(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149715
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】ポール装置及び測量システム
(51)【国際特許分類】
G01C 15/06 20060101AFI20220929BHJP
G01C 15/00 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
G01C15/06 Z
G01C15/00 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021051989
(22)【出願日】2021-03-25
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100083563
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 祥二
(72)【発明者】
【氏名】江野 泰造
(57)【要約】 (修正有)
【課題】容易に測設点まで搬送でき、測設点の設置が可能なポール装置及び該ポール装置を含む測量システムを提供する。
【解決手段】測設点56を示す下端を有するポール5と、遠隔操縦可能であり、ポール5の上端に設けられた飛行装置9と、ポール5の下端を含む下方の画像を取得可能なカメラ8とを具備し、飛行装置9による測設点56への移動と、取得した画像によりポール5の下端と測設点56との合致を確認可能とした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測設点を示す下端を有するポールと、遠隔操縦可能であり、前記ポールの上端に設けられた飛行装置と、前記ポールの下端を含む下方の画像を取得可能なカメラとを具備し、前記飛行装置による測設点への移動と、前記画像により前記ポールの下端と前記測設点との合致を確認可能としたポール装置。
【請求項2】
前記ポールの中途部には、該ポールの下端からの距離が既知であり、中心が該ポールの軸心上に位置する様設けられた第1反射部と、該第1反射部の中心との距離が既知であり、中心が前記ポールの軸心上に位置する様設けられた第2反射部とを更に具備する請求項1に記載のポール装置。
【請求項3】
請求項2に記載のポール装置と、該ポール装置の位置測定が可能な位置測定装置と、前記飛行装置の飛行を制御し、該飛行装置及び前記位置測定装置と無線通信可能な遠隔操縦機とを有する測量システムであって、前記位置測定装置は、前記第1反射部及び前記第2反射部を追尾しつつ測距及び測角が可能に構成され、前記遠隔操縦機は前記第1反射部及び前記第2反射部の測定結果に基づき前記飛行装置により前記ポールの下端と合致する様着地させ、前記位置測定装置は前記第1反射部の測定結果と前記第2反射部の測定結果、及び前記第1反射部と前記下端迄の距離に基づき前記測設点の3次元座標を演算する様構成された測量システム。
【請求項4】
前記第1反射部及び前記第2反射部は全面に反射シートが貼設された既知の径を有する球体であり、前記位置測定装置は、測距光を射出し、反射測距光を受光して前記第1反射部と前記第2反射部迄の距離を測定する測距部と、前記測距光が所定の範囲で走査される様該測距光を偏向する測距光偏向部と、前記測距部と前記測距光偏向部とを制御する演算制御部とを有し、該演算制御部は、前記測距光偏向部により前記測距光を前記第1反射部と前記第2反射部とを交互に含む様に局所スキャンさせ、前記第1反射部及び前記第2反射部の中心位置を測定する様構成された請求項3に記載の測量システム。
【請求項5】
前記位置測定装置は、前記測距部と前記測距光偏向部と前記演算制御部とを有する測量装置本体と、該測量装置本体を水平方向及び鉛直方向に駆動させる本体駆動部とを更に具備し、前記演算制御部は、1回前に測定した前記第1反射部の位置を中心とする局所スキャンを実行して前記第1反射部の現在位置を測定し、1回前に測定した前記第2反射部の位置を中心とする局所スキャンを実行して前記第2反射部の現在位置を測定し、前記第1反射部に対する局所スキャンと、前記第2反射部に対する局所スキャンを交互に繰返して前記ポール装置を追尾する様構成された請求項4に記載の測量システム。
【請求項6】
前記演算制御部は、待機位置に設置された前記ポール装置の前記第1反射部の位置を第1初期位置として設定し、前記第2反射部の位置を第2初期位置として設定し、前記第1初期位置及び前記第2初期位置に基づき前記ポール装置の追尾を開始する様構成された請求項5に記載の測量システム。
【請求項7】
前記演算制御部は、前記第1反射部と前記第2反射部の測定結果に基づき、前記ポールの軸心を演算し、該軸心の演算結果に基づき前記ポール装置の姿勢を演算する様構成された請求項5又は請求項6に記載の測量システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の測設点に設置されるポール装置及び該ポール装置を測定する測量システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
