第1係合部材2及び第2係合部材3とは別の部材である長尺のボルトによって構成される。
【0035】
図3は、空気調和機100に対する第1係合部材2の取り付け態様を拡大して示す図である。第1係合部材2は、吹出チャンバ120の空気調和機本体110に対向する面とは反対側の端面120bの上部に係合する第1係合部11と、その第1係合部11から上方に延設される第1接続部12とを有している。
【0036】
例えば、吹出チャンバ120の端面120bの周縁部にはスチールなどで形成される薄い金属製のフレームが設けられている。第1係合部11は、そのフレームに接合するように配置される。また、第1係合部11には、ビス6を打ち込むための小径の孔13,13が設けられており、その孔13,13を介してビス6がフレームに打ち込まれることにより、第1係合部材2は、吹出チャンバ120の端面120bの上部に固定される。ただし、吹出チャンバ120の周縁部にフレームが設けられていない場合であっても良く、第1係合部材2を端面120bの上部に固定する手法はこれと変わらない。
【0037】
第1係合部11から上方に延設される第1接続部12は、吹出チャンバ120の上面から更に上方に突出するように配置される。この第1接続部12には、連結部4の一端4aを挿通する孔14が形成されている。ボルトによって構成される連結部4は、そのボルトの一端4aが孔14に挿通され、孔14から突出する先端部にナット5が装着される。その結果、第1係合部材2は、吹出チャンバ120の端面120bの上部に取り付けられた状態で連結部4の一端4aに連結される。
【0038】
図4は、空気調和機100に対する第2係合部材3の取り付け態様を拡大して示す図である。第2係合部材3は、吸気チャンバ130の空気調和機本体110に対向する面とは反対側の端面130bの上部に係合する第2係合部21と、その第2係合部21から上方に延設される第2接続部22とを有している。
【0039】
例えば、第2係合部21は、吸気チャンバ130の上縁部に接合するように配置される。吸気チャンバ130が、吹出チャンバ120と同様に、端面130bの周縁部にアルミなどで形成される薄い金属製のフレームが設けられている場合、第2係合部21は、そのフレームに接合するように配置される。この第2係合部21には、ビス6を打ち込むための小径の孔13,13が設けられており、その孔13,13を介してビス6が端面130bに打ち込まれることにより、第2係合部材3は、吸気チャンバ130の端面130bの上部に固定される。
【0040】
第2係合部21から上方に延設される第2接続部22は、吸気チャンバ130の上面から更に上方に突出するように配置される。この第2接続部22には、連結部4の他端4bを挿通する孔24が形成されている。ボルトによって構成される連結部4は、そのボルトの他端4bが孔24に挿通され、孔24から突出する先端部にナット5が装着される。その結果、第2係合部材3は、吹出チャンバ120の端面120bの上部に取り付けられた状態で連結部4の一端4aに連結される。
【0041】
次に、空気調和機100に姿勢保持装置1を取り付けるまでの施工手順を説明する。図5及び図6は、姿勢保持装置1を取り付ける施工手順を示す図である。まず図5(a)に示すように、空気調和機本体110の前方側に吹出チャンバ120を取り付けると共に、空気調和機本体110の後方側に吸気チャンバ130を取り付ける。
【0042】
空気調和機本体110は、吹出チャンバ120と対向する面115に吹出口の周縁部を突出させた吹出スリーブ117を有している。例えば、吹出スリーブ117は厚さ1~2mm程度の薄い金属片によって形成される。また、吹出チャンバ120は、空気調和機本体110と対向する面120aに、その吹出スリーブ117の内側又は外側に嵌め込むようにして装着される接続スリーブ(第1接続スリーブ)127を有している。この接続スリーブ127も例えば厚さ1~2mm程度の薄い金属片によって形成される。これら吹出スリーブ117と接続スリーブ127とによって接続部113が構成されている。吹出チャンバ120は、接続スリーブ127を吹出スリーブ117の内側又は外側に重ね合わせるように装着されることで空気調和機本体110に取り付けられる。
【0043】