所望の測設点の測量を行なう際には、一般的に再帰反射性を有するプリズム等を用いて測量が行われる。
【0003】
通常、プリズムを用いた測量では、下端から既知の位置にプリズムが設けられたポールを、作業者が直接測設点迄運ぶ必要がある。その後、作業者がポールを測設点上に設置し、気泡管等の傾斜検出器を用いてポールが鉛直となる様調整した後、プリズムを測定している。
【0004】
従って、測量を行うべき測設点が広範囲に散在していた場合には、測設点の測量を行う毎に作業者が次の測設点迄移動し、更に測設点毎にポールを整準する必要があり、測定作業に時間を要していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-219287号公報
【特許文献2】特許第5142272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、容易に測設点まで搬送でき、測設点の設置が可能なポール装置及び該ポール装置を含む測量システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、測設点を示す下端を有するポールと、遠隔操縦可能であり、前記ポールの上端に設けられた飛行装置と、前記ポールの下端を含む下方の画像を取得可能なカメラとを具備し、前記飛行装置による測設点への移動と、前記画像により前記ポールの下端と前記測設点との合致を確認可能としたポール装置に係るものである。
【0008】
又本発明は、前記ポールの中途部には、該ポールの下端からの距離が既知であり、中心が該ポールの軸心上に位置する様設けられた第1反射部と、該第1反射部の中心との距離が既知であり、中心が前記ポールの軸心上に位置する様設けられた第2反射部とを更に具備するポール装置に係るものである。
【0009】
又本発明は、上記のポール装置と、該ポール装置の位置測定が可能な位置測定装置と、前記飛行装置の飛行を制御し、該飛行装置及び前記位置測定装置と無線通信可能な遠隔操縦機とを有する測量システムであって、前記位置測定装置は、前記第1反射部及び前記第2反射部を追尾しつつ測距及び測角が可能に構成され、前記遠隔操縦機は前記第1反射部及び前記第2反射部の測定結果に基づき前記飛行装置により前記ポールの下端と合致する様着地させ、前記位置測定装置は前記第1反射部の測定結果と前記第2反射部の測定結果、及び前記第1反射部と前記下端迄の距離に基づき前記測設点の3次元座標を演算する様構成された測量システムに係るものである。
【0010】
又本発明は、前記第1反射部及び前記第2反射部は全面に反射シートが貼設された既知の径を有する球体であり、前記位置測定装置は、測距光を射出し、反射測距光を受光して前記第1反射部と前記第2反射部迄の距離を測定する測距部と、前記測距光が所定の範囲で走査される様該測距光を偏向する測距光偏向部と、前記測距部と前記測距光偏向部とを制御する演算制御部とを有し、該演算制御部は、前記測距光偏向部により前記測距光を前記第1反射部と前記第2反射部とを交互に含む様に局所スキャンさせ、前記第1反射部及び前記第2反射部の中心位置を測定する様構成された測量システムに係るものである。
【0011】
又本発明は、前記位置測定装置は、前記測距部と前記測距光偏向部と前記演算制御部とを有する測量装置本体と、該測量装置本体を水平方向及び鉛直方向に駆動させる本体駆動部とを更に具備し、前記演算制御部は、1回前に測定した前記第1反射部の位置を中心とする局所スキャンを実行して前記第1反射部の現在位置を測定し、1回前に測定した前記第2反射部の位置を中心とする局所スキャンを実行して前記第2反射部の現在位置を測定し、前記第1反射部に対する局所スキャンと、前記第2反射部に対する局所スキャンを交互に繰返して前記ポール装置を追尾する様構成された測量システムに係るものである。
【0012】
又本発明は、前記演算制御部は、待機位置に設置された前記ポール装置の前記第1反射部の位置を第1初期位置として設定し、前記第2反射部の位置を第2初期位置として設定し、前記第1初期位置及び前記第2初期位置に基づき前記ポール装置の追尾を開始する様構成された測量システムに係るものである。
【0013】
更に又本発明は、前記演算制御部は、前記第1反射部と前記第2反射部の測定結果に基づき、前記ポールの軸心を演算し、該軸心の演算結果に基づき前記ポール装置の姿勢を演算する様構成された測量システムに係るものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、測設点を示す下端を有するポールと、遠隔操縦可能であり、前記ポールの上端に設けられた飛行装置と、前記ポールの下端を含む下方の画像を取得可能なカメラとを具備し、前記飛行装置による測設点への移動と、前記画像により前記ポールの下端と前記測設点との合致を確認可能としたので、前記ポールを前記測設点迄自動で移動させることができ、作業時間の短縮が図れる。
【0015】
又本発明によれば、上記のポール装置と、該ポール装置の位置測定が可能な位置測定装置と、前記飛行装置の飛行を制御し、該飛行装置及び前記位置測定装置と無線通信可能な遠隔操縦機とを有する測量システムであって、前記位置測定装置は、前記第1反射部及び前記第2反射部を追尾しつつ測距及び測角が可能に構成され、前記遠隔操縦機は前記第1反射部及び前記第2反射部の測定結果に基づき前記飛行装置により前記ポールの下端と合致する様着地させ、前記位置測定装置は前記第1反射部の測定結果と前記第2反射部の測定結果、及び前記第1反射部と前記下端迄の距離に基づき前記測設点の3次元座標を演算する様構成されたので、前記ポール装置を前記測設点迄自動で運搬することができ、作業労力の低減が図れると共に、1人作業にて前記測設点の測定が可能となり、作業性を向上させることができるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施例に係る測量システムを説明する説明図である。
【
図2】測量システムに於けるポール装置に設けられた飛行装置を示す平面図である。
【
図3】前記ポール装置の制御系を示すブロック図である。
【
図4】測量システムに於ける位置測定装置の制御系を示すブロック図である。
【
図5】測量システムに於ける遠隔操縦機の制御系を示すブロック図である。
【
図6】測定の際に設定される測定エリアを説明する説明図である。
【
図7】本発明の実施例に係るポール装置の追尾を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0018】
先ず、
図1に於いて、本実施例に係る測量システムについて説明する。
【0019】
測量システム1は、主にポール装置2、レーザスキャナ等の位置測定装置3、遠隔操縦機4から構成される。
【0020】
前記ポール装置2は、円柱等の棒状のポール5と、該ポール5の中途部に設けられた再帰反射体である第1反射部6及び再帰反射体である第2反射部7と、前記ポール5の適宜位置に設けられたカメラ8と、前記ポール5の上端に設けられた飛行装置9とを有している。前記ポール装置2の概略の位置が分かる様に、前記ポール装置2にBLE(Bluetooth Low Energy)ビーコンを取付けてもよい。これによって、測定時間を短縮することができる。
【0021】
前記ポール5の下端は尖端となっており、該下端と所望の測設点とが合致する様、前記ポール装置2が設置される。
【0022】
前記第1反射部6及び前記第2反射部7は、それぞれ全外周面に亘って反射シートが貼付けられた球状の反射部材となっている。前記第1反射部6と前記第2反射部7はそれぞれ既知の径を有し、前記第1反射部6と前記第2反射部7の中心は、それぞれ前記ポール5の軸心5a上に位置している。即ち、前記第1反射部6の中心と前記第2反射部7の中心とを結ぶ直線は前記軸心5aと合致する。又、前記ポール5の下端から前記第1反射部6の中心迄の距離、前記ポール5の下端から前記第2反射部7迄の距離、前記第1反射部6の中心と前記第2反射部7の中心との間の距離、前記ポール5の下端から前記飛行装置9の中心迄の距離は、それぞれは既知となっている。尚、前記第1反射部6と前記第2反射部7は、同径であってもよいし、異なる径となっていてもよい。
【0023】
前記カメラ8は、前記ポール5の下部であり、前記第1反射部6よりも下方に前記ポール5の軸心に対して既知の関係で設けられる。前記カメラ8は、前記ポール5に内蔵されてもよく、該ポール5の外側に設けられてもよい。前記カメラ8は、前記ポール装置2の下端よりも下方を撮影できる様に構成されている。前記カメラ8は、取得される画像内に前記ポール5の下端が含まれる様に配置され、下端の位置は画像内で既知となっている。或は、前記ポール5の下端が前記画像内の所定位置、例えば画像中心と合致する様に画像処理してもよい。
【0024】
前記飛行装置9は、主に飛行体11と、前記遠隔操縦機4との間で通信を行う為の飛行体通信部12(後述)とを具備し、前記ポール5は前記飛行体11と一体に飛行する様構成されている。
【0025】
前記位置測定装置3は、既知の3次元座標を有する点に設けられている。該位置測定装置3は、追尾機能を有し、前記第1反射部6及び前記第2反射部7を交互に測定しつつ追尾する。前記第1反射部6及び前記第2反射部7の3次元座標を測定することで、前記ポール5の傾斜(傾斜角、傾斜方向)を演算することができ、前記第1反射部6及び前記第2反射部7の3次元座標、前記ポール5の傾斜、前記第1反射部6と前記ポール5の下端との距離に基づき前記ポール5の下端の3次元座標を測定する。又、前記位置測定装置3は、前記遠隔操縦機4と無線通信が可能であり、前記位置測定装置3が測定した3次元座標は、座標データとして前記遠隔操縦機4に入力される。
【0026】
前記遠隔操縦機4は、例えばスマートフォンやタブレット等の携帯端末、或は該携帯端末に入力装置が接続又は一体化された装置となっている。前記遠隔操縦機4は、演算機能を有する演算装置、データやプログラムを格納する記憶部、更に端末通信部(後述)を有している。前記遠隔操縦機4は、前記端末通信部と前記飛行体通信部12との間で前記ポール装置2との無線通信が可能であり、又前記端末通信部と前記位置測定装置3の通信部との間で該位置測定装置3との無線通信が可能となっている。更に、前記遠隔操縦機4は、前記飛行装置9の飛行を遠隔操作可能であり、前記位置測定装置3による測定も遠隔操作可能となっている。