また、空気調和機本体110は、吸気チャンバ130と対向する面116に吸気口の周縁部を突出させた吸気スリーブ118を有している。例えば、吸気スリーブ118は、吹出スリーブ117と同様、厚さ1~2mm程度の薄い金属片によって形成される。また、吸気チャンバ130は、空気調和機本体110と対向する面130aに、その吸気スリーブ118の内側又は外側に嵌め込むようにして装着される接続スリーブ(第2接続スリーブ)138を有している。この接続スリーブ128も例えば厚さ1~2mm程度の薄い金属片によって形成される。これら吸気スリーブ118と接続スリーブ128とによって接続部114が構成されている。吸気チャンバ130は、接続スリーブ128を吸気スリーブ118の内側又は外側に重ね合わせるように装着されることで空気調和機本体110に取り付けられる。
【0044】
次に、図5(b)に示すように、空気調和機本体110と吹出チャンバ120との接続部113にビス140が打ち込まれると共に、空気調和機本体110と吸気チャンバ130との接続部114にもビス140が打ち込まれる。これにより、吹出チャンバ120及び吸気チャンバ130は、空気調和機本体110に対して固定される。尚、ビス140を打ち込んだ後に、接続部113,114の周囲に断熱材を巻き付けておくことが好ましい。断熱材を巻き付けておくことにより、接続部113,114に結露が生じることを防止することができる。
【0045】
上記のようにして空気調和機本体110の前後両側に吹出チャンバ120及び吸気チャンバ130を装着すると、次に空気調和機100に対して姿勢保持装置1を取り付ける。図6(a)に示すように、空気調和機本体110の接続部113に吹出チャンバ120が片持ち状態で取り付けられると、吹出チャンバ120の重量により、吹出チャンバ120の端部(すなわち、空気調和機本体110に取り付けられている面とは反対側の端面120b)が下方に垂れ下がって傾斜した状態となる。同様に、空気調和機本体110の接続部114に吸気チャンバ130が片持ち状態で取り付けられると、吸気チャンバ130の端部(すなわち、空気調和機本体110に取り付けられている面とは反対側の端面130b)が下方に垂れ下がって傾斜した状態となる。つまり、吹出チャンバ120及び吸気チャンバ130は軽量であるが、空気調和機本体110に対して片持ち状態で取り付けられただけでは自重によって垂れ下がった状態となるのである。
【0046】
吹出チャンバ120及び吸気チャンバ130の端部が垂れ下がると、接続部113,114の下部Pに応力が集中し、接続部113,114の下部Pにおいて、空気調和機本体110、吹出チャンバ120及び吸気チャンバ130の壁面に凹みや亀裂などの破損を生じさせる可能性がある。姿勢保持装置1は、そのような破損を防止するため、吹出チャンバ120及び吸気チャンバ130のそれぞれの姿勢が空気調和機本体110に対して略平行な姿勢となるように保持する。
【0047】
姿勢保持装置1は、まず図6(a)に示すように、第1係合部材2を吹出チャンバ120の端面120bの上部にビス6を用いて取り付けると共に、第2係合部材3を吸気チャンバ130の端面130bの上部にビス6を用いて取り付ける。そしてボルトによって構成される連結部4の一端4aを第1係合部材2の孔14に挿通して先端にナット5を装着すると共に、連結部4の他端4bを第2係合部材3の孔24に挿通して先端にナット5を装着する。連結部4の両端に装着されたナット5,5が締め付けられていない仮止め状態のとき、図6(a)に示すように、吹出チャンバ120及び吸気チャンバ130の端部は依然として垂れ下がった状態である。
【0048】
図6(a)に示すように、姿勢保持装置1が空気調和機100に取り付けられると、作業者は、連結部4の両端に装着された吹出チャンバ120及び吸気チャンバ130を装着し、連結部4の軸方向にナット5を締め付けていく。2つのナット5,5のうちの一方のナット5が締め付けられると、2つのナット5,5の間隔が漸次縮小する。これに伴い、連結部4には、両端部に取り付けられている第1係合部材2と第2係合部材3との間において第1係合部材2及び第2係合部材3を引っ張り合う張力F1が生じる。この張力F1は、吹出チャンバ120の端面120b及び吸気チャンバ130の端面130bを持ち上げる力として作用する。そのため、作業者は、2つのナット5,5のうちの一方のナット5が締め付けることにより、図6(b)に示すように、吹出チャンバ120及び吸気チャンバ130の双方の姿勢を空気調和機本体110と略平行な状態に調整することができる。そして吹出チャンバ120及び吸気チャンバ130の姿勢が空気調和機本体110と略平行な状態になれば、一方のナット5の締め付けを終了することで作業が完了する。これにより、姿勢保持装置1は、吹出チャンバ120及び吸気チャンバ130の姿勢を空気調和機本体110と略平行な状態で保持するようになる。