【0027】
次に、
図2、
図3に於いて、前記飛行体11について説明する。
【0028】
該飛行体11は、放射状に延出する複数で且つ偶数のプロペラフレーム13(図示では13a~13d)を有する。前記プロペラフレーム13の中心が前記飛行装置9の中心となっており、該中心は前記ポール5の軸心上に位置する。各プロペラフレーム13の先端にそれぞれプロペラユニットが設けられる。該プロペラユニットは、前記プロペラフレーム13の先端に設けられたプロペラモータ14(図示では14a~14d)と、該プロペラモータ14の出力軸に取付けられたプロペラ15(図示では15a~15d)により構成される。更に、前記飛行体11には、飛行体制御装置16が内蔵されている。
【0029】
該飛行体制御装置16は、主に演算制御部17、記憶部18、飛行制御部19、プロペラモータドライバ部21、撮像制御部22、前記飛行体通信部12とを具備している。
【0030】
前記撮像制御部22は、前記演算制御部17から発せられる制御信号に基づき、前記カメラ8の撮影を制御する。該カメラ8によって撮影された画像は、画像データとして前記撮像制御部22に入力される。
【0031】
前記カメラ8としてはデジタルカメラが設けられ、静止画像が撮影できると共に、動画像、又は連続する画像を構成するフレーム画像を取得可能となっている。又、撮像素子として、画素の集合体であるCCD、CMOSセンサ等が設けられ、各画素は撮像素子内での位置が特定できる様になっている。例えば、前記カメラ8の光軸が撮像素子を通過する点を原点とする直交座標によって、各画素の位置が特定される。各画素は、受光信号と共に画素座標を前記撮像制御部22に出力する。
【0032】
前記記憶部18には、プログラム格納部とデータ格納部とが形成される。前記プログラム格納部には、前記カメラ8の撮影を制御する為の撮影プログラム、前記プロペラモータ14を駆動制御する為の飛行制御プログラム、取得した画像等を前記遠隔操縦機4に送信し、又該遠隔操縦機4からの飛行指令や撮像指令を受信する為の通信プログラム等のプログラムが格納されている。
【0033】
前記データ格納部には、前記カメラ8で取得した静止画像データや動画像データ、前記遠隔操縦機4を介して受信した前記位置測定装置3で測定した位置データや姿勢データ等が格納される。
【0034】
前記飛行体通信部12は、前記遠隔操縦機4で前記飛行体11が遠隔操作される場合に、前記遠隔操縦機4からの操縦信号を受信し、該操縦信号を前記演算制御部17に入力する。又、前記飛行体通信部12は、前記カメラ8で取得した画像を遠隔操縦機4に送信する。
【0035】
前記演算制御部17は、前記記憶部18に格納された各種プログラムに基づき、前記ポール装置2が飛行し、所望の測設点に着地する為の各種制御を実行する。
【0036】
前記飛行制御部19は、飛行に関する制御信号に基づき、前記プロペラモータドライバ部21を介して前記プロペラモータ14を所要の状態に駆動する。
【0037】
次に、
図4を参照して、前記位置測定装置3について説明する。
【0038】
該位置測定装置3は、三脚23(
図1参照)上に設けられた測量装置本体24を有し、該測量装置本体24は主に測定制御装置25、測距光偏向部としての走査ミラー26、測距部27、水平角検出器28、鉛直角検出器29、傾斜角検出器31、水平回転駆動部32、鉛直回転駆動部33、広角カメラ34、望遠カメラ35等を具備している。
【0039】
前記測量装置本体24は、前記水平回転駆動部32によって水平方向に回転可能であり、又前記鉛直回転駆動部33によって鉛直方向に回転可能となっている。
【0040】
前記走査ミラー26は、例えば直交する2軸(X軸及びY軸)方向に傾動自在なMEMSミラーである。MEMSミラーは、コイルに電流を流した際のローレンツ力により駆動されるミラーであり、駆動電流の正負及び大きさに基づき、所望の方向に所望の角度で2次元に往復傾動可能となっている。尚、前記走査ミラー26と傾斜可能な範囲は、例えば2軸方向に±30°となっている。
【0041】
前記測距部27は、前記走査ミラー26、前記望遠カメラ35の光学系を介して測距光52(
図1参照)を射出し、更に該走査ミラー26、前記望遠カメラ35の光学系を介して前記測定対象物からの反射測距光を受光し、測距を行うものである。即ち、前記測距部27は光波距離計として機能する。前記測距光52は、パルス光又はパルス状の光であり、測距はパルス光毎に行われる。又、前記走査ミラー26は、測距光52の光軸を例えば±30°の範囲で偏向し、高応答性で前記測距光の局所スキャンが可能となっている。
【0042】
前記水平角検出器28は、前記広角カメラ34又は前記望遠カメラ35による視準方向のうち、水平角を検出する。尚、検出される水平角は予め設定された任意の基準方向に対する水平角となる。又、前記鉛直角検出器29は、前記広角カメラ34又は前記望遠カメラ35による視準方向のうち、鉛直角を検出する。更に、前記傾斜角検出器31は、前記走査ミラー26の2軸の各傾斜角及び合成傾斜角を検出する。前記水平角検出器28、前記鉛直角検出器29、前記傾斜角検出器31の検出結果は、前記測定制御装置25に入力される。