【0049】
上記のような姿勢調整作業を行うとき、作業者は、例えば視線位置を空気調和機本体110の上面位置に合わせて一方のナット5を締め付けていくことにより、吹出チャンバ120及び吸気チャンバ130の双方の上面が空気調和機本体110の上面と略平行となる状態を容易に認識することが可能である。そのため、作業者は、目視によって、吹出チャンバ120及び吸気チャンバ130の双方の姿勢を空気調和機本体110と略平行な状態に簡単に調整することができるという利点がある。
【0050】
また、吹出チャンバ120及び吸気チャンバ130の双方の姿勢を空気調和機本体110と略平行な状態に調整するとき、作業者は、吹出チャンバ120と吸気チャンバ130との調整を個別行う必要がなく、2つのナット5,5のうちの一方のナット5を締め付けることによって吹出チャンバ120と吸気チャンバ130との双方の調整を同時に行うことが可能であり、作業効率に優れている。そのため、上記のような姿勢調整作業を、例えば、空気調和機100が吊りボルト101によって天井空間に吊り下げられた状態の高所作業として行う場合、効率的に作業を行うことが可能である。
【0051】
また、上記のような姿勢調整作業は、空気調和機100が吊りボルト101によって吊り下げられる前に床面上での床面作業として行うことも可能である。床面作業として行う場合、高所作業の場合よりも更なる作業効率の向上を図ることができる。特に、床面上で、空気調和機本体110に吹出チャンバ120及び吸気チャンバ130が組み付け、吹出チャンバ120及び吸気チャンバ130の姿勢を空気調和機本体110に対して略平行な状態に予め調整しておくことにより、空気調和機100を天井空間に設置する際には、吹出チャンバ120及び吸気チャンバ130のそれぞれに吊りボルト101を取り付ける必要がない。つまり、空気調和機本体110の左右両側面に設けられている接続片112,112に対して4本の吊りボルト101を接続すれば、空気調和機100を天井空間に設置することが可能であり、空気調和機本体110に比して軽量である吹出チャンバ120及び吸気チャンバ130のそれぞれに対して吊りボルト101を取り付ける必要がなくなるのである。そのため、天井スラブなどの天井構造に吊りボルト101を設置するための作業を省力化することが可能である。
【0052】
例えば、床面作業で姿勢調整作業を行う場合には、図6(b)に示すように、空気調和機本体110に対して吹出チャンバ120及び吸気チャンバ130の姿勢を調整した後、昇降機などを用いて空気調和機100を天井構造の近傍位置まで持ち上げ、空気調和機本体110の左右両側面に設けられている接続片112に対して吊りボルト101を接続することで空気調和機100を天井空間に設置することができる。
【0053】
ただし、本実施形態の姿勢保持装置1を用いて吹出チャンバ120及び吸気チャンバ130の姿勢調整を行う場合であっても、吹出チャンバ120及び吸気チャンバ130のそれぞれに対して更に吊りボルト101を取り付ける施工方法を採用しても構わない。
【0054】
ところで、上記のような姿勢調整作業において連結部4に生じる張力F1が第1係合部材2と第2係合部材3とを過度に引っ張りすぎると、今度は、接続部113,114の上部に応力が集中し、接続部113,114の上部において、空気調和機本体110、吹出チャンバ120及び吸気チャンバ130の壁面に凹みや亀裂などの破損を生じさせる可能性がある。そのため、2つのナット5,5のうちの一方のナット5を締め過ぎると、施工不良となる可能性がある。そのような施工不良の発生を防ぐため、図7に示すように、接続部113,114の上部に、スペーサ30を配置することが好ましい。
【0055】