【0043】
前記広角カメラ34と前記望遠カメラ35は、前記位置測定装置3に内蔵されている。前記広角カメラ34は広画角、例えば30°を有し、前記望遠カメラ35は前記広角カメラ34よりも狭い画角、例えば5°を有している。尚、前記広角カメラ34の光軸と前記望遠カメラ35の光軸はそれぞれ平行であり、各光軸間の距離は既知となっている。従って、前記広角カメラ34で取得した画像と前記望遠カメラ35で取得した画像との対応付が可能となっている。前記広角カメラ34或は前記望遠カメラ35により、前記第1反射部6及び前記第2反射部7を画角内に捉えることができる。尚、前記測距光52の光軸が前記広角カメラ34の光軸及び前記望遠カメラ35の光軸と平行又は合致する時の前記走査ミラー26の位置を、該走査ミラー26の基準位置としている。
【0044】
該測定制御装置25は、主に測距演算部36、測定演算制御部37、測定記憶部38、測定通信部39、モータ駆動制御部41、ミラー駆動制御部42、撮像制御部43等を有する。
【0045】
前記測距演算部36は、前記測定演算制御部37からの制御信号に基づき、前記測距部27による前記第1反射部6と前記第2反射部7の測距動作を制御する。即ち、前記測距演算部36は、パルス光の往復時間、例えば前記測距部27から射出される前記測距光52の発光タイミングと、前記測距部27に受光される反射測距光の受光タイミングとの時間差と光速に基づき、前記測距光52の1パルス毎の測距を実行する(Time Of Flight)。又は、レーザ光の周波数をチャープさせて戻り光の周波数差から距離を計測するFMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)も適用可能である。
【0046】
又、前記測定記憶部38には、前記広角カメラ34又は前記望遠カメラ35の画像から前記第1反射部6、前記第2反射部7を抽出し、前記第1反射部6及び前記第2反射部7の位置を検出する画像処理プログラム、前記第1反射部6及び前記第2反射部7に対して交互に局所スキャンを実行し、前記第1反射部6と前記第2反射部7の測定(測距及び測角)を行いそれぞれの3次元座標をリアルタイムで演算する為の測定プログラム、前記第1反射部6と前記第2反射部7の測定結果に基づき、前記ポール5の傾斜角を演算する傾斜角演算プログラム、前記第1反射部6と前記第2反射部7の測定結果をそれぞれ時系列に取得し、次の前記第1反射部6と前記第2反射部7の位置を予測する予測プログラム、前記第1反射部6と前記第2反射部7の追尾を行う為の追尾プログラム、前記広角カメラ34と前記望遠カメラ35の撮像を行う為の撮像プログラム、前記ポール装置2及び前記遠隔操縦機4との通信を行う為の通信プログラム等のプログラムが格納されている。又、前記測定記憶部38には、前記第1反射部6と前記第2反射部7の測定結果(測距結果、測角結果)が測定時間と関連づけられて時系列に格納される。
【0047】
前記測定通信部39は、前記第1反射部6と前記第2反射部7を測定した結果(前記第1反射部6と前記第2反射部7の射距離、水平角、鉛直角)をリアルタイムで前記遠隔操縦機4に送信する。
【0048】
前記モータ駆動制御部41は、前記第1反射部6と前記第2反射部7を視準する為に、或は、前記第1反射部6と前記第2反射部7を追尾する為に、前記水平回転駆動部32、前記鉛直回転駆動部33を制御し、前記測量装置本体24を水平方向に、或は鉛直方向に回転させる。尚、前記水平回転駆動部32、前記鉛直回転駆動部33は、前記測量装置本体24を水平方向及び鉛直方向に回転させる為の本体駆動部を構成する。
【0049】
前記ミラー駆動制御部42は、前記走査ミラー26で反射される前記測距光52が所定のスキャン中心で所定の範囲を2次元に面スキャン(ラスタスキャン)する様、前記走査ミラー26を所定角度範囲で所定方向に往復傾動させる。又、前記ミラー駆動制御部42は、全スキャン範囲内の複数箇所で、部分的にスキャン(局所スキャン)する場合、スキャン中心を交互に、或は順次偏向しながら局所スキャンし、複数箇所で同時に局所スキャンされたのと同様の制御を行う。更に、前記撮像制御部43は、前記広角カメラ34と前記望遠カメラ35の撮像を制御する様構成されている。
【0050】
前記位置測定装置3は、前記第1反射部6と前記第2反射部7を追尾しつつ測距し、測距結果と前記水平角検出器28、前記鉛直角検出器29、前記傾斜角検出器31の検出結果に基づき、前記第1反射部6と前記第2反射部7の3次元座標をリアルタイムで測定する。又、前記第1反射部6と前記第2反射部7の測定結果に基づき前記ポール5の軸心5aを演算し、該軸心5aの傾きに基づき前記ポール装置2の姿勢をリアルタイムで演算する。
【0051】
図5は、前記遠隔操縦機4の概略構成、及び前記ポール装置2と前記位置測定装置3と前記遠隔操縦機4の関連を示す図である。
【0052】
該遠隔操縦機4は、演算機能を有する端末演算処理部44、端末記憶部45、端末通信部46、操作部47、表示部48を有している。