図8は、スペーサ30の一構成例を示す図である。スペーサ30は、例えば側面視コ字状に形成された金属製の部材であり、所定間隔Wを隔てて立設する一対の縦板部31,32と、縦板部31,32の下部を連結する底板部33とを有している。このスペーサ30は、接続部113において吹出スリーブ117と接続スリーブ127とが重なった部分の上面側、又は、接続部114において吸気スリーブ118と接続スリーブ138とが重なった部分の上面側に、底板部33の底面を接合させる配置される。一対の縦板部31,32の間隔Wを規定する底板部33の長さは、接続部113,114の長さに一致するように形成される。尚、接続部113,114の長さが互いに異なる場合には、それぞれの長さに応じたスペーサ30を用いることが好ましい。
【0056】
スペーサ30が接続部113の上面側に配置される場合、一対の縦板部31,32は、互いに対向する空気調和機本体110の端面115と吹出チャンバ120の端面120aのそれぞれに接合するように配置される。この場合、一対の縦板部31,32は、空気調和機本体110の端面115と吹出チャンバ120の端面120aの間隔が小さくなることを規制するので、姿勢調整作業が行われるときにナット5の締め過ぎを抑制することができる。
【0057】
また、スペーサ30が接続部114の上面側に配置される場合、一対の縦板部31,32は、互いに対向する空気調和機本体110の端面116と吸気チャンバ130の端面130aのそれぞれに接合するように配置される。この場合も、一対の縦板部31,32は、空気調和機本体110の端面116と吸気チャンバ130の端面130aの間隔が小さくなることを規制するので、姿勢調整作業が行われるときにナット5の締め過ぎを抑制することができる。
【0058】
尚、底板部33には、図8に示すように、接続部113,114に打ち付けられるビス140を挿通するための孔34を設けておき、接続部113,114にビス140を打ち付ける際には、孔34を介して底板部33と共に接続部113,114に対してビス140を打ち込むようにすることが好ましい。これにより、スペーサ30を接続部113,114に固定することができる。
【0059】
このように本実施形態の姿勢保持装置1は、空気調和機本体110の一方の端部に吹出チャンバ120が装着されると共に、他方の端部に吸気チャンバ130が装着される空気調和機100に取り付けられ、空気調和機本体110に対する吹出チャンバ120及び吸気チャンバ130の姿勢を保持する装置である。そして姿勢保持装置1は、吹出チャンバ120の空気調和機本体110に対向する面とは反対側の端面120bの上部に係合する第1係合部11を有する第1係合部材2と、吸気チャンバ130の空気調和機本体110に対応する面とは反対側の端面130bの上部に係合する第2係合部21を有する第2係合部材3と、空気調和機本体110の上面を横断して第1係合部11と第2係合部21とを相互に連結し、第1係合部11と第2係合部21との間に張力を生じさせる連結部4と、を備えている。
【0060】
このような構成によれば、空気調和機本体110に対する吹出チャンバ120及び吸気チャンバ130の姿勢を適切な状態とするための作業が従来よりも極めて簡単になり、作業効率を著しく軽減することができるようになる。また、上記構成を有する姿勢保持装置1は、簡単な構造で吹出チャンバ120及び吸気チャンバ130の姿勢を調整できることから、従来と比較して吹出チャンバ120及び吸気チャンバ130の姿勢を保持するためのコストを安く抑えることもできるという利点がある。
【0061】
ところで、上記においては主として空気調和機本体110の両端に吹出チャンバ120と吸気チャンバ130とが装着される場合を例示した。これに対し、空気調和機本体110に対して吹出チャンバ120だけが装着される場合があることは既に述べた通りである。空気調和機本体110に対して吹出チャンバ120が装着され、吸気チャンバ130が装着されない場合、姿勢保持装置1は、第1係合部材2の第1係合部11を吹出チャンバ120の空気調和機本体110に対向する面とは反対側の端面120bの上部に係合させ、第2係合部材3の第2係合部21を空気調和機本体110の吹出口が設けられた面とは反対側の端面116の上部に係合させるようにすれば良い。この場合、姿勢保持装置1の連結部4は、空気調和機本体110及び吹出チャンバ120の上面を横断して第1係合部11と第2係合部21とを相互に連結し、第1係合部11と第2係合部21との間に張力を生じさせる構成とすれば良い。このような構成とすることにより、姿勢保持装置1は、空気調和機本体110に対する吹出チャンバ120の姿勢を簡単に調整することが可能であり、調整された吹出チャンバ120の姿勢を保持することが可能である。
【0062】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図9は、本発明の第2実施形態である姿勢保持装置1を組み付けた状態の空気調和機100を示す斜視図である。図2は、その空気調和機100の側面図である。尚、図1及び図2に示す空気調和機100の構成は、第1実施形態で説明したものと同様である。
【0063】
本実施形態では、第1実施形態と同様に、空気調和機100に対して2つの姿勢保持装置1a,1bが配置される場合を例示している。ただし、これに限られず、空気調和機100に取り付けられる姿勢保持装置1の数は、1つであっても良いし、3つ以上であっても良い。
【0064】
また、姿勢保持装置1は、第1実施形態と同様に、吹出チャンバ120の空気調和機本体110に対向する面120aとは反対側の端面120bの上部に係合する第1係合部材2と、吸気チャンバ130の空気調和機本体110に対応する面130aとは反対側の端面130bの上部に係合する第2係合部材3と、空気調和機本体110の上面側を前後方向に横断して第1係合部材2と第2係合部材3とを相互に連結し、第1係合部材2と第2係合部材3との間に張力を生じさせる連結部4と、を備えている。ただし、本実施形態の姿勢保持装置1は、第1係合部材2及び第2係合部材3の形態が第1実施形態と異なる。
【0065】
図11は、第2実施形態における第1係合部材2を拡大して示す図である。第1係合部材2は、吹出チャンバ120の空気調和機本体110に対向する面とは反対側の端面120bの上部に係合する第1係合部11と、吹出チャンバ120の上面から更に上方に突出する第1接続部12と、吹出チャンバ120の上面に沿って配置され、第1係合部11と第1接続部12とを接続する第1平板部15とを有している。
【0066】
第1係合部11には、ビス6を打ち込むための小径の孔13,13が設けられており、その孔13,13を介してビス6が吹出チャンバ120の端面120bに打ち込まれることにより、第1係合部材2は、吹出チャンバ120の端面120bの上部に固定される。
【0067】
第1平板部15は、その一端が第1係合部11の上端に接続されており、第1係合部11から略直角に折れ曲がり、空気調和機本体110に向かって延びている。例えば、第1平板部15は、吹出チャンバ120の上面に接合する状態で空気調和機本体110に向かって延びている。そして第1平板部15は、吹出チャンバ120の上面において端部から内側に入り込んだ所定位置で略直角に折れ曲がり、第1接続部12に接続されている。したがって、第1接続部12は、吹出チャンバ120の端面120bの位置から吹出チャンバ120の内側に入り込んだ所定位置で吹出チャンバ120の上面から上方に突出する。
【0068】
第1接続部12には、ボルトで構成される連結部4の一端4aを挿通する孔14が形成されている。ボルトによって構成される連結部4は、そのボルトの一端4aが孔14に挿通され、孔14から突出する先端部にナット5が装着される。その結果、第1係合部材2は、吹出チャンバ120の端面120bの上部に係合した状態で連結部4の一端4aに連結される。
【0069】
図12は、第2実施形態における第2係合部材3を拡大して示す図である。第2係合部材3は、吸気チャンバ130の空気調和機本体110に対向する面とは反対側の端面130bの上部に係合する第2係合部21と、吸気チャンバ130の上面から更に上方に突出する第2接続部22と、吸気チャンバ130の上面に沿って配置され、第2係合部21と第2接続部22とを接続する第2平板部25とを有している。
【0070】
第2係合部21には、ビス6を打ち込むための小径の孔23,23が設けられており、その孔23,23を介してビス6が吸気チャンバ130の端面130bに打ち込まれることにより、第2係合部材3は、吸気チャンバ130の端面130bの上部に固定される。
【0071】