【0053】
前記端末演算処理部44は、クロック信号発生部を有し、前記ポール装置2から受信した画像データ、座標データ等をそれぞれクロック信号に関連付ける。又、前記端末演算処理部44は、受信した各種データを前記クロック信号に基づき時系列のデータとして処理し、前記端末記憶部45に保存する。
【0054】
該端末記憶部45には、前記ポール装置2や前記位置測定装置3と通信を行う為の通信プログラム、前記位置測定装置3の設置位置の3次元座標に基づき、前記第1反射部6と前記第2反射部7の3次元座標を演算する為のプログラム、前記第1反射部6と前記第2反射部7の測定結果、前記ポール5の下端から前記第1反射部6迄の距離、前記ポール5の傾斜角に基づき、前記ポール装置2が設置された測設点の3次元座標を演算する為のプログラム、走査画面や測定結果、各カメラで取得された画像等を前記表示部48に表示する為の表示プログラム、タッチパネル等を介して指示を入力する為の操作プログラム等のプログラムが格納されている。
【0055】
前記端末通信部46は、前記ポール装置2との間、前記位置測定装置3との間で通信を行う。又、前記操作部47は、前記表示部48と一体に設けられたコントローラのボタン等を介して各種指示を入力し、前記飛行体11の操作を行う。
【0056】
前記表示部48は、前記カメラ8で取得されたカメラ画像、前記広角カメラ34で取得された広角画像、前記望遠カメラ35で取得された望遠画像、前記位置測定装置3で取得された測定結果を示す測定結果画面等が表示される。
【0057】
尚、前記表示部48の全てをタッチパネルとしてもよい。該表示部48が全てタッチパネルである場合には、前記操作部47を省略してもよい。この場合、前記表示部48には前記飛行体11を操作する為の操作パネルが設けられる。
【0058】
次に、
図6、
図7に於いて、前記測量システム1を用いた測定及び追尾について説明する。
【0059】
先ず、前記ポール装置2を静止させた状態で、前記第1反射部6及び前記第2反射部7の測定を行う。広角画像中に前記第1反射部6及び前記第2反射部7が含まれる様に前記位置測定装置3の向きを調整し、又望遠画像中から前記第1反射部6及び前記第2反射部7を抽出する。更に、望遠画像中の前記第1反射部6及び前記第2反射部7の位置からスキャン方向、スキャン範囲(測定エリア49)を設定する。
【0060】
前記位置測定装置3は、前記測距部27による前記測距光52の射出と、前記走査ミラー26の2軸方向への傾動との協動により、所定範囲の前記測定エリア49をラスタスキャン状に局所スキャンする。尚、該測定エリア49に於けるスキャン密度は、状況に応じて適宜設定される。又、前記測定エリア49の大きさは、前記ポール装置2の少なくとも前記第1反射部6又は前記第2反射部7のいずれか一方が含まれる大きさに設定する。
【0061】
前記位置測定装置3は、前記測定エリア49内を所定のスキャン密度で走査し、前記測距光52の軌跡51に沿った点群データを取得する。本実施例では、測定対象物である前記第1反射部6及び前記第2反射部7は、前面に反射シートが貼付けられた球体となっている。
【0062】
従って、前記第1反射部6と前記第2反射部7の中心が前記測距光52の光軸上に存在しない場合には、反射測距光53が前記測距部27に向って反射されず、測定不能となる。即ち、前記第1反射部6と前記第2反射部7の中心が前記測距光52の光軸上に存在する場合のみ、測定結果が演算できる。
【0063】
従って、前記測定エリア49内を局所スキャンした際に、測定結果が得られた点の測定結果を前記第1反射部6又は前記第2反射部7の測定結果とすることができる。尚、前記第1反射部6と前記第2反射部7の測定結果は、各反射部の中心の3次元座標であり、各反射部の中心の3次元座標は前記第1反射部6と前記第2反射部7の測定結果及び前記第1反射部6と前記第2反射部7の既知の径に基づき演算することができる。
【0064】
前記ポール装置2が設置された測設点の3次元座標を演算する際には、前記測定エリア49のスキャンにより前記第1反射部6と前記第2反射部7の中心の3次元座標をそれぞれ演算し、各中心を結ぶ直線の傾きを演算する。又、前記第1反射部6と前記第2反射部7の中心の3次元座標と、演算した傾きと、前記ポール5の下端から前記第1反射部6、前記第2反射部7迄の距離とに基づき、測設点の3次元座標を演算することができる。
【0065】
次に、前記
図7を参照して前記位置測定装置3による前記ポール装置2の追尾について説明する。
【0066】
該ポール装置2を追尾する際には、初期位置(待機位置)に静止状態で任意の姿勢で設置された該ポール装置2に対して、前記水平回転駆動部32及び前記鉛直回転駆動部33を駆動させ、広角画像又は望遠画像中から前記第1反射部6及び前記第2反射部7が抽出され、画像中から前記第1反射部6及び前記第2反射部7への位置(方向角)が求められる。先ず、前記第1反射部6を中心とする前記測定エリア49(第1測定エリア49a)が設定され、次に前記第2反射部7を中心とする前記測定エリア49(第2測定エリア49b)が設定される。
【0067】