第2平板部25は、その一端が第2係合部21の上端に接続されており、第2係合部21から略直角に折れ曲がり、空気調和機本体110に向かって延びている。例えば、第2平板部25は、吸気チャンバ130の上面に接合する状態で空気調和機本体110に向かって延びている。そして第2平板部25は、吸気チャンバ130の上面において端部から内側に入り込んだ所定位置で略直角に折れ曲がり、第2接続部22に接続されている。したがって、第2接続部22は、吸気チャンバ130の端面130bの位置から吸気チャンバ130の内側に入り込んだ所定位置で吸気チャンバ130の上面から上方に突出する。
【0072】
第2接続部22には、ボルトで構成される連結部4の他端4bを挿通する孔24が形成されている。ボルトによって構成される連結部4は、そのボルトの他端4bが孔24に挿通され、孔24から突出する先端部にナット5が装着される。その結果、第2係合部材3は、吸気チャンバ130の端面130bの上部に係合した状態で連結部4の他端4bに連結される。
【0073】
このように本実施形態の姿勢保持装置1は、第1係合部材2及び第2係合部材3のそれぞれが折れ曲がった形状を有しており、図10に示すように、連結部4の一端4aが接続される第1接続部12を吹出チャンバ120の上面の中央寄りの位置に設けることが可能であると共に、連結部4の他端4bが接続される第2接続部22を吸気チャンバ130の上面の中央寄りの位置に設けることが可能である。そのため、連結部4の両端4a,4bを第1接続部12及び第2接続部22のそれぞれに接続したとき、連結部4の両端4a,4bを吹出チャンバ120及び吸気チャンバ130の端面120b,130bよりも外側に突出させない状態で姿勢保持装置1を空気調和機100に取り付けることが可能である。
【0074】
そのため、図9に示すように、仮に第1係合部材2がダクト接続部121の直上近傍位置に取り付けられる場合であっても、連結部4の一端4aが邪魔になってダクト接続部121に対するダクトの取り付け作業に支障が生じることはない。つまり、本実施形態の姿勢保持装置1を用いれば、連結部4の長さを短くすることができるので、空気調和機100の前後方向に連結部4が突出することがなく、ダクト接続部121に対するダクトの取り付け作業をスムーズに行うことができるという利点がある。また、第2係合部材3が吸気チャンバ130のダクト接続部131の直上近傍位置に取り付けられる場合も同様である。
【0075】
尚、空気調和機100に吸気チャンバ130が装着されない場合には、第2係合部材3として、第1実施形態で説明したものを用いても良い。
【0076】
また、本実施形態においても接続部113,114の上面側には、第1実施形態で説明したスペーサ30を設けることがより好ましい。
【0077】
本実施形態において上述した点以外については、第1実施形態で説明した内容と同様である。そのため、本実施形態の姿勢保持装置1は、第1実施形態で説明した作用効果と同様の作用効果を奏するものである。
【0078】
(変形例)
以上、本発明に関する好ましい実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態において説明したものに限定されるものではない。すなわち、本発明には、上記各実施形態において説明したものに種々の変形例を適用したものの含まれる。
【0079】
例えば、上記実施形態では、連結部4がボルトで構成される場合を例示した。しかし、本発明は、これに限られるものではない。例えば図13に示すように、姿勢保持装置1は、第1係合部11と、第2係合部21と、連結部4とが一体的に形成されたものであっても構わない。このような姿勢保持装置1は、例えば1枚の帯状の金属プレートの両端を折り曲げることにより形成される。図13に示すような姿勢保持装置1であっても、連結部4の両端部に設けられる第1係合部11及び第2係合部21が吹出チャンバ120及び吸気チャンバ130の垂れ下がりを防止して姿勢を保持する点には変わりがない。
【符号の説明】
【0080】
1(1a,1b)…姿勢保持装置、2…第1係合部材、3…第2係合部材、4…連結部、11…第1係合部、12…第1接続部、15…第1平板部、21…第2係合部、22…第2接続部、25…第2平板部、30…スペーサ、100…空気調和機、110…空気調和機本体、120…吹出チャンバ、130…吸気チャンバ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13