各測定エリア49a,49bが設定されると、前記測定演算制御部37は、前記測距部27(
図7中では発光素子57と受光素子58)と前記走査ミラー26との協動により、前記第1反射部の中心をスキャン中心として前記第1測定エリア49a内を前記測距光52で局所スキャンさせ、前記第1反射部6が測定される。
【0068】
次に、前記測定演算制御部37は、前記第2反射部7の中心をスキャン中心として、前記第2測定エリア49b内を前記測距光52で局所スキャンさせ、前記第2反射部7が測定される。ここで測定された前記第1反射部6の3次元座標を該第1反射部6の第1初期位置54として設定し、前記第2反射部7の3次元座標を該第2反射部7の第2初期位置55として設定し、各初期位置54,55が前記測定記憶部38に格納される。
【0069】
各初期位置54,55の設定後、前記位置測定装置3による追尾を開始させると共に、前記ポール装置2を飛行させる。追尾中、前記測定演算制御部37は、前記第1初期位置54を中心とした局所スキャン(第1局所スキャン)と前記第2初期位置55を中心として局所スキャン(第2局所スキャン)とを交互に実行し、前記第1反射部6と前記第2反射部7とを略同時に、且つ略リアルタイムで測定する。前記ポール装置2の移動と共に前記第1反射部6及び前記第2反射部7の測定値も変化する。従って、前記第1反射部6及び前記第2反射部7の測定値の変化に追従して、前記測量装置本体24の視準方向も追従する。
【0070】
尚、前記走査ミラー26は高速で往復傾動可能であり、スキャン速度は前記ポール装置2の移動速度よりも充分に高速である。従って、スキャン中心を前記第1反射部6から前記第2反射部7へと移動させ、該第2反射部7で第2局所スキャンを実行した後であっても、再び前記第1初期位置54を中心とした前記第1測定エリア49a内に前記第1反射部6を捉えることができる。
【0071】
第1局所スキャンの実行により、前記第1初期位置54から所定の方向に所定距離移動した前記第1反射部6の第1位置54aの3次元座標が測定され、該第1位置54aの測定結果が前記測定記憶部38に保存される。又、前記測定演算制御部37は、前記第1位置54aと前記第1反射部6の1回前の測定位置である前記第1初期位置54とを結ぶ直線を演算し、該直線は前記第1反射部6の軌跡59として前記測定記憶部38に保存される。又、前記軌跡59に基づき、前記第1反射部6の移動方向、移動速度が演算され、演算結果が前記測定記憶部38に保存される。
【0072】
前記第1位置54aの測定後、前記測定演算制御部37は、前記第1反射部6と前記第2反射部7の位置関係に基づき、局所スキャンのスキャン中心の位置を前記第2初期位置55に変更する。この時、前記第1反射部6の測定位置、移動方向、移動速度に基づき、前記第2反射部7の位置が予測され、予測結果もスキャン中心の変更に反映される。
【0073】
第2局所スキャンの実行により、前記第2初期位置55から所定の方向に所定距離移動した前記第2反射部7の第2位置55aの3次元座標が測定され、該第2位置55aの測定結果が前記測定記憶部38に保存される。又、前記測定演算制御部37は、前記第2位置55aと前記第2反射部7の1回前の測定位置である前記第2初期位置55とを結ぶ直線を演算し、該直線は前記第2反射部7の軌跡61として前記測定記憶部38に保存される。又、前記軌跡61に基づき、前記第2反射部7の移動方向、移動速度が演算され、演算結果が前記測定記憶部38に保存される。
【0074】
又、前記測定演算制御部37は、前記第1位置54aと前記第2位置55aの測定結果に基づき、前記ポール5の軸心5aの傾きを演算する。即ち、前記測定演算制御部37は、前記ポール装置2の姿勢を演算する。
【0075】
前記第2位置55aの測定後、前記第1反射部6と前記第2反射部7の測定が交互に実行され、第1位置54b,……,54n及び第2位置55b,……,55nの3次元座標が演算され、各演算結果が前記測定記憶部38に保存される。又、各測定位置と1回前の測定位置とを結ぶ直線が前記第1反射部6及び前記第2反射部7の軌跡59,61としてそれぞれ前記測定記憶部38に保存される。更に、各測定位置の測定結果に基づき、前記ポール装置2の姿勢が演算される。
【0076】
前記第1反射部6と前記第2反射部7の測定が交互に実行されることで、前記第1反射部6及び前記第2反射部7の位置がリアルタイムで測定され、前記第1反射部6及び前記第2反射部7の測定結果に基づき、前記位置測定装置3による前記ポール装置2の追尾が実行される。更に、該ポール装置2の追尾と平行して、該ポール装置2の姿勢が演算される。
【0077】
尚、局所スキャンのスキャン中心の変更は、MEMSミラーによって高速で実行されるので、前記第1反射部6と前記第2反射部7の測定は略同時に、且つ略リアルタイムで実行することができる。更に、前記ポール5の追尾については、該ポール5の移動速度が拘束ではないので、前記水平回転駆動部32と前記鉛直回転駆動部33による前記測量装置本体24の回転で充分追尾することが可能である。
【0078】
所望の測設点の測定を行う際には、作業者が前記ポール装置2を目視しつつ、前記遠隔操縦機4を介して前記ポール装置2を遠隔操作で所定の待機位置より飛行させる。
【0079】
該ポール装置2を所望の測設点56(
図1参照)の上方迄移動させると、作業者は、前記カメラ8の映像を参照しつつ、前記ポール5の下端と前記測設点56とが合致する様、前記ポール装置2を着地させる。該ポール装置2の着地後、前記遠隔操縦機4より測定指示が発せられろ。前記測量装置本体24は、前記測定通信部39を介して測定指示を受信し、前記測定演算制御部37は、前記測設点56の測定を実行する。
【0080】
前記測定演算制御部37は、最後に測定された前記第1反射部6と第2反射部7の測定結果に基づき、前記第1反射部6の中心と前記第2反射部7の中心とを結ぶ直線の傾き、即ち前記ポール5の軸心5aの傾きを演算する。又、前記測定演算制御部37は、前記傾きと前記第1反射部6の測定結果と、前記ポール5の下端から前記第1反射部6迄の距離に基づき、前記ポール5の下端、即ち前記測設点56の3次元座標を演算する。
【0081】
他にも測定すべき測設点が存在する場合には、再度前記ポール装置2を飛行させ、次の測設点に着地させ、測設点の測定を実行する。測設点の測定が完了した場合には、前記ポール装置2を飛行させ、所定の待機位置へと着地させ、処理を終了する。
【0082】
又、測設点が複数存在する場合、飛行スケジュールを設定した飛行プログラム等を設定し、更に前記位置測定装置3で測定した結果を前記飛行体通信部12を介して前記演算制御部17にフィードバックする様にし、自律飛行により測設点間の移動を行う様にしてもよい。
【0083】
上述の様に、本実施例では、前記測設点56に設置するポール5に前記飛行装置9を取付けて一体化させ、前記ポール装置2を自動で前記測設点56迄運搬可能としている。
【0084】
従って、作業者が前記測設点56迄前記ポール5を運搬する必要がなく、作業時間の短縮が図れると共に、1人作業にて測定が可能となり、作業性を向上させることができる。
【0085】
又、前記第1反射部6と前記第2反射部7とが球体であり、前記第1反射部6と前記第2反射部7とを含む前記測定エリア49を局所スキャンすることで、前記第1反射部6と前記第2反射部7とを測定している。
【0086】
従って、前記第1反射部6と前記第2反射部7の向きに拘らず、前記第1反射部6と前記第2反射部7の中心の3次元座標を演算することができる。
【0087】
又、前記ポール5に2つの反射部(前記第1反射部6及び前記第2反射部7)が設けられ、前記第1反射部6と前記第2反射部7の測定結果に基づき、前記ポール5の傾きを演算することができる。従って、該ポール5が傾斜していた場合であっても、該ポール5が設置された前記測設点56の3次元座標を演算可能であるので、各測設点毎に整準を行う必要がなく、作業時間の短縮が図れると共に、作業性を向上させることができる。
【0088】
又、本実施例では、前記第1反射部6と前記第2反射部7とを交互に局所スキャンし、測定することで、前記ポール装置2を追尾している。又、前記ポール装置2の追尾と並行して、該ポール装置2の姿勢を演算している。
【0089】
従って、前記ポール装置2に傾斜センサ或は姿勢検出装置を設ける必要がないので、装置構成の簡略化が図れ、製作コストの低減が図れると共に、前記ポール装置2の重量を軽減することができる。
【0090】
更に、前記ポール装置2は、前記ポール5の下端を含む画像を取得可能な前記カメラ8を有しているので、前記ポール5の下端を含む画像を前記表示部48に表示させ、目視観察することができる。従って、離れた測設点への前記ポール装置2の設置であっても、前記ポール5の下端を正確に前記測設点56と合致させることができる。
【0091】
又、前記ポール装置2に位置情報発信器としてのBLEビーコンを設けてもよい。該BLEビーコンにより概略の位置情報信号が発せられることで、例えば障害物等により前記位置測定装置3による前記ポール装置2の追尾が途切れた場合であっても、BLEビーコンからの位置情報に基づき、容易に前記位置測定装置3を前記ポール装置2の追尾に復帰させることができる。
【0092】
尚、本実施例では、前記測距光52を走査する為の測距光偏向部として、2軸のMEMSミラーと用いているが、該MEMSミラーに限られるものではない。例えば、モータにより回転する回転鏡やガルバノミラー、オプティカルフェースドアレイ、液晶ビームステアリング、レズレープリズム等、種々の偏向手段により測距光を走査する構成であってもよい。
【0093】
更に、本実施例では、前記第1反射部6及び前記第2反射部7として、反射シートを前面に貼設した球体を用いているが、全周プリズムを用いてもよいのは言う迄もない。
【符号の説明】
【0094】
1 測量システム
2 ポール装置
3 位置測定装置
4 遠隔操縦機
5 ポール
6 第1反射部
7 第2反射部
8 カメラ
9 飛行装置
16 飛行制御装置
24 測量装置本体
25 測定制御装置
26 走査ミラー
27 測距部
28 水平角検出器
29 鉛直角検出器
31 傾斜角検出器
49 測定エリア
52 測距光
53 反射測距光
54 第1初期位置
55 第2初期位置
56 測設点